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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】工作機械上の工具の固定装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
B23Q3/155 K
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021021352
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2021126765
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】20157403.5
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】マルクス リヒテンシュタイガー
(72)【発明者】
【氏名】ファジム ボドガン
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-100837(JP,U)
【文献】実開昭62-201638(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155-3/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプスリーブを収容するための少なくとも2個、特に多数のポケットを備えた固定ブロックを有していてその際少なくとも2本のクランプスリーブが前記ポケット内に収容される、工作機械上の工具の固定装置であり、各クランプスリーブ(14)がクランプ要素(36)を備えていてそのクランプ要素によって工具(18)、特に工具(18)のシャフト(20)を締付け可能であり、また前記クランプスリーブ(14)がいずれも固定ブロック(12)内のポケット(16)に少なくとも部分的に貫通していてクランプスリーブの前記クランプ要素(36)と逆側の端部、すなわち後端に拡張要素(34)を備え、その拡張要素が前記固定ブロックあるいはその固定ブロック(12)の対向支持要素(30)を後方支持、特にバネ荷重して後方支持することを特徴とする固定装置において、
クランプスリーブ(14)とポケット(16)の対向支持要素(30)との間に圧縮バネ(26)を延在させ、この圧縮バネが拡張要素(34)の接合肩面(46)を固定ブロック(12)の対向支持要素(30)に対して押圧することを特徴とする固定装置。
【請求項2】
拡張要素(34)が半径方向内側に可動式であり、解放された状態においてポケット(16)よりも大きな直径を有することを特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
クランプスリーブ(14)の拡張要素(34)がポケット(16)内および/または対向支持要素(30)内への挿入に際して収縮可能であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の固定装置。
【請求項4】
拡張要素(34)が接合肩面(46)を有し、特に半径方向外側に向かって対向支持要素(30)上あるいはポケット(16)の後端に延在する拡張トング(38,40,42,44)上に前記接合肩面を有することを特徴とする請求額1ないし3のいずれかに記載の固定装置。
【請求項5】
各接合肩面(46)が半径方向にあるいは場合によって傾斜して延在し、特にクランプスリーブ(14)の軸に対して70ないし90°の角度、より好適には80ないし88°、極めて好適には85°の角度で延在することを特徴とする請求項4記載の固定装置。
【請求項6】
拡張要素(34)が誘導斜面(56)を備え、それの直径が誘導斜面(56)の開始位置、すなわち拡張要素(34)の後端においてポケット(16)の直径より小さく、また前記直径が誘導斜面(56)の終端において対向支持要素(30)の内径よりも大きくなり、その際直径とは対向支持要素(30)の外側の直径であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の固定装置。
【請求項7】
拡張要素(34)が拡張トング(38,40,42,44)間に延在するスリット(52,52)を備え、複数の拡張トング(38,40,42,44)、特に2ないし8本の拡張トングが拡張要素(34)の周囲に分配して配置されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の固定装置。
【請求項8】
クランプスリーブ(14)がストップリング(29)を備え、固定ブロック(12)および拡張した状態の拡張要素(34)に接合した際にクランプスリーブ(14)を固定ブロック(12)内に固定するような外径を前記ストップリングが有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の固定装置。
【請求項9】
クランプ要素(36)が半径方向内側に作用する複数のクランプトングによって形成され、それによって工具(18)を締付け可能であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の固定装置。
【請求項10】
クランプ要素(36)の末端側に接線方向に延在していて半径方向内側に突立する突起部(48)が形成され、それによって工具(18)のシャフトに対して特に圧力を付加可能であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の固定装置。
【請求項11】
固定ブロック(12)を金属から形成し、クランプスリーブ(14)は樹脂、特に繊維強化されたPPA、中でもGrivory GVX-7Hから形成することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の固定装置。
【請求項12】
工作機械上においてクランプスリーブを収容するための少なくとも2個、特に多数のポケットを備えた固定ブロックを有していてその際少なくとも2本のクランプスリーブが前記ポケット内に収容される、工具の固定装置を備えてなる工作機械であり、各クランプスリーブ(14)がクランプ要素(36)を備えていてそのクランプ要素によって工具(18)、特に工具(18)のシャフト(20)を締付け可能であり、また前記クランプスリーブ(14)がいずれも固定ブロック(12)の対向支持要素(30)あるいは固定ブロック(12)内のポケット(16)に貫通していてクランプスリーブの前記クランプ要素(36)と逆側の端部に拡張要素(34)を備え、その拡張要素が前記固定ブロック(12)の対向支持要素(30)を後方支持することを特徴とする工作機械において、
クランプスリーブ(14)とポケット(16)の対向支持要素(30)との間に圧縮バネ(26)を延在させ、この圧縮バネが拡張要素(34)の接合肩面(46)を固定ブロック(12)の対向支持要素(30)に対して押圧することを特徴とする工作機械。
【請求項13】
請求額1記載の固定装置内に収容するためのクランプスリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1前文に記載の工作機械上の工具の固定装置、請求項13前文に記載の工作機械、ならびに請求項14前文に記載のクランプスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用フライス盤等の工作機械は、切削加工の多様な要求に対応するためにしばしば複数の異なった工具を必要とする。
【0003】
すなわち、歯科用フライス盤内において例えば穿孔工具あるいは回転研磨工具等のフライス工具以外の工具を使用することもできる。加えて、多様な直径および形状の工具、さらに多様なサイズの工具がしばしば必要とされる。
【0004】
全体として例えば12ないし30種類の工具の用意が必要とされる。
【0005】
原則的に工具交換は手動で実行することもできるが、工具交換を自動的に実行することが好適である。そのため、多様な製造元による多数の工具をいわゆる工具バンク内に用意することが知られている。従って工具バンクは多数のポケットを備えた固定ブロックを有し、その中に工具が貯蔵される。
【0006】
工具交換のためには、一方で固定ブロックを含めた工具バンクと、他方で工具と少なくとも1つの空ポケットと固定された工具との間の相対動作を実行し、その時点で使用されている工作機械の工具の固定ブロック内の空ポケットへの移転を実行し、さらにその次に使用する別の工具の固定ブロックからの装填を実行する。
【0007】
工具交換は一般的に自動的に実行することも好適である。そのため、工具を固定ブロック内に収容するが工具のシャフトが固定ブロックから突出して自由に把持できるようにする。通常クランプスリーブを設けてその中に工具が挿入されるが、その際工具のシャフトがクランプスリーブから突出する。
【0008】
その際個々のクランプスリーブがポケット内に収容され、工具のシャフトが自由に把持可能になるような方式で摩擦ばめによって工具が保持される。工具が多様な直径と多様な形状だけでなく多様な長さを有することも考えられるため、クランプスリーブとポケットが貫通孔として形成され、従って固定ブロックを貫通して延在する。クランプスリーブも貫通孔を備えており、従って工具が作用側でクランプスリーブから突立することができる。
【0009】
工具交換のために工具スピンドルがチャックによって工具のシャフトを自動的に把持し、クランプスリーブの摩擦ばめに対抗してそのクランプスリーブから引き抜くかあるいはクランプスリーブ内に挿入し得ることが好適である。
【0010】
特許文献1により工作機械上の工具の固定装置が知られており、その装置は工具バンクの方式で多数の工具を収容することができる固定ブロックを備える。そのため固定ブロックが多数のポケットを備え、それらは一種のクランプスリーブとして形成されていてその中で工具が幾らか大きな直径を有する領域で弾力的に保持される。
【0011】
その種の固定ブロックを備えた工具バンクは歯科用工作機械においても知られており、例えば特許文献2を参照することができる。
【0012】
工具バンクへの工具の移送および取り出しはあまり容易ではない。第一に固定ブロック上の工具のシャフトの正確な位置を例えば0.1ないし0.2mmの精度で保持することが必要である。その理由は、不均衡を伴わない固定を可能にするために工作機械のチャックがシャフトを正確に把持する必要があるためである。
【0013】
そのことによって固定ブロック上における工具の強固であるが幾らか弾力性のある支承が要件になり、そのためクランプスリーブにベリリウム銅等の貴金属を使用することが提案されている。この材料は機械的には好適であるものの腐食性を有しており;緑青の発生によって固定の精度が低下する。
【0014】
固定ブロックと工具を有していてさらに必要に応じてポケットとクランプスリーブを備える工具バンクは、しばしば例えば工作機械の工具アームと共に動作可能である。発生する加速度のためクランプスリーブの支持力を高く維持することが必要になる。
【0015】
必要な安全余力を維持するために、例えば50Nの応力を引張力として使用することができる。ベリリウム銅の独特の利点は形状安定性と長期耐久性であり、従って頻繁に工具交換した際にクランプスリーブ上に発生する頻繁な負荷変動においても材料の弾力性が安定する。
【0016】
その利点から、依然としてベリリウム銅を使用して実施し、そのベリリウム銅を例えばスナップリングを介して交換可能に固定ブロック上に固定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】欧州特許出願公開第552922号(A1)明細書
【文献】ドイツ国実用新案第202015100312号(U1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って本発明の目的は、少なくとも同等の長期安定性を維持しながら比較的低コストでかつ工作機械の安全な稼働を可能にする請求項1、13ならびに14前文に記載の工作機械上の工具の固定装置、工作機械、ならびに固定装置内に収容するクランプスリーブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の課題は本発明に従って請求項1、13ならびに14によって解決される。従属請求項によって好適な追加構成が定義される。
【0020】
本発明によればクランプスリーブを独自の方式で形成し:すなわち本発明に係るクランプスリーブが固定ブロックあるいは固定ブロックのポケット内の対向支持要素を後面支持し、その後面支持を保持する特殊な拡張要素を備える。前記の拡張要素は自律バネ懸架式であり、すなわち弾力的であって対向支持要素あるいは固定ブロックに貫通すると同時に拡張する。
【0021】
拡張要素が支承用の接合肩面を有し、さらに拡張要素のトングを相互に分離するスリットを備えることが好適である。各トングが外側に向かって支承されそれ自体弾力的である。この弾力性の構造によって高い交換負荷がかかってもクランプスリーブの長期耐久性が保証される。
【0022】
クランプスリーブの長期耐久性をさらに向上させるため、工具を収容するために周知の方式で半径方向内側にバネ支承されたクランプ要素を備える。本発明の好適な構成形態によれば前記のクランプ要素が内側を指向する突起部からなる。この突起部は半径方向内側で工具に対向し、締付けた状態において工具の支持リングに接合することが好適である。
【0023】
支持リングは周知の方式で工具上に圧着するかあるいは締付け固定され、工具が鋼鉄製である場合通常真鍮製である。突起部は支持リングの外側に接合し、その支持リングを工具のガイド部と共にクランプスリーブ内の所要の位置に固定する。
【0024】
クランプスリーブからの工具の取り出しは、工具の支持リング上の突起部の摩擦力に対抗して容易に実行することができる。
【0025】
本発明によれば、クランプスリーブの後端に拡張要素を形成する。拡張要素が形成されるクランプスリーブの端部を後端と呼称し、工具を収容するクランプ要素が配置される端部は前端と呼称する。
【0026】
本発明に係る拡張要素は外側を指向する接合肩面を備える。その接合肩面が工具ブロックの少なくとも一部を後方支持する。前記の一部はポケットの後面とするか、例えばポケット内で半径方向内側に突立するように形成された対向支持要素の後方とするか、その部位に任意に設けた切欠き部とすることができる。
【0027】
拡張要素の形成によってポケット前端、すなわちクランプ要素に隣接した端部からクランプスリーブを容易にポケット内に挿入することが可能になる。拡張要素は対向支持要素を通過すると直ぐに誘導斜面を介してその拡張要素が半径方向内側に押圧されるように機能する。接合肩面が対向支持要素を通過すると直ぐに半径方向外側を指向する拡張圧力によって拡張要素が外側に係合し、原則的に対向支持要素上で静止する。
【0028】
拡張要素を内側に押圧することによってクランプスリーブを容易に再び取り外すことができ、そのことは例えば単にねじ回しを使用して実行することができる。接合肩面はさらに工具ブロック内におけるクランプスリーブの確実かつ定義された位置合せを提供する。このことはクランプスリーブ内への工具の挿入安定性に寄与する。
【0029】
好適な構成形態によれば、ポケットの前端のクランプスリーブのストップリングと対向支持要素の前端との間に延在する圧縮バネを設ける。前記の圧縮バネは拡張要素の接合肩面を対向支持要素に対して押圧し、それによって軸方向で正確に定義されたクランプスリーブの位置を可能にする。
【0030】
クランプスリーブは任意の適宜な材料から形成することができ、例えばPPAから形成することができる。従って本発明によればベリリウム銅等の高価な材料を使用することが不要になる。それにもかかわらず位置決め精度は少なくとも同等に良好であり、同様に耐摩耗性も良好である。
【0031】
クランプ要素は半径方向内側に作用する複数のクランプトングから形成することができ、それらによって工具を締付けることができる。例えば4本のクランプトングを工具の周囲に均等配分して工具を締付けることができる。
【0032】
また拡張要素も複数のトング、すなわち拡張トングから形成することができる。ここでも例えば4本の拡張トングを周知の方式で環状に配分することができ、その際独立した操作を可能にするために拡張トング間に適宜なスリットを形成することができる。
【0033】
工具が固定されている際にクランプ要素が半径方向内側への締付け圧力を作用させ、また拡張要素はクランプスリーブが装着された状態において半径方向外側に固定圧力を作用させる。
【0034】
本発明によれば、従来使用されていた固定ブロックにおいて摩耗したベリリウム銅製のクランプスリーブを本発明に係る例えばPPA材料によって代替することも可能である。しかしながら、新設の工作機械において当初から所要の数の本発明に係るクランプスリーブを工具ブロック内に設置することもできる。
【0035】
圧縮バネが支承されるストップリングはさらにポケットの前端でクランプスリーブを誘導するようにも機能する。従ってクランプスリーブはポケット内において後端が対向支持要素に向かって誘導され、また上述したように前端でストップリングが係合する。
【0036】
工具ブロックのポケット内における対向支持リングの突出度合とクランプスリーブのその他の部分に対するストップリングの半径方向外側への突出度合は同等な大きさとするか、あるいは相互に例えば20%異なった大きさとすることができる。それらのリングの間の空間を圧縮バネが占めることが好適である。
【0037】
本発明のその他の詳細、特徴ならびに利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明に係る固定ブロックを本発明に係る固定装置ならびに複数の工具と共に示した立体図である。
図2】クランプスリーブと工具を備えた固定ブロックを別の視点で示した説明図である。
図3図1および図2の実施形態を示した別の説明図である。
図4】クランプスリーブと圧縮バネと概略化された工具を示した立体図である。
図5】クランプスリーブの実施形態を示した立体図である。
図6】クランプスリーブの実施形態を示した別の立体図である。
図7】工具ブロック内に装着された状態のクランプスリーブを示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には固定装置10が示されており、それには複数のポケット16を有していてその中に複数のクランプスリーブ14を収容する固定ブロック12が含まれる。
【0040】
図1のクランプスリーブ14にはいずれも工具18が装着されている。
【0041】
図1に示されているように、多数のクランプスリーブ14が固定ブロック14内に収容される。各クランプスリーブにつき1個のポケット16が設けられ、クランプスリーブ14とポケット16は相互に同形である。
【0042】
稼働中においてクランプスリーブ14は任意に工具18を装着することができる。図1に示された工具18についてそれぞれシャフト20が示されており、さらに分離して示された工具18aについては作用領域22が示されている。これは簡略化のために円筒形として示されているが、実用上においては作用領域22をフライス工具、穿孔工具、回転研磨工具、あるいはその他の任意の種類かつ任意の形状および任意の寸法で形成し得ることが理解される。
【0043】
工作機械は周知の方式でチャックを備えた工具アームを有する。このチャックは工具交換のために所要の工具18のシャフト20を把持して該当するクランプスリーブ14から引き抜くことができる。
【0044】
工具18が必要でなくなった時は、その工具を同じ位置、すなわち空のクランプスリーブ14に搬送して工具18をクランプスリーブ内に収納した後チャックを解除することができる。
【0045】
固定ブロック12はクランプスリーブ14および工具18と共に移動可能に取り付けピボット24を介して支承される。従って、固定ブロック12の動作に対応する加速度が工具18と固定ブロック12にかけられる。従って、工具18を半径方向において固定的にクランプスリーブ14内に支承し、さらにクランプスリーブを固定的にポケット16内に支承することが重要である。
【0046】
そのためバネ式の支承が形成されるが、図1には極簡略的に示されている。しかしながら右側に示された透視図においては圧縮バネ26が図示されている。この圧縮バネがクランプスリーブ14の特定の領域を囲繞して、固定ブロック12内におけるクランプスリーブ14の軸方向に弾力性を有する支承を可能にする。
【0047】
工具18は支持リング28を備える。クランプスリーブ14内において支持リング上で締付け固定される。加えて支持リング28が工具18のシャフト20と作用領域22を区分する。
【0048】
図2および図3には、クランプスリーブ14と工具18が装着された固定ブロック12の別の視野の立体図が示されている。図3にはクランプスリーブ14が幾らか拡大して示されている。図4、さらに図5図6および図7にはさらに詳細に示されている。同じ構成要素はその他の図面とも同様に同じ参照符号を付して示される。
【0049】
クランプスリーブ14はストップリング29を備える。このストップリングは圧縮バネ26の一端面のストッパとして機能し、ポケット16内に延在する。圧縮バネ26は別の端面で図7に示された対向支持要素30上に支承される。圧縮バネはクランプスリーブ14の半径方向外側に延在する。後端30においてクランプスリーブ14は拡張要素34を備え、また前端32にはクランプ要素36を備える。
【0050】
図示された実施例において拡張要素34が拡張トングを備え、そのうち拡張トング38および40が図4に示され、図5には別の拡張トング42および44が示されている。
【0051】
各拡張トング38,40,42および44、あるいは図6に示された相互に対向する2本の拡張トングは、接合肩面46を有する。この接合肩面はポケット16の対向支持要素30に接合するよう設定される。そのため、ポケット16内へのクランプスリーブ14の押し込みによって圧縮バネ26が同時に押し込まれ、その際接合肩面46が対向支持要素30に対して外側に向かって係合しそこで静止するまで押し込まれる。その位置においてクランプスリーブ14は、図3に示されるようにポケット16内で軸方向の弾力性をもって保持される。
【0052】
この軸方向の弾力性は工具18の装着に際して重要であり、その理由は工具アームが工具18を過度に深く挿入した場合でもクランプスリーブ14を破損させないようにするためである。そのため本発明により、クランプスリーブ14に低コストのPPAを使用することも可能になる。
【0053】
クランプ要素36は工具18を支持リング28上で保持するように設定される。そのためクランプ要素36の末端側に、半径方向内側を指向していて摩擦ばめによって支持リング28を固定する突起部48が設けられる。
【0054】
支持リング28の直径は工具18の他の部分の直径に比べて大きくなる。そのためクランプ要素36が図6に示されるように末端の内側に幾らか拡大された直径を有する。
【0055】
図4ないし図6に示されるように、拡張要素34は拡張トング38ないし44の間にスリット50を備える。
【0056】
同様にクランプ要素36上にスリット52が設けられ;全てのスリットがクランプスリーブ14と軸平行に延在するが、その際スリット52は前端方向に向かって幾らか拡大することが好適である。
【0057】
図7には、本発明に係る固定装置10が装着された状態で示されている。この図面においては明瞭化のために圧縮バネ26が省略される。工具18の作用領域22がクランプスリーブ14を介して延在し、図示された実施例においてはそれどころか固定ブロック12およびポケット16を貫通して延在する。作用領域22の長さは工具ごとに異なることが理解される。
【0058】
クランプ要素36は内部に段部54を有する。その段部はクランプスリーブ14内における支持リング28の軸方向のストッパとして作用する。支持リング28は両側に円曲部を有し;その円曲部を面取り部として形成することができ、それが支持リング28のクランプ要素36内への挿入を容易化するように作用する。
【0059】
周知の方式で拡張トング38ないし44がさらに誘導斜面56を備え、それによってポケット16内、さらに特に対向支持要素30の領域内への挿入が容易になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7