(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】粉末包装物形成装置、及び粉末包装物製造方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/07 20060101AFI20230123BHJP
A61J 7/00 20060101ALI20230123BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20230123BHJP
【FI】
A61J3/07 C
A61J7/00 C
A23L5/00 B
(21)【出願番号】P 2021099634
(22)【出願日】2021-06-15
(62)【分割の表示】P 2021005402の分割
【原出願日】2021-01-16
【審査請求日】2021-06-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505297253
【氏名又は名称】越塚 峰
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【氏名又は名称】長谷部 優一
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】越塚 峰
(72)【発明者】
【氏名】宮地 浩路
(72)【発明者】
【氏名】池畑 健二
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/027795(WO,A1)
【文献】特表2006-515320(JP,A)
【文献】実開平02-071541(JP,U)
【文献】特開2014-046030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
A61J 3/07
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉で作られたシート状の水溶性可食フィルムで粉末状の被包装物を包装した粉末包装物を形成する粉末包装物形成装置において、
配置した
1枚の前記水溶性可食フィルム上に前記被包装物が供給されて、前記被包装物を前記水溶性可食フィルムで包む包装部と、
前記包装部において前記被包装物を包んでいる前記水溶性可食フィルムの縁部を1箇所に絞る絞り部と、
前記絞り部によって、前記被包装物
を包んでいる前記水溶性可食フィルムの縁部を寄せ集められた袋口部分を湿らせる加湿部と、
前記加湿部により湿らされた、前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を加熱する加熱部と
を備え、
前記加湿部により湿らされた、前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を糊化させ、その後老化させる前記水溶性可食フィルムの構造変化により、前記袋口部分に
1個の閉口縮小部を設ける
ことを特徴とする粉末包装物形成装置。
【請求項2】
前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を押圧する押圧部を備え、
前記加湿部が、前記押圧部により押圧されている前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を湿らせる
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末包装物形成装置。
【請求項3】
前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を押圧する押圧部を備え、
前記押圧部は、前記加湿部により湿らされた、前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を押圧する
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末包装物形成装置。
【請求項4】
澱粉で作られたシート状の水溶性可食フィルムで粉末状の被包装物を包装した粉末包装物を製造する粉末包装物製造方法において、
包装部が、配置した
1枚の前記水溶性可食フィルム上に前記被包装物が供給されて、前記被包装物を前記水溶性可食フィルムで包み、
絞り部が、前記包装部において前記被包装物を包んでいる前記水溶性可食フィルムの縁部を1箇所に絞り、
加湿部が、
前記絞り部によって、前記被包装物
を包んでいる前記水溶性可食フィルムの縁部を寄せ集めた袋口部分を湿らせ、
加熱部が、前記加湿部により湿らされた、前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を加熱し、
前記加湿部により湿らされた、前記水溶性可食フィルムの前記袋口部分を糊化させ、その後老化させる前記水溶性可食フィルムの構造変化により、前記袋口部分に
1個の閉口縮小部を設ける
ことを特徴とする粉末包装物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末包装物形成装置、及び粉末包装物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、利用者がプロテインを摂取するとき、利用者は、牛乳を入れた容器にプロテインパウダを入れて、容器を強く振って撹拌し、牛乳と一緒にプロテインを飲み込んで摂取している。
【0003】
しかし、プロテインパウダは溶けにくく、ダマになって残ってしまうことがあり、飲みにくいという課題がある。また飲みやすくするために、プロテイン以外の栄養成分が含まれているものもあるが、その分、摂取量が多くなってしまうという課題もある。このような課題は、プロテインパウダだけでなく、青汁粉末、おから粉末、サプリメント粉末などの粉末状の食品素材においても同様である。
【0004】
従来、このような粉末を摂取しやすくするために、オブラートで粉末を包んで、そのまま飲み込んだり、粉末を包んだオブラートを水に浸してから飲み込んだりする方法がある。
【0005】
また、特許文献1には、上側シートと下側シートとの間に粉末を包み込んで、上側シート及び下側シートの側縁部を接合するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術には、次のような課題がある。
【0008】
上述したように、オブラートで粉末を包む場合、オブラートの縁部が嵩張ってしまい、飲んだときに喉で引っ掛かりを感じてしまうことがある。また、粉末を包んだオブラートを水に浸した場合、その浸し加減によっては、オブラートが溶けてしまい、うまく飲み込めないことも生じ得る。
【0009】
さらに、上述した特許文献1の記載技術は、上側シートと下側シートとの接合部分が円周に沿って形成されるので、接合部分のいずれかでシートが剥がれてしまい、粉末がこぼれてしまうおそれがある。また、オブラート包装物を比較的長い間放置したり、衝撃が加わったりすると、接合部分の一部が剥がれてしまうので搬送等にも向いていない。
【0010】
そこで、上述した課題に鑑み、従来よりも剥がれにくい構造で粉末を包んだものであって、飲みやすい粉末包装物を形成することができる装置及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、シート状の水溶性可食フィルムで粉末状の被包装物を包装した粉末包装物を形成する粉末包装物形成装置において、配置した1枚の水溶性可食フィルム上に被包装物が供給されて、被包装物を水溶性可食フィルムで包む包装部と、包装部において被包装物を包んでいる水溶性可食フィルムの縁部を1箇所に絞る絞り部と、絞り部によって、被包装物を包んでいる被包装物が供給された水溶性可食フィルムの縁部を寄せ集めた袋口部分を湿らせる加湿部と、加湿部により湿らされた、水溶性可食フィルムの前記袋口部分を加熱する加熱部とを備え、加湿部により湿らされた、水溶性可食フィルムの袋口部分を糊化させ、その後老化させる前記水溶性可食フィルムの構造変化により、袋口部分に1個の閉口縮小部を設けることを特徴とする。
【0012】
第2の本発明は、シート状の水溶性可食フィルムで粉末状の被包装物を包装した粉末包装物を製造する粉末包装物製造方法において、包装部が、配置した1枚の水溶性可食フィルム上に被包装物が供給されて、被包装物を水溶性可食フィルムで包み、絞り部が、包装部において被包装物を包んでいる水溶性可食フィルムの縁部を1箇所に絞り、加湿部が、絞り部によって、被包装物を包んでいる水溶性可食フィルムの縁部を寄せ集めた袋口部分を湿らせ、加熱部が、加湿部により湿らされた、水溶性可食フィルムの袋口部分を加熱し、加湿部により湿らされた、水溶性可食フィルムの袋口部分を糊化させ、その後老化させる水溶性可食フィルムの構造変化により、袋口部分に1個の閉口縮小部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも剥がれにくい構造で粉末を包むことができ、飲みやすい粉末包装物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る粉末包装物形成装置の構成を示す構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る粉末包装物形成装置の断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法のオブラート載置工程を説明する説明図である。
【
図4】第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の粉末供給工程を説明する説明図である。
【
図5】第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の絞り工程を説明する説明図である。
【
図6】第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の押圧工程を説明する説明図である。
【
図7】第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の加湿工程を説明する説明図である。
【
図8】第1の実施形態において、粉末包装物製造方法で形成されるオブラート包装物の状態を説明する説明図である。
【
図9】第2の実施形態に係る粉末包装物製造方法の加湿工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る粉末包装物形成装置、及び粉末包装物製造方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
この実施形態は、粉末状の被包装物を、水溶性可食フィルムで包んだ粉末包装物を形成する装置及び方法に、本発明を適用する場合を例示する。
【0017】
ここで、「水溶性可食フィルム」は、被包装物としての粉末を包装するためのシート状の可食フィルムである。水溶性可食フィルムは、例えば、澱粉、ゼラチン等の食品素材で形成された水溶性の可食フィルムを広く適用することができる。
【0018】
「被包装物」は、水溶性可食フィルムにより包装される物であり、特に粉末とすることができる。被包装物は、例えば、プロテインパウダ、青汁粉末、乾燥おからなどの食品素材、粉末調味料、また例えば、粉薬等の薬とすることができる。
【0019】
この実施形態では、被包装物としてのプロテインパウダ(以下では、単に「粉末」と呼ぶ。)を、水溶性可食フィルムとしてのオブラートで包装した粉末包装物を形成する場合を例示する。
【0020】
(A-1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る粉末包装物形成装置の構成を示す構成図である。
図2は、第1の実施形態に係る粉末包装物形成装置の断面図である。
【0021】
図1及び
図2において、第1の実施形態に係る粉末包装物形成装置1は、基台11、ガイドフレーム12、フィルムガイド部13、絞り部14、押圧部15を有する。
【0022】
[基台11]
基台11は、中空の筐体である。この実施形態では、基台11は、下面が開放している中空箱型である場合を例示する。しかし、基台11の構成は、これに限定されず、閉じた下面が形成されていてもよい。また、基台11、例えば、立方体の中空多角柱、円形若しくは楕円形の中空円柱などとしてもよい。
【0023】
[粉末包装補助部16]
基台11の上面中央部には、凹形状の粉末包装補助部16が設けられている。粉末包装補助部16は、シート状のオブラートの上に粉末が供給され、供給された粉末をシート状のオブラートで包み込むための包装補助部である。
【0024】
一般的に、シート状に広げられたオブラートに粉末を置く際に、粉末がこぼれてしまうことがあり、オブラート上に粉末を上手にのせることが難しい。そこで、この実施形態では、凹形状の粉末包装補助部16にオブラートを配置する。そして、オブラートの中央部分に粉末を供給しながら、オブラートの中央部分を下方に押し込み、若しくは、粉末の重みでオブラートの中央部分が下方に移動して、中央部分が窪んだオブラート(換言すると容器状となったオブラート)で粉末を収容する。これにより、粉末のこぼれなどを防止している。
【0025】
図2に示すように、粉末包装補助部16は、円筒部165と、底部161とを有する。また、粉末包装補助部16の上方には略円形の開口部166がある。この開口部166は、粉末を包み込むオブラートの中央部分を受け入れる収容口となる。
【0026】
粉末包装補助部16の円筒部165は、当該粉末包装補助部16にオブラートを収容する壁部である。また、円筒部165は、粉末が供給されたオブラートの姿勢を保持する保持部として機能する。
【0027】
図2に示すように、円筒部165の上端部は、絞り部14がオブラートの縁部を絞る絞り位置(高さ位置)を調整可能とするため、基台11の上面位置よりもわずかに高い位置にある。なお、絞り部14が、適切な位置で、円筒部165に収容されるオブラートの縁部を絞ることができるのなら、円筒部165の上端部が、基台11の上面位置と同じ位置であってもよい。
【0028】
円筒部165の上端部の外周面には、押圧部15の接合部157と接合するための接合部163が設けられている。円筒部165の接合部163と、押圧部15の接合部157とが接合することにより、押圧部15が、円筒部165に収容される粉末包装物(粉末を包装しているオブラート)に対して押圧できる。
【0029】
例えば、接合部163が、円筒部165の外周面に形成された螺旋状の溝(雄ネジ)とする。他方、接合部157が、押圧部15の内壁面に形成された螺旋状の溝(雌ネジ)とする。接合部163(雄ネジ)と接合部157(雌ネジ)とが合わせられると、押圧部15が円筒部165の内部に収まる。さらに、接合部163(雄ネジ)と接合部157(雌ネジ)とが螺合することにより、押圧部15が円筒部165内の下方にさらに移動して、粉末包装補助部16に収容されている粉末包装物に対して、押圧部15が上から物理的に圧力を加えることができる。すなわち、押圧部15が、粉末包装補助部16内の粉末包装物の袋口部分を押圧する。
【0030】
なお、接合部163が、円筒部165の内壁面に形成された螺旋状の溝(雌ネジ)であり、他方、接合部157が、押圧部15の外壁面に形成された螺旋状の溝(雄ネジ)であってもよい。また、接合部163及び接合部157は、互いに接合可能であれば、ネジ等のような固着部に限定されない。例えば、接合部163及び接合部157が、粉末包装補助部16と押圧部15の接合部同士を互いに嵌め合うことが可能な嵌合部等であってもよい。さらに、接合部163及び接合部157が、磁石等のように磁力によって、粉末包装補助部16の粉末包装物に対して押圧部15が押圧できるようにしてもよい。
【0031】
底部161は、オブラートの中央部分を支持する支持部分である。オブラートへの粉末の供給のしやすさ、及び又は、オブラートの姿勢の保持のしやすさなどを考慮して、略円形板状の底部161は、当該底部161の中央部に行くほど、Z軸方向の深さが深くなるように形成されている。つまり、中央部の位置が最も深い位置となるように、底部161が傾斜している。
【0032】
底部161の中央部には、開口部162が形成されている。これは、後述するように、粉末を包んでいるオブラートの縁部を寄せ集めた袋口部分を湿らせて、加熱してオブラートを糊化(α化)させる。このとき加熱により発生した水蒸気を逃すために、開口部162が設けられている。
【0033】
なお、この実施形態では、粉末包装補助部16と基台11とがそれぞれ異なる部材で形成されている場合を例示している。しかし、例えば金型成形により、基台11と粉末包装補助部16とが、物理的に一体的に形成されるようにしてもよい。
【0034】
[ガイドフレーム12]
ガイドフレーム12は、載置するオブラートの位置を保持する枠部材である。ガイドフレーム12は、基台11の上面において、粉末包装補助部16(特に、円筒部165)を囲むように設けられている。
【0035】
図2に示すように、ガイドフレーム12は、基台11の上面に対して垂直な壁面部材からなるフレーム本体部121と、基台11の上面に対して接するフレーム底部122とを有する。
【0036】
フレーム本体部121は、オブラートの形状及び大きさに合わせて形成された壁面部材である。壁面部材のフレーム本体部121の形状及び大きさは、使用するオブラートの形状及び大きさに対応させることができる。例えば、略正方形のオブラートを使用する場合、フレーム本体部121は略正方形とする。また例えば略円形のオブラートを使用する場合、フレーム本体部121は略円形とする。また例えば、小さいサイズのオブラートを使用するときには、フレーム本体部121は、そのオブラートのサイズに合わせた大きさとしてもよい。
【0037】
フレーム底部122の中央部には、略円形の開口部が形成されている。粉末包装補助部16に対してガイドフレーム12が正しい位置に位置合わせできるようにするため、フレーム底部122の開口部を、基台11の上面から突出している粉末包装補助部16の上端部に嵌めるようにしてもよい。
【0038】
また、フレーム底部122は、上面に配置される絞り部14の絞り位置を調整するものとしても機能する。例えば、フレーム底部122の厚さ方向の長さ(高さ:Z軸方向の長さ)を大きくすると、絞り部14の絞り位置を高くできる。逆に、フレーム底部122の厚さ方向の長さを短くすると、絞り部14の絞り位置を低くできる。なお、フレーム底部122がなくても絞り部14の絞り位置を調整できるのであれば、フレーム底部122がなくてもよい。
【0039】
また、ガイドフレーム12と基台11、若しくは、フレーム本体部121と基台11とが、物理的に一体に形成されるようにしてもよい。
【0040】
[フィルムガイド部13]
フィルムガイド部13は、オブラートを載置するための板部材である。フィルムガイド部13は、ガイドフレーム12のフレーム本体部121で囲まれる領域の内側に配置される。フレーム本体部121の内側に置かれたフィルムガイド部13の上面に、オブラートが載置される。フィルムガイド部13の形状及び大きさは、フレーム本体部121の形状及び大きさに対応させるようにしてもよい。つまり、フィルムガイド部13も、フレーム本体部121と同様に、オブラートの形状及び大きさに対応させるようにしてよい。
【0041】
フィルムガイド部13は、中央部に開口部131を持つ略正方形の底面132と、底面132に対して所定の勾配で、底面132から外側に向けて延びる斜面部133a、133b、133c、133dとを有する。このように、フィルムガイド部13が斜面部133a~133dを備えることにより、フィルムガイド部13の上面に載置したオブラートは、中央部分が少し窪んだ状態となる。したがって、オブラートに粉末を供給する際に、オブラートの姿勢を安定させることができ、オブラートの中央部分への供給がしやすくなる。
【0042】
フィルムガイド部13の底面132の開口部131は、フィルムガイド部13に載置されているオブラートの姿勢を安定させると共に、粉末供給時に、オブラートを、下方に位置する粉末包装補助部16側に送り込むための開口部である。このとき、開口部131の周囲に斜面部133a~133dが設けられているので、斜面部133a~133dがオブラートを滑らせながら粉末包装補助部16側に送り込むことができる。
【0043】
また、開口部131は、押圧部15を挿通させて粉末包装補助部16と接合させるため、当該開口部131の開口径は、押圧部15及び粉末包装補助部16の外周径よりもわずかに大きく形成されている。
【0044】
この実施形態では、ガイドフレーム12とフィルムガイド部13とがそれぞれ別々の構成である場合を例示している。しかし、ガイドフレーム12に載置したオブラートを下方に位置している粉末包装補助部16に送り込むことができれば、ガイドフレーム12とフィルムガイド部13とが物理的に一体的に形成されたものであってもよい。
【0045】
[絞り部14]
絞り部14は、粉末を包み込んでいるオブラートの縁部を寄せ集めて絞り、袋状のオブラートの袋口を形成するための部材である。絞り部14は、粉末包装補助部16の円筒部165の外周を囲むように設けられている。
【0046】
絞り部14による絞り機構は、特に限定されないが、粉末包装補助部16で粉末を包み込んでいるオブラートの縁部を絞ることができれば、様々なものを適用できる。
【0047】
例えば、この実施形態では、絞り部14が、複数の絞り羽根を有して構成されるものを例示する。絞り部14の複数の絞り羽根は手動で動かされ、複数の絞り羽根が動くことで、絞り羽根で形成される絞り開口の大きさが調整される。従って、絞り部14の絞り開口の開口径が小さく調整されると、絞り開口内に位置しているオブラートの縁部が寄せ集められ、オブラートが袋状となり、オブラートの袋口が絞られる。
【0048】
ここで、絞り部14の絞り位置は、粉末包装補助部16の円筒部165の上端位置付近としている。これは、なるべく粉末が満杯に入っている状態の粉末包装物を形成するためである。
【0049】
例えば、絞り位置が高い位置にあると、粉末を包んでいるオブラートの端部に近い部分を絞ることになるので、オブラートは隙のある状態で粉末を包むことになる。他方、絞り位置が低い位置にあると、粉末を包んでいるオブラートの粉末に近い側で絞ることになるので、粉末が溢れ出てしまうことが生じ得る。
【0050】
そこで、粉末包装補助部16で供給した粉末を満杯にした状態で包み込むため、円筒部165の上端位置付近を絞り位置としている。
【0051】
つまり、円筒部165に敷かれているオブラートに対して、円筒部165の容積に対応する量の粉末を供給するものとする。そして、絞り位置で絞り部14がオブラートを絞ると、粉末が満杯となった袋状のオブラートを形成することができる。
【0052】
なお、この実施形態では、絞り部14が複数の絞り羽根で形成される部材(例えば虹彩絞り)である場合を例示するが、起立状態のオブラートの口を絞ることができれば、これに限定されない。他の絞り機構としては、例えば、回転絞り、水門絞り等の絞り機構と同様の機構を用いるようにしてもよい。
【0053】
[押圧部15]
押圧部15は、粉末包装補助部16に収容されている粉末を包んでいるオブラートに対して、上方から押圧する部材である。
【0054】
押圧部15は、円筒筐体151と、円筒筐体151の内部中央付近に内径方向に設けられた支持板152と、連結部153と、接触部154と、接合部157を有する。連結部153は、連結リブ155を通じて、支持板152に下方に設けられている。また、接触部154は、連結リブ156を通じて連結部153の下方に設けられている。
【0055】
支持板152は、円筒筐体151の内部に設けられて、下方に位置する連結部153及び接触部154を支持するものである。支持板152の中央部には、水蒸気を逃がすため、略円形の開口部152aが設けられている。なお、支持板152の上面には、複数の補強リブが設けられるようにしてもよい。
【0056】
連結部153も、円筒筐体151の内部に設けられて、下方に位置する接触部154を支持するものである。連結部153の中央部にも、粉末を包み込んでいるオブラートの袋口部分を湿らせた後、マイクロ波加熱したときに発生する水蒸気を逃がすため、略円形の開口部153aが設けられている。また、連結部153と支持板152とは、複数の連結リブ155で連結されている。複数の連結リブ155は、互いに所定間隔を空けて配置されている。従って、複数の連結リブ155の間からも水蒸気を逃がすことができる。
【0057】
接触部154は、粉末包装補助部16に収容されているオブラートと接触する部分である。接触部154は、略円形の板状部材とすることができる。接触部154の中央部にも、水蒸気を逃がすため、略円形の開口部154aが設けられている。接触部154と連結部153とは、複数の連結リブ156で連結されている。複数の連結リブ156も、互いに所定間隔を空けて配置されているので、複数の連結リブ156の間からも水蒸気を逃がすことができる。
【0058】
接合部157は、粉末包装補助部16の接合部163と接合するものである。例えば、接合部157は、押圧部15の内壁面に形成された螺旋状の溝(雌ネジ)とすることができる。他方、接合部163が、円筒部165の外周面に形成された螺旋状の溝(雄ネジ)とする。
【0059】
例えば、オブラートに対して押圧部15が押圧する際、押圧部15の接合部157が、粉末包装補助部16の接合部163に嵌められる。そうすると、押圧部15の接触部154が、粉末包装補助部16内のオブラートと接触する。さらに、押圧部15の接合部157と、粉末包装補助部16の接合部163とを螺合させると、押圧部15の接触部154が、粉末包装補助部16内のオブラートに対して物理的に圧力を加えることができる。
【0060】
押圧部15は、粉末包装補助部16内のオブラートを押圧しながら、オブラートの縁部の重なり部分に水を加えることができる構成も有している。
【0061】
例えば、押圧部15が粉末包装補助部16内のオブラートを押圧している状態で、例えば電動ピペット等の注水具が、押圧部15の上方から差し込まれる。そして、注水具の先端部が、粉末包装補助部16内のオブラートの縁部の重なり部分に接触し、注水具が所定量の水をオブラートの重なり部分に加える。これにより、オブラートを押圧した状態で、オブラートの縁部の重なり部分(袋口部分)を湿らせることができる。
【0062】
例えばオブラートは、澱粉から作られた水溶性可食フィルムである。澱粉は、グルコースが重合した直鎖状のアミロースと、グルコースが重合した分枝構造のアミロペクチンとが共存している。グルコースは水に溶けるが、グルコース分子同士は水素結合している。したがって、水が加えられても、水分子がグルコース分子構造に入り込めず、澱粉は水に溶けない。しかし、澱粉に水を加えた状態で加熱すると、グルコース分子間の水素結合が切れるので、水分子がグルコース分子構造に入り込んだ状態となる。このとき、澱粉がゲル状となる。この現象を糊化(アルファ化)と呼ぶ。さらに、一旦糊化した澱粉を乾燥させて、水分が抜けた状態となると、澱粉は固まる。この現象を老化(ベータ化)と呼ぶ。
【0063】
この実施形態の粉末包装物の形成装置(製造装置)若しくは製造方法は、澱粉の糊化及び老化を利用する。
【0064】
オブラートで粉末を包むとき、オブラートの縁部を寄せ集めた部分が余分な部分となってしまう。この寄せ集めた部分が喉に引っ掛かってしまい、オブラート包装物を飲みにくくさせている。これに対して、この実施形態では、オブラートの縁部を寄せ集めた袋口部分を湿らせて加熱し糊化させることで、オブラートの袋口部分を溶かすことができる。さらに、粉末を包んでいるオブラートを乾燥させることで、一旦、糊化させた袋口部分が老化する。
【0065】
そうすると、オブラートの縁部を寄せ集めた部分が小さく縮小するとともに、粉末を包んでいるオブラートの袋口が固く閉じることになる。オブラートの縁部は絞られた状態で糊化及び老化するので、寄せ集められたオブラートの縁部は閉口縮小し、オブラートの袋口は出臍状となる。これにより、剥がれにくい構造で粉末を包むことができ、飲みやすくすることができる。
【0066】
ここで、澱粉の糊化及び老化を利用して、粉末をオブラートで包んだ粉末包装物を形成する際、オブラートの袋口部分に水を加える手法や加える水分量などに関して、調整が必要となる。
【0067】
例えば、オブラートの袋口部分以外の箇所に水を加えてしまうと、その箇所が溶けてしまい、破れの原因となってしまう。したがって、オブラートの袋口部分に対して、局所的に適切な量の水を加えることが望ましい。
【0068】
また例えば、オブラートの袋口部分に加える水分量が多いと、ゲル状の澱粉が残ってしまい、オブラートの袋口部分がしっかりと閉口できないことが生じ得る。また水分量が多いと、水分が抜けて老化するまでの時間がかかってしまう。老化までの時間が長くなると、水で濡れる部分が広がってしまう。そうすると、袋口とは異なるオブラート部分で破れが生じたり、オブラートで包んでいる粉末にまで水分が及んでしまったり、商品価値に影響がでてしまう。逆に、オブラートの袋口部分に加える水分量が少ないと、糊化した部分が少なくなるので、オブラートの袋口部分がしっかりと閉口できず、剥がれやすくなってしまう。したがって、オブラートの袋口部分に適切な量の水を加えて湿らせ加熱し、その後、乾燥させたときに、水分が抜けている状態となることが望ましい。
【0069】
そこで、この実施形態では、オブラートの袋口部分に対して局所的に水を加えるために電動ピペットの先にマイクロ注射針を接合させた注水具を用いて、注水具が加熱オブラートの袋口部分に対して、適量の水を加えるようにしている。
【0070】
なお、開口部152a、開口部153a及び開口部154aの中心軸と、粉末包装補助部16の底部161に形成した開口部162の中心軸とが略一致するようにしてもよい。また、開口部152a、開口部153a及び開口部154aの各開口径は、特に限定しないが、この実施形態では、開口部152aと開口部153aの開口径はおおむね同じとし、他方、開口部154aの開口径は、開口部152a(又は開口部153a)の開口径よりも小さくしてもよい。
【0071】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る粉末包装物形成装置1を用いた粉末包装物製造方法の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0072】
[オブラート載置工程]
図3(A)及び
図3(B)は、第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法のオブラート載置工程を説明する説明図である。
【0073】
まず、
図3(A)に示すように、ガイドフレーム12によって囲まれている内側領域に、フィルムガイド部13を置く。
【0074】
そして、
図3(B)に示すように、フィルムガイド部13の上面に、シート状のオブラートFを載置する。
【0075】
なお、ここでは、略正方形のシート状のオブラートFを用いる場合を例示している。しかし、略円形のオブラートFを用いる場合には、オブラートFの形状に合わせて、ガイドフレーム12及びフィルムガイド部13の外形が略円形のものとしてもよい。
【0076】
[粉末供給工程]
図4(A)及び
図4(B)は、第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の粉末供給工程を説明する説明図である。
【0077】
次に、
図4(A)に示すように、フィルムガイド部13に載置されているオブラートFの上面に対して、粉末供給部3が所定量の粉末Pを供給する(
図8(A)参照)。
【0078】
ここで、粉末供給部3は、所定量の粉末Pをオブラートに供給するものである。例えば、粉末供給部3は、注射器の先端部を開放した注射筒を用いる。粉末供給部3としての注射筒は、オブラートに供給する粉末Pを計量可能である。また例えば、粉末供給部3は、注射筒に限らず、所定量の粉末Pをオブラートに供給する供給管等としてもよい。いずれにしても、所定量の粉末Pを供給可能なものを粉末供給部3として用いることができる。
【0079】
粉末供給部3がオブラートFに対して粉末Pを供給する際、粉末供給部3が、オブラートFを粉末包装補助部16の円筒部165に送り込むため、粉末供給部3の先端部をシート状のオブラートFの中央部分に接触させて、オブラートFを下方に押し込むと同時に、粉末供給部3がオブラートFの中央部分に粉末Pを供給する。これにより、粉末包装補助部16の円筒部165に敷かれたオブラートF上に粉末Pが収容される。
【0080】
図4(B)に示すように、粉末供給部3によって供給される粉末Pの量は、粉末包装補助部16の円筒部165の容積に対応する量としている。従って、供給された粉末Pは、円筒部165において満杯となる。また、オブラートFの端部が上側を向いた姿勢となる。
【0081】
[絞り工程]
図5は、第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の絞り工程を説明する説明図である。
【0082】
図5に示すように、オブラートFの上に粉末Pが供給された状態で、絞り部14によって、絞り開口の開口径が小さくなるように調整され、絞り部14により袋状のオブラートFの口が絞られる(
図8(B)参照)。つまり、粉末包装物形成装置1では、粉末Pを包んでいるオブラートFの縁部が、円筒部165に沿って起立している。円筒部165の外周縁に設けられている絞り部14が、絞り開口を絞るように動作する。
【0083】
ここで、絞り部14の動作は、人により操作されるものであってもよいし、駆動制御によるものであってもよい。この実施形態では、手動で絞り部14が操作される場合を例示している。
【0084】
[押圧工程]
図6は、第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の押圧工程を説明する説明図である。
【0085】
絞り工程で、絞り部14によりオブラートFの口が絞られると、絞り部14の絞り口が開かれる。そして、粉末包装補助部16に対して押圧部15が取り付けられ、粉末包装補助部16にあるオブラートFが押圧部15により押圧される。
【0086】
このとき、押圧部15の接合部157と、粉末包装補助部16の接合部163とが螺合して、粉末包装補助部16に押圧部15が取り付けられる。押圧部15は円筒部165の内側に位置している。また、押圧部15の先端にある接触部154は、円筒部165に収容されているオブラートFの重なり部分(袋口部分)と接触する。
【0087】
そして、螺合により押圧部15が回し込まれると、接触部154の下面にある開口部154aが、オブラートFの重なり部分に引っ掛かりながら回る。つまり、オブラートFの重なり部分が、開口部154aにより巻かれ、オブラートFの重なり部分が適度に締め付けられる。これにより、オブラートFの袋口部分を下方に押圧するとともに、オブラートFの袋口部分の閉まりが良好になる(
図8(C)参照)。
【0088】
[加湿工程]
図7は、第1の実施形態に係る粉末包装物製造方法の加湿工程を説明する説明図である。
【0089】
粉末包装補助部16には押圧部15が取りつけられ、押圧部15は、粉末包装補助部16に収容されているオブラートの重なり部分を押圧している。
【0090】
この状態で、例えば、所定量の水を含む電動ピペット等の注水具4が、押圧部15に取り付けられる。注水具4の取り付け方は、例えば、押圧部15の開口部152a、開口部153a及び開口部154aに、注水具4が上から差し込まれて取り付けられる。押圧部15に取り付けられた注水具4は、その本体が開口部152a及び開口部153aによって支持されると共に、注水具4の下端部が、開口径が小さい開口部154aに支持される。これにより、注水具4を安定させることができる。そして、押圧部15に取り付けられている注水具4が、オブラートFの重なり部分に所定量の水を加えて、オブラートFの重なり部分を湿らせる。
【0091】
ここで、電動ピペットの先にマイクロ注射針を付した注水具4を用いているのは、電動ピペットでごく少量の水をオブラートの袋口部分に垂らしただけでは、水の表面張力で水が玉状となってしまい、袋口部分で折り重なっている下層のオブラートに水が浸潤しない可能性がある。そこで、この実施形態のように、折り重なっているオブラートの袋口部分に、注水具4のマイクロ注射針の先端を差し込んで水を加えることで、何層にも重なっているオブラートに水が浸潤することになる。さらに、折り重なったオブラート同士の隙間にも水が入り込み、オブラートの層間にも水が浸潤するので、加熱して糊化し、乾燥させて老化させることで、折り重なったオブラート同士が更に縮小結合する。これにより、オブラートの袋口部分はより縮小するので、飲みやすい粉末包装物を提供できる。
【0092】
[加熱工程]
次に、注水具4が押圧部15から外される。そして、粉末を包んでいるオブラートFがその重なり部分(袋口部分)が湿らされ、かつ、押圧部15で押圧されている状態で、粉末包装物形成装置1が電子レンジに入れられる。そして、電子レンジで、粉末を包んでいるオブラートFが加熱(マイクロ波加熱)される。
【0093】
これにより、オブラートFの袋口部分が糊化及び老化して、オブラートの袋口部分が縮小して、当該袋口部分に加えられた水分が抜けて、オブラートの袋口が固く閉じる(
図8(D)参照)。
【0094】
なお、この実施形態では、粉末を包んでいるオブラートFを収容している粉末包装物形成装置1が、電子レンジに入れられる場合を例示する。つまり、粉末包装物形成装置1ごと電子レンジに入れられる。粉末包装物形成装置1で、オブラートFの袋口部分が押圧部15で押圧されている状態で、加熱(マイクロ波加熱)する場合を例示する。
【0095】
この場合、オブラートFの袋口部分は、押圧部15で押圧された状態である。この押圧状態で、湿らされたオブラートFの袋口部分が加熱されると、澱粉の糊化及び老化により、オブラートの重なり部分が縮小して、袋口部分がしっかりと閉じて固まる。
【0096】
従来、粉末をオブラートで包んだ場合、そのオブラートの縁部が嵩張ってしまい、飲みにくいという課題があった。しかし、この実施形態によれば、澱粉の糊化及び老化を利用して、粉末を包んでいるオブラートの縁部を縮小させて、オブラートの袋口をしっかりと閉じることができる。従って、オブラートの嵩張りを気にせず、利用者はこれを飲むことができる。
【0097】
また、特許文献1の記載技術のように、上側のオブラートシートと下側のオブラートシートとの接合部分が長い場合には、接合部分のいずれかの箇所で剥がれてしまう可能性があった。しかし、この実施形態によれば、押圧しながら、水を蒸発させているので、オブラートの縁部(重なり部分)が袋口付近の一点でまとまって固まるので、従来よりも剥がれにくくなるという効果がある。さらに、シートが剥がれにくいので、ある程度の衝撃にも耐えることができる。
【0098】
なお、蒸発した水蒸気は、粉末包装補助部16の底部161の開口部162、押圧部15の開口部152a、開口部153a及び開口部154a、連結リブ155及び156の間などから蒸散するようにしてもよい。つまり、蒸散した水蒸気がオブラートFに付着しないようにしている。
【0099】
ここで、オブラートFの重なり部分に加える水の量は、後述するマイクロ波加熱で蒸発可能な量とすることが望ましい。
【0100】
例えば、加える水の量が多いと、マイクロ波加熱で蒸発しきれず、水分がオブラートF上に残ってしまい、破れ等の原因となってしまう。他方、加える水の量が少ないと、オブラートFの溶ける部分が少なく、袋口に隙間が生じることもあり、袋口がしっかりと閉じていない状態となったり、しっかりと溶けきれていないオブラート部分が塊となって残ってしまったりする。そのため、加える水の量は、電子レンジ等の電磁波によるマイクロ波加熱で蒸発可能な量とする。
【0101】
この実施形態では、例えば、9cm×9cmの略正方形のオブラートFに1.5gのプロテインパウダを供給した。プロテインパウダを包み込んでいるオブラートFの縁部を絞り部14でオブラートFの袋口を閉じた。絞り部14で寄せ集めたオブラートの縁部は、端部から約数mm程度から十数mm程度であった。このようなオブラートFの端部を寄せ集めた重なり部分(袋口部分)に、注水具4で約2μl程度の水を加え、当該重なり部分のオブラートを湿らせた。そして、粉末包装物形成装置1を電子レンジ入れた。電子レンジでは、600Wで20秒加熱した。この条件で粉末包装物を作ったときに、オブラートFの縁部が小さく固まり袋口が閉じた良好なものをつくることができた。
【0102】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上、第1の実施形態によれば、粉末を包んだオブラートの縁部の重なり部分を湿らせ、押圧しながら加熱させることで、オブラートの袋口が縮小して閉じるので、飲みやすい粉末包装物を提供できる。
【0103】
また、第1の実施形態によれば、オブラートの縁部を寄せ集めた重なり部分が1箇所に縮小されて、袋口が閉じて固まるので剥がれにくくなる。そのため、衝撃が加わっても、従来よりも剥がれにくい粉末包装物を提供できる。
【0104】
(B)第2の実施形態
以下では、本発明に係る粉末包装物形成装置、及び粉末包装物製造方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0105】
(B-1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態の粉末包装物形成装置1は、基本的には、第1の実施形態の粉末包装物形成装置1と同様の構成である。
【0106】
第2の実施形態では、第1の実施形態の粉末包装物形成装置1を用いて、オブラートで粉末を包んだ粉末包装物の製造方法の一例を説明する。
【0107】
[オブラート載置工程]
オブラート載置工程は、第1の実施形態のそれと同様である。つまり、粉末包装物形成装置1において、フィルムガイド部13の上面にオブラートFが置かれる(
図3(B)参照)。
【0108】
なお、フィルムガイド部13は、ガイドフレーム12の内側領域に設けられている。フィルムガイド部13が、ガイドフレーム12に対して取り外し可能であれば、フィルムガイド部13が、ガイドフレーム12の上面に置かれる(
図3(A)参照)。
【0109】
[粉末供給工程]
粉末供給工程は、第1の実施形態のそれと同様である。粉末包装物形成装置1では、粉末供給部3が、フィルムガイド部13上に置かれているオブラートFの上面に、所定量の粉末Pを供給する(
図4(A)、
図4(B)参照)。
【0110】
粉末供給部3は、第1の実施形態と同様に、例えば先端部が開放している注射筒、所定量の粉末Pをオブラートに供給する供給管等を用いる。いずれにしても、所定量の粉末Pを供給可能なものを粉末供給部3として用いることができる。
【0111】
[絞り工程]
絞り工程は、第1の実施形態のそれと同様である。粉末包装物形成装置1では、粉末Pを包んでいるオブラートFの縁部が、円筒部165に沿って起立している。円筒部165の外周縁に設けられている絞り部14が、絞り開口を絞るように動作する。これにより、オブラートFの縁部が寄せ集められて、袋口部分が形成される。
【0112】
なお、オブラートFの縁部を寄せ集めることが可能であれば、絞り部14による絞り工程は、必須工程でなく省略可能である。
【0113】
[水付着(加湿)工程]
図9は、第2の実施形態に係る粉末包装物製造方法の加湿工程を説明する説明図である。
【0114】
加湿工程は、第1の実施形態のそれと異なる。第2の実施形態の加湿工程は、
図9に例示するように、先端が細い径の吹き出し口61を備える加湿器6を用いて、吹き出し口61から吹き出された水蒸気をオブラートFの重なり部分にあてて、当該重なり部分を湿らす。これにより、オブラートFの重なり部分を、効率的に加湿することができる。また、加湿器6を用いることにより、複数のオブラートFを同時に加湿することができるので、粉末包装物を大量生産するときに特に有効である。
【0115】
加湿器6は、スチーム方式(加熱方式)、超音波方式など様々な方式のものを適用できる。特に、この実施形態では、オブラートFの重なり部分を加湿するため、スチーム方式(加熱方式)の加湿器6が好ましい。加湿器6の出力電圧、オブラートFに水蒸気をあてる時間などは、加湿器6の性能、オブラートFの状態などを考慮して適宜設定できる。
【0116】
また、粉末包装物形成装置1におけるオブラートFの重なり部分は、当該粉末包装物形成装置1の上側に位置している。他方、加湿器6から吹き出した水蒸気は、上方に分散する。加湿器6からの水蒸気をオブラートFの重なり部分に正確にあてるため、加湿器6の吹き出し口61とオブラートFの重なり部分(加湿対象)との相対的な、距離、位置及び角度などを調整する必要がある。
【0117】
例えば、人間が粉末包装物形成装置1を持ってオブラートFの重なり部分を加湿するときには、加湿器6からの水蒸気がオブラートFの重なり部分にあたるように、人間が粉末包装物形成装置1の姿勢や高さを調整するようにしてもよい。
【0118】
また例えば、粉末包装物を大量生産するときには、加湿器6の吹き出し口61からの水蒸気が、オブラートFの重なり部分にあたるように、粉末包装物形成装置1の姿勢及び位置を調整する姿勢・位置調整部7(
図9参照)を備えるようにしてもよい。
【0119】
姿勢・位置調整部7は、粉末包装物形成装置1の姿勢・位置を調整するものであれば様々な機械器具を広く適用できる。例えば、姿勢・位置調整部7は、粉末包装物形成装置1を支持するアーム部、例えば、X軸座標・Y軸座標・Z軸座標・θ軸座標などのように多軸座標でアーム部を移動および回転させる駆動部、駆動部を制御する駆動制御部などを有する。
【0120】
なお、加湿器6が吹き出す水蒸気をオブラートFの重なり部分にあてることができるのであれば、
図9に例示する構成に限定されない。例えば、
図9では、加湿器6の吹き出し口61が斜め方向を向いているが、吹き出し口61を上方に向かせ、加湿対象のオブラートFの重なり部分が吹き出し口61に対して垂直となるように位置させ、水蒸気をオブラートFの重なり部分にあてるようにしてもよい。また例えば、オブラートFの重なり部分にまんべんなく適量の水蒸気が当たるようにするため、粉末包装物形成装置1を揺らしたり回転させたりして、水蒸気をオブラートFの重なり部分にあてるようにしてもよい。
【0121】
[押圧工程]
押圧工程は、第1の実施形態のそれと同様である。
【0122】
第1の実施形態では、オブラートFの重なり部分を押圧部15で押下する押圧工程後に、オブラートFの重なり部分を加湿する加湿工程を行う場合を例示した。これに対して、第2の実施形態では、加湿器6を用いて、オブラートFの重なり部分を加湿した加湿工程後に、オブラートFの重なり部分を押圧部15で押下する。
【0123】
押圧部15でオブラートFの重なり部分を押圧した状態で、加湿器6を用いてオブラートFの重なり部分を加湿しようとすると、押圧部15が邪魔して、水蒸気がオブラート5に達しない若しくは適度に万遍なく湿らすことが難しい。
【0124】
そこで、第2の実施形態では、加湿器6を用いたオブラートFの加湿後、押圧部15で、オブラートFの重なり部分を押圧する。なお、オブラートFの重なり部分を押下しながら、適度にオブラートFを加湿可能であれば、押圧工程後、加湿工程を行うようにしてもよい。
【0125】
[加熱工程]
加熱工程は、第1の実施形態のそれと同様である。粉末を包んでいるオブラートFがその重なり部分(袋口部分)が湿らされ、かつ、押圧部15で押圧されている状態で、粉末包装物形成装置1が電子レンジに入れられる。そして、電子レンジで、粉末を包んでいるオブラートFが加熱(マイクロ波加熱)される。
【0126】
これにより、オブラートFの袋口部分が糊化及び老化して、オブラートの袋口部分が縮小して、当該袋口部分に加えられた水分が抜けて、オブラートの袋口が固く閉じる(
図8(D)参照)。
【0127】
(B-2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第2の実施形態によれば、加湿器6を用いることで、オブラートFの重なり部分(袋口部分)を効率的に加湿できる。また、加湿器6を用いることで、オブラートFの重なり部分の湿らせる加減を調節しやすくなる。そのため、袋口部分を適度に小さくした粉末包装物を形成できる。
【0128】
(C)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0129】
(C-1)上述した第1及び第2の実施形態では、人間が粉末包装物形成装置1を用いて、1個ずつ粉末包装物を形成する場合を想定して説明した。しかし、第1又は第2の実施形態で説明した粉末包装物製造方法を利用して、自動化した製造装置にも適用できる。
【0130】
粉末包装物を生産するための粉末包装物形成装置(製造装置)及び製造方法は、基本的には、上述した第1又は第2の実施形態の粉末包装物形成装置(製造装置)及び製造方法を適用できる。
【0131】
(C-2)上述した実施形態では、押圧部15でオブラートFの重なり部分を押圧した後に、当該重なり部分に水を加える場合を例示した。
【0132】
しかし、オブラートFの重なり部分(袋口部分)に水を加えた後に、その袋口部分を押圧して加熱するようにしてもよい。つまり、押圧前に、オブラートFの重なり部分に水を加えるようにしてもよい。
【0133】
(C-3)上述した実施形態では、オブラートの重なり部分に水を加えて、粉末包装物形成装置1を電子レンジに入れて、マイクロ波加熱により水を加熱させる場合を例示した。
【0134】
しかし、水を加熱させる方法は、電磁波を利用した電子レンジに限定されない。例えば、マイクロ波で加熱するマイクロ波加熱装置であってもよい。特に、粉末包装物を自動化して製造する装置とする場合には、電子レンジに代えてマイクロ波加熱装置を用いる方が良い。
【0135】
また、押圧部15で、オブラートの重なり部分を押圧しながら水を加熱するのであれば、マイクロ波加熱に限定されず、例えば、温風、熱風、電熱ヒータなどで加熱させるようにしてもよい。さらに、スチーム方式(加熱方式)の加湿器を用いることで、オブラートFの重なり部分(袋口部分)に加熱した水を加えた後に、押圧部15でオブラートの重なり部分を押圧しながら自然乾燥させてもよい。これらの場合も、加熱した水によりオブラートが糊化し、オブラートの重なり部分を押圧しながら自然乾燥させることで老化し袋口が固く閉じるので、実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0136】
1…粉末包装物形成装置、11…基台、12…ガイドフレーム、13…フィルムガイド部、14…絞り部、15…押圧部、16…粉末包装補助部、121…フレーム本体、122…フレーム底部、131…開口部、132…底面、133a、133b、133c、133d…斜面部、151…円筒筐体、152…支持板、152a…開口部、153…連結部、153a…開口部、154…接触部、154a…開口部、155…連結リブ、156…連結リブ、157…接合部、161…底部、162…開口部、163…接合部、165…円筒部、166…開口部、
F…オブラート、P…粉末、3…粉末供給部、4…注水具、5…粉末包装物、6…加湿器、61…吹き出し口、7…姿勢・位置調整部。