(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】ディスプレイ用昇降装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20230123BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H04N5/64 581K
G09F9/00 351
(21)【出願番号】P 2020009917
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】599092790
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 宜朗
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-359020(JP,A)
【文献】実開平03-012580(JP,U)
【文献】特開2001-350424(JP,A)
【文献】特開2004-070279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64 - 5/655
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対向する左右一対の外側板部と一対の前記外側板部の間を後側で連結する外桟部とを有する固定枠部と、
前記固定枠部に対して昇降可能に連結される可動枠部と、
前記可動枠部を前記固定枠部の内部に収納する状態で保持するロック部とを有し、
前記固定枠部が一対の前記外側板部の上部間に架け渡される支持軸と、前記支持軸に左右方向に並んで回転可能に取り付けられる複数の定荷重ばねとを備え、
前記定荷重ばねが前記支持軸の周りに巻回されるばね部を有し、
前記可動枠部が複数の枠体から形成され、それぞれの前記枠体は、相互に対向する左右一対の内側板部と、一対の前記内側板部を後側で連結する内桟部とを有し、
前記複数の枠体は、後側に位置する枠体の一対の内側板部に、前側に位置する枠体の一対の内側板部を左右方向内側へ重なるように前側に順次収納している収縮状態と、後側に位置する枠体に対して、前側に位置する枠体が下方に移動している伸長状態との間で、相互に伸縮可能に連結されており、
前記複数の枠体のうち最も前側に位置する枠体は、前記複数の定荷重ばねのばね部が固定され、かつ前記固定枠部よりも前側にディスプレイが取り付けられているディスプレイ用昇降装置。
【請求項2】
前記固定枠部の一対の外側板部と、前記複数の枠体のうち最も後側に位置する枠体の一対の前記内側板部との間に上下方向に沿って外スライドレールが設けられており、
前記複数の枠体は、前記収縮状態で左右方向に重なるそれぞれの内側板部の相互間に上下方向に沿って内スライドレールが設けられており、
前記外スライドレールとそれぞれの前記内スライドレールとの前後方向の位置が合致する状態となっている請求項1に記載されたディスプレイ用昇降装置。
【請求項3】
前記複数の枠体が一対の前記内側板部間の上部に設けられる天板部と、その天板部上に取り付けられる弾性体とを有する請求項1または2に記載されたディスプレイ用昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の旅客駅、路線バス、空港のターミナルなどに設置され、乗物の行き先、発着時刻、種別などの情報を表示するディスプレイを昇降可能に支持するディスプレイ用昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の旅客駅、路線バス、空港のターミナルなどには、乗物の行先、発着時刻、種別などの情報を表示するディスプレイが設置されている。このディスプレイは、天井、または梁などから吊り金具により支持されている。吊り金具により支持されるディスプレイは、その保守点検や交換などの作業を脚立の上で行っていた。脚立上での作業は、姿勢が安定せず、脚立から落下する恐れがあり、安全性を確保する必要があった。
【0003】
安全性を確保する目的で、ディスプレイを昇降可能に支持するディスプレイ用昇降装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このディスプレイ用昇降装置は、上板と左右側板と背板とを接合した固定側のハウジング本体と、そのハウジング本体に対して上下動可能に支持された移動ベースと、その移動ベースをハウジング本体に昇降可能に支持する支持機構と、ハウジング本体に対して上下動する移動ベースを案内するガイド機構と、ハウジング本体内に移動ベースを固定するロック機構とを備えている。
【0004】
移動ベースは、長方形のトレー状に形成され、複数台の液晶モニタ(ディスプレイ)が載せられている。支持機構としては、帯状の板ばねをコイル状に巻回してなる定荷重ばね機構が使用される。この左右一対の定荷重ばね機構によって、ハウジング本体の上板から移動ベースの左右両側の端部を吊り下げ支持するようになっている。また、この左右一対の定荷重ばね機構によって、移動ベースが任意の位置に固持される。
【0005】
前記ガイド機構は、その複数個のスライドチャンネル部材を互いに嵌合して伸縮自在となるように設けられ、ハウジング本体の背板のほぼ中央に沿って垂直方向に伸びるように配置されている。
【0006】
この特許文献1に記載されるディスプレイ用昇降装置は、ディスプレイを載せた移動ベースを上下動可能に支持し、ハウジング本体内に収納することができるものである。そして、ロック機構を解除して、移動ベースを所定の作業位置にまで降ろし、脚立上でディスプレイの保守点検や交換などを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の情報を表示するディスプレイは、通常、矩形をなす薄型のものが採用されており、長手方向が水平方向となる状態で支持されている。このようなディスプレイは、表示する情報の多様化に伴い、様々な画面サイズを有するものが採用されている。さらに、ディスプレイは、画面サイズの大きさに応じて、様々な重量を有するものとなる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のディスプレイ用昇降装置は、様々な画面サイズを有するディスプレイを昇降させるには、ハウジング本体の左右側板の間隔をディスプレイの長手方向の幅寸法よりも大きくし、かつ、ハウジング本体の左右側板の長さをディスプレイの短手方向の幅寸法よりも大きくして、対応する必要がある。
【0010】
また、様々な重量を有するディスプレイ、特に重量が大きなディスプレイを採用するには、移動ベースの支持機構である左右一対の定荷重ばね機構を前後方向に複数並べて配置する必要がある。このため、ハウジング本体の前後方向の幅寸法を大きくして、定荷重ばね機構を配置するスペースを確保する必要がある。このように、特許文献1に記載のディスプレイ用昇降装置は、様々な画面サイズ、重量を有するディスプレイを昇降させることに適していないものである。
【0011】
そこで、この発明の解決すべき課題は、様々な画面サイズ、重量を有するディスプレイの昇降に適したディスプレイ用昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明に係るディスプレイ用昇降装置は、相互に対向する左右一対の外側板部と一対の前記外側板部の間を後側で連結する外桟部とを有する固定枠部と、前記固定枠部に対して昇降可能に連結される可動枠部と、前記可動枠部を前記固定枠部の内部に収納する状態で保持するロック部とを有し、前記固定枠部が一対の前記外側板部の上部間に架け渡される支持軸と、前記支持軸に左右方向に並んで回転可能に取り付けられる複数の定荷重ばねとを備え、前記定荷重ばねが前記支持軸の周りに巻回されるばね部を有し、前記可動枠部が複数の枠体から形成され、それぞれの前記枠体は、相互に対向する左右一対の内側板部と、一対の前記内側板部を後側で連結する内桟部とを有し、前記複数の枠体は、後側に位置する枠体の一対の内側板部に、前側に位置する枠体の一対の内側板部を左右方向内側へ重なるように前側に順次収納している収縮状態と、後側に位置する枠体に対して、前側に位置する枠体が下方に移動している伸長状態との間で、相互に伸縮可能に連結されており、前記複数の枠体のうち最も前側に位置する枠体は、前記複数の定荷重ばねのばね部が固定され、かつ前記固定枠部よりも前側にディスプレイが取り付けられている構成を採用することができる。
【0013】
この構成では、ディスプレイは、可動枠部を形成する複数の枠体のうち最も前側に位置する枠体に固定枠部よりも前側に取り付けられる。このため、ディスプレイの画面サイズが大きくなる場合であっても、固定枠部の一対の外側板部はディスプレイに干渉せず、その間隔や上下方向の長さを変更する必要がない。
【0014】
また、画面サイズの大きさに応じてディスプレイの重量が変化しても、固定枠部の支持軸に左右方向に並んで取り付けられる複数の定荷重ばねの数を増減させて対応することができる。このため、固定枠部の前後方向の幅寸法を変更させる必要がない。
【0015】
前記固定枠部の一対の外側板部と、前記複数の枠体のうち最も後側に位置する枠体の一対の前記内側板部との間に上下方向に沿って外スライドレールが設けられており、前記複数の枠体は、前記収縮状態で左右方向に重なるそれぞれの内側板部の相互間に上下方向に沿って内スライドレールが設けられており、前記外スライドレールとそれぞれの前記内スライドレールとの前後方向の位置が合致する状態となっている構成を採用することができる。
【0016】
この構成では、前記伸長状態での外スライドレールとそれぞれの内スライドレールが一直線上に配置される。このため、前記最も前側に位置する枠体に取り付けられるディスプレイの重量によって、外スライドレールとそれぞれの内スライドレールは、前後方向の歪を生じにくくなる。その結果、固定枠部に対する可動枠部の昇降、および複数の枠体の伸縮を円滑に行う事ができる。
【0017】
前記複数の枠体が一対の前記内側板部間の上部に設けられる天板部と、その天板部上に取り付けられる弾性体とを有する構成を採用することができる。この場合、可動枠部を形成する複数の枠体を伸長状態から収縮状態へと移動させるとき、前側に位置する枠体の天板部に取り付けられた弾性体が、その後側に隣り合う枠体の天板部に突き当たる際に生ずる衝撃を軽減する。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係るディスプレイ用昇降装置は、可動枠部を形成する複数の枠体のうち最も前側に位置する枠体にディスプレイが固定枠部よりも前側に取り付けられる。このため、固定枠部の一対の外側板部がディスプレイに干渉せず、様々な画面サイズを有するディスプレイの昇降に適したものとなる。
【0019】
また、ディスプレイの画面の大きさの変更に伴ってディスプレイの重量が増減した場合であっても、固定枠部の定荷重ばねの数を増減して対応可能である。このため、固定枠部の前後方向の大きさを変更することなく、様々な重量を有するディスプレイの昇降に適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明に係る実施形態のディスプレイ用昇降装置を示す正面図
【
図5】ディスプレイ用昇降装置の可動枠部の収縮状態を示す作用図
【
図6】
図5での可動枠部の第一枠体を固定枠部に係合させた状態を示す作用図
【
図7】
図6での可動枠部の第二枠体を第一枠体に係合させた状態を示す作用図
【
図8】
図7での可動枠部の第三枠体を第二枠体に係合させた状態を示す作用図
【
図9】
図8での可動枠部の第四枠体を第三枠体に係合させた状態を示す作用図
【
図10】ディスプレイ用昇降装置の可動枠部の伸長状態を示す側面図
【
図11】(a)ディスプレイ用昇降装置の使用状態を示す正面図、(b)ディスプレイ用昇降装置の使用状態を示す側面図、(c)ディスプレイ用昇降装置のディスプレイが下降した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明に係る実施形態のディスプレイ用昇降装置を図面に基づいて説明する。ディスプレイ用昇降装置1は、
図11(a)、(b)に示すように、例えば、鉄道の旅客駅、路線バスや空港のターミナルなどの天井、梁、壁面などに吊り金具100を介して設置され、乗物の行き先、発着時刻、種別などの情報を表示するディスプレイDを昇降可能に支持するものである。
【0022】
図1~4に示すように、ディスプレイ用昇降装置1は、吊り金具100が固定される固定枠部2と、固定枠部2に対して昇降可能に取り付けられる可動枠部3と、可動枠部3を固定枠部2の内部に収納する状態で保持するロック部4と、固定枠部2に対する可動枠部3の下方への抜け止めをする外ストッパ部5とを有する。
【0023】
固定枠部2は相互に対向する左右一対の外側板部6と、一対の外側板部6の間を後側で連結する外桟部7と、一対の外側板部6の上部の間に架け渡された天板部8とを有する。
【0024】
一対の外側板部6の左右方向内側には、可動枠部3を上下方向に案内する外スライドレール9のレール9aと、外ストッパ部5の支持片5aとが固定されている。レール9aは断面コの字状のフレーム体であり、一対の外側板部6の前側に上下方向に沿って配置されている。支持片5aは、直方体に形成された金属体からなり、レール9aよりも後側であって、レール9aの下端部よりも少し高い位置に設けられる。一対の外側板部6の下端部には貫通孔6aが形成されている。
【0025】
外桟部7は、上下方向の複数箇所に設けられている。外桟部7の後側に吊り金具100が固定されている。天板部8の上方には、左右一対の外側板部6間に架け渡された支持軸2aが固定されている。支持軸2aは天板部8上に複数設けられた軸受部2bにより支持されている。支持軸2aには、定荷重ばね10が左右方向に複数並んで回転可能に取り付けられている。
【0026】
定荷重ばね10は、支持軸2aに回転可能に取り付けられた円筒状のドラム部10aと、ドラム部10aに巻回される帯状のばね部10bとからなる。それぞれの定荷重ばね10のばね部10bの先端部が、後述する可動枠部3の第四枠体50にばね部固定片54を介して、固定されている。
【0027】
可動枠部3は、複数の枠体である第一枠体20、第二枠体30、第三枠体40、および第四枠体50から形成されている。第一枠体20は、相互に対向する左右一対の内側板部21と、一対の内側板部21を後側で連結する内桟部22と、一対の内側板部21の間に架け渡された天板部23とを有する。天板部23の上面の左右方向両側に、弾性体23aが上向きに突き出すように固定されている。弾性体23aは円錐台状に形成されている。
【0028】
図2に示すように、第一枠体20は、固定枠部2に対して、一対の内側板部21が一対の外側板部6の左右方向内側に重なるように前側に収納可能となっている。固定枠部2の一対の外側板部6と第一枠体20の一対の内側板部21との間に、外スライドレール9および外ストッパ部5が設けられている。
【0029】
図4に示すように、第一枠体20の一対の内側板部21の左右方向外側の上部には、外スライドレール9のスライダ9bと、外ストッパ部5の係合片5bとが固定されている。スライダ9bは、前側に配置されており、固定枠部2の外スライドレール9のレール9aに上下方向へスライド可能に取り付けられる。可動枠部3を形成する第一枠体20は、外スライドレール9により、固定枠部2に対して上下方向に移動可能に連結されている。
【0030】
図2に示すように、係合片5bは直方体に形成された金属体からなり、スライダ9bの後側に配置されている。係合片5bは固定枠部2の外ストッパ部5の支持片5aの直上に位置している。第一枠体20は、固定枠部2に対して外スライドレール9を介して下方に移動すると、係合片5bが固定枠部2の外ストッパ部5の支持片5aに係合する。この係合により、第一枠体20が固定枠部2に対して下方への抜け止めされる。
【0031】
第二枠体30は、相互に対向する左右一対の内側板部31と、一対の内側板部31を後側で連結する内桟部32と、一対の内側板部31の間に架け渡された天板部33とを有する。天板部33の上面の左右方向両側に、弾性体33aが上向きに突き出すように固定されている。弾性体33aは円錐台状に形成されている。
【0032】
図2に示すように、第二枠体30は、第一枠体20に対して、一対の内側板部31が一対の内側板部21の左右方向内側に重なるように前側に収納可能となっている。第一枠体20の一対の内側板部21と第二枠体30の一対の内側板部31との間に、第一内スライドレール11および第一内ストッパ部12が設けられている。
【0033】
第一枠体20の一対の内側板部21の左右方向内側には、第一内スライドレール11のレール11aと、第一内ストッパ部12の支持片12aが固定されている。レール11aは、上下方向に沿って前側に配置されている。支持片12aは、直方体に形成された金属体からなり、レール11aよりも後側であって、レール11aの下端部よりも少し高い位置に設けられる。
【0034】
図4に示すように、第二枠体30の一対の内側板部31の左右方向外側の上部には、第一内スライドレール11のスライダ11bと、第一内ストッパ部12の係合片12bとが固定されている。スライダ11bは、前側に配置されており、第一枠体20の第一内スライドレール11のレール11aに上下方向へスライド可能に取り付けられる。第二枠体30は、第一内スライドレール11により、第一枠体20に対して上下方向に移動可能に連結されている。
【0035】
図2に示すように、係合片12bは、直方体に形成された金属体からなり、スライダ11bの後側に配置されている。係合片12bは第一枠体20の第一内ストッパ部12の支持片12aの直上に位置している。第二枠体30は、第一枠体20に対して第一内スライドレール11を介して下方に移動すると、係合片12bが第一枠体20の第一内ストッパ部12の支持片12aに係合する。この係合により、第二枠体30が第一枠体20に対して下方への抜け止めされる。
【0036】
第三枠体40は、相互に対向する左右一対の内側板部41と、一対の内側板部41を後側で連結する内桟部42と、一対の内側板部41の間に架け渡された天板部43とを有する。天板部43の上面の左右方向両側に、弾性体43aが上向きに突き出すように固定されている。弾性体43aは、円錐台状に形成されている。
【0037】
図2に示すように、第三枠体40は、第二枠体30に対して、一対の内側板部41が一対の内側板部31の左右方向内側に重なるように前側に収納可能となっている。第二枠体30の一対の内側板部31と第三枠体40の一対の内側板部41との間に、第二内スライドレール13および第二内ストッパ部14が設けられている。
【0038】
第二枠体30の一対の内側板部31の左右方向内側には、第二内スライドレール13のレール13aと、第二内ストッパ部14の支持片14aが固定されている。レール13aは、上下方向に沿って前側に配置されている。支持片14aは、直方体に形成された金属体からなり、レール13aよりも後側であって、レール13aの下端部よりも少し高い位置に設けられる。
【0039】
図4に示すように、第三枠体40の一対の内側板部41の左右方向外側の上部には、第二内スライドレール13のスライダ13bと、第二内ストッパ部14の係合片14bとが固定されている。スライダ13bは、前側に配置されており、第二枠体30の第二内スライドレール13のレール13aに上下方向へスライド可能に取り付けられる。第三枠体40は、第二内スライドレール13により、第二枠体30に対して上下方向に移動可能に連結されている。
【0040】
図2に示すように、係合片14bは、直方体に形成された金属体からなり、スライダ13bの後側に配置されている。係合片14bは第二枠体30の第二内ストッパ部14の支持片14aの直上に位置している。第三枠体40は、第二枠体30に対して第二内スライドレール13を介して下方に移動すると、係合片14bが第二枠体30の第二内ストッパ部14の支持片14aに係合する。この係合により、第三枠体40が第二枠体30に対して下方への抜け止めされる。
【0041】
第四枠体50は、相互に対向する左右一対の内側板部51と、一対の内側板部51を後側で連結する内桟部52と、一対の内側板部51の間に架け渡された天板部53とを有する。天板部53の上面の左右方向両側に、弾性体53aが上向きに突き出すように固定されている。弾性体53aは、円錐台状に形成されている。
【0042】
図2に示すように、第四枠体50は、第三枠体40に対して、一対の内側板部51が一対の内側板部41の左右方向内側に重なるように前側に収納可能となっている。第三枠体40の一対の内側板部41と第四枠体50の一対の内側板部51との間に、第三内スライドレール15および第三内ストッパ部16が設けられている。
【0043】
第三枠体40の一対の内側板部41の左右方向内側には、第三内スライドレール15のレール15aと、第三内ストッパ部16の支持片16aが固定されている。レール15aは、上下方向に沿って前側に配置されている。支持片16aは、直方体に形成された金属体からなり、レール15aよりも後側であって、レール15aの下端部よりも少し高い位置に設けられる。
【0044】
また、
図1に示すように、第四枠体50は、一対の内側板部51間の前側上端に固定される上向きに延びるばね部固定片54と、下端にアングル55aを介して固定されるハンドル55と、一対の内側板部51間の前側に上下方向二箇所に架け渡されたホルダ56とを有する。
【0045】
ばね部固定片54は、全ての定荷重ばね10のばね部10bの先端部が固定されている。ばね部固定片54を介して、第四枠体50は定荷重ばね10のばね部10bの復元力により、上方に付勢される。
【0046】
二つのホルダ56は、左右方向に並んで複数の係止孔56aが形成されている。二つのホルダ56は、一対の内側板部51よりも左右方向外側に突き出し、かつ固定枠部2の一対の外側板部6よりも前側に位置している。二つのホルダ56の係止孔56aにディスプレイDの背面に固定されているフック(図示省略)が係止される。第四枠体50は、二つのホルダ56を介して固定枠部2よりも前側にディスプレイDが取り付けられるものである。
【0047】
図1に示すように、第四枠体50のアングル55aの左右方向両側にロック部4が固定されている。それぞれのロック部4は、アングル55aに固定された軸受部4aと、軸受部4aに左右方向に移動可能に支持されるロック軸4bと、ロック軸4bに固定されるレバー片4cとを有する。軸受部4aは、アングル55aに固定される基板と、基板から下方へ突出する一対の軸受片とからなり、ロック軸4bを左右方向二箇所で支持している。
【0048】
ロック軸4bの左右方向内側端には、軸受部4aに対して左右方向外向きに抜け止めするストッパリングが固定されている。ロック軸4bの左右方向外端部には、南京錠などの錠前Rのフックが挿通される貫通孔が設けられている。ロック軸4bは、可動枠部3を固定枠部2の内部に収納する状態で、固定枠部2の外側板部6の貫通孔6aに挿通可能となっている。ロック軸4bを貫通孔6aに挿通し、ロック軸4bの貫通孔に錠前Rを取り付けることで、ロック部4は、可動枠部3を固定枠部2の内部に収納する状態で保持する。
【0049】
図4に示すように、第四枠体50の一対の内側板部51の左右方向外側の上部には、第三内スライドレール15のスライダ15bと、第三内ストッパ部16の係合片16bとが固定されている。スライダ15bは、前側に配置されており、第三枠体40の第三内スライドレール15のレール15aに上下方向へスライド可能に取り付けられる。第四枠体50は、第三内スライドレール15により、第三枠体40に対して上下方向に移動可能に連結されている。
【0050】
図2に示すように、係合片16bは、直方体に形成された金属体からなり、スライダ15bの後側に配置されており、第三枠体40の第三内ストッパ部16の支持片16aの直上に位置している。第四枠体50は、第三枠体40に対して第三内スライドレール15を介して下方に移動すると、係合片16bが第三枠体40の第三内ストッパ部16の支持片16aに係合する。この係合により、第四枠体50が第三枠体40に対して下方への抜け止めされる。
【0051】
図2に示すように、可動枠部3を形成する複数の枠体である第一から第四枠体20、30、40、50は、後側に位置する枠体の一対の内側板部に、前側に位置する枠体の一対の内側板部を左右方向内側へ重なるように、この順序で前側に順次収納している収縮状態を採り得る。
【0052】
一方、第一から第四枠体20、30、40、50は、後側に位置する枠体に対して、前側に位置する枠体が、第一から第三内スライドレール11、13、15を介して、下方に移動している伸長状態を採り得る。すなわち、第一から第四枠体20、30、40、50は、上述の収縮状態と伸長状態との間で伸縮可能に連結されている。
【0053】
また、第一から第四枠体20、30、40、50で形成される可動枠部3は、固定枠部2に対して、外スライドレール9を介して昇降可能に連結されるものとなる。さらに、
図2に示すように、外スライドレール9および第一から第三内スライドレール11、13、15は、前後方向に沿って、一直線上に配置されている。外ストッパ部5および第一から第三内ストッパ12、14、16は、外スライドレール9および第一から第三内スライドレール11、13、15よりも後側に位置し、かつ前後方向に沿って、一直線上に配置されている。
【0054】
この発明の実施形態のディスプレイ用昇降装置1は以上のように構成される。次に、この実施形態のディスプレイ用昇降装置1の昇降方法を説明する。
【0055】
例えば、
図11(a)、(b)に示すように、ディスプレイ用昇降装置1は、天井Cに固定された吊り金具100が固定枠部2の後側に固定され、かつ可動枠部3の前側にホルダ56を介してディスプレイDが固定された状態で、天井Cから吊り下げられている。
【0056】
ディスプレイDの保守点検や交換作業を行う際、ディスプレイ用昇降装置1の下方の床面Fに脚立(図示省略)を立てる。続いて、脚立に上り、ロック部4のロック軸4bに取り付けられている錠前Rを外して、レバー片4cを持ってロック軸4bを左右方向内向きに移動させる。そして、ロック軸4bを固定枠部2の外側板部6の貫通孔6aから抜き出す。なお、ロック部4が床面Fに立った状態で手が届く高さであれば、脚立は不要である。
【0057】
次に、第四枠体50のハンドル55に手を掛けて、第四枠体50を引き下げる。ここで、第四枠体50は、ばね部固定片54を介して、固定枠部2の上部に配置されている定荷重ばね10のばね部10bの先端が固定されている。また、
図5に示すように、第四枠体50の弾性体53aが第三枠体40の天板部43を支持し、第三枠体40の弾性体43aが第二枠体30の天板部33を支持し、第二枠体30の弾性体33aが第一枠体20の天板部23を支持している。すなわち、第四枠体50は、第三枠体40、第二枠体30および第一枠体20を支持する状態である。この支持状態の第四枠体50は、複数の定荷重ばね10のばね部10bにより上方に付勢されているので、軽い力で引き下げることが可能となる。
【0058】
さらに、第四枠体50を引き下げると、
図6に示すように、第三枠体40、第二枠体30および第一枠体20が共に降下する。その結果、これら第一から第四枠体20、30、40、50で形成される可動枠部3が固定枠部2に対して下降する状態となる。
【0059】
続いて、第四枠体50を引き下げると、固定枠部2に固定された外ストッパ部5の支持片5aに第一枠体20に固定された係合片5bが係合する。この係合により、第一枠体20が第四枠体50から離脱する。そして、第四枠体50、第三枠体40および第二枠体30が、固定枠部2に対してさらに下降する状態となる。
【0060】
引き続き、第四枠体50を引き下げると、
図7に示すように、第一枠体20に固定された第一内ストッパ部12の支持片12aに第二枠体30に固定された係合片12bが係合する。この係合により、第二枠体30が第四枠体50から離脱する。そして、第四枠体50および第三枠体40が固定枠部2に対してさらに降下する状態となる。
【0061】
さらに、第四枠体50を引き下げると、
図8に示すように、第二枠体30に固定された第二内ストッパ部14の支持片14aに第三枠体40に固定された係合片14bが係合する。この係合により、第三枠体40が第四枠体50から離脱する。そして、第四枠体50のみが固定枠部2に対してさらに降下する状態となる。
【0062】
さらに、第四枠体50を引き下げると、
図9に示すように、第三枠体40に固定された第三内ストッパ部16の支持片16aに第四枠体50に固定された係合片16bが係合する。この係合により、第四枠体50は、第三枠体40からの脱落が防止される。そして、
図11(c)に示すように、複数の枠体である第一から第四枠体20、30、40、50が伸長状態となる。
【0063】
この伸長状態においては、第四枠体50に取り付けられたディスプレイDは、床面の近くに配置されている状態となる。この状態のディスプレイは保守点検や交換作業を容易に行うことができる。
【0064】
ディスプレイDの保守点検や交換作業後、ハンドル55を持って第四枠体50を引き上げると、第四枠体50の弾性体53aが後側に位置する第三枠体40の天板部43に突き当たる。この突き当ての衝撃を弾性体53aにより軽減することができ、第四枠体50と共に、第三枠体40が上昇する。同様にして、第四枠体50の上昇に伴って、第三枠体40の弾性体43aが第二枠体30の天板部33に突き当たり、第二枠体30の弾性体33aが第一枠体20の天板部23に突き当たり、第一枠体20の弾性体23aが固定枠部2の天板部8に突き当たる。これらの突き当ての衝撃も、それぞれの弾性体43a、33a、23aにより軽減することができる。
【0065】
第四枠体50の上昇に伴う上述のそれぞれの突き当てにより、第三枠体40、第二枠体30および第一枠体20が、第四枠体50に支持された状態で、第四枠体50と共に上昇させる。その後、
図5に示すように、第一から第四枠体20、30、40、50を収縮状態とし、脚立に立って、ロック部4のロック軸4bを固定枠部2の外側板部6の貫通孔6aを挿通し、錠前Rをロック軸4bの左右方向の先端部分に取り付ける。
【0066】
この実施形態のディスプレイ用昇降装置1は、ディスプレイDの画面サイズが大きくなる場合であっても、固定枠部2の一対の外側板部6はディスプレイDに干渉しない。このため、固定枠部の一対の外側板部の間隔や上下方向の長さを変更する必要がなく、様々な画面サイズを有するディスプレイDの昇降に適したものとなる。
【0067】
また、ディスプレイ用昇降装置1は、ディスプレイDの画面の大きさの変更に伴ってディスプレイDの重量が増減した場合でも、固定枠部2の定荷重ばね10の数を増減させて対応可能である。このため、固定枠部2の前後方向の大きさを変更することなく、様々な重量を有するディスプレイDを昇降させることに適したものとなる。
【0068】
また、
図2に示すように、ディスプレイ用昇降装置1は、外スライドレール9のレール9a、および第一から第三内スライドレール11、13、15のレール11a、13a、15aが一直線上に配置されている。このため、固定枠部2に対する可動枠部3の昇降、および第一から第四枠体20、30、40、50の伸縮を円滑に行う事ができる。
【0069】
また、第一から第四枠体20、30、40、50は、その天板部23、33、43、53に固定された弾性体23a、33a、43a、53aを有する。それぞれの弾性体23a、33a、43a、53aは、第一から第四枠体20、30、40、50を伸長状態から収縮状態に上昇させる際に、天板部23、33、43、53および固定枠部2の天板部8に突き当たり、その衝撃を軽減させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ディスプレイ用昇降装置
2 固定枠部
2a 支持軸
2b 軸受部
3 可動枠部
4 ロック部
5 外ストッパ部
5a、12a、14a、16a 支持片
5b、12b、14b、16b 係合片
6 外側板部
7 外桟部
8 天板部
9 外スライドレール
9a、11a、13a、15a レール
9b、11b、13b、15b スライダ
10 定荷重ばね
10a ドラム部
10b ばね部
11 第一内スライドレール
12 第一内ストッパ部
13 第二内スライドレール
14 第二内ストッパ部
15 第三内スライドレール
16 第三内ストッパ部
20 第一枠体
30 第二枠体
40 第三枠体
50 第四枠体
21、31、41、51 内側板部
22、32、42、52 内桟部
23、33、43、53 天板部
23a、33a、43a、53a 弾性体