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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】乱流板、熱交換器及び給湯器
(51)【国際特許分類】
   F28F 13/12 20060101AFI20230123BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20230123BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20230123BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
F28F13/12 C
F24H9/00 C
F28F1/40 K
F28D7/16 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019040814
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020143844
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小田 大志
(72)【発明者】
【氏名】白木 誠
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0336153(US,A1)
【文献】実開平07-041270(JP,U)
【文献】特開2017-194226(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107345776(CN,A)
【文献】実開平05-096772(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 13/12
F24H 9/00
F28F 1/40
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の直線状の伝熱管内に挿入されて前記伝熱管内を流れる流体を撹拌するための乱流板であって、
前記伝熱管の軸方向に沿って延びる帯板状の本体部と、
前記本体部へその長手方向に沿って所定間隔をおいて断続的に形成される少なくとも4つの貫通孔と、
前記長手方向に隣接する2つの前記貫通孔を1組として、前記長手方向で互いに近い側となる各前記貫通孔の端縁にそれぞれ形成される一対の第1の羽根片と、
前記第1の羽根片が形成される2つの前記貫通孔と異なる2つの前記貫通孔を1組として、前記長手方向で互いに遠い側となる各前記貫通孔の端縁にそれぞれ形成される一対の第2の羽根片と、を有し、
前記一対の第1の羽根片と前記一対の第2の羽根片とは、各組毎に、前記本体部を挟んで互いに反対側へ且つ互いに前記長手方向の反対側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されることを特徴とする乱流板。
【請求項2】
前記一対の第1の羽根片の組と前記一対の第2の羽根片の組とは交互に配置されて、前記長手方向で隣接する前記第1の羽根片と前記第2の羽根片とは、前記本体部を挟んで互いに反対側へ且つ前記長手方向の同じ側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乱流板。
【請求項3】
各前記羽根片には、前記長手方向に沿ったリブが、前記本体部に跨がって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乱流板。
【請求項4】
直線状の伝熱管内に、請求項1乃至3の何れかに記載の乱流板を挿入してなる熱交換器。
【請求項5】
バーナと、前記バーナの燃焼排気が通過する請求項4に記載の熱交換器とを含んでなる給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等の熱交換器の伝熱管内に設けられる乱流板と、その乱流板を用いた熱交換器及び給湯器とに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器等の熱交換器では、水等の流体が流れる蛇行状の伝熱管を有し、伝熱管の直線分が貫通するフィン間にバーナ等の燃焼排気を通過させることで、排気熱と伝熱管内の流体との間で熱交換させる。この伝熱管内には、流体を撹拌して滞留や温度ムラを生じさせないように乱流板が設けられる。例えば特許文献1には、三角孔から切り起こした乱流片を左右へ交互に突出させた乱流板を伝熱管内へ縦向きに挿入した発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-112323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような乱流板は、乱流片による撹拌作用に方向性があるため、伝熱管内で流体が流れる方向と乱流片の向きとを合わせて伝熱管内に挿入する必要がある。この場合、蛇行状の伝熱管であると、直線部分毎に乱流板の向きを変えて挿入する必要が生じ、組み付け作業が面倒となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、向きを考慮することなく伝熱管への組み付けが容易に行える乱流板と、その乱流板を用いた熱交換器及び給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、熱交換器の直線状の伝熱管内に挿入されて伝熱管内を流れる流体を撹拌するための乱流板であって、
伝熱管の軸方向に沿って延びる帯板状の本体部と、本体部へその長手方向に沿って所定間隔をおいて断続的に形成される少なくとも4つの貫通孔と、長手方向に隣接する2つの貫通孔を1組として、長手方向で互いに近い側となる各貫通孔の端縁にそれぞれ形成される一対の第1の羽根片と、第1の羽根片が形成される2つの貫通孔と異なる2つの貫通孔を1組として、長手方向で互いに遠い側となる各貫通孔の端縁にそれぞれ形成される一対の第2の羽根片と、を有し、一対の第1の羽根片と一対の第2の羽根片とは、各組毎に、本体部を挟んで互いに反対側へ且つ互いに長手方向の反対側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、一対の第1の羽根片の組と一対の第2の羽根片の組とは交互に配置されて、長手方向で隣接する第1の羽根片と第2の羽根片とは、本体部を挟んで互いに反対側へ且つ長手方向の同じ側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、各羽根片には、長手方向に沿ったリブが、本体部に跨がって形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、熱交換器であって、直線状の伝熱管内に、請求項1乃至3の何れかに記載の乱流板を挿入してなることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、給湯器であって、バーナと、バーナの燃焼排気が通過する請求項4に記載の熱交換器とを含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1、第2の羽根片の採用により、乱流板の上下及び長手方向の前後の向きにかかわらず、伝熱管内を流れる流体に対して同じ撹拌作用を生じさせることができる。よって、上下や前後の向きを考慮することなく伝熱管への乱流板の組み付けを容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、一対の第1の羽根片の組と一対の第2の羽根片の組とは交互に配置されて、長手方向で隣接する第1の羽根片と第2の羽根片とは、本体部を挟んで互いに反対側へ且つ長手方向の同じ側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されているので、隣接する第1の羽根片と第2の羽根片とが接近しすぎたりして撹拌作用の妨げになることがない。
また、請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加えて、各羽根片には、長手方向に沿ったリブが、本体部に跨がって形成されているので、羽根片が補強され、通水時は勿論、組み付け前の保管時においても羽根片の変形等を効果的に防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フロントカバーを外した給湯器の正面図である。
図2】樹脂シート及びコントローラ、表示操作パネルを省略した給湯器の正面図である。
図3】一次熱交換器の斜視図である。
図4】一次熱交換器の左からの側面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6図4のB-B線断面図である。
図7図4のC-C線断面図である。
図8】乱流板の斜視図である。
図9】乱流板の説明図で、(A)は正面、(B)は平面、(C)は底面、(D)は右からの側面、(E)は左からの側面をそれぞれ示す。
図10】乱流板の挿入状態を示す斜視図である。
図11】乱流板の挿入状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の一例を示す正面図で、フロントカバーを外した状態で示している。図2図1において、樹脂シート及びコントローラ、表示操作パネルを除いた状態を示している。
この給湯器1は、前面を開口した四角箱状の筐体2内に、バーナ4と一次熱交換器5と二次熱交換器6とが上から順に設けられる内胴3を収容した逆燃焼式となっている。また、筐体2内には、内胴3の下部から後方へ回り込んで上向きに設けられる排気部7と、内胴3の右側方でバーナ4に連結されたファンユニット8と、ファンユニット8の下側でファンユニット8に連結され、ガスガバナ9を介してガス導入管11から燃料ガスが供給されるガス供給ユニット10とが設けられている。内胴3の下方右側には、電装基板を収容してなるコントローラ12が横向きに設置され、その下方中央には、フロントカバーから露出する表示操作パネル13が設けられている。
【0010】
バーナ4は、燃料ガスと燃焼に必要な全ての燃焼用空気との混合気が燃焼する全一次空気式で、上下面を開口して上下方向に所定深さを有する平面視横長矩形状の上ケーシング14を有し、上ケーシング14の上面は、上方へ突出してファンユニット8が接続されるチャンバ15によって閉塞されている。上ケーシング14の下面には、複数の炎孔が形成された図示しない炎孔板が設けられて、炎孔板の表面(下面)で混合気が燃焼可能となっている。
ファンユニット8は、平面視円形のファンケース16内に図示しないファンを収容し、ファンケース16の上側中央に、ファンを回転駆動させるファンモータ17を設けている。
【0011】
一次熱交換器5は、図3~7に示すように、バーナ4が取り付けられる四角筒状の中ケーシング20内の下部に、複数のフィン21,21・・(各図では一部のみ図示)を左右方向へ所定間隔をおいて並設すると共に、各フィン21を左右方向に貫通する蛇行状の伝熱管22を配設してなる。ここでの伝熱管22は、最下段で前後方向に所定間隔をおいて配設される横断面楕円形で、長軸を上下方向とした8本の直線状の大径管23,23・・と、その上方で中ケーシング20の前後の壁の外側へそれぞれ上下方向に所定間隔をおいて3本ずつ配設される横断面円形の直線状の小径管24,24・・とを含んでいる。このうち大径管23は、中ケーシング20の左右の側面に設けられた下側ヘッダ25(図3~7では外側を開放して示す。他のヘッダも同じ)により、前後に隣接する2本の端部同士が左右で交互に接続されて、全体で1本に繋がる蛇行状となっている。但し、最後部の大径管23の右端部には、二次熱交換器6との接続管26が接続され、最前部の大径管23の右端部は、上下に延びる前側ヘッダ27により、前側3本の小径管24の右端部と接続されている。中ケーシング20の左側面には、前後の3本の小径管24の左端部同士を接続する左側ヘッダ28が設けられている。中ケーシング20の右側面には、後側3本の小径管24の右端部同士を接続する右側ヘッダ29が設けられて、右側ヘッダ29に出湯管30が接続される。
【0012】
よって、一次熱交換器5の伝熱管22では、接続管26から最後部の大径管23に流入した湯水は、最下段の大径管23,23・・を交互に通過しながら前方へ蛇行状に移動した後、最前部の大径管23から前側3本の小径管24、後側3本の小径管24を順番に通過して出湯管30へ流れることになる。
中ケーシング20の上側外周には、略全面に導電パターンが蛇行状に網羅されてなる帯状の樹脂シート31が巻回されて、中ケーシング20からの燃焼排気の漏洩を検知可能となっている。
【0013】
そして、各大径管23には、乱流板32が挿入されている。この乱流板32は、大径管23の内面形状における短軸と略同じ幅を有する帯状の本体部33を有する金属板で、本体部33の両長手側辺には、上側へ折り返した一対の折り返し片34,34が形成されている。但し、本体部33の長手方向の一方の端部は、大径管23の当該短軸よりも僅かに大きい幅広部35となっている。本体部33の他方の端部では、折り返し片34の一方が本体部33よりも短く形成されており、折り返し片34の他方は、本体部33を越えて長手方向に突出し、その先端に、大径管23の内面形状に合わせて折り返し片34の折曲側と反対側へ向けて湾曲する回転防止片36を形成している。
また、本体部33には、図8,9にも示すように、一端を四角形状、他端を半円形状とした11個の貫通孔37,37・・が、四角形同士が隣接する向きとなる2つの貫通孔37,37(以下、区別するために「37A」と表記する。)の組と、半円形同士が隣接する向きとなる2つの貫通孔37,37(以下、区別するために「37B」と表記する。)の組とが交互になるように形成されている。幅広部35側の端部に位置する1つの貫通孔37は、貫通孔37Bとなっている。
【0014】
各貫通孔37において、四角形側の端部内縁には、貫通孔37の幅よりも小さい幅を有する羽根片38が切り起こし形成されている。この羽根片38は、貫通孔37A,37Aの各組では、本体部33を挟んで互いに上下反対側へ向けて、上側が左方向、下側が右方向へ本体部33に対して鋭角をなす傾斜状に突出形成されている(以下、区別するために「38A」と表記する。)。各組の上下の羽根片38A,38Aは、互いに平行となっている。
また、貫通孔37B,37Bの各組の羽根片38(以下、区別するために「38B」と表記する。)では、本体部33を挟んで互いに上下反対側へ向けて、上側が右方向、下側が左方向へ本体部33に対して鋭角をなす傾斜状に突出形成されている。各組の上下の羽根片38B,38Bは、互いに平行となっており、隣接する組の上下の羽根片38A,38Aとは左右対称となっている。ここでは羽根片38A,38Aの組と羽根片38B,38Bの組とは交互に配置されて、長手方向で隣接する羽根片38Aと羽根片38Bとは、本体部33を挟んで互いに反対側へ且つ長手方向の同じ側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されている。
さらに、各羽根片38における幅方向の中央には、長手方向に沿って延びる補強用のリブ39が設けられている。各リブ39は本体部33に跨がって形成されて、羽根片38A,38Aの組ではリブ39,39同士が繋がっている。
【0015】
これにより乱流板32では、湯水が長手方向(ここでは左右方向)の両端何れから流入しても、各組の一方の羽根片38が湯水の流入方向に対して鋭角に、他方の羽根片38が鈍角に対向して湯水と衝突する格好となるため、同じ撹拌作用を生じさせることになる。特に、鋭角に立ち上がる羽根片38では、衝突した湯水の一部が貫通孔37を介して本体部33の反対側へガイドされ、鈍角に立ち上がる羽根片38では、衝突した湯水の一部が大径管23の上下何れか一方側へガイドされる。
よって、本体部33の構造は左右方向と上下方向とで方向性を持たないことになる。
【0016】
但し、ここでは本体部33の右端に幅広部35が、左端に回転防止片36がそれぞれ設けられているため、以下の手順で中ケーシング20に組み付けられる。
まず、図3に示すように、中ケーシング20の最下段に大径管23,23・・を配列する(第1工程)。
次に、各大径管23の左右両端を開放した状態で、図10,11に示すように、各乱流板32を、回転防止片36側を先にして、本体部33を、折り返し片34,34を上側にした横向き姿勢で大径管23の短軸に合わせてそれぞれ大径管23に挿入する(第2工程)。このとき回転防止片36は大径管23の内面に沿って摺動し、大径管23内での本体部33の上下高さ及び向きを保持する。なお、乱流板32の挿入及び固定は中ケーシング20の上下を逆にした状態で行われる。
そして、各乱流板32を大径管23内へ完全に押し込むと、幅広部35が大径管23の右端に圧入される(第3工程)。よって、各乱流板32は、図4~7に示すように、回転防止片36と幅広部35とにより、本体部33が短軸に沿った姿勢で大径管23内に支持される。
ロウ付けを行う場合は、大径管23の左右両端から、回転防止片36と大径管23の内面との接触部分と、幅広部35と大径管23の内面との接触部分にそれぞれロウ材を塗布して炉中で加熱する(第4工程)。
【0017】
一方、二次熱交換器6は、図1,2に示すように、中ケーシング20と連通する四角筒状の下ケーシング45内に、凹凸を形成した複数の伝熱プレートを前後方向へ所定間隔をおいて並設して、伝熱プレート間で連続する内部流路を形成し、下ケーシング45の正面側下部に設けた入口と正面側上部に設けた出口とを内部流路に接続してなる。入口には給水管46が接続され、出口には接続管26が接続される。
排気部7は、二次熱交換器6の下ケーシング45の下面に取り付けられるドレン受け47と、ドレン受け47の後部に立設される排気ダクト48とを備える。ドレン受け47の底部は、ドレン排出管49を介して中和器50と接続される。
排気ダクト48は、合成樹脂製の横長角筒状で、排気ダクト48の上端の開口には、筐体2の上面に突出する円筒状の排気筒部52を備えた上カバー51が接合される。
【0018】
以上の如く構成された給湯器1においては、器具内に通水されると、リモコン等で要求される燃焼量に応じた回転数でコントローラ12がファンモータ17を駆動させてファンを回転させる。すると、ファンユニット8では、ファンの回転数に比例した空気が吸い込まれる。同時にガス導入管11からは燃料ガスが供給され、ガスガバナ9で調圧された後、ガス供給ユニット10でファンユニット8の吸込側に設けたベンチュリーを介して空気と混合されて混合気が生成される。生成された混合気は、ファンケース16の吐出口からバーナ4のチャンバ15に吐出され、上ケーシング14内に供給されて、炎孔板の各炎孔から噴出し、図示しない点火電極によって点火されて燃焼する。
【0019】
バーナ4からの燃焼排気は、一次熱交換器5の中ケーシング20で各フィン21,21の間を通過することで、伝熱管22内を流れる湯水と熱交換し、顕熱が回収される。伝熱管22のうち、各大径管23内では、乱流板32の羽根片38によって湯水が撹拌されるため、滞留や温度ムラが生じにくくなる。
その後、二次熱交換器6の下ケーシング45内で各伝熱プレートの間を通過することで、伝熱プレートの内部流路を流れる水と熱交換し、潜熱が回収される。
一方、下ケーシング45を通過した燃焼排気は、排気部7のドレン受け47内に進入し、ドレン受け47の後部に移動して排気ダクト48内を上昇して排気筒部52から外部に排出される。二次熱交換器6で発生したドレンは、ドレン受け47内に落下し、ドレン排出管49及び中和器50を介して器具の外部へ排出される。
【0020】
(乱流板の羽根片に係る発明の効果)
上記形態の乱流板32、一次熱交換器5及び給湯器1によれば、伝熱管22の大径管23の軸方向に沿って延びる帯板状の本体部33と、本体部33へその長手方向に沿って所定間隔をおいて断続的に形成される貫通孔37,37・・と、長手方向に隣接する2つの貫通孔37A,37Aを1組として、長手方向で互いに近い側となる各貫通孔37Aの端縁にそれぞれ形成される一対の羽根片38A,38A(第1の羽根片)と、羽根片38Aが形成される2つの貫通孔37A,37Aと異なる2つの貫通孔37B,37Bを1組として、長手方向で互いに遠い側となる各貫通孔37Bの端縁にそれぞれ形成される一対の羽根片38B,38B(第2の羽根片)と、を有し、一対の羽根片38A,38Aと一対の羽根片38B,38Bとは、各組毎に、本体部33を挟んで互いに反対側へ且つ互いに長手方向の反対側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されている。
この羽根片38A,38Bの採用により、乱流板32の上下及び長手方向の前後の向きにかかわらず、大径管23内を流れる湯水に対して同じ撹拌作用を生じさせることができる。よって、上下や前後の向きを考慮することなく大径管23への乱流板32の組み付けを容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0021】
特にここでは、羽根片38A,38Aの組と羽根片38B,38Bの組とは交互に配置されて、長手方向で隣接する羽根片38Aと羽根片38Bとは、本体部33を挟んで互いに反対側へ且つ長手方向の同じ側へ向けた鋭角傾斜状に突出形成されているので、隣接する羽根片38A,38B同士が接近しすぎたりして撹拌作用の妨げになることがない。
また、各羽根片38には、長手方向に沿ったリブ39が、本体部33に跨がって形成されているので、羽根片38が補強され、通水時は勿論、組み付け前の保管時においても羽根片38の変形等を効果的に防止可能となる。
【0022】
なお、各羽根片の形状や大きさ、本体部に対する傾斜角度等は上記形態に限らず、適宜変更可能である。貫通孔の各組において、本体部を挟んだ各羽根片の折り返し側を上記形態と逆にしても差し支えない。貫通孔の数も増減可能である。
また、羽根片に係る発明では、回転防止片や幅広部を省略することもできる。折り返し片も形状の変更の他、省略も可能である。大径管も横断面楕円形でなくてもよい。
【0023】
(乱流板の幅広部及び回転防止片に係る発明の効果)
上記形態の乱流板32、一次熱交換器5及び給湯器1によれば、伝熱管22の大径管23の内面の短軸幅に合わせた幅を有した帯状の本体部33と、本体部33における長手方向の一端部に形成され、大径管23の内面形状に合わせて湾曲する回転防止片36と、本体部33における長手方向の他端部に形成され、短軸幅よりも大きい幅広部35と、を含んでなることで、回転防止片36により、上下左右に位置ズレしたり回転したりすることなく大径管23内への挿入を行うことができる。また、大径管23内への挿入が完了した時点で幅広部35が大径管23に圧入されるので、乱流板32が定位置に位置決めされて大径管23内での回転や移動が防止され、大径管23の内面の損傷を防止することができる。
【0024】
なお、回転防止片の位置や形状、大きさは上記形態に限らず、適宜変更可能で、複数の回転防止片を左右や上下に対称に設けたり、大径管の中心線を中心とした点対称に設けたりすることもできる。
幅広部も、本体部の長手方向の長さは適宜変更して差し支えない。
また、幅広部及び回転防止片に係る発明では、羽根片の形状は上記形態に限定するものではなく、方向性を有する羽根片を備えた乱流板であっても本発明は採用可能である。
【0025】
(一次熱交換器の製造方法に係る発明の効果)
上記形態の一次熱交換器5の製造方法によれば、中ケーシング20(ケーシング)内に、横断面楕円形で両端が開口する直線状の複数の大径管23(伝熱管)を、長軸が上下方向となる向きで互いに平行に配列する第1工程と、各大径管23内に、乱流板32を、回転防止片36を設けた一端部を先にしてそれぞれ挿入する第2工程と、各大径管23において、乱流板32の幅広部35を有する他端部を圧入する第3工程と、ロウ材を回転防止片36及び幅広部35に塗布して炉中で加熱する第4工程と、を実行することで、回転防止片36により、上下左右に位置ズレすることなく大径管23内への挿入を行うことができる。また、大径管23内への挿入が完了した時点で幅広部35が大径管23に圧入されるので、乱流板32が定位置に位置決めされ、ロウ付けや炉中での加熱を行う際の大径管23内での乱流板32の回転や移動が防止され、大径管23の内面の損傷を防止することができる。
【0026】
なお、上記形態では、中ケーシングの上下を逆にして乱流板の挿入及びロウ付けを行っているが、組み付けの際の向きはこれに限定されない。
【0027】
その他、各発明に共通して、バーナ、一次熱交換器、二次熱交換器の各形態やファンユニットの配置、コントローラの配置等は適宜変更可能である。二次熱交換器がなくてもよいし、逆燃焼式でなくてもよい。
また、一次熱交換器では、大径管の数は適宜増減可能であるし、伝熱管として小径管がない形態であっても差し支えない。
さらに、ファンユニットで燃料ガスと燃焼用空気とを混合した混合気をチャンバへ供給する予混合式となっているが、これに限らず、ファンからは燃焼用空気のみを供給させてファンの下流側で燃料ガスと燃焼用空気とをチャンバに導入させる給湯器であっても各発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・内胴、4・・バーナ、5・・一次熱交換器、6・・二次熱交換器、7・・排気部、8・・ファンユニット、10・・ガス供給ユニット、12・・コントローラ、14・・上ケーシング、20・・中ケーシング、21・・フィン、22・・伝熱管、23・・大径管、24・・小径管、26・・接続管、30・・出湯管、32・・乱流板、33・・本体部、35・・幅広部、36・・回転防止片、37(37A,37B)・・貫通孔、38(38A,38B)・・羽根片、39・・リブ、45・・下ケーシング、46・・給水管、48・・排気ダクト。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
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図11