(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】薄膜サポート粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20230123BHJP
C09J 7/22 20180101ALI20230123BHJP
C09J 175/14 20060101ALI20230123BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20230123BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/22
C09J175/14
C09J4/02
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2018247034
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆史
(72)【発明者】
【氏名】入江 朱加
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 海志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 教一
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-144726(JP,A)
【文献】特開2018-024785(JP,A)
【文献】国際公開第2012/165368(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tg85℃以上の樹脂からなる基材の一方の面に粘着剤層を設置した粘着フィルムであって、前記粘着剤層が多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤およびイソボルニルアクリレートモノマー(IBXA)を含有し、前記多官能ウレタンアクリレート1分子当たりの官能基数が2~28であり、かつ前記多官能ウレタンアクリレートの
重量平均分子量(MW)と1分子当たりの官能基数の比率が
重量平均分子量/官能基数=2000~6500であり、かつ前記粘着剤層中に
前記多官能ウレタンアクリレートを47~90重量%含有、および前記イソボルニルアクリレートモノマーを7~45重量%含有する粘着フィルムであって、前記粘着フィルムの粘着剤層をガラス板に貼着後、前記光重合開始剤が反応する波長の光を照射して粘着剤層を硬化した後の粘着力が0.02N/cm以上8.0N/cm以下である粘着フィルム。
【請求項2】
前記基材がポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドから選ばれた1種である請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
前記粘着フィルムを被着体に貼着後、粘着フィルム側から前記光重合開始剤が反応する波長の光を照射して粘着剤層を硬化させた後に被着体を加工し、加工終了後粘着フィルムが不要となったときに、粘着フィルムを被着体から剥離する、請求項1または請求項2に記載の粘着フィルムを用いた被着体の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜基板や薄膜シートを使用する部品の製造や加工において、加熱工程を含む工程中の部品の取り扱いを容易にするために、薄膜基板や薄膜シートの補強の為に用いられる粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などのデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いる部品としてのガラス基板の薄膜化が進行している。薄膜化によりガラス基板の強度が不足すると、デバイスの製造や加工工程において、ガラス基板の取り扱いが困難になる。
【0003】
また、半導体や、回路基板などの製造や加工工程においても薄膜化の要求があり、前記のガラス基板と同様に強度不足による製造や加工工程での取り扱いが困難となる。具体的には半導体チップそのものや、半導体チップを載せてボンディングを行う為の基板や、主にポリイミドやいわゆるガラスエポキシからなる電子回路のフレキシブル基板などの薄膜化が進行している。
【0004】
これら薄膜化した部品の取り扱いを容易にするためには、薄膜化した部品をサポートするために、粘着剤を基材に積層した粘着フィルムをサポートフィルムとして貼着して強度を確保した上で作業を行い、作業終了後に前記粘着フィルムを剥がす方法が考えられる。例えば特許文献1には薄膜化したガラス基板のハンドリング性や加工性を改善するための易剥離性のプラスチックフィルムが開示されている。また特許文献2には薄膜化したポリイミドフィルムを作製する際の補強用フィルムの例が開示されている。
【0005】
さらに、これらのデバイスや部品の製造や加工工程においては、例えば半導体を封止したり、回路を固定したり、保護層を形成したりする際に基板上に設置された樹脂の熱硬化を行うことがあり、例えば180℃程度の高温加熱が行われる。
【0006】
このような高温加熱を受ける部品をサポートする粘着フィルムとしては、基材および粘着剤が十分な耐熱性を持ち、かつ高温環境を通過後、粘着フィルムの剥離時に部品側に粘着剤が付着する、いわゆる糊残りを起こさないことが必要となる。しかしながら特許文献1には、前記のような耐熱性に配慮した内容は記載されていない。
【0007】
また、特許文献2には耐熱性を配慮した粘着剤層の記載があり、実施例でシリコーン粘着剤の例が開示されている。しかしながら前記のデバイスや部品においては、部品上の残留シリコーンを嫌う場合もある。この場合にはシリコーン粘着剤は使用できないが、特許文献2においてはシリコーン粘着剤以外に耐熱性があり、補強用フィルムに使用可能な粘着剤は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-97733号公報
【文献】特開2009-154293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、被着体に貼着後、光硬化を行うことで高温環境を経ても被着体から糊残りなく容易に剥離可能なアクリル系粘着フィルムを提供する。また、前記粘着フィルムを用いた被着体の加工方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、基材にTgが85℃以上の樹脂を用い、前記基材の一方の面に粘着剤層を設置した粘着フィルムにおいて、前記粘着剤層が多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤およびイソボルニルアクリレートモノマー(IBXA)を含有し、前記多官能ウレタンアクリレート1分子当たりの官能基数、および重量平均分子量と1分子当たりの官能基数の比率を特定の範囲とすることで、被着体に貼着、光硬化を行った後に高温環境を経ても被着体から糊残りなくスムーズに剥離可能な粘着フィルムを提供できるようになった。
【0011】
第1発明は、Tg85℃以上の樹脂からなる基材の一方の面に粘着剤層を設置した粘着フィルムであって、前記粘着剤層が多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤およびイソボルニルアクリレートモノマー(IBXA)を含有し、前記多官能ウレタンアクリレート1分子当たりの官能基数が2~28であり、かつ前記多官能ウレタンアクリレートの重量平均分子量(MW)と1分子当たりの官能基数の比率が重量平均分子量/官能基数=2000~6500であり、かつ前記粘着剤層中に前記多官能ウレタンアクリレートを47~90重量%含有、および前記イソボルニルアクリレートモノマーを7~45重量%含有する粘着フィルムであって、前記粘着フィルムの粘着剤層をガラス板に貼着後、前記光重合開始剤が反応する波長の光を照射して粘着剤層を硬化した後の粘着力が0.02N/cm以上8.0N/cm以下である粘着フィルムである。
【0012】
第2発明は、前記基材がポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドから選ばれた1種である第1発明に記載の粘着フィルムである。
【0013】
第3発明は、前記粘着フィルムを被着体に貼着後、粘着フィルム側から前記光重合開始剤が反応する波長の光を照射して粘着剤層を光硬化させた後に、被着体に粘着フィルムを貼着した状態で加工を行い、粘着フィルムが不要となったときに粘着フィルムを被着体から剥離する、第1発明または第2発明のいずれかに記載の粘着フィルムを用いた被着体の加工方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着フィルムは、Tg85℃以上の樹脂からなる基材上に粘着剤層を設置してなり、前記粘着剤層が多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤およびイソボルニルアクリレートモノマーを含有し、前記多官能ウレタンアクリレート1分子当たりの官能基数、および重量平均分子量と1分子当たりの官能基数の比率を特定の範囲とすることで、粘着剤層を被着体と貼着した後に、前記粘着剤層を光硬化しても被着体との粘着を維持し、かつ製造工程中の高温環境に耐えて使用後に被着体から糊残りなくスムーズに剥離することを可能とするものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の粘着フィルムを、その構成要素に基づいて、さらに詳しく説明する。
【0016】
(全体構成)
本発明の粘着フィルムは、基材をTgが85℃以上の樹脂からなるものとし、粘着剤層が多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤およびイソボルニルアクリレートモノマーを含有し、前記多官能ウレタンアクリレート1分子当たりの官能基数と、重量平均分子量と1分子当たりの官能基数との比率を特定の範囲として、前記基材に前記粘着剤層を設置してなる粘着フィルムである。
【0017】
(基材)
本発明の粘着フィルムの構成要素のうち、基材となる樹脂は、耐熱性があり高温加熱に耐えられるような樹脂が用いられる。具体的にはTgが85℃以上の樹脂が良好に使用でき、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂が挙げられる。この内耐熱性や粘着剤層との密着性、基材としてのフィルムの入手性から特にポリエーテルイミドが良好に使用される。
【0018】
前記基材の厚みは、12~200μmが良好であり、25~125μmがより良好である。基材厚が12μm未満では、加工時のサポートフィルムとしては強度不足となる。200μmより厚くなると、柔軟性が無くなって被着体からの剥離が困難となる。また剥離時に被着体を損傷する場合があり、価格も高くなる。
【0019】
前記基材には、所望に応じて粘着剤層を設置する表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理を行ってもよく、必要に応じてアンカー層等を設置してもよい。アンカー層等を設置する方法としては、製膜時に設置するいわゆるインライン法、または製膜したフィルムに設置するいわゆるオフライン法のいずれでもよい。
【0020】
(粘着剤層)
本発明の粘着フィルムの粘着剤層としては、被着体に確実に貼着し、高温環境を経たあとでも、糊残りなく剥離可能であることが必要である。これらの条件を満たす為に、本発明においては、粘着剤層が多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤およびイソボルニルアクリレートモノマーを含有し、前記多官能ウレタンアクリレート1分子当たりの官能基数と、重量平均分子量と1分子当たりの官能基数との比率を特定の範囲とした。この粘着剤層を基材上に設置して粘着フィルムとなし、前期粘着フィルムを被着体に貼着した後に、前記光重合開始剤の反応する波長の光を照射して前記粘着剤層を硬化することで、硬化後も被着体との粘着を維持し、高温環境を経た後でも被着体から糊残りなくスムーズに剥離することができる。
【0021】
(多官能ウレタンアクリレート)
前記の多官能ウレタンアクリレートとしては、1分子当たりの官能基数が2~28のものが好適に使用できる。官能基数が2未満の場合、粘着剤層の硬化後の凝集力が低くなり、耐熱性が低くなったり、糊残りのおそれがある。官能基数が28を超える場合は、硬化後の硬度が高くなりすぎ、被着体への粘着力が低くなる。
【0022】
また、前記の多官能ウレタンアクリレートは、重量平均分子量(MW)と前記1分子当たりの官能基数の比率が、MW/官能基数=2000~6500のものが好適に使用できる。比率が2000未満の場合は、硬化後の架橋密度が高くなりすぎて粘着剤層の粘着力が低くなり、被着体の加工中に粘着フィルムが剥がれてしまうおそれがある。比率が6500を超える場合は、架橋密度が低くなりすぎて粘着剤層の凝集力が低くなり、被着体からの剥離時に糊残りが発生するおそれがある。
【0023】
前記の多官能ウレタンアクリレートとしては、水酸基含有単官能(メタ)アクリレートモノマーと各種ジイソシアネートとの2:1付加体(2官能)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの2:1付加体(10官能)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとの2:1付加体(6官能)等が挙げられる。市販品としては、例えば例えば日本合成化学(株)の紫光UV3300B(2官能)、根上工業(株)のUN-5500(13.3官能)、ダイセルオルネクス(株)のEBECRYL230、KRM8901(2官能)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
(光重合開始剤)
本発明の粘着剤層に使用可能な光重合開始剤は、紫外線、または可視光を照射することで多官能ウレタンアクリレートおよびイソボルニルアクリレートモノマーの官能基を重合して粘着剤層を硬化する作用を持つものであれば、特に制限無く使用可能であるが、取り扱い上からは、紫外線で反応する紫外線重合開始剤が好適に使用可能である。
【0025】
前記光重合開始剤の粘着剤層中の含有量は、0.5~5.0重量%が好適である。含有量が0.5重量%未満であれば、粘着剤層の硬化不足となり、被着体からの剥離時に糊残りをおこすおそれがある。含有量が5.0重量%を超えた場合は架橋密度が高くなりすぎて、被着体との粘着力が低くなるおそれがある。
【0026】
前記光重合開始剤としては、例えばベンゾインエ-テル系(イソピロピルベンゾインエ-テル、イソブチルベンゾインエ-テル、ベンゾインエチルエ-テル、ベンゾインメチルエ-テル)、ベンジルケタ-ル系(ヒドロシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタ-ル)、ケトンベンゾフェノン系(ベンジル、メチル-O-ベンゾインベンゾエ-ト、2-クロロチオキサントン、メチルトオオキサントン)、ベンゾフェノン系(ベンゾフェノン)、アシルホスフィンオキサイド系等が特に制限無く使用可能であるが、基材にポリエーテルイミドを用いて、粘着剤層硬化のための紫外線を基材側から照射する場合は、ポリエーテルイミドが400nmより短い波長の紫外線を透過しないので、400nmよりも長波長の紫外線を使用する必要がある。このような場合には、400nmよりも長波長の紫外線で反応が可能な重合開始剤、例えばビス(2、4、6トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(以下BAPO:ビスアシルホスフィンオキサイドと略す場合あり)や4、4´ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が好適に用いられる。また、紫外線を照射する光源も波長400nmの紫外線を照射可能なメタルハライドランプ等が好適に用いられる。
【0027】
(イソボルニルアクリレートモノマー)
また、本発明の粘着剤層には、多官能ウレタンアクリレートと光重合開始剤に加えて、イソボルニルアクリレートモノマーを含有することで、被着体からの剥離をスムーズにすることが可能である。
【0028】
粘着剤層にイソボルニルアクリレートモノマーを含有すると、紫外線照射による硬化後の粘着剤層が柔軟になるが、粘着力は適度な状態とすることができるので、被着体からの剥離がスムーズになる。前記イソボルニルアクリレートモノマーの粘着剤層中の含有量は、7~45重量%が好適であり、10~35重量%がより好適である。含有量が7重量%未満では所望の性能がえられづらい。含有量が45重量%を超えると粘着剤層の凝集力が低くなり、糊残りをおこすおそれがある。
【0029】
本発明における粘着剤層の粘着力は、粘着フィルムを被着体に貼着し、前記光重合開始剤の反応する波長の光を照射して粘着剤層を硬化させた後の剥離力で、0.02N/cm以上8.0N/cm以下が好適であり、0.4N/cm以上4.0N/cm以下が更に好適である。剥離力が0.02N/cm未満では、被着体に粘着フィルムを貼着した状態での加工作業中に、粘着フィルムが被着体から剥がれてしまうおそれがある。粘着力が8.0N/cmを超えると、被着体からの剥離時に、被着体を破損するおそれがある。
【0030】
本発明における粘着剤層の厚みは、5μm~100μmが好適であり、10μm~50μ
mがより好適である。粘着剤層の厚みが5μm未満では、十分な粘着力を発揮できない。
厚みが100μmを超えると、剥離が困難になったり、糊残りを起こすおそれがある。
【0031】
本発明における粘着剤層の形成方法としては、粘着剤層を構成する樹脂を有機溶剤に溶解し粘度を調整した樹脂溶液を塗工する方法や、粘着剤層を構成する樹脂を水に分散し塗工する方法等の公知の方法を用いることができる。前記有機溶剤としては一般の有機溶剤を特に制限無く用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の粘着剤層の塗工方法としては、コンマナイフコーター、ダイコーター、リバースコーターなどが挙げられる。
【0033】
(セパレータ)
本発明においては、粘着剤層の表面の汚れや異物付着を防いだり、粘着フィルムのハンドリングを向上させる目的で、プラスチックフィルムからなるセパレータを粘着剤層面に貼り合わせて用いることが好適である。前記セパレータは、剥離性の高いプラスチックフィルムよりなり、所望により、前記プラスチックフィルムの表面に剥離剤を形成したものが使用される。
【0034】
前記セパレータのプラスチックフィルムとしては、例えば、セロハンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム等を挙げることができる。プラスチックフィルムの厚さとしては、25~200μmが好ましく用いられる。厚さが25μm未満だとフィルム強度が不足して十分な保護性能が得られなかったり、剥離時にセパレータが破れる等の問題が発生する。また、200μmより厚いと取り扱いが困難になったり、プラスチックフィルム自体が高価になる等の問題が発生する。
【0035】
前記剥離剤としては、一般的に剥離効果の高いシリコーン系剥離剤が使用可能だが、本発明の粘着フィルムを残留シリコーンを嫌う用途に使用する場合は、シリコーン系以外の材料、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系や、フッ素系等の剥離効果の高い材料を用いることができる。
【0036】
前記剥離剤のプラスチックフィルムへの形成方法は、前記粘着剤層の基材への形成方法と同様の方法を用いることができる。またこれらの剥離剤を前記プラスチックフィルムに形成する面は、所望により片面でも、両面でもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例と比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各実施例中の「部」は特に断ることのない限り重量部を示したものである。
【0038】
(実施例1~15、比較例1~4)
表1および表2の実施例1~15、比較例1~4の各基材の片面にコロナ放電処理を行い、表1および表2に記載の処方にて混合した各実施例、比較例の各粘着剤層塗工液を、乾燥後の厚みが表1および表2記載の各々の値になるように調整して、各基材のコロナ放電処理した面に塗工し、100℃で2分間有機溶剤を除去する為に加熱乾燥して各粘着剤層を形成して実施例1~15、比較例1~4の粘着フィルムを作製した。作製した各粘着フィルムを幅25mmに切断して、厚み200μmのガラス板に各粘着フィルムの粘着剤層を貼着し、照射光量120W/cmのメタルハライドランプにて紫外線を積算光量で2000mj/cm2照射して粘着剤層を硬化した後に、180℃で2分間加熱して室温まで冷却し、ガラス板に各粘着フィルムを貼着した積層物を作製した。
【0039】
各実施例、比較例の材料構成比、評価結果を表1および表2に、各評価方法を下記に示す。
【0040】
【0041】
【0042】
(評価方法)
(粘着力評価)
上記ガラス板と粘着フィルムの積層物において、粘着フィルムを速度300mm/minにて180°剥離を行い、剥離に要する力を測定して粘着力とした。
評価基準
◎:粘着力が0.4N/cm以上4.0N/cm以下。
○:粘着力が0.02N/cm以上0.4N/cm未満、または4.0N/cmを超えて8.0N/cm以下。
×:粘着力が0.02N/cm未満、または8.0N/cmを超える。
【0043】
(粘着剤層の耐熱、糊残り性評価)
前記粘着力評価を行った、粘着フィルム剥離後のガラス板上への粘着剤層の付着を、目視確認する方法にて糊残りの評価を行った。
評価基準
○:粘着剤層のガラス板上への付着がない。
×:粘着剤層のガラス板上への付着がある。
【0044】
(剥離性評価)
前記実施例1~15、比較例1~4の積層体作製において、被着体をガラス板から100μm厚のガラスエポキシ基板に変更した他は同じ方法にて積層体を作製し、作製した各積層体を25mm幅に切断してから、粘着フィルムを速度300mm/minにて180°剥離を行った際に、粘着フィルムがガラスエポキシ基板と貼り付き、基板が折れるかどうかを目視で確認し、剥離性の評価を行った。
評価基準
○:貼り付きの発生が無く、スムーズに剥離できた。ガラスエポキシ基板の折れは発生しなかった。
△:貼り付きが発生し、スムーズに剥離できなかったが、ガラスエポキシ基板の折れは発生しなかった。
×:貼り付きが発生し、ガラスエポキシ基板に折れが発生した。