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特許7213904有機エレクトロルミネッセンス材料及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス材料及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/00 20230101AFI20230120BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230120BHJP
   C07D 215/12 20060101ALI20230120BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20230120BHJP
   C07D 239/74 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H05B33/14 B
C09K11/06 660
C07D215/12 CSP
C07D491/048
C07D239/74
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021033996
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2019235917の分割
【原出願日】2015-09-29
(65)【公開番号】P2021103780
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】14/509,274
(32)【優先日】2014-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-ルク・ティー・ブードロー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター・イェーガー
(72)【発明者】
【氏名】チュアンジュン・シャ
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052088(JP,A)
【文献】特表2014-508764(JP,A)
【文献】特表2013-536170(JP,A)
【文献】特開2013-084962(JP,A)
【文献】特開2012-004526(JP,A)
【文献】QIANG, Jia-Yan, et al. ,Inorg. Chim. Acta,NL,Elsevier B.V.,2012年08月23日,394,184-189
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 51/50 - 51/56
C09K 11/06
C07D 215/12
C07D 491/048
C07D 239/74
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式M(L(L(Lで表され、室温で有機発光デバイス中のリン光発光体として機能する化合物を含むことを特徴とする組成物。
(式中、Mは、金属であり;
、L、及びLは、同じでも異なっていてもよく;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは、前記金属Mの酸化状態であり;
は、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される配位子であり、
【化1】
【化2】
、及びLは、それぞれ独立して、Lのための前記配位子、及び下記の式で表される配位子からなる群から選択される。)
【化3】
(式中、R、R、R、及びRは、独立して、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す、又は無置換を表し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
、R、R、及びRの2つの隣接する置換基は、結合して環又は多座配位子を形成してもよく;
少なくとも1つのLのRは、部分的にフッ素化されたアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及びこれらの組合せからなる群から選択され、前記Rが結合し得る前記配位子の芳香族環の1つに直接結合し;
前記少なくとも1つの において、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記Rが結合し得る前記配位子の芳香族環から離れ、
下記[化4]及び[化5]の配位子LのRにおいて、Fを結合して有するCのいずれかは、少なくとも2つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。)
【化4】
【化5】
(ただし、前記化合物が、下記化合物である場合を除く。)
【化6】
【請求項2】
前記金属MがIr、Rh、Re、Ru、Os、Pt、Au、及びCuからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属MがIr、又はPtである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Fを結合して有するCのいずれかは、少なくとも2つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの は、それぞれ少なくとも1つのCF基を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの のいずれも、CF基を含まない請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物が、式Ir(L(L)で表される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
は下記からなる群より選択され;
【化7】
は、下記の式で表される請求項7に記載の組成物。
【化8】
【請求項9】
は、下記の式で表される請求項8に記載の組成物。
【化9】
(式中、R、R、R、及びRは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;
、R、R、及びRの少なくとも1つは、少なくとも2つの炭素原子を有し;
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される。)
【請求項10】
及びLは、異なっており、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される請求項7に記載の組成物。
【化10】
【化11】
【請求項11】
は、下記からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
(式中、RA1~RA41は、下記の式で表される。)
【化16】
【請求項12】
アノードと;
カソードと;
前記アノードと前記カソードとの間に配置され、化合物を含む組成物を含有する有機層と;を含み、
前記化合物は、室温で有機発光デバイス中のリン光発光体として機能することができ;
前記化合物は、式M(L(L(Lで表されることを特徴とする有機発光デバイス。
(式中、Mは、金属であり;
、L、及びLは、同じでも異なっていてもよく;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは、前記金属Mの酸化状態であり;
は、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される配位子であり、
【化17】
【化18】
、及びLは、それぞれ独立して、Lのための前記配位子、及び下記の式で表される配位子からなる群から選択される。)
【化19】
(式中、R、R、R、及びRは、独立して、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す、又は無置換を表し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
、R、R、及びRの2つの隣接する置換基は、結合して環又は多座配位子を形成してもよく;
少なくとも1つのLのRは、部分的にフッ素化されたアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及びこれらの組合せからなる群から選択され、前記Rが結合し得る前記配位子の芳香族環の1つに直接結合し;
前記少なくとも1つのLのRにおいて、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れ、
下記[化20]及び[化21]の配位子LのRにおいて、Fを結合して有するCのいずれかは、少なくとも2つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。)
【化20】
【化21】
(ただし、前記化合物が、下記化合物である場合を除く。)
【化22】
【請求項13】
請求項12に記載の有機発光デバイスを有することを特徴とする消費者製品。
【請求項14】
フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板である請求項13に記載の消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求されている発明は、大学・企業の共同研究契約の下記の当事者:University of Michigan、Princeton University、University of Southern California、及びUniversal Display Corporationの理事らの1又は複数によって、その利益になるように、且つ/又は関連して為されたものである。該契約は、特許請求されている発明が為された日付以前に発効したものであり、特許請求されている発明は、該契約の範囲内で行われる活動の結果として為されたものである。
【0002】
本発明は、発光体としての使用のための金属錯体のための新規の配位子、及び前記配位子を含む有機発光ダイオード等のデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、下記の構造:
【化1】
を有する、Ir(ppy)と表示されるトリス(2-フェニル)イリジウムである。
【0007】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0009】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0011】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0012】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0014】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、有機発光デバイス中のリン光発光体として有用である金属錯体のための新規の配位子を開示する。出願者は、配位子の新しい側鎖の組み入れは、良好なデバイス効率及びデバイス寿命を維持しつつ、金属錯体の発光の細かな調節を可能にすると考える。
【0016】
実施形態によれば、新規の化合物を含む組成物が開示され、前記化合物は、室温で有機発光デバイス中のリン光発光体として機能することができる。前記化合物は、少なくとも1つの芳香族環及び少なくとも1つの置換基Rを有し、前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ独立して、部分的にフッ素化されたアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ前記芳香族環の1つに直接結合し、前記少なくとも1つの置換基Rのそれぞれにおいて、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。
【0017】
他の実施形態によれば、第1の有機発光デバイスを含む第1のデバイスも提供される。前記第1の有機発光デバイスは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含むことができる。前記有機層は、少なくとも1つの芳香族環及び少なくとも1つの置換基Rを有する前記化合物を含むことができ、前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ部分的にフッ素化されたアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ前記芳香族環の1つに直接結合し、前記少なくとも1つの置換基Rのそれぞれにおいて、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。前記第1のデバイスは、消費者製品、有機発光デバイス、及び/又は照明パネルであることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、有機発光デバイスを示す。
【0019】
図2図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0021】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0022】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0023】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0024】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0025】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0026】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0027】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0028】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0029】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0030】
本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~+80度で用いることもできる。
【0031】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0032】
本明細書において、「ハロ」、「ハライド」、又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む。
【0033】
本明細書において、「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキル基のいずれをも意味する。好ましいアルキル基としては、1~15個の炭素原子を含むアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を含む。更に、前記アルキル基は、置換されていてもよい。
【0034】
本明細書において、「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル基を意味する。好ましいシクロアルキル基としては、3~7個の炭素原子を含むシクロアルキル基であり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。更に、前記シクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0035】
本明細書において、「アルケニル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルケニル基のいずれをも意味する。好ましいアルケニル基としては、2~15個の炭素原子を含むアルケニル基である。更に、前記アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0036】
本明細書において、「アルキニル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキン基のいずれをも意味する。好ましいアルキニル基は、2~15個の炭素原子を含むアルキニル基である。更に、前記アルキニル基は置換されていてもよい。
【0037】
本明細書において、「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、相互交換可能に使用され、置換基として芳香族基を有するアルキル基を意味する。更に、前記アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0038】
本明細書において、「ヘテロ環基」という用語は、芳香族環基及び非芳香族環基を意味する。ヘテロ芳香族環基は、ヘテロアリールも意味する。好ましいヘテロ非芳香族環基は、3又は7個の環原子を含む少なくとも1つのヘテロ原子であり、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ等の環状アミンを含み、及びテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテルを含む。更に、前記ヘテロ環基は、置換されていてもよい。
【0039】
本明細書において、「アリール」又は「芳香族基」は、単環及び多環系を意味する。多環とは、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)により2つの炭素が共有されている2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールである。更に、前記アリール基は、置換されていてもよい。
【0040】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、及びピリミジン等、1~3個のヘテロ原子を含む単環の複素芳香族基を意味する。ヘテロアリールという用語も、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)により2つの原子が共されている2つ以上の環を有する多環のヘテロ芳香族系を含み、前記環の少なくとも1つは、ヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。更に、前記ヘテロアリールは、置換されていてもよい。
【0041】
前記アルキル、前記シクロアルキル、前記アルケニル、前記アルキニル、前記アラルキル、前記ヘテロ環、前記アリール、及び前記ヘテロアリールは、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組合せから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
本明細書において、「置換(された)」は、H以外の置換基が炭素等の関連している位置に結合していることを示す。したがって、例えば、Rが一置換である場合、RはH以外でなくてはならない。同様に、Rが二置換である場合、Rのうちの2つは、H以外でなくてはならない。同様に、Rが無置換である場合、Rは全ての置換位置において水素である。
【0043】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各フラグメント中のC-H基の1つ以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素アナログを容易に想像することができ、このようなアナログ全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0044】
分子フラグメントが置換基として記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0045】
実施形態によれば、新規の第1の化合物を含む組成物が開示され、前記第1の化合物は、室温で有機発光デバイス中のリン光発光体として機能することができる。前記第1の化合物は、少なくとも1つの芳香族環及び少なくとも1つの置換基Rを有し、前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ独立して、部分的にフッ素化されたアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ前記芳香族環の1つに直接結合し、前記少なくとも1つの置換基Rのそれぞれにおいて、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。
【0046】
前記少なくとも1つの置換基Rのそれぞれが前記芳香族環の1つに直接結合していることは、それぞれのRが異なる芳香族環に結合することができる、又は前記Rの一部が同じ芳香族環に結合することができることをを意味する。部分的にフッ素化された基は、基において全ての炭素-水素結合が炭素-フッ素結合で置き換わるわけではなく、言い換えれば、その基において少なくとも1つの炭素-水素結合が残っていることを意味する。
【0047】
1つの実施形態においては、前記第1の化合物は、室温で、三重項励起状態から基底一重項状態に発光することができる。
【0048】
1つの実施形態においては、前記第1の化合物は、金属-炭素結合を有する金属配位錯体である。前記金属は、Ir、Rh、Re、Ru、Os、Pt、Au、及びCuからなる群から選択されることができる。1つの好ましい実施形態においては、前記金属は、Irである。他の好ましい実施形態においては、前記金属は、Ptである。
【0049】
前記第1の化合物の1つの実施形態においては、Fを結合して有するCは、少なくとも2つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。他の実施形態においては、Fを結合して有するCは、少なくとも3つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。
【0050】
前記第1の化合物の1つの実施形態においては、前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ少なくとも1つのCF基を含む。好ましい実施形態においては、前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれCF基のみを含み、CF基又はCF基を含まない。他の実施形態においては、前記少なくとも1つの置換基Rは、任意のCF基を含まない。
【0051】
1つの実施形態においては、前記第1の化合物は、少なくとも1つの置換基R中のF原子以外で、F原子を有さない。
【0052】
前記第1の化合物の1つの実施形態においては、前記芳香族環は、前記第1の化合物のLUMO電子密度を含む。
【0053】
前記第1の化合物の1つの実施形態においては、式C2n+1-m及びC2q-1-m中のmは、3の倍数ではない。他の実施形態においては、mは3の倍数である。
【0054】
本開示の態様によれば、上記で定義されている前記第1の化合物は、M(L(L(Lの式で表され;L、L、及びLは、同じでも異なっていてもよい。
式中、xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは、前記金属Mの酸化状態であり;
、L、及びLは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される。
【化2】
【化3】
式中、R、R、R、及びRは、独立して、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す、又は無置換を表し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
、R、R、及びRの2つの隣接する置換基は、結合して環又は多座配位子を形成してもよく;R、R、R、及びRの少なくとも1つは、少なくとも1つのRを含む。
【0055】
上記で定義されている前記第1の化合物の1つの実施形態においては、Mは、Irであり、前記第1の化合物は、Ir(L(L)の式で表される。前記Ir(L(L)の式で表される前記第1の化合物において、Lは、下記からなる群から選択される式で表され;
【化4】
は、下記の式で表され;
【化5】
式中、R、R、及びRは、独立して、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す、又は無置換を表し;
、R、及びRは、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
、R、及びRの2つの隣接する置換基は、結合して環又は多座配位子を形成してもよく;R、R、及びRの少なくとも1つは、少なくとも1つのRを含む。
【0056】
上記で定義されている前記第1の化合物の他の実施形態においては、Mは、Irであり、前記第1の化合物は、式Ir(L(L)で表され、Lは、下記からなる群から選択され;
【化6】
は、下記の式で表され;
【化7】
及びRは、上記で定義され、R、R、R、及びRは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;
、R、R、及びRの少なくとも1つは、少なくとも2つの炭素原子を有し;
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
及びRの少なくとも1つは、少なくとも1つのRを含む。
【0057】
上記で定義されているIr(L(L)の式で表される前記第1の化合物の他の実施形態においては、L及びLは、異なっており、それぞれ独立して、下記からなる群から選択され;
【化8】
及びRの少なくとも1つは、少なくとも1つのRを含む。
【0058】
Ir(L(L)の式で表される前記第1の化合物の他の実施形態においては、L及びLは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される。
【化9】
式中、R、R、及びRの少なくとも1つは、少なくとも1つのRを含む。
【0059】
前記第1の化合物が上記で定義されている式M(L(L(Lの構造で表される実施形態においては、前記化合物は、Pt(L又はPt(L)(L)で表される。Pt(Lの式で表される化合物においては、Lは、他のLと結合することができる。式Pt(L)(L)で表される化合物においては、Lは、Lと結合し、四座配位子を形成することができる。1つの実施形態においては、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、CD、CD、又はCDを含むアルキル基又はシクロアルキル基を含み、Dは重水素である。
【0060】
本開示の他の態様によれば、M(L(L(Lの式で表される前記第1の化合物においては;
、L、及びLは、同じでも異なっていてもよく;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは、前記金属Mの酸化状態であり;
、L、及びLは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
式中、RA1~RA41は、下記の式で表される。
【化14】
【0061】
1つの実施形態においては、前記第1の化合物は、Ir(L(L)の式の構造で表され、Lは、LA1~LA450、及びLA451からなる群から選択され、Lは、下記からなる群から選択される。
【化15】
【0062】
上記の構造においては、破線は、現行の基と結合する次の基との間の結合を表す。例えば、LA1においては、破線は、前記Mと配位子との間の結合を表し;RA1においては、破線は、Rと前記芳香族環との間の結合を表す。
【0063】
他の実施形態においては、前記第1の化合物は、化合物1~化合物5,863からなる群から選択され、化合物xは、それぞれ式Ir(LAk(LBj)で表され、x=451j+k-451であり、kは1から451までの整数であり、jは1から13までの整数である。LA1~LA451及びLB1~LB13は、上記で定義される。
【0064】
本明細書に開示される前記第1の化合物の例は、1-フェニルイソキノリン、2-フェニルキノリン、8-(キノリン-2-イル)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン、8-(イソキノリン-1-イル)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン、4-(4-フルオロフェニル)キナゾリン、又は2-フェニルピリジン等を含む配位子に基づいた金属錯体である。前記配位子は、それぞれ、ベンジルではない、少なくとも1つのフッ素原子を含むアルキル化された側鎖を含む。これらの側鎖の存在は、主に僅かな赤色シフトとして、金属錯体の色の細かな調節を提供する。芳香族ユニットとフッ素原子との間のスペース(spacer)が短いほど、最終錯体における赤色シフトは大きくなる。良好な効率はこれらの化合物から観察された。より重要なことには、ベンジル部分にフッ素を有する化合物よりも、発明化合物がより良好な寿命を示したことが予想外に観察された。トリフルオロメチル置換及びパーフルオロアルキル置換を有する従来の化合物は、非常に不十分なデバイス安定性を示した。
【0065】
他の態様によれば、第1の有機発光デバイスを含む第1のデバイスが開示される。前記第1の有機発光デバイスは、アノードと;カソードと;前記アノードと前記カソードの間に配置された有機層とを含むことができる。前記有機層は、本明細書に開示される前記第1の化合物を含む。前記第1のデバイスに組み込まれた前記第1の化合物は、実施形態及び本明細書に記載される前記第1の化合物の具体化合物のいずれか1つ以上であることができる。例えば、前記第1の化合物は、室温でリン光発光体として機能することができ、前記第1の化合物は、少なくとも1つの芳香族環及び少なくとも1つの置換基Rを有し、前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ独立して、部分的にフッ素化されたアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記少なくとも1つの置換基Rは、それぞれ前記芳香族環の1つに直接結合し、前記少なくとも1つの置換基Rのそれぞれにおいて、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。
【0066】
実施形態によれば、前記第1のデバイスは、消費者製品、電子部品モジュール、有機発光デバイス、及び照明パネルからなる群から選択される。
【0067】
前記第1のデバイスにおいては、前記有機層は発光層であり、前記化合物は、発光ドーパントである。
【0068】
前記第1のデバイスの1つの実施形態においては、前記有機層は、更にホストも含み;前記ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み;前記ホスト材料中のいずれの置換基は、独立して、C2n+1、OC2n+1、OAr、N(C2n+1、N(Ar)(Ar)、CH=CH-C2n+1、C≡C-C2n+1、Ar、Ar-Ar、及びC2n-Arからなる群から選択される非縮合置換基である、又は無置換であり;nは1から10であり;Ar及びArは、独立して、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びこれらの複素芳香族類似物からなる群から選択されることができる。
【0069】
前記第1のデバイス中の前記ホストは、トリフェニレン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザトリフェニレン、アザカルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、及びアザ-ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含むことができる。
【0070】
前記ホストは、下記からなる群から選択されることができる。
【化16】
【0071】
請求項6に記載の第1のデバイスにおいて、前記ホスト材料は、金属錯体を含む。
【0072】
本開示の更に別の態様に置いては、C2n+1-m及びC2q-1-mからなる群から選択される、少なくとも1つの非共役の置換基Rを有する化合物を含む組成物が開示され;Rは、芳香族環に直接結合される。nは、1超の整数であり、qは2超の整数であり、mは0超の整数であり、Fを結合して有するCは、少なくとも1つの炭素原子によって、前記芳香族環から離れている。前記組成物は、本明細書に記載される溶媒、ホスト、正孔注入材料、正孔輸送材料、及び電子輸送層材料からなる群から選択される1つ以上の成分を含むことができる。
【0073】
材料合成
【0074】
特段の断りがない限り、反応はいずれも、窒素保護下で行われた。反応のための溶媒は、いずれも無水であり、商業的供給源から入手したものを使用した。
【0075】
比較化合物1の合成
【0076】
(2-アミノ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノールの合成
【化17】
添加の漏斗及び冷却器を装備した三ツ口のRBフラスコ中で、テトラヒドロフラン(120mL)中で2-アミノ-6-(トリフルオロメチル)安息香酸(20g、97mmol)を溶解した。溶液を氷水浴中で冷却した。LiAlH(83mL、166mmol)(THF中2M溶液)をその後滴下した。全てのLiAlH溶液を添加した後、反応混合物を室温まで温め、室温で一晩撹拌した。10mLの水を添加し、その後10mLの15%NaOHを添加し、更にその後25mLの水を添加して、反応物をクエンチした。塩を濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。生成物をそのまま用いた(18g、収率97%)。
【0077】
2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(トリフルオロメチル)キノリンの合成
【化18】
トルエン(310ml)中、(2-アミノ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノール(18g、94mmol)、1-(3,5-ジメチルフェニル)エタノン(19.5ml、130mmol)、粉末状水酸化カリウム(0.90g、16.0mmol)、及びRuCl(PPh(0.45g、0.47mmol)との混合物を一晩還流した。室温まで冷却すると、混合物を水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した(3回)。粗生成物をセライトに塗布し、ヘプタン中5%EAを用いて始めるCCで精製した。得られた生成物をメタノールから再結晶化し、黄色結晶として2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(トリフルオロメチル)キノリンを得た(10g、収率35%)。
【0078】
Ir(III)二量体の合成
【化19】
エトキシエタノール(30mL)及び水(10mL)中で、2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(トリフルオロメチル)キノリン(3.00g、9.96mmol)を溶解し、30分間窒素で脱気した。その後、塩化イリジウム(0.92g、2.49mmol)を溶液に添加し、反応物を窒素下で24時間還流した。室温まで冷却した後、固体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して、茶色の粉末として、Ir(III)二量体を得た(1.0g、収率49%)。
【0079】
比較化合物1の合成
【化20】
Ir(III)二量体(1.08g、0.65mmol)及び3,7-ジエチルノナン-4,6-ジオン(1.38g、6.52mmol)をエトキシエタノール(22mL)中で希釈し、混合物を15分間窒素ガスでバブルして脱気した。KCO(0.90g、6.52mmol)をその後添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。混合物をジクロロメタン(“DCM”)で希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、DCMで洗浄した。ヘプタン/DCMが80/20の溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィー(トリエチルアミン(TEA)で前処理したシリカ)で粗生成物を精製した。回収された純粋な画分をメタノールから粉砕し、ジクロロメタン/メタノールから固体を再結晶化し、暗赤色の粉末として比較化合物1を得た(0.85g、収率65%)。
【0080】
化合物453の合成
【0081】
2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キノリンの合成
【化21】
5-ブロモ-2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン(1.15g、3.68mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.017g、0.074mmol)、及びCPhos(0.064g、0.147mmol)をフラスコに投入し、100mLのテトラヒドロフランで希釈した。この混合物を窒素で脱気し、シリンジを介して(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヨウ化亜鉛(II)(1.07g、3.68mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、その後200mLの酢酸エチルで2回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗生成物をセライトに塗布し、20%のヘプタン中DCM溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物をヘプタン中で再結晶化し、0.90gの目的化合物を得た(収率81%)。
【0082】
Ir(III)二量体の合成
【化22】
エトキシエタノール(15mL)及び水(5mL)中に、2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キノリン(1.80g、5.47mmol)を溶解し、30分間窒素で脱気した。その後、塩化イリジウム(0.54g、1.46mmol)を溶液に添加し、反応物を窒素下で24時間還流した。室温まで冷却した後、固体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥し、茶色の粉末としてIr(III)二量体を得た(0.95g、収率74%)。
【0083】
化合物453の合成
【化23】
Ir(III)二量体(0.95g、0.537mmol)及び3,7-ジエチルノナン-4,6-ジオン(1.14g、5.37mmol)をエトキシエタノール(15mL)中で希釈し、混合物を窒素ガスで15分間バブルして脱気した。その後、KCO(0.74g、5.37mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。混合物をDCMで希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、DCMで洗浄した。ヘプタン/DCM(100/0~97/3)の溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィー(TEAで前処理したシリカ)で粗生成物を精製した。回収した純粋な画分をメタノールから粉砕し、ジクロロメタン/メタノールから固体を再結晶化し、暗赤色の粉末として化合物453を得た(0.83g、収率73%)。
【0084】
化合物781の合成
【0085】
2,6-ジメチル-8-(5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キノリン-2-イル)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジンの合成
【化24】
8-(5-クロロキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルベンゾフロ[2,3-b]ピリジン(3.40g、9.48mmol)、2’-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-N2,N2,N6,N6-テトラメチル-[1,1’-ビフェニル]-2,6-ジアミン(0.33g、0.76mmol)、及びジアセトキシパラジウム(0.09g、0.38mmol)をフラスコに投入し、THF(150mL)で希釈した。この混合物を窒素でバブルして脱気し、その後、シリンジを介して(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヨウ化亜鉛(II)(40mL、11.8mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了すると、塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、その後2回200mLの酢酸エチルで抽出した。これらの抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、その後濾過し、真空下で濃縮した。20/80の酢酸エチル/ヘプタンを用いたカラムクロマトグラフィーで粗残渣を精製した。合わせた画分をヘプタン中で粉砕し、オフホワイトの粉末として2,6-ジメチル-8-(5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キノリン-2-イル)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジンを得た(2.55g、収率64%)。
【0086】
Ir(III)二量体の合成
【化25】
2,6-ジメチル-8-(5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キノリン-2-イル)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン(2.55g、6.07mmol)を2-エトキシエタノール(19mL)及び水(6mL)中に溶解し、窒素で30分間バブルして脱気した。その後、塩化イリジウム(0.56g、1.52mmol)を溶液(幾つかの配位子が沈殿した)に添加し、反応物を窒素下で24時間還流した。室温まで冷却した後、固体を濾過し、メタノールで洗浄し、赤色粉末としてIr(III)二量体を得た(1.10g、収率68%)。
【0087】
化合物781の合成
【化26】
Ir(III)二量体(1.00g、0.47mmol)及び3,7-ジエチルノナン-4,6-ジオン(0.91g、4.26mmol)を2-エトキシエタノール(14mL)中で希釈し、混合物を窒素ガスで15分間バブルして脱気した。その後、KCO(0.59g、4.26mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、DCMで洗浄した。ヘプタン/ジクロロメタンが80/20の溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィー(TEAで前処理したシリカ)で粗生成物を精製した。合わせた画分をメタノールから粉砕し、固体をジクロロメタン/メタノールから1回再結晶化した。表題の生成物を赤色粉末として得た(0.8g、収率76%)。
【0088】
化合物699の合成
【0089】
2-(4-フルオロ-3,5-ジメチルフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの合成
【化27】
5-ブロモ-2-フルオロ-1,3-ジメチルベンゼン(20g、100mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(51g、200mmol)、Pd(dba)(1.83g、2.00mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン(SPhos)(3.28g、8.00mmol)、酢酸カリウム(24.5g、250mmol)、及びジオキサン(600mL)を三ツ口丸底フラスコに合わせた。冷却器を取り付け、系を排気し、窒素で3回パージした。反応物を加熱して一晩還流した。完了すると、反応物をセライトに通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を暗赤色の油状物に濃縮し、400mLのヘプタン中に溶解し、焼結フィルター漏斗においてシリカゲルのプラグに充填した。シリカゲルを2Lのヘプタンで洗浄し、その後98/2のヘプタン/酢酸エチル1Lを添加し、生成物の多くを再結晶化し、ビスピノコレートを除去した。これらの部分を合わせて、濃縮し、30gの黄色油状物を得て、ヘプタン~95/5ヘプタン/酢酸エチル溶媒系を用いたシリカゲルで精製した。所望の生成物を含む画分を合わせて、濃縮し、17.5gの淡黄色の固体を70%の収率で得た。
【0090】
7-クロロ-4-(4-フルオロ-3,5-ジメチルフェニル)キナゾリンの合成
【化28】
4,7-ジクロロキナゾリン(4.0g、20.1mmol)、2-(4-フルオロ-3,5-ジメチルフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(5.53g、22.1mmol)、炭酸ナトリウム(5.33g、50.2mmol)、パラジウムテトラキス(0.70g、0.60mmol)、ジメトキシエタン(“DME”)(160mL)、及び水(40mL)を3つ口丸底フラスコに合わせた。冷却器を取り付け、その後系を排気し、窒素で3回パージした。反応物を一晩活発に還流した。反応物を酢酸エチル、水、及び食塩水で希釈した。水溶液を分割し、有機物を食塩水で一回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、その後濃縮して黄色固体とした。DCM~85/15DCM/酢酸エチル溶媒系を用いたシリカゲルで黄色固体を精製し、淡黄色の固体4.1gを収率71%で得た。
【0091】
4-(4-フルオロ-3,5-ジメチルフェニル)-7-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キナゾリンの合成
【化29】
7-クロロ-4-(4-フルオロ-3,5-ジメチルフェニル)キナゾリン(2.75g、9.59mmol),2’-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-N2,N2,N6,N6-テトラメチル-[1,1’-ビフェニル]-2,6-ジアミン(CPhos)(0.34g、0.77mmol)、及びジアセトキシパラジウム(0.090g、0.38mmol)、及び100mLの無水THFをオーブン乾燥した(炉乾燥した)3つ口丸底フラスコに置いた。系を排気し、窒素で3回パージした。(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヨウ化亜鉛(II)(86ml、19.2mmol)をシリンジを介して添加した。反応が完了すると、塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチルが入った分液漏斗に移した。水溶液を分離し、有機物を食塩水で一回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し濃縮した。DCM~90/10DCM/酢酸エチル溶媒系を用いたシリカゲルで粗固体を精製し、紅褐色固体を3.3g得た。80/20~85/15アセトニトリル/水の溶媒系を用いたC18カートリッジを用いて、3.3gの固体を精製した。合わせた画分を濃縮し、一晩真空オーブンで乾燥し、2.36gの白色固体を71%の収率で得た。
【0092】
Ir(III)二量体の合成
【化30】
4-(4-フルオロ-3,5-ジメチルフェニル)-7-(3,3,3-トリフルオロプロピル)キナゾリン(2.56g、7.34mmol)をRBFに入れ、エトキシエタノール(23mL)及び水(8mL)中に溶解した。混合物を15分間窒素ガスで脱気し、その後塩化イリジウム(0.68g、1.84mmol)を入れ、反応物を105℃で24時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、10mLのMeOHで希釈し、MeOHで洗浄した。オレンジ色の粉末としてIr(III)二量体を得た(1.50g、収率89%)。
【0093】
化合物681の合成
【化31】
前記二量体(1.50g、0.81mmol)、3,7-ジエチルノナン-4,6-ジオン(1.73g、8.13mmol)、及び2-エトキシエタノール(50ml)を丸底フラスコに合わせた。15分間窒素を懸濁液に直接バブルした。炭酸カリウム(1.12g、8.13mmol)を添加し、反応を室温で一晩進めた。完了すると、赤色になるまで、DCMを用いて反応物をセライトに通して濾過した。溶液を濃縮して暗赤色の油状固体を得て、DCM中に溶解し、セライトに吸着させた。サンプルをシリカゲルで精製し、0.24gの暗赤色固体を13%の収率で得た。
【0094】
化合物22の合成
【0095】
(4,4,4-トリフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)ヨウ化亜鉛(II)の合成
【化32】
塩化リチウム(1.87g、44.1mmol)を反応フラスコに投入した。フラスコを排気し、ヒートガンで10分間加熱した。フラスコを室温まで冷却し、亜鉛(2.88g、44.1mmol)をフラスコに添加した。フラスコを再度排気し、ヒートガンで10分間加熱した。フラスコを室温まで冷却し、THF(80mL)を反応物に注入し、1,2-ジブロモエタン(0.42mL、4.90mmol)を添加した。この混合物を60℃に設定したオイルバス中で30分間撹拌した。4mLのTHFに溶解した二ヨウ素(0.25g、0.98mmol)及びクロロトリメチルシラン(0.12ml、0.98mmol)を添加して、混合物を室温まで冷却した。混合物を再度60℃に設定したオイルバス中で30分間撹拌した。混合物を再度室温まで冷却した。その後、シリンジを介して反応混合物に1,1,1-トリフルオロ-4-ヨード-2-(トリフルオロメチル)ブタン(7.50g、24.5mmol)を注入した。不均一な反応混合物を撹拌し、50℃に設定したオイルバス中で一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、撹拌を停止した。生成物をそのまま使用した。
【0096】
2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(4,4,4-トリフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)キノリンの合成
【化33】
8-(5-クロロキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルベンゾフロ[2,3-b]ピリジン(3.40g、9.48mmol)、2’-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-N2,N2,N6,N6-テトラメチル-[1,1’-ビフェニル]-2,6-ジアミン(CPhos)(0.33g、0.76mmol)、及びジアセトキシパラジウム(0.09g、0.38mmol)をTHF(190mL)で希釈した。この混合物を窒素ガスで15分間バブルして脱気し、シリンジを介して(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヨウ化亜鉛(II)(35mL、10.4mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了すると、混合物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、200mLの酢酸エチルで2回抽出した。これらの抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。ヘプタン/EA(95/5~90/10)の溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィーを介して粗生成物を精製した。生成物をメタノールで粉砕し、ヘプタンから再結晶化し、白色固体として2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(4,4,4-トリフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)キノリンを得た(2.5g、収率51%)。
【0097】
Ir(III)二量体の合成
【化34】
2-(3,5-ジメチルフェニル)-5-(4,4,4-トリフルオロ-3-(トリフルオロメチル)ブチル)キノリン(2.48g、6.02mmol)を丸底フラスコに入れ、エトキシエタノール(24mL)及び水(8mL)中に溶解した。混合物を窒素ガスで15分間バブルして脱気し、その後塩化イリジウム(0.72g、1.94mmol)を入れて、反応物を105℃で24時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、10mLのMeOHで希釈し、濾過し、MeOHで洗浄し、Ir(III)二量体を得た(1.2g、収率59%)。
【0098】
化合物22の合成
【化35】
Ir(III)二量体(0.50g、0.24mmol)をエトキシエタノール(8mL)中に溶解し、ペンタン-2,4-ジオン(0.25mL、2.39mmol)を添加した。混合物を窒素ガスで15分間バブルして脱気し、その後KCO(0.33g、2.39mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。反応が完了すると、混合物をDCMで希釈し、セライトに通して濾過し、DCMで洗浄した。粗生成物をセライトに塗布し、ヘプタン/DCM(95/5)の溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィー(TEAで前処理した)を介して精製した。MeOH/DCM、EtOH/DCM、及びTHF/i-PrOHから生成物を数回(5回)再結晶化し、0.18gの目的化合物を得た(収率34%)。
【0099】
化合物473の合成
【化36】
Ir(III)二量体(0.70g、0.33mmol)をエトキシエタノール(15mL)中に溶解し、3,7-ジエチルノナン-4,6-ジオン(0.71g、3.34mmol)を添加した。混合物を15分間窒素ガスでバブルして脱気し、その後KCO(0.46g、3.34mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。反応が完了すると、混合物をDCMで希釈し、セライトに通して濾過し、DCMで洗浄した。粗生成物をセライトに塗布し、ヘプタン/DCM(95/5~90/10)の溶媒系を用いたカラムクロマトグラフィー(TEAで前処理した)を介して精製した。生成物をメタノールから粉砕し、0.21gのドーパントを得た(収率26%)。
他の材料との組合せ
【0100】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
HIL/HTL:
【0101】
本発明の実施形態において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0102】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化37】
【0103】
ArからArのそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0104】
一態様において、ArからArは、
【化38】
からなる群から独立に選択される。
式中、kは1から20までの整数であり;X101からX108はC(CHを含む)又はNであり;Z101はNAr、O、又はSであり;Arは、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0105】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれに限定されない。
【化39】
式中、Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y101-Y102)は二座配位子であり、Y101及びY102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L101は補助配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0106】
一態様において、(Y101-Y102)は2-フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y101-Y102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
ホスト:
【0107】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。下記の表において、各色を発光するデバイスに好ましいホスト材料が分類されているが、三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いてもよい。
【0108】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化40】
式中、Metは金属であり;(Y103-Y104)は二座配位子であり、Y103及びY104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0109】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化41】
式中、(O-N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0110】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y103-Y104)はカルベン配位子である。
【0111】
ホスト材料として使用される有機化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0112】
一態様において、ホスト化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化42】
式中、R101からR107は、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数であり;k’’’は、0から20までの整数である。X101からX108はC(CHを含む)又はNから選択される。Z101及びZ102はNR101、O、又はSである。
HBL:
【0113】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイスにおけるそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、発光をOLEDの所望の領域に制限することもできる。
【0114】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子を含有する。
【0115】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化43】
式中、kは1から20までの整数であり;L101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
ETL:
【0116】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0117】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化44】
式中、R101は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。ArからArは、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X101からX108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0118】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化45】
式中、(O-N)又は(N-N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0119】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスは、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンも包含する。
【0120】
本明細書において開示されている材料に加えて且つ/又はそれらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロッキング層材料、電子輸送及び電子注入材料がOLEDにおいて使用され得る。OLED中で本明細書において開示されている材料と組み合わせて使用され得る材料の非限定的な例を、以下の表Aに収載する。表Aは、材料の非限定的なクラス、各クラスについての化合物の非限定的な例、及び該材料を開示している参考文献を収載する。
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】
【表A-5】
【表A-6】
【表A-7】
【表A-8】
【表A-9】
【表A-10】
【表A-11】
【表A-12】
【表A-13】
【表A-14】
【表A-15】
【表A-16】
【表A-17】
【表A-18】
【表A-19】
【表A-20】
【表A-21】
【表A-22】
【実施例
【0121】
デバイス実施例
【0122】
実施例デバイスはいずれも高真空下(<10-7Torr)における熱蒸着で作製した。アノード電極は、1200Åの酸化インジウムスズ(ITO)であった。カソードは、10ÅのLiFと、1,000ÅのAlとからなった。デバイスはいずれも、作製後直ちに、窒素グローブボックス(HO及びOは、<1ppm)中で、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージに入れた。デバイス実施例の有機積層体は、ITO表面から順に、正孔注入層(HIL)として100ÅのLG101(LG chemから購入)と;正孔輸送層(HTL)として400Åの4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)と;ホストとして化合物H(79%)、安定ドーパント(SD)(18%)、及び発光体として化合物453、化合物781,又は化合物699を含む300Åの発光層(EML)と;ブロッキング層として100Åの化合物Hと;及びETLとして450ÅのAlq(トリス-8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)とからなった。発光体は、所望の色を提供するために選ばれ、安定ドーパント(SD)は、電子輸送ホスト及び発光体と混合し、発光層中で正荷電を輸送することを助ける。EML中の発光体として比較化合物1を使用した以外は、比較例デバイスは、デバイス実施例と同様に作製した。表1は、デバイス中のEMLの組成を表し、デバイス結果及びデータは表2にまとめた。本明細書では、NPD、化合物H、SD、及びAlQは、下記の構造で表される。
【化46】
【0123】
比較例
実験で使用された比較化合物1は、下記の構造で表される。
【化47】
【0124】
発明化合物:
実験で使用された代表的な発明化合物である化合物453、化合物781、化合物699、化合物22、及び化合物473は、下記の構造で表される。
【化48】
【0125】
下記表1は、実験デバイスにおけるEML層中の発光ドーパントとして使用された化合物の一覧である。
【表1】
【0126】
下記表2は、発明デバイス実施例1、2、3、4、及び5、並びに比較デバイス例1のデバイス性能データを提供する。
【表2】
【0127】
表2は、実験デバイスの性能をまとめる。1931CIE値を10mA/cmで測定した。発光効率を1000cd/mで測定した。比較例1のEQE及びLT95%は、1.00の値とした。発明実施例から得られた値は、比較例から得られた値に対する相対値である。発明デバイス実施例のいずれも、比較例1よりもより高い外部量子効率(EQE)を示す(1.74、1.74、1.82、1.64、及び1.80対1.00)。発明化合物である化合物453、781、699、22、及び473(発明デバイス実施例1、2、3、4、及び5)の1,000ニトにおける、LT95%で表される寿命も、比較化合物1(比較例1)の寿命よりもより安定していた(8.55、9.09、5.73、1.53、及び1.54対1.00)。
【0128】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0129】
【文献】米国特許第5,844,363号明細書
【文献】米国特許第6,303,238号明細書
【文献】米国特許第5,707,745号明細書
【文献】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0130】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第一の導電層
164 第二の導電層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード
図1
図2