(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20230123BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230123BHJP
B05C 19/00 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C19/00
(21)【出願番号】P 2021512968
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2020043122
(87)【国際公開番号】W WO2022107263
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】506329292
【氏名又は名称】スターテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】菱川 辰巳
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-216298(JP,A)
【文献】特開2002-177843(JP,A)
【文献】特開平03-288567(JP,A)
【文献】特開平05-253523(JP,A)
【文献】特開平08-126860(JP,A)
【文献】特開平10-156251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00
B05C 11/10
B05C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルと、
移動しながら、前記テーブル上に載置された基材の表面に流体または紛体を塗布するヘッドと、
前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整する間隔調整部と、
を備え、
前記ヘッドは、流体または紛体を吐出するノズルと、そのノズルに対して前記ヘッドの移動する方向側を形成するヘッド前部と、前記ノズルに対して前記ヘッドの移動する方向とは反対側を形成するヘッド後部と、を備えた塗布装置において、
前記ヘッド後部は、前記ヘッド前部よりも前記テーブルに対して離間しており、
前記ノズルに連続する前記ヘッド前部の傾斜角を、前記ノズルに連続する前記ヘッド後部の傾斜角よりも小さくし
、
前記間隔調整部は、少なくとも前記ヘッド前部が前記基材に当接するように、前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整可能であって、
前記ヘッドは、前記ヘッド前部が前記基材に当接された状態で、前記基材に前記流体または前記紛体を塗布可能であることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
テーブルと、
移動しながら、前記テーブル上に載置された基材の表面に流体または紛体を塗布するヘッドと、
前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整する間隔調整部と、
を備え、
前記ヘッドは、流体または紛体を吐出するノズルと、そのノズルに対して前記ヘッドの移動する方向側を形成するヘッド前部と、前記ノズルに対して前記ヘッドの移動する方向とは反対側を形成するヘッド後部と、を備えた塗布装置において、
前記ヘッド後部は、前記ヘッド前部よりも前記テーブルに対して離間しており、
前記ノズルに連続する前記ヘッド前部の傾斜角を、前記ノズルに連続する前記ヘッド後部の傾斜角よりも小さくし、
前記間隔調整部は、少なくとも前記ヘッド前部が前記基材を押圧するように、前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整可能であって、
前記ヘッドは、前記ヘッド前部が前記基材を押圧するときに生ずる、前記ヘッドと前記基材との隙間に前記流体または前記紛体を塗布可能であることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
前記ヘッド前部の傾斜面先端部の断面形状を、流線形としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面に接着剤等の材料を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基材の表面に接着剤等の材料を塗布する塗布装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、平板状のステージ2と、そのステージ2に載置された塗布対象物Kの表面にペーストを塗布する塗布ヘッド5と、を備えたペースト塗布装置1が記載されていると認められる(
図1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のペースト塗布装置1は、塗布ヘッド5のノズル5aと塗布対象物Kの表面との間に所定のギャップが生じている状態で、塗布ヘッド5が塗布対象物Kの表面にペーストを塗布するものであるため、塗布対象物Kの表面状態によっては、ペーストを均一に塗布することができないという問題があった。
【0006】
特許文献1に記載のペースト塗布装置1は、塗布ヘッド5のノズル5aと塗布対象物K(以下、「基材」と記す)の表面との間のギャップの変動に対応するために、回転するスクリューのネジ部による機械的な押し出しにより一定量のペーストをノズル5aから吐出するようにしているが、ノズル5aからの吐出量を一定にすることが、一義的にペーストの塗布状態を良好にするものではない。
【0007】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、基材の状態に拘わらず、テーブル上に載置された基材に流体または紛体を均一に塗布することができる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様は、テーブルと、移動しながら、前記テーブル上に載置された基材の表面に流体または紛体を塗布するヘッドと、前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整する間隔調整部と、を備え、前記ヘッドは、流体または紛体を吐出するノズルと、そのノズルに対して前記ヘッドの移動する方向側を形成するヘッド前部と、前記ノズルに対して前記ヘッドの移動する方向とは反対側を形成するヘッド後部と、を備えた塗布装置において、前記ヘッド後部は、前記ヘッド前部よりも前記テーブルに対して離間しており、前記ノズルに連続する前記ヘッド前部の傾斜角を、前記ノズルに連続する前記ヘッド後部の傾斜角よりも小さくし、前記間隔調整部は、少なくとも前記ヘッド前部が前記基材に当接するように、前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整可能であって、前記ヘッドは、前記ヘッド前部が前記基材に当接された状態で、前記基材に前記流体または前記紛体を塗布可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、テーブルと、移動しながら、前記テーブル上に載置された基材の表面に流体または紛体を塗布するヘッドと、前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整する間隔調整部と、を備え、前記ヘッドは、流体または紛体を吐出するノズルと、そのノズルに対して前記ヘッドの移動する方向側を形成するヘッド前部と、前記ノズルに対して前記ヘッドの移動する方向とは反対側を形成するヘッド後部と、を備えた塗布装置において、前記ヘッド後部は、前記ヘッド前部よりも前記テーブルに対して離間しており、前記ノズルに連続する前記ヘッド前部の傾斜角を、前記ノズルに連続する前記ヘッド後部の傾斜角よりも小さくし、前記間隔調整部は、少なくとも前記ヘッド前部が前記基材を押圧するように、前記テーブルと前記ヘッドとの間隔を調整可能であって、前記ヘッドは、前記ヘッド前部が前記基材を押圧するときに生ずる、前記ヘッドと前記基材との隙間に前記流体または前記紛体を塗布可能であることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様の塗布装置において、前記ヘッド前部の傾斜面先端部の断面形状を、流線形としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、テーブルと、移動しながら、テーブル上に載置された基材の表面に流体または紛体を塗布するヘッドと、テーブルとヘッドとの間隔を調整する間隔調整部と、を備え、ヘッドは、流体または紛体を吐出するノズルと、そのノズルに対して前記ヘッドの移動する方向側を形成するヘッド前部と、ノズルに対してヘッドの移動する方向とは反対側を形成するヘッド後部と、を備えた塗布装置において、ヘッド後部は、ヘッド前部よりもテーブルに対して離間しており、ノズルに連続するヘッド前部の傾斜角を、ノズルに連続するヘッド後部の傾斜角よりも小さくし、間隔調整部は、少なくともヘッド前部が基材に当接するように、テーブルとヘッドとの間隔を調整可能であって、ヘッドは、ヘッド前部が基材に当接された状態で、基材に流体または紛体を塗布可能であるので、ヘッドの1方向移動時の吐出孔に対する負荷を軽減することに加え、ヘッド前部の少ない傾斜角によって基材をスムーズに撓ませ、ヘッド後部の大きな傾斜角によって流体または紛体をヘッド後部からスムーズに離間させることにより、テーブル上に載置された基材に流体または紛体を均一に塗布することができる。
【0012】
また、本発明の第2の態様によれば2、テーブルと、移動しながら、テーブル上に載置された基材の表面に流体または紛体を塗布するヘッドと、テーブルとヘッドとの間隔を調整する間隔調整部と、を備え、ヘッドは、流体または紛体を吐出するノズルと、そのノズルに対して前記ヘッドの移動する方向側を形成するヘッド前部と、ノズルに対してヘッドの移動する方向とは反対側を形成するヘッド後部と、を備えた塗布装置において、ヘッド後部は、ヘッド前部よりもテーブルに対して離間しており、ノズルに連続するヘッド前部の傾斜角を、ノズルに連続するヘッド後部の傾斜角よりも小さくし、間隔調整部は、少なくともヘッド前部が基材を押圧するように、テーブルとヘッドとの間隔を調整可能であって、ヘッドは、ヘッド前部が基材を押圧するときに生ずる、ヘッドと基材との隙間に流体または紛体を塗布可能であるので、ヘッドの1方向移動時の吐出孔に対する負荷を軽減することに加え、ヘッド前部の少ない傾斜角によって基材をスムーズに撓ませ、ヘッド後部の大きな傾斜角によって流体または紛体をヘッド後部からスムーズに離間させることにより、テーブル上に載置された基材に流体または紛体を均一に塗布することができる。
【0013】
さらに、本発明の第3の態様によれば、第1の態様または第2の態様の塗布装置において、ヘッド前部の傾斜面先端部の断面形状を、流線形としたので、第1の態様または第2の態様の塗布装置の効果に加え、基材をさらにスムーズに撓ませることによって、テーブル上に載置された基材に流体または紛体をさらに均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の塗布装置の全体平面図である。
【
図2】第1実施形態の塗布装置の全体左側面図である。
【
図3】第1実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図である。
【
図4】第1実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の正面図である。
【
図5】第1実施形態の塗布装置のブロック図である。
【
図6】第1実施形態の塗布装置のメインコントローラのブロック図である。
【
図7】第1実施形態の塗布装置における基材塗布プログラムのフローチャートである。
【
図8】第1実施形態の塗布装置の初期状態を示す左側面図である。
【
図10】第1実施形態の塗布装置のヘッド部を下降させた状態を示す左側面図である。
【
図11】
図10においてエアシリンダー部の構造を説明するための説明図である。
【
図12】第1実施形態の塗布装置のヘッド部を下降させた後、エアシリンダー部を動作させた状態を示す図であり、エアシリンダー部の動作を説明するための説明図である。
【
図13】第2実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図である。
【
図14】第2実施形態の塗布装置の塗布状態を示す左側面図である。
【
図15】第3実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図である。
【
図16】第4実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の塗布装置の全体平面図であり、
図2は、その全体左側面図あり、
図3は、第1実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図であり、
図4は、その正面図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の塗布装置1は、テーブル3と、そのテーブル3上に載置された基材Pの表面に接着剤C(
図12参照)を塗布するヘッド部5(本発明の「ヘッド」に相当)と、そのヘッド部5に接着剤Cを供給するための接着剤供給部7と、を備え、接着剤供給部7から供給された接着剤Cを、ヘッド部5から吐出して、テーブル3上に載置された基材Pの表面に塗布する装置である。
【0018】
なお、テーブル3に載置される基材Pの形状及び大きさについては、テーブル3に載置可能な形状及び大きさであれば特に問題はないが、本実施形態においては、便宜上、長さ(Xn-X0)cm、幅(Yn-Y0)cmの長方形と仮定して説明する。
【0019】
そして、本実施形態の塗布装置1は、片方向塗布(図面上+X方向移動時のみ塗布)の場合には、ヘッド部5を基材Pに当接させた状態でX0位置からXn位置まで片方向(図面上+X方向)に塗布した後、ヘッド部5を一旦上方に移動させ基材Pから離間させて、+Y方向または-Y方向にYh分移動させ、その後、X0位置まで戻って、再度、ヘッド部5を基材Pに当接させた状態でX0位置からXn位置まで片方向(図面上+X方向)に塗布することを図面上Y1から、Y2、Y3、Y4及びY5まで繰り返して、基材Pの全面に接着剤Cを塗布するように構成されている。
【0020】
また、本実施形態の塗布装置1は、両方向塗布(図面上+X方向及び-X方向移動時に塗布)の場合には、ヘッド部5を基材Pに当接させた状態でX0位置からXn位置まで片方向(図面上+X方向)に塗布した後、ヘッド部5を一旦上方に移動させ基材Pから離間させて、+Y方向または-Y方向にYh分移動させ、その後、Xn位置からX0位置まで片方向(図面上-X方向)に塗布することを図面上Y1から、Y2、Y3、Y4及びY5まで繰り返して、基材Pの全面に接着剤Cを塗布するように構成されている。
【0021】
テーブル3は、平面視略長方形を呈し、基台31と、その基台31の上に配置されたプレート33とを備える。また、プレート33の表面には、基材Pを吸引するための多数の吸引孔43が形成されており、それら吸引孔43のすべては、エアコンプレッサー11(
図5参照)に連通されている。
【0022】
したがって、テーブル3の上に載置された基材Pは、エアコンプレッサー11(
図5参照)によって吸引孔43から吸引され、テーブル3に固定される。
【0023】
ヘッド部5は、テーブル3の短辺を横切るキャリアバー35に設けられ、Y軸モータ37の回転により、Y軸モータ37のモータギアに噛合されたタイミングベルト(図示せず)が回転することによって、図面上±Y方向に移動可能なように構成されている。
【0024】
ヘッド部5は、後述する接着剤供給部7から供給された接着剤Cをヘッド部5に内蔵されたヒータによって溶融し、その溶融された接着剤Cを、幅Yh+α(αは、ヘッド部5が複数列走査する際に、隣接する塗布領域と重なる部分の長さに相当する)でノズル51から吐出して、基材P上に塗布するものである。
【0025】
本実施形態のヘッド部5は、
図3及び
図4に示すように、幅Yh+αの長さの塗布幅を確保するために、4つの電磁弁57(第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57d)と、それぞれの電磁弁に電気的に接続された4つの電磁弁コントローラ59(第1電磁弁コントローラ59a、第2電磁弁コントローラ59b、第3電磁弁コントローラ59c及び第4電磁弁コントローラ59d)とを使用している。
【0026】
そして、本実施形態のヘッド部5は、ヘッド部5の前方を構成するヘッド前部55と、ヘッド部5の後方を構成するヘッド後部53と、ヘッド前部55とヘッド後部53との間の間隙であって、溶融された接着剤Cを吐出するノズル51と、接着剤Cをノズル51から吐出するためのエアを吸入するためのヘッドエア吸入口65と、ヘッドエア吸入口65から吸入されたエアのノズルへの連通をON/OFFするための第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57dと、各電磁弁のON/OFFを制御するための第1電磁弁コントローラ59a、第2電磁弁コントローラ59b、第3電磁弁コントローラ59c及び第4電磁弁コントローラ59dと、ヘッド部5に供給された接着剤Cを溶融するためにヒータに通電するためのコードセット63と、接着剤Cをヘッド部5へ供給するための接着剤吸入口61と、後述するヘッド部5を±Z方向に移動させるためのZ軸モータ99と、同じく後述するヘッド部5を+Z方向へ付勢するためのエアシリンダー部67と、を備える。
【0027】
また、ヘッド部5のヘッドエア吸入口65には、接続チューブ81が接続され、コードセット63には、電線コード77が接続され、接着剤吸入口61には、供給チューブ79が接続されている。
【0028】
また、キャリアバー35は、テーブル3の短辺を横切るように設けられ、X軸モータ39の回転により、X軸モータ39がテーブル3下のラック(図示せず)上を移動することによって、図面上±X方向に移動可能なように構成されている。
【0029】
また、X軸モータ39及びY軸モータ37は、接続ケーブル41を介して、夫々X軸モータドライバー17及びY軸モータドライバー19(
図5参照)に電気的に接続されている。
【0030】
接着剤供給部7は、三つ又の基部71と、基部71に接続された支柱部73と、支柱部73の先端からテーブル3の上部を横切って延びる支持部75と、基部71、支柱部73及び支持部75に支持され、接着剤貯留タンク(図示せず)とヘッド部5との間を連通し、接着剤Cを接着剤貯留タンク(図示せず)からヘッド部5へ供給するための供給チューブ79と、基部71、支柱部73及び支持部75に支持され、電源9(
図5参照)に電気的に接続され、ヘッド部5に供給された接着剤Cを溶融するためにヒータを通電するための電線コード77と、を備える。
【0031】
次に、本実施形態の塗布装置1のブロック図について説明する。
【0032】
図5は、第1実施形態の塗布装置のブロック図であり、
図6は、第1実施形態の塗布装置のメインコントローラのブロック図である。
【0033】
図5において、塗布装置1は、電源9に電気的に接続されたメインコントローラ15と、そのメインコントローラ15に電気的に接続され、吸引孔43、エアシリンダー部67及びヘッド部5を駆動するためのエアコンプレッサー11と、メインコントローラ15に電気的に接続された、X軸モータ39を駆動するためのX軸モータドライバー17、Y軸モータ37を駆動するためのY軸モータドライバー19、後述するZ軸モータ99を駆動するためのZ軸モータドライバー21、第1電磁弁57aを制御するための第1電磁弁コントローラ59a、第2電磁弁57bを制御するための第2電磁弁コントローラ59b、第3電磁弁57cを制御するための第3電磁弁コントローラ59c及び第4電磁弁57dを制御するための第4電磁弁コントローラ59dと、装置の操作者からの入力を受け付ける操作パネル13と、を備える。
【0034】
また、
図6において、メインコントローラ15は、CPU(中央演算処理装置)45と、そのCPU45に入出力可能に接続されたRAM(Random Access Memory)47と、CPU45に入出力可能に接続されたROM(Read Only Memory)49とを備える。
【0035】
RAM47は、テーブル3に載置される基材Pのサイズを記憶した基材サイズデータテーブル47aを備え、ROM49は、本実施形態の塗布装置1全体の動作を司る基材塗布プログラム49aを備える。
【0036】
次に、上述した構成の塗布装置1の動作について説明する。
【0037】
図7は、第1実施形態の塗布装置における基材塗布プログラムのフローチャートであり、
図8は、第1実施形態の塗布装置1の初期状態を示す左側面図であり、
図9は、
図7のA-A断面図である。
【0038】
また、
図10は、第1実施形態の塗布装置のヘッド部を下降させた状態を示す左側面図であり、
図11は、
図10においてエアシリンダー部の構造を説明するための説明図であり、
図12は、第1実施形態の塗布装置のヘッド部を下降させた後、エアシリンダー部を動作させた状態を示す図であり、エアシリンダー部の動作を説明するための説明図である。
【0039】
本実施形態の塗布装置1は、上述した通り、接着剤供給部7から供給された接着剤Cを、ヘッド部5に内蔵されたヒータによって溶融した後、ヘッド部5から吐出して、テーブル3上に載置された基材Pの表面に塗布する装置である。
【0040】
図7において、先ず、装置の操作者が装置の電源スイッチを入れた後、操作パネル13上の操作ボタンによって基材Pのサイズを入力するとともに、塗布装置1に片方向塗布(+X方向移動時のみに塗布)をさせるか、両方向塗布(+X方向及び-X方向移動時に塗布)をさせるかの選択ボタンを押下して、スタートボタンを押下すると、塗布装置1は、初期状態にセットされ(S1)、RAM47の基材サイズデータテーブル47aに記憶された基材Pのサイズ情報を取得する(S3)。
【0041】
なお、
図8は、塗布装置1の初期状態を図示している。初期状態において、ヘッド部5は、X方向位置X0、及びY方向位置Y0の位置(
図1参照)にセットされており、ヘッド部5の先端(ヘッド前部55及びヘッド後部53のうちより下方に突出した部分)は、テーブル3上に載置された基材Pから上方に所定距離離間した位置にセットされている。
【0042】
ここで、塗布装置1のヘッド部5を+Z方向及び-Z方向に移動させるための昇降機構80(本発明の「間隔調整部」に相当)について説明する。
【0043】
図8及び
図9に示すように、昇降機構80は、基部97に設けられた2本のガイドレール69a及び69bと、2本のガイドレール69a及び69bに対して+Z方向及び-Z方向に移動可能なように、2本のガイドレール69a及び69bに勘合されたヘッド部基部95と、基部97に設けられたZ軸モータ99と、そのZ軸モータ99のモータ軸に接続されたカップリング89と、そのカップリング89に接続されたウォームギア85と、ヘッド部基部95に接続され、ウォームギア85の回転によって+Z方向及び-Z方向に移動可能な移動部材87と、を備える。
【0044】
このように、塗布装置1の基部97には、2本のガイドレール69a及び69bと、ヘッド部基部95を基部97に対して+Z方向及び-Z方向に移動させるためのZ軸モータ99と、そのZ軸モータ99のモータ軸に接続されたカップリング89と、そのカップリング89に接続されたウォームギア85とが設けられており、ヘッド部基部95は、基部97に対して+Z方向及び-Z方向に移動可能なように、基部97に設けられた2本のガイドレール69a及び69bに勘合し、ヘッド部基部95に接続された移動部材87が、ウォームギア85の回転によって+Z方向及び-Z方向に移動可能なようにウォームギア85に勘合されている。
【0045】
したがって、Z軸モータ99の回転によって、カップリング89及びウォームギア85が回転し、その回転に伴って移動部材87及びその移動部材87に接続されたヘッド部基部95が+Z方向及び-Z方向に移動し、ヘッド部基部95が基部97に対して昇降するように構成されている。
【0046】
次に、塗布装置1のヘッド部5を、ヘッド部5の重量に抗するように、基部97に対して+Z方向に付勢し、ヘッド部5のノズル51と基材Pとの当接圧を軽減するためのエアシリンダー部67(本発明の「ヘッド付勢部」に相当)について説明する。
【0047】
図8において、エアシリンダー部67は、ヘッド部基部95にエアシリンダー部67のシリンダー本体67aを接続し、基部97にエアシリンダー部67のピストン67bの下端に接続されたピストン軸93を接続し、エアコンプレッサー11に接続された接続チューブ83からエアシリンダー部67内にエアが注入されると、エアシリンダー部67の作用により、ヘッド部5が基部97に対して+Z方向に付勢され、ヘッド部5の先端(ヘッド前部55及びヘッド後部53のうちより下方に突出した部分)と基材Pとの当接圧が軽減されるように構成されている。
【0048】
次に、基材塗布プログラムに戻ると、装置の操作者によって両方向塗布が選択されたか否かが判断され(S5)、両方向塗布が選択されておらず、片方向塗布が選択されている場合には(S5:No)、そのままS9の処理が実行され、両方向塗布が選択されている場合には(S5:Yes)、両方向塗布フラグがONされた後(S7)S9の処理が実行される。
【0049】
その後、塗布装置1は、ヘッド部5を上述した昇降機構80によって-Z方向(下方)に移動させ、ヘッド部5の先端(ヘッド前部55及びヘッド後部53のうちより下方に突出した部分)を基材Pに当接させ(S9)、ヘッド部5の位置を安定させるために、所定時間待つ(S11)。
【0050】
なお、本実施形態において、ヘッド部5は、その先端が基材Pの表面よりもZ1μm(約500μm)下方に位置するまで移動するように設定されている。すなわち、ヘッド部5の先端は、基材P表面を押し付けた状態である。
【0051】
図10は、塗布装置1が、ヘッド部5を上述した昇降機構80によって-Z方向(下方)に移動させ、ヘッド部5の先端が基材Pの表面よりもZ1μm(約500μm)下方に位置した状態を示している。
図10において、エアシリンダー部67の部分のみの内部を示したのが
図11である。
【0052】
エアシリンダー部67は、中空円筒状のシリンダー本体67aと、そのシリンダー本体67aの内部に移動可能に配置されたピストン67bと、からなり、エアコンプレッサー11に接続された接続チューブ83からエアシリンダー部67の空隙部91にエアが注入されると、空隙部91内のエア圧によって、ピストン67bと、ピストン67bの下端に接続されたピストン軸93とを基準として、シリンダー本体67aに接続されたヘッド部基部95が押し上げられるように構成されている。
【0053】
すなわち、ヘッド部5は、上述したように、ヘッド部基部95にエアシリンダー部67のシリンダー本体67aが接続され、基部97にエアシリンダー部67のピストン軸93が接続され、エアコンプレッサー11に接続された接続チューブ83からエアシリンダー部67の空隙部91にエアが注入されると、空隙部91内のエア圧によって、ヘッド部5が基部97に対して+Z方向に付勢され、ヘッド部5の先端と基材Pとの当接圧が軽減される。
【0054】
一方、エアコンプレッサー11に接続された接続チューブ83からエアシリンダー部67の空隙部91にエアが注入されない場合には、ヘッド部5は、上述した昇降機構によって昇降された位置に、ヘッド部5の自重で押し下げられた状態となるように構成されている。
【0055】
なお、
図11は、エアコンプレッサー11に接続された接続チューブ83からエアシリンダー部67の空隙部91にエアが注入されていな状態を示している。したがって、ヘッド部5の先端はヘッド部5の自重によって基材Pの表面を押し付けられた状態である。
【0056】
その後、エアシリンダー部67をONさせ(S13)、ヘッド部5を押し上げた後、ヘッド部5の位置を安定させるために、所定時間待ち(S15)、ヘッド部5の先端の基材Pの表面に対する押圧力を略0になるように設定する。
【0057】
なお、
図12は、塗布装置1のヘッド部5を下降させた後、エアシリンダー部67をONさせ、ヘッド部5を押し上げ、ヘッド部5の先端の基材Pの表面に対する押圧力が略0になった状態を示す図である。
【0058】
図12において、エアコンプレッサー11に接続された接続チューブ83からエアシリンダー部67の空隙部91にエアが注入されると、空隙部91内のエア圧f1によって、ピストン67bと、ピストン67bの下端に接続されたピストン軸93とを基準として、シリンダー本体67aに接続されたヘッド部基部95が押し上げられ、ヘッド部5の先端の基材Pの表面に対する押圧力が略0(ヘッド部5は基材Pの表面に当接しているが、基材Pへの押し付けが無い状態:Z1≒0)になっている。
【0059】
なお、本実施形態の塗布装置1においては、ヘッド部5の先端の基材Pの表面に対する押圧力を略0に設定しているが、略0にしない場合であっても良く、空隙部91内のエア圧によって、ヘッド部5の先端と基材Pの表面との当接圧を軽減するものであれば、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cを相当均一に塗布することができる。
【0060】
そして、
図12に示すように、塗布装置1は、ヘッド部5のノズル51から、ヒータによって溶融された接着剤Cを基材Pの表面に吐出させながら(S17)、ヘッド部5を+X方向に移動させ(S19)、Y方向1行目のY1領域(
図1参照)の塗布が完了したか否かが判断される(S21)。
【0061】
Y方向1行目のY1領域(
図1参照)の塗布が完了していない場合には(S21:No)、Y1領域(
図1参照)の塗布が完了するまで、S17及びS19の処理を繰り返し、Y方向1行目のY1領域(
図1参照)の塗布が完了している場合には(S21:Yes)、ノズル51からの接着剤Cの吐出をOFFさせ(S23)、ヘッド部5を上昇させた後(S25)、ヘッド部5を+Y方向にさらに1行移動させ(S27)、両方向塗布フラグがONしているか否かが判断される(S29)。
【0062】
両方向塗布フラグがONしている場合には(S29:Yes)、両方向塗布と判断され、その後、Y方向全体の塗布が完了したか否かが判断され(S33)、両方向塗布フラグがONしていない場合には(S29:No)、片方向塗布と判断され、ヘッド部5をX方向のX0位置に移動させた後(S31)、Y方向全体の塗布が完了したか否かが判断される(S33)。
【0063】
そして、Y方向全体の塗布が完了していない場合には(S33:No)、ヘッド部5を再度下降させ(S35)、2行目のY2領域から5行目のY5領域(
図1参照)までの塗布が完了するまで、S17乃至S33の処理を繰り返し、Y方向全体の塗布が完了している場合には(S33:Yes)、エアシリンダー部67をOFFさせ(S37)、ヘッド部5の先端を基材Pの表面から離間するように上昇させた後(S39)、ヘッド部5を初期位置(X方向位置X0、Y方向位置Y0の位置)に移動させ(S41)、両方向塗布フラグをOFFして(S43)処理を終了する(S45)。
【0064】
なお、本実施形態の塗布装置1においては、接着剤Cをテーブル3上に載置された基材Pの表面に塗布する装置を説明してきたが、塗布する材料は、接着剤に限られるものではなく、接着剤以外の流体または紛体を塗布する塗布装置であっても適用可能である。
【0065】
本実施形態の塗布装置1によれば、テーブル3と、そのテーブル3上に載置された基材Pの表面に接着剤Cを塗布するヘッド部5と、テーブル3とヘッド部5との間隔を調整する昇降機構80と、を備えたものを対象として、特に、昇降機構80は、ヘッド部5が基材Pに当接するように、テーブル3とヘッド部5との間隔を調整し、ヘッド部5は、基材Pに当接された状態で、接着剤Cを塗布するので、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cを均一に塗布することができる。
【0066】
また、本実施形態の塗布装置1によれば、ヘッド部5をそのヘッド部5の重量に抗して付勢するエアシリンダー部67を備えているので、接着剤Cを吐出する吐出孔に対する負荷を軽減して、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0067】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図であり、
図14は、第2実施形態の塗布装置の塗布状態を示す左側面図である。
【0068】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、本実施形態の塗布装置1に使用するヘッド部105のうち、第1実施形態のヘッド部5と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0069】
ヘッド部105は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、テーブル3の短辺を横切るキャリアバー35に設けられ、Y軸モータ37の回転により、Y軸モータ37のモータギアに噛合されたタイミングベルト(図示せず)が回転することによって、図面上±Y方向に移動可能なように構成されている。
【0070】
また、ヘッド部105は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、後述する接着剤供給部7から供給された接着剤Cをヘッド部105に内蔵されたヒータによって溶融し、その溶融された接着剤Cを、幅Yh+α(αは、ヘッド部105が複数列走査する際に、隣接する塗布領域と重なる部分の長さに相当する)でノズル151から吐出して、基材P上に塗布するものである。
【0071】
また、ヘッド部105は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、幅Yh+αの長さの塗布幅を確保するために、4つの電磁弁57(第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57d)と、
図13に示すように、それぞれの電磁弁に電気的に接続された4つの電磁弁コントローラ159(第1電磁弁コントローラ159a、第2電磁弁コントローラ159b、第3電磁弁コントローラ159c及び第4電磁弁コントローラ159d)とを使用している。
【0072】
また、ヘッド部105は、ヘッド部105の前方を構成するヘッド前部155と、ヘッド部105の後方を構成するヘッド後部153と、ヘッド前部155とヘッド後部153との間の間隙であって、溶融された接着剤Cを吐出するノズル151と、接着剤Cをノズル151から吐出するためのエアを吸入するためのヘッドエア吸入口65と、ヘッドエア吸入口65から吸入されたエアのノズルへの連通をON/OFFするための第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57dと、各電磁弁のON/OFFを制御するための第1電磁弁コントローラ159a、第2電磁弁コントローラ159b、第3電磁弁コントローラ159c及び第4電磁弁コントローラ159dと、ヘッド部105に供給された接着剤Cを溶融するためにヒータに通電するためのコードセット63と、接着剤Cをヘッド部105へ供給するため接着剤吸入口161と、ヘッド部105を±Z方向に移動させるためのZ軸モータ99と、ヘッド部105を+Z方向へ付勢するためのエアシリンダー部67と、を備える。
【0073】
また、ヘッド部105のヘッドエア吸入口65には、接続チューブ81が接続され、コードセット63には、電線コード77が接続され、接着剤吸入口161には、供給チューブ79が接続されている。
【0074】
なお、本実施形態のヘッド部105は、第1実施形態のヘッド部5に比べて、ヘッド前部とヘッド後部の形状が異なる。すなわち、第1実施形態のヘッド部5におけるヘッド前部55の先端と、ヘッド後部53の先端とは、ほぼ同じ高さに組み付けられていたが、本実施形態のヘッド部105におけるヘッド前部155の先端は、ヘッド後部153の先端よりもZ2μm(約300μm)先端側(基材P側)に突出している。
【0075】
したがって、本実施形態のヘッド部105は、その先端、具体的には、ヘッド前部155の先端がZ3μm(約500μm)基材Pに押し付けられたとしても、ヘッド前部155とヘッド後部153との高さの差によって、ヘッド部105の後ろ側に、基材Pとヘッド後部153との間に空隙が生じ、ノズル151から吐出する接着剤Cが基材P上にスムーズに均一に塗布されることとなる。なお、
図14は、ヘッド部105による塗布状態を示している。
【0076】
本実施形態のヘッド部105を使用した塗布装置1によれば、テーブル3と、そのテーブル3上に載置された基材Pの表面に接着剤Cを塗布するヘッド部105と、テーブル3とヘッド部105との間隔を調整する昇降機構80と、を備えたものを対象として、特に、昇降機構80は、ヘッド部105が基材Pに当接するように、テーブル3とヘッド部105との間隔を調整し、ヘッド部105は、基材Pに当接された状態で、接着剤Cを塗布するので、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cを均一に塗布することができる。
【0077】
また、本実施形態のヘッド部105を使用した塗布装置1によれば、ヘッド部105をそのヘッド部105の重量に抗して付勢するエアシリンダー部67を備えているので、接着剤Cを吐出する吐出孔に対する負荷を軽減して、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0078】
さらに、本実施形態のヘッド部105を使用した塗布装置1によれば、ヘッド部105は、接着剤Cを吐出するノズル151と、そのノズル151の前部を形成するヘッド前部155と、ノズル151の後部を形成するヘッド後部153と、を備え、ヘッド後部153は、ヘッド前部155よりもテーブル3に対して離間しているので、ヘッド部105の1方向移動時の接着剤Cのノズル151に対する負荷をさらに軽減して、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0079】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図である。
【0080】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、本実施形態の塗布装置1に使用するヘッド部205のうち、第1実施形態のヘッド部5と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0081】
ヘッド部205は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、テーブル3の短辺を横切るキャリアバー35に設けられ、Y軸モータ37の回転により、Y軸モータ37のモータギアに噛合されたタイミングベルト(図示せず)が回転することによって、図面上±Y方向に移動可能なように構成されている。
【0082】
また、ヘッド部205は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、後述する接着剤供給部7から供給された接着剤Cをヘッド部205に内蔵されたヒータによって溶融し、その溶融された接着剤Cを、幅Yh+α(αは、ヘッド部205が複数列走査する際に、隣接する塗布領域と重なる部分の長さに相当する)でノズル251から吐出して、基材P上に塗布するものである。
【0083】
また、ヘッド部205は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、幅Yh+αの長さの塗布幅を確保するために、4つの電磁弁57(第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57d)と、
図15に示すように、それぞれの電磁弁に電気的に接続された4つの電磁弁コントローラ259(第1電磁弁コントローラ259a、第2電磁弁コントローラ259b、第3電磁弁コントローラ259c及び第4電磁弁コントローラ259d)とを使用している。
【0084】
また、ヘッド部205は、ヘッド部205の前方を構成するヘッド前部255と、ヘッド部205の後方を構成するヘッド後部253と、ヘッド前部255とヘッド後部253との間の間隙であって、溶融された接着剤Cを吐出するノズル251と、接着剤Cをノズル251から吐出するためのエアを吸入するためのヘッドエア吸入口65と、ヘッドエア吸入口65から吸入されたエアのノズルへの連通をON/OFFするための第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57dと、各電磁弁のON/OFFを制御するための第1電磁弁コントローラ259a、第2電磁弁コントローラ259b、第3電磁弁コントローラ259c及び第4電磁弁コントローラ259dと、ヘッド部205に供給された接着剤Cを溶融するためにヒータに通電するためのコードセット63と、接着剤Cをヘッド部205へ供給するため接着剤吸入口261と、ヘッド部205を±Z方向に移動させるためのZ軸モータ99と、るヘッド部125を+Z方向へ付勢するためのエアシリンダー部67と、を備える。
【0085】
また、ヘッド部205のヘッドエア吸入口65には、接続チューブ81が接続され、コードセット63には、電線コード77が接続され、接着剤吸入口261には、供給チューブ79が接続されている。
【0086】
なお、本実施形態のヘッド部205は、第2実施形態のヘッド部105に比べて、ヘッド前部とヘッド後部の形状が異なる。すなわち、第2実施形態のヘッド部105におけるヘッド前部155の先端は、ヘッド後部153の先端よりもZ2μm(約300μm)先端側(基材P側)に突出していたが、本実施形態のヘッド部205におけるヘッド前部255の先端は、ヘッド後部253の先端よりもZ2μm(約300μm)先端側(基材P側)に突出していることに加え、ヘッド部205におけるヘッド前部255の傾斜角θ2は、ヘッド後部253の傾斜角θ1よりも小さく、かつヘッド前部255の断面257が流線形となっている。
【0087】
したがって、本実施形態のヘッド部205は、その先端、具体的には、ヘッド前部255の先端がZ3μm(約500μm)基材Pに押し付けられたとしても、ヘッド前部255とヘッド後部253との高さの差によって、ヘッド部205の後ろ側に、基材Pとヘッド後部253との間に空隙が生じ、ノズル251から吐出する接着剤Cが基材P上にスムーズに均一に塗布されることに加え、ヘッド前部255の少ない傾斜角θ2と流線断面257とによって、基材Pがスムーズに撓み、ヘッド後部253の大きな傾斜角θ1によって接着剤Cがスムーズにヘッド後部253か離間するため、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0088】
本実施形態のヘッド部205を使用した塗布装置1によれば、テーブル3と、そのテーブル3上に載置された基材Pの表面に接着剤Cを塗布するヘッド部205と、テーブル3とヘッド部205との間隔を調整する昇降機構80と、を備えたものを対象として、特に、昇降機構80は、ヘッド部205が基材Pに当接するように、テーブル3とヘッド部205との間隔を調整し、ヘッド部205は、基材Pに当接された状態で、接着剤Cを塗布するので、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cを均一に塗布することができる。
【0089】
また、本実施形態のヘッド部205を使用した塗布装置1によれば、ヘッド部205をそのヘッド部205の重量に抗して付勢するエアシリンダー部67を備えているので、接着剤Cを吐出するノズル251に対する負荷を軽減して、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0090】
また、本実施形態のヘッド部205を使用した塗布装置1によれば、ヘッド部205は、接着剤Cを吐出するノズル251と、そのノズル251の前部を形成するヘッド前部255と、ノズル251の後部を形成するヘッド後部253と、を備え、ヘッド後部253は、ヘッド前部255よりもテーブル3に対して離間しているので、ヘッド部205の1方向移動時の接着剤Cのノズル251に対する負荷をさらに軽減して、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0091】
さらに、本実施形態のヘッド部205を使用した塗布装置1によれば、ヘッド前部255の傾斜角θ2は、ヘッド後部253の傾斜角θ1よりも小さく、かつヘッド前部255の断面257が流線形であるので、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0092】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態の塗布装置に使用されるヘッド部の左側面図である。
【0093】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、本実施形態の塗布装置1に使用するヘッド部305のうち、第1実施形態のヘッド部5と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0094】
ヘッド部305は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、テーブル3の短辺を横切るキャリアバー35に設けられ、Y軸モータ37の回転により、Y軸モータ37のモータギアに噛合されたタイミングベルト(図示せず)が回転することによって、図面上±Y方向に移動可能なように構成されている。
【0095】
また、ヘッド部305は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、後述する接着剤供給部7から供給された接着剤Cをヘッド部305に内蔵されたヒータによって溶融し、その溶融された接着剤Cを、幅Yh+α(αは、ヘッド部205が複数列走査する際に、隣接する塗布領域と重なる部分の長さに相当する)でノズル351から吐出して、基材P上に塗布するものである。
【0096】
また、ヘッド部305は、第1実施形態のヘッド部5と同様に、幅Yh+αの長さの塗布幅を確保するために、4つの電磁弁57(第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57d)と、
図16に示すように、それぞれの電磁弁に電気的に接続された4つの電磁弁コントローラ359(第1電磁弁コントローラ359a、第2電磁弁コントローラ359b、第3電磁弁コントローラ359c及び第4電磁弁コントローラ359d)とを使用している。
【0097】
また、ヘッド部305は、ヘッド部305の前方を構成するヘッド前部355と、ヘッド部305の後方を構成するヘッド後部353と、ヘッド前部355とヘッド後部353との間の間隙であって、溶融された接着剤Cを吐出するノズル351と、接着剤Cをノズル351から吐出するためのエアを吸入するためのヘッドエア吸入口65と、ヘッドエア吸入口65から吸入されたエアのノズルへの連通をON/OFFするための第1電磁弁57a、第2電磁弁57b、第3電磁弁57c及び第4電磁弁57dと、各電磁弁のON/OFFを制御するための第1電磁弁コントローラ359a、第2電磁弁コントローラ359b、第3電磁弁コントローラ359c及び第4電磁弁コントローラ359dと、ヘッド部305に供給された接着剤Cを溶融するためにヒータに通電するためのコードセット63と、接着剤Cをヘッド部305へ供給するため接着剤吸入口361と、ヘッド部305を±Z方向に移動させるためのZ軸モータ99と、ヘッド部305を+Z方向へ付勢するためのエアシリンダー部67と、を備える。
【0098】
また、ヘッド部305のヘッドエア吸入口65には、接続チューブ81が接続され、コードセット63には、電線コード77が接続され、接着剤吸入口361には、供給チューブ79が接続されている。
【0099】
なお、本実施形態のヘッド部305は、両方向塗布(+X方向及び-X方向に塗布する方法)に使用されるものであり、ヘッド前部とヘッド後部の形状が同じである。
【0100】
すなわち、本実施形態のヘッド部305におけるヘッド前部355の先端と、ヘッド後部353の先端は同じ高さであり、ヘッド部305におけるヘッド前部355の傾斜角とヘッド後部353の傾斜角は同じ角度θ3であり、ヘッド前部355の断面357とヘッド後部353の断面359は共に流線形である。
【0101】
本実施形態のヘッド部305を使用した塗布装置1によれば、テーブル3と、そのテーブル3上に載置された基材Pの表面に接着剤Cを塗布するヘッド部305と、テーブル3とヘッド部305との間隔を調整する昇降機構80と、を備えたものを対象として、特に、昇降機構80は、ヘッド部305が基材Pに当接するように、テーブル3とヘッド部305との間隔を調整し、ヘッド部305は、基材Pに当接された状態で、接着剤Cを塗布するので、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cを均一に塗布することができる。
【0102】
また、本実施形態のヘッド部305を使用した塗布装置1によれば、ヘッド部305をそのヘッド部305の重量に抗して付勢するエアシリンダー部67を備えているので、接着剤Cを吐出するノズル351に対する負荷を軽減して、テーブル3上に載置された基材Pに接着剤Cをさらに均一に塗布することができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態における塗布装置1について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0104】
例えば、上述の実施形態において、ヘッド部の基材Pに対する当接圧をヘッド付勢部の1例としてエアシリンダー部67によって調整するように説明したが、ヘッド付勢部による調整はエアシリンダー部による方法限られるものではなく、モータ等のアクチュエータによって構成することも可能である。
【符号の説明】
【0105】
1・・・塗布装置
3・・・テーブル
5,105,205,305・・・ヘッド部
7・・・接着剤供給部
11・・・エアコンプレッサー
13・・・操作パネル
15・・・メインコントローラ
37・・・Y軸モータ
39・・・X軸モータ
33・・・プレート
43・・・吸入孔
51,151,251,351・・ノズル
53,153,253,353・・・ヘッド後部
55,155,255,355・・・ヘッド前部
57a・・・第1電磁弁
57b・・・第2電磁弁
57c・・・第3電磁弁
57d・・・第4電磁弁
67・・・エアシリンダー部
99・・・Z軸モータ
C・・・接着剤
P・・・基材