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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】水準器
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/28 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
G01C9/28
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020104782
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021175966
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2020078429
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591006634
【氏名又は名称】株式会社エビス
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】丸山 清
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-161815(JP,U)
【文献】実開昭54-015555(JP,U)
【文献】特開2003-329446(JP,A)
【文献】特開2014-095632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/18 - 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の水平度若しくは鉛直度を測定するための水準器であって、上面部,底面部,左側面部,右側面部,正面部及び背面部の六面で囲まれた透明な中空方形の基体を有し、この基体内には液体及び気泡が封入され互いに直交する位置関係に配された二つの気泡管が設けられ、この気泡管の両端部は前記基体の内部に設けられた支持体により挟持固定され、さらに、前記上面部,前記底面部,前記左側面部,前記右側面部,前記正面部及び前記背面部の表面は平坦面に形成され、前記基体は、前記六面全てが基準面として使用可能に構成され、また、前記底面部の内面にして前記正面部及び前記背面部に当接する磁石が設けられ、前記底面部、前記正面部及び前記背面部の三面が吸着可能となるように構成されていることを特徴とする水準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空方形の基体内に円筒状の気泡管を内蔵した水準器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業現場において水平度及び鉛直度を簡便に計測できることから、様々な携帯型水準器が開発されている。例えば下記に挙げられる特許文献1のように2つの気泡管を組み合わせた透明な合成樹脂製の水準器も広く一般的に用いられている。
【0003】
また、傾斜角を計測する対象物が金属製であることを想定して水準器の一面(の内面若しくは外面)に薄い板状の磁石板が設けられているものもあり、対象物に対して水準器本体を落下させることなく正確な計測位置に固定するための役割を担っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-59228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の磁石板付きの携帯用水準器の中には本体を無垢(樹脂製若しくは金属製)にしているタイプもある。このタイプの場合、気泡管は、例えば左側面から水平方向に設けられた孔と、上面から垂直方向に設けられた孔からそれぞれ挿入される構成となる。したがって、この孔及び孔の閉塞蓋の存在によって左側面及び上面には、凹部若しくは段差が生じ、当該面は基準面(被測定物に当接させる測定面)としては使用しづらい。
【0006】
また、本体が無垢であるため、本体を落とした場合、衝撃によって本体と共に気泡管を破損する可能性が高く、さらに無垢であるから、携帯用としては重いという欠点がある。
【0007】
本発明は、以上の問題を解決した中空の水準器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
被測定物の水平度若しくは鉛直度を測定するための水準器であって、上面部5,底面部6,左側面部7,右側面部8,正面部9及び背面部10の六面で囲まれた透明な中空方形の基体1を有し、この基体1内には液体及び気泡が封入され互いに直交する位置関係に配された二つの気泡管2が設けられ、この気泡管2の両端部は前記基体1の内部に設けられた支持体3により挟持固定され、さらに、前記上面部5,前記底面部6,前記左側面部7,前記右側面部8,前記正面部9及び前記背面部10の表面は平坦面に形成され、前記基体1は、前記六面全てが基準面として使用可能に構成され、また、前記底面部6の内面にして前記正面部9及び前記背面部10に当接する磁石4が設けられ、前記底面部6、前記正面部9及び前記背面部10の三面が吸着可能となるように構成されていることを特徴とする水準器に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したから、どの外周面も被測定物の水平度若しくは鉛直度を測定する基準面とすることが可能であり、また、軽量であるため使い易く、さらに万一落としても気泡管が損傷しにくい優れた中空の水準器となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例の正面斜視図である。
図2】本実施例の裏面斜視図である。
図3】本実施例を正面図である。
図4】本実施例の右側面図である。
図5】本実施例の底面図である。
図6】磁石を含まない別例の正面斜視図である。
図7】気泡管1本を設けた別例の斜視図である。
図8】同上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0013】
六面で囲まれた基体1の中空部に液体及び気泡が封入された気泡管2が設けられ、この気泡管2は、前記基体1の内部に設けられた支持体3によって固定されているから、前記基体1の外周面、即ち基準面は凹凸のない平坦面となる。したがって、どの外周面を基準面(測定面)としても所定の測定が可能となる。
【0014】
また、前記基体1は中空であるため、軽量となり、使い易く、さらに落下による衝撃で前記気泡管2が損傷しにくい中空の水準器となる。
【実施例
【0015】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0016】
本実施例は、図1に示すように、被測定物の水平度若しくは鉛直度を測定するための水準器であって、六面で囲まれた中空方形の基体1を有し、この基体1内には液体及び気泡が封入された気泡管2が設けられ、この気泡管2は前記基体1の内部に設けられた支持体3により固定されている水準器である。
【0017】
前記基体1の前記六面は、上面部5,底面部6,左側面部7,右側面部8,正面部9及び背面部10であり、いずれも平坦で基準面となる。また、前記六面のうちの一面の内面には被測定物に吸着する磁石4が設けられている。
【0018】
さらに、前記磁石4は所定の幅及び厚さを有し、この磁石4は前記底面部6の内面に当接接着され、さらに、この磁石4は、前記正面部9及び前記背面部10にも当接接着せしめられている。
【0019】
また、前記気泡管2は前記基体1内に2つ設けられ、この2つの気泡管2は互いに直交する位置関係で設けられている。
【0020】
以下に各構成を具体的に説明する。
【0021】
前記気泡管2の内の1本は鉛直度を測定する縦方向に配置され、もう一方の前記気泡管2は水平度を測定する横方向に配置されている。さらに2本の前記気泡管2はそれぞれ両端を前記正面部9及び前記背面部10間に架設状態で設けられた前記支持体3によって固定されている。
【0022】
また、図3に示すように、前記磁石4は前記背面部10に設けられた4カ所の突起11によって前記基体1の前記底面部6中央に位置決め固定されている。更に具体的には、前記磁石4は横方向を長辺とする直方体であり、前記底面部6、前記正面部9及び前記背面部10に当接している。
【0023】
尚、前記背面部10には前記正面部9から視認できる目盛12が付されている。
【0024】
本実施例の中空の水準器は、透明な樹脂製の素材を用いて上蓋のない箱を作成し、内面に、鉛直度を計測する前記気泡管2と水平度を計測する前記気泡管2を固定するための前記支持体3を溶着し、続いて2本の前記気泡管2を前記支持体3で挟むように配置し、続いて前記磁石4を前記突起11によって固定し、最後に上蓋となる前記正面部9を溶着して組み立てる。
【0025】
本実施例は上記のように構成したから、以下の作用効果を奏する。
【0026】
前記基体1は中空であることから、誤って硬い地面に落下させ、その衝撃によって万一、前記基体1が破損した場合でも、内部に係止された前記気泡管2にまで損傷が及ぶことは少ない(無垢で構成された場合は前記気泡管2を損傷する可能性が高い。)。
【0027】
また、外周面に前記気泡管2を挿入するための孔をあける必要がないため段差、凹凸が生じず、全ての外周面を基準面として使用することが可能となる。
【0028】
また、前記背面部10に前記目盛12が付されているため、前記基体1を被測定物に当接させた場合、前記目盛12と被測定物との距離がほぼゼロとなり、前記正面部9に目盛りを付した場合に比し、正確な長さ測定が可能となる。
【0029】
さらに、前記磁石4を前記底面部6、前記正面部9及び前記背面部10に当接するように設けたから、これら三面が吸着可能となり、板状磁石を用いた従来の水準器と比し、利便性が格段に向上した水準器となる。
【0030】
図6は前記磁石4を設けていない別例であり、その余は上述の本実施例と同様である。
【0031】
図7及び図8は中空の基体1内部に気泡管2を1本だけ設けた別例である。この別例は六面(全てが平坦で基準面として使用できる。)で囲まれた中空の基体1内に1本の気泡管2が設けられ、この気泡管2は、両端部が前記基体1の内壁面に当接する構成である。したがって、前記基体1の内壁面が支持体3となる。
【0032】
尚、基体1には係止部13が設けられ、この係止部13に金具14(ナスカン)が連設されている。
【0033】
この別例は被測定物に吸着するための磁石4や目盛り12を設けておらず、前記金具14により持ち運びの利便性が向上し、さらにカバン等に取り付けることで装飾品としての用途も期待できる。
【0034】
本発明は、上記の実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜決定し得るものである。
【符号の説明】
【0035】
1 基体
2 気泡管
3 支持体
4 磁石
5 上面部
6 底面部
7 左側面部
8 右側面部
9 正面部
10 背面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8