(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】心電図波形解析システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/332 20210101AFI20230123BHJP
A61B 5/322 20210101ALI20230123BHJP
A61B 5/321 20210101ALI20230123BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/322
A61B5/321
(21)【出願番号】P 2020116677
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】500142925
【氏名又は名称】株式会社ネットホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 清裕
(72)【発明者】
【氏名】荻原 真一郎
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-088643(JP,A)
【文献】特開2006-110180(JP,A)
【文献】特開2009-078139(JP,A)
【文献】特開2019-115377(JP,A)
【文献】特開2001-017398(JP,A)
【文献】米国特許第5606978(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
A61B 5/00
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の心電図波形を測定するホルタ心電計と、
前記心電図波形を解析する管理装置と、を備えており、
前記ホルタ心電計は、
生体に携帯可能な本体と、
前記本体と分離不能に設けられ、生体から測定した心電図波形を記憶する心電図波形記憶部と、
前記本体と分離不能に設けられ、当該ホルタ心電計を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記本体と分離可能に設けられ、当該ホルタ心電計により心電図波形が測定される被測定者に関する被測定者情報と当該ホルタ心電計の前記識別情報とを紐付けて記憶可能な記憶媒体と、を備えており、
前記記憶媒体は、前記ホルタ心電計が被測定者に携帯されて当該被測定者の心電図波形を測定するときに、前記本体と分離して保管可能であり、
前記管理装置は、前記心電図波形と前記識別情報とを入力する入力部を備えており、
前記入力部は、前記本体が有線又は短距離無線通信で前記管理装置に接続されたときに、前記心電図波形記憶部に記憶される前記心電図波形と前記識別情報記憶部に記憶される前記識別情報とを取得し、
前記管理装置は、
前記入力部から入力される前記心電図波形と前記識別情報とを紐付けて記憶する第1記憶部
と、
前記ホルタ心電計毎に、当該ホルタ心電計の前記識別情報と、当該ホルタ心電計が使用された医療従事者とを紐付けて記憶する利用者情報記憶部と、
前記第1記憶部に記憶される前記心電図波形を解析する解析部と、
前記解析部で前記心電図波形を解析することで得られた解析結果を、当該心電図波形に紐付けられた識別情報と紐づけられている前記医療従事者に出力する出力部と、を
さらに備えている、心電図波形解析システム。
【請求項2】
医療従事者によって操作される利用者端末をさらに備えており、
前記管理装置は
、前記解析部で前記心電図波形を解析することで得られた解析結果と当該心電図波形に紐付けられた識別情報とを紐付けて記憶する第2記憶
部をさらに備えており、
前記利用者端末は、前記記憶媒体に記憶された識別情報をキーとして、前記第2記憶部に記憶された当該識別情報と紐付けられた前記解析結果を受信可能となっている、請求項1に記載の心電図波形解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、心電図波形解析システムに関する。詳細には、ホルタ心電計で測定した心電図波形を解析するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、心電図波形を測定するために使用されるホルタ心電計が開示されている。このようなホルタ心電計は、電極を備えており、電極が生体の電気信号を取得し、この電気信号から心電図波形が得られる。得られた心電図波形は、ホルタ心電計に着脱可能に装着されたメモリカードに記憶される。心電図波形が記憶されたメモリカードは、解析用のサーバを有する解析センターに送られる。心電図波形は、解析センターでメモリカードから読み出されて解析用のサーバで解析される。メモリカードには、心電図波形を測定した被測定者を特定するために、被測定者の個人情報(例えば、氏名等)が添付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなホルタ心電計では、心電図波形が記憶されたメモリカードと共に、その心電図波形が測定された被測定者の個人情報が解析事業者に送られる。すなわち、解析用のサーバを保有する解析事業者に被測定者の個人情報が伝達される。しかしながら、解析事業者は、心電図波形があれば解析可能であり、被測定者の個人情報は、解析には不要である。解析に必要でないにも関わらず個人情報をやり取りすることは、個人情報の漏洩のリスクが生じるという問題があった。
【0005】
本明細書は、心電図波形解析において、心電図波形の被測定者の匿名性を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する心電図波形解析システムは、生体の心電図波形を測定するホルタ心電計と、心電図波形を解析する管理装置と、を備えている。ホルタ心電計は、生体に携帯可能な本体と、心電図波形記憶部と、識別情報記憶部と、記憶媒体と、を備えている。心電図波形記憶部は、本体と分離不能に設けられ、生体から測定した心電図波形を記憶する。識別情報記憶部は、本体と分離不能に設けられ、当該ホルタ心電計を識別する識別情報を記憶する。記憶媒体は、本体と分離可能に設けられ、当該ホルタ心電計により心電図波形が測定される被測定者に関する被測定者情報と、当該ホルタ心電計の識別情報とを紐付けて記憶可能である。記憶媒体は、ホルタ心電計が被測定者に携帯されて当該被測定者の心電図波形を測定するときに、本体と分離して保管可能である。管理装置は、心電図波形と識別情報とを入力する入力部を備えている。入力部は、本体が有線又は短距離無線通信で管理装置に接続されたときに、心電図波形記憶部に記憶される心電図波形と識別情報記憶部に記憶される識別情報とを取得する。管理装置は、入力部から入力される心電図波形と識別情報とを紐付けて記憶する第1記憶部を備えている。
【0007】
上記の心電図波形解析システムでは、ホルタ心電計で測定される心電図波形は、そのホルタ心電計の識別情報と紐付けて管理装置に記憶される。これにより、管理装置は、ホルタ心電計の識別情報に紐付けて心電図波形の解析を実行する。また、管理装置の入力部は、本体が有線又は短距離無線通信で管理装置に接続されたときに心電図波形と識別情報を取得する。このため、ホルタ心電計は本体ごと管理装置が設置された場所に移送される。すなわち、ホルタ心電計の本体が医療従事者の元に残ることがなく、同じホルタ心電計が医療従事者によって再利用されることがない。一方、心電図波形が測定された被測定者の被測定者情報と識別情報とを紐付けて記憶する記憶媒体は、本体と分離されて医療従事者の元に残すことができる。このため、ホルタ心電計の識別情報と、その識別情報に紐づけられる心電図波形の解析結果を医療従事者に伝達することによって、医療従事者は、識別情報からその心電図波形を測定した被測定者を特定することができる。このため、管理装置は、心電図波形と共に被測定者の個人情報(例えば、氏名等)を取得することなく、心電図波形を解析できる。このため、解析事業者に対する被測定者の匿名性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係る心電図波形解析システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】解析管理サーバの処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】実施例2に係る心電図波形解析システムの概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)本明細書に開示する心電図波形解析システムは、医療従事者によって操作される利用者端末をさらに備えていてもよい。管理装置は、第1記憶部に記憶される心電図波形を解析する解析部と、解析部で心電図波形を解析することで得られた解析結果と当該心電図波形に紐付けられた識別情報とを紐付けて記憶する第2記憶部と、を備えていてもよい。利用者端末は、記憶媒体に記憶された識別情報をキーとして、第2記憶部に記憶された当該識別情報と紐付けられた解析結果を受信可能となっていてもよい。このような構成によると、医療従事者は、利用者端末から第2記憶部にアクセスし、識別情報をキーとして用いることによって、識別情報に対応する適切な解析結果を取得することができる。
【0011】
(特徴2)本明細書に開示する心電図波形解析システムでは、管理装置は、利用者情報記憶部と解析部と出力部を備えていてもよい。利用者情報記憶部は、ホルタ心電計毎に、当該ホルタ心電計の識別情報と、当該ホルタ心電計が使用された医療従事者とを紐付けて記憶してもよい。解析部は、第1記憶部に記憶される心電図波形を解析してもよい。出力部は、解析部で心電図波形を解析することで得られた解析結果を、当該心電図波形に紐付けられた識別情報と紐づけられている医療従事者に出力してもよい。このような構成によると、管理装置は、心電図波形の解析結果を、その心電図波形に対応する識別情報に紐付けて記憶し、ホルタ心電計を使用した医療従事者を、そのホルタ心電計の識別情報に紐付けて記憶する。このため、管理装置は、識別情報に基づいて、解析結果を適切な医療従事者に出力することができる。
【実施例】
【0012】
(実施例1)
以下、実施例1に係る心電図波形解析システム1について説明する。
図1に示すように、心電図波形解析システム1は、ホルタ心電計10と、管理装置30と、記憶装置60と、利用者端末70を備えている。
【0013】
ホルタ心電計10は、被測定者の心臓付近の体表面に装着され、被測定者の心電図波形を生成するための電気信号を測定する。ホルタ心電計10は、リサイクル処理されて再使用される。ホルタ心電計10は、本体12と、電極14と、コントローラ16と、メモリ18を備えている。コントローラ16とメモリ18は、本体12内に収容されている。
【0014】
本体12は、ホルタ心電計10による測定中、被測定者が携帯できるように構成されている。具体的には、本体12の表面には、粘着シート(図示省略)が貼り付けられており、本体12は、被測定者の心臓付近の体表面に粘着シートにより固定される。なお、本体12は、測定中に被測定者が携帯できる構成であればよく、例えば、本体12は、本体12を収容可能なバッグやポケット等に収容された状態で、測定中に被測定者に携帯されてもよい。
【0015】
電極14は、銀等の導電性材質からなる電極板を有しており、電極板を被測定者の体表面に接触させることによって、生体の電気信号を取得することができる。電極14の表面には、粘着シート(図示省略)が貼り付けられており、電極14は、被測定者の体表面の適切な位置に粘着シートにより固定される。
【0016】
コントローラ16は、ホルタ心電計10の動作を制御している。また、コントローラ16は、電極14とメモリ18に接続しており、電極14で測定された電気信号を取得し、取得した電気信号をメモリ18に書き込む。
【0017】
メモリ18は、電極14で測定された電気信号(すなわち、心電図波形)を記憶する。また、メモリ18は、そのホルタ心電計10を識別するための識別情報と、そのホルタ心電計10の製造日に関する製造情報を記憶している。識別情報は、そのホルタ心電計10を特定することができる情報であり、例えば、識別番号(製造番号)である。
【0018】
また、メモリ18は、そのホルタ心電計10の使用回数を記憶している。具体的には、被測定者等が図示しないスタートスイッチを操作することでホルタ心電計10による心電図波形の測定が開始されると、コントローラ16は、メモリ18に記憶されているホルタ心電計10の使用回数をインクリメントし、メモリ18にインクリメントした使用回数を記憶させる。なお、使用回数は、心電図波形の測定終了時や、心電図波形が解析管理サーバ32(後述)に読み出される際にインクリメントされてもよい。メモリ18に記憶される使用回数は、ホルタ心電計10がリサイクルされてもリセットされずに保持される。
【0019】
また、メモリ18は、ホルタ心電計10で測定した心電図波形をメモリ18に書き込む際に発生した書込みエラーの回数(以下、単に「書込みエラー回数」ともいう)を記憶している。メモリ18に記憶される書込みエラー回数は、そのホルタ心電計10で発生した書込みエラー回数の合計である。すなわち、ホルタ心電計10は、リサイクル処理されて複数回にわたり再使用されるが、メモリ18には、1回の使用中の書込みエラーの回数ではなく(すなわち、1回の使用毎に書込みエラー回数がリセットされるのではなく)、使用毎に発生した書込みエラー回数を加算した合計が記憶される。
【0020】
なお、本実施例では、メモリ18は本体12内に収容されているが、本体12と分離不能に設置されていればよく、その構成は限定されない。例えば、メモリは、本体12の外部に配置され、本体12に対して分離不能に接続されていてもよい。
【0021】
さらに、ホルタ心電計10には、記録シート20が添付されている。記録シート20は、紙媒体であり、ホルタ心電計10と同梱されて医師等の医療従事者(以下、単に医療従事者ともいう)に提供される。記録シート20には、同梱されるホルタ心電計10の識別情報が予め記載(印刷)されていると共に、空欄の氏名記入欄が設けられている。具体的には、記録シート20に記載される識別情報は、その識別情報を特定する番号(数字)である。なお、記録シート20に記載される識別情報は、その識別情報を特定する番号等を記録した二次元コード(例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等)であってもよいし、その識別情報を特定する番号と二次元コードの両方であってもよい。医療従事者は、ホルタ心電計10を被測定者に装着する際に、同梱される記録シート20の氏名記入欄にその被測定者の氏名を記入する。あるいは、被測定者本人が記録シート20に氏名等を記入し、記入済の記録シート20を医療従事者に渡すようにしてもよい。これにより、ホルタ心電計10の識別情報と被測定者の氏名(すなわち、被測定者を特定する個人情報)が紐付けられる。氏名が記入された記録シート20は、医療従事者によって保管される。また、医療従事者は、記録シート20に記載される識別情報を利用者端末70に入力(識別情報が二次元コードの場合には読み取り)すると共に、利用者端末70に被測定者の氏名を入力して、識別情報と被測定者の氏名を紐付けて利用者端末70に記憶させてもよい。
【0022】
なお、本実施例では、ホルタ心電計10には、紙媒体の記録シート20が同梱されているが、このような構成に限定されない。例えば、記録シート20の代わりに、ホルタ心電計10には、そのホルタ心電計10に識別情報を記憶するメモリカード等の電子媒体が装着されていてもよい。この場合、メモリカードは、ホルタ心電計10に着脱可能に装着されており、医療従事者は、例えば、ホルタ心電計10を被測定者に装着する前に、メモリカードをホルタ心電計10から取り外す。そして、医療従事者は、取り外したメモリカードを利用者端末70に接続し、メモリカード内に記憶される識別情報を利用者端末70に読み出す。このとき、医療従事者は、利用者端末70に被測定者の氏名を入力し、メモリカードから読み出した識別情報と被測定者の氏名を紐付けて利用者端末70に記憶させる。
【0023】
本実施例では、記録シート20は、ホルタ心電計10を被測定者に装着する際にホルタ心電計10から分離されているが、ホルタ心電計10による測定後、ホルタ心電計10を解析センターに移送する前にホルタ心電計10から分離してもよい。
【0024】
管理装置30は、解析管理サーバ32と、販売管理サーバ50を備えている。解析管理サーバ32は、解析事業者が保有しており、例えば、解析事業者が解析処理を実行する解析センターに設置されている。解析管理サーバ32は、メモリ34とCPU38を含むコンピュータを用いて構成されている。
【0025】
メモリ34は、心電図情報記憶部36を備えている。心電図情報記憶部36には、ホルタ心電計10から入力されるホルタ心電計10の各種の情報が記憶される。ホルタ心電計10から入力される情報としては、ホルタ心電計10の識別情報、ホルタ心電計10で測定された心電図波形、ホルタ心電計10の使用回数、ホルタ心電計10の製造情報、ホルタ心電計10の書込みエラー回数等を挙げることができる。心電図情報記憶部36は、ホルタ心電計10から入力された心電図波形、使用回数、製造情報及び書き込みエラー回数を、そのホルタ心電計10の識別情報と紐付けて記憶する。
【0026】
また、メモリ34には演算プログラムが記憶されており、CPU38が当該プログラムを実行することで、CPU38は
図1に示す解析部40、判定部42として機能する。解析部40、判定部42の処理については、後に詳述する。
【0027】
また、解析管理サーバ32は、入力部44と、送受信部46を備えている。入力部44は、ホルタ心電計10から各種の情報(識別情報、心電図波形、使用回数、製造情報及び書込みエラー回数)を入力する。具体的には、入力部44は、ホルタ心電計10の本体12に設けられる出力ポート(図示省略)に有線接続して、ホルタ心電計10から各種の情報を取得する。なお、入力部44とホルタ心電計10の本体12とを無線通信可能に構成し、入力部44は、無線通信(詳細には、短距離無線通信)によってホルタ心電計10から各種の情報を取得してもよい。すなわち、入力部44は、有線又は短距離無線通信によってホルタ心電計10から各種の情報を取得するように構成される。また、上述したように、ホルタ心電計10の各種の情報を記憶するメモリ18は、本体12と分離不能に設置されており、本実施例では、本体12内に収容されている。このため、入力部44がホルタ心電計10から情報を取得するためには、ホルタ心電計10は本体12ごと解析管理サーバ32が設置される解析センターに移送される必要がある。
【0028】
送受信部46は、販売管理サーバ50や記憶装置60等の他の装置と通信可能に構成されている。具体的には、送受信部46は、判定部42で判定した判定結果を販売管理サーバ50に送信する。判定結果は、例えば、ホルタ心電計10をリサイクルするか、破棄するかに関する情報である。判定部42による判定処理については、後に詳述する。また、送受信部46は、記憶装置60に解析部40で解析された心電図波形の解析結果を送信する。解析部40による解析処理については、後に詳述する。
【0029】
販売管理サーバ50は、メモリ52とCPU(図示省略)を含むコンピュータを用いて構成されている。メモリ52は、管理情報記憶部54と、利用者情報記憶部56を備えている。
【0030】
管理情報記憶部54は、販売管理サーバ50で管理する複数のホルタ心電計10について、各ホルタ心電計10の状態に関する情報(以下、管理情報ともいう)を記憶している。上述したように、ホルタ心電計10は、リサイクル処理されて再使用される。管理情報は、例えば、各ホルタ心電計10が使用可能な状態であるのか、リサイクル処理中であるのか、破棄されたのか等のホルタ心電計10の現在の状態を示す情報である。例えば、管理情報は、ホルタ心電計10を医療従事者が保有している状態(以下、保有状態ともいう)を示す情報、被測定者の心電図波形を測定中の状態を示す情報、解析処理中の状態を示す情報、リサイクル処理中の状態を示す情報、ホルタ心電計10が在庫として販売管理者の倉庫に保管されている状態(以下、在庫状態ともいう)を示す情報、破棄された状態を示す情報等を含む。管理情報は、解析管理サーバ32や利用者端末70等の他の装置から取得するホルタ心電計10の状態に関する情報に基づいて更新される。また、管理情報は、ホルタ心電計10の識別情報に紐付けられて管理情報記憶部54に記憶されている。このため、識別情報から、その識別情報に対応するホルタ心電計10の状態(例えば、使用可能な状態、リサイクル処理中の状態、破棄された状態等)を把握することができる。
【0031】
利用者情報記憶部56は、各医療従事者が保有するホルタ心電計10に関する情報(以下、利用者情報ともいう)を記憶している。具体的には、利用者情報は、各医療従事者によるホルタ心電計10の注文数に関する情報(以下、注文数情報ともいう)と、各医療従事者が保有しているホルタ心電計10の識別情報(以下、保有情報ともいう)を含む。保有情報から、医療従事者が保有しているホルタ心電計10の数を把握することができる。
【0032】
また、販売管理サーバ50は、送受信部58を備えている。送受信部58は、解析管理サーバ32、記憶装置60、利用者端末70等の他の装置と通信可能に構成されている。具体的には、送受信部58は、解析管理サーバ32から識別情報と解析管理サーバ32の判定部42で判定した判定結果を受信する。また、送受信部58は、後述するように、利用者端末70から注文数情報と使用されたホルタ心電計10の識別情報を受信する。送受信部58が受信した情報に基づいて、管理情報記憶部54に記憶される情報が更新される。また、送受信部58は、記憶装置60に各医療従事者の保有情報を送信する。
【0033】
記憶装置60は、解析管理サーバ32の解析部40で解析された心電図波形の解析結果を記憶している。記憶装置60には、解析管理サーバ32から、解析結果とそれに対応する識別情報が送信される。記憶装置60は、解析結果を識別情報と紐付けて記憶する。また、記憶装置60は、販売管理サーバ50から送信される各医療従事者の保有情報(すなわち、医療従事者と、その医療従事者が保有している識別情報に関する情報)を記憶する。記憶装置60に記憶される解析結果は、その解析結果に対応する識別情報をキーとして、利用者端末70によって受信することができる。すなわち、記憶装置60は、利用者端末70からアクセスされ、利用者端末70から送信される識別情報と予め設定される医療従事者を特定する情報(例えば、医療従事者毎に設定されるパスワード等)等を受信する。保有情報に基づいて、受信した識別情報と医療従事者を特定する情報が適合する場合、記憶装置60は、利用者端末70に該当する解析結果の受信を許可する。
【0034】
利用者端末70は、各医療従事者が保有しており、医療従事者によって操作される。利用者端末70は、メモリ72と、入力部74と、送受信部76を備えている。
【0035】
入力部74は、注文数情報の入力を受け付ける。すなわち、医療従事者がホルタ心電計10を注文する際に、医療従事者は、入力部74に希望するホルタ心電計10の注文数を入力する。入力されたホルタ心電計10の注文数情報は、メモリ72に記憶されると共に、送受信部76から販売管理サーバ50の送受信部58に送信される。また、入力部74は、ホルタ心電計10の記録シート20に記録されている識別情報の入力を受け付ける。医療従事者は、ホルタ心電計10を使用する際に、そのホルタ心電計10が被測定者によって使用されることを示す情報を入力部74から入力する。例えば、医療従事者は、該当する被測定者の電子カルテに、使用するホルタ心電計10の識別情報を入力する。これにより、入力される識別情報に対応するホルタ心電計10が、被測定者により使用されていることを特定できる。入力された識別情報及び被測定者の氏名は、メモリ72に記憶される。また、識別情報と共に当該識別情報を付されたホルタ心電計10が使用中(被測定者の心電図波形を測定中)であることを示す情報が、送受信部76から販売管理サーバ50の送受信部58に送信される。
【0036】
送受信部76は、販売管理サーバ50や記憶装置60等の他の装置と通信可能に構成されている。送受信部76は、販売管理サーバ50に、注文数情報と識別情報(被測定者に使用しているホルタ心電計10の識別情報)等を送信する。また、送受信部76は、記憶装置60に接続し、識別情報をキーとして記憶装置60に記憶される解析結果を受信することができる。
【0037】
次に、
図2を参照して、解析管理サーバ32の処理について説明する。本実施例の心電図波形解析システム1は、ホルタ心電計10をリサイクルして再使用できるように構成されている。ホルタ心電計10を用いて被測定者の心電図波形が測定されると、被測定者の心電図波形が記憶されたホルタ心電計10は、本体12ごと解析管理サーバ32が設置される場所(例えば、解析センター)に移送される。解析管理サーバ32は、解析センターに移送されたホルタ心電計10から各種の情報を取得して、心電図波形を解析すると共に、そのホルタ心電計10が再使用可能であるか否かを判定する。
【0038】
解析管理サーバ32の処理を説明する前に、ホルタ心電計10を用いて被測定者の心電図波形を測定する手順について説明する。ホルタ心電計10を用いて被測定者の心電図波形を測定する際には、まず、医療従事者は、被測定者にホルタ心電計10を装着する。具体的には、医療従事者は、ホルタ心電計10の電極14を被測定者の心臓付近の適切な位置に固定する。このとき、医療従事者は、ホルタ心電計10に同梱される記録シート20の氏名記入欄に被測定者の氏名を記入する。記録シート20は、医療従事者の元で保管される。また、医療従事者は、利用者端末70にホルタ心電計10の識別情報と被測定者とを紐付けるように情報を入力する。例えば、医療従事者は、被測定者の電子カルテに使用するホルタ心電計10の識別情報を入力する。
【0039】
ホルタ心電計10が被測定者に装着されると、ホルタ心電計10は、所定時間にわたり被測定者の心電図波形を測定する。そして、所定時間の経過後、ホルタ心電計10は、医療従事者によって取り外される。医療従事者は、取り外したホルタ心電計10を本体12ごと宅配便等で解析センターに移送する。なお、所定時間の経過後に、被測定者が自身でホルタ心電計10を取り外し、解析センターにホルタ心電計10を本体12ごと移送してもよい。以下、ここで解析センターに移送されたホルタ心電計10を「当該ホルタ心電計10」と称することがある。
【0040】
解析センターに当該ホルタ心電計10が到着すると、
図2に示すように、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10から識別情報を取得する(S12)。具体的には、入力部44は、当該ホルタ心電計10の本体12の出力ポート(図示省略)に有線接続され、出力ポートから当該ホルタ心電計10のメモリ18に記憶される識別情報(以下、当該識別情報ともいう)を入力する。入力された当該識別情報は、心電図情報記憶部36に記憶される。
【0041】
次いで、解析管理サーバ32は、ステップS12で取得した当該識別情報を販売管理サーバ50に送信する(S14)。具体的には、送受信部46は、心電図情報記憶部36に記憶される当該識別情報を、当該識別情報が付されたホルタ心電計10が解析センターに到着した旨を示す情報と共に販売管理サーバ50の送受信部58に送信する。これにより、当該ホルタ心電計10が、解析センターに到着したこと(すなわち、測定中の状態から解析中の状態に変更されたこと)が、販売管理サーバ50に伝達される。
【0042】
次いで、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10から心電図波形を取得する(S16)。具体的には、入力部44は、当該ホルタ心電計10の出力ポートから当該ホルタ心電計10のメモリ18に記憶される心電図波形を入力する。なお、解析管理サーバ32は、心電図波形を、ステップS12で取得する識別情報と同時に取得してもよい。入力された心電図波形は、ステップS12で取得した当該識別情報に紐付けて心電図情報記憶部36に記憶される。
【0043】
次いで、解析部40は、ステップS16で取得した心電図波形を解析する(S18)。心電図波形の解析には、公知の方法を用いることができるため、詳細な説明については省略する。解析部40で解析された心電図波形の解析結果は、ステップS12で取得した当該識別情報に紐付けてメモリ34に記憶される。
【0044】
次いで、解析管理サーバ32は、ステップS18で解析された心電図波形の解析結果を当該識別情報と共に記憶装置60に送信する(S20)。記憶装置60に解析結果が記憶されることによって、利用者端末70は、記憶装置60にアクセスして解析結果を受信可能となる。なお、本実施例では、解析結果は、医療従事者が利用者端末70を用いて記憶装置60から取得しているが、このような構成に限定されない。解析結果は、紙媒体に出力して医療従事者に送付されてもよい。
【0045】
本実施例では、解析管理サーバ32は、ホルタ心電計10の識別情報と心電図波形を取得する一方で、被測定者の個人情報を取得しない。このため、解析事業者の元では、心電図波形の解析結果は、ホルタ心電計10の識別情報にのみ紐付けられ、解析結果に対応する被測定者を特定することができない。一方で、医療従事者は、ホルタ心電計10の識別情報と被測定者の個人情報を紐付けて管理しているため、ホルタ心電計10の識別情報に基づいて、被測定者の心電図波形の解析結果を適切に照合することができる。これにより、解析事業者に対する被測定者の匿名性を担保することができる。
【0046】
次いで、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10から使用回数に関する情報を取得する(S22)。具体的には、入力部44は、当該ホルタ心電計10の出力ポートから当該ホルタ心電計10のメモリ18に記憶される使用回数に関する情報を入力する。なお、解析管理サーバ32は、使用回数に関する情報を、ステップS12で取得する識別情報及びステップS16で取得する心電図波形と同時に取得してもよい。入力された使用回数に関する情報は、ステップS12で取得した当該識別情報に紐付けて心電図情報記憶部36に記憶される。
【0047】
次いで、判定部42は、ステップS22で取得した使用回数が所定数を超えているか否かを判定する(S24)。本実施例では、ホルタ心電計10を再使用することができるが、再使用を繰り返すとホルタ心電計10は劣化する。このため、ホルタ心電計10の使用回数の上限を予め設定している。すなわち、所定数とは、ホルタ心電計10の使用回数の上限値である。当該ホルタ心電計10の使用回数が所定数を超えている場合(ステップS24でYES)、当該ホルタ心電計10は、使用により劣化していると判断される。このため、判定部42は、当該ホルタ心電計10の破棄を決定し(S34)、送受信部46は、販売管理サーバ50の送受信部58に、当該識別情報と破棄を決定したという情報(以下、破棄決定情報ともいう)を送信する(S36)。
【0048】
一方、当該ホルタ心電計10の使用回数が所定数を超えていない場合(ステップS24でNO)、当該ホルタ心電計10は、複数回の使用を原因として劣化していないと判断される。すなわち、使用回数を基準とした判定では、当該ホルタ心電計10は、再使用可能と判断される。次いで、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10から製造情報を取得する(S26)。具体的には、入力部44は、当該ホルタ心電計10の出力ポートから当該ホルタ心電計10のメモリ18に記憶される製造情報を入力する。なお、解析管理サーバ32は、製造情報を、ステップS12で取得する識別情報、ステップS16で取得する心電図波形及びステップS22で取得する使用回数に関する情報と同時に取得してもよい。入力された製造情報は、ステップS12で取得した当該識別情報に紐付けて心電図情報記憶部36に記憶される。
【0049】
次いで、判定部42は、ステップS26で取得した製造情報から特定される製造日から所定期間が経過しているか否かを判定する(S28)。ホルタ心電計10は、使用回数が所定数以内であっても、製造日から所定期間が経過すると経年劣化している虞がある。このため、製造日を起算として所定期間が経過している場合、ホルタ心電計10は、使用回数が所定数に達していなくても劣化している可能性があり、再使用に適さないと判断される。製造日から所定期間が経過している場合(ステップS28でYES)、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10の破棄を決定し(S34)、送受信部46は、販売管理サーバ50の送受信部58に、当該識別情報と破棄決定情報を送信する(S36)。
【0050】
一方、製造日から所定期間が経過していない場合(ステップS28でNO)、当該ホルタ心電計10は、経年劣化していないと判断される。すなわち、製造日からの経過期間を基準とした判定では、当該ホルタ心電計10は、再使用可能と判断される。次いで、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10から書込みエラー回数に関する情報を取得する(S30)。具体的には、入力部44は、当該ホルタ心電計10の出力ポートから当該ホルタ心電計10のメモリ18に記憶される書込みエラー回数に関する情報を入力する。なお、解析管理サーバ32は、書込みエラー回数に関する情報を、ステップS12で取得する識別情報、ステップS16で取得する心電図波形、ステップS22で取得する使用回数に関する情報及びステップS26で取得する製造情報と同時に取得してもよい。入力された書込みエラー回数に関する情報は、ステップS12で取得した当該識別情報に紐付けて心電図情報記憶部36に記憶される。
【0051】
次いで、判定部42は、ステップS30で取得した書込みエラー回数が所定数を超えているか否かを判定する(S32)。ホルタ心電計10は、使用回数が所定数以内であり、製造日から所定期間経過していなくても、メモリ34が劣化することがある。メモリ34の劣化とは、例えば、メモリ34が備える複数のセルのうち、使用不能となるセルの数が増加することを挙げることができる。使用不能なセルに書き込もうとすると、書込みエラーが発生するため、書込みエラーの回数からメモリ34の劣化を予測することができる。このため、測定中の書き込みエラーの発生回数の上限を予め設定している。書込みエラー回数が所定数以上の場合(ステップS32でYES)、そのホルタ心電計10のメモリ34は、劣化している可能性が高いと判断される。このため、解析管理サーバ32は、当該ホルタ心電計10の破棄を決定し(S34)、送受信部46は、販売管理サーバ50の送受信部58に、当該識別情報と破棄決定情報を送信する(S36)。
【0052】
一方、書込みエラー回数が所定数未満の場合(ステップS32でNO)、当該ホルタ心電計10のメモリ34は、再使用が不能なまでは劣化していないと判断される。すなわち、書込みエラー回数を基準とした判定では、当該ホルタ心電計10は、再使用可能と判断される。したがって、当該ホルタ心電計10は、使用回数、製造日からの経過期間、書込みエラー回数のいずれを基準にした場合にも、再使用可能と判断される。このため、判定部42は、当該ホルタ心電計10のリサイクルを決定し(S38)、送受信部46は、販売管理サーバ50の送受信部58に、当該識別情報とリサイクルを決定したことを示す情報(以下、リサイクル決定情報ともいう)を送信する(S40)。
【0053】
本実施例では、判定部42は、使用済みのホルタ心電計10が再使用可能であるか否かを、使用回数、製造情報、書込みエラー回数等の情報に基づいて判定している。すなわち、判定部42は、ホルタ心電計10が故障する可能性が高い状態であるか否かを判定している。これにより、ホルタ心電計10が実際に故障する前に再使用を停止することができ、再使用するホルタ心電計10の安全性を担保することができる。
【0054】
解析管理サーバ32の処理が終了すると、当該ホルタ心電計10には、例えば、リサイクルセンター等の施設に移送され、リサイクルのための処理が実行される。リサイクルのための処理としては、例えば、感染防止のための清掃処理、電極14の取り替え処理、ホルタ心電計10の本体12に搭載される電池(図示省略)の交換処理、ホルタ心電計10が再使用可能であるか否かの検査、ホルタ心電計10と新たな記録シート20の梱包処理等を挙げることができる。リサイクル処理が終了したホルタ心電計10は、再び医療従事者の元に提供可能となり、医療従事者に提供されるまで販売管理者の倉庫に在庫として保管される在庫状態となる。リサイクル処理が終了すると、リサイクルセンター等の施設又は在庫を管理する施設等に設置される端末(図示省略)は、当該ホルタ心電計10が在庫状態であることを示す情報を販売管理サーバ50に送信する。
【0055】
なお、本実施例では、ホルタ心電計10の使用回数に関する情報と製造情報は、ホルタ心電計10のメモリ18に記憶されているが、このような構成に限定されない。ホルタ心電計10の使用回数に関する情報と製造情報は、ホルタ心電計10の識別情報に紐付けられて、解析管理サーバ32に入力されていればよい。例えば、ホルタ心電計10の使用回数に関する情報と製造情報は、販売管理サーバ50の管理情報記憶部54に記憶されていてもよい。解析管理サーバ32は、ホルタ心電計10から入力した識別情報に基づいて、ホルタ心電計10の使用回数に関する情報と製造情報を販売管理サーバ50から取得してもよい。
【0056】
次に、販売管理サーバ50の処理について説明する。まず、販売管理サーバ50が、解析管理サーバ32から受信する情報に基づいて、管理情報を更新する処理について説明する。販売管理サーバ50は、解析管理サーバ32等の他の装置と通信可能に接続されており、ホルタ心電計10の状態に変更があったときに、他の装置からホルタ心電計10の識別情報とそのホルタ心電計10の変更された状態に関する情報を受信する。販売管理サーバ50は、受信した識別情報に対応する管理情報を、受信したホルタ心電計10の状態を示す情報に更新する。
【0057】
例えば、
図2のステップS14の処理では、解析管理サーバ32の送受信部46は、送受信部58に、解析センターに到着したホルタ心電計10の識別情報と、当該ホルタ心電計10が解析センターに到着した旨の情報を送信する。この場合、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報のうち、受信した識別情報に対応する管理情報を、解析処理中の状態を示す情報に更新する。また、
図2のステップS36の処理では、送受信部46は、送受信部58に、識別情報と破棄決定情報を送信する。この場合、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報のうち、受信した識別情報に対応する管理情報を、破棄された状態を示す情報に更新する。また、
図2のステップS40の処理では、送受信部46は、送受信部58に、識別情報とリサイクル決定情報を送信する。この場合、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報のうち、受信した識別情報に対応する管理情報を、リサイクル処理中の状態を示す情報に更新する。
【0058】
また、販売管理サーバ50は、リサイクルセンター等の施設又は在庫を管理する施設等に設置される端末(図示省略)からも、ホルタ心電計10の状態に関する情報を受信する。
図2のステップS38の処理でホルタ心電計10のリサイクルが決定されると、ホルタ心電計10はリサイクルセンター等の施設でリサイクルされ、再使用可能な状態となる。すると、リサイクルセンター等の施設又は在庫を管理する施設等に設置される端末は、送受信部58に、識別情報と在庫状態であることを示す情報を送信する。この場合、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報のうち、受信した識別情報に対応する管理情報を、在庫状態を示す情報に更新する。
【0059】
次に、販売管理サーバ50が、利用者端末70から受信する情報に基づいて、管理情報及び利用者情報を更新する処理について説明する。まず、医療従事者が利用者端末70からホルタ心電計10を注文したときの販売管理サーバ50の処理について説明する。医療従事者が利用者端末70を操作してホルタ心電計10を注文すると、送受信部58は、利用者端末70の入力部74から入力されたホルタ心電計10の注文数情報を受信する。すると、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報から、在庫中の状態を示す情報を有するホルタ心電計10の識別情報を注文数だけ選択する。そして、販売管理サーバ50は、在庫を管理する施設の端末(図示省略)に、選択した識別情報に対応するホルタ心電計10を注文した医療従事者に発送する指示を送信する。さらに、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報のうち、選択したホルタ心電計10の識別情報に対応する管理情報を、保有状態を示す情報に更新する。また、販売管理サーバ50は、入力された注文数と、選択したホルタ心電計10の識別情報を、利用者情報記憶部56に記憶させる。なお、販売管理サーバ50の処理としては、上記の構成に限られない。例えば、販売管理サーバ50は、注文数と注文者(注文した医療従事者)に関する注文情報のみを在庫管理施設の端末に出力してもよい。在庫管理施設では、注文情報に基づいて、注文数のホルタ心電計10を注文者に発送する。その際、発送したホルタ心電計の識別情報を在庫管理施設の端末に入力する。入力された識別情報は、発送された注文者を特定する情報と共に販売管理サーバ50に送信される。販売管理サーバ50は、在庫管理施設の端末から送信された情報に基づいて、管理情報記憶部54に記憶される管理情報を更新してもよい。
【0060】
次いで、医療従事者がホルタ心電計10を使用したときの販売管理サーバ50の処理について説明する。医療従事者は、ホルタ心電計10を使用するときに利用者端末70に使用するホルタ心電計10の識別情報を入力し、入力された識別情報は、当該ホルタ心電計10が使用されていることを示す情報と共に販売管理サーバ50に送信される。販売管理サーバ50は、利用者端末70から識別情報を受信すると、管理情報記憶部54に記憶される管理情報のうち、受信した識別情報に対応する管理情報を、測定中の状態を示す情報に更新する。また、販売管理サーバ50は、利用者情報記憶部56に記憶される利用者情報から、受信した識別情報を消去する。これにより、利用者情報において、該当する医療従事者が保有するホルタ心電計10の識別情報から、測定中のホルタ心電計10の識別情報が削除される。すなわち、医療従事者が被測定者にホルタ心電計10を貸し出した時点とほぼ同じタイミングで、利用者情報において、該当する医療従事者が保有するホルタ心電計10の数が減少するように更新される。
【0061】
その後、販売管理サーバ50は、利用者情報において、上記の医療従事者の注文数情報と保有情報を比較する。保有情報で特定される数が注文数情報で特定される数より少ない場合、販売管理サーバ50は、保有情報で特定される数と注文数情報で特定される数の差分と同数のホルタ心電計10を、該当する医療従事者に発送する指示を送信する。具体的には、販売管理サーバ50は、管理情報記憶部54に記憶される管理情報から、在庫中の状態を示す情報を有するホルタ心電計10の識別情報を、上記の差分と同数だけ選択する。そして、販売管理サーバ50は、在庫を管理する施設の端末(図示省略)に、選択した識別情報に対応するホルタ心電計10を注文した医療従事者に発送する指示を送信する。また、販売管理サーバ50は、発送したホルタ心電計10について、該当する管理情報と利用者情報を更新する。これにより、医療従事者の保有数が注文数より少なくなると自動的に補充分のホルタ心電計10が発送されるため、医療従事者は、注文数のホルタ心電計10を常に保有(ストック)することができる。なお、既に説明したように、販売管理サーバ50の処理としては、上記の構成に限られず、他の構成を採ってもよい。
【0062】
なお、注文数情報は、医療従事者が希望するホルタ心電計10の保有数の最大数に関する情報と最小数に関する情報を含んでいてもよい。この場合、販売管理サーバ50は、保有情報で特定される数が注文数情報で特定される最小数より少なくなったときに、ホルタ心電計10を発送する指示を送信する。このとき、発送されるホルタ心電計10の数は、注文数情報で特定される最大数と保有情報で特定される数の差分とする。また、販売管理サーバ50は、注文数情報を利用者端末70からではなく、他の端末(例えば、ホルタ心電計10の販売事業者が有する端末等)から取得してもよい。
【0063】
また、利用者情報において、各医療従事者の保有情報に含まれる識別情報が消去される(すなわち、利用者情報において、各医療従事者が保有するホルタ心電計10を減少させる)タイミングは、販売管理サーバ50が、
図2のステップS14の解析管理サーバ32から識別情報を取得したタイミング(解析センターにホルタ心電計10が到着したことが伝達されるタイミング)であってもよい。医療従事者が利用者端末70に使用するホルタ心電計10の識別情報を入力しなかった場合には、管理情報は、保有状態から測定中の状態に更新されない。このため、ホルタ心電計10が解析センターに到着した後、販売管理サーバ50は、そのホルタ心電計10の管理情報を、保有状態から解析中の状態に更新すると共に、利用者情報からそのホルタ心電計10の識別情報を消去してもよい。このような場合にも、保有数が注文数より少なくなれば自動的に補充分のホルタ心電計10が発送されるため、医療従事者は、注文数のホルタ心電計10を常に保有(ストック)することができる。
【0064】
(実施例2)
上記の実施例1では、ホルタ心電計10はリサイクル処理されて再使用されたが、このような構成に限定されない。ホルタ心電計10は、再使用されず、1回のみ使用可能であってもよい。なお、本実施例では、ホルタ心電計10を再使用するために用いられる構成が、実施例1の心電図波形解析システム1と相違しており、その他の構成は略一致している。そこで、実施例1の心電図波形解析システム1と同一の構成については、その説明を省略する。
【0065】
図3に示すように、本実施例の心電図波形解析システム2は、ホルタ心電計10と、管理装置130と、記憶装置60と、利用者端末70を備えている。なお、ホルタ心電計10と記憶装置60と利用者端末70については、実施例1のホルタ心電計10と記憶装置60と利用者端末70と略同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
管理装置130は、解析管理サーバ132と、販売管理サーバ150を備えている。解析管理サーバ132は、メモリ34とCPU138を含むコンピュータを用いて構成されている。メモリ34には演算プログラムが記憶されており、CPU138が当該プログラムを実行することで、CPU138は
図3に示す解析部40として機能する。すなわち、実施例1のCPU38と異なり、CPU138は、判定部としては機能しない。上述したように、本実施例では、ホルタ心電計10を再使用しない。このため、ホルタ心電計10の状態(例えば、使用可能な状態であるのか、リサイクル処理中であるのか、破棄されたのか等)を判定する必要がなく、判定部は必要ではない。ホルダ心電計10の状態を判定する必要がないため、ホルダ心電計10の使用回数をメモリ12に記憶する必要はなく、また、書き込みエラー回数をメモリ12に記憶する必要もない。このため、これらの情報をメモリ12に記憶しないように構成してもよい。なお、メモリ34については、実施例1のメモリ34と略同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、解析管理サーバ132は、入力部44と送受信部46を備えているが、入力部44と送受信部46についても、実施例1の入力部44と送受信部46と略同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
販売管理サーバ150は、メモリ152とCPU(図示省略)を含むコンピュータを用いて構成されている。メモリ152は、在庫情報記憶部154と、利用者情報記憶部56を備えている。在庫情報記憶部154は、医療従事者に提供可能なホルタ心電計10(すなわち、在庫状態のホルタ心電計10)の識別情報を記憶している。なお、利用者情報記憶部56については、実施例1の利用者情報記憶部56と略同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、販売管理サーバ150は、送受信部58を備えているが、送受信部58についても、実施例1の送受信部58と略同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。上述したように、本実施例では、ホルタ心電計10を再使用しない。このため、販売管理サーバ150は、ホルタ心電計10が、医療従事者に保有されている状態か、在庫状態かのみを管理すると共に、ホルタ心電計10がどの医療従事者に提供されたのかを管理すればよい。
【0068】
解析管理サーバ132の処理について説明する。解析管理サーバ132は、解析センターに移送されたホルタ心電計10から各種の情報を取得して、心電図波形を解析する。このため、本実施例においても、
図2のステップS12~ステップS20の処理が実行される。一方、測定した心電図波形が解析管理サーバ132に読み出されると、使用済みのホルタ心電計10は破棄される。このため、本実施例では、
図2のステップS22~S40の処理は実行されず、ステップS20の処理の後、解析管理サーバ132は、処理を終了する。
【0069】
販売管理サーバ150の処理について説明する。販売管理サーバ150は、送受信部58が利用者端末70の入力部74から入力されたホルタ心電計10の注文数情報を受信すると、在庫情報記憶部154に記憶される情報から識別情報を注文数だけ選択する。そして、販売管理サーバ150は、選択した識別情報に対応するホルタ心電計10を注文した医療従事者に発送する指示を、在庫を管理する施設の端末(図示省略)に送信する。さらに、販売管理サーバ150は、選択した識別情報を、在庫情報記憶部154から消去すると共に、利用者情報記憶部56に記憶させる。また、販売管理サーバ50は、入力された注文数を利用者情報記憶部56に記憶させる。
【0070】
また、医療従事者がホルタ心電計10を使用すると、販売管理サーバ150は、利用者端末70から使用されたホルタ心電計10の識別情報を受信する。次いで、販売管理サーバ50は、利用者情報記憶部56に記憶される利用者情報から、受信した識別情報を消去する。これにより、利用者情報において、該当する医療従事者が保有するホルタ心電計10の識別情報から、測定中のホルタ心電計10の識別情報が削除される。なお、本実施例においても、医療従事者が利用者端末70に使用するホルタ心電計10の識別情報を入力しなかった場合には、ホルタ心電計10が解析センターに到着した後、販売管理サーバ150は、利用者情報からそのホルタ心電計10の識別情報を消去してもよい。その後、販売管理サーバ150は、不足分のホルタ心電計10を医療従事者に自動的に発送する。なお、自動発送する処理については、実施例1と略同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0071】
本実施例においても、医療従事者に新品のホルタ心電計10が発送され、ホルタ心電計10を本体12ごと解析事業者の元へ移送するため、医療従事者がホルタ心電計10のメンテナンスや、ホルタ心電計10から測定データを取得する等の作業をする必要がない。このため、医療従事者の負担を低減することができる。また、保有数が注文数より少なくなると自動的に補充分のホルタ心電計10が発送されるため、医療従事者は、注文数のホルタ心電計10を常に保有(ストック)することができる。
【0072】
なお、上記の実施例1及び2では、販売管理サーバ50、150は、医療従事者毎にホルタ心電計10の保有数と注文数を管理し、保有数が注文数より少なくなると自動的に補充分のホルタ心電計10を医療従事者に自動的に発送していたが、このような構成に限定されない。販売管理サーバは、各医療従事者のホルタ心電計10の保有数と注文数を管理していなくてもよい。すなわち、医療従事者は、ホルタ心電計10を必要に応じて注文することによって、必要数のホルタ心電計10を補充してもよい。
【0073】
実施例で説明した心電図波形解析システム1に関する留意点を述べる。実施例のメモリ18は、「心電図波形記憶部」及び「識別情報記憶部」の一例であり、記録シート20は、「記憶媒体」の一例であり、心電計情報記憶部36は、「第1記憶部」の一例であり、記憶装置60は、「第2記憶部」の一例であり、送受信部46は、「出力部」の一例である。
【0074】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0075】
1、2:心電図波形解析システム
10:ホルタ心電計
12:本体
16:コントローラ
18:メモリ
20:記録シート
30、130:管理装置
32:解析管理サーバ
36:心電図情報記憶部
40:解析部
42:判定部
44:解析管理サーバの入力部
46:解析管理サーバの送受信部
50:販売管理サーバ
54:管理情報記憶部
56:利用者情報記憶部
58:販売管理サーバの送受信部
60:記憶装置
70:利用者端末
74:利用者端末の入力部
76:利用者端末の送受信部