(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】メインダンパー及び補足ダンパーを有するねじり減衰装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/134 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
F16F15/134 B
F16F15/134 A
F16F15/134 D
(21)【出願番号】P 2020552902
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2019057929
(87)【国際公開番号】W WO2019185836
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-26
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503041177
【氏名又は名称】ヴァレオ アンブラヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ロエル、ベルオーグ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル、エンヌベル
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/057490(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両トランスミッションチェーンのためのねじり減衰装置であって、
-トルクを伝達するための第1回転要素(7)と、
-前記トルクを伝達するための第2回転要素(9)と、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間に配置されたメインダンパー(A)を備える少なくとも1つの減衰モジュール(M1、M2)であって、各メインダンパーが、位相部材(15)により直列に配置された第1ばね(13-1)及び第2ばね(13-2)を含むばねのグループを含み、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)がそれぞれ前記第1回転要素(7)と前記位相部材(15)との間及び前記位相部材(15)と前記第2回転要素(9)との間に配置され、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)がそれらが変形する際に前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の回転軸(X)の周りにおける相対回転を許容する、少なくとも1つの減衰モジュール(M1、M2)と、を備え、
各減衰モジュール(M1、M2)は、前記位相部材(15)によって支えられる追加ばね(25)を含み、前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9)によりとられる速度又はトルクの提示のない静止の相対角度位置から、前記第2回転要素(9)に対する前記第1回転要素(7)の相対回転の第1方向において:
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第1閾値(A1)よりも、前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が小さい場合、前記追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)から距離があけられ、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で前記追加ばね(25)によって追加のトルクが伝達されえず、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が、前記第1角度変位閾値(A1)以上の場合、前記追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)に対して直接的又は間接的にもたれて、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で前記追加ばね(25)によって追加のトルクが伝達されることができるように前記ねじり減衰装置は構成され、
前記位相部材は、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)の
半径方向に内側におい
て配置された半径方向に延びる環状部分を備えることを特徴とする、ねじり減衰装置。
【請求項2】
各追加ばね(25)は、
-前記位相部材(25)に対して直接的又は間接的にもたれるように配置された第1ベアリング面(25a)と、
-相対回転の前記第1方向において前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が前記第1角度変位閾値(A1)以上である場合に、前記第1回転要素(7)の第1作動面(40)に対して直接的又は間接的にもたれることができる第2ベアリング面(25b)と、を含むらせんばねである、請求項1に記載のねじり減衰装置。
【請求項3】
前記静止の相対角度位置から、相対回転の前記第1方向において前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が、前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第2閾値(A2)以上である場合に、各第2ばね(13-2)が圧縮されなくなるように、前記ねじり減衰装置は配置される請求項1又は2に記載のねじり減衰装置。
【請求項4】
前記静止の相対角度位置から、相対回転の前記第1方向における前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が、前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第2閾値(A2)以上の場合に、前記第2回転要素(9)によって支えられる第2停止部(b2)と相互作用するように配置され且つ前記位相部材(15)によって支えられる第1停止部(b1)を、前記ねじり減衰装置は備える、請求項3に記載のねじり減衰装置。
【請求項5】
前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9)のうちの一方は、ばねの各グループの前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)を軸方向に保持する2つのガイドワッシャー(9a、9b)によって形成され;前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9)のうちの他方は、前記2つのガイドワッシャー(9a、9b)の間に軸方向に配置されたウェブ(7)によって形成される請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のねじり減衰装置。
【請求項6】
減衰モジュール(M1、M2)の前記追加ばね(25)は、周方向に、当該減衰モジュールの前記第1ばね(13-1)と前記第2ばね(13-2)との間に、少なくとも部分的に、配置されている請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のねじり減衰装置。
【請求項7】
車両トランスミッションチェーンのためのねじり減衰装置であって、
-トルクを伝達するための第1回転要素(7)と、
-前記トルクを伝達するための第2回転要素(9)と、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間に配置されたメインダンパー(A)を備える少なくとも1つの減衰モジュール(M1、M2)であって、各メインダンパーが、位相部材(15)により直列に配置された第1ばね(13-1)及び第2ばね(13-2)を含むばねのグループを含み、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)がそれぞれ前記第1回転要素(7)と前記位相部材(15)との間及び前記位相部材(15)と前記第2回転要素(9)との間に配置され、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)がそれらが変形する際に前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の回転軸(X)の周りにおける相対回転を許容する、少なくとも1つの減衰モジュール(M1、M2)と、を備え、
各減衰モジュール(M1、M2)は、前記位相部材(15)によって支えられる追加ばね(25)を含み、前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9)によりとられる速度又はトルクの提示のない静止の相対角度位置から、前記第2回転要素(9)に対する前記第1回転要素(7)の相対回転の第1方向において:
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第1閾値(A1)よりも、前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が小さい場合、前記追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)から距離があけられ、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で前記追加ばね(25)によって追加のトルクが伝達されえず、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が、前記第1角度変位閾値(A1)以上の場合、前記追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)に対して直接的又は間接的にもたれて、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で前記追加ばね(25)によって追加のトルクが伝達されることができるように前記ねじり減衰装置は構成され、
各減衰モジュール(M1、M2)は、前記位相部材によって支えられる少なくとも1つのペアのトランスミッションプレート(17a、17b)を有し、トランスミッションプレートの各ペアは、軸方向にお互いから離された第1トランスミッションプレート(17a)及び第2トランスミッションプレート(17b)を備え;前記第1トランスミッションプレート(17a)及び前記第2トランスミッションプレート(17b)は各々、前記第1ばね(13-1)の第1端部(13-11)と直接的又は間接的に相互作用する第1スラストゾーン(P1)と、前記第2ばね(13-2)の第1端部(13-21)と直接的又は間接的に相互作用する第2スラストゾーン(P2)とを含み、プレートの各ペアの前記第1スラストゾーンは軸方向にお互いから離されており、プレートの各ペアの前記第2スラストゾーンは軸方向にお互いから離されているねじり減衰装置。
【請求項8】
トランスミッションプレートの各ペアの前記第1トランスミッションプレート(17a)及び前記第2トランスミッションプレート(17b)は、第1位相ワッシャー及び第2位相ワッシャーにそれぞれ形成され、当該第1位相ワッシャー及び当該第2位相ワッシャーは、お互いから軸方向に間隔が置かれて離されている請求項7に記載のねじり減衰装置。
【請求項9】
車両トランスミッションチェーンのためのねじり減衰装置であって、
-トルクを伝達するための第1回転要素(7)と、
-前記トルクを伝達するための第2回転要素(9)と、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間に配置されたメインダンパー(A)を備える少なくとも1つの減衰モジュール(M1、M2)であって、各メインダンパーが、位相部材(15)により直列に配置された第1ばね(13-1)及び第2ばね(13-2)を含むばねのグループを含み、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)がそれぞれ前記第1回転要素(7)と前記位相部材(15)との間及び前記位相部材(15)と前記第2回転要素(9)との間に配置され、前記第1ばね(13-1)及び前記第2ばね(13-2)がそれらが変形する際に前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の回転軸(X)の周りにおける相対回転を許容する、少なくとも1つの減衰モジュール(M1、M2)と、を備え、
各減衰モジュール(M1、M2)は、前記位相部材(15)によって支えられる追加ばね(25)を含み、前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9)によりとられる速度又はトルクの提示のない静止の相対角度位置から、前記第2回転要素(9)に対する前記第1回転要素(7)の相対回転の第1方向において:
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第1閾値(A1)よりも、前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が小さい場合、前記追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)から距離があけられ、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で前記追加ばね(25)によって追加のトルクが伝達されえず、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が、前記第1角度変位閾値(A1)以上の場合、前記追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)に対して直接的又は間接的にもたれて、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で前記追加ばね(25)によって追加のトルクが伝達されることができるように前記ねじり減衰装置は構成され、
各減衰モジュール(M1、M2)は、前記位相部材(15)によって支えられたトランスミッションヘッド(17)であって、前記減衰モジュールの前記ばねのグループの前記第1ばね(13-1)と前記第2ばね(13-2)との間に周方向に配置されたトランスミッションヘッド(17)を含み、各トランスミッションヘッド(17)はハウジング(L)を備え、当該ハウジング(L)の内側に前記減衰モジュールの前記追加ばね(25)が収容され、それにより相対回転の前記第1方向における前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位が角度変位の前記第1閾値(A1)以上である場合に前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で追加のトルクを伝達するねじり減衰装置。
【請求項10】
各減衰モジュール(M1、M2)は、前記位相部材(15)によって支えられたトランスミッションヘッド(17)であって、前記減衰モジュールの前記ばねのグループの前記第1ばね(13-1)と前記第2ばね(13-2)との間に周方向に配置されたトランスミッションヘッド(17)を含み、各トランスミッションヘッド(17)はハウジング(L)を備え、当該ハウジング(L)の内側に前記減衰モジュールの前記追加ばね(25)が収容され、それにより相対回転の前記第1方向における前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位が角度変位の前記第1閾値(A1)以上である場合に前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で追加のトルクを伝達する請求項1~8のうちのいずれか一項に記載のねじり減衰装置。
【請求項11】
各減衰モジュール(M1、M2)に関し、前記トランスミッションヘッド(17)は前記トランスミッションプレートのペア(17a、17b)によって形成され、前記第1トランスミッションプレート(17a)及び前記第2トランスミッションプレート(17b)は各々開口部(47a、47b)を含み、前記第1トランスミッションプレート(17a)における前記開口部(47a)及び前記第2トランスミッションプレート(17b)における前記開口部(47b)は、対応する減衰モジュールの前記追加ばね(25)を収容するように、お互いに軸方向に向かい合って配置される請求項7又は8と関連する請求項10に記載のねじり減衰装置。
【請求項12】
各トランスミッションヘッド(17)は、関連する前記追加ばね(25)を軸方向に保持するための2つの軸方向保持要素(18a、18b)をさらに備え、前記追加ばね(25)のための前記2つの軸方向保持要素(18a、18b)は、前記追加ばね(25)の両側において軸方向に配置される請求項9~11のいずれか一項に記載のねじり減衰装置。
【請求項13】
前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9)によりとられる速度又はトルクの提示がない静止の相対角度位置から、相対回転の前記第1方向とは反対である、前記第2回転要素(9)に対する前記第1回転要素(7)の相対回転の第2方向において:
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第4閾値(A4)未満である場合、各追加ばね(25)は前記第1回転要素(7)から距離を置いており、
-前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が前記第4角度変位閾値(A4)以上である場合、各追加ばねは前記第1回転要素(7)に対して直接的又は間接的にもたれ、それによって前記位相部材(15)と前記第1回転要素(7)との間で各追加ばね(25)により追加のトルクが伝達されることができるように前記ねじり減衰装置は構成される請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のねじり減衰装置。
【請求項14】
前記静止の相対角度位置から、相対回転の第2方向において前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の角度変位の第5閾値(A5)以上である場合、前記第2ばね(13-2)が圧縮されないように、前記ねじり減衰装置は配置され、第5停止部(b5)は、前記位相部材(15)によって支えられ、且つ、相対回転の前記第2方向において前記第1回転要素(7)と前記第2回転要素(9)との間の前記角度変位が前記第5変位閾値(A5)に達する場合に前記第2回転要素(9)によって支えられる第6停止部(b6)と相互作用するように配意され、前記位相部材(15)の前記第1トランスミッションプレート(17a)及び/又は前記第2トランスミッションプレート(17b)は前記第1停止部(b1)を形成するラグ(41)を有し、前記第5停止部(b5)も当該ラグ(41)に形成される請求項7、又は請求項7を引用する請求項13に記載のねじり減衰装置。
【請求項15】
請求項1~14のうちのいずれか一項に記載の減衰装置及び摩擦ディスクを具備するトルクリミッタを備えるトランスミッションシステムであって、前記摩擦ディスクは、前記減衰装置の前記第1回転要素(7)及び前記第2回転要素(9、10)のうちの1つと回転で一体的に設けられる、トランスミッションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、電動装置におけるトルク伝達の分野に関し、車両トランスミッションチェーン用のねじり減衰装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
自動車は一般に、デュアルマスフライホイールやクラッチディスクなどのトランスミッションチェーンのさまざまな部分に統合できるそのようなねじり減衰装置を備える。トルクリミッタはまた、エンジンのアサイクリズム(acyclism)及び他のねじれ振動をフィルタリングするためのねじり減衰装置に関連付けられ得る。このフィルタリングは、典型的には、1つ又は複数のねじり減衰モジュールによって実行され、当該1つ又は複数のねじり減衰モジュールは、ねじりで動作し且つトルクの伝達中に第2回転トルク伝達要素に対する第1回転トルク伝達要素の相対回転を可能にする組み合わされたばねダンパーである。相対回転はばねによって可能であってもよく、減衰は、ばねに蓄積されたエネルギーの一部を摩擦によって放散するように、ばねワッシャーによって軸方向に負荷がかけられた摩擦ワッシャーが設けられる摩擦装置によって達成され得る。
【0003】
そのようなねじり減衰装置を設計する際には、特定の用途に適した特性曲線を得るように、ばねの選択、サイズ設定、及び配置に特別な注意が払われる。
【0004】
発明の目的は、そのようなデバイスを変調可能な特性曲線で提案することによって、従来技術のねじり減衰デバイスを改善することである。
【0005】
特に、発明の目的は、減衰装置の角度の剛性を所定の角度の変位閾値を超えて増加させることである。特に、発明の目的は、減衰装置の角度の剛性を所定の角度の変位閾値を超えて増加させることである。
【0006】
この目的のために、発明は、車両トランスミッションチェーン用のねじり減衰装置に関し、以下を備える:
-トルクを伝達するための第1回転要素;
-トルクを伝達するための第2回転要素;
-第1回転要素と第2回転要素との間に配置されたメインダンパーを含む少なくとも1つの減衰モジュールであって、各メインダンパーは、位相部材によって直列に配置された第1ばね及び第2ばねを含むばねのグループを含み、第1ばね及び第2ばねは、第1回転要素と位相部材との間及び位相部材と第2回転要素との間にそれぞれ配置され、第1ばね及び第2ばねは、それらが変形する際に、第1回転要素と第2回転要素との間の回転の軸の周りの相対回転を可能にする。
【0007】
各減衰モジュールは、位相部材によって支えられる追加ばねを含み、ねじり減衰装置は、速度又はトルクの提出のない第1回転要素及び第2回転要素によりとられる静止の相対角度位置からの、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第1方向において、以下のように構成される:
-第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第1閾値よりも小さい場合、追加ばねは、第1回転要素から、位相部材と第1回転要素との間で追加ばねによって追加のトルクが伝達されることができないのような距離にあり、
-第1回転要素と第2回転要素の間の角度変位が第1角度変位閾値以上である場合、追加ばねは、追加のトルクが位相部材と第1回転要素との間で追加ばねによって伝達されることができるように、第1回転要素に直接的又は間接的に作用する。
【0008】
ここで、及び本書の残りの部分において、シートなどのインターフェース要素が、一方では第1回転要素又は第2回転要素又は位相部材において、他方ではばねにおいて、使用され得るため、「直接及び間接」又は「直接的又は間接的に」という表現が使用される。
【0009】
「相対回転の方向」という表現は、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転を定めるために使用される。
【0010】
減衰装置はまた、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る:
-追加ばねの各々は、以下を含むらせんばねである
-位相部材を直接的又は間接的に支えるように配置された第1ベアリング面、及び
-相対回転の第1方向に、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1角度変位閾値以上である場合に、第1回転要素の第1作動面を直接的又は間接的に支持するようになることができる第2ベアリング面。
【0011】
-ねじり減衰装置は、静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向において第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第2閾値以上である場合に、第2ばねの各々が圧縮されなくなるように配置される。したがって、第2ばねの各々の非アクティブ化は、第2の所定の角度変位閾値を超えて減衰装置の剛性を増加させることを可能にする。
【0012】
-一実施形態によれば、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が、静止の相対角度位置からの、相対回転の第1方向における第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第2閾値以上の場合に、第2回転要素によって支えられる第2停止部と相互作用するように配置され且つ位相部材によって支えられる第1停止部を、ねじり減衰装置は含む。したがって、第1停止部を第2停止部と接触させることにより、位相部材の第1停止部と第2回転要素の第2停止部との間に直接的にトルクを伝達することによって第2ばねの圧縮を停止することが可能になり、それにより減衰装置の剛性を増大させる。
【0013】
- 変形として、各第2ばねは、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第2閾値以上である場合、その回転が連続して最大まで圧縮されるように構成される。
【0014】
-静止の相対角度位置からの、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第1方向に、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第3閾値に達した場合に、ねじり減衰装置は最大角度変位の角度位置を有する。言い換えると、伝達されたトルクが、第3閾値に等しい角度変位を生成するトルクよりも大きい場合、トルクのさらなる減衰はない。
【0015】
-第3閾値は、停止部によって取得されてもよいし、及び/又は、ばねの最大圧縮に対応してもよい。
【0016】
したがって、相対回転の第1方向で得られた減衰段階において、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が、静止の相対角度位置に関して、ゼロより大きく、第1閾値A1より小さい場合;追加ばねの各々には応力がかからず、減衰は以下によって得られる:
-ばねの各グループの第1ばね及び第2ばね、そして望まれるなら、
-第1停止部及び第2停止部がすでに支持している場合又は各グループの第2ばねが(回転が連続している)その最大まで圧縮されている場合、各グループの第1ばねのみ。
【0017】
そして、相対回転の第1方向において第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が前記第1閾値よりも大きい場合に得られる後続の減衰段階において、第1回転要素の第1作動面及び第2ベアリング面は、追加ばねが第1ばねと並列に圧縮されるように、お互いに対して支持する。
【0018】
実際には3つの可能な代替があり:
-第1閾値及び第2閾値のいずれかが実質的に等しく、減衰曲線は全体で2つのスロープを有し、第1スロープは直列の第1ばね及び第2ばねの圧縮に対応し、第2スロープは並列の各第1ばね及び各追加ばねの圧縮に対応する。この第2スロープは、第1停止部及び第2停止部による各第2ばねの非活性化及び各第1ばねと並列の各追加ばねの圧縮に同時的に対応するため、第2スロープは第1スロープよりも著しく大きい。
【0019】
-又は、第1閾値及び第2閾値が異なり、そして減衰曲線は全体で3つのスロープを有し、第1スロープは直列の各第1ばねと各第2ばねの圧縮に対応し、第3スロープは並列な各第1ばね及び各追加ばねの圧縮に対応する。そして第2スロープは次のいずれかに対応する:
-第2閾値が第1閾値よりも小さい場合にのみ、各第1ばねの圧縮;又は
-第2閾値が第1閾値よりも大きい場合には、並列に配置された第1ばねと追加ばねによって形成されたアセンブリと各々が直列になっている各第2ばねの圧縮。
【0020】
したがって、遷移スロープは、「比較的低い」剛性の第1スロープと「比較的高い」剛性の第3のスロープとの間で得られる。
【0021】
-一実施形態によれば、第1回転要素は、ねじり減衰装置のトルク入力要素(E)を形成し、第2回転要素は、ねじり減衰装置のトルク出力要素を形成する。減衰装置の要素を介してエンジンからのトルクがねじり減衰装置に入り、当該減衰装置の要素は入力要素と呼ばれる。減衰装置の要素を介してトルクがねじり減衰装置からギアボックスに出て、当該減衰装置の要素は出力要素と呼ばれる。
【0022】
-あるいは、第1回転要素はトルク出力要素(S)を形成し、第2回転要素はねじり減衰装置のトルク入力要素を形成する。
【0023】
-第1回転要素及び第2回転要素のうちの一方は、ばねの各グループの第1ばね及び第2ばねを軸方向に保持する2つのガイドワッシャーによって形成され;第1回転要素及び第2回転要素のうちの他方は、2つのガイドワッシャーの間に軸方向に配置されたウェブによって形成される。一実施形態によれば、第2回転要素は、ばねの各グループの第1ばね及び第2ばねを軸方向に保持する2つのガイドワッシャーによって形成され、第1回転要素は、2つのガイドワッシャーの間に軸方向に配置されたウェブによって形成される。変形として、第1回転要素は、ばねの各グループの第1ばね及び第2ばねを軸方向に保持する2つのガイドワッシャーによって形成されてもよく、第2回転要素は、2つのガイドワッシャーの間に軸方向に配置されたウェブによって形成されてもよい。
【0024】
-各減衰モジュールは、位相部材によって支持される少なくとも1つのペアのトランスミッションプレートを有し、トランスミッションプレートの各ペアは、軸方向にお互いに離れた第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレートを備え;各トランスミッションプレートは、第1ばねの第1端部と直接的又は間接的に相互作用する第1スラストゾーンと、第2ばねの第1端部と直接的又は間接的に相互作用する第2スラストゾーンとを含み、プレートの各ペアの前記第1スラストゾーンは軸方向にお互いに離れており、プレートの各ペアの前記第2スラストゾーンは軸方向にお互いに離れている。したがって、トルクは、第1ばね及び第2ばねの第1端部の面のサイド領域で、位相部材とばねの各グループとの間で直接的又は間接的に伝達される。したがって、プレートのスラストゾーンは、第1ばね及び第2ばねの端部の面の幾何学的中心の両側に軸方向に配置される。したがって、第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔でスラストポリゴンを定め、位相部材によるトルクの伝達の安定性を改善することが可能である。
【0025】
-プレートという用語は、ここでは平らな要素に限定されないが、特に金属で作られた、変形するのに十分な薄さの要素であり、特に型打ちされている。
【0026】
トランスミッションプレートの各ペアの第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレートは、互いに軸方向に間隔が置かれて離された第1位相ワッシャー及び第2位相ワッシャー上にそれぞれ形成される。
【0027】
減衰モジュールの追加ばねは、この減衰モジュールの第1ばねと第2ばねとの間に、少なくとも部分的に、周方向に配置されている。
【0028】
第1ばねは第1中心軸を有し、第2ばねは第2中心軸を有し、第1中心軸と第2中心軸との交点は、追加ばねにより占められる空間に位置する。
【0029】
第1ばね、第2ばね、及び追加ばねを通過する回転軸に垂直な平面がある。
【0030】
位相部材は、第1ばね及び第2ばねの半径方向に内側に配置された、少なくとも1つの半径方向に延びる環状部分を備える。
【0031】
各位相ワッシャーは、第1ばね及び第2ばねの半径方向に内側に配置された半径方向に延びる環状部分を含む。
【0032】
この環状部分を(外側ではなく)第1ばね及び第2ばねの半径方向に内側に配置することにより、この環状部分の変形がより小さくなる。さらに、慣性がより小さくなり、それにより弊害をもたらすであろう低周波数の共振周波数を回避することが可能になる。
【0033】
第1ばね及び第2ばねは、回転軸の周りの実質的に同じ半径上に配置される。言い換えれば、それらは同じ円形の経路上に直列に配置される。
【0034】
第1ばねの剛性は、第2ばねの剛性の50%~150%である。
【0035】
第1ばねは、第2ばねが占める体積の50%~150%の体積を占める。
【0036】
-2つの位相ワッシャーは、軸方向に互いに間隔を置いて、互いに固定されている。特に、2つの位相ワッシャーは、スペーサーによって互いに固定されており、各スペーサーは、位相ワッシャーの一方に圧着された第1端部と、位相ワッシャーの他方に圧着された第2端部とを有する。
【0037】
-2つの位相ワッシャーがウェブの両側に配置されている。
【0038】
-第2回転要素は、位相部材の両側に軸方向に配置された2つのガイドワッシャーを有する。
【0039】
-各減衰モジュールは、位相部材によって支えられたトランスミッションヘッドであって、減衰モジュールのばね群の第1ばねと第2ばねとの間に周方向に配置されたトランスミッションヘッドを含み、各トランスミッションヘッドは、内部に減衰モジュールの追加ばねを収容するハウジングを含み、それにより第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が相対回転の第1方向の角度変位の第1閾値以上である場合に、位相部材と第1回転要素との間に追加のトルクを伝達する。
【0040】
-各減衰モジュールについて、トランスミッションヘッドはトランスミッションプレートのペアによって形成され、第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレートはそれぞれ開口部を含み、第1トランスミッションプレートの開口部及び第2トランスミッションプレートの開口部は、対応する減衰モジュールの追加ばねを収容するように、お互いに軸方向に向かい合って配置される。
【0041】
-各トランスミッションヘッドは、関連する追加ばねを軸方向に保持するための2つの軸方向保持要素をさらに含み、追加ばね用の2つの軸方向保持要素は、追加ばねのどちらの側にも軸方向に配置される。
【0042】
-追加ばねを保持するための各軸方向保持要素は、半径方向成分を有する方向に曲げられた保持タブによって形成され、保持タブは、前記トランスミッションヘッドの第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレートのうちの1つに形成される。
【0043】
-したがって、各トランスミッションヘッドは、トランスミッションヘッドに関連する追加ばねの両側に軸方向に配置された2つの軸方向保持要素を備える。したがって、位相部材は、各追加ばねの軸方向案内も保証する。
【0044】
-各軸方向保持タブは、前記保持タブを有する第1トランスミッションプレート又は第2トランスミッションプレートの開口部のエッジから、半径方向構成要素と共に突出している。特に、保持タブは、開口部の下方半径方向エッジから突き出ている。言い換えれば、保持タブの輪郭は、保持タブの曲げの前の開口部の輪郭の一部を定める。
【0045】
-各トランスミッションプレートは、遠心力に対して前記トランスミッションプレートに関連する第1ばねを半径方向に保持するように配置された第1半径方向保持要素と、遠心力に対して前記トランスミッションプレートに関連する第2ばねを半径方向に保持するように配置された第2半径方向保持要素とを備える。
【0046】
-各トランスミッションプレートの第1半径方向保持要素及び第2半径方向保持要素は、関連する追加ばねの周方向の延長部において、関連する追加ばねの両側において周方向に、配置される。
【0047】
-第1半径方向保持要素は、第1ばねの半径方向外側で、周方向に延びる第1フィンガーである。
【0048】
-第2半径方向保持要素は、第2ばねの半径方向外側で、周方向に延びる第2フィンガーである。
【0049】
-各プレートにおいて、第1フィンガーは、第1スラストゾーンの外側半径方向端部から、周方向に突き出て延びる。
【0050】
-各プレートで、第2スラストゾーンの外側の半径方向端部から、第2フィンガーは突き出て周方向に延びる。
【0051】
-必要に応じて、各追加ばねはそのハウジングにプレストレスがかけられる。
【0052】
-各追加ばねは、関連する減衰モジュールの第1ばねと第2ばねの間に周方向に配置される。
【0053】
-各減衰モジュールの第1ばね及び第2ばねの体積はトーラス(torus)において内側に設けられており、関連する追加ばねの少なくとも一部もこのトーラスに配置されている。したがって、半径方向にコンパクトな減衰装置を提供することが可能である。
【0054】
-減衰モジュールの第1ばね及び第2ばねは、それぞれ第1の軸及び第2の軸に沿って延在し、第1の軸及び第2の軸は、実質的に回転軸Xに垂直な移植面において内側に設けられ、この減衰モジュールに関連する追加ばねは、実質的にこの移植面において内側に設けられる第3の軸に沿って延びる。したがって、軸方向にコンパクトな減衰装置を提供することが可能である。
【0055】
-各追加ばねは、軸Xに垂直な平面において、前記追加ばねに関連するモジュールの第1ばねに面する第1内側コーナーと、前記追加ばねに関連するモジュールの第2ばねに面する第2内側コーナーとを有し、第1内側コーナー及び第2内側コーナーは、この平面において、この第1ばねの第1端部の面と、位相部材と相互作用するこの第2ばねの第1端部の面との間に周方向に配置される。
【0056】
-各位相ワッシャーは環状部分を有し、各プレートは放射状アームによって位相ワッシャーの環状部分に接続されている。
【0057】
-各プレートの第1スラストゾーンは、前記プレートの第1壁によって形成され、各プレートの第2スラストゾーンは、前記プレートの第2壁によって形成される。
【0058】
-同じプレートの第1壁の傾斜と第2壁の傾斜は、第1壁と第2壁を通る軸Xに垂直な平面で、第1壁の前記平面との交線が、関連する追加ばねと回転軸Xとの間で第2壁の前記平面との交線と交差するようになっている。
【0059】
-たとえば、追加ばねの角度剛性は、第1ばねと第2ばねのうちのより硬いばねの角度剛性の少なくとも2倍を表す。例えば、第1ばねの角度剛性は10Nm/°±50%であってもよく、DR2の角度剛性は15Nm/°±50%であってもよく、追加ばねの角度剛性は30Nm/°±50%であってもよい。
【0060】
-第1回転要素は、ばねの各グループに関し、第1ばね及び第2ばねを収容することができる主開口部を含む。
【0061】
-第1回転要素は、各減衰モジュールに関し、第1回転要素に対する追加ばねの周方向の動きを可能にすることができる空洞を含み、第1作動面40は、この空洞の周方向端部の1つを形成する。
【0062】
-同じ減衰モジュールに関連付けられた主開口部と空洞は、第1回転要素の同じウィンドウに形成される。
【0063】
-第1回転要素は、第1ばねの第1端部と反対側の第1ばねの第2端部と相互作用するように配置された第1ベアリング面と、第2ばねの第1端部と反対側の第2ばねの第2端部と相互作用するように配置された第2ベアリング面とを有する。
【0064】
-第2回転要素のガイドワッシャーは、メタルシートにおいて形成され、各々は、ばねの各グループに関し、ばね群の第1ばね及び第2ばねを部分的に収容して軸方向に案内するように配置された型打ち部分を有する。
【0065】
-各ガイドワッシャーは、ばねの各グループに関し、第1ばねの第2端部と相互作用するように配置された第3ベアリング面と、第2ばねの第2端部と相互作用するように配置された第4ベアリング面とを有する。
【0066】
-第1停止部は、位相部材の外周にある。
【0067】
-位相部材の第1トランスミッションプレート及び/又は第2トランスミッションプレートは、第1停止部b1を形成するラグを有する。ラグは、第2回転要素の半径方向外側エッジを半径方向に覆うように軸方向に延びる。
【0068】
-ラグは、追加ばねの上方において半径方向に設けられる。
【0069】
-ラグに向かって湾曲したリップは、各プレートにおける開口部の半径方向外側エッジにラグを接続する。このリップは、半径方向に開口部の外側でプレートを補強する。
【0070】
-第2停止部は、第2回転要素の外周にある。
【0071】
-第2停止部は、ガイドワッシャーの少なくとも1つから半径方向外向きに延びる第1歯によって形成される。
【0072】
-各トランスミッションヘッドは第1停止部を有する。
【0073】
-ねじり減衰装置は、第1回転要素によって支えられた第3停止部であって、静止の相対角度位置からの、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第1方向における第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第3閾値に、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が達した場合に、第2回転要素によって支えられる第4停止部と相互作用するように配置された第3停止部を備える。
【0074】
-第3停止部は、第1回転要素の外周にある。
【0075】
-第3停止部は、ウェブの外側半径方向周縁に形成されたフックによって形成され、フックは実質的に軸方向に延びるエンドゾーンを有し、このエンドゾーンは、ガイドワッシャー9a、9bのうちの1つの外側半径方向エッジの半径方向に外側で、周方向に移動することができる。
【0076】
-第3停止部は、第1回転要素における2つの主開口部間に周方向に配置される。
【0077】
-第4停止部は、第2回転要素の外周にある。
【0078】
-第4停止部は、ガイドワッシャーの少なくとも1つから半径方向外側に延びる第2歯によって形成される。
【0079】
-減衰デバイスは2つの減衰モジュールを有する。
【0080】
-ねじり減衰装置は、速度又はトルクの提出がない第1回転要素と第2回転要素によりとられる静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向とは反対である、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第2方向において、以下のように構成される:
-第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第4閾値未満である場合、各追加ばねは第1回転要素から距離を置いており、
-各追加ばねは、第1回転要素と第2回転要素の間の角度変位が第4角度変位閾値以上である場合に、第1回転要素を直接的又は間接的に支え、それによって追加トルクが、位相部材と第1回転要素の間で各追加ばねによって伝達されることができるようになる。
【0081】
-対照的に、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第4角度変位閾値よりも小さい場合、追加ばねは位相部材と第1回転要素との間で追加のトルクを伝達しない。
【0082】
-相対回転の第2方向において、第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第4角度変位閾値以上である場合、第1ベアリング面は、第1回転要素の第2作動面に対して直接的又は間接的に支持するようになることができ、各追加ばねの第2ベアリング面は、位相部材に対して直接的又は間接的に支持するように配置される。
【0083】
-各追加ばねの第2ベアリング面は、前記追加ばねに関連する第2トランスミッションプレート及び第1トランスミッションプレートにおいて開口部の第1周縁エッジとは反対の第2周縁エッジに対して直接的又は間接的に支持するように配置される。
【0084】
-ねじり減衰装置は、静止の相対角度位置から、相対回転の第2方向に第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第5閾値以上である場合に、第2ばねが圧縮されなくなるように配置される。したがって、第2ばねの非アクティブ化は、相対回転のこの第2方向において、第5の所定の角度変位閾値を超えて減衰装置の剛性を増加させることを可能にする。
【0085】
-相対回転の第2方向の第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第5変位閾値に達した際に、第5停止部が位相部材によって支えられ、第2回転要素によって支えられる第6停止部と相互作用するように配置される。したがって、第5停止部を第6停止部と接触させることにより、位相部材の第5停止部と第2回転要素の第6停止部との間で直接的にトルクを伝達することによって第2ばねの圧縮を停止して、それにより減衰装置の剛性を増大させることを可能にする。
【0086】
-第5停止部は、第1停止部を形成するラグにも形成される。
【0087】
-第1停止部と第5停止部は、ラグの周方向に反対側の2つのエッジに形成される。
【0088】
-第6停止部は、第4停止部も形成する第2歯に形成される。
【0089】
-第4停止部と第6停止部は、第2歯の周方向に反対側の2つのエッジに形成される。
【0090】
-ねじり減衰装置は、静止の相対角度位置から、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第2方向に第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第6閾値に達する場合に、最大角度変位の角度位置を有する。言い換えると、第6閾値に等しい角度変位を生成するトルクよりも大きいトルクに関してトルクのさらなる減衰はない。
【0091】
-第6閾値は、停止部によって得られてもよいし、及び/又は、ばねの最大圧縮に対応してもよい。
【0092】
-追加ばねは、一方では第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレートの開口部の第1周縁エッジにぴったりフィットするように設けられるか相互間にクランプされて固定され、他方ではそれらの第2周縁エッジにぴったりフィットするように設けられるか相互間にクランプされて固定される。各追加ばねは、そのハウジングにおいてプレストレスをかけられてもよい。
【0093】
-先行する請求項によるねじり減衰装置は、それにおいて、静止の相対角度位置から、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第2方向において第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第6閾値に達する場合に、第2回転要素によって支えられる第8停止部と相互作用するように配置され且つ第1回転要素によって支えられる第7停止部を減衰装置は備える。
【0094】
-第7停止部は、第3停止部も形成するフックに形成される。
【0095】
-第7停止部と第3停止部は、フックの周方向に反対側の2つのエッジに形成される。
【0096】
-第8停止部は、第2停止部も形成する第1歯に形成される。
【0097】
-各追加ばねの第2ベアリング面は、前記追加ばねに関連する第2トランスミッションプレート及び第1トランスミッションプレートの開口部の第2周縁エッジに対して直接的又は間接的に支持するように配置される。
【0098】
-第1ベアリングシートは、一方では、各減衰モジュールの第1回転要素と第1ばねとの間に介在し、他方では、各減衰モジュールの第1ばねと第2回転要素との間に介在する。
【0099】
-第2ベアリングシートは、一方では、各減衰モジュールの第2ばねと第1回転要素との間に介在し、他方では、各減衰モジュールの第2ばねと第2回転要素との間に介在する。
【0100】
-第1ベアリング面は、第1シートから突き出たピボットを収容するように配置された第1ノッチを有する。
【0101】
-第2ベアリング面は、第2シートから突き出たピボットを収容するように配置された第2ノッチを有する。
【0102】
-第3ベアリング面は、第1シートから突き出たピボットを収容するように配置された第3ノッチを有する。
【0103】
-第4ベアリング面は、第2シートから突き出たピボットを収容するように配置された第4ノッチを有する。
【0104】
-第3ベアリングシートは、各減衰モジュールの第1ばねと位相部材との間に介在する。
【0105】
-第4ベアリングシートは、各減衰モジュールの第2ばねと位相部材との間に介在する。
【0106】
-第3シートは、第1ばねの第1端部と相互作用するフロントベアリング面を有する。
【0107】
-第4シートは、第2ばねの第1端部と相互作用するフロントベアリング面を有する。
【0108】
-一実施形態によれば、静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向に第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間角度変位の第2閾値以上である場合に、第2ベアリングシート及び第4ベアリングシートは互いに接触するように配置される。言い換えれば、第1停止部は第4ベアリングシートに形成され、第2停止部は第2ベアリングシートに形成される。
【0109】
-各ベアリングシートは、遠心力に対し、それが支持するばねを半径方向に保持するように配置されたカバーを有する。
【0110】
-第1停止部は、第4ベアリングシートのカバーの端部に形成され、第2停止部は、第2ベアリングシートのカバーの端部に形成される。
【0111】
-一実施形態によれば、各トランスミッションヘッドの2つの軸方向保持要素はアイカップによって形成され;対応するトランスミッションモジュールに関連する第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレートは各々がアイカップを備える。
【0112】
-アイカップを形成することを目的としたプレートの部分の周方向に両側に、各プレートに2つの切れ目が作られる。
【0113】
-必要に応じて、アイカップの周縁エッジの少なくとも1つが、減衰装置の第1停止部を形成する。したがって、静止の相対角度位置からの、第2回転要素に対する第1回転要素の相対回転の第1方向において第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位が第1回転要素と第2回転要素との間の角度変位の第2閾値以上である場合に、アイカップは、第2停止部を形成する第2回転要素の歯に対して支持するように配置される。
【0114】
-アイカップの他の周縁エッジは、減衰装置の第5停止部を形成する。
【0115】
-位相部材は、第1ばね及び第2ばねを軸方向に案内するための手段を備える。
【0116】
-例えば、各トランスミッションプレートは、第1ばねの第1端部の内側に配置された第1センタリング部材と、第2ばねの第1端部の内側に配置された第2センタリング部材とを備える。
【0117】
-これにより、第1ばねと第2ばねを軸方向にガイドすることができる。
【0118】
-各センタリング部材は、プレートのシートメタルに形成され且つC字型に湾曲した舌部である。
【0119】
-第1トランスミッションプレートの第1センタリング部材を形成する舌部と第2トランスミッションプレートの第1センタリング部材を形成する舌部は、軸方向にお互いに向かい合って配置され、第1ばねをセンタリングするためのセンタリングチューブを形成する。
【0120】
-第1トランスミッションプレートの第2センタリング部材を形成する舌部と第2トランスミッションプレートの第2センタリング部材を形成する舌部は、軸方向にお互いに向かい合って配置され、第2ばねをセンタリングするためのセンタリングチューブを形成する。
【0121】
-第1回転要素及び第2回転要素の一方は摩擦ディスクに回転可能につながれ、第1回転要素及び第2回転要素の他方はギアボックス入力シャフトを回転することができるハブに回転可能につながれる。
【0122】
-第1回転要素は摩擦ディスクに回転可能につながれ、第2回転要素はギアボックス入力シャフトを回転することができるハブに回転可能につながれる。
【0123】
-減衰装置は、ばねのエネルギーを放散すること及び振動現象を回避することを目的とした摩擦装置Fも含む。好ましくは、摩擦装置は、逆伝達方向にのみ摩擦するように配置されている。
【0124】
-発明はまた、先行する請求項のうちの1つによる摩擦ディスク及び減衰装置を含むトルクリミッタを含むトランスミッションシステムに関し、摩擦ディスクは、減衰装置の第1回転要素及び第2回転要素のうちの1つと回転して一体的に取り付けられる。
【0125】
-追加ばねは、摩擦ディスクの半径方向に内側に配置される。
【0126】
別の解決策によると:
-第3ベアリングシートは、位相部材において旋回するように取り付けられる。
【0127】
-第4ベアリングシートは、位相部材において旋回するように取り付けられる。
【0128】
-第3シートと第4シートは、同じ旋回ピンを中心に旋回するように取り付けられる。したがって、第3シート及び第4シートの傾斜は、減衰装置によって伝達されるトルクに応じて及び遠心力に応じて変化することができる。したがって、シートの旋回は、第1ばね及び第2ばねでの摩擦を制限することを可能にする。
【0129】
-第3ベアリングシート及び/又は第4ベアリングシート180は、2つの位相ワッシャーを接続するためのスペーサーの周りを旋回するように取り付けられ、スペーサー116は、シートの旋回ピンを形成する;
-第3シートと第4シートは、各々、それらの穴も重なるように軸方向にオーバーラップする穴の開いた接続タブを有し、旋回ピンは第3シートの接続タブの穴及び第4シートの接続タブの穴の両方に挿入される。
【0130】
-第3シートは、追加ばねと相互作用する背部ベアリング面を有する。このベアリング面は、第3シートのノッチに形成される。
【0131】
-第3シートは、第1ばねと追加ばねとの間に周方向に介在する。
【0132】
-第4シートは、追加ばねと相互作用する背部ベアリング面を有する。このベアリング面は、第4シートのノッチに形成される。
【0133】
-第4シートは、第2ばねと追加ばねとの間に周方向に介在する。
【0134】
-追加ばねは、その第1ベアリング面を介して第3シートと、その第2ベアリング面を介して第4シートとの間に、クランプされて固定される。したがって、追加ばねが圧縮される場合、シートにおけるばねのベアリングポイントが角度的に互いに近づくように移動する。したがって、剛性の更なる増大を得ることが可能である。
【0135】
-第3シートは、第1トランスミッションプレートの凹部に配置された第1ペグを有し、凹部の端部は第1ペグの動きを制限でき、それによって第3シートの旋回を制限する。
【0136】
-第3シートは、第2トランスミッションプレートの凹部に配置されている第2ペグを有し、凹部の端部は第2ペグの動きを制限でき、それによって第3シートの旋回を制限する。
【0137】
-第4シートは、第1トランスミッションプレートの凹部に配置された第1ペグを有し、凹部の端部は、第1ペグの動きを制限することができ、したがって第4シートの旋回を制限する。
【0138】
-第3シートは、第2トランスミッションプレートの凹部に配置されている第2ペグを有し、凹部の端部は第2ペグの動きを制限でき、それによって第4シートの旋回を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0139】
次に、発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照して説明され、それにおいて:
【
図1】
図1及び
図2は、発明の動作原理を図示するブロック図である。
【
図2】
図1及び
図2は、発明の動作原理を図示するブロック図である。
【
図5】
図5は、第2回転要素のガイドワッシャーが示されていない第1実施形態の斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の3つの変形実施形態に対応する3つの特徴的な減衰曲線を示すグラフである。
【
図9】
図9及び
図10は、角度変位の2つの区別できる段階を有する第2実施形態の詳細斜視図である。
【
図10】
図9及び
図10は、角度変位の2つの区別できる段階を有する第2実施形態の詳細斜視図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態による位相部材の斜視図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態による減衰装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0140】
図1と
図2は、車両トランスミッションチェーン用のねじり減衰装置を示す2つのブロック図を示し、当該ねじり減衰装置は、以下を備える:
-トルクを伝達するための第1回転要素7;
-トルクを伝達するための第2回転要素9;
-第1回転要素7と第2回転要素9との間に配置されたメインダンパーAを含む減衰モジュールであって、各メインダンパーAが第1ばね13-1及び第2ばね13-2を含むばねのグループを含み、第1ばね13-1及び第2ばね13-2が位相部材15によって直列に配置され、第1ばね13-1及び第2ばね13-2がそれぞれ第1回転要素7と位相部材15との間及び位相部材15と第2回転要素9との間に配置され、第1ばね13-1及び第2ばね13-2がそれらが変形する際に第1回転要素7と第2回転要素9との間の回転軸Xの周りにおける相対回転を許容する、減衰モジュール。
【0141】
減衰モジュールは、位相部材15によって支えられる追加ばね25を含み、ねじり減衰装置は、第1回転要素7及び第2回転要素9によってとられる速度又はトルクの提出がない静止の相対角度位置から、第2回転要素9に対する第1回転要素7の相対回転の第1方向において、以下のように構成される:
-第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位が、第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位の第1閾値A1よりも小さい場合、位相部材15と第1回転要素との間で追加ばね25によって追加のトルクが伝達されないように、追加ばね25は第1回転要素7から距離が置かれ、
-第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位が第1角度変位閾値A1以上である場合、位相部材15と第1回転要素7との間で追加ばね25によって追加のトルクが伝達されるように、追加ばねは第1回転要素7に対して直接的又は間接的に支持する。
【0142】
静止の相対角度位置から、第2回転要素9に対する第1回転要素7の相対回転の第1方向において第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位が第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位の第2閾値A2以上である場合に、各第2ばね13-2が圧縮されなくなるように、ねじり減衰装置は配置されている。
【0143】
この目的のために、図式的に示されるねじり減衰装置は第1停止部b1を備え、当該第1停止部b1は、位相部材15によって支えられ、静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向において第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位が第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位の第2閾値A2以上の場合に、第2回転要素9によって支えられる第2停止部b2と相互作用するように配置される。
【0144】
ねじり減衰装置はまた、静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向において第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位が第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位の第3閾値A3に達する場合に、最大角度変位の角度位置を有する。言い換えると、伝達されたトルクが、第3閾値A3に等しい角度変位を生成するトルクよりも大きい場合、トルクのさらなる減衰はない。
【0145】
この目的のために、図式的に示されるねじり減衰装置は第3停止部b3を備え、当該第3停止部b3は、第1回転要素7によって支えられ、静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向において第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位が第1回転要素7と第2回転要素9との間の角度変位の第3閾値A3に達する場合に、第2回転要素9によって支えられる第4停止部b4と相互作用するように配置される。
【0146】
図1において、減衰装置のトルク入力要素は、第1回転要素7であり、減衰装置のトルク出力要素は、第2回転要素9である。
【0147】
図2において、減衰装置のトルク入力要素は、第2回転要素9であり、減衰装置のトルク出力要素は、第1回転要素7である。
【0148】
図1及び2において見られるように、第1回転要素7と位相部材15との間の角度変位が閾値A1’に達する場合、第1角度変位閾値A1が達せられ、位相部材15と第2回転要素との間の角度変位が閾値A2’に達する場合、第2角度変位閾値A2が達せられる。
【0149】
説明及び特許請求の範囲において、「外側」及び「内側」という用語は、説明に与えられた定義に従って、減衰装置の要素を示すように、「軸方向」及び「半径方向」の向きとともに使用される。回転軸Xは、「軸方向」の向きを決める。「半径方向」の向きは、軸Xに直交するように方向づけられている。「周方向」の向きは、回転軸Xに直交し且つ半径方向に直交するように方向づけられる。「外側」及び「内側」という用語は、回転軸Xに関して、ある構成要素の別の構成要素に対する相対位置を定めるために使用され、したがって、半径方向に周辺において位置する外側要素とは反対のものとして、前記軸に近い構成要素は内側のものとして説明される。さらに、表現される角度及び角度セクターは、回転軸Xに関連して定められる。
【0150】
図3~
図7は、
図1に概略的に示されているようなねじり減衰装置の第1実施形態を示している。
【0151】
このねじり減衰装置は、通常の動作において軸Xを中心に回転することによりトルクを伝達すること及びこのトルクをある値に制限することを目的としたトルクリミッタの摩擦ディスク2に、結合されている。摩擦ディスク2は支持ディスクを有し、当該支持ディスクの両側に2つの摩擦ライニング3が第1セットのリベット4によって取り付けられている。
【0152】
摩擦ディスク2は、第2セットのリベット6によって、第1回転トルク伝達要素に固定され、当該第1回転トルク伝達要素は、このケースでは「ウェブ」7として言及されるディスクにより構成される。
【0153】
トランスミッションシステムにおいて、
図6及び
図7に示されるように、減衰装置に結合された摩擦ディスク2はトルクリミッタの一部を形成し、摩擦ディスクのライニング3は、フライホイールにしっかりと固定されて取り付けられたベアリングディスク88に対し、ベルビルワッシャー(Belleville washer)87などのばねにより弾性的に負荷された圧力ディスク86によって、押される。
【0154】
ハブ5は、第3セットのリベット8によって第2回転トルク伝達要素に固定され、当該第2回転トルク伝達要素は、このケースでは「ガイドワッシャー」9a、9bとして言及されるディスクペアによって構成される。第1ガイドワッシャー9aはハブ5の一方の側に対して固定され、第2ガイドワッシャー9bはハブ5の反対側に対して固定される。2つのガイドワッシャー9a及び9bは、ばねの各グループの第1ばね及び第2ばねを軸方向に保持し、ウェブ7は、2つのガイドワッシャー9a及び9bの間に軸方向に配置される。
【0155】
ハブ5は、トランスミッションシャフトの外側スプラインと相互作用することができる内側スプラインを有する。
【0156】
ウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間に介在する2つのねじり減衰モジュールM1及びM2は、2つの減衰モジュールM1及びM2を圧縮することによって一方ではウェブ7が及び他方ではガイドワッシャー9、10が互いに対して回転することができるようになっている。
【0157】
動作中、フライホイールは摩擦ディスク2を回転させ、したがってそれにしっかりと固定されているウェブ7を回転させる。ウェブ7は減衰モジュールを圧縮し、当該減衰モジュールは、トルクを、ガイドワッシャー9a、9bに伝達し、したがってそれらにしっかりと固定されているハブ5に伝達する。ウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間でトルクを伝達することにより、減衰モジュールは、アサイクリズム及び他の望ましくないねじれ運動を除去する。
【0158】
各減衰モジュールにおいて、追加ばね25は、以下を含むらせんばねである:
-位相部材25に対して直接的又は間接的に支持するように配置された第1ベアリング面25a、及び
-相対回転の第1方向において、ウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位が第1角度変位閾値A1以上である場合に、ウェブ7の第1作動面40を直接的又は間接的に支持することができる第2ベアリング面25b。
【0159】
各減衰モジュールは、位相部材15によって支えられたトランスミッションプレート17a及び17bのペアを有し、トランスミッションプレートの各ペアは、互いに軸方向に離間された第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bを備える。
【0160】
各トランスミッションプレートは、第1ばね13-1の第1端部13-11と直接的又は間接的に相互作用する第1スラストゾーンP1と、第2ばね13-2の第1端部13-21と直接的又は間接的に相互作用する第2スラストゾーンP2とを備え、プレートの各ペアの前記第1スラストゾーンは、互いに軸方向に離間されており、プレートの各ペアの前記第2スラストゾーンは、互いに軸方向に離間されている。したがって、トルクは、第1ばね及び第2ばね13-1及び13-2の第1端部の面のサイド領域において、位相部材とばねの各グループとの間で直接的又は間接的に伝達される。したがって、プレートのスラストゾーンは、第1ばね及び第2ばね13-1及び13-2の第1端部の面の幾何学的中心の両側に軸方向に配置される。したがって、第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔に応じてばねのスラストポリゴンを変化させることが、特に拡大することが可能であり、このようにして、位相部材によるトルクの伝達の安定性を改善することが可能である。
【0161】
トランスミッションプレートの各ペアの第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bは、それぞれ、互いに軸方向に間隔を置いて配置された第1位相ワッシャー15a及び第2位相ワッシャー15b上に形成される。2つの位相ワッシャー15a及び15bは、スペーサー16によって互いに固定されており、各スペーサー16は、一方の位相ワッシャーに圧着される第1端部と、他方の位相ワッシャーに圧着される第2端部とを有する。
【0162】
2つの位相ワッシャー15a及び15bは、ウェブ7の両側に配置され、2つのガイドワッシャー9a及び9bは、2つの位相ワッシャー15a及び15bの両側において軸方向に配置される。
【0163】
各減衰モジュールM1、M2は、減衰モジュールのばね群の第1ばね13-1と第2ばね13-2との間に直接的又は間接的に介在するトランスミッションヘッド17を備える。各トランスミッションヘッド17はハウジングLを備え、当該ハウジングLの内部に減衰モジュールの追加ばね25が収容される。
【0164】
トランスミッションプレート17a、17bの各ペアは、位相部材15のトランスミッションヘッド17を形成し、トランスミッションプレートの各ペアの第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bは、各々、開口部47a、47bを備え、第1トランスミッションプレート17aの開口部47a及び第2トランスミッションプレート17bの開口部47bは、対応する減衰モジュールM1、M2の追加ばね25を収容するように、お互いに軸方向に向かい合うように配置される。
【0165】
各追加ばね25の第1ベアリング面25aは、第1トランスミッションプレート17aの開口部47の第1周縁エッジ47a1及び第2トランスミッションプレート17bの開口部47bの第1周縁エッジ47b1に対して直接的又は間接的に支持するように配置される。
【0166】
各トランスミッションヘッド17は、追加ばね25を軸方向に保持するために、トランスミッションヘッドに関連する追加ばね25の両側に軸方向に配置された2つの軸方向保持要素18a、18bをさらに備える。
【0167】
追加ばねを保持するための各軸方向保持要素18a、18bは、半径方向成分を有する方向に曲げられた保持タブ18a、18bによって形成され、保持タブ18a、18bは、前記トランスミッションヘッドの第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bのうちの1つに形成される。したがって、位相部材15はまた、各追加ばね25の軸方向の案内を確実にする。
【0168】
各軸方向保持タブ18a、18bは、前記保持タブ18a、18bを有する第1トランスミッションプレート17a又は第2トランスミッションプレート17bの開口部47a、47bの下方半径方向エッジから半径方向成分と共に突出している。言い換えれば、保持タブ18a、18bの輪郭は、保持タブ18a、18bの曲げに先立つ開口部47a、47bの輪郭の部分を定める。
【0169】
各トランスミッションプレート17a、17bは、遠心力に対して関連する第1ばね13-1を半径方向に保持するように配置された第1半径方向保持要素19a、19bと、遠心力に対して関連する第2ばね13-2を半径方向に保持するように配置された第2半径方向保持要素20a、20bと、を備える。
【0170】
特に、各トランスミッションプレートの第1半径方向保持要素19a、19b及び第2半径方向保持要素20a、20bは、周方向に関連する追加ばね25の両側に、関連する追加ばね25の周方向延長部に配置される。
【0171】
各第1半径方向保持要素19a、19bは、第1ばね13-1の半径方向外側に、周方向に延びる第1フィンガーによって形成される。各第2半径方向保持要素20a、20bは、第2ばね13-2の半径方向外側に、周方向に延びる第2フィンガーによって形成される。
【0172】
各プレート17a、17b上で、第1フィンガー19a、19bは、第1スラストゾーンP1の外側半径方向端部から、突出して周方向に延びる。各プレート上で、第2フィンガー20a、20bは、第2スラストゾーンP2の外側半径方向端部から、第1フィンガーと反対の方向に突出して周方向に延びる。
【0173】
一実施形態によれば、各追加ばね25は、関連する減衰モジュールの第2ばねと第1ばねとの間に周方向に配置される。各減衰モジュールM1、M2の第1ばね及び第2ばね13-1及び13-2の体積はトーラスにおいて内側に設けられており、関連する追加ばね25の少なくとも一部もこのトーラスに配置されている。したがって、半径方向にコンパクトな減衰装置を提供することが可能である。
【0174】
減衰モジュールM1の第1ばね13-1及び第2ばね13-2はそれぞれ第1の軸及び第2の軸に沿って延在し、第1の軸及び第2の軸は、実質的に回転軸Xに垂直な移植面において内側に設けられており、減衰モジュールM1の追加ばね25は第3の軸に沿って延び、当該第3の軸も実質的にこの移植面において内側に設けられている。したがって、軸方向にコンパクトな減衰装置を提供することが可能である。第2の減衰モジュールM2のばねの軸は、実質的に同じ移植面において内側に設けられている。
【0175】
各追加ばね25は、軸Xに垂直な平面において、前記追加ばねに関連するモジュールの第1ばねに面する第1内側コーナー253と、前記追加ばねに関連する減衰モジュールの第2ばねに面する第2内側コーナー252とを有し、第1内側コーナー及び第2内側コーナーは、この平面において、位相部材15と相互作用する第1ばね13-1の第1端部13-11及び第2ばね13-2の第1端部13-21の間に周方向に配置される。
【0176】
図3及び
図5において見られるように、各位相ワッシャー15a、15bは環状部分を有し、各プレート17a、17bは、半径方向アームによって位相ワッシャー15a、15bの環状部分に接続されている。
【0177】
各プレートの第1スラストゾーンは、前記プレートの第1壁P1によって形成され、各プレートの第2スラストゾーンは、前記プレートの第2壁P2によって形成される。これらの壁は、第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bの縁部分に対応する。同じプレートの第1壁P1の傾斜及び第2壁P2の傾斜は、第1壁P1及び第2壁P2を通る軸Xに垂直な平面において、関連する追加ばね25と回転軸Xとの間で第1壁P1の前記平面と交わる線が第2壁P2の前記平面と交わる線と交差するようになっている。
【0178】
ウェブ7は、ばねの各グループに関し、第1ばね13-1及び第2ばね13-2の両方を収容することができる主開口部71を備える。さらに、ウェブ7は、各減衰モジュールM1、M2に関し、ウェブ7に対する追加ばね25の周方向の動きを許容することができる空洞72を備える。第1作動面40は、この空洞72の周方向端部のうちの1つを形成する。この場合、同じ減衰モジュールM1、M2に関連する主開口部71及び空洞72は、ウェブ7の同じ窓に形成される。
【0179】
ウェブ7は、第1ばね13-1の第1端部13-11とは反対の第1ばね13-1の第2端部13-12と相互作用するように配置された第1ベアリング面74と、第2ばね13-2の第1端部13-21の反対の第2ばね13-2の第2端部13-22と相互作用するように配置された第2ベアリング面73と、を有する。
【0180】
ガイドワッシャー9a、9bはメタルシートで形成され、それぞれ、ばねの各グループに関し、ばねのグループの第1ばね13-1及び第2ばね13-2を部分的に収容して軸方向に案内するように配置された型打ち部分91a、91bを有する。
【0181】
各ガイドワッシャー9a、9bは、ばねの各グループについて、第1ばね13-1の第2端部13-12と相互作用するように配置された第3ベアリング面94と、第2ばね13-2の第2端部13-22と相互作用するように配置された第4ベアリング面93とを有する。
【0182】
各ガイドワッシャー9a、9bは、ばねのグループごとに、以下を有する:
-型打ち部分と第3ベアリング面94との間に配置され、第1ばね13-1の第2端部13-12の一部が通過することを許容する第1スロット
-型打ち部分と第4ベアリング面93との間に配置され、第2ばね13-2の第2端部13-22の一部が通過することを許容する第2スロット。
【0183】
図5において見られるように、第1ばね13-1及び第2ばね13-2は、回転軸の周りで実質的に同じ半径上に配置されている。言い換えれば、それらは同じ円形の経路上に直列に配置される。
【0184】
減衰モジュールの追加ばね25は、この減衰モジュールの第1ばね13-1と第2ばね13-2との間に、少なくとも部分的に、周方向に配置されている。第1ばね13-1は第1中心軸を有し、第2ばね13-2は第2中心軸を有し、第1中心軸と第2中心軸との交差点は、追加ばね25が占める空間に位置する。
【0185】
さらに、第1ばね13-1、第2ばね13-2、及び追加ばね25を通過する回転軸に垂直な平面が存在する。
【0186】
また、位相部材は、第1ばね13-1及び第2ばね13-2の半径方向に内側に配置された2つの半径方向に延びる環状部分を含むことが分かる。各位相ワッシャーは、第1ばね13-1及び第2ばね13-2の半径方向に内側に配置された半径方向に延びる環状部分を含む。
【0187】
この第1実施形態において、第1角度変位閾値A1は約40度であり、第2角度変位閾値A2に実質的に等しい。各減衰モジュールの追加ばね25の角度剛性は、第1ばね13-1の角度剛性よりも大きく、第2ばね13-2の角度剛性よりも大きい。このケースにおいて、各第1ばね13-1の剛性は約10Nm/°であり、各第2ばね13-2の剛性は約15Nm/°であり、各追加ばねの剛性は約30Nm/°である。
【0188】
減衰曲線の例が
図8に示される。これらのグラフは、変位が第3角度変位閾値に達する前の変形実施形態を示している。これらの変形例では、第1回転要素と第2回転要素との間に停止部はない。グラフ1は、第1閾値A1が第2閾値A2に等しい変形を示す。グラフ2及びグラフ3は、他の2つの変形の減衰を示す。
【0189】
グラフ2:第2閾値A2が第1閾値A1より大きい
グラフ3:第2閾値A2が第1閾値A1よりも小さい
したがって、グラフ2及び3では、停止部の角度閾値を調整することにより、遷移減衰スロープを取得できることがわかる。
【0190】
図3~
図7に示される第1実施形態において、第1停止部b1は、各トランスミッションヘッド上の、位相部材15の外周に作られる。位相部材15の第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bは各々、第1停止部b1を形成するラグ41を有する。ラグ41は、各々がガイドワッシャー9a、9bの半径方向外側エッジを半径方向に覆うように、軸方向に延びる。各ラグ41は、追加ばね25の上方において半径方向に設けられている。
【0191】
各トランスミッションプレート17a、17bにおいて、ラグ41に向かって湾曲したリップ159は、ラグ41を、トランスミッションプレート17a、17bの開口部47a、47bの半径方向外側エッジに接続する。このリップ159は、プレートを開口部の外側で半径方向に強化する。
【0192】
第2停止部b2は、2つのガイドワッシャー9a、9bの外周に作られる。第2停止部b2は、ガイドワッシャー9a、9bから半径方向外向きに延びる第1歯42によって形成される。
【0193】
ねじり減衰装置はまた、ウェブ7によって支えられる第3停止部b3であって、静止の相対回転角度位置から、相対回転の第1方向においてウェブ7と第2ガイドワッシャー9bとの間の角度変位が角度変位の第3閾値A3に達した場合に、第2ガイドワッシャー9bによって支えられる第4停止部b4と相互作用するように配置された第3停止部b3を備える。第3停止部b3は、ウェブ7の外周に作られる。第3停止部b3は2つのフック43によって形成され、当該2つのフック43は各々が実質的に軸方向に延びる端部ゾーンを有し、この端部ゾーンは、第2ガイドワッシャー9bの外側半径方向エッジの半径方向外側に、周方向に移動することができる。
【0194】
第3停止部b3は、ウェブ7の2つの主開口71間に周方向に作られる。
【0195】
第4停止部b4は、第2ガイドワッシャー9bの外周に作られる。第4停止部b4は、第2ガイドワッシャー9bから半径方向外向きに延びる2つの第2歯44によって形成される。
【0196】
上記の動作原理は、ダイレクトと呼ばれる伝達方向に、つまりエンジンから車両ギアボックスへと続くトルク経路に関し、又はトルク入力要素から減衰装置のトルク出力要素へと続くトルク経路に関し、同様にうまく機能し、リバースと呼ばれる伝達方向に、つまりギアボックスから車両エンジンへと続くトルク経路に関し、又はトルク出力要素から減衰装置のトルク入力要素へと続くトルク経路に関し、同様にうまく機能する。
【0197】
したがって、ウェブ7及び第2回転要素9によってとられる速度又はトルクの提出がない静止の相対角度位置から、相対回転の第1方向とは反対のガイドワッシャー9a、9bに対するウェブ7の相対回転の第2方向において、ウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位がウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位の第4閾値A4よりも小さい場合、各追加ばね25がウェブ7から距離がおかれるように、ねじり減衰装置は構成される。したがって、ウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位が第4角度変位閾値A4よりも小さい場合、追加ばね25は、位相部材15とウェブ7との間でトルクを伝達しない。
【0198】
ウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位が第4角度変位閾値A4以上である場合、位相部材15とウェブ7との間で各追加ばね25によって追加のトルクが伝達されることできるように、各追加ばね25はウェブ7に対して直接的又は間接的に支持する。
【0199】
ねじり減衰装置は、静止の相対角度位置から、相対回転の第2方向においてウェブ7と第2回転要素9との間の角度変位がウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位の第5閾値A5以上である場合に、第2ばね13-2が圧縮されなくなるように配置される。したがって、第2ばね13-2の非アクティブ化は、相対回転のこの第2方向において、角度変位の第5の所定の閾値A5を超えて減衰装置の剛性を増加させることを可能にする。
【0200】
相対回転の第2方向の角度変位が第5変位閾値A5に達する場合に、位相部材15によって支えられる第5停止部b5は、ガイドワッシャー9a、9bによって支えられる第6停止部b6と相互作用するように配置される。
【0201】
第5停止部b5も、第1停止部b1を形成するラグ41に形成される。第1停止部b1及び第5停止部b5は、ラグ41の周方向に反対側の2つのエッジに形成される。
【0202】
第6停止部b6は、第4停止部b4も形成する第2歯44に形成される。第4停止部b4及び第6停止部b6は、第2歯44の周方向に反対側の2つのエッジに形成される。
【0203】
したがって、第5停止部b5を第6停止部b6に接触させることは、位相部材15の第5停止部b5とガイドワッシャー9a、9bの第6停止部b6との間で直接的にトルクを伝達してそれにより減衰装置の剛性を高めるようにすることにより、第2ばね13-2の圧縮を停止することを可能にする。
【0204】
静止の相対角度位置から、回転の第2方向へのウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位がウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位の第6閾値A6に達する場合、ねじり減衰装置は最大角度変位の角度位置を有する。言い換えれば、第6閾値A6に等しい角度変位を生成するトルクよりも大きいトルクに関して、トルクのさらなる減衰はない。
【0205】
第6閾値A6は、停止部によって得られてもよく、及び/又は、ばねの最大圧縮に対応していてもよい。
【0206】
ねじり減衰装置は、ウェブ7によって支えられる第7停止部b7であって、静止の相対角度位置から、回転の第2方向においてウェブ7と第2回転要素9との間の角度変位がウェブ7とガイドワッシャー9a、9bとの間の角度変位の第6閾値A6に達した場合に、第2ガイドワッシャー9bによって支えられる第8停止部b8と相互作用するように配置された第7停止部b7を、備える。
【0207】
第7停止部b7は、第3停止部b3も形成するフック43に形成される。
【0208】
第7停止部b7及び第3停止部b3は、フック43の周方向に反対側の2つのエッジに形成される。
【0209】
第8停止部b8は、第2停止部b2も形成する第1歯42に形成される。
【0210】
各追加ばね25の第2ベアリング面25bは、前記追加ばね25に関連する第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bの開口部47a及び47bの第1周縁エッジ47a2、47b2に対して直接的又は間接的に支持するように配置される。
【0211】
相対回転の第2方向においてウェブ7とガイドワッシャー9a及び9bとの間の角度変位が角度変位の第4閾値A4以上である場合、第1ベアリング面25aは、ウェブ7の第2の作動面48に対して直接的又は間接的に支持することができる。
【0212】
各追加ばね25の第1ベアリング面25aは、前記追加ばね25と関連する第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bにおいて開口部47a、47bの第1周縁エッジ47a2、47b2とは反対の第2周縁エッジ47a1、47b1に対して直接的又は間接的に支持するようにも配置される。
【0213】
必要に応じて、追加ばね25が、一方では第1トランスミッションプレート及び第2トランスミッションプレート17a及び17bの開口部の第1周縁エッジ47a2、47b2に対し、他方ではそれらの第2周縁エッジ47a1、47b2に対し、ぴったりとフィットして取り付けられ又はクランプされて固定される。各追加ばね25はまた、そのハウジングLにおいてプレストレスをかけられてもよい。
【0214】
減衰装置1はまた、ばねのエネルギーを放散すること及び振動現象を回避することを目的とした摩擦装置Fを含む。このケースにおいて、摩擦装置Fは、リバーストランスミッションの方向にのみこするように配置される。この摩擦装置の特性に関しては、出願番号1758778を有するフランスの特許出願が参照されてもよい。別の従来の摩擦装置も考えられる。
【0215】
-各減衰モジュールM1、M2において、第1ベアリングシート77は、一方ではウェブ7と第1ばね13-1との間に、他方では各減衰モジュールの第1ばね13-1とガイドワッシャー9a、9bとの間に、介在する。同様に、第2ベアリングシート78は、一方ではウェブ7と第2ばね13-2との間に、他方ではガイドワッシャー9a、9bと第2ばね13-2との間に、介在する。
【0216】
ウェブ7の第1ベアリング面74は、第1シート77から突出するピボットを収容するように配置された第1ノッチ76を有する。同様に、ウェブ7の第2ベアリング面73は、第2シート78から突出するピボットを収容するように配置された第2ノッチ75を有する。第3ベアリング面94は、第1シート77から突出するピボットを収容するように配置された第3ノッチ96を有する。第4ベアリング面93はまた、第2シート78から突出するピボットを収容するように配置された第4ノッチ95を有する。
【0217】
図9及び10に示される第2実施形態において、第3ベアリングシート79は、位相部材15と第1ばね13-1との間に介在し、第4ベアリングシート80は、各減衰モジュールの第2ばね13-2と位相部材15との間に介在する。
【0218】
相対回転の第1方向においてウェブ7とガイドワッシャー9a及び9bとの間の角度変位がウェブ7とガイドワッシャー9a及び9bとの間の角度変位の第2閾値A2以上の場合に、第2ベアリングシート78と第4ベアリングシート80はお互いに接触するように配置される。言い換えれば、第1停止部b1は第4ベアリングシート80に形成され、第2停止部b2は第2ベアリングシート78に形成される。
【0219】
各ベアリングシート78、80は、それが支持するばねを遠心力に対して半径方向に保持するように配置されたカバーを有する。第1停止部b1は、第4ベアリングシート80のカバーの一端部に形成され、第2停止部b2は、第2ベアリングシート78のカバーの一端部に形成される。
【0220】
【0221】
各トランスミッションヘッド17の2つの軸方向保持要素は、アイカップ118a及び118bによって形成されている。ばねのグループに関連する第1トランスミッションプレート17a及び第2トランスミッションプレート17bは各々アイカップ118a、118bを備える。アイカップの創出を容易にするために、アイカップを形成することを目的としたプレートの部分の両側に、各プレートに2つの切れ目が周方向に作られる。
【0222】
各アイカップ118a、118bの周縁エッジの一方は、減衰装置の第1停止部b1を形成し、アイカップの他方の周縁エッジは、減衰装置の第5停止部b5を形成する。
【0223】
したがって、相対回転の第1方向においてウェブ7とガイドワッシャーとの間の角度変位が角度変位の第2閾値A2以上である場合、各アイカップ118a、118bは、ガイドワッシャー9bの第2停止部b2を形成する第1歯142に対して支持するように配置される。
【0224】
逆に、各アイカップ118a、118bは、相対回転の第2方向においてウェブ7とガイドワッシャーとの間の角度変位が角度変位の第5閾値A5以上である場合に、ガイドワッシャー9bの第6停止部b6を形成する第2歯144に対して支持するように配置される。
【0225】
ガイドワッシャー9a及び9bは、各減衰モジュールについて、アイカップ118a及び118bの移動を許容するように、第1歯142と第2歯144との間に延びる凹部E4を備える。
【0226】
各トランスミッションプレート17a、17bはまた、第1ばね13-1の第1端部13-11の内側に配置された第1センタリング部材65a、65bと、第2ばね13-2の第1端部13-21の内側に配置された第2センタリング部材66a、66bと、を備える。
【0227】
各センタリング部材65a、65b、66a、66bは、プレートのメタルシートに形成され且つCの形状に湾曲した舌部である。
【0228】
第1トランスミッションプレート17aの第1センタリング部材65aを形成する舌部及び第2トランスミッションプレート17bの第1センタリング部材65bを形成する舌部は、各々、第1ばねをセンタリングするためのセンタリングチューブ67を形成するように互いに軸方向に面して配置される。同様に、第1トランスミッションプレート17aの第2センタリング部材66aを形成する舌部及び第2トランスミッションプレート17bの第2センタリング部材66bを形成する舌部は、第2ばね13-2をセンタリングするためのセンタリングチューブ68を形成するように互いに軸方向に面して配置される。
【0229】
別の解決策が
図11及び
図12に示される。このケースにおいて、第3ベアリングシート179及び第4ベアリングシート180は、同じ旋回ピン116の周りで、位相部材115上で旋回するように取り付けられている。
【0230】
したがって、第3シート179の傾斜及び第4シート180の傾斜は、減衰装置によって伝達されるトルクに応じて及び遠心力に応じて、変化しうる。第3ベアリングシート179及び第4ベアリングシート180は、2つの位相ワッシャー15a及び15bを接続するためのスペーサー116の周りを旋回するように取り付けられ、スペーサー116は、シートの旋回ピンを形成する。
【0231】
第3シート179及び第4シート180は各々、それらの穴もまたオーバーラップするように軸方向に重なる穴があけられた接続タブ192を有し、旋回ピン116は、第3シート179の接続タブ192の穴及び第4シート180の接続タブ192の穴の両方に挿入される。
【0232】
第3シート179及び第4シート180は各々、追加ばね25と相互作用する背部ベアリング面を有する。これらのベアリング面は、第3シート179及び第4シート180におけるノッチ193及び195に形成されている。第3シート179は、第1ばね13-1と追加ばね25との間に周方向に介在し、第4シート180は、第2ばね13-2と追加ばね25との間に周方向に介在する。
【0233】
言い換えれば、追加ばね25は、第1ベアリング面25aを介して第3シート179と、第2ベアリング面25bを介して第4シート180との間に固定される。したがって、シートの旋回のおかげで、剛性のさらなる増大を得ることができる。このケースにおいて、第1ばね、第2ばね、及び追加ばねは、追加ばねの遅延圧縮とともに、直列に配置される。
【0234】
第3シート179は、第1トランスミッションプレート117aの凹部197に配置された第1ペグ81を有し、凹部197の端部は、第1ペグ81の動きを制限することができ、したがって第3シート179の旋回を制限する。第3シートはまた、第2トランスミッションプレート117bの凹部に配置された第2ペグ82を有し、凹部の端部は、第2ペグ82の動きを制限することができ、したがって第3シートの旋回を制限する。
【0235】
第4シートはまた、第1トランスミッションプレート117aの凹部198に配置された第1ペグ81を有し、凹部の端部は、第1ペグ81の動きを制限することができ、したがって第4シート180の旋回を制限する。第4シート180はまた、第2トランスミッションプレート117bの凹部に配置された第2ペグ82を有し、凹部の端部は、第2ペグの動きを制限することができ、したがって第4シート180の旋回を制限する。