(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
(21)【出願番号】P 2018204475
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237304(JP,A)
【文献】特開2014-148152(JP,A)
【文献】特開2013-043447(JP,A)
【文献】特開2017-222148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が縦方向の折り線を介して横方向へ連接された単位折り畳み用紙と、第五葉片、第六葉片、第七葉片及び第八葉片が前記縦方向の折り線を介して横方向へ連接された単位折り畳み用紙とが、横方向の折り線を介して第一葉片と第五葉片、第二葉片と第六葉片、第三葉片と第七葉片及び第四葉片と第八葉片がそれぞれ対向するように連接され、第三葉片と第七葉片の横幅が第二葉片と第六葉片の横幅と異なると共に第二葉片と第六葉片の横幅が第一葉片と第五葉片の横幅と異なり且つ第四葉片と第八葉片の横幅が第三葉片と第七葉片の横幅より狭い折り畳み情報通信体用紙を、上から第四葉片、第三葉片、第二葉片、第一葉片、第五葉片、第六葉片、第七葉片及び第八葉片の順に縦横に折り畳み重ねわせた折り畳み情報通信体であり、第四葉片と第三葉片、第一葉片と第五葉片及び第七葉片と第八葉片の対向面間が完全接着手段により剥離不能に接着されると共に他の葉片間が疑似接着フィルムシートにより剥離可能に接着され
た折り
畳み情報通信体であり、
折り畳みにより形成される剥離開始側の縁辺が一致せず段差を形成すると共に
前記段差部分に位置する折り線を
、葉片の折畳み後に疑似接着フィルムシートが
表出するよう跨ぐ状態
で被覆
することにより
、折畳みにより袋状に閉じられた縁辺を切除後開封
するに際し
、疑似接着フィルムシート同士を剥離の端緒として摘まめるようにしたことを特徴とした折り畳み情報通信体。
【請求項3】
中央部の対向面間の折り線側と逆側の縁辺部分を剥離不能に接着すると共に残りの対向面間を疑似接着フィルムシートにより剥離可能に接着することにより中央部分の対向面同士が製本状態に剥離展開することを特徴とした請求項
1又は
2の何れかに記載の折り畳み情報通信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙の折り畳みにより得られる封書等の情報通信体であり、大量の情報伝達を可能にすると共に開封後に製本状態で展開できるため受取人の興味を引く折り畳み情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、案内状やパンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種情報が記載された用紙を折り畳み封入して郵送する方法が一般的に使用されていた。しかし最近では個人情報等の管理が重要となり、誤って他人の情報を記載した内容を誤配する等の事故は極力避けなければならない。また多数の個別の情報を封入封緘する作業に係る多大な経費を削減したいところである。そのような状況下において、例えば特開2000-43456号に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載されている折り畳み封書用シートは、一枚のシートに一対一対応で情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、誤って他人の情報が混入することはない。また折り畳めば封書に仕上がるので封入封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし特殊加工を必要とする突出した封緘片、封緘のための接着剤塗布作業、開封に際して接着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段の複雑で手間の掛かる加工が必要で、せっかく既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
また折り畳み封書用シートの素材として安価な紙材が通常に使用されるが、雨等により濡れた紙材は剥離に際して破断したり分裂したりして紙材そのものを破壊してしまう。また対向して密着する印刷面同士が剥離不能に接着してしまい(いわゆるブロッキング現象)内部の情報を確認できない等の事故が多発する。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み最終的に封入封緘された封書等に仕上げることができ、また内部の情報の確認がしやすいと共に受取人の興味を引く形態に剥離展開が可能で、さらに雨等による水濡れを起こしていても剥離が容易で最後まで内部に記載されている情報を破壊することなく展開することが可能な折り畳み情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、第一葉片、第二葉片及び第三葉片が縦方向の折り線を介して横方向へ連接された単位折り畳み用紙と、第四葉片、第五葉片及び第六葉片が前記縦方向の折り線を介して横方向へ連接された単位折り畳み用紙とが、横方向の折り線を介して第一葉片と第四葉片、第二葉片と第五葉片及び第三葉片と第六葉片がそれぞれ対向するように連接され、第二葉片と第五葉片の横幅が第一葉片と第四葉片の横幅と異なると共に第三葉片と第六葉片の横幅が第二葉片と第五葉片の横幅よりも狭い折り畳み情報通信体用紙を、上から第三葉片、第二葉片、第一葉片、第四葉片、第五葉片及び第六葉片の順に縦横に折り畳み重ねわせた折り畳み情報通信体であり、第三葉片と第二葉片、第一葉片と第四葉片及び第五葉片と第六葉片の対向面間が完全接着手段により剥離不能に接着されると共に他の葉片間が疑似接着フィルムシートにより剥離可能に接着された折り畳み情報通信体であり、折り畳みにより形成される剥離開始側の縁辺が一致せず段差を形成すると共に前記段差部分に位置する折り線を、葉片の折畳み後に疑似接着フィルムシートが表出するよう跨ぐ状態で被覆することにより、折畳みにより袋状に閉じられた縁辺を切除後開封するに際し、疑似接着フィルムシート同士を剥離の端緒として摘まめるようにしたことを特徴としている。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の折り畳み情報通信体は、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が縦方向の折り線を介して横方向へ連接された単位折り畳み用紙と、第五葉片、第六葉片、第七葉片及び第八葉片が前記縦方向の折り線を介して横方向へ連接された単位折り畳み用紙とが、横方向の折り線を介して第一葉片と第五葉片、第二葉片と第六葉片、第三葉片と第七葉片及び第四葉片と第八葉片がそれぞれ対向するように連接され、第三葉片と第七葉片の横幅が第二葉片と第六葉片の横幅と異なると共に第二葉片と第六葉片の横幅が第一葉片と第五葉片の横幅と異なり且つ第四葉片と第八葉片の横幅が第三葉片と第七葉片の横幅より狭い折り畳み情報通信体用紙を、上から第四葉片、第三葉片、第二葉片、第一葉片、第五葉片、第六葉片、第七葉片及び第八葉片の順に縦横に折り畳み重ねわせた折り畳み情報通信体であり、第四葉片と第三葉片、第一葉片と第五葉片及び第七葉片と第八葉片の対向面間が完全接着手段により剥離不能に接着されると共に他の葉片間が疑似接着フィルムシートにより剥離可能に接着された折り畳み情報通信体であり、折り畳みにより形成される剥離開始側の縁辺が一致せず段差を形成すると共に前記段差部分に位置する折り線を、葉片の折畳み後に疑似接着フィルムシートが表出するよう跨ぐ状態で被覆することにより、折畳みにより袋状に閉じられた縁辺を切除後開封するに際し、疑似接着フィルムシート同士を剥離の端緒として摘まめるようにしたことを特徴としている。
【0009】
なお、中央部分の剥離不能に接着された対向面間の大部分を疑似接着フィルムにより剥離可能とし、縁辺に沿った帯状の一部分を剥離不能に接着しておくことにより、中央部分の対向面間にも情報を記載できる構成としても構わない。
【0010】
既述の疑似接着フィルムシートは、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレンの一方の面に感熱接着剤層を形成し、残る一方の面に疑似接着層を形成したサーマルラミネート法に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートが好適に使用することができる。このものは印刷後の用紙の疑似接着予定面に被覆して、疑似接着層同士が対向するように折り畳み、加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。その後対向面間を剥離すると前記疑似接着層から分かれて元通りに剥離展開する。
【0011】
完全接着手段として感熱接着剤、感圧接着剤、感湿接着剤等を情報通信体用紙の完全接着予定面に形成しても構わないが、前記疑似接着フィルムシートの疑似接着層に代えてヒート処理層を形成した、サーマルラミネート法に対応したプリントラミネート用に完全接着フィルムシートを好適に使用することができる。このものは印刷後の用紙の完全接着予定面に被覆して、完全接着層同士が対向するように折り畳み、加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離不能に接着する。
【0012】
本発明の折り畳み情報通信体は、一枚の折り畳み情報通信体用紙を縦横に折り畳み完成されるものであるが、前記折り線に形成されるミシン目や折り筋等の折り手段は、折り畳み情報通信体の製造工程中に行うと至便である。しかし製造に先立ち情報通信体用紙に予め形成しておいても構わない。その場合疑似接着フィルムシートには折り手段が形成されないことになる。また一部の折り手段を形成しておいて残る部分を製造工程で完了するように段階的に施すようにしても構わない。さらに何も施さず折り機により強制的に折り畳んでも構わない。
【0013】
既述の製造方法における各工程は、一貫した連続ラインで行われてもよく、或いは独立した個別の専用加工機により、例えば疑似接着フィルムシート或いは完全接着手段を情報通信体用紙の疑似接着予定面或いは完全接着予定面に形成する工程と、前記各種接着手段が形成された情報通信体用紙に折り手段を形成する工程と、前記折り手段を形成した情報通信体用紙を単品の情報通信体用紙に断裁して切り出す工程と、切り出された情報通信体用紙を折り畳む工程と、折り畳まれた情報通信体用紙に加圧或いは加熱・加圧処理を施す圧着工程等に分けて行っても構わない。
【0014】
本発明の折り畳み情報通信体は、当初縦方向の折り線から折り畳み、続いて上下に連接された単位折り畳み用紙が前記連接部分の横方向の折り線から折り畳まれる。そして前記折り畳み後の中央部分の対向する面同士を剥離不能或いは剥離可能の何れの態様にしても構わない。剥離不能にする場合には完全接着予定面の全面に完全接着手段を形成しておけばよく、剥離可能にする場合には前記対向面内の解放側(折り線と逆側)の縁辺に沿った帯状部分を剥離不能に接着し残りの大部分を剥離可能に接着すればよい。この場合剥離展開後前記帯状部分で二枚の単位折り畳み用紙が製本状に連接される。
【0015】
本発明の折り畳み情報通信体は、最終的に前記横方向の折り線から折り畳むため、折り畳まれた縁辺が袋状に閉じられている。なお後述する実施例では、前記閉じられている縁辺を下縁辺と表現しているが、デザインやレイアウトにより上縁辺を袋状の閉じられた縁辺としても構わない。また横長方向にデザインやレイアウトをした場合、左右何れかの縦縁辺が袋状の閉じられた縁辺となる。
【0016】
本発明の折り畳み情報通信体の開封順序として最初に前記袋状に閉じられた縁辺を切除することになる。これは受取人が鋏やカッター等の切除道具により例えばミシン線と共に表示された「ここを切り落として開封してください。」等の文言に従って行えばよいが、製造工程の最終段階で予め切除しておいて発送しても構わない。或いは前記切り落とし部分を切取りミシンで形成しておいて、何も道具を使用せずとも切り落して開封できるようにしておいても構わない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の折り畳み情報通信体は、一枚のシートに情報を記載して折り畳み、最終的に封入封緘された封書やダイレクトメール状態に仕上げることができるため、一つの封筒に情報が記載された複数の紙片を封入する従来の作業の際に起こる他人の情報の誤封入等の事故が起こらない。
また、開封後は見開き状に製本されているため情報の確認がしやすく受取人の興味を引く。
さらに情報表示面及び剥離の端緒部分がフィルムシートにより保護されているため、仮に雨等による水濡れを起こしていても情報通信体の基材となる紙材等を破壊することなく剥離を開始することができる。そして一旦剥離を開始すれば後は被覆されたフィルムシートを連続的に剥離すれば良いので、内部に記載されている情報が破壊されることなく確実に受取人に伝達される。
さらにまた製造に際して、各工程が一貫した連続ラインにより容易に行えるので、素人でも大量の折り畳み情報通信体を短時間で製造することが可能である。また個別の専用加工機による作業でも極めて容易に折り畳み情報通信体を製造することができるため、新たな加工ラインを購入することなく従来の装備で行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)は
折り畳み情報通信体J1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図2】(A)は
図1(A)におけるア-ア線断面図、(B)はイ-イ線断面図である。
【
図3】(A)は
折り畳み情報通信体J1の剥離開封状態を示す断面図、(B)は同状態の斜視図である。
【
図4】(A)は
折り畳み情報通信体J1の製造に用いられる単位折り畳みシートS1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図5】(A)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートKが被覆された単位折り畳みシートS1の表面図、(B)は疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された裏面図である。
【
図6】
図2(A)における二点鎖線の円内の断面図の拡大図である。
【
図7】(A)は
折り畳み情報通信体J2の平面図、(B)は(A)におけるウ-ウ線断面図である。
【
図9】(A)は
折り畳み情報通信体J2の剥離開封状態を示す断面図、(B)は同状態の斜視図である。
【
図10】(A)は
折り畳み情報通信体J2の製造に用いられる単位折り畳みシートS2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図11】(A)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートKが被覆された単位折り畳みシートS2の表面図、(B)は疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された裏面図である。
【
図12】(A)は折り畳み途中の単位折り畳みシートS2の平面図、(B)は(A)におけるオ-オ線断面図、(C)はカ-カ線断面図である。
【
図13】(A)は
折り畳み情報通信体J3の平面図、(B)は(A)におけるキ-キ線断面図である。
【
図15】(A)は
折り畳み情報通信体J3の剥離開封状態を示す断面図、(B)は同状態の斜視図である。
【
図16】(A)は
折り畳み情報通信体J3の製造に用いられる単位折り畳みシートS3の表面図、(B)は裏面図である。
【
図17】(A)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートK、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された単位折り畳みシートS3の表面図、(B)は疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された裏面図である。
【
図18】(A)は折り畳み途中の単位折り畳みシートS3の平面図、(B)は(A)におけるケ-ケ線断面図、(C)はコ-コ線断面図である。
【
図19】(A)は
折り畳み情報通信体J4の平面図、(B)は(A)におけるサ-サ線断面図である。
【
図21】
折り畳み情報通信体J4の剥離開封状態を示す断面図である。
【
図22】(A)は
折り畳み情報通信体J4の製造に用いられる単位折り畳みシートS4の表面図、(B)は裏面図である。
【
図23】(A)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートK、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された単位折り畳みシートS4の表面図、(B)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートK、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された裏面図である。
【
図24】(A)は折り畳み途中の単位折り畳みシートS4の平面図、(B)は(A)におけるス-ス線断面図、(C)はセ-セ線断面図である。
【
図25】(A)は
折り畳み情報通信体J5の平面図、(B)は(A)におけるソ-ソ線断面図である。
【
図27】
折り畳み情報通信体J5の剥離開封状態を示す断面図である。
【
図28】(A)は
折り畳み情報通信体J5の製造に用いられる単位折り畳みシートS5の表面図、(B)は裏面図である。
【
図29】(A)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートK、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された単位折り畳みシートS5の表面図、(B)は完全接着予定面に完全接着フィルムシートK、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆された裏面図である。
【
図30】(A)は折り畳み途中の単位折り畳みシートS5の平面図、(B)は(A)におけるチ-チ線断面図、(C)はツ-ツ線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
なお以下の実施例では、剥離可能な接着に疑似接着フィルムシート、剥離不能な接着に完全接着フィルムシートを用いている。
【0020】
[
折り畳み情報通信体の剥離の端緒の構成等]
まず初めに、本発明の折畳み情報通信体の剥離の端緒の構成等について、折畳み情報通信体J1を例に説明する。
図1及び
図2に示
す折り畳み情報通信体J1は、
図2(A)に示すように上から第四葉片4、第三葉片3、第二葉片2及び第一葉片1の順に折り線7、6及び5から折り畳まれている。そして中央部分の第三葉片3と第二葉片2の対向面間が疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。なお第四葉片4及び第一葉片1の表出面には第三葉片3及び第二葉片2の対向面を被覆している疑似接着フィルムシートGが折り線7及び5を跨いで被覆されている。
【0021】
既述の構成の折り畳み情報通信体J1の受取人は
図2(A)に示すように、第三葉片3及び第二葉片2を連接する折り線6と逆側の解放側縁辺(折り線7及び5側)に形成された段差を剥離の端緒として、前記両葉片を
図3(A)及び(B)に示すように引き剥がし開封することができる。そして内部に記載されている個人的な情報を、透明の疑似接着フィルムシートGを介して視認することができるのである。
【0022】
なお前記剥離の端緒となる段差部分の縁辺は、疑似接着フィルムシートGにより被覆されている。従って仮に折り畳み情報通信体J1が雨等により水濡れを起こしていても。剥離開始の動作に際して脆弱な紙材ではなく強靭な疑似接着フィルムシートGを摘むことになり、また剥離展開の動作に関しても強靭な疑似接着フィルムシートGに被覆され保護された葉片同士を徐々に剥がすことになる。従って折り畳み情報通信体J1は破断されることなく最後の平面状態まで安心して引き剥がすことができる。
【0023】
なお、既述の摘み部分の各葉片と完全接着フィルムシートKの構成は、本実施例では折り畳まれた葉片の端部と、対向面間に介在する完全接着フィルムシートKの端部をぴったり揃えた状態で表現しているが、前記両者の端部における構成はそれに限られることはない。例えば
図2の二点鎖線で囲まれる段差の摘み部分を拡大した
図6に示す上側の摘み部分のように、第四葉片4の端部から第三葉片3側の完全接着フィルムシートがはみ出した状態でも良い。また下側の摘み部分のように第二葉片に被覆された完全接着フィルムシートKが第一葉片1の端部から控えた位置に被覆されていても構わない。
【0024】
前記折り畳み情報通信体J1の剥離展開状態の構成を説明すると、図4(A)及び(B)に示すように、折り線5、6及び7を介して横方向に連接された第一葉片1、第二葉片2、第三葉片3及び第四葉片4からなる単位折り畳みシートS1の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートG、完全接着予定面には完全接着フィルムシートKが被覆された状態となる。具体的に説明すると図5(A)に示す表面側では、第一葉片1及び第四葉片4の全面
に完全接着フィルムシートKが被覆され、さらに前記完全接着フィルムシートKは、折り線5及び折り線7を軸にして第二葉片2及び第三葉片3側の対称の位置まで被覆している。また図5(B)に示す裏面側では、各葉片の全面に疑似接着フィルムシートGが被覆されている。
【0025】
そして各折り線5、6及び7に折りミシンが形成されているが、前記折りミシンのミシン目は各種フィルムシートと単位折り畳みシートSの両者を貫通するミシン目、或いは必ずしも両者を貫通する必要はなく、事前に各折り線に折りミシンを形成しておいて各種フィルムシートにミシン目を形成しなくてもよい。また折りミシンに代えて他の折り手段(例えば折り筋)でも構わず、何も手を加えることなく折り機で強制的に折り畳むようにしても構わない。これら折り畳み手段の形成に関しては後述する各実施例においても同様である。
【0026】
[実施例
1:折り畳み情報通信体J2]
図7及び
図8に示す本実施例の折り畳み情報通信体J2は、
図7(B)及び
図8に示すように上から第三葉片13、第二葉片12及び第一葉片11、第四葉片14、第五葉片15及び第六葉片16の順に折り線17、18及び横方向の折り線19から縦横に折り畳まれている。そして第三葉片13及び第二葉片12の対向面間、中央部分の第一葉片11と第四葉片14の対向面間及び第五葉片15と第六葉片16の対向面間が完全接着フィルムシートKを介して剥離不能に接着され、他の対向面間は疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。なお第二葉片12及び第五葉片15を対向面側で被覆している疑似接着フィルムシートGは折り線18を跨いで表出した第三葉片13及び第六葉片16の表面まで被覆している。
【0027】
既述の構成の折り畳み情報通信体J2の受取人は、図示されていないが、表面に記載されている「ここを切り落とす」等の文言に従い鋏等で切取線20を切除し、
図8に二点鎖線で示す袋とじ状態の折り部分を切り落とす。その後
図7(B)に示す折り線18と第一葉片11の突出部分で形成される段差及び折り線18と第四葉片14の突出部分で形成される段差を剥離の端緒として開封をすることになる。前記剥離の端緒部分は何れの箇所も疑似接着フィルムシートGにより被覆されているため、受取人は疑似接着フィルムシートGを摘まんで剥離を開始することになる。従って仮に
折り畳み情報通信体J2が雨等により水濡れを起こしていても、脆弱な紙材ではなく葉片を保護する強靭な疑似接着フィルムシートGを摘むことになり、また剥離展開の動作に際しても強靭な疑似接着フィルムシートGに被覆された葉片同士を徐々に引き剥がすことになる。従って
折り畳み情報通信体J2の剥離可能な葉片同士は最後まで破断されることなく安心して引き剥がすことができる。そして
図9(A)及び(B)に示す状態に剥離展開した後に内部に記載されている個人的な情報を、透明の疑似接着フィルムシートGを介して視認することができるのである。
【0031】
折り畳み情報通信体J2の製造方法は、例えば
図10(A)及び(B)に示すように、折り線17及び18を介して横方向に連接された第一葉片11、第二葉片12及び第三葉片13と、同様に折り線17及び18を介して連接された第四葉片14、第五葉片15及び第六葉片16が、横方向の折り線19を介して第一葉片11と第四葉片14、第二葉片12と第五葉片15及び第三葉片13と第六葉片16がそれぞれ対向するように上下に連接された単位折り畳みシートS2が印刷された、連続シート或いは枚葉シートを用いる。
【0028】
そして既述の構成の単位折り畳みシートS2の表裏面には、両面ラミネータ等のフィルムシート被覆装置により、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートG、完全接着予定面には完全接着フィルムシートKが被覆される。具体的には
図11(A)に示す表面側では、第一葉片11及
び第四葉片14の略全面に、また第三葉片13及び第六葉片16の全面と、さらに折り線18を軸にして第二葉片12及び第五葉片15側へ第三葉片13及び第六葉片16と対称
となる部分まで完全接着フィルムシートKが被覆されている。また
図11(B)に示す裏面側では、各葉片の全面に疑似接着フィルムシートGが被覆されている
【0029】
両面ラミネータ等の被覆装置による被覆作業が完了すると次に
図11(A)及び(B)に示すように、各折り線17及び18に例えばミシン刃とバックアップローラの組み合わせからなる折り手段形成装置により折りミシンが形成される。
【0030】
そして各種フィルムシートが被覆されると共に折り手段の
折りミシンが形成された単位折り畳みシートS2は、例えば
図12(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線17及び18から断面Z字状に折り畳まれ、さらに横方向の折り線19から全体を二つ折りに折り畳まれて
図7(A)、(B)及び
図8の状態に折り畳まれた後に、接着装置等により対向する疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKに加圧或いは加熱・加圧処理が施されて最終製品の
折り畳み情報通信体J2に仕上げられるのである。
【0031】
なお各種フィルムシートを被覆する工程、折りミシンや折り筋等の折り手段を形成する工程、折り畳みの工程、単位折り畳みシートに仕上げる工程及び接着予定面を接着して全体として一体化する工程等の順序は状況に応じて入れ替えればよい。また折り手段を形成する工程、折り畳みの工程及び単位折り畳みシートに仕上げる工程は、必ずしも一か所に配置され実行する必要はなく、複数個所に分散して配置し段階的に実行するようにしても構わない。これらの製造に関する内容は後述する各実施例においても同様である。
【0032】
[実施例
2:折り畳み情報通信体J3]
図13及び
図14に示す本実施例の折り畳み情報通信体J3は、
図13(B)及び
図14に示すように上から第三葉片23、第二葉片22及び第一葉片21、第四葉片24、第五葉片25及び第六葉片26の順に折り線28、27及び横方向の折り線29から縦横に折り畳まれている。そして
図13(B)に示すように、第三葉片23及び第二葉片22の対向面、第五葉片25と第六葉片26の対向面及び中央部分の第一葉片21と第四葉片24の対向面の折り線27と逆側の縁辺に沿った帯状部分が完全接着フィルムシートKを介して剥離不能に接着されている。
【0033】
また前記完全接着フィルムシートK以外の対向面間が、疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着され、特に第一葉片21と第四葉片24の対向面間は、既述の通り帯状に介在する完全接着フィルムシートKが介在しない部分を、前記完全接着フィルムシートKと間をおいて配置された疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。
【0034】
なお第二葉片22及び第五葉片25を対向面側で被覆している疑似接着フィルムシートGは折り線28を跨いで第三葉片23及び第六葉片26の表出面を被覆している。さらに第一葉片21及び第四葉片24の対向面を被覆している疑似接着フィルムシートGが折り線27を跨いで、それぞれ表出する第二葉片22及び第五葉片25の一部を被覆している。
【0035】
既述の構成の折り畳み情報通信体J3の受取人は、図示されていないが、表面に記載されている「ここを切り落とす」等の文言に従い鋏等で切取線30を切除し、
図14に二点鎖線で示す袋とじ状態の折り部分を切り落とす。その後
図13(B)に示す折り線28と第一葉片21で形成される段差或いは折り線28と第四葉片24で形成される段差を剥離の端緒として開封を開始す
る。
【0036】
前記剥離の端緒部分は何れの箇所も疑似接着フィルムシートGにより被覆されているため、受取人は疑似接着フィルムシートGを摘まんで剥離を開始することになる。従って仮に折り畳み情報通信体J3が雨等により水濡れを起こしていても、脆弱な紙材ではなく葉片を保護する強靭な疑似接着フィルムシートGを摘むことになり、また剥離展開の動作に際しても強靭な疑似接着フィルムシートGに被覆された葉片同士を徐々に引き剥がすことになる。従って折り畳み情報通信体J3の剥離可能な葉片同士は最後まで破断されることなく安心して引き剥がすことができる。
【0037】
既述の通り剥離が開始された
折り畳み情報通信体J3は、当初第二葉片22と第一葉片21及び第五葉片25と第四葉片24が剥離され、その流れのまま疑似接着フィルムシートGにより補強された折り線27から第一葉片21と第四葉片24が剥離され、最終的に
図15(A)及び(B)に示すように、中央部分が製本状態で連結された状態(断面W字状)に展開されるのである。そして剥離動作の間、
折り畳み情報通信体J3は破断されることなく最後の製本状態まで安心して引き剥がすことができ、
図15(A)及び(B)に示す状態に剥離展開した後に内部に記載されている個人的な情報を、透明の疑似接着フィルムシートGを介して視認することができる。
【0038】
折り畳み情報通信体J3の製造方法は、例えば
図16(A)及び(B)に示すように、縦方向の折り線27及び28を介して横方向に連接された第一葉片21、第二葉片22、及び第三葉片23と、同様に縦方向の折り線27及び28を介して連接された第四葉片24、第五葉片25及び第六葉片26が、横方向の折り線29を介して第一葉片21と第四葉片24、第二葉片22と第五葉片25及び第三葉片23と第六葉片26がそれぞれ対向するように上下に連接された単位折り畳みシートS3が印刷された連続シート或いは枚葉シートを用いる。
【0039】
そして既述の構成の単位折り畳みシートS3の表裏面には、両面ラミネータ等のフィルムシート被覆装置により、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートG、完全接着予定面には完全接着フィルムシートKが被覆される。具体的に説明すると
図17(A)に示す表面側では、第一葉片21及び第四葉片24の外側縁辺に沿って帯状に完全接着フィルムシートKが被覆され、また第三葉片23及び第六葉片26全面に完全接着フィルムシートKが被覆されており、さらに前記完全接着フィルムシートKは、縦方向の折り線28を軸にして第二葉片22及び第五葉片25側の第三葉片23及び第六葉片26と対称
となる部分まで被覆している。また第一葉片21及び第四葉片24に被覆された完全接着フィルムシートKが被覆されていない部分には間隔をおいて疑似接着フィルムシートGが被覆され、さらに前記疑似接着フィルムシートGは、縦方向の折り線27を跨いで第二葉片22及び第五葉片25の前記縦方向の折り線27に沿った部分を帯状に被覆している。
【0040】
また
図17(B)に示す裏面側は、全葉片の全面が疑似接着フィルムシートGにより被覆されている。
【0041】
両面ラミネータ等の被覆装置による被覆作業が完了すると次に
図17(A)及び(B)に示すように、各縦方向の折り線27及び28に例えばミシン刃とバックアップローラの組み合わせからなる折り手段形成装置により折りミシンが形成される。
【0042】
そして各種フィルムシートが被覆されると共に折りミシンが形成された単位折り畳みシートS3は、例えば
図18(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線27及び28から断面Z字状に折り畳まれ、さらに横方向の折り線29から全体を二つ折りに折り畳まれ
図13(A)、(B)及び
図14の状態に折り畳まれた後に、接着装置等により対向する疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKに加圧或いは加熱・加圧処理が施されて最終製品の
折り畳み情報通信体J3に仕上げられるのである。
【0043】
[実施例
3:折り畳み情報通信体J4]
図19(A)、(B)及び
図20に示す本実施例の折り畳み情報通信体J4は、
図19(B)に示すように上から第四葉片34、第三葉片33、第二葉片32、第一葉片31、第五葉片35、第六葉片36、第七葉片37及び第八葉片38の順に折り線41、40、39及び横方向の折り線42から縦横に折り畳まれている。そして
図19(B)に示すように、第四葉片34と第三葉片33、第七葉片37と第八葉片38の対向面及び中央部分の第一葉片31と第五葉片35の対向面が完全接着フィルムシートKを介して剥離不能に接着されている。
【0044】
そして第三葉片33と第二葉片32、第二葉片32と第一葉片31、第五葉片35と第六葉片36及び第六葉片36と第七葉片37の対向面間が、疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。
【0045】
なお第三葉片33及び第七葉片37を対向面側で被覆している疑似接着フィルムシートGは折り線41を跨いで第四葉片34及び第八葉片38の表出面を被覆している。さらに第二葉片32の第一葉片31側及び第六葉片36の第五葉片35側を被覆している疑似接着フィルムシートGが折り線40を跨いで第三葉片33及び第七葉片37の前記折り線に沿った部分を帯状に被覆している。
【0046】
既述の構成の折り畳み情報通信体J4の受取人は、図示されていないが、表面に記載されている「ここを切り落とす」等の文言に従い鋏等で切取線43を切除し、
図20に二点鎖線で示す袋とじ状態の折り部分を切り落とす。その後例えば
図19(B)に示す折り線41と折り線39部分で形成されている段差を端緒として剥離を開始することが可能である。前記剥離の端緒部分は指で摘まむ何れの箇所も疑似接着フィルムシートGにより被覆されており、受取人はその部分を摘まんで剥離を開始することになる。従って仮に情報通信体J4が雨等により水濡れを起こしていても。剥離開始の動作では脆弱な紙材ではなく葉片を保護する強靭な疑似接着フィルムシートGを摘むことになり、また剥離展開の動作に際しても強靭な疑似接着フィルムシートGに被覆された葉片同士を徐々に引き剥がすことになる。従って
折り畳み情報通信体J4の剥離可能な葉片同士は最後まで破断されることなく安心して引き剥がすことができる。
【0047】
既述の通り剥離が開始された
折り畳み情報通信体J4は、仮に第三葉片33と第二葉片32が剥離されると、その流れのまま疑似接着フィルムシートGにより補強された折り線40から第二葉片32と第一葉片31が剥離される。本実施例の
折り畳み情報通信体J4には
図19(B)に示すように、前記以外にも剥離の端緒となる段差があり(合計で4カ所)、何れの段差から剥離を開始しても最終的に
図21に示すように、中央部分が製本状態で連結された変形蛇腹状態に展開されるのである。そして剥離動作の間、
折り畳み情報通信体J4は破断されることなく前記最後の状態まで安心して引き剥がすことができ、剥離展開した後に内部に記載されている個人的な情報を、透明の疑似接着フィルムシートGを介して視認することができる。
【0048】
折り畳み情報通信体J4の製造方法は、例えば
図22(A)及び(B)に示すように、縦方向の折り線39、40及び41を介して横方向に連接された第一葉片31、第二葉片32、第三葉片33及び第四葉片34と、同様に縦方向の折り線39、40及び41を介して連接された第五葉片35、第六葉片36、第七葉片37及び第八葉片38が、横方向の折り線42を介して第一葉片31と第五葉片35、第二葉片32と第六葉片36、第三葉片33と第七葉片37及び第四葉片34と第八葉片38がそれぞれ対向するように上下に連接された単位折り畳みシートS4が印刷された連続シート或いは枚葉シートを用いる。
【0049】
そして既述の構成の単位折り畳みシートS4の表裏面には、両面ラミネータ等のフィルムシート被覆装置により、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートG、完全接着予定面には完全接着フィルムシートKが被覆される。具体的には
図23(A)に示す表面側では、第一葉片31、第二葉片32、第五葉片35及び第六葉片36の全面と第三葉片33及び第七葉片37の縦方向の折り線40に沿った帯状部分に疑似接着フィルムシートGが被覆される。また第四葉片34及び第八葉片38
全面に完全接着フィルムシートKが被覆されており、前記完全接着フィルムKは縦方向の折り線41を軸にして第三葉片33及び第七葉片37側へ第四葉片34及び第八葉片38と対称と
なる部分まで被覆している。
【0050】
また
図23(B)に示す裏面側では、第四葉片34、第三葉片33、第八葉片38及び第七葉片37の全面と、第二葉片32及び第六葉片36の縦方向の折り線39に沿った帯状部分を除いて略全面が疑似接着フィルムシートにより被覆されると共に第一葉片31及び第五葉片35の縦方向の折り線39に沿った帯状部分を除いて略全面が完全接着フィルムシートKにより被覆されている。
【0051】
両面ラミネータ等の被覆装置による被覆作業が完了すると次に
図23(A)及び(B)に示すように、各縦方向の折り線39、40及び41に例えばミシン刃とバックアップローラの組み合わせからなる折り手段形成装置により折りミシンが形成される。
【0052】
そして各種フィルムシートが被覆されると共に折りミシンが形成された単位折り畳みシートS4は、例えば
図24(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線39、40及び41から
蛇腹状に折り畳まれ、さらに横方向の折り線43から全体を二つ折りに折り畳まれ
図19(A)、(B)及び
図20の状態に折り畳まれた後に、接着装置等により対向する疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKに加圧或いは加熱・加圧処理が施されて最終製品の情報通信体J4に仕上げられるのである。
【0053】
[実施例
4:折り畳み情報通信体J5]
図25(A)、(B)及び
図26に示すように本実施例の折り畳み情報通信体J5は、上から第四葉片54、第三葉片53、第二葉片52、第一葉片51、第五葉片55、第六葉片56、第七葉片57及び第八葉片58の順に折り線61、60、59及び横方向の折り線62から縦横に折り畳まれている。そして
図25(B)に示すように、第四葉片54と第三葉片53、第七葉片57と第八葉片58の対向面及び中央部分の第一葉片51と第五葉片5
5の対向面の折り線59と逆側の縁辺に沿った帯状部分が完全接着フィルムシートKを介して剥離不能に接着されている。
【0054】
また第三葉片53と第二葉片52、第二葉片52と第一葉片51、第五葉片55と第六葉片56及び第六葉片56と第七葉片57の対向面間が、疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着され、さらに中央部分の第一葉片51と第五葉片55の対向面の帯状に設けられた完全接着フィルムシートK以外の箇所が、間をおいて配置された疑似接着フィルムシートGを介し剥離可能に接着されている。
【0055】
なお第三葉片53及び第七葉片57を対向面側で被覆している疑似接着フィルムシートGは折り線61を跨いで第四葉片54及び第八葉片58の表出面を被覆している。さらに第二葉片52の第一葉片51側及び第六葉片56の第五葉片55側を被覆している疑似接着フィルムシートGが折り線60を跨いで第三葉片53及び第七葉片57の前記折り線に沿った部分を帯状に被覆している。
【0056】
既述の構成の折り畳み情報通信体J5の受取人は、図示されていないが、表面に記載されている「ここを切り落とす」等の文言に従い鋏等で切取線63を切除し、
図26に二点鎖線で示す袋とじ状態の折り部分を切り落とす。その後例えば
図25(B)に示す折り線61と折り線59部分で形成されている段差を端緒として剥離を開始することが可能である。前記剥離の端緒部分は指で摘まむ何れの箇所も疑似接着フィルムシートGにより被覆されており、受取人はその部分を摘まんで剥離を開始することになる。従って仮に
折り畳み情報通信体J5が雨等により水濡れを起こしていても。剥離開始の動作では脆弱な紙材ではなく葉片を保護する強靭な疑似接着フィルムシートGを摘むことになり、また剥離展開の動作に際しても強靭な疑似接着フィルムシートGに被覆された葉片同士を徐々に引き剥がすことになる。従って
折り畳み情報通信体J5の剥離可能な葉片同士は最後まで破断されることなく安心して引き剥がすことができる。
【0057】
既述の通り段差を利用して第三葉片53と第二葉片52が剥離され、その流れのまま疑似接着フィルムシートGにより補強された折り線60から第二葉片52と第一葉片51が剥離される。本実施例の
折り畳み情報通信体J5には
図25(B)に示すように、前記以外にも剥離の端緒となる段差があり(合計で4カ所)、何れの段差から剥離を開始しても最終的に
図27に示すように、中央の連結部分が製本状態で連結された蛇腹状に展開されるのである。そして剥離動作の間、
折り畳み情報通信体J5は破断されることなく最後の状態まで安心して引き剥がすことができ、剥離展開した後に内部に記載されている個人的な情報を、透明の疑似接着フィルムシートGを介して視認することができる。
【0058】
折り畳み情報通信体J5の製造方法は、例えば
図28(A)及び(B)に示すように、縦方向の折り線59、60及び61を介して横方向に連接された第一葉片51、第二葉片52、第三葉片53及び第四葉片54と、同様に縦方向の折り線59、60及び61を介して連接された第五葉片55、第六葉片56、第七葉片57及び第八葉片58が、横方向の折り線62を介して第一葉片51と第五葉片55、第二葉片52と第六葉片56、第三葉片53と第七葉片57及び第四葉片54と第八葉片58がそれぞれ対向するように上下に連接された単位折り畳みシートS5が印刷された連続シート或いは枚葉シートを用いる。
【0059】
そして既述の構成の単位折り畳みシートS5の表裏面には、両面ラミネータ等のフィルムシート被覆装置により、疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートG、完全接着予定面には完全接着フィルムシートKが被覆される。具体的には
図29(A)に示す表面側では、第一葉片51、第二葉片52、第五葉片55及び第六葉片56の全面と第三葉片53及び第七葉片57の縦方向の折り線60に沿った帯状部分に疑似接着フィルムシートGが被覆される。また第四葉片54及び第八葉片58全面に完全接着フィルムシートKが被覆されており、前記完全接着フィルムKは縦方向の折り線61を軸にして第三葉片53及び第七葉片57側へ第四葉片54及び第八葉片58と対称
となる部分まで被覆している。
【0060】
また
図29(B)に示す裏面側では、第一葉片51及び第五葉片55の縦方向の外側縁辺に沿って完全接着フィルムシートKが帯状に被覆されている。またそれ以外の部分、即ち第一葉片51及び第五葉片55の前記完全接着フィルムシートKが被覆された部分を除く全ての葉片の全面が疑似接着フィルムシートにより被覆されている。
【0061】
両面ラミネータ等の被覆装置による被覆作業が完了すると次に
図29(A)及び(B)に示すように、各縦方向の折り線59、60及び61に例えばミシン刃とバックアップローラの組み合わせからなる折り手段形成装置により折りミシンが形成される。
【0062】
そして各種フィルムシートが被覆されると共に折りミシンが形成された単位折り畳みシートS5は、例えば
図30(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線59、60及び61から
蛇腹状に折り畳まれ、さらに横方向の折り線63から全体を二つ折りに折り畳まれ
図25(A)、(B)及び
図26の状態に折り畳まれた後に、接着装置等により対向する疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKに加圧或いは加熱・加圧処理が施されて最終製品の
折り畳み情報通信体J5に仕上げられるのである。
【符号の説明】
【0063】
J1、J2、J3、J4、J5 折り畳み情報通信体
S1、S2、S3、S4、S5 単位折り畳みシート
G 疑似接着フィルムシート
K 完全接着フィルムシート
1、2、3、4、11、12、13、14、15、16、21、22、23、24、25、26、31、32、33、34、35、36、37、38、51、52、53、54、55、56、57、58 葉片
5、6、7、17、18、19、27、28、29、39、40、41、42、59、60、61、62 折り線
20、30、43、63 切取線