(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】導波管フィルタ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/208 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
H01P1/208 Z
(21)【出願番号】P 2021539914
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(86)【国際出願番号】 KR2020000174
(87)【国際公開番号】W WO2020145590
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0002388
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0178270
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナム シン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ホ シン
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106960994(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106025468(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103618122(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0301781(US,A1)
【文献】特表2018-538763(JP,A)
【文献】特開平08-330809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/208
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の共振ブロックを形成するハウジング;
前記複数の共振ブロックの各共振ブロックに設けられる共振器ポストにより形成される複数の共振器;
前記複数の共振ブロックの境界に形成され、各共振ブロックを区分する複数の隔壁;および
前記複数の共振器に隣接して設けられ、隣接した複数の共振器間のクロスカップリングを形成するノッチポスト;を含み、
前記ノッチポストは、位置または形状によって前記複数の共振器間のクロスカップリングの強さが変更可能である、導波管フィルタ。
【請求項2】
前記ノッチポストは、
前記複数の共振器に備えられる前記共振器ポストとの距離によって前記複数の共振器間のクロスカップリングの特性が、インダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングに設定される、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項3】
前記ノッチポストは、
前記クロスカップリングを行うことによって相互隣接した共振器間に既形成されたインダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングが、前記複数の共振器に備えられる前記共振器ポストとの距離の変動によって変動されて設定される、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項4】
前記ノッチポストは、
少なくとも4つの共振器に隣接して位置される、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項5】
前記ノッチポストは、
順次にインダクティブカップリングを形成する少なくとも4つの共振器に隣接して位置され、前記複数の隔壁により区分されながらも、前記複数の隔壁間のオープン区間によりインダクティブカップリングの設定が可能であるように位置される、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項6】
前記ノッチポストは、
前記少なくとも4つの共振器に対して3つのクロスカップリングの形成が可能である、請求項4または請求項5に記載の導波管フィルタ。
【請求項7】
前記ノッチポストは、
隣接した複数の共振器の少なくとも1つの共振器に近接して設けられ、前記少なくとも1つの共振器
を含む共振器間のクロスカップリングの強さを増加させる、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項8】
前記ノッチポストは、
前記近接して設けられる少なくとも1つの共振器間にキャパシティブカップリングを形成する、請求項7に記載の導波管フィルタ。
【請求項9】
前記ノッチポストは、前記ハウジングの上端面または下端面の少なくともいずれか一つに形成され、
前記ハウジングの上端面に形成される場合、前記ハウジングの上端面から内部に所定の深さで突出して設けられる、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項10】
前記ノッチポストは、前記ハウジングの上端面または下端面の少なくともいずれか一つに形成され、
前記ハウジングの下端面に形成される場合、前記ハウジングの下端面から内部に所定の深さで突出して設けられる、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項11】
前記ノッチポストは、前記ハウジングの上端面および下端面にそれぞれ形成された場合、前記ハウジングの上端面に形成された上ポストの下端と、前記ハウジングの下端面に形成された下ポストの上端との間の離隔距離は、設定距離以上に設定される、請求項9または請求項10に記載の導波管フィルタ。
【請求項12】
前記ノッチポストは、
前記上ポストと下ポストとの間の離隔距離を前記設定距離以上に保持したまま、それぞれ前記上ポストの所定の深さおよび前記下ポストの所定の深さとの相互割合を調整して、前記クロスカップリングにより設定されたインダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングの強さを調節する、請求項11に記載の導波管フィルタ。
【請求項13】
前記ノッチポストは、
円柱、三角柱、四角柱、N角柱のいずれか一つの形態で形成される、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項14】
前記ノッチポストは、
一側部位が曲線に形成される半円柱に形成され、他側部位が四角柱に形成される、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項15】
前記隔壁は、長さによって前記複数の共振器のうち、隣接した共振器に対するクロスカップリングの強さを調節する、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項16】
前記隔壁は、位置によって前記共振ブロックの大きさを設定する、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナの導波管フィルタ(WAVEGUIDE FILTER)に関するものであって、より詳細には、共振器を含み、クロスカップリングを用いる導波管フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、無線通信サービスの種類が多くなるにつれて、周波数環境が複雑になっている。無線通信のための周波数は限られているので、無線通信チャネルをできる限り隣接させて周波数資源を有効に活用する必要性がある。
【0003】
しかし、様々な無線通信サービスが提供されている環境で信号干渉が生じることになるので、アンテナは、隣接した周波数資源間の信号干渉を最小化するためには、特定の帯域に対する帯域フィルタを含む。
【0004】
一般的に、帯域フィルタの減衰特性を改善するために伝送零点(transmission zero、以下、「ノッチ(notch)」という。)の適用が必須的であり、これは隣接していない共振素子の間にクロスカップリング(cross coupling)を適用して実現する。
【0005】
RFフィルタのうち誘電体導波管フィルタは、周囲が導体膜で覆われた誘電体ブロックにノッチの調整のための共振器を含む。共振器は、電磁波に共振特性を与えて特定の周波数を制限するように設計される。
【0006】
このとき、偶数個の共振器を飛ばしてクロスカップリングを形成すると、パスバンドの左右対称のノッチが生じ、奇数個の共振器を飛ばしてクロスカップリングを形成すると、カップリングの種類によって左側または右側に1つのノッチが生じることが一般的である。
【0007】
このような通信用フィルタのノッチの実現は、通信システムの性能によって非常に様々に実現する必要性があるが、通信システムの特性に適したフィルタを実現するには性能が制限的である。
【0008】
それにより、アンテナにおいて、特定のパスバンドの左右にノッチを実現できるように、フィルタを通信システムによって異なるように設定する必要がある。
【0009】
特に、1つのクロスカップリングによりパスバンド左右にノッチを実現するにあたり、左右対称ではなく、左側は強いカップリングを形成し、右側は弱いカップリングを形成する必要がある場合、不可避に2つのクロスカップリング構造を使用するしかないが、このような2つのクロスカップリングの実現は、フィルタの設計において多くの制約となり、特にフィルタの内部にクロスカップリングを実現するために追加する構造物を挿入しにくいセラミックフィルタの構造では、さらに大きい問題となる。
【0010】
また、パスバンドの左側または右側に2つのノッチを実現して所望の特性を満足させるために、奇数個の共振器を飛ばすクロスカップリングの2つを実現する必要があるため、 設計上多くの制約がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、導波管フィルタに関するものであり、共振器を用いたクロスカップリングを通じて特定のパスバンドの特性を強化した導波管フィルタを提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る導波管フィルタは、複数の共振ブロックを形成するハウジングと、前記複数の共振ブロックの各共振ブロックに設けられる共振器ポストにより形成される複数の共振器と、前記複数の共振ブロックの境界に形成され、各共振ブロックを区分する隔壁および、前記複数の共振器に隣接して設けられ、隣接した複数の共振器間のクロスカップリングが形成されるようにするノッチポストと、を含み、前記ノッチポストは、位置または形状によって前記複数の共振器間のクロスカップリングの強さが変更されることを特徴とする。
【0013】
また、前記ノッチポストは、前記複数の共振器に備えられる前記共振器ポストとの距離によって前記複数の共振器間のクロスカップリングの特性が、インダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングに設定されてもよい。
【0014】
また、前記ノッチポストは、前記クロスカップリングにより相互隣接した共振器間に既形成されたインダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングが、前記複数の共振器に備えられる前記共振器ポストとの距離によって変動されて設定されてもよい。
【0015】
また、前記ノッチポストは、少なくとも4つの共振器に隣接して位置されてもよい。
【0016】
また、前記ノッチポストは、順次に隣接カップリングを形成する少なくとも4つの共振器に隣接して位置され、前記複数の隔壁により区分される各共振ブロックの少なくとも一部を形成して位置されてもよい。
【0017】
また、前記ノッチポストは、前記少なくとも4つの共振器に対して3つのクロスカップリングの形成が可能である。
【0018】
また、前記ノッチポストは、隣接した複数の共振器の少なくとも1つの共振器に近接して設けられ、前記少なくとも1つの共振器に対するクロスカップリングの強さを増加させてもよい。
【0019】
また、前記ノッチポストは、近接して設けられる前記少なくとも1つの共振器間にキャパシティブカップリングを形成してもよい。
【0020】
また、前記ノッチポストは、前記ハウジングの上端面または下端面の少なくとも一つに形成され、前記ハウジングの上端面に形成される場合、前記ハウジングの上端面から内部に所定の深さで突出して設けられてもよい。
【0021】
また、前記ノッチポストは、前記ハウジングの上端面または下端面の少なくともいずれか一つに形成され、前記ハウジングの下端面に形成される場合、前記ハウジングの下端面から内部に所定の深さで突出して設けられてもよい。
【0022】
また、前記ノッチポストは、前記ハウジングの上端面および下端面にそれぞれ形成された場合、前記ハウジングの上端面に形成された上ポストの下端と、前記ハウジングの下端面に形成された下ポストの上端との間の離隔距離は、設定距離以上に設定されてもよい。
【0023】
また、前記ノッチポストは、上ポストと下ポストとの間の離隔距離を前記設定距離以上に保持したまま、それぞれ前記上ポストの所定の深さおよび前記下ポストの所定の深さとの相互割合を調整して、前記クロスカップリングによって設定されたインダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングの強さを調節することができる。
【0024】
また、前記ノッチポストは、円柱、三角柱、四角柱、N角柱のいずれか一つの形態で形成されてもよい。
【0025】
また、前記ノッチポストは、一側部位が曲線に形成され、他側部位が四角柱に形成されてもよい。
【0026】
また、前記隔壁は、位置によって前記複数の共振器のうち、隣接した共振器に対するクロスカップリングの強さを調節することができる。
【0027】
また、前記隔壁は、位置によって前記共振ブロックの大きさを設定することができる。
【発明の効果】
【0028】
前記のように構成される本発明に係る導波管フィルタは、クロスカップリングを通じて特定のパスバンドの両側に特性によってノッチを実現し、容易にフィルタを設計することができ、フィルタの特性を改善することができる。
【0029】
本発明は、ノッチポストを用いて限られた空間内でのクロスカップリングを設定することができる。
【0030】
本発明は、ノッチポストの位置または形態の変更を通じてクロスカップリングの特性を変更してフィルタ特性を変更することができる。
【0031】
本発明は、ノッチポストの位置または形態の変更を通じて所望の特性にパスバンドの左側または右側にノッチを形成することができる。
【0032】
本発明は、セラミックまたは空気を誘電体として使用する導波管フィルタで、誘電体の種類にかかわらず容易にフィルタを設計することができる。
【0033】
本発明は、ノッチポストを設けることによって、その位置および形状によって様々なフィルタの性能を実現することができる。
【0034】
本発明は、フィルタの複雑度を単純化して製造原価を下げ、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタが示された図である。
【
図4】本発明の第2の実施例に係る導波管フィルタが示された図である。
【
図7】本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタが示された図である。
【
図9】本発明に係る導波管フィルタのノッチポストの構造の変更を説明するのに参照される図である。
【
図10】本発明に係る導波管フィルタのクロスカップリングを説明するのに参照される図である。
【
図11】本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタの平面図であって、隔壁の構造の変更を説明するのに参照される図である。
【
図12】本発明に係る導波管フィルタのフィルタ特性を示すグラフである。
【
図13】本発明に係る導波管フィルタのフィルタ特性を示すグラフである。
【
図14】本発明に係る導波管フィルタのフィルタ特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明のメリットおよび特徴、そして、それらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述する実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、異なる様々な形態に実現することができ、単に、本実施例は、本発明の開示が完全になるようにして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されているものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるのみである。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を称する。
【0037】
以下では、図面を参照して、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0038】
図1は、本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタが示された図であり、
図2は、
図1の導波管フィルタの側面図であり、
図3は、
図1の導波管フィルタの平面図である。
【0039】
通信用アンテナは、特定のパスバンドの信号をフィルタリングするためのフィルタを含む。フィルタは、特性によってキャビティフィルタ、導波管フィルタなどが使用され得るが、本発明の実施例では、アンテナに備えられる導波管フィルタを中心に説明する。
【0040】
図1~
図3に参照されているように、本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、複数の共振ブロック(11~16)を含む。
【0041】
第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、少なくとも4つ以上の共振ブロックを含み、例えば、1つのフィルタ内に4つ~20の共振ブロックを含んでもよい。本発明の第1の実施例の導波管フィルタは、6つの共振ブロック(11~16)で構成されることを例にして説明する。
【0042】
本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、1つのハウジング(99)に複数の共振ブロック(11~16)が形成され、各共振ブロック(11~16)は、後述する隔壁(40)によって区分することができる。
【0043】
各共振ブロック(11~16)の内部は、誘電体で満たされており、誘電体材料としては、セラミックまたは空気が使用されてもよいが、他の誘電体材料も使用されてもよい。
【0044】
複数の共振ブロック(11~16)は、それぞれ1つの共振器として動作し、4つの共振ブロックを通じて4つの共振器で構成された導波管フィルタを形成することができる。本発明の第1の実施例では、6つの共振ブロック(11~16)が備えられるため、6つの共振器(丸1~丸6)として動作することができる。なお、「丸1」とは、図面において丸(円)で囲まれた数字を示す。
【0045】
一方、各共振ブロック(11~16)には、共振器ポスト(31~36)が備えられてもよい。共振器ポスト(31~36)は、各共振ブロック(11~16)の上端面または下端面に備えられてもよい。第1の共振器ポスト(31)が、第1の共振ブロック(11)の上端面に設けられる場合、他の共振器ポスト(32~36)も、各共振ブロック(12~16)の上端面に設けられることが好ましい。
【0046】
第1の共振ブロック乃至第6の共振ブロック(11~16)は、第1の共振器ポスト乃至第6の共振ポスト(31~36)と結合し、それぞれ1つの共振器として動作する。それにより、第1の共振器乃至第6の共振器(後述する
図6の丸1~丸6)を形成することができる。ここで、第1の共振器ポスト乃至第6の共振ポスト(31~36)は、それぞれの内部に空気を含む誘電体が満たされる形態で備えられてもよい。空気が誘電体である場合、実質的に第1の共振器ポスト乃至第6の共振ポスト(31~36)は空の空間として形成されるものであるが、本発明の実施例では、理解の混乱を防止するために、「ポスト」という物理的な(または、機械的)の用語を使用することにする。しかし、空気が誘電体である場合には「空の空間」として理解されるべきである。後述する隔壁(40)も同様に解釈することができる。
【0047】
それぞれの共振ブロック(11~16)の間には、隔壁(wall)(40、41~46))を形成することができ、隔壁(40)の大きさ(幅、長さ)と位置によって各共振ブロック(11~16)の大きさおよび共振特性が可変され得る。
【0048】
例えば、第1の共振ブロック(11)と第2の共振ブロック(12)との間には、第1の隔壁(41)が形成される。第1の隔壁(41)を基準として、第1の共振ブロック(11)と第2の共振ブロック(12)とを区分することができる。また、第2の共振ブロック(12)と第3の共振ブロック(13)との間には、第2の隔壁(42)が形成される。第2の隔壁(42)を基準として、第2の共振ブロック(12)と第3の共振ブロック(13)とを区分することができる。また、第3の共振ブロック(13)と第4の共振ブロック(14)との間には、第3の隔壁(43)が形成される。第3の隔壁(43)を基準として、第3の共振ブロック(13)と第4の共振ブロック(14)とを区分することができる。また、第4の共振ブロック(14)と第5の共振ブロック(15)との間には、第4の隔壁(44)が形成される。第4の隔壁(44)を基準として、第4の共振ブロック(14)と第5の共振ブロック(15)とを区分することができる。また、第5の共振ブロック(15)と第6の共振ブロック(16)との間には、第5の隔壁(45)が形成される。第5の隔壁(45)を基準として、第5の共振ブロック(15)と第6の共振ブロック(16)とを区分することができる。そして、最後に、第6の共振ブロック(16)と第1の共振ブロック(11)との間には、第6の隔壁(46)が形成される。第6の隔壁(46)を基準として、第6の共振ブロック(16)と第1の共振ブロック(11)とを区分することができる。
【0049】
一方、本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、
図1~
図3に参照されているように、信号が入力される入力ポスト(21)と信号が出力される出力ポスト(22)とを含んでもよい。
【0050】
入力ポスト(21)と出力ポスト(22)とは、それぞれ異なる共振ブロックに形成され、入力ポスト(21)と出力ポスト(22)とは、それぞれ共振ブロック内のある一面に設けられてもよい。
【0051】
入力ポスト(21)と出力ポスト(22)とは、導波管フィルタ(100)の両方の端の共振ブロック(例えば、第1の共振ブロック(11)および第6の共振ブロック(16)または第3の共振ブロック(13)および第4の共振ブロック(14))にそれぞれ形成されてもよい。入力ポスト(21)と出力ポスト(22)とは、それぞれ異なるブロックに対称的に設けられてもよい。例えば、
図3に参照されているように、第1の共振ブロック(11)に入力ポスト(21)が設けられ、第6の共振ブロック(16)に出力ポスト(22)が設けられてもよい。
【0052】
入力ポスト(21)を通じてフィルタリングするRF信号が入力されると、入力されたRF信号は、第1の共振ブロック(11)の第1の共振器(丸1)により共振が行われた後、オープン区間を通じてインダクティブカップリングによって隣接する第2の共振ブロック(12)の第2の共振器(丸2)に伝達され、順次に各オープン区間のインダクティブカップリングによって第3の共振ブロック(13)の第3の共振器(丸3)、第4の共振ブロック(14)の第4の共振器(丸4)、第5の共振ブロック(15)の第5の共振器(丸5)および第6の共振ブロック(16)の第6の共振器(丸6)に伝達された後、出力ポスト(22)を通じてフィルタリングされたRF信号が出力され得る。
【0053】
一方、本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、共振ブロック(11~16)間のクロスカップリングを実現するノッチポスト(50)をさらに含んでもよい。ここで、ノッチポスト(50)は、
図1に参照されているように、ハウジング(99)の上端面または下端面の少なくともいずれか一つに形成されてもよい。ただし、本発明の第1の実施例では、ノッチポスト(50)がハウジング(99)の上端面および下端面にそれぞれ形成される場合に限定して説明する。
【0054】
より詳細には、ノッチポスト(50)は、共振ブロック(11~16)間の上端面に上ポスト(51)が設けられ、対応する位置の下端面に下ポスト(52)が設けられてもよい。
【0055】
ここで、上ポスト(51)は、ハウジング(99)の上端面から内部に所定の深さで突出され、下段のポスト(52)は、上ポスト(51)と対面する位置に、ハウジング(99)の下端面から内部に所定の深さで突出されて設けられてもよい。ここで、上ポスト(51)と下ポスト(52)とは、相互に対面する位置に設けられ、相互に連結されないように形成されてもよい。すなわち、上ポスト(51)の下端と下ポスト(52)の上端との間には離隔するように形成され、その離隔距離は、設定距離(L)以上に設定されてもよい。
【0056】
また、上ポスト(51)の所定の深さと下ポスト(52)の所定の深さとは、相互同一である必要はなく、後述のように、クロスカップリングを通じるキャパシティブカップリングまたはインダクティブカップリングの強さの調節のために、相互異なるように設定されもよい。
【0057】
例えば、ハウジング(99)の全体の厚さが6mmである場合、前述の離隔距離として設定される設定距離(L)は、1.2mm以上に設定されることが好ましく、この場合、上ポスト(51)の所定の深さおよび下ポスト(52)の所定の深さは、前記設定距離(L)である1.2mmを引いた範囲である4.8mmの範囲内で配分されて設定されてもよい。
【0058】
ここで、上ポスト(51)と下ポスト(52)との間の離隔距離を、設定距離(L)以上に保持したまま、それぞれ上ポスト(51)の所定の深さおよび前記下ポスト(52)の所定の深さの相互割合を調整して、クロスカップリングにより設定されたインダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングの強さを調節することができる。
【0059】
この場合、上ポスト(51)の所定の深さおよび下ポスト(52)の所定の深さを同一に設定(前記例によれば、2.4mm)することが好ましい。
【0060】
また、ノッチポスト(50)は、共振器ポスト(31~36)のように、上端面または下端面のいずれか一面に設けられることも可能である。したがって、ノッチポスト(50)は、ハウジング(99)の上端面から内部に突出して設けられるか、ハウジング(99)の下端面から内部に突出して設けられてもよい。この場合にも、ノッチポスト(50)によってハウジング(99)が厚さ方向に完全に貫通してはならず、ハウジング(99)の上端面または下端面から前述の設定距離(L)だけの離隔距離を有するように形成されることが好ましい。
【0061】
6つの共振ブロック(11~16)で構成された導波管フィルタ(100)において、ノッチポスト(50)は、第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)との間に設けられる。第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)は相互に連結され、それぞれ隔壁(40、特に、42~44)によって区分することができる。ここで、ノッチポスト(50)は、順次にインダクティブカップリングを形成する少なくとも4つの共振器(第2の共振器乃至第5の共振器(丸2~丸5)に隣接して位置され、複数の隔壁(42~44)によって区分されながらも、複数の隔壁(42~44)間のオープン区間によりインダクティブカップリングの設定が可能であるように位置されてもよい。
【0062】
すなわち、ノッチポスト(50)は、第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)の中心地点に設けられ、第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)の共振器(丸2~丸5)との間のクロスカップリングを実現することができる。
【0063】
すなわち、ノッチポスト(50)によって、第2の共振ブロック(12)と第4の共振ブロック(14)との間、第3の共振ブロック(13)と第5の共振ブロック(15)との間および第2の共振ブロック(12)と第5の共振ブロック(15)との間のクロスカップリングを形成することができ、1つのノッチポスト(50)を通じて3つのクロスカップリングを実現することができる。
【0064】
このとき、ノッチポスト(50)は、隔壁(40)との距離、共振器ポスト(32~35)との距離によってパスバンドの両側に形成されるノッチの位置が変更される。したがって、本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、ノッチポスト(50)の位置によってフィルタの特性が変更され得る。ノッチポスト(50)の位置が変更されると、各共振ブロック(12~15)の大きさが変更されるので、共振特性が変更され、ノッチの位置を調節することができるようになる。これについては、後により詳細に説明する。
【0065】
また、ノッチポスト(50)の形態によって共振器ポスト(32~35)または隔壁(40)との距離が変更されるので、フィルタの特性を変更することができる。
【0066】
図4は、本発明の第2の実施例に係る導波管フィルタが示された図であり、
図5は、
図4の導波管フィルタの側面図であり、
図6は、
図4の導波管フィルタの平面図である。
【0067】
図1~
図3に参照されている本発明の第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)において、ノッチポスト(50)は、円柱状に形成されるものを採用している。しかし、必ずしもノッチポスト(50)の形状が円柱状に限定されるものではない。すなわち、ノッチポスト(50)は、第1の実施例(100)の円柱状だけでなく、三角柱や四角柱状に形成されてもよい。
【0068】
図4~
図6に参照されている本発明の第2の実施例に係る導波管フィルタ(200)は、ノッチポスト(50)が第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)の間に四角柱状に形成されてもよい。
【0069】
第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)と比較すると、第2の実施例に係る導波管フィルタ(200)は、共振器としての第1の共振器乃至第6の共振器(丸1~丸6)、第1の共振ブロック乃至第6の共振ブロック(11~16)および第1の共振器ポスト乃至第6の共振ポスト(31~36)および第1の隔壁乃至第6の隔壁(41~46)の形態がいずれも同一であるが、ただノッチポスト(50)の形状だけを異なるように備えられてもよい。
【0070】
本発明の第2の実施例に係る導波管フィルタ(200)も、ノッチポスト(50)によって、第2の共振ブロック(12)と第4の共振ブロック(14)との間、第3の共振ブロック(13)と第5の共振ブロック(15)との間および第2の共振ブロック(12)と第5の共振ブロック(15)との間でクロスカップリングを形成することができ、1つのノッチポスト(50)を通じて3つのクロスカップリングを実現できることはもちろんである。
【0071】
前述のように、ノッチポスト(50)は、円柱状(第1の実施例)、三角柱状(図示せず)または四角柱状(第2の実施例)に形成されてもよい。しかし、ノッチポスト(50)は、これに限定されるものではなく、五角形、六角形のように、N角柱のいずれか一つの形態で形成されてもよいし、後述する
図9に参照されているような形態で形成されてもよい。
【0072】
すなわち、
図9を参照して、予め説明すると、ノッチポスト(50)は、柱の一側部位は曲面に形成され、柱の他側部位は一定の角度の四角柱状に形成されてもよい。すなわち、ノッチポスト(50)は、一側部位が曲線に形成される半円柱状に形成され、他側部位が四角柱状に形成されてもよい。
【0073】
図7は、本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタが示された図であり、
図8は、
図7の導波管フィルタの平面図である。
【0074】
図7および
図8に参照されているように、本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタ(300)は、その全体的な外観の形状が前述した第1の実施例(100)と比較して変更されてもよい。本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタ(300)は、6つの共振ブロック(11~16)で構成されることを例にして説明する。第1の実施例(100)と同一の構成について同一の名称と同一の符号が使用されることがある。
【0075】
本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタ(300)は、
図1~
図3に参照されている第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)と形態は異なるが、同一の特性に実現することができる。
【0076】
すなわち、第3の実施例に係る導波管フィルタ(300)は、インプットポスト(21)と出力ポスト(22)とが位置する第1の共振ブロック(11)および第6の共振ブロック(16)の位置が異なるように構成されるが、第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)を先に説明した第1の実施例(100)と同様に構成することによって、フィルタの形態は異なるが、同一の周波数特性を有するフィルタを実現することができる。
【0077】
それにより、導波管フィルタ(100)は、その形態、すなわち共振ブロック(11~16)の連結による形態変更が可能である。
【0078】
図9は、本発明に係る導波管フィルタのノッチポストの構造の変更を説明するのに参照される図である。
【0079】
図9に参照されているように、ノッチポスト(50)は、隣接した共振ブロック(12~15)の共振器(丸2~丸5)に対して相互カップリングを設定することができる。
【0080】
ノッチポスト(50)は、隣接した共振ブロック、すなわち第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)の第2の共振器乃至第5の共振器(丸2~丸5)に対し、合計3つのクロスカップリングを設定することができる。具体的に、第2の共振ブロック(12)と第4の共振ブロック(14)との間のクロスカップリング(以下、「K24」と称する)、第3の共振ブロック(13)と第5の共振ブロック(15)との間のクロスカップリング(以下、「K35」と称する)および第2の共振ブロック(12)と第5の共振ブロック(15)との間のクロスカップリング(以下、「K25」と称する)を形成することができ、1つのノッチポスト(50)を通じて3つのクロスカップリング(K24、K35、K25)を実現することができる。
【0081】
まず、本発明の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、ノッチポスト(50)の位置が変更される場合、隣接した共振ブロックの共振器ポストとの距離が変更されるので、フィルタ特性が変更され得る。すなわち、ノッチポスト(50)は、クロスカップリングを行うことによって相互隣接した共振器間に既形成されたインダクティブカップリングまたはキャパシティブカップリングが、複数の共振器(丸2~丸5)に備えられる共振器ポスト(12~15)との距離の変動によって変動されて設定されてもよい。
【0082】
ここで、ノッチポスト(50)の位置が変更されると、共振ブロック間に形成された隔壁(40)との距離も変更されるので、導波管フィルタ(100)は、全体的なフィルタ特性が変更される。
【0083】
一方、導波管フィルタ(100)は、ノッチポスト(50)の形態、模様によってフィルタ特性が変更され得る。
【0084】
このように、導波管フィルタ(100)は、ノッチポスト(50)の位置または形態(模様)により、隣接した共振ブロック、すなわち第2の~第5の共振ブロック(12~15)の共振器間のクロスカップリングが、インダクティブカップリング(inductive coupling)またはキャパシティブカップリング(capacitive coupling)として役割を果たす。
【0085】
それにより、ノッチポスト(50)の位置および形態の変化により、各共振ブロック(12~15)の共振器ポスト(32~35)とノッチポスト(50)との相互間隔によってクロスカップリングの強さが変更されるので、フィルタ共振器の間に構成された隔壁(40)の長さも、それに合わせて変更して設計されてもよい。
【0086】
本発明の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、ノッチポスト(50)と各共振器との間の距離(C1~C4)によって共振器間のクロスカップリングの強さが変更される。
すなわち、本発明の実施例に係る導波管フィルタ(100)は、
図9の(a)に参照されているように、第3の共振器(丸3)および第4の共振器(丸4)の方向にノッチポスト(50)の位置が変更されると、ノッチポスト(50)と共振器ポスト(32,35)との間の距離、すなわち、C1およびC4の距離が遠くなり、結局、第2の共振器(丸2)と第4の共振器(丸4)との間のカップリングと、第3の共振器(丸3)と第5の共振器(丸5)との間のカップリングの強さを弱めることがあり、この場合、その強さの変化によって、第3の共振器(丸3)と第5の共振器(丸5との間にカップリング構造が最初のインダクティブカップリング(L)からキャパシティブカップリング(C)に、または、最初のキャパシティブカップリング(C)からインダクティブカップリング(L)に変更されることがある。
【0087】
また、ノッチポスト(50)の形態が、
図9の(b)に参照されているように、ある一側がラウンド処理される場合、すなわち、第2の共振器(丸2)および第5の共振器(丸5)の方向に曲線の形態であり、第3の共振器(丸3)および第4の共振器(丸4)の方向には角を有する長方形の形態を有する場合、第2の共振器(丸2)および第5の共振器(丸5)との距離が増加することになる。このように、ノッチポスト(50)と共振器ポスト(丸2、丸5)との間の距離が増加すると、該当方向に対するカップリングの強さが減少し、距離が減少すると、該当方向に対するカップリングの強さが増加することになる
。
【0088】
図10は、本発明に係る導波管フィルタ(100~300)のクロスカップリングを説明するのに参照される図である。
【0089】
図10の(a)に示すように、信号入力(S)と信号出力(L)との間に第1の共振ブロック乃至第6の共振ブロック(11~16)は、それぞれ共振器(丸1~丸6)を構成し、ノッチポスト(50)が第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)の間に位置することによって、隣接した第2の共振器乃至第5の共振器(丸2~丸5)の間にクロスカップリングを形成することができる。
【0090】
導波管フィルタ(100~300)は、関連する共振ブロック(12~15)の連結関係によって、メインカップリング(K12、K23、K34、K45、K56)(これを、通常「隣接カップリング」という。)を形成することができる。
【0091】
また、導波管フィルタ(100~300)は、ノッチポスト(50)によって、第2の共振器(丸2)と第4の共振器(丸4)との間のカップリングK24、第3の共振器(丸3)と第5の共振器(丸5)との間のカップリングK35のクロスカップリングを形成することができる。また、第2の共振器(丸2)と第5の共振器(丸5)との間にはK25のクロスカップリングを形成することができる。
【0092】
導波管フィルタ(100~300)は、ノッチポスト(50)の位置または形態(模様)により、隣接した共振ブロック(12~15)の共振器(丸2~丸5)間のクロスカップリングが、インダクティブカップリング(inductive coupling)またはキャパシティブカップリング(capacitive coupling)として役割を果たす。
【0093】
第2の共振器(丸2)と第5の共振器(丸5)との間のクロスカップリングは、インダクティブカップリングおよびキャパシティブカップリングとして動作することができる。
【0094】
先に説明した
図9で、ノッチポスト(50)が第3の共振ブロック(13)および第4の共振ブロック(14)の方向に、すなわち、上部に移動すると、第3の共振ブロック(13)および第4の共振ブロック(14)との距離は減少し、第2の共振ブロック(12)および第5の共振ブロック(15)との距離は増加することになる。
【0095】
一方、ノッチポスト(50)が、
図9の(a)に参照されているように、いずれか一方に位置が変更されると、隣接している第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間のインダクティブカップリング(K34)が、
図10の(b)のように、キャパシティブカップリングに変更されるか、または、第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間のキャパシティブカップリングが、
図10の(a)のように、インダクティブカップリング(K34)に変更されることがある。
【0096】
例えば、第3の共振器(丸3)および第4の共振器(丸4)の方向にノッチポスト(50)の位置が変更されると、C1およびC4の距離が遠くなり、結局、K24とK35の強さを弱めることがあり、K34のCoupling構造がインダクティブカップリング(L)からキャパシティブカップリング(C)に変更されることがある。このとき、フィルタはパスバンドの左側にノッチ(notch)が形成され得る。
【0097】
また、逆の場合、すなわち、C1およびC4の距離が遠くなる方向にノッチポスト(50)の位置が変更されると、クロスカップリングの特性がキャパシティブカップリングからインダクティブカップリングに変更され、左側にあったノッチ(notch)が右側に移動することになる。
【0098】
ここで、ノッチポスト(50)の位置が第3の共振器(丸3)および第4の共振器(丸4)の方向に変更されると、K34のCoupling構造がインダクティブカップリング(L)からキャパシティブカップリング(C)に変更されることを例に挙げて説明したが、K34のCoupling構造がキャパシティブカップリング(C)からインダクティブカップリング(L)に変更される場合も可能であることは前述の通りである。
【0099】
ノッチポスト(50)が設けられていない状態で、隣接している第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間の初期のカップリング(K34)が、インダクティブカップリングであるのか、キャパシティブカップリングであるのか否かは、各共振器ポストの大きさや設置位置、共振ブロック間の隔壁の大きさや設置位置などによって決定することができる。
【0100】
一方、ノッチポスト(50)の形態が三角形に構成されると、二つの角を第3の共振器(丸3)および第4の共振器(丸4)に近接して配置しても類似する結果となり得る。
【0101】
また、第2の共振器(丸2)と第4の共振器(丸4)との間のクロスカップリング(K24)と、第3の共振器(丸3)および第5の共振器(丸5)との間のクロスカップリング(K35)とが生じない程度にノッチポスト(50)を小さく設計すると、回路は単純化するが、第2の共振器(丸2)と第5の共振器(丸5)との間のクロスカップリング(K25)と、第3の共振器(丸3)と第5の共振器(丸5)との間のクロスカップリング(K35)とが実現された場合に比べて、ノッチの位置の設定に対する自由度は少し低下することがある。
【0102】
図11は、本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタの平面図であって、隔壁の構造の変更を説明するのに参照される図である。
【0103】
図11を参照すると、本発明の第3の実施例に係る導波管フィルタ(300)は、隔壁(40)の位置および大きさによって特性が変更され得る。すなわち、隔壁(40)の位置によって共振ブロック(11~16)の大きさが変更され、隔壁(40)の大きさによって共振ブロック(12~15)の各共振器(丸2~丸5)間のクロスカップリングの強さが変更され得る。
【0104】
すなわち、
図11の(a)および(b)に参照されているように、第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間の隔壁(40)の長さが、第1の長さ(D1)から第2の長さ(D2)に増加すると、クロスカップリングの強さが変更されることがある。
【0105】
したがって、隔壁(40)の長さを変更することによって、第2の共振ブロック乃至第5の共振ブロック(12~15)内の3つのクロスカップリングに対して、いずれか一つのクロスカップリングの強さを増加し、他のクロスカップリングの強さが減少するように調節することができる。
【0106】
同様に、図面に示されていないが、本発明の実施例に係る導波管フィルタ(300)は、ノッチポスト(50)の位置が変更されると、共振器ポスト(32~35)との距離が変更されるので、これを通じて、クロスカップリングの強さを調節することができる。
【0107】
したがって、フィルタの特性によって、特定のカップリングの大きさが増加するようにすることで、パスバンドのノッチの位置を調節することができる。
【0108】
図12~
図14は、本発明に係る導波管フィルタのフィルタ特性を示すグラフである。横軸は、周波数であり、縦軸は、フィルタのカットオフ性能(DB)を示す。
【0109】
導波管フィルタ(100)は、信号特性がパスバンドの両側にノッチが形成されることはもちろん、クロスカップリングの特性がキャパシティブカップリングまたはインダクティブカップリングに形成され得る。
【0110】
図12に参照されているように、導波管フィルタ(100)は、クロスカップリングを通じてパスバンドの左側に2つのノッチが形成され得る。
【0111】
ノッチポスト(50)の位置によって第2の共振器乃至第5の共振器(丸2~丸5)で、先に説明した
図9に参照されているように、ノッチポスト(50)が第3の共振器(丸3)および第4の共振器(丸4)方向に移動された位置に設けられる場合、第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間のカッリングが、キャパシティブカップリング(C)として役割を果たすので、パスバンドの左側に二つのノッチが形成され得る。
【0112】
先に説明した
図11の(a)に参照されているように、ノッチポスト(50)が第2の共振器乃至第5の共振器(丸2~丸5)に対して中央に位置しても、第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間の隔壁(40)の長さが短い場合、
図13に参照されているように、第3の共振器(丸3)と第4の共振器(丸4)との間のカップリングが、インダクティブカップリング(L)として動作するようになるので、パスバンドの右側に二つのノッチが形成され得る。また、
図11の(b)に参照されているように、隔壁(40)の長さが長い場合には、右側に形成された二つのノッチの強さを調節して所望の性能を得ることができる。
【0113】
一方、第2の実施例に係る導波管フィルタ(200)であって、ノッチポスト(50)が四角柱状に備えられる場合、円柱状のノッチポスト(50)として備えた第1の実施例に係る導波管フィルタ(100)に比べて、ノッチポスト(50)の横の長さまたは縦の長さを精密に変更することによって、カップリング特性の調整が容易な効果を有する。すなわち、
図13に参照されているように、ノッチポスト(50)の位置変更前またはノッチポスト(50)の形態(または、模様)の変更前の第1の実施例(100)または第3の実施例(300)のように、パスバンドの右側に二つのノッチが形成されるが、ノッチが有するカットオフ性能(DB)が相対的に大きく生じることが分かる。
【0114】
このように、本発明の実施例に係る導波管フィルタ(100~300)は、ノッチポスト(50)の形態(模様)および位置、隔壁(40)の変化を用いて様々な形態のノッチを、フィルタのパスバンド(通過帯域)の下方と上方に、左側と右側に自在に構成することができる。
【0115】
例えば、
図14に参照されているように、通過帯域を3400Mhz~3600Mhzに設定する場合の要求事項は、次の通りである。
【0116】
まず、バンドパスフィルタの性能を確保するために求められるカットオフ性能(DB)は、0~2dBを満足しなければならない。また、バンドパスフィルタの通過帯域の左側区間(例えば、低帯域近接区間である60Mhzの範囲内)およびバンドパスフィルタの通過帯域の右側区間(例えば、高帯域近接区間である60Mhzの範囲内)で求められるカットオフ性能(DB)は、-20dB以下を満足しなければならない。低帯域近接区間と高帯域近接区間の周波数範囲は、設計者によって様々に変更されてもよいことは当然である。
【0117】
この場合、
図14を参照すると、パスバンドフィルタの通過帯域は、要求カットオフ性能である0~2dBの範囲内であって、(1)と(2)との間の区間に表され、通過帯域の左側区間の要求カットオフ性能は、-20dB以下の任意の位置(3)から60Mhzの範囲内の地点(5)の間のノッチ区間に表され、通過帯域の右側区間の要求カットオフ性能は、-20dB以下の任意の位置(4)から60Mhzの範囲内の地点(6)の間のノッチ区間に表され得る。
【0118】
すなわち、
図14は、前記要求事項をいずれも満足する状態を示したグラフであるが、本発明の実施例(100~300)を用いてインダクティブカップリングおよびクロスカップリングを実現した結果、前記グラフを出力し得る要求事項を満足していない場合には、ノッチポスト(50)の位置と形状および隔壁(40)の長さの調節を行うことによって、所望のフィルタの性能を確保することができる。これにより、本発明の実施例(100~300)に係る導波管フィルタは、様々なフィルタの性能を実現することができ、フィルタの複雑度を単純化して製造原価を下げ、生産性を高めることができる。
【0119】
本発明の実施例を構成するすべての構成要素が一つに結合されて動作するものと説明されていても、本発明は、必ずしもこのような実施例に限定されるものではない。本発明の目的の範囲内であれば、実施例によってはすべての構成要素が一つ以上に選択的に結合して動作することもできる。
【0120】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で様々な修正および変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、共振器を用いたクロスカップリングを通じて特定のパスバンドの特性を強化した導波管フィルタを提供する。
【符号の説明】
【0122】
100:導波管フィルタ
丸1~丸6:共振器
11~16:共振ブロック
21:入力ポスト
22:出力ポスト
31~36:共振ポスト