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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】ドローン
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20230123BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
B64C39/02
B64D45/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021577738
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2020005180
(87)【国際公開番号】W WO2021161392
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-05-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴嗣
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】柳下 洋
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/225607(WO,A1)
【文献】特開2019-085006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロペラを備えたドローンであって、
前記ドローンの飛行を制御する制御基板を搭載する本体と、
前記本体の一部を構成し、高発熱素子が接合される第1の部材と、
前記第1の部材と隙間を空けて配設される第2の部材と、
を備え、
前記第2の部材に、温度の影響により出力値が変動するセンサ素子が接合され
前記第2の部材には、前記第1の部材よりも重量が大きいバッテリが保持され、
前記第1の部材および前記第2の部材は、間を空けて互いに対向しており、
前記第1の部材は前記第2の部材に向かって突出する第1の凸部を有し、
前記第2の部材は前記第1の部材に向かって突出し、前記第1の凸部と対応する位置に形成されている第2の凸部を有し、
前記第2の凸部と前記第1の凸部とは複数の締結部で互いに連結されていて、
前記センサ素子は前記複数の締結部に囲われた領域に配設されている、
ドローン。
【請求項2】
前記バッテリは、前記バッテリの長手方向の一方側と他方側で前記第2部材と固定され、
前記第2の凸部は、前記バッテリの長手方向に沿って形成される、
請求項1に記載のドローン。
【請求項3】
前記センサ素子は、角速度センサ又は角加速度センサ又は速度センサ又は加速度センサである、
請求項1又は2記載のドローン。
【請求項4】
前記第2の部材は前記第1の部材の下方に配置されている、
請求項1又は2に記載のドローン。
【請求項5】
前記第2の部材は前記第1の部材の上方に配置されている、
請求項1又は2に記載のドローン。
【請求項6】
前記第2の部材は前記本体の中央に配置され、前記第1の部材は前記本体の側壁の少なくとも一部を構成している、
請求項1又は2に記載のドローン。
【請求項7】
前記バッテリの重量は2kg以上7kg以下である、
請求項1又は2に記載のドローン。
【請求項8】
前記第2の部材は、前記バッテリが前記本体の外部に保持されるように、前記本体の外壁又は前記第1の部材に連結されている、
請求項1又は2に記載のドローン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。
【0003】
特許文献1および2には、第1の回路基板と平行に第2の回路基板が配置され、第1の回路基板には発熱性部品が配置され、第2の回路基板は実質的に熱を発生しない電子的部品の他、センサ素子を備える制御ユニットが開示されている。
【0004】
特許文献3には、複数のプリント回路基板が積層されて構成されるプリント回路基板の実装構造が開示されている。特許文献4には、発熱電子部品と発熱の少ない電子部品とを互いに異なる実装基板に実装することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2018-517284号公報
【文献】特表2018-513561号公報
【文献】実全昭61-65791号公報
【文献】特開1997-283886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドローンに搭載されるセンサ素子の温度上昇を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の観点に係るドローンは、複数のプロペラを備えたドローンであって、前記ドローンの飛行を制御する制御基板を搭載する本体と、前記本体の一部を構成し、高発熱素子が接合される第1の部材と、前記第1の部材と隙間を空けて配設される第2の部材と、を備え、前記第2の部材に、温度の影響により出力値が変動するセンサ素子が接合される、ドローン。
【0008】
前記第2の部材には、前記第1の部材よりも重量が大きいバッテリ又は電源装置が保持されるものとしてもよい。
【0009】
前記第2の部材は、前記第1の部材よりも重量が大きいバッテリ又は電源装置の構成部材であるものとしてもよい。
【0010】
前記センサ素子は、角速度センサ又は角加速度センサ又は速度センサ又は加速度センサであるものとしてもよい。
【0011】
前記第2の部材は前記第1の部材の下方に配置されているものとしてもよい。
【0012】
前記第2の部材は前記第1の部材の上方に配置されているものとしてもよい。
【0013】
前記第2の部材は前記本体の中央に配置され、前記第1の部材は前記本体の側壁の少なくとも一部を構成しているものとしてもよい。
【0014】
前記第1の部材と前記第2の部材との間には空気層が設けられているものとしてもよい。
【0015】
前記バッテリの重量は2kg以上7kg以下であるものとしてもよい。
【0016】
前記第2の部材は、前記バッテリが前記本体の外部に保持されるように、前記本体の外壁又は前記第1の部材に連結されているものとしてもよい。
【0017】
前記第1の部材および前記第2の部材は、間を空けて互いに対向しており、前記第1の部材は前記第2の部材に向かって突出する第1の凸部を有し、前記第2の部材は前記第1の部材に向かって突出し、前記第1の凸部と対応する位置に形成されている第2の凸部を有し、前記第2の凸部と前記第1の凸部とは複数の締結部で互いに連結されていて、前記センサ素子は前記複数の締結部に囲われた領域に配設されているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
ドローンに搭載されるセンサ素子の温度上昇を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明に係るドローンの平面図である。
図2】上記ドローンの正面図である。
図3】上記ドローンの右側面図である。
図4】上記ドローンの背面図である。
図5】上記ドローンの斜視図である。
図6】上記ドローンの飛行制御システムの全体概念図である。
図7】上記ドローンが有する機能ブロック図である。
図8】上記ドローンが有する機体本体の内部の様子を示す概略部分拡大横断面図である。
図9】上記機体本体の内部であって、図8とは異なる階層の様子を示す概略部分拡大横断面図である。
図10】上記機体本体の内部の様子を示す概略縦断面図である。
図11】上記機体本体の内部の様子を示す、図10と直交する方向の概略縦断面図である。
図12】上記機体本体が有する板部材および冷却板の様子を示す図であって、(a)概略斜視図、(b)板部材の上面図である。
図13】本発明にかかるドローンの第2実施形態における、機体本体の概略縦断面図である。
図14】本発明にかかるドローンの第3実施形態における、機体本体の概略縦断面図である。
図15】本発明にかかるドローンの第4実施形態における、機体本体の概略縦断面図である。
図16】本発明にかかるドローンの第5実施形態における、機体本体の概略縦断面図である。
図17】本発明にかかるドローンの第6実施形態における、機体本体の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。なお、以降の説明において、水平面上におけるドローンの進行方向を+x方向、水平面上においてx方向に直交する、正面からみて左から右に向かう方向を+y方向、鉛直上向きの方向を+z方向とする。
【0021】
まず、本発明にかかるドローンの構成について説明する。本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0022】
図1乃至図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100機体の本体110からのび出たアームにより本体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は図1における紙面下向きを進行方向とする。
【0023】
回転翼101の各セットの外周には、略円筒形を形成する格子状のプロペラガードが設けられ、回転翼101が異物と干渉しづらくなるようにしている。図2および図3に示されるように、プロペラガードを支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0024】
回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0025】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
【0026】
ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、散布物を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、散布物とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0027】
タンク104は散布物を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、タンク104と各ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、散布物をノズルから吐出するための手段である。
【0028】
図6に本願発明に係るドローン100の飛行制御システムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。同図において、ドローン100、操作器401、基地局404およびサーバ405が移動体通信網400を介して互いに接続されている。これらの接続は、移動体通信網400に代えてWi-Fiによる無線通信を行ってもよいし、一部又は全部が有線接続されていてもよい。また、構成要素間において、移動体通信網400に代えて、又は加えて、直接接続する構成を有していてもよい。
【0029】
ドローン100および基地局404は、GPS等のGNSSの測位衛星410と通信を行い、ドローン100および基地局404座標を取得する。ドローン100および基地局404が通信する測位衛星410は複数あってもよい。
【0030】
操作器401は、使用者の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、散布物の貯留量、電池残量、カメラ映像等)を表示するための手段であり、コンピューター・プログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。操作器401は、ユーザインターフェース装置としての入力部および表示部を備える。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作器(図示していない)を使用してもよい。非常用操作器は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい。さらに、操作器401とは別に、操作器401に表示される情報の一部又は全部を表示可能な小型携帯端末、例えばスマートホンがシステムに含まれていてもよい。小型携帯端末は、例えば基地局404と接続されていて、基地局404を介してサーバ405からの情報等を受信可能である。
【0031】
圃場403は、ドローン100による散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他の作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の侵入者が存在する場合もある。
【0032】
基地局404は、RTK-GNSS基地局として機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっている。また、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であってもよい。Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GNSS基地局が独立した装置であってもよい。また、基地局404は、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムを用いて、サーバ405と互いに通信可能であってもよい。基地局404およびサーバ405は、営農クラウドを構成する。
【0033】
サーバ405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。サーバ405は、ハードウェア装置により構成されていてもよい。サーバ405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0034】
小型携帯端末は例えばスマートホン等である。小型携帯端末の表示部には、ドローン100の運転に関し予測される動作の情報、より具体的にはドローン100が発着地点に帰還する予定時刻や、帰還時に使用者が行うべき作業の内容等の情報が適宜表示される。また、小型携帯端末からの入力に基づいて、ドローン100の動作を変更してもよい。
【0035】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点から離陸し、圃場403に散布物を散布した後に、あるいは、散布物の補充や充電等が必要になった時に発着地点に帰還する。発着地点から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、サーバ405等で事前に保存されていてもよいし、使用者が離陸開始前に入力してもよい。発着地点は、ドローン100に記憶されている座標により規定される仮想の地点であってもよいし、物理的な発着台があってもよい。
【0036】
図7に本願発明に係る散布用ドローンの実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h等のモータ制御装置を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。ESC22a乃至22hは、モーター102-1a乃至102-4bにそれぞれ接続されている。ESC22a乃至22hは、例えばインバーター回路を含む。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
【0037】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、サーバ405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0038】
フライトコントローラー501は、通信機530を介して、さらに、移動体通信網400を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、移動体通信網400を介した通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局404の信号とGPS等の測位衛星410からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0039】
6軸ジャイロセンサー505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段であり、さらに、加速度の積分により速度を計算する手段である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローンの高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0040】
流量センサー510は散布物の流量を測定するための手段であり、タンク104からノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は散布物の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。
【0041】
ドローン100は、カメラモジュール522を備える。カメラモジュール522は、例えば、生育診断カメラ512a、病理診断カメラ512bおよび障害物検知カメラ513の各機能を有している。
【0042】
生育診断カメラ512aは、圃場403を撮影し、生育診断のためのデータを取得する手段である。生育診断カメラ512aは例えばマルチスペクトルカメラであり、互いに波長の異なる複数の光線を受信する。当該複数の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)である。また、生育診断カメラ512aは、可視光線を受光するカメラであってもよい。
【0043】
病理診断カメラ512bは、圃場403に生育する作物を撮影し、病理診断のためのデータを取得する手段である。病理診断カメラ512bは、例えば赤色光カメラである。赤色光カメラは、植物に含有されるクロロフィルの吸収スペクトルに対応する周波数帯域の光量を検出するカメラであり、例えば波長650nm付近の帯域の光量を検出する。病理診断カメラ512bは、赤色光と近赤外光の周波数帯域の光量を検出してもよい。また、病理診断カメラ512bとして、赤色光カメラおよびRGBカメラ等の可視光帯域の少なくとも3波長の光量を検出する可視光カメラの両方を備えていてもよい。なお、病理診断カメラ512bはマルチスペクトルカメラであってもよく、波長650nm乃至680nm付近の帯域の光量を検出するものとしてもよい。
【0044】
なお、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bは、1個のハードウェア構成により実現されていてもよい。
【0045】
障害物検知カメラ513はドローン侵入者を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きが生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは異なるため、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者402が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の侵入者に接触したことを検知するためのセンサーである。なお、障害物接触センサー515は、6軸ジャイロセンサー505で代用してもよい。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。注入口センサー517はタンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。
【0046】
これらのセンサー類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローンに送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報を移動体通信網400経由又はWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0047】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、吐出量の調整や吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0048】
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザーは、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。通信機530は、3G、4G、およびLTE等の移動体通信網400と接続されており、移動体通信網400を介して基地局、サーバで構成される営農クラウド、操作器と通信可能に接続される。通信機に替えて、または、それに加えて、Wi‐Fi、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0049】
●ドローン(1)
図8に示すように、ドローン100機体の本体110内部には、ドローン100を駆動するための回路基板が配置されている。回路基板は、カメラモジュール522を駆動するカメラ基板21、ESC22a乃至22h、フライトコントローラ501機能を構成する主制御基板23、ならびにバッテリ502(図7および図9参照)から供給される電力をカメラ基板21、ESC22a乃至22hおよび主制御基板23に分電する電源基板24に大別される。カメラ基板21、ESC22a乃至22hおよび電源基板24は、高発熱素子が実装された基板の例である。主制御基板23は、高発熱素子よりも発熱量の小さい低発熱素子が実装された基板の例である。
【0050】
カメラ基板21、ESC22a乃至22h、主制御基板23および電源基板24は、冷却板20上に配置されている。冷却板20は、略xy平面に広がる薄板である。冷却板20は、本体110の筐体の少なくとも一部を構成し、略xy平面上において、カメラ基板21、ESC22a乃至22h、主制御基板23および電源基板24を保持している。図8においては、冷却板20は、上面視において矩形の1辺に部分円を連結させたような形状であり、本体110の底面を構成している。冷却板20は、上面視において矩形であってもよい。
【0051】
冷却板20は、熱伝導率の高い材料、例えば金属で構成されている。より具体的には、冷却板20は、例えばアルミニウムを主原料とする。冷却板20がアルミニウムを主原料とする構成によれば、軽量であるため、ドローン100のエネルギー消費量を節約することができる。冷却板20は、第1の部材の例である。
【0052】
図10に示すように、冷却板20は、発熱素子が配置される基部20eと、基部20eの端部を上方に屈曲させてなる立ち上がり部20a、20bとにより構成されている。立ち上がり部20a、20bは、冷却板20の基部20eと同等の部材で構成される。なお、立ち上がり部20a、20bを別途の部材で用意し、基部20eの両端部に連結させてなる構成であってもよい。本実施形態では、基部20eは本体110の底面を構成し、立ち上がり部20a、20bは、本体110の前面および後面の側壁の一部を構成する。この構成によれば、平板の冷却板に比べて、冷却板の剛性を大きくすることができる。
【0053】
立ち上がり部は、冷却板の進行方向左右側部が立ち上がっていてもよい。この構成によれば、冷却板の長手方向の剛性を大きくできる。さらに、立ち上がり部は冷却板の外縁全周に渡って形成され、トレイ状になっていてもよい。
【0054】
また、冷却板20の外表面は開放されている。すなわち、タンク104と冷却板20との間には隙間が空いている。この構成によれば、冷却板20の外表面に外気が触れるため、冷却板20の放熱効率が良い。
【0055】
カメラ基板21は、冷却板20の進行方向前部に配置されている。言い換えれば、カメラ基板21は主制御基板23の進行方向前方に配置されている。カメラモジュール522は本体110の進行方向前部に配置されているため、カメラ基板21がカメラモジュール522に対応する位置に配置されていることで、配線を短くすることができる。配線を短くすることで、配線にかかるコスト、ノイズの発生リスクおよび故障リスクを軽減することができる。
【0056】
また、ESC22a乃至ESC22hは、冷却板20上において主制御基板23の左右側方に配置されている。具体的には、モーター102-1a乃至102-2bにそれぞれ接続されるESC22a乃至22dは、主制御基板23の+y側に、x方向に沿って併設されている。モーター102-3a乃至102-4bにそれぞれ接続されるESC22e乃至22hは、主制御基板23の-y側に、x方向に沿って併設されている。この構成によれば、モーター102-1a乃至102-2bは本体110の+y側、モーター102-3a乃至102-4bは本体110の-y側に設けられているため、配線を短くすることができる。
【0057】
電源基板24は、冷却板20上において主制御基板23の進行方向後方に配置されている。図9および図10に示すように、本体110内部であって冷却板20の上方には、バッテリ502が配設されている。バッテリ502は電力源の例であり、1次電池であってもよい。なお、バッテリ502に代えて、スーパーキャパシタ(ウルトラキャパシタ、電気二重層コンデンサとも言う。)等の電源装置を備えていてもよい。バッテリ502は電源基板24の上方に配置されている。この構成によれば、電源基板24とバッテリ502との距離が短く、配線を短くすることができる。また、冷却板20とバッテリ502とを2層構造にすることにより、本体110をコンパクトに構成できる。バッテリ502は、第1バッテリ502aおよび第2バッテリ502bが横方向に併設されている。
【0058】
板部材30は、冷却板20と隙間を空けて配設されている部材であり、本実施形態においては板状である。本実施形態においては、板部材30は、本体110内部に収容され、冷却板20の鉛直方向上方に配置されている。板部材30は、第2の部材の例である。
【0059】
図11に示すように、板部材30にはジャイロセンサ505が接合されている。ジャイロセンサ505は、センサ素子の例である。本実施形態においては、ジャイロセンサ505は、板部材30の略中央であって、バッテリ502が保持される面の対蹠面に接合されている。板部材30には、ジャイロセンサ505の駆動基板が合わせて接合されていてもよい。ジャイロセンサ505は、温度の影響によりゲインおよびオフセットが変化するため、出力値が変動する。すなわち、温度変化は、計測誤差の要因となる。本構成によれば、ジャイロセンサ505が、高発熱素子の接合されている冷却板20とは別の部材に接合されているため、ジャイロセンサ505の温度上昇を抑えることができる。また、冷却板20および板部材30を積層する構成によれば、冷却板20上において高発熱素子とジャイロセンサ505との距離が十分遠くなるように配置する構成に比べて、冷却板20を小さくすることができ、本体110を小さくできる。なお、センサ素子は、角速度センサ、角加速度センサ、速度センサおよび加速度センサのいずれかであってもよい。
【0060】
また、ジャイロセンサ505に近接して、温度センサ505aが設けられる。温度センサ505aは、ジャイロセンサ505の駆動基板に実装されていてもよい。ジャイロセンサ505の温度と出力値の変動量との間には相関関係がある。主制御基板23には温度と出力値の変動量とを対応付ける計算式又はテーブルがあらかじめ記憶されていて、ジャイロセンサ505の出力値は、温度センサ505aによる計測結果に基づいて補正される。
【0061】
冷却板20と板部材30との間には空気層40が設けられている。この構成によれば、冷却板20および板部材30が互いに接触している構成に比べて、熱が伝わりにくくなり、板部材30に配設されているジャイロセンサ505の温度上昇を軽減することができる。
【0062】
板部材30は、バッテリ保持部31を備え、バッテリ502を着脱可能に保持している。バッテリ保持部31は、本実施形態においては、バッテリ502の一部を覆う枠体であり、当該枠の下面が板部材30に固定されている。なお、バッテリ保持部31の形状は任意である。
【0063】
なお、板部材30は、バッテリ502又は電源装置の一部を構成する部材であってもよい。
【0064】
バッテリ502は2個のバッテリ502a、502bにより構成され、それぞれ長細い略直方体状の部材であり、連結状態において長辺が進行方向に沿うように並列して搭載されている。なお、バッテリ502の個数は任意である。バッテリ502の長手方向両端部は、バッテリ保持部31により保持されている。より具体的には、バッテリ502aは、進行方向前面がバッテリ保持部31a-1に保持され、進行方向後面がバッテリ保持部31a-2により保持される。バッテリ502bは、進行方向前面がバッテリ保持部31b-1により保持され、進行方向後面がバッテリ保持部31b-2により保持されている。言い換えれば、バッテリ502は、長辺両端部においてバッテリ保持部31により板部材30に固定されている。
【0065】
また、バッテリ502は、長辺両端部の少なくとも一方に出力端子を備え、連結状態において板部材30の端子と電気的に接続されている。板部材30の端子は、ジャイロセンサ505および冷却板20上の各基板に電気的に接続され、当該端子を介して各構成に電力が供給される。本実施形態においては、バッテリ502は、連結状態における進行方向前面に出力端子を備える。出力端子の配置面がバッテリ保持部31により保持されている構成によれば、ドローン100が墜落や衝突した場合にも、出力端子の電気的接続が強固に維持される。
【0066】
バッテリ502は、冷却板20に接合される高発熱素子と比較して、温度の変化速度が緩やかである。すなわち、温度変化に起因するジャイロセンサ505の計測誤差の変化が緩やかになる。この構成によれば、温度センサ505aによる計測値がジャイロセンサ505の温度をより正確に反映するものとなる。すなわち、ジャイロセンサ505の温度変化が急激である構成に比べて、ジャイロセンサ505の出力値をより正確に補正できる。
【0067】
また、冷却板20上の高発熱素子はドローン100の動作中に動作および静止を断続的に行うため、温度上昇および下降を繰り返し、温度変化モードが複雑である一方、バッテリ502の温度は、電圧が引かれている状態において単調増加する。したがって、ジャイロセンサ505がバッテリ502と同様に板部材30に連結されている構成によれば、ジャイロセンサ505の温度変化が単調になり、より正確にジャイロセンサ505の出力値を補正できる。なお、バッテリ502からの熱の影響を軽減するため、板部材30は冷却板20よりも熱伝導率の低い材質で構成されていてもよい。
【0068】
バッテリ502は、冷却板20よりも重量が大きい。この構成によれば、板部材30は冷却板20に比べて高周波の振動が抑えられるので、ジャイロセンサ505に対するノイズを軽減できる。特に、冷却板20の重量が300gであるとき、バッテリ502の重量は2kg以上7kg以下が好ましく、特に5000gが好ましい。例えば、バッテリ502は、2500g、すなわち2.5kgであってもよい。
【0069】
なお、本実施形態においては、板部材30は板状の部材としたが、バッテリ502およびジャイロセンサ505が保持可能であれば、板部材30の形状は任意である。板部材30は、例えばバッテリ502の外周を覆い、バッテリ502を収容するケースであってもよい。
【0070】
図12(a)に示すように、冷却板20および板部材30は、少なくともバッテリ502の長手方向の両端において複数の締結部40a、40b、40c、40dにより互いに固定されている。本実施形態においては、締結部40a乃至40dは4個であり、バッテリ502が保持される領域の四隅近傍にそれぞれ連結される。
【0071】
締結部40a乃至40dは、例えばボルトであり、冷却板20および板部材30には締結部40a乃至40dが挿通される貫通孔が穿設されている。締結部40a乃至40dは、冷却板20および板部材30の厚さの総計よりも長く、冷却板20と板部材30とが隙間を空けて対向するように、互いの距離を保持する。締結部40a乃至40dが冷却板20と板部材30との距離を保持する構成は適宜のものであってよく、例えば、冷却板20および板部材30間において締結部40a乃至40dにスペーサを挿通してもよい。また、締結部40a乃至40dにナットをそれぞれ締結し、当該ナットにより冷却板20および板部材30の位置決めがなされていてもよい。冷却板20および板部材30の貫通孔の一部にネジを切り、ボルトを当該貫通孔の側壁に螺合させるような構成であってもよい。
【0072】
図12(b)に示すように、ジャイロセンサ505は、板部材30の平面上において複数の締結部40a乃至40dに囲われた領域に配設されている。この構成によれば、ジャイロセンサ505の配置位置における剛性が大きくなり、たわみも小さくなるため、振動が抑制される。したがって、ジャイロセンサ505のノイズを軽減できる。
【0073】
冷却板20は、その平面から突出する冷却板凸部20p、20qを有する。また、板部材30は、その平面から突出する板部材凸部30p、30qを有する。冷却板凸部20p、20qは第1の凸部の例、板部材凸部30p、30qは第2の凸部の例である。冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qは、バッテリ502の長手方向に沿って設けられる細長い溝である。冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qは、冷却板20および板部材30を湾曲させて構成されている。この構成によれば、別の部材を接合して凸部を形成する場合に比べて、簡易かつ軽量に構成できる。
【0074】
板部材凸部30p、30qは、少なくともバッテリ502の長辺に対応する長さに形成されている。板部材凸部30p、30qは板部材30の端部まで形成されていてもよいし、バッテリ502の長辺に対応する長さだけ形成されていてもよい。
【0075】
実施形態においては、冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qはそれぞれ2個であるが、1個であっても3個以上であってもよい。冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qは、冷却板20及び板部材30がそれぞれ水平面に沿って載置されている場合において、水平面に対して鉛直方向上方に突出していてもよいし、鉛直方向下方に突出、すなわち窪んでいてもよい。また、冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qは、互いに同方向に突出していてもよいし、反対方向に突出していてもよい。さらに、複数の冷却板凸部20p、20qは、互いに異なる方向に突出するものを含んでいてもよい。同様に、複数の板部材凸部30p、30qは、互いに異なる方向に突出するものを含んでいてもよい。すなわち、冷却板20および板部材30は、少なくとも一部が蛇腹状になっていてもよい。
【0076】
バッテリ502が長手方向の一方側と他端側により固定され、板部材凸部30p、30qがバッテリ502の長手方向に沿って形成されている構成によれば、板部材30のバッテリ502の長手方向における強度が大きくなり、当該方向において湾曲しづらい。したがって、ドローン100が墜落や衝突をした場合であっても、バッテリ502がバッテリ保持部31から外れにくく、電源供給を継続することができる。ひいては、墜落や衝突時といった大きな衝撃がドローン100に加わった際にも、ドローン100を安全に退避させる安全動作を確実に実行することができる。なお、安全動作とは、例えば、タンク104からの薬剤の吐出を停止する動作や、回転翼101の回転を停止する動作である。また、安全動作は、飛行が継続可能な状態においては、その場に着陸する動作や、所定の発着地点に帰還する動作を含んでもよい。
【0077】
本実施形態においては、冷却板凸部20p、20qは、板部材30に向かって突出し、板部材凸部30p、30qは、冷却板20に向かって突出している。板部材凸部30p、30qは、少なくともバッテリ502の両側方に形成されていて、冷却板凸部20p、20qは、少なくとも板部材凸部30p、30qに対応する位置に形成されている。このとき、締結部40a乃至40dは、冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qにおいて冷却板20および板部材30と連結されていてもよい。例えば、冷却板凸部20p、20qおよび板部材凸部30p、30qを構成する湾曲面に締結部40a乃至40dが挿通される孔が形成されていてもよい。
【0078】
この構成によれば、冷却板20および板部材30が平板部分において連結される構成に比べて、締結部40a乃至40dのそれぞれの長さを短くすることができる。その結果、冷却板20および板部材30の間の距離を確保しつつ、板部材30の断面二次モーメントおよび剛性をより大きくできる。ひいては、ドローン100に大きな衝撃が加わった際にも、バッテリ502からの電源供給を継続できる。また、板部材30の剛性が大きくなることで、板部材30に搭載されるジャイロセンサ505のノイズをより軽減できる。
【0079】
●ドローン(2)
図13に示す第2の実施形態に係るドローン100bのように、冷却板20は、本体110の筐体上面を構成しており、板部材30は、冷却板20の鉛直方向下方に配置されていてもよい。また、ドローン100およびドローン100bにおいては、冷却板20および板部材30は、互いに対向して略平行に配設されていたが、冷却板20および板部材30の互いに成す角は任意である。
【0080】
●ドローン(3)
図14に示す第3の実施形態に係るドローン100cのように、冷却板20および板部材30が略直交していてもよい。第3実施形態においては、冷却板20は本体110筐体の底面を構成し、ドローン100の着陸状態において略水平になるように配設されている。板部材30は冷却板20に対し直交して、鉛直方向に沿って設けられている。
【0081】
●ドローン(4)
図15に示す第4の実施形態に係るドローン100dのように、冷却板20および板部材30がそれぞれ鉛直方向に沿って、互いに隙間を空けて並設されていてもよい。また、このとき、板部材30は本体110の中央に配置され、冷却板20は本体110の進行方向側方の壁の少なくとも一部を形成している。この構成によっても、冷却板20および冷却板20に接合される基板の冷却を促進できる。
【0082】
●ドローン(5)
図16を用いて、ドローン本体内部の構成に関する第5の実施形態について説明する。第5の実施形態に係るドローン100dは、冷却板20が本体110筐体の底面の少なくとも一部を構成し、板部材30が冷却板20と隙間を空けて立設されて、冷却板20と板部材30との間にタンク104dが連結されている点で、先に説明した実施形態と異なる。冷却板20と板部材30との間には、空気層140がタンク104dと共に存在していてもよい。この構成によれば、冷却板20上のカメラ基板21、ESC22a乃至22h、および電源基板24からの熱がジャイロセンサ505に伝わりにくく、ジャイロセンサ505の温度上昇を軽減することができる。
【0083】
なお、タンク104dは本体110から着脱可能であってもよく、例えば上方へ向かって引き抜くことで、本体110から取り外すことができる。また、タンク104dを本体110に挿入すると、タンク104dに備え付けられた流出孔がホースおよび開閉バルブ等適宜の流量制御装置に接続され、主制御基板23の制御により薬剤を散布可能になる。
【0084】
●ドローン(6)
図17を用いて、ドローンの第6の実施形態について説明する。同図に示すように、ドローン100eにおいては、冷却板20は本体110筐体の底面を構成し、板部材30eは、バッテリ502が本体110の外部に保持されるように、本体110の外壁に連結されている。板部材30eは、バッテリ502を覆うケースを構成している。本体110の外壁と板部材30eとの間にはジャイロセンサ505が配設されている。この構成によれば、冷却板20とジャイロセンサ505とが十分離れているため、冷却板20の熱の影響を受けることがない。また、ジャイロセンサ505が本体110の外壁に近接しているため、外壁の熱伝導により十分冷却され、ジャイロセンサ505の温度上昇を軽減できる。
【0085】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本発明に係るドローンによれば、ドローンに搭載されるセンサ素子の温度上昇を軽減することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17