IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トーショーの特許一覧

<>
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図1
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図2
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図3
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図4
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図5
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図6
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図7
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図8
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図9
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図10
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図11
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図12
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図13
  • 特許-薬剤手撒き分包装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】薬剤手撒き分包装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230123BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310F
B65B1/30 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019015156
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020120971
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】大村 司郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓
(72)【発明者】
【氏名】深津 邦夫
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012696(JP,A)
【文献】特開2001-276182(JP,A)
【文献】米国特許第06170699(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分包すべき薬剤を収容するほぼ矩形の複数のマスが直交した列方向と行方向とに配列され、前記複数のマスの底面が開閉可能な遮蔽板で形成されている予備撒きカセットと、
前記予備撒きカセットの下側に上面が開口して前記各マスにそれぞれ対向して設けられ、前記遮蔽板が開放することで、落下する薬剤を収容する矩形の箱体を複数有し、これらの箱体を各行ごと連接して行方向に移送する移送装置と
前記移送装置が前記箱体を移送することで移送方向先端の前記箱体から落下する薬剤を受取り、分包紙内に封入する分包部と、
前記予備撒きカセットの底面と前記移送装置の前記箱体の上端との間に設けられ、1枚の板材から、前記予備撒きカセットの各マスに対応した部分が打ち抜かれて形成されており、前記予備撒きカセットの載置台を兼ねるとともに、隣接するマス及び隣接する箱体の列間及び行間の空隙を遮蔽することにより前記マスの底面と前記箱体の上端との隙間を介しての薬剤の移動を防止する隙間遮蔽部材と、
を有することを特徴とする薬剤手撒き分包装置。
【請求項2】
分包すべき薬剤を収容するほぼ矩形の複数のマスが直交した列方向と行方向とに配列され、前記複数のマスの底面が開閉可能な遮蔽板で形成されている予備撒きカセットと、
前記予備撒きカセットの下側に上面が開口して前記各マスにそれぞれ対向して設けられ、前記遮蔽板が開放することで、落下する薬剤を収容する矩形の箱体を複数有し、これらの箱体を各行ごと連接して行方向に移送する移送装置と、
前記移送装置が前記箱体を移送することで移送方向先端の前記箱体から落下する薬剤を受取り、分包紙内に封入する分包部と、
前記予備撒きカセットの底面と前記移送装置の前記箱体の上端との間に設けられ、隣接するマス及び隣接する箱体の列間及び行間の空隙を遮蔽することにより前記マスの底面と前記箱体の上端との隙間を介しての薬剤の移動を防止する隙間遮蔽部材と、を有し、
前記移送装置は、前記行方向の両端に設けられた回転体に巻回された無端状のコンベアベルトに、前記複数の箱体の底面部が装着されて構成され、
前記移送装置の移送方向の端部のマスの移送方向の前記隙間遮蔽部材は、移送方向に開閉可能なシャッタ部材を有する、
ことを特徴とする薬剤手撒き分包装置。
【請求項3】
前記シャッタ部材は、前記移送装置の移送に伴って、前記各箱体に設けられた当接部によって押圧されることにより前記シャッタ部材が開放され、前記箱体の前記回転体部分での回動にともなう回動経路から前記シャッタ部材が退避する、
ことを特徴とする請求項2記載の薬剤手撒き分包装置。
【請求項4】
前記移送装置は、前記箱体の移送方向上流側において、前記予備撒きカセットの最端部のマスよりも上流側において箱体の上端部が上向きに回動する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の薬剤手撒き分包装置。
【請求項5】
前記予備撒きカセットの行方向のマスの数nに対して、前記移送装置の上向きの箱体の行方向の数はn+1に構成した、
ことを特徴とする請求項4記載の薬剤手撒き分包装置。
【請求項6】
前記箱体は、
前記コンベアベルトに装着された底面部と、この底面部に連続する移送方向前壁と、前記底面部及び前記前壁に連続する両側壁とを有する本体箱と、
前記本体箱の底面部で前記本体箱の後面側に回動可能に設けられた後面壁と、前記後面壁に連続し、前記本体箱の後面側を閉鎖したときに、一方の側壁のみが前記本体箱の側壁の内側に位置する内側側壁とを有する開閉蓋と、
を有することを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項記載の薬剤手撒き分包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の薬剤を処方内容に従って1包ずつの個包に分包する薬剤手撒き分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
錠剤分包機では、一般にそれぞれ個別の品名の錠剤を一括して収納した錠剤カセット(フィーダ)から、繰り出し機構を使って、指定数量の錠剤を繰り出し、これを分包紙に封入する方式が取られる。
【0003】
この錠剤カセットは、特許文献1記載のように、錠剤の形状ごとに、繰り出し部の寸法や角度を個別に定めることで、安定した繰り出しを実現するもので、そのために錠剤の種類別に製作する必要がある。すなわち新規の錠剤が発売された場合は、これに適合した専用の錠剤カセットを製作する必要がある。しかしながら、そもそも矩形や三角形、さらには丸い錠剤を分割した半月形の錠剤の場合は、この錠剤カセットでは詰りが発生しやすく、繰り出し不能となる場合も少なくない。
【0004】
このように、未だ専用の錠剤カセットが製作されていない新規薬剤や、繰り出しが困難な錠剤を分包するための方法として、特許文献2記載のような「薬剤手撒き装置」が用いられる。この薬剤手撒き装置は水平面状で、X列方向とY行方向に直交して配列した予備撒きカセットの各マスに、人手で、1包分に対応した薬剤を、例えば、朝、昼、晩の順に複数日分を手で撒いておく。そして、撒き終った予備撒きカセットを分包機に装着して、予備撒きカセットのマスの底面を開放することにより、予備撒きカセットの下方に設けられた多列コンベアの区画室に各マスに収容された錠剤を落下させる。その後、多列コンベアが行方向に1区画分移動することにより、1行分の区画室に収納された錠剤が単列コンベアの区画室内に落下される。さらに単列コンベアが列方向に1区画分移動することにより、1区画室内の錠剤が分包紙内に落下して収納され、1包ずつの個包に分包する方法が取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-12893号公報
【文献】特許第6362112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2記載の薬剤手撒き装置では次のような問題がある。すなわち、このような手撒き装置においては、予備撒きカセットのマスの底面を開放することにより、錠剤が多列コンベアの各区画室に落下するが、その際に予備撒きカセットのマスの下面と多列コンベアの各区画室の上端との間隙から隣の区画室内に入ってしまうという問題がある。また、一旦落下した錠剤が区画室内の底に衝突した反動で跳ね返り、隣の区画室内に入ってしまうことにより、錠剤が行方不明になるという問題もある。
【0007】
また、他の問題として、多列コンベアの区画室内に落下した錠剤が1区画室内の個箱の中で、錠剤同士がブリッジ状に詰まってしまい、多列コンベアが移動して先端の区画室の開放面が下方に向いてもブリッジ状に詰まった錠剤が落下しないという現象が稀に発生する。特許文献2では、このようなブリッジ状の詰りを軽減するために、区画室を移送方向前側の箱本体と、後側の開閉蓋とに分割して構成し、錠剤の落下時に開閉蓋が箱本体に対して開放することにより、箱本体の前壁と開閉蓋の後壁との間にブリッジした錠剤のブリッジを解消するようにしている。
【0008】
しかしながら、特許文献2記載の装置では、箱本体の搬送方向と直交する方向の両側壁にブリッジした錠剤のブリッジは解消することができない。このブリッジの発生する頻度は低いが、これが発生すると、該当する個包への錠剤数が少なくなるという問題がある。さらに、別のタイミングで、ブリッジした錠剤が崩れて、他の個包の錠剤に混入するなどの深刻な問題も誘発する。このような現象は、湿度が高い梅雨時や、静電気が発生しやすい乾燥期に発生しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明の薬剤手撒き分包装置は、分包すべき薬剤を収容するほぼ矩形の複数のマスが直交した列方向と行方向とに配列され、前記複数のマスの底面が開閉可能な遮蔽板で形成されている予備撒きカセットと、前記予備撒きカセットの下側に上面が開口して前記各マスにそれぞれ対向して設けられ、前記遮蔽板が開放することで、落下する薬剤を収容する矩形の箱体を複数有し、これらの箱体を各行ごと連接して行方向に移送する移送装置と、前記移送装置が前記箱体を移送することで移送方向先端の前記箱体から落下する薬剤を受取り、分包紙内に封入する分包部と、前記予備撒きカセットの底面と前記移送装置の前記箱体の上端との間に設けられ、1枚の板材から、前記予備撒きカセットの各マスに対応した部分が打ち抜かれて形成されており、前記予備撒きカセットの載置台を兼ねるとともに、隣接するマス及び隣接する箱体の列間及び行間の空隙を遮蔽することにより前記マスの底面と前記箱体の上端との隙間を介しての薬剤の移動を防止する隙間遮蔽部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】錠剤分包機の概要を示すための図。
図2】錠剤手撒き装置を示す斜視図。
図3】錠剤手撒き装置のスライド枠を引出したときの斜視図。
図4】錠剤手撒き装置のスライド枠を引出し、LEDガイド表示枠を戻したときの斜視図。
図5】錠剤手撒き装置のスライド枠を引出し、予備撒きカセットを取外したときの斜視図。
図6】予備撒きカセットの概要を示すための断面図。
図7】錠剤手撒き装置の概要を示すための断面図。
図8】錠剤手撒き装置のVI-VI線の斜視断面図。
図9】錠剤手撒き装置のVI-VI線の断面図。
図10】隙間遮蔽部材(カセット載置台)と箱体との関係を示す拡大斜視図。
図11】シャッタと箱体との関係を示す拡大斜視図。
図12】箱体の構造を示す図。
図13】箱体の開放機構を示す斜視図。
図14】箱体の開放機構を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の薬剤手撒き分包装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明を適用した錠剤分包機で、(a)が正面図、(b)が右側面図である。
【0013】
10が錠剤分包機本体で、筐体11の上段部の引出体の棚14に着脱自在に設置された多数の錠剤カセット15から排出された錠剤と、錠剤手撒き装置20から排出された錠剤とを、何れも斜めシュート13にて収集し、更に筐体11の下段部の包装機12に送り込んで、分包紙に区分包装させることで、錠剤を分包するようになっている。包装機12は例えば特開2006-321516号公報記載のように周知のものである。ここで、錠剤分包機10の正面から見た図1(a)で左右方向をX方向とし、右方向から見た図1(b)で奥行き方向をY方向として説明する。
【0014】
錠剤手撒き装置20は、このような錠剤分包機10の筐体11の中段部に内装されており、錠剤を手撒きするときには、錠剤手撒き装置20のうち、後述する上段のスライド枠22を筐体11の前面から引出し、予備撒きカセットを筐体11の前面から取外すことができる。また、手撒き終了後は予備撒きカセットをセットした後、スライド枠22を押し戻し操作やスイッチ操作にて予備撒きカセットを筐体11の中に収納する。その状態で、薬剤分包機10の分包動作に連動して薬剤を斜めシュート13へ逐次排出するようになっている。
【0015】
すなわち、一般に汎用される錠剤については、各錠剤専用の錠剤カセット15より供給し、新薬で、専用の錠剤カセット15が用意されていない錠剤、あるいは専用錠剤カセットでは、繰り出ししにくい異形の錠剤、あるいは小児用に半錠に割られた錠剤などは、予備撒きカセットから供給される。このような構成によって、専用に錠剤カセット15を大量に用意しなくとも、各種の錠剤を分包することができる錠剤分包機が実現できるものである。
【0016】
なお、以下の説明では錠剤として説明するが、本発明は錠剤に限定されるものではなく、カプセル剤、円板状薬剤、玉剤、円筒状薬剤等の固形薬剤にも適用可能なものである。
【0017】
図2乃至図5は錠剤手撒き装置20の斜視図で、錠剤分包機10から取り外した状態を示している。この錠剤手撒き装置20はX列方向(左右方向)に8列、Y行方向(奥行方向)に7行の56個のマスが配列されている後述する予備撒きカセットが収納されている。
【0018】
また、図1でも示したように、錠剤手撒き装置20は、上部にスライド枠22が設けられ、このスライド枠22は錠剤手撒き装置20本体に対して錠剤分包機10の前側に引出し可能である。図3はスライド枠22を引出した状態を示した斜視図である。
【0019】
このスライド枠22は、下から順に、カセット載置台24、カセット載置台24上に載置される予備撒きカセット26、この予備撒きカセット26の上をスライド可能なLEDガイド表示枠28で構成されている。錠剤手撒き装置20からスライド枠22を引出した状態を図3に、スライド枠22に対してLEDガイド表示枠28を薬剤分包機10の内部側にスライドさせて予備撒きカセット26を取外し可能にした状態を図4にそれぞれ示す。さらに、予備撒きカセット26をカセット載置台24から取外した状態を図5に示す。
【0020】
さらに詳細に説明すると、錠剤手撒き装置20本体の上部には、X列方向の両端部に1対のレール23,23が設けられ、これらのレール23,23上をスライド枠22がスライド移動可能になっている。また、スライド枠22のX列方向の両端には一対のレール25,25が形成されており、これらのレール25,25の上をLEDガイド表示枠28がスライド移動可能に設けられている。
【0021】
そして、予備撒きカセット26に錠剤を手撒きするときは、錠剤手撒き装置20本体からスライド枠22を、錠剤分包機10の外部まで引出す。その後、LEDガイド表示枠28を錠剤分包機10内に押し戻し、露出した予備撒きカセット26を取外す。この状態で予備撒きカセット26のそれぞれのマス27,27・・・に必要な錠剤を収納する(撒く)。その後、錠剤を収納した予備撒きカセット26をカセット載置台24の上に戻し(図4の状態)、LEDガイド表示枠28を引出して(図3の状態)、スライド枠22全体を錠剤分包機10内に押し戻す。これで錠剤手撒き装置20からの分包が可能となるものである。
【0022】
なお、LEDガイド表示枠28は、予備撒きカセット26をカセット載置台24に載置した状態で予備撒きカセット26の各マスに錠剤を撒く際に、撒くべきマスの位置を作業者に案内するための表示を行うものである。
【0023】
次に、このような錠剤手撒き装置20の内部構造についての概略を説明する。
【0024】
図6は、予備撒きカセット26のX方向の断面を示す概略図で、図7は錠剤手撒き装置20のY方向の断面を示す概略図である。
【0025】
図6に示すように予備撒きカセット26のマス27の底面にはX方向の両側に開閉する遮蔽板104、105が設けられている。この遮蔽板104、105は全てのマス27に共通で、図示しない駆動機構によって、遮蔽板104が図中右方向に移動し、遮蔽板105が図中左方向に移動することで、マス27の底面を開放するものである。図6(a)に示すようにマス27の底面を遮蔽板104、105で閉鎖した状態で、錠剤Pを各マス27に撒いておく。このように錠剤を撒いた予備撒きカセット26を錠剤手撒き装置20にセットし、錠剤分包を開始すると、予備撒きカセット26の底面の遮蔽板104、105が開放し、図6(b)に示すようにマス27内の錠剤Pは下方に落下する。
【0026】
また、図7に示すように、予備撒きカセット26の下部には予備撒きカセット26の各マス27から落下した錠剤Pを収容して矢印Y行方向に搬送する移送装置106が設けられている。この移送装置106はY行方向の両端に設けられた回転体としての一対のプーリ107(一方のみを図示する)に掛け渡された無端状のコンベアベルト108と、このコンベアベルト108にその底面部が装着された箱体109とを有している。そして、プーリ107が回転することによってコンベアベルト108が移動する。これらの箱体109はコンベアベルト108の上側では上面が開口した状態でY方向に連接して移動することになる。また、これらの箱体109は、プーリ107の部分でプーリ107に沿って回動し、コンベアベルト108の下側では開口を下に向けてY方向とは反対方向、すなわち、図中左から右側に移動する。さらに、右側のプーリ(図示せず)の部分で回動して箱体109の開口が上面に開口した状態になる。この移送装置106は各行毎に独立しており、プーリ107及びコンベアベルト108も独立して駆動されるようになっている。
【0027】
この移送装置106は、箱体109が予備撒きカセット26の各マスに対応した位置で停止している状態で遮蔽板104、105が開放することにより、各マスから錠剤Pが一斉に箱体109に落下される。その後、プーリ107が回転することにより、コンベアベルト108が1箱分ずつ間欠的に移動することにより、箱体109がプーリ107の部分で回動する。この回動に伴って、箱体109に収納された錠剤Pは図7に破線で示すように下方に落下する。落下した錠剤Pは図1に示すように斜めシュート13を介して下方の包装機12に送り込まれ、包装紙で1個包ずつに包装される。
【0028】
また、予備撒きカセット26の底面と移送装置106の箱体109の上端との間隙Zには隙間遮蔽部材113が設けられている。この隙間遮蔽部材113は予備撒きカセット26が載置されるカセット載置台24を兼ねている。すなわち、図3及び図5に示すように、1枚の板材から、予備撒きカセット26の各マス27に対応した部分が打ち抜かれて形成されており、打ち抜かれて残った枠部分が隙間遮蔽部材113となっている。この隙間遮蔽部材113は、遮蔽板104、105が開放したときに、予備撒きカセット26の各マス27から錠剤Pが落下したときに、直下の箱体109と隣接する箱体との間で錠剤の移動を防止するものである。また、マス27から落下した錠剤Pは箱体109の底面部に衝突し、その反動で上方に跳ね返ったときにも錠剤Pが隣接する箱体109への移動も防止している。
【0029】
図7に示すように、コンベアベルト108の移動に伴って、箱体109はプーリ107の部分で回動する。その際に箱体109のコンベアベルト108への装着部と、箱体109の移送方向の長さとの関係から、箱体109の移送方向後端の上端部112の回動軌跡は破線Rで示すように上方へ膨らむこととなる。このため、移送方向の最も下流のマス27の下流側には他のマスと同様の隙間遮蔽部材113を設けることができない。この理由から最下流のマスの下流側には、移送方向に移動可能なシャッタ部材123が設けられている。このシャッタ部材123は後に詳述するように、移動する箱体109によって押圧されることにより、図中に矢印Qで示すように箱体109の回動時に箱体109の回動経路から退避するようになっている。
【0030】
また、同様の理由で、最下流のマスのX列方向の隣接するマスとの間の隙間遮蔽部材113の幅も他のマスの隙間遮蔽部材113の幅よりも小さく形成されている。これによって箱体109が回動するときに箱体109の回動経路を外れた部分に隙間遮蔽部材113が形成されている。これについては、図10を用いてさらに詳述する。
【0031】
次に、錠剤手撒き装置20の内部構造について詳細に説明する。
【0032】
図8図2に示した錠剤手撒き装置20のVI-VI線に沿った断面の斜視図で、図9は断面図である。図8及び図9に示すように、LEDガイド表示枠28の下部には予備撒きカセット26がカセット載置台24の上に載置されている。また予備撒きカセット26の下には一対のプーリ107、107に掛渡された無端のコンベアベルト108と、コンベアベルト108に底面部が装着された箱体109とを有する移送装置106が設けられている。プーリ107は列毎に分割して形成されており、列単位で移送装置106の駆動が可能になっている。これは、1個包分を放出するとき、いずれかの列の移送装置106のみを駆動させるためである。
【0033】
そして、錠剤Pを収納した状態で移送装置106が1箱分移送すると、最端部の箱体109がプーリ107の部分で回動し、内部に収納した錠剤Pを斜めシュート13に落下させる。落下が終了した箱体は、コンベアベルト108の下側を経由して図中左から右側に移動する。そして、右側のプーリ107の部分、すなわち、移送方向の上流側で回動して箱体109の上端部が上向きに回動する。この上流側での回動する位置は、移送方向の上流側の最端部のマスよりもマス1つ分上流側である。これは、箱体109が上端部を上側に回動するとき、箱体109の上端部の回動軌跡が上側に膨らみ、最上流のマスの隙間遮蔽部材の無い部分で回動させるためである。図8及び図9から解かるように、予備撒きカセット26のY行方向のマスの数nは7であるのに対して、移送装置106の上側に向いている箱体の数はn+1、すなわち8であり、予備撒きカセット26の最上流のマスよりも上流側で回動していることとなる。
【0034】
次に、最下流のマスよりも下流の隙間遮蔽部材について、図10及び図11を用いて詳細に説明する。図10は予備撒きカセット26のカセット載置台24(隙間遮蔽部材113を兼ねている)と移送装置106の箱体109の部分を拡大した斜視図である。また、図11はカセット載置台24を省略した、箱体109とシャッタ123の開閉機構の拡大斜視図である。図10に示すように、カセット載置台24は、1枚の板材から予備撒きカセット26のマス27に対応する部分を打ち抜いて形成されている。図10では、移送装置106の箱体109が予備撒きカセットのマスの位置よりも移送方向下流に移動し、最下流の箱体が回動を始めた位置を示している。カセット載置台24には、移送装置106の移送方向の端部のマスよりも移送方向下流側に、移送方向に開閉可能なシャッタ123が設けられている。このシャッタ123はカセット載置台24に形成された溝24aに摺動可能に設けられている。
【0035】
また、シャッタ123は図11に示すようにレバー124と一体に形成されている。そして、レバー124は圧縮バネ125によって図中右方向に弾力付勢されている。従って、シャッタ123も図中右方向に弾力付勢されている。シャッタ123は予備撒きカセット26の各マス27から箱体109に錠剤を落下させるときは、図中右方向にあり、マス27から落下した錠剤が箱体109よりも下流側に移動しないように規制している。そして、箱体109に収納された錠剤を斜めシュート13に放出するために箱体109がプーリ107の部分で回動するときにシャッタ123が図中左方向に移動させられるものである。
【0036】
すなわち、箱体109の移送方向左側の外部には突出した当接部109iが設けられている。そして、コンベアベルト108の駆動に伴って、箱体109が移送方向に移動していく途中で箱体109の当接部109iがレバー124を押圧する。この押圧によってレバー124が図中左側に押圧され、シャッタ123が矢印方向に移動する。このシャッタ123の移動によって箱体109の回動軌跡(経路)からシャッタ123が退避する。このように、予備撒きカセット26のマス27から移送装置106の箱体109に錠剤Pを落下させるときは、隙間遮蔽部材113及び隙間遮蔽部材を構成するシャッタ123はマスの下端と箱体109の上端部との空隙を遮蔽して落下する錠剤Pが隣接する箱体109に移動するのを防止することができる。また、移送装置106の移送方向の端部のマスの移送方向の隙間遮蔽部材は、移送方向に移動可能なシャッタ123で構成されている。そして、移動する箱体109に形成された当接部材109iに押圧されてシャッタ123が移動するので箱体109の回動に伴う回動経路から退避できる。このシャッタ123についても各列のシャッタはそれぞれ独立して移動可能であり、それぞれの列のそれぞれの箱体109によって移動されるものである。
【0037】
また、図10に示すように、最下流側のマスに対応する隙間遮蔽部材113のX方向の幅W2は、上流側のその他のマスに対応する隙間遮蔽部材113の幅W1よりも幅が狭く形成されている。すなわち、隙間遮蔽部材113に囲まれた開口が広く形成されている。これにより、箱体109がプーリ107部分で回動するときにX方向の隙間遮蔽部材113も箱体109の回動経路外に存在し、箱体109の回動の妨げにならないようになっている。
【0038】
次に、錠剤Pを移送する箱体の構造について図12を用いて説明する。
【0039】
図12は箱体109の構造を示すもので、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は右側面図を示している。また、(d)は箱体109の分解斜視図を示すもので、(e)は箱体の本体箱と開閉蓋とが閉じている状態を示す斜視図、(f)は本体箱と開閉蓋とが少し開いた状態を示す斜視図である。
【0040】
箱体109は、コンベアベルト108に装着される底面部109aと、この底面部109aに連続して形成された移送方向前面壁109bと、底面壁109a及び前面壁109bに連続して形成された両側壁109c、109dを有する本体箱109Aを有する。また、この本体箱109Aの底面部109aに形成された回動軸109eを軸として回動可能に設けられた開閉蓋109Bとを有する。そして、この開閉蓋109Bは、本体箱109Aの後面を塞ぐ後面壁109fと、この後面壁109fに連続し、後面壁109fで本体箱109Aを閉じたときに本体箱109Aの右側壁109dの外側に位置するする外側側壁109gと、左側壁109cの内側に位置する内側側壁109hを有する。
【0041】
また、本体箱109Aの左側の外側には、シャッタ123のレバー124と当接してレバー124を押圧するための当接部109iが設けられている。さらに開閉蓋109Bの外側側壁109gには開閉蓋109Bを開放させるための凸部109jが設けられている。なお、109mは底面部109aの外側に形成され、コンベアベルト108に装着するための装具である。
【0042】
このように形成された箱体109がプーリ107部分で回動するときに、本体箱109Aに対して開閉蓋109Bが回動して箱体109を開放する。そして、箱体109が開放することで、箱体109内の前面壁109bと後面壁109fとの間でブリッジした錠剤のブリッジを解除する機能は特許文献2記載の構成と同じである。
【0043】
本実施の形態では、開閉蓋109Bが本体箱109Aを閉じたときに、内側側壁109hは本体箱109Aの内側に位置し、開閉蓋109Bの外側側壁109gは本体箱109Aの外側に位置する。このため、錠剤が箱体109内で移送方向と直交する方向にブリッジしたものも解除できるものである。すなわち、錠剤が移送方向と直交する方向にブリッジした場合は開閉蓋109Bの内側側壁109hと本体箱109Aの右側の側壁109dとの間でブリッジすることになる。そして、箱体109が回動するとき、本体箱109Aに対して開閉蓋109Bが開放し、側壁109dと内側側壁109hとがずれることになる。その結果、移送方向と直交する方向のブリッジも解除されるものである。
【0044】
次に、箱体109がプーリ107の部分で本体箱109Aに対して開閉蓋109Bを開放する機構について、図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14はプーリ107部分の右方向からの斜視図である。
【0045】
プーリ107近傍の回動部分には、箱体109が回動したときに、箱体109内の錠剤が遠くに飛出すのを防止するためのガイド板130が設けられている。このガイド板130にはガイド板130の外部から内部に延びるレバー131が設けられ、このレバー131の先端にはコロ132が回転自在に取り付けられている。このコロ132が形成される位置は、箱体109がプーリ107の部分で回動したときに、箱体109の開閉蓋109Bに形成された凸部109jの移動軌跡上である。従って、箱体109が回動するとき、凸部109jがコロ132によって移動が規制される。その結果、箱体109の開閉蓋109Bが箱本体109Aに対して開放されるものである。なお、開放された開閉蓋109Bが本体箱109Aの後面側を閉鎖する動作は、特許文献2記載の機構と同じで、箱体109が錠剤の放出を終えて、コンベアベルトの下側を移動する際に、後側の箱体109によって押されることにより、開閉蓋109Bが箱本体109A側に押され、その結果、箱体109が閉じるものである。
【0046】
なお、上述した実施形態では、移送装置106によって移送された箱体109から放出された錠剤を、直接斜めシュート13を介して包装機部に供給するようにしたが、特許文献2記載のように、多行、多列の全ての行の移送装置106によって移送されて放出された錠剤を、一旦、単列の移送装置で受取り、その後単列の移送装置で移送して斜めシュートに放出するようにしてもよいことはもちろんである。この場合は、全ての列の移送装置が1行ずつ移送することになる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態、変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10・・・錠剤分包機
20・・・錠剤手撒き装置
22・・・スライド枠
24・・・カセット載置台(隙間遮蔽部材)
26・・・予備撒きカセット
27・・・マス
104,105・・・遮蔽板
106・・・移送装置
107・・・プーリ
108・・・コンベアベルト
109・・・箱体
113・・・隙間遮蔽部材
123・・・シャッタ(隙間遮蔽部材)
109A・・・本体箱
109B・・・開閉蓋
109a・・・底面部
109b・・・前面壁
109c、109d・・・両側壁
109f・・・後面壁
109h・・・内側側壁
109i・・・当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14