IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューロナノ アーベーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】出血を回避する微小電極
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
A61N1/05
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021117645
(22)【出願日】2021-07-16
(62)【分割の表示】P 2018547251の分割
【原出願日】2016-11-21
(65)【公開番号】P2021164821
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】1500491-4
(32)【優先日】2015-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】508194652
【氏名又は名称】ニューロナノ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショウエンボリ、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】モハンメド、モーシン
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523895(JP,A)
【文献】国際公開第2004/071294(WO,A1)
【文献】特表2011-505901(JP,A)
【文献】特表2013-537466(JP,A)
【文献】特開平02-185265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0099441(US,A1)
【文献】特開2013-042985(JP,A)
【文献】特表2012-529338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植え込みのためのリジッド・サポートを必要とする、軟部組織の中への植え込みのための微小電極であって、前記微小電極は、近位端部および遠位端部を有する導電性の材料の細長い可撓性の電極本体部を含み、前記本体部は、前記遠位端部および前記近位端部から延在する、絶縁された遠位セクションおよび近位セクションを含み、前記遠位セクションおよび前記近位セクションは、環状のセクションによって分離されており、前記近位セクションは、第1の絶縁材料の層によってカバーされており、前記電極は、
- 前記遠位セクションの上の第1の絶縁材料の層;
- 第2の絶縁材料の層によってカバーされた、または、第2の絶縁材料の層によって完全にもしくは部分的に置換された、前記遠位セクションの上の第1の絶縁材料の層;ならびに、
1の絶縁材料および/または第2の絶縁材料の層;
のうちの1つによって形成された鈍い遠位終端バルジを含み、
前記バルジは、前記第1の絶縁材料の層によってカバーされている前記近位セクションの半径方向の延在よりも大きい半径方向の延在を有しており、
前記電極本体部は、前記環状のセクションを除いて、前記第1の絶縁材料の層によってカバーされており、前記環状のセクションは、前記遠位端部から近位方向に延在する前記遠位セクションと前記環状のセクションから前記近位端部へ延在する前記近位セクションとの間に配設されている、微小電極。
【請求項2】
前記電極本体部は、可撓性で湾曲しており、また、真っ直ぐな構造のときに回転対称の形態のものとなるような形状のものである、請求項1に記載の微小電極。
【請求項3】
前記遠位バルジの遠位面は、半円形もしくは半楕円形になっており、前記遠位バルジは、回転対称の軸線の上に中心を合わせられた、近位方向を向く円形または楕円形のベースを含む、請求項2に記載の微小電極。
【請求項4】
前記バルジの前記半径方向の延在は、前記近位セクションの上の前記第1の絶縁材料の層の前記半径方向の延在よりも、50%以上大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項5】
前記遠位セクションと前記近位セクションとの軸線方向の長さの比は、1:5以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項6】
前記環状のセクションの軸線方向の長さは、前記電極本体部の長さの10%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項7】
前記遠位セクションの上の絶縁材料の層は、前記近位セクションの上のものとは異なる材料から作製されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項8】
水性体液と接触して膨張することができる材料が、前記バルジをカバーする第1および/または第2の絶縁材料の層の上に配設されており、膨張することができる前記材料は、200から300以上のBloom強度を有している、請求項7に記載の微小電極。
【請求項9】
水性体液と接触して膨張することができる前記材料が、体温において膨張し、2倍以上大きい半径方向の延在の膨張した平衡状態に到達する、請求項8に記載の微小電極。
【請求項10】
前記遠位セクションの上に配設されている絶縁材料は、弾性である、請求項7から9のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項11】
前記弾性材料は、ガスを充填したクローズド・セルを含む、請求項10に記載の微小電極。
【請求項12】
前記微小電極は、可撓性の絶縁された導電体に取り付けられているかまたは取り付け可能であり、取り付けは、前記電極本体部に対して、その前記近位端部においてまたはその近くにおいて、導電性の様式で行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項13】
前記電極本体部は、金属から作製されているか、または、金属を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項14】
前記電極本体部は、導電性ポリマーから作製されているか、または、そのようなポリマーを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の微小電極。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の微小電極および生体適合性の固体のサポート材料を含むかまたはそれらから構成されているプロト微小電極であって、前記サポート材料は、前記微小電極に取り付けられており、前記サポート材料は、リジッドであり、また、体液の中で溶解可能である、プロト微小電極。
【請求項16】
前記サポート材料は、炭水化物および/もしくはタンパク質から構成されるかまたはそれを含み、また、凝固剤、抗凝固剤、抗生物質、浸透圧調節剤、抗炎症剤、栄養素、成長刺激因子、細胞分化刺激因子、ホルモンからなる群から選択される薬理学的活性薬剤を含む、請求項15に記載のプロト微小電極。
【請求項17】
前記サポート材料は、部分的にまたは完全に前記微小電極を包囲している、請求項15または16に記載のプロト微小電極。
【請求項18】
前記サポート材料は、リジッドである、請求項15から17のいずれか一項に記載のプロト微小電極。
【請求項19】
前記サポート材料を共有する、軸線方向に整列させられた請求項15から18のいずれか一項に記載のプロト微小電極のセット。
【請求項20】
前記プロト微小電極は、平行に配設されているか、または、遠位方向に扇形に広がるモードで配設されている、請求項19に記載のセット。
【請求項21】
微小電極は、前記近位セクションの上の前記絶縁層のものよりも大きい半径方向の延在の第2の絶縁材料の1つまたは複数の追加的なサブセクションを含み、前記サブセクションは、前記遠位セクションおよび/または前記近位セクションによって構成されている、請求項19に記載のセット。
【請求項22】
前記サブセクションは、より小さい半径方向の延在の中間セクションによって分離されている、請求項21に記載のセット。
【請求項23】
前記セットは、それらの遠位端部の近くの2つ以上の微小電極の間に配設されている、体液の中で膨張することができる拡張可能な材料を含み、膨張することができる材料の溶解速度は、前記サポート材料の溶解速度よりも低く、膨張することができる前記材料は、80から200のBloom強度を有している、請求項19または20に記載のセット。
【請求項24】
絶縁材料の遠位バルジは、非球形の形態のものである、請求項19から23のいずれか一項に記載のセット。
【請求項25】
非球形の形態の前記遠位バルジは、細長くなっており、また、前記層の回転対称の軸線に対して半径方向外向きに傾くような様式で軸線方向に配設されている、請求項24に記載のセット。
【請求項26】
前記近位セクションの上の前記絶縁層の直径よりも大きい直径の2つ以上のサブセクションは、それらの半径方向の延在量が異なっている、請求項20から25のいずれか一項に記載のセット。
【請求項27】
前記2つ以上の微小電極は、それらの遠位バルジを形成する、および/または、前記サブセクションのうちの1つまたは複数を形成する、前記絶縁材料の組成が異なっており、放射性手段によって神経組織の中に植え込まれた個々の微小電極の識別を可能にするようになっている、請求項19から26のいずれか一項に記載のセット。
【請求項28】
異なる長さの微小電極を含む、請求項19から27のいずれか一項に記載のセット。
【請求項29】
前記サポート材料の上に摩擦低減コーティングを含む、請求項15から18のいずれか一項に記載のプロト微小電極、または、請求項19から28のいずれか一項に記載のプロト微小電極のセット。
【請求項30】
前記微小電極、前記プロト微小電極、または、軸線方向に整列させられた前記プロト微小電極のセットは、カニューレの中に配設される、請求項1から14のいずれか一項に記載の微小電極、請求項15から18のいずれか一項に記載のプロト微小電極、または、請求項19から28のいずれか一項に記載のプロト微小電極のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟部組織、とりわけ、神経組織の中への植え込みの間の出血を回避するプロト微小電極(proto-microelectrode)に関し、植え込みの後にプロト微小電極から形成される微小電極に関し、また、それらの製造および使用に関する。そのうえ、本発明は、そのようなプロト微小電極のセット、および微小電極に関し、また、それらの製造、植え込み、および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電極の遠位端部を一番先にした状態で微小電極を挿入することによって神経組織の中へ微小電極を植え込む間に、血管を通過して損傷を与えるかなりのリスクが存在している。また、植え込まれた微小電極が血管または細胞に損傷を与えるリスクが存在している。
【0003】
生命を脅かすものではないが、そのような損傷から結果として生じる微小出血は、微小電極の分析性能または治療性能をかなり害するか、または、セットに関する微小電極によって出血が引き起こされる場合には、近隣の電極の分析性能または治療性能もかなり害する。
【0004】
いくつかの微小電極が神経学的疾患を治療するために使用される場合には、または、研究では、組織の中でのそれらの配設の識別が求められ、とりわけ、核または副核などのような解剖学的ランドマークに対して識別が求められる。とりわけ、それらの小さいサイズに起因して、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)、およびドップラー技法などのような、現在の非侵襲性の技法によって、単一の微小電極の位置を決定することは困難である。したがって、植え込まれた微小電極のセットに関して、互いに対して、および、解剖学的ランドマークに対して、それらの位置を決定することは、困難または不可能である。
【0005】
それらの可撓性に起因して、細くて細長い微小電極は、この目的のためにそれらを十分にリジッドにするサポートがないときには、軟部組織の中へそれらを挿入することによって植え込まれることができず、神経細胞のような脳の中の選択されたターゲットに対して所望の配設で植え込むことは一段と困難である。したがって、そのような微小電極のセットのターゲットとされる配設は、たとえば、それらが血管に損傷を与えることを回避すること、および、所望の様式で組織の中にそれらを広げることなど、当技術分野で容易に利用可能ではない対策を必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主要な目的は、軟部組織の中への挿入による植え込みの間に、および/または、静止していない軟部組織の中へのその配設の間に、血管に損傷を与えない微小電極を提供することであり、または、少なくとも、損傷のリスクが実質的に低減されている微小電極を提供することである。関心の軟部組織は、主に、神経組織、とりわけ、脳組織または脊髄組織であるが、また、内分泌組織、下垂体、松果体、甲状腺、副甲状腺、および副腎のそのような組織、睾丸組織および卵巣組織、ならびに、ランゲルハンス組織の膵島である。
【0007】
本発明の別の主要な目的は、細胞損傷を最小化する微小電極を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、そのような微小電極のセットを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる別の目的は、任意の他の微小電極、および/または、特定の神経細胞または核のような解剖学的ランドマークに対して、植え込まれた微小電極のセットに関する微小電極の位置を決定するための手段を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、挿入の後にそれぞれの電極がインサイチュで識別され得る、そのような微小電極のセットを提供することである。
【0011】
本発明の一層さらなる目的は、本発明の微小電極の製造の方法、および、本発明の2つ以上の微小電極を含むセットの製造の方法を提供することである。
【0012】
本発明の追加的な目的は、以下の発明の概要、その好適な実施形態の説明、および、添付の特許請求の範囲の検討から明らかになることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の微小電極は、リジッド・サポートのみによって軟部組織の中に配設され得るような種類のものである。本出願では、微小電極とリジッド・サポートとの組み合わせは、プロト微小電極と呼ばれている。植え込みの後に、リジッド・サポートは、体液の中での溶解によって除去され、本発明の微小電極は、インサイチュで形成される。
【0014】
本発明による軟部組織は、とりわけ、神経組織、たとえば、脳組織、脊髄組織、後根神経節、および末梢神経などであるが、そのような組織を包囲する体液および膜も含む。
【0015】
本発明によれば、軟部組織、とりわけ神経組織の中への植え込みのための微小電極であって、微小電極は、近位端部および遠位端部を有する導電性の材料の細長い電極本体部を含み、電極本体部は、その環状の接触セクションを除いて、第1の絶縁材料の層によってカバーされており、環状の接触セクションは、遠位端部から近位方向に延在する遠位セクションと環状のセクションから近位端部へ延在する近位セクションとの間に配設されており、遠位終端セクションの上の絶縁材料の層は、電極本体部の遠位端部の遠位に延在しており、遠位端部を完全に包囲し、鈍い遠位バルジ(bulge)を形成するようになっており、または、遠位終端セクションの上の第1の絶縁材料の層は、バルジを形成する第2の絶縁材料の層によってカバーまたは置換されている、微小電極が提供される。バルジは、近位セクションの上に配設されている非伝導性材料の層の半径方向の延在よりも実質的に大きい半径方向の延在を有している。
【0016】
本発明によれば、軟部組織、とりわけ、神経組織または内分泌組織の中への植え込みのための微小電極であって、微小電極は、近位端部および遠位端部を有する導電性の材料の細長い電極本体部を含み、本体部は、遠位端部および近位端部から延在する、絶縁された遠位セクションおよび近位セクションを含み、遠位セクションは、随意的に、その遠位端部に球状部を含み、遠位セクションおよび近位セクションは、環状のセクションによって分離されており、近位セクションは、第1の絶縁材料の層によってカバーされており、電極は、遠位セクションの上の第1の絶縁材料の層;第2の絶縁材料の層によってカバーされた、または、第2の絶縁材料の層によって完全にもしくは部分的に置換された、遠位セクションの上の第1の絶縁材料の層;ならびに、球状部の上の第1の絶縁材料および/または第2の絶縁材料の層;のうちの1つによって形成された鈍い遠位終端バルジを含み、バルジは、第1の絶縁材料の層によってカバーされている近位セクションの半径方向の延在よりも実質的に大きい半径方向の延在を有している、微小電極がさらに提供される。
【0017】
本発明の好適な態様によれば、微小電極は、絶縁されたセクションによって分離されている2つ以上の環状のセクションを含む。2つ以上の環状のセクションが、互いに直ぐ近くに配置されていること、たとえば、電極本体部の軸線方向の延在(長さ)の20%または10%または5%または2%だけ軸線方向に延在する電極本体部の一部分の中に配置されていることが好適である。
【0018】
微小電極本体部が回転対称になっていることが好適である。また、微小電極本体部が可撓性であり、とりわけ、弾性的に可撓性であることが好適である。本発明の有利な態様によれば、電極本体部は、 可撓性で湾曲しており、また、真っ直ぐな構造のときに回転対称の形態のものとなるような形状のものである。
【0019】
遠位バルジの遠位面は、おおよそ半球形もしくは半楕円形になっており、または、放物面もしくは双曲面の形態のものであることが可能であり、遠位バルジは、円形または楕円形のベースを含み、円形または楕円形のベースは、近位方向を向いており、回転対称の軸線の上に中心を合わせられている。
【0020】
本発明の好適な態様によれば、バルジの半径方向の延在は、好ましくは、近位セクションの上の第1の絶縁材料の層の半径方向の延在よりも、50%以上、とりわけ100%以上、または1000%以上大きい。
【0021】
本発明の別の好適な態様によれば、近位セクションに対する遠位セクションの軸線方向の長さの比は、好ましくは、1:2もしくは1:5以上、とりわけ1:10以上であり、さらには、1:20以上および1:50以上である。環状のセクションの軸線方向の長さは、電極本体部の長さの10%以下、とりわけ、5%以下、2%以下、もしくは1%以下であることが好適である。
【0022】
本発明のさらなる好適な態様によれば、遠位セクションの上の絶縁材料は、近位セクションの上のものとは異なる材料から作製されている。遠位セクションの上の絶縁材料が、水性体液(aqueous body fluid)と接触して膨張することができる材料の層、とりわけ、体温で膨張することができ、膨張していない材料のものよりも2倍または5倍および10倍以上大きい半径方向の延在の膨張した平衡状態に到達する材料の層によってカバーされていることが好適である。膨張することができる材料は、200から300以上の、とりわけ、200から350の好適なBloom強度を有し、また、約300の最も好適なBloom強度を有している。
【0023】
本発明の別の好適な態様によれば、遠位セクションの上の絶縁材料は、弾性であり、とりわけ、ガスを充填したクローズド・セルを含むことによって弾性である。
【0024】
本発明の好適な態様によれば、バルジ材料または絶縁材料は、MRIの中での本発明の微小電極の視認性を改善するための薬剤、たとえば、強磁性の粒子を含むかまたはそれから構成される薬剤を含む。
【0025】
本発明の微小電極は、可撓性の絶縁された導電体に伝導性様式で取り付けられ得るかまたは取り付け可能であり、取り付けは、電極本体部に対して、好ましくは、その近位端部においてまたはその近くにおいて行われる。本発明の微小電極の電極本体部は、金属から構成されているか、もしくは、金属を含み、または、導電性ポリマーから構成されているか、もしくは導電性ポリマーを含む。
【0026】
また、本発明によれば、本発明の微小電極および生体適合性の固体のサポート材料を含むかまたはそれらから構成されているプロト微小電極が開示されている。サポート材料は、遠位端部を一番先にした状態で挿入することによって軟部組織の中への微小電極の植え込みを可能にするように十分にそれを安定化させる様式で、微小電極に取り付けられている。本発明の重要な態様によれば、サポート材料はリジッドである。そのうえ、サポート材料は、体液の中で溶解可能である。サポート材料は、部分的にまたは完全に微小電極を包囲することが可能である。
【0027】
サポート材料は、炭水化物および/もしくはタンパク質から構成されるかまたはそれを含むことが可能であり、また、随意的に、凝固剤、抗凝固剤、抗生物質、浸透圧調節剤、抗炎症剤、栄養素、成長刺激因子、細胞分化刺激因子、ホルモンからなる群から選択される薬理学的活性薬剤を含む。
【0028】
本発明によれば、サポート材料を共有する、本発明の軸線方向に整列させられたプロト微小電極のセット、すなわち、微小電極のプロト・セットがさらに開示されている。したがって、微小電極のプロト・セット、および、プロト微小電極のセットという用語は、本出願において無差別に使用されている。微小電極は、平行に、または、たとえば、基準として使用される中央に配設されている電極に対して10度または15度などの角度だけ、遠位方向に扇形に広がるモードで、プロト・セットの中に配設され得る。プロト・セットの微小電極は、近位セクションの上の絶縁層のものよりも実質的に大きい半径方向の延在の第2の絶縁材料の1つまたは複数の追加的なサブセクションを含むことが可能である。サブセクションは、電極本体部の上に配設され得り、遠位セクションおよび/または近位セクションによって構成されるようになっている。サブセクションは、完全に分離され得るか、または、より小さい半径方向の延在の中間セクションによって分離され得り、しかし、その半径方向の延在は、第1の絶縁層の半径方向の延在よりも大きい。
【0029】
本発明の好適な態様によれば、微小電極のプロト・セットは、体液の中で膨張することができる拡張可能な材料を含むことが可能である。拡張可能な材料は、それらの遠位端部の近くの2つ以上の微小電極の間に配設されている。本発明の重要な態様によれば、体液の中の拡張可能な材料の溶解速度は、サポート材料の溶解速度よりも低い。拡張可能な材料は、80から200の、とりわけ、約100から150の好適なBloom強度を有しており、すなわち、遠位バルジの第1のおよび/または第2の絶縁材料の層の上に配設される、水性体液と接触して膨張することができる材料のものよりも劣るBloom強度を有している。
【0030】
本発明のさらに好適な態様によれば、1つの微小電極の絶縁材料の遠位バルジが非球形の形態になっているプロト・セットが開示されている。遠位バルジは、電極の遠位終端セクションの上に配設されており、また、電極本体部軸線に対して半径方向外向きに傾くような様式で配設されている。これによって、遠位バルジが、半径方向外向きに傾く前方面を見せることとなり、前方面は、近位からの視点においてバルジによって示される面である。
【0031】
対応するプロト・セットの植え込み、および、サポート材料の溶解が起こったときに、放射性手段によってセットのうちの関連の単一の電極の識別を可能にするために、電極には、それらの半径方向の延在が異なる近位セクションの上の絶縁層のものよりも実質的に大きい直径の異なる数のサブセクションが設けられている。代替的に、セットの微小電極は、それらの遠位バルジを形成する、および/または、前記サブセクションのうちの1つまたは複数を形成する、絶縁材料の組成を異ならせることによって、区別され得る。
【0032】
そのうえ、細胞、とりわけ神経細胞の電気的な刺激を含む方法における、および、そのような細胞の電気的な活性をモニタリングすることを含む方法における、本発明の微小電極、プロト微小電極、および、プロト微小電極のセットの使用が本明細書で開示されている。
【0033】
追加的に、脳組織、脊髄組織、後根神経節、および末梢神経の中の細胞の異常機能を含む疾患を、電気的な刺激によって治療する方法における、ならびに、そのような組織の中の細胞の電気的な活性をモニタリングすることにおける、本発明の微小電極の使用、プロト微小電極の使用、および、プロト微小電極のセットの使用が本明細書で開示されている。
【0034】
本発明の微小電極のセットまたはプロト・セットに関する微小電極は、等しい長さのものである必要はない。したがって、本発明のプロト・セットおよび対応するセットは、異なる長さの2つ以上の微小電極を含むことが可能である。
【0035】
挿入による軟部組織の中への植え込みを促進させるために、本発明のプロト微小電極または微小電極のプロト・セットは、サポート材料の上に摩擦低減コーティングを含むことが可能である。
【0036】
ここで、本発明は、大まかな図面に図示されているその複数の好適な実施形態を参照することによって、より詳細に説明されることとなり、その図は、明瞭化のために実寸にはなっていない。一般的に、図示されている微小電極の半径方向の延在は、その軸線方向の延在に対して誇張されている。図示されている微小電極は、回転対称になっているか、または、少なくとも実質的に回転対称になっている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1a】本発明の微小電極の第1の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図1b】本発明の微小電極の第2の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図1c】本発明の微小電極の第3の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図1d】本発明の微小電極の第4の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図1e】本発明の微小電極の第5の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図1f】本発明の微小電極の第6の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図2a】3つの異なる回転対称の微小電極を含む、本発明のプロト微小電極のセットの第1の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図2b】3つの異なる回転対称の微小電極を含む、本発明のプロト微小電極のセットの第2の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図3】本発明の3つの微小電極のセットを通る軸線方向断面であり、3つの微小電極のセットのうちの1つは、回転対称になっており、他の2つは、それらの遠位端部部分を除いて回転対称になっていることを示す図である。
図3a】体液の中で溶解可能なリジッド・サポート材料の中に包囲されている、図3の微小電極のセットに対応するプロト微小電極のセットを、(セットに関して、および、それぞれの個々の電極に関して)同じ軸線方向断面で示す図である。
図3b】神経組織の中への図3aのプロト微小電極のセットの挿入が起こったとき、および、体液によるサポート材料の溶解が起こったときに形成された、図3の微小電極のセットの配設を、同じ軸線方向断面で図示する図である。
図3c】それらの近位端部に作用する軸線方向の力によって神経組織の中へそれらをさらに挿入したときの、図3のセットの電極の配設を、(束に関して、および、それぞれの個々の電極に関して)同じ軸線方向断面で図示する図である。
図4a】リジッド・サポート材料の中に包囲されている、本発明のプロト微小電極のセットの包囲する別の実施形態を図示しており、リジッド・サポート材料は、体液の中で溶解可能であり、電極の遠位終端部分同士の間に配設されている、体液と接触するとゲルを形成する材料のセクションをさらに含むことを、(R-R、図4b;セットに関して、および、それぞれの個々の電極に関して)軸線方向断面で図示する図である。
図4b図4aのプロト微小電極のセットを通る半径方向断面(S-S、図4a)を示す図である。
図4c】プロト微小電極の別のセット(軸線方向断面では示されていない)を通る半径方向断面を示す図であり、その断面は、図4bのものに対応している。
図5】体液の中で溶解可能なリジッド・サポート材料によって包囲されている、本発明のプロト微小電極のセットのさらなる実施形態を、軸線方向断面(Q-Q、図5a)で図示する図である。
図5a図5の実施形態を半径方向断面(P-P、図5)で図示する図である。
図5b】リジッド・サポート材料の溶解、および、電極の遠位終端バルジ部分をカバーするゲル形成材料の拡張がおこり、それらを半径方向に引き離すことを結果として生じさせたときの、本発明のプロト微小電極のセットの一層さらなる実施形態を、図5aのものに対応する半径方向断面で図示する図である。
図6】それらの下側がゼラチン・シートの1つの面に取り付けられている、本発明の5つのプロト微小電極のセットを上面図で図示する図である。
図6a図6のプロト微小電極のセットを通る横断面L-Lを示す図である。
図7】本発明の微小電極の第7の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図7a】本発明の微小電極の第8の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図7b】本発明の微小電極の第9の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図7c】その遠位ヘッドまたはバルジを除いて回転対称になっている、本発明の微小電極の第10の回転対称の実施形態を通る軸線方向断面を示す図である。
図8】水性体液と接触する前の、その遠位終端バルジの上にゲル形成材料の層を含む、図7bの微小電極を通る軸線方向断面を示す図である。
図8a】水性体液と接触したときの、その遠位終端バルジの上にゲル形成材料の層を含む、図7bの微小電極を通る軸線方向断面を示す図である。
図9】軟部組織の中への本発明の微小電極のプロト・セットの挿入のプロセスを図示する図であり、2つの微小電極のプロト・セットの軸線方向断面を示す図である。
図9a】軟部組織の中への本発明の微小電極のプロト・セットの挿入のプロセスを図示する図であり、軟部組織の中へのプロト・セットの挿入、および、微小電極を接続するグルーの溶解が起こったときに形成された微小電極のセットを、同じ断面で示す図である。
図9b】軟部組織の中への本発明の微小電極のプロト・セットの挿入のプロセスを図示する図であり、それらの遠位部分を引き離す、それらのヘッドの上に配設されている、水性体液と接触して拡張可能な材料の層が膨張したときの、微小電極のセットを、同じ断面で示す図である。
図9c】軟部組織の中への本発明の微小電極のプロト・セットの挿入のプロセスを図示する図であり、組織の中へさらに挿入されている、拡張可能な材料の溶解/劣化が起こったときの、図9bの微小電極のセットを、同じ断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
例1. 微小電極
図1a~図1fおよび図7図7bは、本発明の微小電極の9つの実施形態を図示している。
【0039】
図1aの微小電極1は、金属または導電性ポリマーの細長い円筒形状の電極本体部2を含む。電極本体部2は、その遠位端部の近くに配設されている環状ゾーン5を除いて、電気的に絶縁されており、環状ゾーン5は、ポリマー材料の球体4によって、その遠位端部から分離されており、球体4には、電極本体部2の遠位端部を取り囲んで包囲している。環状ゾーン5の近位境界部からスタートして、電極本体部2は、ポリマー材料の薄い層3によって電気的に絶縁されており、薄い層3は、電極本体部2の近位端部まで延在して包囲している。電極本体部2の近位端部は、絶縁7されている可撓性のワイヤー6と電気的接触をしており、可撓性のワイヤー6は、はんだ8または溶接によって電極本体部2に取り付けられている。
【0040】
図1bの微小電極11は、球体4がポリマー材料の洋ナシ状の遠位終端バルジ14によって置換されているという点において、図1aの微小電極1とは異なっている。参照数字12、13、15、16、17、および18は、図1aの参照数字2、3、および5~8のものに対応するエレメント/特徴を指定している。一般的に、バルジを形成するために使用されるポリマー材料は、絶縁特性を有する材料であるが、電極本体部2のセクションをカバーする薄い絶縁層3の上ではなく、裸の電極本体部2の上に、バルジが配設されている場合にのみ、これらの特性は効果的である。
【0041】
電極本体部22の上の絶縁材料の薄い層23、23’が、遠位端部の近くによって中断され、近位部分23および遠位部分23’を形成しており、近位部分23と遠位部分23’との間に配設されている環状の電極ゾーン25と、遠位部分23’と、電極本体部22の遠位端部を取り囲んで包囲する絶縁ポリマー材料の球体24と、絶縁材料の遠位部分23’の終端セクションとの境界を定めているという点において、図1cの微小電極21は、図1aの微小電極1とは異なっている。
【0042】
ポリマー材料の第2の球体34’が、電極本体部32の近位端部から環状の電極ゾーン35の近位境界部へ延在している、絶縁ポリマー材料の薄い層33の遠位端部の周りに配設されているという点において、図1dの微小電極31は、図1aの微小電極1とは異なっている。
【0043】
第1の球体44および第2の球体44’に加えて、第3の球体44’’が配置されており、第3の球体44’’は、絶縁材料の薄い層43によってカバーされている電極本体部42の一部分の上に、第2の球体44’の近位に配設されているという点において、図1eの微小電極41は、図1dの微小電極31とは異なっている。参照数字45~48は、図1dの実施形態のエレメント/特徴35~38に対応するエレメント/特徴を指定している。同じ直径の4つの部分的に融合された球体54’、54’’、54’’’、54’’’’が、電極本体部52の上に配設されており、第1の(遠位)球体54’が、近位に環状の電極ゾーン55の境界を定めており、一方、第4の球体54’’’’が、電極本体部52の近位部分の上の薄い絶縁層53の遠位端部を取り囲んでシールしているという点において、図1fの微小電極51は、図1aの微小電極(1d)とは異なっている。特徴56~58は、図1dの実施形態の特徴36~38に対応している。
【0044】
図7の微小電極230は、金属または導電性ポリマーの細長い円筒形状の電極本体部222を含む。電極本体部222は、その遠位端部の近くに配設されている環状ゾーン225を除いて、ポリマー層223、223’によって絶縁されている。電極本体部222の遠位端部は、半径方向に拡張されており、球状部229を形成するようになっている。球状部229と、球状部229と環状ゾーン225との間に延在する電極本体部222の短い円筒形状のセクションとは、ポリマー層の遠位セクション223’によってカバーされており、バルジ223’、229を形成するようになっている。ポリマー層の近位セクション223は、環状ゾーン225から電極本体部222の近位端部へ延在しており、電極本体部222を取り囲んで包囲している。電極本体部222の近位端部は、絶縁227されている可撓性のワイヤー226と電気的接触をしており、可撓性のワイヤー226は、はんだ228または溶接によって電極本体部222に取り付けられている。球状部229は、電極本体部222の遠位部分へのポリマー層223’の接着を改善し、それは、電極230が組織から引き抜かれる場合にとりわけ重要である。これは、ポリマー層223’が緩くなって組織の中に残されるリスクを最小化する。
【0045】
球状部229によって形成されているバルジ223’、224、229が、近位セクションの上の絶縁材料223とは異なる絶縁材料224と、環状ゾーン225の遠位端部と球状部229との間に延在する短い遠位セクションの上に配設されている、近位セクションのものと同じ種類の絶縁材料223’とによってカバーされているという点において、図7aの微小電極231は、図7の微小電極230とは異なっている。球状部229によって形成されているバルジ224、229が、近位セクションの上の絶縁材料223とは異なる絶縁材料224によってカバーされており、絶縁材料224が環状ゾーン225の遠位端部まで延在しているという点において、図7bの微小電極232は、図7の微小電極230とは異なっている。図8の微小電極234は、バルジ224、229の絶縁材料224が乾燥ゼラチンの層221によってカバーされているという点において、図7bの微小電極とは異なっている。水性体液と接触すると、ゼラチン層221は、水を吸収し、ゲルに変換され、ゲルは、絶縁材料224の上に膨張したゲル状層221’を形成する。ゲル状層221’は、永続的ではなく、時間の経過とともに溶解または劣化させられ、溶解/劣化の速度は、その架橋結合の程度などのような、その物理的なおよび化学的な特性に依存している。
【0046】
例2. プロト微小電極のセット
図2aに示されている本発明のプロト微小電極60のセットは、3つの微小電極A、B、Cを含み、3つの微小電極A、B、Cは、それぞれ、図1a、図1d、および図1eの微小電極1、31、41と同一である。それらの絶縁された可撓性のワイヤー6、36、46を除いて、微小電極A、B、Cは、リジッド・サポート材料61の中に完全に埋め込まれており、リジッド・サポート材料61は、水性体液の中で可溶性である。微小電極A、B、Cのセットを埋め込むリジッド・サポート材料の層は、中央の微小電極Cの軸線に対応する軸線(図示せず)の周りに回転対称になっている。材料61は、体液の中で可溶性である生体適合性の炭水化物またはタンパク質から構成されるかまたはそれを含む。微小電極A、B、Cは、平行に整列させられており、また、おおよそ同じ長さのものである。しかし、異なる長さの微小電極を使用することも、本発明の範囲内である。
【0047】
本発明のプロト微小電極のセットの別の実施形態が、図2bに示されている。プロト・セット70は、平行に配設されているおおよそ等しい長さの3つの微小電極A、A’、A’’を含む。微小電極A、A’、A’’は、微小電極A’、A’’の球体4’、4’’が微小電極Aの球体4よりも連続的に小さくなっていることを除いて、図1aの微小電極1と同一である。それらの近位端部に取り付けられているそれらの絶縁された可撓性のワイヤー6、6’、6’’を除いて、微小電極A、A’、A’’は、サポート材料71の層が中央の微小電極A’について中心を合わせられる様式で、すなわち、サポート材料71の層が、回転対称の微小電極A’の軸線の回転軸線に重ね合わせられた回転軸線を有する様式で、回転対称のリジッド・サポート材料71の中に埋め込まれている。有用な層71材料は、低分子量または中間分子量の炭水化物またはタンパク質を含む。
【0048】
微小電極のさらなるセット110が、図3aに示されている。厳密に言えば、セット110は、微小電極のプロト・セットである。プロト・セット110は、図3の配設の中に3つの微小電極80、90、100を含む。中央に配設されている微小電極80は、その遠位バルジ84が図1eの遠位バルジ44の円形断面の代わりに縦断面において楕円体になっているということを除いて、図1eの微小電極41と同じ設計のものである。遠位バルジ84の長い軸線K-Kは、電極本体部82の軸線と整列させられており、一方、バルジ94および104の長い軸線J-J、L-Lは、電極本体部92、102の軸線I-I、M-Mと整列させられておらず、それらに対して約-30°、30°の角度α、α’を形成している。
【0049】
図3の微小電極E、F、Gは、図2a、2bの微小電極のプロト・セットのものと同じ設計および組成の層111の中に埋め込まれており、図3aに図示されている微小電極のプロト・セット110を形成するようになっている。その後方終端面を除いて、層111は、摩擦低減材料の薄い外側層112によってカバーされており、薄い外側層112は、微小電極110のプロト・セットを含む、体液の中で可溶性の材料の層111を神経組織の中へ挿入すると、溶解または分解する。また、外側層112は、挿入の完了の前の時期尚早の溶解から層111材料を保護することが可能である。
【0050】
神経組織113の中への挿入、および、層111の溶解が起こると、図3bに示されている状態に到達する。インサイチュで形成されたセットの微小電極E、G、Fは、図3aのものとおおよそ同じ配設で組織113の中に配設されている。
【0051】
矢印Xによって示されているように遠位方向に、それぞれの微小電極E、F、Gに対しておおよそ軸線方向に作用する力Xによって、それらのさらなる挿入が起こる間に、中央に配設されている微小電極Eは、軸線方向の遠位方向に変位させられ、一方、傍らにある微小電極FおよびGは、矢印Y、Y’によって示されているように、中央の電極Eから離れるように偏向させられ、斜めの軸線方向に組織の中に配設されている。偏向は、バルジ94、104によって引き起こされており、バルジ94、104は、中央の微小電極軸線Eの軸線K-Kに関して非対称的に配設されている。神経組織の中への挿入が起こり、セットE、F、Gを固定化しているサポート材料が溶解させられると、この設計は、周辺に配設されている、軸線方向に整列させられているかまたはおおよそ整列させられている、微小電極のプロト・セットの部材を扇形に広げることを可能にする。この配置は、創傷部エリア(すなわち、神経組織の中への束の挿入の方向に対して横断方向の創傷部のエリア)よりも実質的に幅の広いエリアにわたって、遠位の微小電極端部部分の配設を可能にする挿入によって、小さい創傷部しか生じさせないという追加的な利点を提供する。
【0052】
図4aおよび図4bに示されている本発明の微小電極のプロト・セット120の第3の実施形態は、3つの微小電極A、A’、A’’を含み、3つの微小電極A、A’、A’’は、平行に整列させられ、また、間隔を置いて配置された構成で整列させられており、その微小電極Aは、図1aの微小電極と同一であり、一方、他の微小電極A’およびA’’は、異なる直径の、および、微小電極Aのバルジ124に対して低減された直径の、遠位終端バルジ124’、124’’を有している。体液と接触すると膨張する材料のインサート127が、対A、A’およびA’、A’’の遠位終端部分同士の間のスペースの中に配設されている。インサート127の軸線方向の延在は、バルジ124、124’、124’’の延在の一部、および、絶縁体のない環状の電極本体部セクション125、125’、125’’の延在の一部を含む。神経組織の中へのプロト・セット120の挿入、および、マトリックス121の溶解が起こると、インサート127は、体液によって接触され、インサート127は、膨張しながら体液を取り込む。それらの膨張は、微小電極A、A’、A’’のバルジ124、124’、124’’を含む遠位終端部分を押し離し、組織の中へのそれらのさらなる挿入が、中央の微小電極A’から離れるように外側微小電極A、A’’を押すことを結果として生じさせるようになっており、それらの遠位部分を扇形に広げさせるようになっている。したがって、配設的な効果は、図3aの実施形態のものと同様である。神経組織の中の微小電極A、A’、A’’のそれぞれの位置は、それらの遠位終端バルジ124、124’124’’のサイズに関してそれらが異なることに起因して、組織浸透イメージング(tissue penetrating imaging)技法によって識別され得る。神経組織の中への微小電極プロト・セット120の挿入は、たとえば、トング(tongue)128、129によって、反対側の側面後方の窪み部において束120を保持するトング状の器具の使用によって達成される。
【0053】
図4cは、微小電極のプロト・セット130を図示しており、それは、図4a、図4bの実施形態の変形例である。微小電極のプロト・セット130は、回転対称のサポート材料131によってカバーされている5つの微小電極を含み、サポート材料131は、体液の中で溶解可能であり、図4a、図4bのものと同じ形状のものである。おおよそ中央に配設されている微小電極134は、4つの微小電極134’、134’’、134’’’、134’’’’によって取り囲まれており、それらのすべてが、サポート材料131の中に完全に埋め込まれている。中央の微小電極134の遠位終端部分は、ゲル形成層137によって取り囲まれており、ゲル形成層137は、周辺に配設されている微小電極134、134’’、134’’’、134’’’’まで延在し、それらの対の間のスペースの中へ延在している。図4a、図4bの微小電極プロト・セット120と同様に、体液の中で溶解可能なリジッド・サポート材料の層の中に固定化された微小電極のプロト・セット130を神経組織の中へ挿入することは、サポート材料131の溶解を結果として生じさせ、その後にゲル形成層137による水の取り込みが続き、それは、その半径方向の拡張を結果として生じさせ、その半径方向の拡張は、周辺の微小電極134’、134’’、134’’’、134’’’’の終端遠位部分の半径方向変位と組み合わせられ、それらを半径方向に扇形に広げさせるようになっている。
【0054】
図5および図5aに示されている本発明の微小電極のプロト・セット140の第4の実施形態は、同一の設計の5つの微小電極H、H’、H’’、H’’’、H’’’’を含み、5つの微小電極H、H’、H’’、H’’’、H’’’’は、体液の中で溶解可能なリジッド・サポート材料141の回転対称の層の中に、平行に整列させられた配設で埋め込まれている。その近位端部において、微小電極H、H’、H’’、H’’’、H’’’’のそれぞれには、電極制御のために植え込まれた装置(図示せず)との電気通信を確立するために、可撓性の絶縁されたワイヤー146が設けられている。ワイヤー146だけが、図5に模範的に識別されている。微小電極H、H’、H’’、H’’’、H’’’’は、それらの遠位終端バルジ144(中央の微小電極Hに関してのみ識別されている)が、体液と接触するとゲルを形成することができる材料の層149(中央の微小電極Hに関してのみ識別されている)によってカバーされているということを除いて、図1aの微小電極と同じ設計のものである。
【0055】
体液の中で溶解可能なリジッド・サポート材料の層141の中に埋め込まれている微小電極のプロト・セット140を神経組織147の中へ挿入すると、サポート材料141が溶解させられ、微小電極H、H’、H’’、H’’’、H’’’’の終端バルジ144の上のゲル形成層149が、体液によって接触され、それは、図5bに示されているように、ゲル形成層149を拡張および融合させる。ゲル149*の拡張は、そのように変換された周辺に配設されている微小電極h’、h’’、h’’’、h’’’’の遠位終端部分が、中央の微小電極h(微小電極H-マイナス-ゲル形成層149として識別される)から半径方向外向きに偏向させられることを結果として生じさせ、神経組織(図示せず)の中へのそれらのさらなる挿入が、それらを半径方向に扇形に広げさせることを結果として生じさせるようになっている。参照数字142、143、145は、すべての電極HからH’’’’に関して、電極本体部と、電極本体部の上の絶縁層と、神経組織と接触している電極本体部の環状の非絶縁部分とを模範的に識別している。
【0056】
図6に示されている本発明の5つの微小電極150、150’、150’’、150’’’、150’’’’のプロト・セットは、微小電極の前方端部が遠位方向に扇形に広がっている配設で、ゼラチン・シート151の上側面の上に固定化されている。それらの固定化は、ゼラチン・シート151の上に微小電極を配設するように選択されるエリアを湿らせてゲル状の表面を形成すること、所望の配設でゲル状の表面の上に微小電極150、150’、150’’、150’’’、150’’’’を配設すること、および、それらを表面に押し付け、次いで、永続的な接着剤接続を作り出すように乾燥させることによって達成される。微小電極150、150’、150’’、150’’’、150’’’’は、図1aの微小電極と同じ種類のものである。したがって、固定化されたセットは、たとえば、それが体液によって接触される硬膜(dura mater)のいずれかの側に配設され得る。ゲルへの乾燥ゼラチン・シート151の変換、および、ゲルの溶解が起こると、電極150、150’、150’’、150’’’、150’’’’のセットは、所望の構成で組織の中または上に配設され、それぞれの電極は、他の電極から独立して自由に移動することができ、または、自由に変位させられることができる。乾燥ゼラチン・シート151は可撓性ではないので、湾曲した組織表面にそれを当接させるようにそれを曲げることを可能にするために、それは湿らせられる必要がある。代替的に、電極150、150’、150’’、150’’’、150’’’’のセットは、それを特定の組織表面とフィットさせる様式で既に曲げられた乾燥ゼラチンのシートの上に配設され得る。
【0057】
例3. 微小電極のプロト・セットの好適な実施形態の植え込み
図9は、図8の2つの微小電極の回転対称の(軸線Y-Y)プロト・セット300を示しており、それは、パリレンCの層323、423によって絶縁されている細長い回転対称の(軸線V-V、W-W)金電極本体部322、422と、本体部322、422と一体になっている遠位の金球状部329、429と、球状部329、429をカバーするポリウレタンキャップ321、421と、絶縁されている近位セクションと遠位セクションとの間に配設されている絶縁体のないセクション325、425とを含む。セットの微小電極と、貫通通路427を含む中央に配設されているカニューレ428とは、グルー・マトリックス426によって包囲されて保持されており、グルー・マトリックス426は、水性体液、たとえば、ゼラチンまたはグルコースなどによって容易に溶解させられる。時期尚早の溶解を防止するために、および、滑走特性を改善するために、マトリックス426には、体温のわずかに上で溶融する薄いワックス・コーティングが設けられ得る(図示せず)。電極軸線V-V、W-Wは、プロト・セット軸線Y-Yと平行に配設されている。
【0058】
挿入してから短い時間のうちに、たとえば、1分または2~3分などのうちに、グルー・マトリックス426は溶解させられる。それは、カニューレ通路427を通して吸い上げることによって除去される。図9aは、マトリックス426の溶解、および、形成された水溶液の除去の後の、電極のセット301を示している。参照数字は、図9のものと同じエレメントを表している。
【0059】
長期間にわたって、たとえば、30分以上にわたって、図9aの配設でセット301を保持することは、キャップ321、421の上の拡張可能な材料324、424の層が、水性体液から水を取り込み、それによって、ゲル424’を形成するように膨張することを可能にする。キャップ321、421の間に配設されている層324、424の部分の拡張は、中心軸線Y-Yから離れるように半径方向にキャップ321、421を押し、それによって、電極本体部322、422の平行な配設を、遠位方向に開いている角度付きの配設(角度β)に変化させる。ゲル424’の溶解/劣化の後に、または、ゲル424’の実質的な軟化の後に、電極321、322、323、329;421、422、423、429は、それらの軸線V-V、W-Wに沿って組織の中へさらに挿入され得り(深さD1から深さD2へ、距離d)、それらの絶縁体のないセクション325、425の間の距離ddを増加させるようになっている(図9c)。
【0060】
材料
電極本体部は、好ましくは、貴金属、または、貴金属の合金から作製されており、または、金、銀、プラチナ、イリジウムなどのような貴金属を含むが、他の生物学的に許容可能な金属、たとえば、ステンレス鋼およびタンタルなども、金メッキ銅と同様に使用され得る。電極本体部の金属表面は、別の金属もしくは金属合金の層を適用することによって、または、窒化チタン、酸化イリジウム、プラチナグレーなどのような、導電性の非金属材料を含むかまたはそれから構成される層を適用することによって、修正され得る。
【0061】
代替的に、電極本体部は、導電性ポリマーから構成されるか、または導電性ポリマーを含むことが可能である。代替的に、電極本体部は、金属によって、とりわけ貴金属によってコーティングされた非導電性ポリマー材料のコアから作製され得る。絶縁体を欠いている電極本体部の環状部分は、有利には、たとえば、粗くした表面、伝導性ナノワイヤーのフォレスト(forest)、たとえば、炭素ナノワイヤーのフォレストなどのような、表面拡大エレメントもしくは構造体が設けられ得り、または、多孔性であることが可能である。この種類の表面拡大構造体は、電極本体部のインピーダンスを低減させることとなる。電極本体部は、電極の後方端部と制御ユニットとの間に連結されている絶縁された別個の導電体によって、または、電極本体部自身によって、制御ユニットに接続され得り、その後方セクションは、連結伝導体として機能する。そのようなケースでは、後方セクションは、電気的に絶縁されている。
【0062】
電極本体部の絶縁体のための材料として、すべての種類の適切な生体適合性ポリマー材料が使用され得る。気相または液相からのモノマーの堆積の後に電極本体部の上での重合が続くことによって、絶縁材料の層が適用され得り、または、たとえば、シリコーンまたはパリレンCコートを提供するなどのために、ポリマーまたはプレポリマー溶液の中へ電極本体部を浸すこと、それを溶液から引き抜くこと、および、溶媒を蒸発させること、随意的に、プレポリマー定着することを可能にすることも有用である。適切なポリマーは、生体適合性タイプのポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリイミド、およびテフロン(登録商標)を含む。また、この種類の電気絶縁材料は、より大きい量のそれを電極本体部の上に局所的に適用することによって、本発明のバルジを形成するために使用され得る。代替的に、たとえば、ポリエステルまたはポリイミドなどのような、電極本体部の電気的な絶縁体に関して使用されるものとは異なるポリマー材料が使用され得る。バルジの材料は、MRIまたは超音波などのようなイメージング技法におけるその視認性を改善するために、視認性強化剤を含むことが可能である。
【0063】
体液の中で可溶性である、本発明の生体適合性の電極サポート材料は、水溶性の炭水化物またはタンパク質、および、それらの混合物から構成されるかまたはそれらを含む。溶解速度が制御され得るこの種類の適切なリジッドの生体適合性材料は、スクロース、ラクトース、マンノース、マルトースから選択される糖類、または、その糖類とクエン酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸から選択される有機酸との混合物の水溶液を、繰り返して煮沸および冷却することによって得られる。糖類および有機の酸との特定の組み合わせを選択することによって、異なる溶解時間を有する材料を得ることが可能である。また、ゼラチン、および、体液の中で可溶性であるさまざまな種類の天然ガムが、リジッドの生体適合性材料として使用され得る。本発明の生体適合性の電極サポート材料は、材料の水溶液の中へ電極または電極のセットを浸し、それに続いて乾燥させることによって、電極または電極のセットの上に適用され得り、その手順は、所望の厚さの層またはシェルが電極または電極のセットの上に形成されるまで繰り返され得る。代替的に、スプレー・コーティングが、サポート材料の層を適用するために使用され得る。いくつかの層は、順番に適用され得り、それぞれの適用の後に、乾燥ステップが続く。
【0064】
さらに有用な電極サポート材料は、:アラビノガラクタン;アラビノキシラン;ガラクタン;ガラクトマンナン;リケナン;キシラン;ヒドロキシメチルプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのようなセルロース誘導体;キトサン;アラビアゴム;プルラン;ポリビニルピロリドン;カラヤゴム;ペクチン;キサンタンガム;トラガカント;アルギン酸;ヘパラン硫酸;RGDペプチド;ポリエチレンオキシド;コンドロイチン硫酸;ケラタン硫酸;VEGFバイオミメティクペプチド;パールカン(ヘパラン硫酸プロテオグリカン2);修正ヘパリン;フィブリンフラグメントを含み、ただし、それらが、十分に低い分子量のものであり、それらを体液の中で可溶性にするということを条件とする。本発明のプロト・セット微小電極の中のそれらの遠位端部の付近の2つ以上の微小電極の間の配設に関して、体液の中で膨張することができる拡張可能な材料は、電極サポート材料よりも低い溶解速度の材料である。それは、たとえば、架橋ゼラチンまたは架橋ヒアルロン酸である。また、タンパク質ゲルを形成することができる他の材料が使用され得り、それは、たとえば、乳清タンパク質、大豆タンパク質、カゼインなどであるが、また、以下の薬剤、すなわち、アラビノガラクタン;アラビノキシラン;ガラクタン;ガラクトマンナン;リケナン;キシラン;ヒドロキシメチルプロピルセルロースなどのようなセルロース誘導体;キトサン;アラビアゴム;カルボキシビニールポリマー;ナトリウムポリアクリル酸塩;カルボキシメチルセルロース;ナトリウムカルボキシメチルセルロース;プルラン;ポリビニルピロリドン;カラヤゴム;ペクチン;キサンタンガム;トラガカント;アルギン酸;ポリキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;キチン;ポリグリコール酸;ポリ乳酸;ポリグリコール酸とポリ乳酸とのコポリマー;ポリ乳酸とポリエチレンオキシドとのコポリマー;ポリアミド;ポリ無水物;ポリカプロラクトン;無水マレイン酸コポリマー;ポリヒドロキシ酪酸コポリマー;ポリ(1、3-ビス(p-カルボフェノキシ)プロパン無水物);セバシン酸との共重合またはポリテレフタル酸との共重合によって形成されたポリマー;ポリ(グリコライド-コ-トリメチレンカーボネート);ポリエチレングリコール;ポリジオキサノン;ポリプロピレンフマレート;ポリ(エチルグルタメート-コ-グルタミン酸);ポリ(tert-ブチルオキシカルボニルメチルグルタメート);ポリカプロラクトン;ポリ(カプロラクトン-コ-ブチルアクリレート);ポリヒドロキシ酪酸およびそのコポリマー;ポリ(ホスファゼン);ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン);ポリ(グリコライド-コ-カプロラクトン);ポリ(リン酸エステル);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリデプシペプチド;無水マレイン酸コポリマー;ポリホスファゼン;ポリイミノカーボネート;ポリ[(7.5%ジメチル-トリメチレンカーボネート)-コ-(2.5%トリメチレンカーボネート)];ポリエチレンオキシド;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニール);イソブチレンとブチルアクリレートなどのような少なくとも1つの他の反復単位とのイソブチレン系コポリマー:ブチルメタクリレート;アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、カルボキシスチレン、スルホン化スチレンなどのような置換スチレン;ポリビニルアルコールのホモポリマー;ポリビニルアルコールとビニールシクロヘキシルエーテルなどのような少なくとも1つの他の反復単位とのコポリマー;ヒドロキシメチルメタクリレート;ヒドロキシル基末端またはアミノ末端ポリエチレングリコール;メタアクリル酸、メタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリレートなどのようなアクリレート系コポリマー;エチレンビニールアルコールコポリマー;アリールまたはアルキルシロキサンと少なくとも1つの反復単位とのシリコーン系コポリマー;ポリウレタン;ヘパラン硫酸;RGDペプチド;ポリエチレンオキシド;コンドロイチン硫酸;YIGSRペプチド;ケラタン硫酸;VEGFバイオミメティクペプチド;パールカン(ヘパラン硫酸プロテオグリカン2);ラミニンアルファ-1連鎖ペプチドを含有するIle-Lys-Val-Ala-Val(IKVAV);修正ヘパリン;フィブリンのフラグメントのうちの1つなどである。本発明の摩擦低減コーティングは、たとえば、Kollicoat(登録商標)またはシェラックを含むかまたはそれから構成され得る。それは、摩擦低減剤の水溶液の中へシェルを浸すことによって、また、それに続いて乾燥させることによって、リジッドの生体適合性材料の層またはシェルに適用され得る。
【0065】
植え込み
本発明の微小電極または微小電極のセットは、体液の中で可溶性のリジッドの生体適合性材料の層またはシェルの中の埋め込みによって、それらの安定化された形態で挿入することによって、軟部組織の中へ植え込まれ得る。代替的に、微小電極または微小電極のセットは、それらをカニューレの中に配設すること、軟部組織の中へカニューレを挿入すること、および、微小電極または微小電極のセットを遠位方向に変位させることによって、植え込まれ得り、微小電極または微小電極のセットをカニューレの遠位端部から組織の中へ突出させるようになっており、それに続いて、カニューレを引き抜くようになっている。
【0066】
植え込みの代替的な方法は、カニューレによるものである。微小電極または微小電極のセットは、その遠位端部を一番先にした状態で、おおよそ平行の構成でカニューレの中に配設される;カニューレは、組織の中へ所望の深さまで挿入されている;微小電極または微小電極のセットは、それらの終端近位部分に加えられる力によって、遠位方向に変位させられ、カニューレの遠位開口部から出現するようになっており、組織の中へ所望の深さまで挿入されるようになっている;カニューレが引き抜かれ、微小電極を組織の中へ植え込まれた状態に残す。また、微小電極または微小電極のセットは、プロト微小電極または微小電極のプロト・セットの形態で、このように植え込まれ得る。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図3
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5
図5a
図5b
図6
図6a
図7
図7a
図7b
図7c
図8
図8a
図9
図9a
図9b
図9c