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  • 特許-自動運転車用エレベータ式駐車装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】自動運転車用エレベータ式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/18 606B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018244585
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020105775
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】松尾 拓実
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-269150(JP,A)
【文献】特開2018-178519(JP,A)
【文献】特開2017-031682(JP,A)
【文献】特開平4-347276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車を搭載するパレットと、該パレットを上下に貫通した昇降路に沿って移送する搬器と、前記昇降路に沿って多段に設けた駐車室と、前記自動運転車の入退出を行う入出庫階と、利用者が入出庫操作を行う操作盤と、を備え、前記入出庫階と前記駐車室との間で前記自動運転車を移送するエレベータ式駐車装置において
前記入出庫階には、内部に前記エレベータ式駐車装置の動作を制御するとともに、前記自動運転車の自動走行を制御する制御装置と、前記昇降路の両側方に設けられ、前記自動運転車の入出庫を行う入出庫部と、前記入出庫部に設けられ、前記制御装置によって開閉を可能とする扉とを有し、
前記搬器は、上面に前記パレットをスライド可能に支持するとともに、前記パレットを前記駐車室又は前記入出庫部と前記搬器上との間で往復移動させる横行駆動装置を有し、
前記エレベータ式駐車装置は入庫時において、前記利用者が前記操作盤の入庫操作をし、前記入庫操作により前記制御装置が動作して前記入出庫部のどちらか一方の前記扉を開くと、前記自動運転車が前記入出庫部に載置された前記パレットの上に停止し、前記制御装置は前記自動運転車が前記入出庫部に載置された前記パレットの上に停止したことを確認し、前記自動運転車が停止した側の前記入出庫部の前記扉が閉じ、
前記搬器の前記横行駆動装置が動作して、前記パレットおよび前記自動運転車が前記搬器上に横行移動し、前記搬器が前記パレットと前記パレットに載置された前記自動運転車とともに所定の前記駐車室まで昇降し、前記搬器の前記横行駆動装置を動作させることで、前記パレットおよび前記自動運転車を前記所定の前記駐車室に格納し、前記搬器は、前記自動運転車が格納されていない前記駐車室まで昇降し、該駐車室に格納されていたパレットを前記入出庫階に移動させ、入庫が行われた側の前記入出庫部に前記パレットを横行させ載置し、
前記エレベータ式駐車装置は、前記自動運転車を前記どちらか一方の前記入出庫部に載置する動作から前記搬器が前記入出庫階に戻るまで動作の途中で、入庫をしようとする前記自動運転車が前記操作盤の入庫操作をする前に前記エレベータ式駐車装置の付近に移動し、前記利用者が前記操作盤を操作すると、前記制御装置が動作状態の前記入出庫部と反対側の前記入出庫部の前記扉を開き、前記エレベータ式駐車装置に前記自動運転車を停止することを特徴とするエレベータ式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車を立体的に格納する自動運転車用エレベータ式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車装置は、スペースの少ない土地に多数の車両を効率よく駐車できる駐車設備として、住宅密集地等において広く利用されており、利用する土地の広狭や経済性などを考慮した種々の構造のものが提供されている。この立体駐車装置の機種の一つとして、パレット上に車両を搭載して車両の移動を行ういわゆるパレット式の立体駐車装置がある。また、このパレット式の立体駐車装置に昇降リフトと立体的な駐車階層とを組合せて、より駐車効率を高めたものも提供されている。
【0003】
このようなパレット式の立体駐車装置の一例として、例えばエレベータ式駐車装置は次のように構成されている。エレベータ式駐車装置は、地上に立設した建屋の中央部に昇降リフト用の昇降路を垂直方向に形成し、この昇降路の両側あるいは片側のスペースに駐車室を階層状に設けている。昇降リフトの上部にはパレットが搭載され、このパレット上に車両を載せて昇降リフトが上昇および下降し、車両を入出庫階と駐車室との間で搬送する。入出庫階では、車両の入出庫時にパレットと入出庫階の床面とが同一の高さとなるように昇降リフトが停止し、入庫時には車両が自走によりパレット上へ乗り込んだ後に利用者が降車し、出庫時には搬送されてきた車両に利用者が乗り込んで自走にて退出する。
【0004】
このように入出庫階では、利用者が車両への乗降を行うことから、停止したパレットないし車両の周囲には、車両の扉を開閉するスペースや利用者が移動するスペースが確保されている。そして、このスペースを確保するために一般的なエレベータ式駐車装置の建屋においては、車両や利用者が入退場する出入口が建屋側面の中央部に一箇所設けられるのが通常である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】2017-031682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のエレベータ式駐車装置においては、上記のように出入口が建屋の中央位置一箇所であるために以下のような課題があった。まず、出庫に続いて入庫を行う場合には、先の出庫作業の間に入庫車両は出庫車両の移動経路から退避していなくてはならず、場合によっては公道で待機することになり交通の悪化の要因になってしまう。また、連続して入庫する場合には、車両をパレット上に載せた後にこれを所定の駐車室まで移送して格納し、この後、空のパレットを引き出した後に再び入出庫階まで戻ってくるまで後続の車両は入庫を待たされることになり、入庫の待ち時間が長くなってしまう。同様に連続して出庫する場合にも出庫の時間が長くなる。
【0007】
一方、上記とは事情が異なるが、近年、運転者が関与せずに自動走行可能な自動運転車の開発が急速に進められており、今後、自動運転車の普及が見込まれるものの、自動運転車に対応できる立体駐車装置は存在しておらず、早い段階での実用化が望まれている。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、入出庫時の待機時間を低減し、自動運転車を効率的に格納することのできるエレベータ式駐車装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、自動運転車を搭載するパレットと、該パレットを上下に貫通した昇降路に沿って移送する搬器と、前記昇降路に沿って多段に設けた駐車室と、前記自動運転車の入退出を行う入出庫階と、利用者が入出庫操作を行う操作盤と、を備え、前記入出庫階と前記駐車室との間で前記自動運転車を移送するエレベータ式駐車装置において
前記入出庫階には、内部に前記エレベータ式駐車装置の動作を制御するとともに、前記自動運転車の自動走行を制御する制御装置と、前記昇降路の両側方に設けられ、前記自動運転車の入出庫を行う入出庫部と、前記入出庫部に設けられ、前記制御装置によって開閉を可能とする扉とを有し、
前記搬器は、上面に前記パレットをスライド可能に支持するとともに、前記パレットを前記駐車室又は前記入出庫部と前記搬器上との間で往復移動させる横行駆動装置を有し、
前記エレベータ式駐車装置は入庫時において、前記利用者が前記操作盤の入庫操作をし、前記入庫操作により前記制御装置が動作して前記入出庫部のどちらか一方の前記扉を開くと、前記自動運転車が前記入出庫部に載置された前記パレットの上に停止し、前記制御装置は前記自動運転車が前記入出庫部に載置された前記パレットの上に停止したことを確認し、前記自動運転車が停止した側の前記入出庫部の前記扉が閉じ、
前記搬器の前記横行駆動装置が動作して、前記パレットおよび前記自動運転車が前記搬器上に横行移動し、前記搬器が前記パレットと前記パレットに載置された前記自動運転車とともに所定の前記駐車室まで昇降し、前記搬器の前記横行駆動装置を動作させることで、前記パレットおよび前記自動運転車を前記所定の前記駐車室に格納し、前記搬器は、前記自動運転車が格納されていない前記駐車室まで昇降し、該駐車室に格納されていたパレットを前記入出庫階に移動させ、入庫が行われた側の前記入出庫部に前記パレットを横行させ載置し、
前記エレベータ式駐車装置は、前記自動運転車を前記どちらか一方の前記入出庫部に載置する動作から前記搬器が前記入出庫階に戻るまで動作の途中で、入庫をしようとする前記自動運転車が前記操作盤の入庫操作をする前に前記エレベータ式駐車装置の付近に移動し、前記利用者が前記操作盤を操作すると、前記制御装置が動作状態の前記入出庫部と反対側の前記入出庫部の前記扉を開き、前記エレベータ式駐車装置に前記自動運転車を停止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入出庫階において昇降路の両側方に入出庫部を設け、2方向から搬器へ自動運転車を搭載するようにしたことで、自動運転車を効率的に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エレベータ式駐車装置の概略を示す正面図
図2】エレベータ式駐車装置の概略を示す側面図
図3】入出庫階の平面図
図4】入出庫階の正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。。図1及び図2は、エレベータ式駐車装置の概略を示す正面図及び側面図である。
【0013】
エレベータ式駐車装置10には、中央を上下に貫通する昇降路11が形成されており、この昇降路11を昇降可能に昇降リフト12を設けている。昇降リフト12は、自動運転車19を搬送するための搬器13と、この搬器13を懸垂するワイヤロープ14と、昇降路11上端部に設置した巻き上げ装置15と、ワイヤロープ14を介して搬器13の重量とバランスを保つカウンターウエイト16とを備えており、次のように構成されている。搬器13の四隅には、ワイヤロープ14の一端部がそれぞれ連結されており、このワイヤロープ14は、昇降路11の上端部に備えた巻き上げ装置15に巻き掛けられて、他端部がカウンターウエイト16に連結されている。巻き上げ装置15には、電動機21、減速機22、駆動シーブ23を備え、電動機21の動力により駆動シーブ23を回転駆動するようにしており、前記ワイヤロープ14は駆動シーブ23に巻き掛けられている。そして、電動機21を正転又は逆転に回転制御することにより、搬器13が昇降路11内を上昇又は下降する。
【0014】
昇降路11の両側方には、複数の駐車室17が上下多段に形成されており、搬器13により搬送された自動運転車19が格納される。各駐車室17には、自動運転車19の前端部付近と後端部付近とに位置するように、二本の横行ガイドレール20が昇降路11側から側方に向けて延出して固設されている。各横行ガイドレール20の長手方向に沿っては、所定の間隔で複数のガイドローラ24が回転可能に支持されており、対向する二本の横行ガイドレール20に備えたこれらのガイドローラ24上に掛け渡されてパレット18が載置され、それぞれの駐車室17においてパレット18が昇降路11方向にスライド可能に備えられている。一方、昇降リフト12の搬器13は、その上面において駐車室17と同様にパレット18をスライド可能に支持するように構成するとともに、パレット18を駐車室17と搬器13上との間で往復移動させる横行駆動装置を備えている。
【0015】
エレベータ式駐車装置10の最下階は、自動運転車19の入出庫を行う入出庫階25になっている。図3は、入出庫階25の平面図であり、図4は入出庫階25の正面図である。エレベータ式駐車装置10には、平面視において矩形の外壁26が収納する自動運転車19との間の空間を最小限に保って形成されており、正面には右扉27と左扉28を備えている。入出庫階25の内部には、エレベータ式駐車装置10の動作を制御するとともに、自動運転車19と無線通信を行って自動運転車19の自動走行を制御する制御装置31を備えている。また、入出庫階25の内部および外部には、運転操作盤やカメラ、位置センサ等を備えており、これらからの信号により制御装置31がエレベータ式駐車装置10および自動運転車19の動作を制御する。
【0016】
入出庫階25の左右方向の中央部は、前記したように昇降路11となっており、この最下部の床面位置に搬器13が停止する。停止した搬器13の両側方は、右入出庫部29および左入出庫部30となっている。右入出庫部29および左入出庫部30は、上層階の駐車室17と平面視において同一の位置および大きさであって、パレット18がスライド可能に載置され、停止した搬器13との間で往復移動できるようになっている。この右入出庫部29および左入出庫部30へは、自動運転車19が制御装置31からの信号により無人で入退出する。このため右入出庫部29および左入出庫部30のスペースは、自動運転車19の扉を開閉するスペースや利用者が移動するスペースを必要とせず、自動運転車19が停車するのに必要な最小限のスペースとすることができる。
【0017】
以上の構成により、次のように自動運転車19の入出庫が行われる。まず、入庫の場合において、入出庫階25の右入出庫部29または左入出庫部30には、上層階のいずれかの駐車室17から空のパレット18が搬送されて載置されている。この状態のときにパレット18の自動運転車19搭載面は、入出庫階25の床面32と略同一高さとなっている。操作盤の入庫操作により制御装置31が動作して右扉27または左扉28が開き終えると、制御装置31から自動運転車19へ信号が発信されて、自動運転車19が自動運転にてパレット18上に進行し所定の位置に停止する。
【0018】
この後、右扉27または左扉28が閉じられるのに次いで、搬器13の横行駆動装置が動作して、パレット18および自動運転車19が搬器13上に横行移動する。次いで、搬器13は、搭載したパレット18および自動運転車19とともに昇降し、所定の駐車室17で停止してパレット18および自動運転車19を共に駐車室17へ送り込んで格納する。続いて、空となった搬器13は、自動運転車19が格納されていない駐車室17へと移動し、当該駐車室17から空のパレット18を引き出して入出庫階25へと移送する。搬器13が入出庫階25に到着すると、パレット18および自動運転車19を移送した側の右入出庫部29または左入出庫部30にパレット18を横行させて載置する。
【0019】
このような入庫の行程において、連続して自動運転車19の入庫を行う場合には、搬器13がパレット18および自動運転車19を移送している行程の間に、後続の自動運転車19が他方の右入出庫部29または左入出庫部30に載置されたパレット18上に進行して待機する。そして前記の反対側の格納行程が終了すると、この待機側のパレット18および自動運転車19を搬器13上へ横行移動させ、上記と同様に所定の駐車室17へ移送して格納する。このように右入出庫部29および左入出庫部30のパレット18および自動運転車19を交互に移送することで、連続入庫に要する時間を短縮することができる。
【0020】
次に、出庫の場合において、入出庫階25の右入出庫部29または左入出庫部30には、パレット18は載置されていない。運転操作盤により出庫操作が行われると、搬器13は該当する駐車室17へ移動し、パレット18および自動運転車19を横行移動させて搬器13上へ搭載する。次いで、搬器13は、入出庫階25へと移動して停止した後、パレット18および自動運転車19を右入出庫部29または左入出庫部30へ横行移動させて載置する。制御装置31は、パレット18および自動運転車19が停止するのを検知すると右扉27または左扉28を開き、この後に自動運転車19へ信号を発信し自動運転車19を自動運転で退出させる。
【0021】
続いて、出庫と入庫が混在する場合には、次のような運用を行うこともできる。まず、入出庫階25の右入出庫部29または左入出庫部30には、いずれにもパレット18が載置されており、一方のパレット18に自動運転車19を搭載した後に、上記の入庫のときと同様に搬器13がパレット18および自動運転車19を搬送して所定の駐車室17に格納する。この間に、他方のパレット18には、次に入庫する自動運転車19が移動して待機する。駐車室17に自動運転車19を格納して空となった搬器13は、出庫する自動運転車19の駐車室17へ移動し、パレット18および自動運転車19を搭載して入出庫階25へと移動する。搬器13は入出庫階25に到着すると、パレット18および自動運転車19を元の位置、すなわち、空になった側の右入出庫部29または左入出庫部30へ横行移動させ、上記したのと同様に自動運転で自動運転車19が退出する。このように横行動作を行った搬器13は、続いて反対側で待機するパレット18および自動運転車19を横行移動させて搭載し、所定の駐車室17に移送して格納する。このように入庫の行程と出庫の行程を交互に繰り返すことにより、自動運転車19を搭載しない搬器13の移動する時間を低減でき、効率的にエレベータ式駐車装置10を運用することができる。
【0022】
以上の説明においては、入出庫階25をエレベータ式駐車装置10の最下階に設定して説明したが、前記したように入出庫階25の構成は駐車室17の構成と同一であり、したがって、いずれの駐車室17の階層においても入出庫階25を設定することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 エレベータ式駐車装置
11 昇降路
12 昇降リフト
13 搬器
14 ワイヤロープ
15 巻き上げ装置
16 カウンターウエイト
17 駐車室
18 パレット
19 自動運転車
20 横行ガイドレール
21 電動機
22 減速機
23 駆動シーブ
24 ガイドローラ
25 入出庫階
26 外壁
27 右扉
28 左扉
29 右入出庫部
30 左入出庫部
31 制御装置
32 床面
図1
図2
図3
図4