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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】農作業機用表示システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/00 20060101AFI20230123BHJP
   H04W 4/48 20180101ALI20230123BHJP
【FI】
A01B63/00 B
H04W4/48
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019143764
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2020074750
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2018211332
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕雅
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-142884(JP,A)
【文献】特開2015-70463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/00
A01B 69/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H03J 9/00 - 9/06
H03Q 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用表示システムにおいて、
前記トラクタに配置可能な表示装置と、前記表示装置との通信が可能で前記トラクタに設置される通信変換装置と、前記農作業機に設置されるセンサと、前記農作業機に設置され前記センサの情報を取得可能で前記通信変換装置と通信が可能な制御部とを備え、
前記制御部と前記通信変換装置の間の通信は第1の通信プロトコルを使用し、前記通信変換装置と前記表示装置との間の通信は第2の通信プロトコルを使用し、
前記通信変換装置は、前記制御部からのデータを受信し前記表示装置へ送信するときは、前記第1の通信プロトコルから前記第2の通信プロトコルへ変換し、前記表示装置からのデータを受信し前記制御部へ送信するときは、前記第2の通信プロトコルから前記第1の通信プロトコルへ変換することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記農作業機の状態を、状態の種類ごとに表示画面に複数並べて表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記農作業機の状態は、水平に対する傾き状態、作業深さの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記農作業機の状態は、前記表示装置の画面上に前記農作業機に相当する図又は絵又は文字を含んで表示されることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項6】
請求項5に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置の表示画面はタッチパネルで構成され、
前記農作業機はアクチュエータを備え、
前記表示装置の表示画面上の前記アクチュエータで作動する部分に相当する部分の図又は絵又は文字に触れると、その情報は前記制御部へ送られて、前記制御部は前記アクチュエータを作動させることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項7】
請求項6に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記アクチュエータを作動させた場合、前記表示装置の画面には、前記アクチュエータを作動させた後の状態に相当する図又は絵又は文字が表示されることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の農作業機用表示システムにおいて、
通信端末を備え、
前記制御部は、前記通信端末と前記第1の通信プロトコルで無線通信可能であり、前記通信端末は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項9】
請求項8に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記通信端末は、前記農作業機の状態を、状態の種類ごとに表示画面に縦方向に2つ並べて表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部と前記通信変換装置の間は無線で通信を行い、前記通信変換装置と前記表示装置の間は有線接続されて通信を行うことを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項11】
請求項10に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記第1の通信プロトコルはBLE(Bluetooth Low Energy)を用いて、前記第2の通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)を用いることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項12】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部と前記通信変換装置の間は有線接続されて通信を行い、前記通信変換装置と前記表示装置の間は無線で通信を行うことを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項13】
請求項12に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記通信変換装置と前記制御部は、前記トラクタに備えられ少なくとも前記トラクタの車速情報を出力可能なトラクタ側コントローラと有線接続されていることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記第1の通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)を用いて、前記第2の通信プロトコルはBLE(Bluetooth Low Energy)を用いることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項15】
トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用表示システムにおいて、
前記トラクタに配置可能な表示装置と、前記表示装置との通信が可能で前記トラクタに設置される通信変換装置と、前記通信変換装置と通信が可能な通信端末と、前記農作業機に設置されるセンサと、前記農作業機に設置され前記センサの情報を取得可能で前記通信端末と通信が可能な制御部とを備え、
前記制御部と前記通信端末の間の通信は第1の通信プロトコルを使用し、前記通信変換装置と前記表示装置との間の通信は第2の通信プロトコルを使用し、前記通信端末と前記通信変換装置との間の通信は第3の通信プロトコルを使用し、
前記通信端末は、前記制御部からのデータを受信し前記通信変換装置へ送信するときは、前記第1の通信プロトコルから前記第3の通信プロトコルへ変換し、
前記通信変換装置は、前記通信端末からのデータを受信し前記表示装置へ送信するときは、前記第3の通信プロトコルから前記第2の通信プロトコルへ変換することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項16】
請求項15に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記通信変換装置は、前記表示装置からのデータを受信し前記通信端末へ送信するときは、前記第2の通信プロトコルから前記第3の通信プロトコルへ変換し、
前記通信端末は、前記通信変換装置からのデータを受信し前記制御部へ送信するときは、前記第3の通信プロトコルから前記第1の通信プロトコルへ変換することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項18】
請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記通信端末は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項19】
請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部と前記通信端末の間は無線で通信を行い、前記通信端末と前記通信変換装置の間は有線接続されて通信を行い、前記通信変換装置と前記表示装置の間は有線接続されて通信を行うことを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項20】
請求項19に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記第1の通信プロトコルはBLE(Bluetooth Low Energy)の通信プロトコルを用いて、前記第2の通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルを用いて、前記第3の通信プロトコルは、USB(Universal Serial Bus)又はライトニング(Lightning)の通信プロトコルを用いることを特徴とする農作業機用表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用表示システムに関し、特に、トラクタに装着する農作業機の状態を表示させることが可能な農作業機用表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着する農作業機では、通常は、トラクタの後ろ側に農作業機を装着して農作業を行う。このため、目視で農作業機の状態を確認するには、作業者は後ろ側を向いてトラクタの後方の農作業機を確認する必要がある。このとき、作業者の手元に、何らかの表示装置による表示を行い農作業機の状態や操作を行うことで、より正確な農作業をすることができる。
【0003】
特許文献1には、農作業機のリモコンシステムにおいて、タッチパネル部で作業機の機種毎に操作表示画面を変更することで、異なる作業機の操作が可能となる構成が記載されている。
【0004】
特許文献2には、農作業機用ハーネス及び農作業機用ハーネスの接続方法において、操作部をCAN(Controller Area Network)通信線と接続可能とし、CANシステムからの情報が操作部に送られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-142884号公報
【文献】特開2016-208874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、操作表示画面が機種毎に応じているものの、トラクタに装着する農作業機の状態の変化を表示することまでは記載されていない。
【0007】
特許文献2のCAN通信線に基づく通信方法は、CANの通信プロトコルに従うものである。これ以外の通信プロトコルを使用して、トラクタとの通信を行うときは、トラクタメーカーや機種ごとに設定されている通信プロトコルに従う必要がある。この場合は、異なる通信プロトコルごとに対応する必要があり、コストが高くなり、管理も煩雑となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する農作業機の状態を汎用性をより高くして表示させることが可能な農作業機用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の農作業機用表示システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用表示システムにおいて、前記トラクタに配置可能な表示装置と、前記表示装置との通信が可能で前記トラクタに設置される通信変換装置と、前記農作業機に設置されるセンサと、前記農作業機に設置され前記センサの情報を取得可能で前記通信変換装置と通信が可能な制御部とを備え、前記制御部と前記通信変換装置の間の通信は第1の通信プロトコルを使用し、前記通信変換装置と前記表示装置との間の通信は第2の通信プロトコルを使用し、前記通信変換装置は、前記制御部からのデータを受信し前記表示装置へ送信するときは、前記第1の通信プロトコルから前記第2の通信プロトコルへ変換し、前記表示装置からのデータを受信し前記制御部へ送信するときは、前記第2の通信プロトコルから前記第1の通信プロトコルへ変換することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記表示装置は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記表示装置は、前記農作業機の状態を、状態の種類ごとに表示画面に複数並べて表示することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記農作業機の状態は、水平に対する傾き状態、作業深さの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記農作業機の状態は、前記表示装置の画面上に前記農作業機に相当する図又は絵又は文字を含んで表示されることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記表示装置の表示画面はタッチパネルで構成され、前記農作業機はアクチュエータを備え、前記表示装置の表示画面上の前記アクチュエータで作動する部分に相当する部分の図又は絵又は文字に触れると、その情報は前記制御部へ送られて、前記制御部は前記アクチュエータを作動させることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記アクチュエータを作動させた場合、前記表示装置の画面には、前記アクチュエータを作動させた後の状態に相当する図又は絵又は文字が表示されることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、通信端末を備え、前記制御部は、前記通信端末と前記第1の通信プロトコルで無線通信可能であり、前記通信端末は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記通信端末は、前記農作業機の状態を、状態の種類ごとに表示画面に縦方向に2つ並べて表示する。
【0012】
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記制御部と前記通信変換装置の間は無線で通信を行い、前記通信変換装置と前記表示装置の間は有線接続されて通信を行うことを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記第1の通信プロトコルはBLE(Bluetooth〈登録商標〉 Low Energy)を用いて、前記第2の通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)を用いることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記制御部と前記通信変換装置の間は有線接続されて通信を行い、前記通信変換装置と前記表示装置の間は無線で通信を行うことを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記通信変換装置と前記制御部は、前記トラクタに備えられ少なくとも前記トラクタの車速情報を出力可能なトラクタ側コントローラと有線接続されていることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記第1の通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)を用いて、前記第2の通信プロトコルはBLE(Bluetooth Low Energy)を用いることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の農作業機用表示システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用表示システムにおいて、前記トラクタに配置可能な表示装置と、前記表示装置との通信が可能で前記トラクタに設置される通信変換装置と、前記通信変換装置と通信が可能な通信端末と、前記農作業機に設置されるセンサと、前記農作業機に設置され前記センサの情報を取得可能で前記通信端末と通信が可能な制御部とを備え、前記制御部と前記通信端末の間の通信は第1の通信プロトコルを使用し、前記通信変換装置と前記表示装置との間の通信は第2の通信プロトコルを使用し、前記通信端末と前記通信変換装置との間の通信は第3の通信プロトコルを使用し、前記通信端末は、前記制御部からのデータを受信し前記通信変換装置へ送信するときは、前記第1の通信プロトコルから前記第3の通信プロトコルへ変換し、前記通信変換装置は、前記通信端末からのデータを受信し前記表示装置へ送信するときは、前記第3の通信プロトコルから前記第2の通信プロトコルへ変換することを特徴とする。
【0015】
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記通信変換装置は、前記表示装置からのデータを受信し前記通信端末へ送信するときは、前記第2の通信プロトコルから前記第3の通信プロトコルへ変換し、前記通信端末は、前記通信変換装置からのデータを受信し前記制御部へ送信するときは、前記第3の通信プロトコルから前記第1の通信プロトコルへ変換することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記表示装置は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記通信端末は、前記センサの情報に基づき、前記農作業機の状態を表示することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記制御部と前記通信端末の間は無線で通信を行い、前記通信端末と前記通信変換装置の間は有線接続されて通信を行い、前記通信変換装置と前記表示装置の間は有線接続されて通信を行うことを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用表示システムの一つは、前記第1の通信プロトコルはBLE(Bluetooth Low Energy)の通信プロトコルを用いて、前記第2の通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルを用いて、前記第3の通信プロトコルは、USB(Universal Serial Bus)又はライトニング(Lightning)の通信プロトコルを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、農作業機用表示システムにおいて、トラクタに装着する農作業機の状態を汎用性をより高くして表示させることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第1のブロック図である。
図2】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第1の平面概略図である。
図3】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態で適用する農作業機の背面図である。
図4】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態のデバイス検索の画面表示の例を示す。
図5】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の表示装置での作業状態の表示例を示す。
図6】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の水平状態表示の一例を示す。
図7】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の水平状態表示の別例を示す。
図8】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の深さ状態表示の例を示す。
図9】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の制御部でのフローチャートの例を示す。
図10】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の通信変換装置でのフローチャートの例を示す。
図11】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の表示装置でのフローチャートの例を示す。
図12】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第2のブロック図である。
図13】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第2の平面概略図である。
図14】本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の通信端末での作業状態の表示例を示す。
図15】本発明の農作業機用表示システムの第2の実施形態の平面概略図である。
図16】本発明の農作業機用表示システムの第3の実施形態の平面概略図である。
図17】本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態のブロック図である。
図18】本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の平面概略図である。
図19】本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の制御部でのフローチャートの例を示す。
図20】本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の通信変換装置でのフローチャートの例を示す。
図21】本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の表示装置でのフローチャートの例を示す。
図22】本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態のブロック図である。
図23】本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態の平面概略図である。
図24】本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態の通信端末でのフローチャートの例を示す。
図25】本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態の通信変換装置でのフローチャートの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第1のブロック図である。
【0020】
第1の実施形態の農作業機用表示システムは、トラクタ1に装備される表示装置11に適用可能なシステムであり、通信変換装置12、制御部21、センサ22、アクチュエータ23を備えている。表示装置11、通信変換装置12は、トラクタ1側に備えられ、制御部21、センサ22、アクチュエータ23は、トラクタ1に装着される農作業機2側に備えられる。なお、農作業機2にアクチュエータ23を備えない場合でも適用できる。
【0021】
表示装置11は、トラクタ1に運転者が見やすい位置に装備される表示装置であり、液晶、有機EL、LED等による表示画面を備えている。表示装置11は、アプリケーション(アプリケーション・ソフトウェア)を導入して後述する処理が可能な構成を備えている。また、表示装置11は通信線15と接続されており、通信線15の表示装置11と反対側の端部はコネクタ15aとなっている。表示装置11は、制御部21から情報を取得して農作業機2の状態を表示することができる。さらに、表示装置11は、農作業機2のアクチュエータ23を操作するための画面を表示することができる。表示装置11には、これらのためのアプリケーションが導入されている。また、操作しやすくするために表示装置11は、タッチパネルの方式を採用することができる。タッチパネルを用いない場合は、画面のそばに操作部が設けられている。なお、表示装置11は、トラクタ1の制御内容を表示するものを適用することができる。
【0022】
通信変換装置12は、異なる種類の通信を相互に変換可能であり、後述する処理が可能な構成を備えている。通信変換装置12は、制御部21と無線通信が可能であると共に、表示装置11と有線接続されている。通信変換装置12と接続される通信線16の(通信変換装置12に対する)反対側の端部はコネクタ16aとなっている。ここで、無線通信の通信と通信線16の通信は異なるプロトコルが採用されており、通信変換装置12は、無線通信のプロトコルによる情報を通信線16のプロトコルに変換可能であり、通信線16のプロトコルによる情報を無線通信のプロトコルに変換可能である。ここで、通信変換装置12と制御部21との無線通信のプロトコルは例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)を適用することができる。また、通信変換装置12はトラクタ1の外部電源(例えば直流12V)で起動することができる。
【0023】
表示装置11に接続された通信線15のコネクタ15aと、通信変換装置12に接続された通信線16のコネクタ16aを接続されることにより、表示装置11と通信変換装置12の間は有線接続される。これらの間の通信プロトコルは、例えば、CAN(Controller Area Network)を適用することができる。ここで、通信線16やコネクタ16aは、表示装置11に適用できるプロトコルに対応した通信線とコネクタを用意することになる。
【0024】
制御部21は、通信変換装置12との無線通信が可能であると共に、センサ22の情報やセンサ22に基づいて算出された情報等を通信変換装置12へ送信する制御を行う。さらに、アクチュエータ23の制御も行う。ここでの制御は、センサ22や表示装置11で入力された情報に基づき行うことができる。また、必要に応じて制御に必要なデータを記憶しておく記憶部を有していてもよい。制御部21は制御等に必要な電子デバイス等で構成される。
【0025】
センサ22は、農作業機2側に設置されるセンサであり、農作業機の必要に応じて様々な種類のセンサが適用される。センサ22は、例えば、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサ、地磁気センサ、回転センサ、ポテンショメータ、リミットスイッチ等である。これにより、農作業機2の傾きや、作業深さ、アクチュエータ23による農作業機2の状態等を検知するようにできる。
【0026】
アクチュエータ23は、農作業機2の一部を必要に応じて可動させるためのアクチュエータである。アクチュエータ23としては、例えば、油圧シリンダや電動油圧シリンダ等のシリンダや、モータ等である。特に、農作業機2の農作業を行う作業部の位置を移動させるアクチュエータを用いることで、これを制御して農作業の作業性を高めることができる。
【0027】
図2は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第1の平面概略図である。図3は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態で適用する農作業機の背面図である。図2図3の農作業機2は折り畳み機構を備えた代掻き作業機30による実施形態を示している。以下、代掻き作業機30の進行方向を前方向として説明している。図2の左右方向が横方向であり、図2の上下方向が前後方向である。図3の左右方向が横方向であり、図3の上下方向が代掻き作業機30の上下方向である。
【0028】
図2に示すように、トラクタ1の後方に代掻き作業機30の中央作業部35が装着される。中央作業部35の両側に設置されたサイド作業部35’は、中央作業部35に対して折り畳み可能となっている。トラクタ1の運転席の前側付近には表示装置11が備えられ、通信線15、16を介して通信変換装置12と接続されている。通信変換装置12は、トラクタ1の運転席よりも後方に設置することで、制御部21との通信距離を短くできる。制御部21は、中央作業部35に設置されている。また、センサ22、アクチュエータ23は、用途に応じて代掻き作業機30の適した場所に設置される。
【0029】
ここで、制御部21からの情報は無線通信により通信変換装置12へ送られ、通信変換装置12で通信プロトコルが変換されて通信線15、16を介して表示装置11へ送られる。ここでの変換は、例えば、BLEからCANへの変換があげられる。BLEは、無線通信において、低電力で通信を行える効果を有しており、また、CANは、トラクタに広く採用されているプロトコルであるので汎用性が高いものである。一方、表示装置11からの情報は、通信線15、16を介して通信変換装置12へ送られ、通信変換装置12で通信プロトコルの方式が変換されて無線通信により制御部21へ送られる。ここでの変換は上記と逆の変換が行われる。例えば、CANからBLEへの変換等である。
【0030】
図3には、具体的な代掻き作業機30の形状が示されている。中央作業部35には、装着部31であるマスト31aと左右のヒッチ31bが設けられ、これらを介して代掻き作業機30がトラクタ1に装着される。トラクタ1からの動力は、前側に設けられる入力軸を介して入力され、カバー32やその後方の第1の整地体33の内側で代掻き爪を備える耕耘部が回転して土を細かくする。そして、第1の整地体33とその後方に備えられる第2の整地体34により土の表面を平らにする。このようにして代掻き作業を行う。また、制御ボックス38は、マスト31aの側面に設けられており、内部に制御部21が設置されている。このことで、トラクタ1に近く、かつ高い位置で通信変換装置12との無線通信を行うことができる。なお、例えば、傾きを検知できるセンサ等のセンサ22を制御ボックス38内に設置することもできる。なお、制御ボックス38は、カバー32上やその他のフレーム上の振動の少ない場所に設置してもよい。
【0031】
左右の電動油圧シリンダ36は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構37を作用させ中央作業部35の左右端部側にそれぞれ設けられたサイド作業部35’をそれぞれ内側に折りたたむことができ、代掻き作業機30の全幅を短くすることができる。左右の延長整地体駆動装置40は、内部のモータが回転することにより、アーム42やワイヤ43を介して左右の延長整地体41をそれぞれ回動軸41aを中心に回動させることができる。このことで、第2の整地体34の両側端部に設けられた延長整地体41を外側に延長するか内側に折り畳むかを選択することができる。第2の整地体駆動装置46は、内部のモータが回転することにより、第2の整地体リンク手段47を介して第2の整地体34を回動させ下側で固定した土引き状態とするか回動が固定されていない通常の代掻き状態とするかを選択することができる。なお、第2の整地体駆動装置46は、制御ボックス38内か制御ボックス38に隣接して設けることができる。
【0032】
これら、電動油圧シリンダ36や、延長整地体駆動装置40(のモータ)、第2の整地体駆動装置46(のモータ)をアクチュエータ23として適用できる。
【0033】
図4は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態のデバイス検索の画面表示の例を示す。上述したように、通信変換装置12と制御部21は無線通信を行うが、同じ通信プロトコルに基づくデバイスからの通信電波が複数存在し受信可能な場合がある。このとき、図4のように、表示装置11の表示画面11aに受信可能な電波を複数表示する。そして、作業者はこの中から適切な対象を選択する操作を行うことで接続対象のデバイスである制御部21と接続することができる。例えば、Bluetoothであれば、ペアリング可能なBluetooth対応機器の一覧を検出して表示する。図4であれば、「WRZ1001」「WRZ1002」「WLZ1001」の3種類が表示されているので、例えば、「WRZ1001」の表示部分に触れるなどして、作業者が選択することができる。
【0034】
図5は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の表示装置での作業状態の表示例を示す。
【0035】
農作業機2である代掻き作業機30の状態は、表示装置11の表示画面11aで表示することができる。ここで、代掻き作業機30の状態を状態の種類ごとにブロックを並べて表示することで汎用性を高めることができる。具体的には表示画面11aにおいて、水平状態表示50と深さ状態表示60の2つのブロックを表示画面11aの長手方向である横方向に沿って表示している。また各ブロックにタイトルや枠を表示すると分かり易くなる。
【0036】
水平状態表示50では、代掻き作業機30の水平に対する傾き状態を示している。水平状態表示50の上部には水平に対する傾き状態を示すタイトル表示51がなされ、図5では「水平」と表示されている。また、水平状態表示50の下部には基準設定表示52があり、ここの箇所に触れると現在の傾きが水平の基準となるようになっている。基準設定表示52の横側には、設定解除表示53が表示されており、ここの箇所に触れると、現在の水平基準が解除される。また、水平状態表示50の周りには枠表示54がされており、この枠により水平状態表示50のブロックの範囲が分かり易く示されている。また、枠表示54内には、上側に図表示56がその下側に状態表示58が表示されている。
【0037】
図表示56は、図または絵で代掻き作業機30の水平に対する傾き状態を表示するものである。ここでは、代掻き作業機30の後ろ側から見た状態に対応するものを表しており、実際の代掻き作業機30の傾きと連動して傾かせることができる。図表示56は、トラクタ1に対応するトラクタ表示56a、代掻き作業機30に対応する代掻き作業機表示56kが表示されている。代掻き作業機表示56kとしては、中央作業部35に対応する中央作業部表示56b、左側のサイド作業部35’に対応するサイド作業部表示(左側)56c、右側のサイド作業部35’に対応するサイド作業部表示(右側)56d、左側の延長整地体41に対応する延長整地体表示(左側)56e、右側の延長整地体41に対応する延長整地体表示(右側)56fが表示されている。さらに、延長整地体表示(左側)56e近辺の上部には文字による状態表示(左側)56g、延長整地体表示(右側)56fの上部には文字による状態表示(右側)56hが表示され、これらは、左右の延長整地体41が開いているか閉じているかを表している。図5では、「左開」「右開」として、いずれも開いている状態を示している。なお、左と右は、作業者にとって分かり易くするために、トラクタ1の後ろ側から前方を見たときの左と右と一致するようになっている。さらに、図表示56には、水平基準を分かり易くするために水平線表示56j、左右の中心を分かり易くするために左右の中心線表示56iがなされている。
【0038】
状態表示58は、数値による表示と、目盛りによる表示で分かり易く表示することができる。図5では、左下への傾き角度を示す数値表示(左側)58a、右下への傾き角度を示す数値表示(右側)58b、目盛りによる表示を示す目盛り表示58c、目盛りの基準位置を示す文字表示(基準)58d(例えば「基準」)、数値表示(左側)58aが左下への傾きであることを示す文字表示(左側)58e(例えば「左下に」)、数値表示(右側)58bが右下への傾きであることを示す文字表示(右側)58f(例えば「右下に」)が表示されている。ここで、例えば、数値表示(左側)58aと数値表示(右側)58bは整数による表示として、目盛り表示58cは、小数点以下の値を数値の代わりに下側に傾いた方の目盛りを増やすことにより、感覚的に分かり易い表示とすることができる。また、文字表示(左側)58eは数値表示(左側)58aの近傍の下側に、文字表示(右側)58fは数値表示(右側)58bの近傍の下側に表示されている。
【0039】
深さ状態表示60では、代掻き作業機30の作業深さの状態を示している。深さ状態表示60の上部には作業深さの状態を示すタイトル表示61がなされ、図5では「深さ」と表示されている。また、深さ状態表示60の下部には基準設定表示62があり、ここの箇所に触れると現在の深さが基準となるようになっている。基準設定表示62の横側には、設定解除表示63が表示されており、ここの箇所に触れると、現在の深さ基準が解除される。また、深さ状態表示60の周りには枠表示64がされており、この枠により深さ状態表示60のブロックの範囲が分かり易く示されている。また、枠表示64内には、左側に図表示66がその右側に状態表示68が表示されている。
【0040】
図表示66は、図または絵で代掻き作業機30の作業深さの状態を表示するものである。ここでは、代掻き作業機30の前後方向の垂直断面で切った断面を表しており、実際の代掻き作業機30の作業深さの状態と連動して表示を変更することができる。図表示66は、代掻き作業機30に対応する代掻き作業機表示66gとして、カバー32に対応するカバー表示66a、第1の整地体33に対応する第1の整地体表示66b、第2の整地体34に対応する第2の整地体表示66c、代掻き作業機30の耕耘部に対応する耕耘部表示66dが表示されている。さらに、作業の深さの状態を分かり易くするため、田面のラインを示した田面表示66eと、耕耘部の下面のラインを示した耕耘面表示66fも示されている。
【0041】
状態表示68は、数値による表示と、目盛りによる表示で分かり易く表示することができる。図5では、基準より浅い値の数値表示(上側)68a、基準より深い値の数値表示(下側)68b、目盛りによる表示を示す目盛り表示68c、目盛りの基準位置を示す文字表示(基準)68d(例えば「基準」)、数値表示(上側)68aが浅い側の数値であることを示す文字表示(上側)68e(例えば「浅い」)、数値表示(下側)68bが右下への傾きであることを示す文字表示(下側)68f(例えば「深い」)が表示されている。ここで、例えば、数値表示(上側)68aと数値表示(下側)68bは整数による表示として、目盛り表示68cは、小数点以下の値を数値の代わりに浅いもしくは深い方の目盛りを増やして表示して、感覚的に分かり易い表示とすることができる。また、文字表示(上側)68eは数値表示(上側)68aの近傍の右横側に、文字表示(下側)68fは数値表示(下側)68bの近傍の右横側に表示されている。
【0042】
図6は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の水平状態表示の一例を示す。
【0043】
図6では、図5で示した水平状態表示50に比べて、Aの部分に、サイド作業部表示(右側)56d、延長整地体表示(右側)56f、文字による状態表示(右側)56hが表示されていない。図5では、左右のサイド作業部35’及び延長整地体41が開いた状態を示しており、サイド作業部表示(左側)56c、サイド作業部表示(右側)56d、延長整地体表示(左側)56e、延長整地体表示(右側)56fはいずれも表示されている。この図5の状態に対して、サイド作業部表示(右側)56dに触れるとその情報が、通信変換装置12を介して制御部21へ送られる。すると、制御部21は、右側の電動油圧シリンダ36を制御して、右側のサイド作業部35’を折り畳んだ状態とする。そして、図6では変更後のこの状態として、Aの部分(サイド作業部表示(右側)56d、延長整地体表示(右側)56f、文字による状態表示(右側)56h)を表示していない。右側のサイド作業部35’を折り畳んだことは、制御部21の制御、または、サイド作業部35’を折り畳んだことを検知するセンサ22の検知により、表示装置11に情報が送られてその情報をもとに表示に反映することができる。
【0044】
上記以外にサイド作業部表示(左側)56cでも左側のサイド作業部35’に対して同様の制御ができる。さらに、左右の延長整地体41に対しても、延長整地体表示(左側)56e又は延長整地体表示(右側)56fの部分を触れることで、対象となる延長整地体駆動装置40を制御して開閉の制御を行い、閉じた場合は、これらの表示を消すようにすることができる。このように水平状態表示50では、表示と操作を連動して行うことも可能であり、アクチュエータ23により動かしたい部分に触れて操作を行い、アクチュエータ23により変更した農作業機2の状態に合わせ表示内容を変更することができる。
【0045】
図7は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の水平状態表示の別例を示す。
【0046】
図7では、図5で示した水平状態表示50に比べて、代掻き作業機表示56kが右下に傾いた状態を示している。図5では、代掻き作業機表示56kは水平状態を示しており、代掻き作業機表示56kの横方向は水平線表示56jと平行になっている。このとき、数値表示(左側)58aと数値表示(右側)58bの数値はいずれも「0」であり、目盛り表示58cも基準位置の目盛りが1つ表示されているのみである。一方、図7では、図表示56における代掻き作業機表示56kは右下に傾いて表示されている。なお、この傾き度合いは実際の代掻き作業機30の傾き度合いに応じる傾きで表示することができる。このとき、状態表示58における、数値表示(右側)58bでは「2」が表示されており、これは、傾きの整数値が2°であることを示している。なお、数値表示(左側)58aでは何も表示されていない。さらに、目盛り表示58cでは、小数点以下の状態を示すもので、左右中心である基準位置よりも下へ傾いている側に目盛りが増えるようになっている。図7の例では、目盛り表示58cの1目盛り分の表示が0.2°ごとに示す例であり、右側に4目盛り多く表示されている。このため、図7では、右下に2.8°以上3.0°未満の範囲で傾いていることを示している。
【0047】
なお、傾きの度合いは、制御ボックス38内等の代掻き作業機30側に設けられたセンサ22(例えば、傾斜センサや加速度センサ等)で計測することができる。この情報は、制御部21から、通信変換装置12を介して表示装置11に送られる。
【0048】
このように水平状態表示50では、図表示56では実際に代掻き作業機表示56kの表示を傾けることにより、傾いていることを直感的に分かり易く表示される。さらに、状態表示58では、数値と目盛りにより表示することで、実際の傾きの度合いが分かり易く表示することができる。
【0049】
図8は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の深さ状態表示の例を示す。
【0050】
図8では、図5で示した深さ状態表示60に比べて、代掻き作業機表示66gの作業深さが浅くなった例を示している。図5では、代掻き作業機表示66gは基準深さでの状態を示しており、数値表示(上側)68aと数値表示(下側)68bの数値はいずれも「0」であり、目盛り表示68cも基準位置の目盛りが1つ表示されているのみである。一方、図8では、図表示66における耕耘面表示66fの位置は上がっており、田面表示66eに近づいている。このとき耕耘部表示66dとカバー表示66aの位置もそれに合わせて上がっており、さらに、第1の整地体表示66bはカバー表示66a側の支点を中心に下側に回動して表示される。なお、この位置は実際の代掻き作業機30の位置の動きの度合いに合わせて表示することができる。また、状態表示68における、数値表示(上側)68aでは「2」が表示され、これは、前側の傾きの整数値が2°であることを示している。なお、数値表示(下側)68bでは何も表示されていない。さらに、目盛り表示68cでは、小数点以下の状態を示すもので、上下中心の基準の位置よりも移動している側に目盛りが増えるようになっている。図8の例では、目盛り表示68cの1目盛り分の表示が0.2°ごとに示す例であり、上側に4目盛り多く表示されている。このため、図8では、前側に2.8°以上3.0°未満の範囲で傾いていることで浅い方向に移動していることを示している。これはトラクタ1に装着される農作業機2は、トラクタ1に対して上側に移動すると連結部の構成により、通常は、前傾に傾く性質を利用しているものである。基準となる角度を0°として、それよりも農作業機2が前傾の角度なら浅く、それよりも後傾の角度なら深くなる。このことで、深さの度合いを示すことができる。
【0051】
なお、傾きの度合いは、制御ボックス38内等の代掻き作業機30側に設けられたセンサ22(例えば、傾斜センサや加速度センサ等)で計測することができる。この情報は、制御部21から、通信変換装置12を介して表示装置11に送られる。
【0052】
このように深さ状態表示60では、図表示66では実際に代掻き作業機表示66gの深さを変えて表示することにより、現在の状態が直感的に分かり易く表示される。さらに、状態表示68では、数値と目盛りにより表示することで、実際の深さの度合いが分かり易く表示することができる。
【0053】
図9は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の制御部でのフローチャートの例を示す。ここでは、農作業機2である代掻き作業機30側の制御部21の処理を示している。
【0054】
電源が入る(S101)と接続待機の状態となる(S102)。ここでの接続待機は無線通信による接続を待機することを意味し、接続待機のための電波を発信している状態である。
【0055】
次に、ペアリング要求を受信したか否かを判定し(S103)、ペアリング要求を受信しない場合はS102の接続待機を継続し、ペアリング要求を受信した場合はペアリングを完了する(S104)。ペアリングは、通信変換装置12とのペアリングであり、通信変換装置12からのペアリング要求(後述する図10のS205)を受信することで行われる。
【0056】
次に、ペアリング解除を受信したか否かを判定し(S105)、ペアリング解除を受信した場合はS102の接続待機へ戻り、ペアリング解除を受信しない場合はS106へ行く。ここで、ペアリング解除の要求も通信変換装置12から送られる。
【0057】
S106では設定データの書換信号を受信したか否かを判定する。設定データの書換信号は、表示装置11の操作により通信変換装置12を介して送られてきた信号である。例えば、図6で示した操作に基づく信号である。
【0058】
S106で設定データの書換信号を受信したと判定した場合は、設定データの書換を行い(S107)、アクチュエータに出力する(S108)。すなわち、表示装置11での操作に基づき送信された信号(後述する図10のS209)を制御部21が受信した場合は、制御部21はアクチュエータ23(例えば、電動油圧シリンダ36等)を制御して作動させる。なお、S106で設定データの書換信号を受信しないと判定した場合はS109へ行く。
【0059】
S109では、計測データの更新がなされたか否かを判定する。計測データは、例えば、代掻き作業機30側に設置されたセンサ22により計測されるデータやこれらを用いて算出されたデータ等である。計測データの更新がなされた場合は、計測データの書換を行い(S110)、書き換えられたデータが出力される(S111)。また、計測データの更新がされない場合は、書き換えていない前のデータが出力される(S111)。S111でのデータ出力は、通信変換装置12へ行われ、通信変換装置12では、制御部21からデータ受信したか否かを判定する(後述する図10のS210)。S111のデータ出力の後は、S105へ戻る。
【0060】
図10は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の通信変換装置でのフローチャートの例を示す。ここでは、トラクタ1側に配置される通信変換装置12の処理を示している。
【0061】
電源が入る(S201)と、接続待機中のデバイスを検出したか否かを判定する(S202)。ここで、接続待機中のデバイスは、制御部21が対象となり図9のS102で接続待機中の場合は、これを検出することができる。そして、S202で接続待機中のデバイスを検出した場合は、接続待機中のデバイスを表示装置11に出力する(S203)。この出力に基づき表示装置11で接続待機中のデバイスを表示する(後述する図11のS303)。
【0062】
次に、ペアリング要求を受信したか否かを判定する(S204)。ここでの判定は、表示装置11から送信されたペアリングの要求(後述する図11のS305)を受信したか否かで判定される。ペアリング要求を受信しない場合はS202へ戻り、ペアリング要求を受信した場合は要求されたデバイスにペアリング要求を送信する(S205)。このペアリング要求の送信は制御部21への送信であり、制御部21ではこれに基づきペアリング要求を受信したか否かが判定される(図9のS103)。
【0063】
次に、ペアリングが成功したか否かを判定する(S206)。ペアリングが成功しない場合はS202へ戻り、ペアリングが成功したと判定した場合は、ペアリング完了情報を出力する(S207)。ここでの出力は表示装置11へ行われ、表示装置11では、これに基づきペアリングが成功したか否かを判定する(後述する図11のS306)。
【0064】
次に、表示装置11からデータを受信したか否かを判定する(S208)。ここでの判定は、表示装置11から出力されたデータ(後述する図11のS309)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS210へ行き、データを受信したと判定した場合は制御部21にそのデータを送信する(S209)。このとき、通信変換装置12と表示装置11の通信で使用されるデータの通信プロトコルから、通信変換装置12と制御部21の通信で使用されるデータの通信プロトコルへ変更をして送信する。制御部21では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(図9のS106)。
【0065】
次に、制御部21からデータ受信したか否かを判定する(S210)。ここでの判定は、制御部21から出力されたデータ(図9のS111)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS211へ行き、データを受信したと判定した場合は、表示装置11にそのデータを送信する(S212)。このとき、通信変換装置12と制御部21の通信で使用されるデータの通信プロトコルから、通信変換装置12と表示装置11の通信で使用されるデータの通信プロトコルへ変更をして送信する。表示装置11では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(後述する図11のS310)。なお、S212の後はS208へ戻る。
【0066】
S211では、一定時間以内にデータを受信したか否かを判定する。そして、一定時間以内にデータを受信していない場合はS202へ戻る。S202の状態では、S208やS210の状態よりも、通信間隔を減らして省電力モードとすることができるので、通信変換装置12の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0067】
図11は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の表示装置でのフローチャートの例を示す。ここでは、トラクタ1側に配置される表示装置11の処理を示している。
【0068】
表示装置11では、当該処理を可能とするアプリケーションを起動する(S301)。
【0069】
次に、作業者の操作又は自動で、デバイス検索を開始し(S302)、接続待機中のデバイスを表示装置11の表示画面11aに表示する(S303)。ここでの接続待機中のデバイスの情報は通信変換装置12から出力される(図10のS203)。そして、ここでの表示例は、図4に示した通りである。
【0070】
次に、接続するデバイスを選択する(S304)。ここでの選択は、作業者が表示画面11aのタッチパネルに触れる等して行うことができる。
【0071】
次に、ペアリング要求を送信する(S305)。S303で選択されたデバイスについて、ペアリング要求を通信変換装置12に送信する。通信変換装置12では、これに基づきペアリング要求を受信したか否かを判定する(図10のS204)。
【0072】
次に、ペアリングが成功したか否かを判定する(S306)。この判定は、通信変換装置12からのペアリング完了情報により判定することができる(図10のS207)。ペアリングが成功していないと判定した場合はS302へ戻り、ペアリングが成功したと判定した場合は、表示画面11aに作業画面を表示する(S307)。ここでの表示は、例えば、図5で示した水平状態表示50や深さ状態表示60等による作業状態の表示である。最初は、図5に示されているような基準状態を表示してもよい。
【0073】
次に、設定入力がされたか否かを判定する(S308)。ここでの設定入力は、表示装置11になんらかの入力があった場合であり、例えば、表示画面11aのタッチパネルに触れることによる設定の入力である。図5、6で説明したように図表示56の一部に触れて設定を変更するための入力とすることもできる。そして、S308で設定入力がない場合はS310へ行き、設定入力がある場合は、入力された設定データを出力する(S309)。ここでの出力は、通信変換装置12へ出力する。通信変換装置12では、これに基づき表示装置11からデータ受信があったか否かを判定する(図10のS208)。
【0074】
次に、データ受信がされたか否かを判定する(S310)。ここでのデータは、通信変換装置12から送信されたデータ(図10のS212)である。ここでのデータは、例えば、代掻き作業機30(農作業機2)のセンサ22に基づく情報等である。そして、データを受信しないと判定した場合はS311へ行き、データ受信がされたと判定した場合は画面を更新して(S312)、S308へ戻る。画面を更新する例としては、図5の水平状態表示50や深さ状態表示60を、センサ22に基づくデータにより、図7図8で示したように変更することがあげられる。
【0075】
S311では、一定時間以内にデータを受信したか否かを判定する。そして、一定時間以内にデータを受信していない場合は通信が切れたと判断してS302へ戻り、改めてペアリングを行う。S302の状態では、S308やS310の状態よりも、通信間隔を減らして省電力モードとすることができるので、表示装置11の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0076】
このように、第1の実施形態では、トラクタ1に装備された表示装置11で、農作業機2の状態や操作を分かり易く知ることや行うことが可能となる。さらに、トラクタ1に装備された表示装置11に対して、通信変換装置12を用いて、通信のプロトコルを変換することで汎用性を高くすることができる。とりわけ、表示装置11と通信変換装置12は、トラクタに広く用いられているCANを用いることで、メーカーや車種が異なっても表示装置11と通信接続することができる。また、制御部21と通信変換装置12との間はBLEとすることで、低電力で通信を行うことができると共に、後述するように、スマートフォン等の一般的な携帯可能な機器との汎用性を高めることができる。また、通信変換装置12と制御部21の間を無線通信にすることにより、トラクタ1に農作業機2を着脱する際に、通信のための配線の接続等の必要がないので、手間が省け、作業ミスによる断線等の配線の破損を防止することができる。
【0077】
図12は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第2のブロック図である。図13は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の第2の平面概略図である。
【0078】
第1の実施形態の農作業機用表示システムは、図1、2に示したトラクタ1に装備される表示装置11以外に、通信端末81に適用可能なシステムとして構成することができる。図12、13ではこれを示しており、通信端末81は、持ち運び可能な端末であるため、トラクタ1に配置することが可能となる。また、制御部21、センサ22、アクチュエータ23は、農作業機2(代掻き作業機30)に備えられ上述した図1、2等と同様である。
【0079】
通信端末81は、無線通信機能を備えて持ち運び可能な端末であり、液晶、有機EL、LED等による表示画面81aを備えている。また、通信端末81は、アプリケーションを導入して、上述した表示装置11と同様な処理が可能な構成を備えている。また、操作しやすくするために通信端末81の表示画面81aは、タッチパネルの方式を採用することができる。通信端末81は、好ましくは、汎用の通信端末を適用できる。例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等である。
【0080】
通信端末81と制御部21は、無線による通信が可能である。通信端末81と制御部21の間の無線通信は、図1、2等で説明した通信変換装置12と制御部21の間の無線通信と同じプロトコルによる通信とする。例えば、BLEを適用することができる。同じ通信の種類を採用しているため、制御部21から発信するデータ、及び、制御部21が受信するデータは、図1、2の例、図12、13の例共に同じにすることができる。
【0081】
図14は、本発明の農作業機用表示システムの第1の実施形態の通信端末での作業状態の表示例を示す。
【0082】
図14では、通信端末81の表示画面81aに、図5で説明した水平状態表示50と深さ状態表示60の各ブロックが縦方向に2つが並んで表示されている。これは、図5と異なり、表示画面81aの長手方向が縦方向であるので、通信端末81内のセンサがこれを感知して、これに合わせて表示したものである。これは、通信端末81内の処理で表示を行わせることができる。また、通信端末81の長手方向を横方向にした場合は、通信端末81内のセンサがこれを感知し、図5と同様に水平状態表示50と深さ状態表示60の各ブロックを横方向に並ぶように表示させてもよい。
【0083】
次に、図12~14で示される構成における、制御部21と通信端末81の処理について説明する。
【0084】
図12、13の制御部21では図9のフローチャートに沿って処理が行われる。ここでは、上述した通信変換装置12、表示装置11を伴う構成の場合と比べ、通信変換装置12ではなく、通信端末81とのデータのやりとりである点が異なる。それ以外の制御部21での処理は基本的に同様である。以下、通信端末81を用いる場合に、通信変換装置12、表示装置11を用いる構成の場合と異なる点を中心に説明する。
【0085】
図9のS103、S104のペアリングは、通信端末81とのペアリングであり、通信端末81からのペアリング要求を受信することで行われる。また、S105のペアリングの解除の要求も通信端末81から送られる。
【0086】
S106の設定データの書換信号を受信したか否かの判定では、設定データの書換信号は、通信端末81の操作により通信端末81から直接送られてきた信号である。例えば、通信端末81で、図6で示した操作と同様の操作を行った場合に基づく信号である。この信号に基づき、S107、S108の処理が行われる。
【0087】
S111のデータ出力は、通信端末81へ行われる。例えば、通信端末81では図14の表示が、図7、8で示したような表示に変更される。
【0088】
図12、13の通信端末81では図11のフローチャートに沿って処理が行われる。ここでは、上述した通信変換装置12、表示装置11を伴う構成の場合と比べ、通信変換装置12ではなく、制御部21とのデータのやりとりである点が異なる。それ以外の通信端末81での処理は基本的に表示装置11と同様である。以下、表示装置11の場合と異なる点を中心に説明する。
【0089】
図11のS301では、通信端末81では、当該処理を可能とするアプリケーションを起動する。
【0090】
S302、S303では、接続待機中のデバイスの情報は制御部21から出力され(図9のS102)、通信端末81に表示される。表示例は、図4と同様である。S304では、作業者が表示画面81aのタッチパネルに触れる等して接続するデバイスを選択する。
【0091】
S305のペアリング要求は、制御部21へ送信する。制御部21では、これに基づきペアリング要求を受信したか否かを判定する(図9のS103)。
【0092】
S306のペアリングが成功したか否かの判定は、通信端末81がペアリングを行うため判定することができる。S307の作業画面の表示は、表示画面81aに、例えば図14のように行うことができる。最初は、図14に示されているような基準状態を表示してもよい。
【0093】
S308の設定入力がされたか否かの判定は、通信端末81になんらかの入力があった場合であり、例えば、表示画面81aのタッチパネルに触れることによる設定の入力である。表示画面81aに図14のように表示し、図表示56の一部に触れて図6のように設定を変更するための入力とすることもできる。また、S309の設定データの出力は、制御部21へ出力する。制御部21では、これに基づき設定データの書換信号を受信したか否かを判定する(図9のS106)。
【0094】
S310のデータ受信がされたか否かの判定は、制御部21から送信されたデータ(図9のS111)に基づいて行われる。ここでのデータは、例えば、代掻き作業機30(農作業機2)のセンサ22に基づく情報である。S312の画面の更新は、表示画面81aで行われる。例えば、図14の水平状態表示50や深さ状態表示60を、センサ22に基づくデータにより、図7図8と同様に変更することができる。S311の判定は通信端末81において、表示装置11のときと同様に行われる。
【0095】
このように、持ち運び可能な通信端末81で、農作業機2の状態や操作を分かり易く知ることや行うことが可能となる。さらに、通信端末81の場合も、表示装置11、通信変換装置12を用いた場合と、同じ制御部21の制御で行うことで、部品の付け替えなしに汎用性を高くすることができる。さらに、図14で示したように水平状態表示50や深さ状態表示60のブロックによる表示の並べ方を変えることで、表示の大きさを小さくすることなく、見やすい表示とすることができる。また、制御部21と通信端末81との間はBLEとすることで、低電力で通信を行うことができると共に、スマートフォン等の一般的な携帯可能な機器で使用されている通信プロトコルを用いるので、適用の幅を広げることができる。
【0096】
(第2の実施形態)
図15は、本発明の農作業機用表示システムの第2の実施形態の平面概略図である。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。ここでの実施形態では、農作業機2として畦塗り作業を行う畦塗り機100に適用する例を示す。なお、図15の上が前側(畦塗り作業の前進方向)、下が後ろ側を示し、図15の左右方向が横(左右)方向を示す。なお、図15では、トラクタ1は図示を簡略化している。
【0097】
畦塗り機100は、装着部102がトラクタ1の後部に装着される。中間フレーム103の一端側は装着部102に対して回動可能に接続されており、中間フレーム103の他端側は回動機構104をともない作業部105と接続されている。作業部105は、前側が耕耘部107でその後ろにディスク部108が設けられている。トラクタ1からのPTO動力は、図示を省略した伝動機構を介して作業部105へ送られる。作業部105は、耕耘部107における耕耘部カバー107b内の爪107aの回転により、旧畦の土をディスク部108へ送り、そしてディスク部108の回転により新たな畦形状に整形する構成である。
【0098】
また、畦塗り機100は、第1シリンダ111及び第2シリンダ112が設けられている。第1シリンダ111の伸縮により、作業部105のオフセット量(トラクタ1に対する横方向の位置)を調整することができる。また、図15の前進作業状態から第1シリンダ111を十分に縮ませることにより作業部105を中央にオフセット移動することができ、格納状態とすることができる。さらに、格納状態から第2シリンダ112を伸ばすことにより作業部105を回動させてバック作業状態としてリターン作業を可能としている。このとき、作業部105は左右反対の左側へ突出して、作業部105の前後は逆転する。第1シリンダ111及び第2シリンダ112は、図1のアクチュエータ23に相当している。
【0099】
制御ボックス110は、装着部102に取り付けられており、図1で示した制御部21やセンサ22等を格納することができる。また、トラクタ1の表示装置11と通信変換装置12は、第1の実施形態と同様である。
【0100】
ここで、畦塗り機100において、表示装置11に作業状態を表示する例としては、作業部105のオフセット量を表示する例や、耕耘部107のディスク部108に対する深さを表示する例があげられる。このとき、図5~7と同様に図又は絵による表示と、数値と目盛りによる表示とすることができる。また、表示装置11に畦塗り機100に相当する図又は絵を表示する場合、作業部105に相当する部分に触れると、前進作業状態、格納状態、バック作業状態をそれぞれ変更できるように制御してもよい。これらのデータのやりとりは第1の実施形態と同様である。また、図12~14と同様に通信端末81に適用できる構成とすることもできる。
【0101】
(第3の実施形態)
図16は、本発明の農作業機用表示システムの第3の実施形態の平面概略図である。第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。ここでの実施形態では、農作業機2として施肥と播種を行う施肥播種機200を適用する例を示す。なお、図16の上が前側(作業の前進方向)、下が後ろ側を示し、図16の左右方向が横(左右)方向を示す。なお、図16では、トラクタ1及び施肥播種機200の図示を簡略化している。
【0102】
施肥播種機200は、施肥ホッパー201とその後方に播種ホッパー211が設置されている。施肥ホッパー201の下部には、図示を省略した耕耘部を回転させて耕耘を行うロータリを有している。施肥ホッパー201内には内容物として肥料が入っており、施肥モータ202の回転にともない、肥料が施肥ホッパー201下部から施肥ホースを通り耕耘部の前側へ排出される構成となっている。さらに、播種ホッパー211内には内容物として種子が入っており、播種モータ212の回転にともない、種子が種子ホースを通り耕耘部の後ろ側へ排出される。図16では、施肥ホッパー201は左右に2つ、播種ホッパー211は左右方向に6つ設置されている。このとき、施肥モータ202の回転数に応じて施肥ホッパー201内の肥料の排出量を変えることができ、播種モータ212の回転数に応じて播種ホッパー211内の種子の排出量を変えるように構成できる。
【0103】
制御ボックス220は、施肥ホッパー201と播種ホッパー211の間等に取り付けられており、図1で示した制御部21やセンサ22等を格納することができる。また、トラクタ1の表示装置11と通信変換装置12は、第1の実施形態と同様である。
【0104】
ここで、施肥播種機200において、表示装置11に作業状態を表示する例としては、肥料の排出量や種子の排出量を表示する例があげられる。このとき、図5~7と同様に図又は絵による表示と、数値と目盛りによる表示とすることができる。また、施肥播種機200の水平や耕耘深さは図5~7と同様に表示してもよい。また、表示装置11に施肥播種機200に相当する図又は絵を表示する場合、施肥ホッパー201や施肥モータ202に相当する部分に触れると、施肥モータ202の回転の入切をできるように制御してもよい。同様に、播種ホッパー211又は播種モータ212に相当する部分に触れると、播種モータ212の回転の入切をできるように制御してもよい。これらのデータのやりとりは第1の実施形態と同様である。また、図12~14のように通信端末81に適用できる構成とすることもできる。
【0105】
(第4の実施形態)
図17は、本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態のブロック図である。第4の実施形態では、第1の実施形態又は第3の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。
【0106】
第4の実施形態の農作業機用表示システムは、トラクタ1の運転席近傍等に配置可能な表示装置11’に適用できるシステムであり、通信変換装置12’、制御部21’、センサ22、アクチュエータ23を備えている。通信変換装置12’は、トラクタ1側に備えられている。また、制御部21’、センサ22、アクチュエータ23は、トラクタ1に装着される農作業機2側に備えられる。なお、農作業機2にアクチュエータ23を備えない場合でも適用できる。また、トラクタ1には、トラクタ側コントローラ13を備えている。
【0107】
表示装置11’は、トラクタ1に運転者が見やすい位置に配置可能な表示装置であり、液晶、有機EL、LED等による表示画面を備えている。表示装置11’は、アプリケーション(アプリケーション・ソフトウェア)を導入して後述する処理が可能な構成を備えている。また、表示装置11’は通信変換装置12’と無線通信が可能である。表示装置11’は、制御部21’から情報を取得して農作業機2の状態を表示することができる。さらに、表示装置11’は、農作業機2のアクチュエータ23を操作するための画面を表示することができる。表示装置11’には、これらのためのアプリケーションが導入されている。また、操作しやすくするために表示装置11’は、タッチパネルの方式を採用することができる。タッチパネルを用いない場合は、画面のそばに操作部を設けることで適用することも可能である。なお、表示装置11’での表示は、例えば、図5~8、14で説明したような表示とすることが可能である。
【0108】
通信変換装置12’は、異なる種類の通信を相互に変換可能であり、後述する処理が可能な構成を備えている。通信変換装置12’は、制御部21’と有線接続されていると共に、トラクタ側コントローラ13とも有線接続されている。さらに、表示装置11’と無線通信が可能である。通信変換装置12’と接続される通信線18は途中で分岐しており、分岐した一端はコネクタ18a、分岐した他端はコネクタ18bとなっている。ここで、通信線18の通信と表示装置11’との無線通信は異なるプロトコルが採用されており、通信変換装置12’は、通信線18のプロトコルによる情報を無線通信のプロトコルに変換可能であり、無線通信のプロトコルによる情報を通信線18のプロトコルに変換可能である。ここで、表示装置11’との無線通信のプロトコルは例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)を適用することができる。また、通信変換装置12’はトラクタ1の外部電源(例えば直流12V)で起動することができる。
【0109】
通信変換装置12’に接続された通信線18の分岐先の一端のコネクタ18aは、トラクタ側コントローラ13に接続される通信線17のコネクタ17aと接続される。さらに、通信線18の分岐先の他端のコネクタ18bは、制御部21’に接続される通信線25のコネクタ25aと接続される。このことにより、通信変換装置12’と制御部21’とトラクタ側コントローラ13は有線接続される。これらの間の通信プロトコルは、例えば、CAN(Controller Area Network)を適用することができる。
【0110】
トラクタ側コントローラ13からは、トラクタ1に関する情報が通信線17から出力される。ここで出力される情報は、現在のトラクタの状態を示す情報を含んでおり、例えば、トラクタ1の現在の車速や舵角、トラクタ1に装着された農作業機2のトラクタ1に対する位置(高さや角度等)等の情報である。また、トラクタ側コントローラ13に通信線17を介して情報を入力して、トラクタ1の制御に用いることもできる。
【0111】
制御部21’は、通信線25を介して、通信変換装置12’及びトラクタ側コントローラ13との情報の送受信が可能であると共に、センサ22の情報やセンサ22に基づいて算出された情報等を通信変換装置12’やトラクタ側コントローラ13へ送信する制御を行う。さらに、アクチュエータ23の制御も行う。ここでの制御は、センサ22からの情報、トラクタ側コントローラ13からの情報、表示装置11’で入力された情報に基づき行うことができる。また、必要に応じて制御に必要なデータを記憶しておく記憶部を有していてもよい。制御部21’は制御等に必要な電子デバイス等で構成される。なお、センサ22とアクチュエータ23は、第1の実施形態と同様である。
【0112】
図18は、本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の平面概略図である。第4の実施形態では、農作業機2として施肥と播種を行う施肥播種機200を適用する例を示す。施肥播種機200自体の構成については、基本的に第3の実施形態と同様である。
【0113】
一方、制御ボックス220’は、施肥ホッパー201と播種ホッパー211の間等に取り付けられており、図17で示した制御部21’やセンサ22等を格納することができる。そして、制御部21’は、通信線25等を介してトラクタ側コントローラ13や通信変換装置12’と有線接続されている。具体的には、通信線25のコネクタ25aは、通信線18のコネクタ18bと接続されており、これらのコネクタは、施肥播種機200近傍のトラクタ1側に配置する。このことで、施肥播種機200をトラクタ1から着脱する際に、コネクタ25aとコネクタ18bの着脱もやりやすい位置となる。また、通信線17のコネクタ17aは、トラクタ1に配置されており、通信線18のコネクタ18aが着脱可能となっている。
【0114】
この実施形態において、表示装置11’の表示画面11a’に作業状態を表示することができる。例としては、肥料の排出量や種子の排出量を表示する例があげられる。このとき、図5~8、14のように図又は絵による表示と、数値と目盛りによる表示とすることができる。また、肥料や種子の排出量として、単位面積当たりの排出量を表示すると作業者にとって分かり易くなる。単位面積当たりの排出量は、施肥播種機200の速度と、時間当たりの排出量を用いることで制御部21’で計算できる。施肥播種機200の速度は、速度を測定できるセンサをセンサ22として施肥播種機200に設けて測定することができる。または、トラクタ側コントローラ13から、通信線17、通信線18、通信線25を介して、車速の情報を得ることができる。時間当たりの排出量は、施肥モータ202や播種モータ212の回転数で測定することができる。制御部21’で算出された肥料や種子の排出量は、通信線25、通信線18、通信変換装置12’を介して表示装置11’へ送られる。
【0115】
また、施肥播種機200の水平や耕耘深さは図5~7、14に準じた表示としてもよい。このときのデータは、センサ22から、制御部21’、通信線25、通信線18、通信変換装置12’を介して、表示装置11’へ送られる。
【0116】
また、表示装置11’に施肥播種機200に相当する図又は絵を表示する場合、施肥ホッパー201や施肥モータ202に相当する部分に触れると、施肥モータ202の回転の入切をできるように制御してもよい。同様に、播種ホッパー211又は播種モータ212に相当する部分に触れると、播種モータ212の回転の入切をできるように制御してもよい。これらのデータは、表示装置11’から、通信変換装置12’、通信線18、通信線25を介して、制御部21’へ送られる。
【0117】
なお、図17、18の構成において、コネクタの脱着だけで、通信変換装置12’を用いない構成とすることもできる。この場合、通信線17のコネクタ17aと通信線25のコネクタ25aを接続する。この状態においても、制御部21’は、トラクタ側コントローラ13から情報を得ることができる。ここで、通信線25のコネクタ25aと通信線18の分岐先の一端のコネクタ18aは同じ形状のコネクタであり、通信線17のコネクタ17aと通信線18の分岐先の他端のコネクタ18bは同じ形状のコネクタである。
【0118】
図19は、本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の制御部でのフローチャートの例を示す。ここでは、農作業機2(施肥播種機200)の制御部21’の処理を示している。
【0119】
電源が入る(S401)と設定データの書換信号を受信したか否かを判定する(S402)。設定データの書換信号は、表示装置11’の操作により通信変換装置12’を介して送られてきた信号である。
【0120】
S402で設定データの書換信号を受信したと判定した場合は、設定データの書換を行い(S403)、アクチュエータに出力する(S404)。すなわち、表示装置11’での操作に基づき送信された信号(後述する図20のS507)を制御部21’が受信した場合は、制御部21’はアクチュエータ23(例えば、施肥モータ202、播種モータ212等)を制御して作動させる。なお、S402で設定データの書換信号を受信しないと判定した場合はS405へ行く。
【0121】
次に、S405では、計測データの更新がなされたか否かを判定する。計測データは、例えば、農作業機2側に設置されたセンサ22により計測されるデータやトラクタ側コントローラ13からのデータ(例えば、車速情報)、又は、これらを用いて算出されたデータ等である。計測データの更新がなされた場合は、計測データの書換を行い(S406)、書き換えられたデータが出力される(S407)。また、計測データの更新がされない場合は、書き換えていない前のデータが出力される(S407)。S407でのデータ出力は、通信変換装置12’へ行われ、通信変換装置12’では、制御部21’からのデータを受信する(後述する図20のS508)。S407のデータ出力の後は、S402へ戻る。
【0122】
図20は、本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の通信変換装置でのフローチャートの例を示す。ここでは、トラクタ1側に配置される通信変換装置12’の処理を示している。
【0123】
電源が入る(S501)と接続待機の状態となる(S502)。ここでの接続待機は無線通信による接続を待機することを意味し、接続待機のための電波を発信している状態である。
【0124】
次に、ペアリング要求を受信したか否かを判定し(S503)、ペアリング要求を受信しない場合はS502の接続待機を継続し、ペアリング要求を受信した場合はペアリングを完了する(S504)。ペアリングは、表示装置11’とのペアリングであり、表示装置11’から送信されるペアリング要求(後述する図21のS605)を受信することで行われる。
【0125】
次に、ペアリング解除を受信したか否かを判定し(S505)、ペアリング解除を受信した場合はS502の接続待機へ戻り、ペアリング解除を受信しない場合はS506へ行く。ここで、ペアリング解除の要求も表示装置11’から送られる。
【0126】
次に、表示装置11’からデータを受信したか否かを判定する(S506)。ここでの判定は、表示装置11’から出力されたデータ(後述する図21のS609)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS508へ行き、データを受信したと判定した場合は制御部21’にそのデータを送信する(S507)。このとき、通信変換装置12と表示装置11’の通信で使用されるデータの通信プロトコルから、通信変換装置12と制御部21’の通信で使用されるデータの通信プロトコルへ変更をして送信する。制御部21’では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(図19のS402)。
【0127】
次に、制御部21’からデータ受信し(S508)、そのデータを表示装置11’に送信する(S509)。このとき、通信変換装置12’と制御部21’の通信で使用されるデータの通信プロトコルから、通信変換装置12’と表示装置11’の通信で使用されるデータの通信プロトコルへ変更をして送信する。表示装置11’では、送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(後述する図21のS610)。なお、S509の後はS505へ戻る。
【0128】
図21は、本発明の農作業機用表示システムの第4の実施形態の表示装置でのフローチャートの例を示す。ここでは、トラクタ1側に配置可能な表示装置11’の処理を示している。
【0129】
表示装置11’では、当該処理を可能とするアプリケーションを起動する(S601)。
【0130】
次に、作業者の操作又は自動で、デバイス検索を開始し(S602)、接続待機中のデバイスを表示装置11’の表示画面11a’に表示する(S603)。ここでの表示例は、図4と同様である。
【0131】
次に、接続するデバイスを選択する(S604)。ここでの選択は、作業者が表示画面11a’のタッチパネルに触れる等して行うことができる。
【0132】
次に、ペアリング要求を送信する(S605)。S603で選択されたデバイスについて、ペアリング要求を通信変換装置12’に送信する。通信変換装置12’では、これに基づきペアリング要求を受信したか否かを判定する(図20のS503)。
【0133】
次に、ペアリングが成功したか否かを判定する(S606)。ペアリングが成功していないと判定した場合はS602へ戻り、ペアリングが成功したと判定した場合は、表示画面11a’に作業画面を表示する(S607)。ここでの表示は、例えば、図5で示した水平状態表示50や深さ状態表示60等による作業状態の表示に準じた表示や、肥料や種子の排出量の表示等である。
【0134】
次に、設定入力がされたか否かを判定する(S608)。ここでの設定入力は、表示装置11’になんらかの入力があった場合であり、例えば、表示画面11a’のタッチパネルに触れることによる設定の入力である。そして、S608で設定入力がない場合はS610へ行き、設定入力がある場合は、入力された設定データを出力する(S609)。ここでの出力は、通信変換装置12’へ出力する。通信変換装置12’では、これに基づき表示装置11’からデータ受信があったか否かを判定する(図20のS506)。
【0135】
次に、データ受信がされたか否かを判定する(S610)。ここでのデータは、通信変換装置12’から送信されたデータ(図20のS509)である。例えば、農作業機2のセンサ22に基づく情報等である。そして、データを受信しないと判定した場合はS611へ行き、データ受信がされたと判定した場合は画面を更新して(S612)、S608へ戻る。ここでの画面の更新は、受信されたデータに基づき行われる。
【0136】
S611では、一定時間以内にデータを受信したか否かを判定する。そして、一定時間以内にデータを受信していない場合はS602へ戻る。S602の状態では、S608やS610の状態よりも、通信間隔を減らして省電力モードとすることができるので、表示装置11’の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0137】
このように、第4の実施形態では、通信変換装置12’をトラクタ側コントローラ13と制御部21’の間に追加して構成できるので、無線通信による表示装置11’を、汎用性を高くし構築できる。とりわけ、トラクタに広く用いられているCANを用いることで、メーカーや車種が異なっても通信変換装置12’や制御部21’と接続することができる。また、通信変換装置12’と表示装置11’との間はBLEとすることで、低電力で通信を行うことができると共に、スマートフォン等の一般的な携帯可能な機器を用いることもでき汎用性を高めることができる。また、トラクタ側コントローラ13からトラクタ1の情報を得ることで、それに関するセンサ22を設けなくてよいのでコストを抑えることができる。また、トラクタ側コントローラ13と制御部21’が有線接続されているので確実に制御のための情報を取得することができる。
【0138】
(第5の実施形態)
図22は、本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態のブロック図である。第5の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。
【0139】
第5の実施形態では、第1の実施形態の図1、2に対して、トラクタ1側に通信端末81’を追加しており、通信変換装置12’’は、これに対応した通信変換装置となっている。
【0140】
表示装置11は、第1の実施形態と同様である。
【0141】
通信変換装置12’’は、異なる種類の通信を相互に変換可能であり、後述する処理が可能な構成を備えている。通信変換装置12’’は、通信端末81’と有線接続されていると共に、表示装置11とも有線接続されている。ここで、通信端末81’との通信と、表示装置11との通信は異なる通信プロトコルが採用されている。通信変換装置12’’は、通信端末81’との通信で用いるプロトコルによる情報を表示装置11との通信で用いるプロトコルに変換可能であり、表示装置11との通信で用いるプロトコルによる情報を通信端末81’との通信で用いるプロトコルに変換可能である。また、通信変換装置12はトラクタ1の外部電源(例えば直流12V)で起動することができる。
【0142】
表示装置11に接続された通信線15の先端のコネクタ15aと、通信変換装置12’’に接続された通信線16の先端のコネクタ16aを接続することにより、表示装置11と通信変換装置12’’の間は有線接続される。これらのコネクタは通信線15、16の規格に合ったものを使用できる。
【0143】
通信端末81’は、異なる種類の通信を相互に変換可能であり、後述する処理が可能な構成を備えている。通信端末81’は、制御部21と無線通信が可能であると共に、通信変換装置12’’と有線接続されている。ここで、制御部21との通信と、通信変換装置12’’との通信は異なる通信プロトコルが採用されている。通信端末81’は、制御部21との通信で用いるプロトコルによる情報を通信変換装置12’’との通信で用いるプロトコルに変換可能であり、通信変換装置12’’との通信で用いるプロトコルによる情報を制御部21との通信で用いるプロトコルに変換可能である。
【0144】
さらに、通信端末81’は、図12~14で説明した第1の実施形態の通信端末81と同様の機能を持たせることが可能である。すなわち、表示画面81aに農作業機2の状態や操作画面等を表示し、操作を可能とする機能を持たせることができる。これにより表示装置11と同様の機能を果たすことができる。通信端末81’は、好ましくは、汎用の通信端末を適用できる。例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等である。
【0145】
通信変換装置12’’に接続された通信線19の先端のコネクタ19aを、通信端末81’が備える接続部81bに接続することにより、通信変換装置12’’と通信端末81’の間は有線接続される。これらのコネクタや接続部は通信線19の規格に合ったものを使用できる。
【0146】
制御部21は、第1の実施形態の制御部21と同様であるが、ここでは無線通信が通信端末81’との間で行われる点が図1、2と異なる。また、センサ22、アクチュエータ23は、第1の実施形態と同様である。
【0147】
ここで、制御部21、通信端末81’、通信変換装置12’’、表示装置11の通信で適用する通信プロトコルについて説明する。制御部21と通信端末81’との間の通信は第1の通信プロトコルP1を使用する。通信変換装置12’’と表示装置11との間の通信は第2の通信プロトコルP2を使用する。通信端末81’と通信変換装置12’’との間の通信は第3の通信プロトコルP3を使用する。ここで、第1の通信プロトコルP1、第2の通信プロトコルP2、第3の通信プロトコルP3は種類の異なるプロトコルである。通信端末81’は、第1の通信プロトコルP1を第3の通信プロトコルP3へ、又は、第3の通信プロトコルP3を第1の通信プロトコルP1へ変換可能である。通信変換装置12’’は、第3の通信プロトコルP3を第2の通信プロトコルP2、又は、第2の通信プロトコルP2を第3の通信プロトコルP3へ変換可能である。
【0148】
第1の通信プロトコルP1は、例えば、BLEの通信プロトコルを適用することができる。第2の通信プロトコルP2は、例えば、CANの通信プロトコルを適用することができる。この場合、通信線15、16はCAN規格の通信線となる。第3の通信プロトコルP3は、例えば、USB(Universal Serial Bus)の通信プロトコルを適用できる。この場合、通信線19やコネクタ19aはUSB規格の通信線やコネクタとなる。この他、第3の通信プロトコルP3は、ライトニング(Lightning)の通信プロトコルを適用してもよい。この場合、通信線19やコネクタ19aはライトニング規格の通信線やコネクタとなる。
【0149】
図23は、本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態の平面概略図である。図23の農作業機2は折り畳み機構を備えた代掻き作業機30である。図23の左右方向が横方向であり、図23の上下方向が前後方向である。代掻き作業機30自体の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0150】
図23に示すように、トラクタ1の後方に代掻き作業機30の中央作業部35が装着される。中央作業部35の両側に設置されたサイド作業部35’は、中央作業部35に対して折り畳み可能となっている。トラクタ1の運転席の前側付近には表示装置11が備えられ、通信線15、16を介して通信変換装置12’’と接続されている。さらに、通信変換装置12’’は通信線19を介して通信端末81’と接続されている。制御部21は、中央作業部35に設置されている。また、センサ22、アクチュエータ23は、用途に応じて代掻き作業機30の適した場所に設置される。
【0151】
ここで、制御部21からの情報(データ)は無線通信により通信端末81’へ送られ、通信端末81’で通信プロトコルが変換されて通信線19を介して通信変換装置12’’へ送られる。さらに送信された情報は、通信変換装置12’’で通信プロトコルが変換されて通信線15、16を介して表示装置11へ送られる。一方、表示装置11からの情報は、通信線15、16を介して通信変換装置12’’へ送られ、通信変換装置12’’で通信プロトコルが変換されて通信線19を介して通信端末81’へ送られる。さらに、送信された情報は、通信端末81’で通信プロトコルが変換されて無線通信により制御部21へ送られる。
【0152】
次に、第5の実施形態における、制御部21、通信端末81’、通信変換装置12’’、表示装置11の処理について説明する。
【0153】
第5の実施形態の制御部21では上述した図9のフローチャートに沿って処理が行われる。ここでは、図9で上記説明した通信変換装置12とではなく、通信端末81’とのデータのやりとりである点が異なる。それ以外の制御部21での処理は基本的に同様である。以下、上述した第1の実施形態の図9の説明と異なる点を中心に説明する。
【0154】
図9のS103、S104のペアリングは、通信端末81’とのペアリングであり、通信端末81’からのペアリング要求(後述する図24のS705)を受信することで行われる。また、S105のペアリングの解除の要求も通信端末81’から送られる。
【0155】
S106の設定データの書換信号を受信したか否かの判定では、設定データの書換信号は、通信端末81’から送られてきた信号である。表示装置11での操作に基づき通信端末81’から送信された信号(後述する図24のS709)を制御部21が受信した場合は、制御部21はアクチュエータ23(例えば、電動油圧シリンダ36等)を制御して作動させる。
【0156】
S111のデータ出力は、通信端末81’へ行われ、通信端末81’では、制御部21からデータ受信したか否かを判定する(後述する図24のS710)。
【0157】
図24は、本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態の通信端末でのフローチャートの例を示す。第5の実施形態の通信端末81’では図24のフローチャートに沿って処理が行われる。
【0158】
電源が入る(S701)と、接続待機中のデバイスを検出したか否かを判定する(S702)。ここで、接続待機中のデバイスは、制御部21が対象となり図9のS102で接続待機中の場合は、これを検出することができる。そして、S702で接続待機中のデバイスを検出した場合は、接続待機中のデバイスを通信変換装置12’’に出力する(S703)。この出力に基づき通信変換装置12’’で接続待機中のデバイスを検出したか否かを判定する(後述する図25のS802)。なお、接続待機中のデバイスを検出しない場合はS702のままとなる。
【0159】
次に、ペアリング要求を受信したか否かを判定する(S704)。ここでの判定は、通信変換装置12’’から送信されたペアリングの要求(後述する図25のS805)を受信したか否かで判定される。ペアリング要求を受信しない場合はS702へ戻り、ペアリング要求を受信した場合は要求されたデバイスにペアリング要求を送信する(S705)。このペアリング要求の送信は制御部21への送信であり、制御部21ではこれに基づきペアリング要求を受信したか否かが判定される(図9のS103)。
【0160】
次に、ペアリングが成功したか否かを判定する(S706)。ペアリングが成功しない場合はS702へ戻り、ペアリングが成功したと判定した場合は、ペアリング完了情報を出力する(S707)。ここでの出力は通信変換装置12’’へ行われ、通信変換装置12’’では、これに基づきペアリングが成功したか否かを判定する(後述する図25のS806)。
【0161】
次に、通信変換装置12’’からデータを受信したか否かを判定する(S708)。ここでの判定は、通信変換装置12’’から出力されたデータ(後述する図25のS809)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS710へ行き、データを受信したと判定した場合は制御部21にそのデータを送信する(S709)。このとき、通信端末81’と通信変換装置12’’の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第3の通信プロトコルP3)から、通信端末81’と制御部21の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第1の通信プロトコルP1)へ変更をして送信する。制御部21では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(図9のS106)。
【0162】
次に、制御部21からデータ受信したか否かを判定する(S710)。ここでの判定は、制御部21から出力されたデータ(図9のS111)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS711へ行き、データを受信したと判定した場合は、通信変換装置12’’にそのデータを送信する(S712)。このとき、通信端末81’と制御部21の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第1の通信プロトコルP1)から、通信端末81’と通信変換装置12’’の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第3の通信プロトコルP3)へ変更をして送信する。通信変換装置12’’では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(後述する図25のS810)。なお、S712の後はS708へ戻る。
【0163】
S711では、一定時間以内にデータを受信したか否かを判定する。そして、一定時間以内にデータを受信していない場合は通信が切れたと判断してS702へ戻り、改めてペアリングを行う。S702の状態では、S708やS710の状態よりも、通信間隔を減らして省電力モードとすることができるので、通信端末81’の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0164】
図25は、本発明の農作業機用表示システムの第5の実施形態の通信変換装置でのフローチャートの例を示す。第5の実施形態の通信変換装置12’’では図25のフローチャートに沿って処理が行われる。
【0165】
電源が入る(S801)と、接続待機中のデバイスを検出したか否かを判定する(S802)。通信端末81’から出力された接続待機中のデバイスの情報(図24のS703)を受信した場合は接続待機中のデバイスを検出したと判定し、接続待機中のデバイスを表示装置11に出力する(S803)。この出力に基づき表示装置11で接続待機中のデバイスを表示する(図11のS303)。なお、接続待機中のデバイスの情報を受信しない場合はS802のままとなる。
【0166】
次に、ペアリング要求を受信したか否かを判定する(S804)。ここでの判定は、表示装置11から送信されたペアリングの要求(図11のS305)を受信したか否かで判定される。ペアリング要求を受信しない場合はS802へ戻り、ペアリング要求を受信した場合は、要求されたデバイスに対するペアリング要求を通信端末81’に送信する(S805)。このペアリング要求の送信は通信端末81’への送信であり通信端末81’ではこれに基づきペアリング要求を受信したか否かが判定される(図24のS704)。
【0167】
次に、ペアリングが成功したか否かを判定する(S806)。通信端末81’から出力されたペアリング完了情報(図24のS707)を受信した場合はペアリングが成功と判定し、受信しない場合はペアリングが成功していないと判定する。ペアリングが成功しないと判定した場合はS802へ戻り、ペアリングが成功したと判定した場合はペアリング完了情報を表示装置11へ出力する(S807)。表示装置11ではこれに基づきペアリングが成功したか否かを判定する(図11のS306)。
【0168】
次に、表示装置11からデータを受信したか否かを判定する(S808)。ここでの判定は、表示装置11から出力されたデータ(図11のS309)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS810へ行き、データを受信したと判定した場合は通信端末81’にそのデータを送信する(S809)。このとき、通信変換装置12’’と表示装置11の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第2の通信プロトコルP2)から、通信変換装置12’’と通信端末81’の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第3の通信プロトコルP3)へ変更をして送信する。通信変換装置12’’では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(図24のS708)。
【0169】
次に、通信端末81’からデータを受信したか否かを判定する(S810)。ここでの判定は、通信端末81’から出力されたデータ(図24のS712)を受信したか否かで判定する。データを受信しないと判定した場合はS811へ行き、データを受信したと判定した場合は、表示装置11にそのデータを送信する(S812)。このとき、通信変換装置12’’と通信端末81’の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第3の通信プロトコルP3)から、通信変換装置12’’と表示装置11の通信で使用されるデータの通信プロトコル(第2の通信プロトコルP2)へ変更をして送信する。表示装置11では送信されたこのデータに基づきデータを受信したか否かが判定される(図11のS310)。なお、S812の後はS808へ戻る。
【0170】
S811では、一定時間以内にデータを受信したか否かを判定する。そして、一定時間以内にデータを受信していない場合は通信が切れたと判断してS802へ戻る。S802の状態では、S808やS810の状態よりも、通信間隔を減らして省電力モードとすることができるので、通信変換装置12’’の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0171】
第5の実施形態の表示装置11では上述した図11のフローチャートに沿って処理が行われる。ここでは、通信変換装置12’’とのデータのやりとりとなる点が異なる。それ以外の表示装置11での処理は基本的に同様である。以下、上述した第1の実施形態の図11の説明と異なる点を中心に説明する。
【0172】
S303で接続待機中のデバイスを画面に表示するための情報は通信変換装置12’’から出力される(図25のS803)。
【0173】
S305のペアリング要求の送信は通信変換装置12’’に送信する。通信変換装置12’’では、これに基づきペアリング要求を受信したか否かを判定する(図25のS804)。
【0174】
S306のペアリングが成功したか否かの判定は、通信変換装置12’’から出力されたペアリング完了情報(図25のS807)により判定することができる。ペアリング完了情報を受信した場合はペアリングが成功と判定し、受信しない場合はペアリングが成功していないと判定する。
【0175】
S309の設定データの出力は、通信変換装置12’’へ出力する。通信変換装置12’’では、これに基づき表示装置11からデータ受信があったか否かを判定する(図25のS808)。
【0176】
S310のデータ受信がされたか否かの判定におけるデータは、通信変換装置12’’から送信されたデータ(図25のS812)である。
【0177】
このように、第5の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて次の効果を有する。無線通信は通信端末81’で行うので、通信変換装置12’’に無線通信機能を備える必要がなくなる。このとき、通信端末81’をスマートフォン等の一般的な機器を用いることで、コストを抑えることができる。ここで、通信線19は、スマートフォン等で一般的に使用されている通信規格(USBやライトニング)による通信線とすれば、接続が容易であると共に、通信端末81’へのアプリケーションの導入で適用できるのでコストを抑えることができる。さらに、通信端末81’で図12~14で説明したような表示装置11と同様の表示が可能であり、作業者は、表示装置11に加え、通信端末81’でも、農作業機2の状態等の確認や操作も可能となる。
【0178】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
【0179】
例えば、表示装置11と通信変換装置12の間は有線接続で確実な通信を行える例を示したが、これらの間は無線通信による接続でも適用できる。
【0180】
また、表示装置11や通信端末81はタッチパネルの場合で説明したが、表示画面のそばに操作部を備えそこで操作する構成でも適用することができる。
【0181】
また、上記実施形態では、農作業機2の例として、代掻き作業機30、畦塗り機100、施肥播種機200の例を示したが、本発明は、例えば、ロータリや施肥機等のこれ以外のトラクタ1に装着する農作業機2に適用することも可能である。
【0182】
また、第1~3の実施形態における制御部21と通信変換装置12、制御部21と通信端末81、及び、第4の実施形態における通信変換装置12’と表示装置11’の通信プロトコルは、低電力のBLEで説明したが、これ以外でも適用できる。例えば、BLE以外のBluetoothやWi-Fi等である。Bluetooth以外では、互いを認証するための処理は、ペアリング以外の方式をペアリングに代えて適用すればよい。なお、通信プロトコルとは、ネットワーク上での通信に関する規約を定めたものであり、規格や仕様等も含む概念である。
【0183】
また、第4の実施形態では、トラクタ側コントローラ13と接続することで、トラクタ1からの情報を得ることを説明したが、トラクタ側コントローラ13と接続しない構成でも適用することができる。
【0184】
また、第5の実施形態では、通信変換装置12’’と 通信端末81’の間は、有線接続される例を示したが、これ以外に無線通信で情報のやりとりをしてもよい。この場合、通信変換装置12’’に無線通信機能を備える必要があるが、通信端末81’で表示装置11の内容を表示することができる。また通信端末81’を自由に移動させることができる。ここでの無線通信の例としては、例えば、Wi-Fi等である。
【符号の説明】
【0185】
1 トラクタ
2 農作業機
11、11’ 表示装置
11a、11a’ 表示画面
12、12’、12’’ 通信変換装置
13 トラクタ側コントローラ
15、16、17、18、19、25 通信線
21、21’ 制御部
22 センサ
23 アクチュエータ
30 代掻き作業機
36 電動油圧シリンダ
38 制御ボックス
40 延長整地体駆動装置
46 第2の整地体駆動装置
50 水平状態表示
56 図表示
58 状態表示
60 深さ状態表示
66 図表示
68 状態表示
81、81’ 通信端末
81a 表示画面
100 畦塗り機
111 第1シリンダ
112 第2シリンダ
200 施肥播種機
202 施肥モータ
212 播種モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
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図20
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図22
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