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特許7214263マグネットクリップならびにそれを用いる小物掛および伝票類の管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】マグネットクリップならびにそれを用いる小物掛および伝票類の管理装置
(51)【国際特許分類】
   B42F 1/02 20060101AFI20230123BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
B42F1/02 K
A47G29/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021184523
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514171474
【氏名又は名称】▲廣▼▲瀬▼ 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】▲廣▼▲瀬▼ 幸治
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-293071(JP,A)
【文献】実開平06-009973(JP,U)
【文献】登録実用新案第3231684(JP,U)
【文献】特開2019-064215(JP,A)
【文献】意匠登録第1487854(JP,S)
【文献】特開平08-216578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体の両端部付近に一対のマグネットが設けられて成り、前記マグネットが相互に磁気吸着することで、前記帯状体の間に被把持物を把持するマグネットクリップであって、
前記一対のマグネットの吸着状態において、相互に重なる前記帯状体の両端部に設けられ、該帯状体の幅方向で、かつ両端部間で相互に離反する方向に延設される把持片を備えることを特徴とするマグネットクリップ。
【請求項2】
前記一対のマグネットが相互に磁気吸着して、クリップとして前記帯状体が略2つ折りとなった状態で、前記マグネットまたはそのカバーは折畳んだ外側から視認することができ、
前記マグネットまたはそのカバーは円盤または環状に形成され、前記把持片の一方は略三角形、他方は前記略三角形に切込みが入った形状に形成されることで、前記マグネットまたはそのカバーを目とし、前記把持片の一方を嘴、他方を鶏冠とする鳥の頭部の形状に形成されることを特徴とする請求項記載のマグネットクリップ。
【請求項3】
前記把持片は、鉤状、環状または螺旋状のフックに形成されることを特徴とする請求項記載のマグネットクリップ。
【請求項4】
帯状体の両端部付近に一対のマグネットが設けられて成り、前記マグネットが相互に磁気吸着することで、前記帯状体の間に被把持物を把持するマグネットクリップであって、
前記一対のマグネットの吸着状態において、相互に重なる前記帯状体の両端部の少なくとも一方から、鉤状、環状または螺旋状のフックに形成される把持片が延設され、
前記帯状体は、不織布の貼合せから成り、それらの間に前記把持片となるフックの線材およびマグネットが埋込まれ、帯状体の折返されて相互に重なる2つの片は、個別に作成された後、折返しの部分を含む連結部分で連結されることを特徴とするマグネットクリップ。
【請求項5】
前記折返しの部分で切離して、もしくは前記連結部分で連結されることなく、1つの片が単体で使用され、前記マグネットが磁気吸着することで、小物掛として使用可能になることを特徴とする請求項記載のマグネットクリップ。
【請求項6】
前記請求項1または2記載のマグネットクリップにおいて、前記帯状体の中央部には、吊下げ用の第1の吊下げ部が形成されて第1の吊下げ部材となり、
前記第1の吊下げ部材となる1または複数のマグネットクリップと、該1または複数のマグネットクリップを前記第1の吊下げ部の部分で吊下げる第2の吊下げ部材とを備えて構成されることを特徴とする小物掛。
【請求項7】
前記請求項記載のマグネットクリップに伝票差しを備えて構成される伝票類の管理装置であって、
前記一対のマグネットはリング状に形成されて、そのリングの孔に連通して、前記帯状体にも貫通孔が形成され、
前記マグネットクリップはペーパークリップとして使用され、展開状態で一対のマグネットの内の一方の孔が前記伝票差しに遊挿された後、前記伝票類が積層され、一対のマグネットの内の他方の孔がさらに伝票差しに遊挿されて前記一対のマグネットが相互に磁気吸着した状態で前記伝票類が束ねられることを特徴とする伝票類の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状体または紐状体の両端部付近に、相互に磁気吸着する一対のマグネットが設けられることで、紙、好ましくは複数枚の請求書や領収書などの伝票類、或いは鍵などの小物を、速やかに、束ねたり、磁気吸着可能な壁面に止めたりすることが可能なマグネットクリップならびにそれを用いる小物掛および伝票類の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような帯状体または紐状体の両端部付近に一対のマグネットが設けられて成るマグネットクリップの典型的な従来技術は、特許文献1に示される。特許文献1は、2つ折りの台紙の一方を刳り抜いて釦型のマグネットを面一に埋込み、他方には平板の磁性体シートを埋込むことで、挟持力がマグネットだけに集中しないようにしたマグネットクリップである。
【0003】
したがって、特許文献1の従来技術では、剛性を有する紙の台紙を2つに折曲げたものであり、磁性体シートで磁力は一点に集中しないものの、挟む物が厚くなると、台紙が斜めになり、充分な挟持力が発生しないとともに、束を重ねるのにも、浮上がった台紙が邪魔になるという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題に対応するために、本件出願人は、先に特許文献2を提案している。その従来技術は、帯状体の両端部付近に一対のマグネットを設け、前記マグネットが相互に磁気吸着することで、前記帯状体の間に、伝票などの被把持物を把持するマグネットクリップである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3165969号公報
【文献】実用新案登録第3231684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2は、マグネットを不織布の帯で連結しているので、伝票などの被把持物の束が厚くなっても、一対のマグネットは正対して、前記被把持物の束が外れ難く、また、クリップ自体も束から大きく飛出さず、嵩を低くできると言う特徴がある。しかしながら、厚みのある被把持物を掴めるように、マグネットの磁力を強くすると、何も挟んでいない状態では、マグネットを外し難く、特に手指の不自由な人が使い難い点があった。
【0007】
本発明の目的は、帯状体または紐状体の両端部付近に相互に磁気吸着する一対のマグネットが設けられて成るマグネットクリップにおいて、ユニバーサルデザインを実現することができるマグネットクリップならびにそれを用いる小物掛および伝票類の管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマグネットクリップは、先ず、帯状体の両端部付近に一対のマグネットが設けられて成り、前記マグネットが相互に磁気吸着することで、前記帯状体の間に被把持物を把持するマグネットクリップである。そのため、先ず不織布などから成る帯状体の部分は、紙、好ましくは複数枚の請求書や領収書等の伝票類、或いは資料などの被把持物を束ねると、緩いループを描き、たとえば複数枚束ねても該帯状体の部分はあまり邪魔にはならず、クリップ部分の嵩を低くすることができる。また、特許文献1のような剛性でもないので、被把持物は、一対のマグネット間の磁力が及んで、外れなければ、帯状体の長さの範囲で任意の厚さに対応することができる。
【0009】
次に、本発明のマグネットクリップでは、前記一対のマグネットの吸着状態において、相互に重なる前記帯状体の両端部から、把持(つまみ)片を延設している。したがって、厚みのある被把持物を掴めるように、マグネットの磁力を強くしても、特に、被把持物を挟込むためにマグネット同士を引剥がす際に、その把持(つまみ)片を、摘まんだり、押えたりすることで、加えて帯状体のループした部分に指先を差込んだりすることで、特に手指の不自由な人でもマグネットを外し易くなり、ユニバーサルデザインを実現することができる。
【0011】
そして、帯状体、捻れ難く、特に中央位置に折線を癖付けしておくことで、マグネットが重なり易く、下に敷いたマグネットの上に前記請求書や領収書などの伝票類を載せて、帯状体をそれらの上に折返すだけで、上側のマグネットは下側のマグネットに吸引され、相互に磁気吸着する。これによって、位置合わせの必要も無く、たとえば片手で、容易にクリップを行うことができる。さらに、把持(つまみ)片がその帯状体の両側にあり、相互に重ならないので、特に、被把持物を挟込むためにマグネット同士を引剥がす作業が容易である。
【0014】
また、本発明のマグネットクリップでは、前記一対のマグネットが相互に磁気吸着して、クリップとして前記帯状体が略2つ折りとなった状態で、前記マグネットまたはそのカバーは折畳んだ厚み方向の外側から視認することができ、前記マグネットまたはそのカバーは円盤または環状に形成され、前記把持片の一方は略三角形、他方は前記略三角形に切込みが入った形状に形成されることで、前記マグネットまたはそのカバーを目とし、前記把持片の一方を嘴、他方を鶏冠とする鳥の頭部の形状に形成されることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、把持(つまみ)片を帯状体の両側に設けるにあたって、それを鳥の嘴と鶏冠に見立てられる形状とし、マグネットまたはそのカバーを目と見立てられるようにする。これによって、マグネットクリップの被把持物を挟込んでいない状態での意匠性を向上することができる。
【0016】
さらにまた、本発明のマグネットクリップでは、前記把持(つまみ)片は、鉤状、環状または螺旋状のフックに形成されることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、把持(つまみ)片を、マグネットを引き剥がす際のつまみとして使用できるだけでなく、該マグネットクリップを壁面に吸着させたり、水平の支柱にぶら下げたりした状態で、被把持物を挟んで止める(クリップ)のではなく、鍵などの小物を掛けるフックやハンガーとしても使用することができ、該マグネットクリップの用途を広げることができる。
【0027】
また、本発明のマグネットクリップでは、前記帯状体は、不織布の貼合せから成り、それらの間に前記把持片となるフックの線材およびマグネットが埋込まれ、前記帯状体の折返されて相互に重なる2つの片は、個別に作成された後、折返しの部分を含む連結部分で連結されることを特徴とする。
【0028】
さらにまた、本発明のマグネットクリップは帯状体の両端部付近に一対のマグネットが設けられて成り、前記マグネットが相互に磁気吸着することで、前記帯状体の間に被把持物を把持するマグネットクリップであって、前記一対のマグネットの吸着状態において、相互に重なる前記帯状体の両端部の少なくとも一方から、鉤状、環状または螺旋状のフックに形成される把持片が延設され、前記帯状体は、不織布の貼合せから成り、それらの間に前記把持片となるフックの線材およびマグネットが埋込まれ、帯状体の折返されて相互に重なる2つの片は、個別に作成された後、折返しの部分を含む連結部分で連結されることを特徴とする。
【0029】
したがって、マグネットおよび把持(つまみ)片の埋込み、つまり不織布の貼合せ作業を容易に行うことができる。
【0030】
さらにまた、本発明のマグネットクリップでは、前記折返しの部分で切離して、もしくは前記連結部分で連結されることなく、1つの片が単体で使用され、前記マグネットが磁気吸着することで、小物掛として使用可能になることを特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、折返して相互に重なることになる2つの片は、個別に作成されるので、連結部分を切離したり、もしくは最初から連結を行わず、1つの片を単体で使用することで、たとえば前記鉤状、環状または螺旋状の把持(つまみ)片がロッカーの角から飛出すように、該ロッカーにマグネットが磁気吸着すると、小物掛として使用可能になる。こうして、該マグネットクリップを、前記2つの片の間に被把持物を挟み込むだけでなく、多用途に使用することができる。
【0032】
また、本発明の小物掛は、前記のマグネットクリップにおいて、前記帯状体の中央部には、吊下げ用の第1の吊下げ部が形成されて第1の吊下げ部材となり、前記第1の吊下げ部材となる1または複数のマグネットクリップと、該1または複数のマグネットクリップを前記第1の吊下げ部の部分で吊下げる第2の吊下げ部材とを備えて構成されることを特徴とする。
【0033】
上記の構成によれば、第2の吊下げ部材で、1または複数のマグネットクリップを吊下げることができ、特に複数のマグネットクリップをぶら下げることで、多くの小物を掛けることができる。なお、第1の吊下げ部と第2の吊下げ部材とは、たとえば一方がリングで他方がフックのような組合わせで、どちらがどちらでもよい。
【0036】
また、本発明の伝票類の管理装置は、前記のマグネットクリップに伝票差しを備えて構成され、前記一対のマグネットはリング状に形成されて、そのリングの孔に連通して、前記帯状体にも貫通孔が形成され、前記マグネットクリップはペーパークリップとして使用され、展開状態で一対のマグネットの内の一方の孔が前記伝票差しに遊挿された後、前記伝票類が積層され、一対のマグネットの内の他方の孔がさらに伝票差しに遊挿されて前記一対のマグネットが相互に磁気吸着した状態で前記伝票類が束ねられることを特徴とする。
【0037】
上記の構成によれば、前記請求書や領収書などの伝票類を、伝票差しで刺して束ねるにあたって、前記のマグネットクリップをペーパークリップとして使用し、先にこのマグネットクリップの一方のマグネットの孔を前記伝票差しに通しておいた状態で、前記伝票類を刺してゆく。そして、最後の伝票類を刺した後、他方のマグネットの孔を伝票差しに通すことで、マグネットが相互に磁気吸着して前記伝票類を束ねることができ、伝票類を抜き取ってそのまま保管したり、紐を通し直して保管したりすることができる。こうして、伝票差しを用いた伝票類の管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明のマグネットクリップならびにそれを用いる小物掛および伝票類の管理装置は、以上のように、帯状体の両端部付近に一対のマグネットが設けられて成り、前記マグネットが相互に磁気吸着することで、前記帯状体の間に被把持物を把持するマグネットクリップにおいて、不織布などから成る帯状体の部分は、複数枚の請求書や領収書等の伝票類、或いは資料などの被把持物を束ねると、緩いループを描き、たとえば複数枚束ねても該帯状体の部分はあまり邪魔にはならず、クリップ部分の嵩を低くすることができる。
【0039】
また、前記一対のマグネットの吸着状態において、相互に重なる前記帯状体の両端部に把持(つまみ)片を設けているので、マグネット同士を引剥がす際に、その把持(つまみ)片を、摘まんだり、押えたりすることで、加えて帯状体のループした部分に指先を差込んだりすることで、特に手指の不自由な人でもマグネットを外し易くなり、ユニバーサルデザインを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施の一形態に係るマグネットクリップの畳んだ状態を示す斜視図である。
図2図1のマグネットクリップの裏側の斜視図である。
図3図1のマグネットクリップを展開した正面図である。
図4図3の背面図である。
図5図1のマグネットクリップの使用状態を示す斜視図である。
図6図1のマグネットクリップを図5の使用前に引き剥がす際の斜視図である。
図7】本発明の実施の他の形態に係るマグネットクリップの畳んだ状態を示す斜視図である。
図8図7のマグネットクリップの裏側の斜視図である。
図9図7のマグネットクリップを展開した正面図である。
図10図9の背面図である。
図11図7図10のマグネットクリップの小物掛としての使用状態を模式的に示す断面図である。
図12図7図10のマグネットクリップの小物掛としての他の使用状態を模式的に示す断面図である。
図13図7図10のマグネットクリップの他の態様を模式的に示す正面図である。
図14図7図10のマグネットクリップの他の態様を模式的に示す正面図である。
図15図7図10のマグネットクリップの他の態様を模式的に示す正面図である。
図16図1図6のマグネットクリップを用いる伝票類の管理装置の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の一形態に係るマグネットクリップ1の畳んだ(2つ折の)状態を示す斜視図であり、図2図1の裏側の斜視図であり、図3図1のマグネットクリップ1を展開した表(外)側の正面図であり、図4図3の裏(内)側の背面図であり、図5はマグネットクリップ1の使用状態を示す斜視図である。このマグネットクリップ1は、2つの片21,22に折曲げられる帯状体2の両端部211,221付近に、相互に磁気吸着する一対のマグネット31,32が設けられることで、紙、好ましくは複数枚の請求書や領収書などの伝票類、或いは資料などの被把持物4を、図1および図2の2つ折の状態では、図5で示すように間に挟んで束ねたり、図3および図4の展開した状態では磁気吸着可能な壁面にそのまま止めたりすることが可能なマグネットクリップである。
【0042】
なお、図1~5では、帯状体2で示しているが、本発明は、紐状体でも実施可能で、両端部211,221付近に、一対のマグネット31,32が設けられていればよい。そして、帯状体または紐状体の材料としては、布、皮、合皮、紙、不織布、厚手の金属箔などを用いることが可能であるが、不織布は、安価で、かつ紙などに比べて濡れても丈夫で、特に折返しの部分23が切れたりすることも無く、皺になり難く、解れもし難く、柔軟性も有し、加工も容易である。以下、その不織布から成り、捻れ難く好適な帯状体2で説明する。
【0043】
したがって、不織布から成る帯状体2では、図5のように請求書や領収書などの被把持物4を束ねても、該帯状体2は適度に潰れる(重なる)。そのため、潰れ易いように、特に前記折返しの部分23に癖付けしておく(折目を付けておく)ことで、或いは該折返しの部分23を薄肉や脆弱に形成しておくことで、図5で示すような束を複数重ねても、該帯状体2はあまり邪魔にはならず、嵩を低くすることができる。また、不織布の柔軟性で、クリップする被把持物4は、一対のマグネット31,32間の磁力が及んで、外れなければ、該帯状体2の長さの範囲で任意の厚さに対応することができる。さらにまた、下に敷いた帯状体2の一方の片21およびマグネット31の上に、前記伝票類などの被把持物4を載せて、前記折返しの部分23から帯状体2の他方の片22およびマグネット32をそれらの上に折返すだけで、上側のマグネット32は下側のマグネット31に吸引され、相互に磁気吸着する。これによって、位置合わせの必要も無く、たとえば片手で、容易にクリップを行うことができる。
【0044】
注目すべきは、本実施形態のマグネットクリップ1では、前記一対のマグネット31,32の吸着状態において相互に重なる帯状体2の両端部211,221から、把持(つまみ)片212,222を延設していることである。本実施形態では、前記帯状体2の両端部211,221は、不織布をそのまま切り抜いて前記把持片212,222を形成しているのではなく、該両端部211,221の両面から、形状保持のためにそれぞれ合皮213,223を当てがって補強し、その合皮231,223を切り抜いている。
【0045】
これによって、厚みのある被把持物4を掴めるように、マグネット31,32の磁力を強くしても、特に、被把持物4を挟込むためにマグネット同士を引剥がす際に、図6で示すように、その把持片212,222を、指51,52で摘まんだり、指53で押えたりすることで、加えて帯状体2のループした部分に、指先54を差込んだりすることで、特に手指の不自由な人でもマグネット31,32を外し易くなり、ユニバーサルデザインを実現することができる。
【0046】
さらに本実施形態のマグネットクリップ1では、把持片212,222は、帯状体2の両端部211,221に設けられ、該帯状体2の幅方向に対して、両端部211,221間で相互に離反する方向に延びて形成されている。そうすることで、図1図2図5および図6で示すように、把持片212,222は相互に重ならないので、特に、被把持物4を挟込むためにマグネット31,32同士を引剥がす作業が容易である。
【0047】
しかも、本実施形態のマグネットクリップ1では、前記幅方向に相互に離反する方向に延びる把持片212,222を形成するにあたって、前記図1図2図5および図6で示すように、前記一対のマグネット31,32が相互に磁気吸着して、クリップとして帯状体2が略2つ折りとなった状態で、マグネット31,32またはそのカバーは折畳んだ厚み方向の外側から視認できるようにし、マグネット31,32またはそのカバーを環状に形成し、把持片212,22の一方(212)は略三角形、他方(222)は前記略三角形に切込み224が入った形状に形成している。
【0048】
詳しくは、本実施形態では、不織布から成る帯状体2の両端部211,221付近の一方の面にリング状のマグネット31,32を搭載し、さらにその両面に把持片212,222としての合皮213,223が被せられ、ハトメパンチで固定されている。帯状体2の不織布や合皮213,223には、事前にハトメ孔が形成されていてもよい。また、把持片212,222となる合皮213,223は、事前に型抜きされていても、接着およびパンチ後に型抜きされてもよい。したがって、図1図6で、マグネット31,32として見えているのは、このハトメの部分である。
【0049】
このように構成することで、前記マグネット31,32を目とし、把持片212,222の一方(212)を嘴、他方(222)を鶏冠として、鳥の頭部に見立てることができる。これによって、マグネットクリップ1の被把持物4を挟込んでいない状態での意匠性を向上することができる。
【0050】
前記マグネット31,32を鳥の目と見立てるには、円盤であってもよい。本実施形態では、前述のように、マグネット31,32を内包したハトメである。したがって、合皮213,223および帯状体2の不織布を貫通して、孔が形成されている。マグネット31,32を鳥の目と見立てるには、たとえば合皮213,223を用いず、該マグネット31,32を不織布中に埋込み、透けて見えるようにしてもよい。本実施形態では、鳥の首筋の毛羽立ちを、線25で表わしている。
【0051】
上述の実施形態では、把持片212,222は、帯状体2の両端部211,221に設けられ、幅方向で相互に離反する方向に延びて形成されているが、端部211,221の一方が、単に延長されているだけでもよい。そして、その延長されている側を指51,52で摘まんだり、指53で押えたりした状態で、帯状体2のループに指先54を差込んで、マグネット31,32を引剥がすことができる。或いは、端部211,221の一方が延長され、他方が反り上がるように延長されることで、それらを両手の指で摘まんで引き剥がすこともできる。
【0052】
また注目すべきは、本実施形態のマグネットクリップ1では、前記帯状体2を構成する不織布は、粘着剤付のテープが相互に貼合せられて成り、折返しの部分23が、該帯状体2の何れの面も内外とするように折返し可能であることである。つまり、上述の説明では、便宜的に図3の面を表(外)側とし、図4の面を裏(内)側としているが、折返しの部分23を境にして、どちらにも2つ折りすることが可能になっている。
【0053】
そうすることで、たとえば上述のように図3の面を表(外)側とし、図4の面を裏(内)側とした場合、図6で示すように、嘴の把持片212を右指53で押えた状態で、鶏冠の把持片222を左指51,52で摘まんだり、左の指先54をループに差込んでマグネット31,32を引剥がすことができる。逆に、図4の面を表(外)側とし、図3の面を裏(内)側とした場合、鶏冠の把持片222を左指で押え、嘴の把持片212を右指で摘まんだり、右の指先をループに差込んでマグネット31,32を引剥がすことができる。
【0054】
このように構成することで、帯状体2を不織布で実現するにあたって、必要な強度の物の単層で構成するのではなく、2枚の貼合わせとすることで、たとえばマグネット31,32や、前記のフックの把持(つまみ)片212,222の基端部分を帯状体2内に挟込み、折返しの部分23が自由に折曲がることで、帯状体2の何れの面も内外とできる、すなわちリバーシブルに使用することができる。そうして、ユニバーサルデザインでも、品数を減らすことができる。また、不織布の貼合せで帯状体2を構成するにあたって、接着剤を塗布して貼合せてもよいが、薄手の不織布に均一に接着剤を塗布することや、帯からはみ出さずに塗布することは中々困難であり、予め粘着剤が塗布されたテープを用いることで、そのようなそのような不便を解消することができる。また、そのような不織布による粘着剤付のテープには、医療用のテープを利用することができ、容易かつ安価に入手することができる。
【0055】
(実施の形態2)
図1図4と同様に、図7は本発明の実施の他の形態に係るマグネットクリップ1aの畳んだ(2つ折の)状態を示す斜視図であり、図8図7の裏側の斜視図であり、図9図7のマグネットクリップ1aを展開した表(外)側の正面図であり、図10図9の裏(内)側の背面図である。注目すべきは、このマグネットクリップ1aでは、把持(つまみ)片212a,222aは、螺旋状のフックに形成されることである。そのため、この把持片212a,222aは、線材を折曲げ形成して成るので、この線材を利用して、帯状体2aの2つの片21a,22a内には、該線材が延長されて、芯材215a,225aとして往復形成されている。また、本実施形態では、前記の芯材215a,225aを有するので、補強用の合皮213,223は省略されている。また、マグネット31a,32aも円盤型で、前記線材は、ループ216a,226aに形成された部分で、このマグネット31a,32aを取り囲むように引回されている。
【0056】
このように構成することで、把持片212a,222aを、マグネット31a,32aを引き剥がす際のつまみとして使用できるだけでなく、図9図10のように該マグネットクリップ1aを展開した状態で壁面に吸着させたり、図11で示すように水平の支柱6にぶら下げたりした状態で、被把持物4を挟んで止める(クリップ)のではなく、鍵などの小物7を掛けるフックやハンガーとしても使用することができ、該マグネットクリップ1aの用途を広げることができる。図7図11では、把持片212a,222aは、小物7の抜け止めを行える螺旋状に形成されているが、鉤状や環状に形成されていてもよい。環状の場合は、開閉可能であってもよい。把持片212a,222aを環状や螺旋状に形成することで、該マグネットクリップ1aの上下が逆に使用されても、ぶら下げた小物7の落下を防止することもできる。
【0057】
さらにまた、上記のマグネットクリップ1aでは、帯状体2aを2つの片21a,22aに区分する折返しの部分23a付近に、第1の吊下げ部として、吊下げ孔219a,229aが形成されており、この吊下げ孔219a,229aを図12で模式的に示すように、第2の吊下げ部材8に引掛けることで、小物掛9として使用することもできる。この場合、図12で示すように、複数のマグネットクリップ1aを使用することで、小物7を多く掛けることができる小物掛を実現することができる。吊下げ孔219a,229aは、ハトメなどで補強されてもよい。
【0058】
この小物掛9では、第2の吊下げ部材8は、上部にフック81を備え、下部に複数のフック82を備え、フック82に、謂わば、たこ足のようにして、多くのマグネットクリップ1aをぶら下げるようになっている。なお、第1の吊下げ部となる吊下げ孔219a,229aと、第2の吊下げ部材となるフック82とは、たとえば一方がリングで他方がフックのような組合わせで、どちらがどちらでもよい。
【0059】
そして注目すべきは、この小物掛9では、図12(a)で示すように、第2の吊下げ部材8のフック82に1または複数のマグネットクリップ1aを吊下げた後、それらのマグネットクリップ1aおよび該マグネットクリップ1aに把持された被把持物である小物7の少なくとも一部を覆うカバー83を備えていることである。カバー83を移動させるために、フック81,82間は、連結部材84で連結されている。このように構成することで、多くの小物7を掛けた状態で、上からカバーを行うことができ、意匠性を向上することができるとともに、小物7が鍵の場合には、保安性を向上することもできる。
【0060】
図7図10におけるマグネットクリップ1aでは、帯状体2aは前記不織布による粘着剤付の医療用のテープの貼り合せから成り、線材やマグネット31a,32aはシースルーである。しかしながら、透視できない2層の帯状体の貼合せを使用する場合、内包される、特にマグネット31a,32aは外部から見えない。そのため、このマグネット31a,32aに、図1図6のマグネット31,32のように、ハトメなどで力が加わる場合は、予めマグネット31a,32aの位置に印を付けるようにしてもよい。その印も、円盤に限らず、動物の顔などにすることで、該マグネットクリップ1aの意匠性を向上することができる。
【0061】
また、前記鉤状、環状または螺旋状の把持(つまみ)片212a,222aに着目すると、図13図15のマグネットクリップ1b,1c,1dで示すように、それらを人や動物の脚や髭に見立てることができる。そこで、帯状体2b,2c,2dも、相互に重なった状態で、矩形(2d)、或いは卵型や丸型(2b,2c)に切り抜いていることで、前記人や動物の頭部や体に見立てることができる。これによって、マグネットクリップ1b,1c,1dの被把持物4を挟込んでいない状態での意匠性を向上することができる。
【0062】
その矩形(2d)、或いは卵型や丸型(2b,2c)は、図13(b)から図13(a)や図15(b)から図15(a)で示すように、たとえば帯状体2b,2dの外周縁が、折返しの部分23aの線に対して、2つの片21a,22a;21d,22dが対称となるように切り欠かかれて形成される。図14のマグネットクリップ1cでは、折返しの部分23aに、前記吊下げ孔219a,229aに代わるハンガー形の別部品のフック27が埋め込まれている。矩形のマグネットクリップ1dでは、狭幅の部分26dが不織布で、前記矩形の2つの片21d,22dは、前記の合皮213,223などで形成されてもよい。
【0063】
また注目すべきは、図14および図15のマグネットクリップ1c,1dで示すように、前記矩形、或いは卵型や丸型の帯状体2c,2dの部分において、2つ折にした際に外側となる少なくとも一方の表面に、人や動物の顔のキャラクター28が描かれていることである。そうすることで、マグネットクリップの被把持物を挟込んでいない状態での意匠性を、一層向上することができる。
【0064】
ここで、図7図10で示すマグネットクリップ1aの作成方法について述べる。これらの図では、帯状体2aは、前記医療用の粘着剤付の不織布のテープで、2つの片21a,22a間を連続して構成されている。しかしながら、不織布のテープを貼合せるにあたって、それらの間に、把持片212a,222aの基端側となる芯材215a,225aおよびループ216a,226aの部分を形成する線材や、マグネット31a,32aを埋込む(挟込む)必要がある。その場合、延ばした帯状体2aの一層に、2本の線材やマグネット31a,32aを載せ、もう一層、ずれないように重ねて、貼合わせることは、中々困難である。そこで、2つの片21a,22aを、個別に作成した後、折返しの部分23aを含む連結部分で連結して、マグネットクリップ1aを作成すると、容易である。たとえば、図15のマグネットクリップ1dにおいて、狭幅の部分26dを別の不織布で構成するようなものである。
【0065】
さらにまた、上述のように2つの片21a,22aを別途に作成する場合、連結を行わず、そのまま1つの片21aまたは22aを単体で使用することで、たとえば前記把持片212a,222a片がロッカーの角から飛出すように、該ロッカーにマグネット31または32aが磁気吸着すると、小物掛として使用可能になる。こうして、該マグネットクリップ1aを、前記2つの片21a,22aの間に被把持物4を挟み込むだけでなく、多用途に使用することができる。同様の小物掛を実現するには、2つの片21a,22aの連結部分である折返しの部分23aを切離すことでもよい。
【0066】
(実施の形態3)
図16は、図1図6で示すマグネットクリップ1を用いる本発明の実施のさらに他の形態に係る伝票類の管理装置の使用状態を示す斜視図である。この管理装置は、前記のマグネットクリップ1に伝票差し10を備えて構成される。伝票差し10は、基盤101に、被把持物4である伝票類を刺して止める尖鋭なピン102が立設されて構成される。この管理装置は、伝票類を、伝票差し10で刺して束ねるにあたって、マグネットクリップ1をペーパークリップとして使用する。そして、先に図16で示すマグネットクリップ1の展開状態で、一方のマグネット31の孔311を前記伝票差し10のピン102に通しておいた状態で、伝票類を刺してゆき、最後の伝票類を刺した後、他方のマグネット32の孔321をピン102に通すことで、マグネット31,32が相互に磁気吸着して前記伝票類を束ねることができる。その後、マグネットクリップ1で束ねたまま伝票類を抜き取ってそのまま保管したり、紐を通し直して保管したりすることができる。こうして、伝票差し10を用いた伝票類の管理を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1,1a,1b,1c,1d マグネットクリップ
2,2a,2b,2c,2d 帯状体
21,21a,21b,21d;22,22a,22b,22d 片
211,221 端部
212,212a;222,222a 把持(つまみ)片
213,223 合皮
215a,225a 芯材
216a,226a ループ
219a,229a 吊下げ孔
23,23a 折返しの部分
26d 狭幅の部分
27 フック
28 キャラクター
31,31a;32,32a マグネット
31d,32d 孔
4 被把持物
51,52,53 指
54 指先
6 水平の支柱
7 小物
8 第2の吊下げ部材
81 フック
82 フック
83 カバー
84 連結部材
9 小物掛
10 伝票差し
101 基盤
102 ピン
【要約】
【課題】複数枚の請求書や領収書などの伝票類、或いは資料などの被把持物を束ねるのに好適なマグネットクリップであって、ユニバーサルデザインを実現する。
【解決手段】帯状体2の両端部211,221付近に、相互に磁気吸着する一対のマグネット31,32が設けられることで、被把持物4や資料を束ねたり、磁気吸着可能な壁面に止めたりすることが可能なマグネットクリップ1において、帯状体2に不織布を用いることで、被把持物4を挟んでも帯状体2の嵩を低くすることができる。また、帯状体2の両端部211,221付近に、マグネット31,32の吸着状態で、相互に離反方向に延びる把持片212,222を設ける。これによって、それらを摘まんだり押えたり、帯状体2のループした部分に指先を差込んだりすることで、手指の不自由な人でもマグネット31,32を外し易くなり、ユニバーサルデザインを実現することができる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16