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特許7214334バックライトユニット用プリズムシート及び液晶表示装置用バックライトユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】バックライトユニット用プリズムシート及び液晶表示装置用バックライトユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20230123BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230123BHJP
   G02B 5/04 20060101ALN20230123BHJP
   G02B 5/08 20060101ALN20230123BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20230123BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230123BHJP
【FI】
G02B5/02 B
F21S2/00 431
G02B5/04 A
G02B5/08 A
G02F1/13357
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017096292
(22)【出願日】2017-05-15
(65)【公開番号】P2017223937
(43)【公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-01-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】P 2016118261
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】原田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】波川 啓土
(72)【発明者】
【氏名】福田 忠仁
(72)【発明者】
【氏名】松野 有希
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】井口 猶二
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-13832(JP,A)
【文献】特開2012-63670(JP,A)
【文献】特表2004-507866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00-5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面である下面にプリズム列を備えるバックライトユニット用プリズムシートであって、
上記下面よりも光出射面側に位置する上面又は中間界面に上記プリズム列の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝が形成されており、
平面視におけるそれぞれの上記微細線状溝の上記プリズム列の方向に対する最大傾斜角が±30°以内であり、
各上記微細線状溝がランダムに配向しつつ、上記微細線状溝が上記上面又は上記中間界面の両端に亘って延びており、
上記プリズム列のピッチに対する上記多数の微細線状溝の平均ピッチの比が0.005以上0.6以下であり、
上記多数の微細線状溝の平均幅が5μm以上100μm以下、平均ピッチが10nm以上100μm以下、平均深さが1μm以上50μm以下であることを特徴とするバックライトユニット用プリズムシート。
【請求項2】
上記多数の微細線状溝の幅又はピッチがランダムである請求項1に記載のバックライトユニット用プリズムシート。
【請求項3】
上記多数の微細線状溝が少なくとも上記上面に形成されている請求項1又は請求項2に記載のバックライトユニット用プリズムシート。
【請求項4】
上記多数の微細線状溝が形成される面における多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以上10μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバックライトユニット用プリズムシート。
【請求項5】
上記多数の微細線状溝が中間界面に形成され、この中間界面の両側の層の屈折率差が0.01以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバックライトユニット用プリズムシート。
【請求項6】
上記多数の微細線状溝が回折格子を構成する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバックライトユニット用プリズムシート。
【請求項7】
一の端面から入射した光線を上面側に導くライトガイドフィルムと、
このライトガイドフィルムの一の端面に沿うよう配設される1又は複数のLEDと、
上記ライトガイドフィルムの上面側にそのプリズム列を有する面を下方に向けて配設されるプリズムシートと
を備える液晶表示装置用バックライトユニットであって、
上記プリズムシートとして請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のバックライトユニット用プリズムシートが用いられ、
上記LEDが配設される一の端面が上記プリズムシートのプリズム列と平行に位置することを特徴とする液晶表示装置用バックライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックライトユニット用プリズムシート及び液晶表示装置用バックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプレイとして多用され、その用途はテレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話端末、タブレット端末等の携帯型情報端末など年々拡大している。このような液晶表示装置は、液晶パネルを下面側から照射するエッジライト型(サイドライト型)、直下型等のバックライトユニットを備えている。
【0003】
このような液晶表示装置のエッジライト型バックライトユニットとしては、図13に示すように、導光シート102と、この導光シート102の一の端面に沿うよう配設される複数のLED103と、導光シート102の上面に重畳され下面にプリズム列を有するプリズムシート(以下、「逆プリズムシート」ということがある)104とを備えるものが公知である(特開2007-148081号公報参照)。この逆プリズムシート104のプリズム列は、導光シート102から出射された光線を、鉛直方向(プリズムシートの法線方向)に近づける方向に屈折することで、光線を鉛直方向に立ち上げる光学的機能を奏する。
【0004】
図13のエッジライト型バックライトユニット101にあっては、導光シート102の一の端面に複数のLED103が沿うように配設されているので、導光シート102の上面から出射される光線は、LED103出射方向に傾斜した光線を多く含む指向性を有する。一方、逆プリズムシート104のプリズム列は、その稜線方向と垂直方向に光線を屈折させる。このため、逆プリズムシート104は、プリズム列の方向(稜線方向)が、LED103出射方向に直角、つまりは複数のLED103が沿うように配設される導光シート102の一の端面に平行になるように配設されている。そして、このように配設された逆プリズムシート104によって、導光シート102から出射した光線を、鉛直方向に近づく方向に屈折させ、エッジライト型バックライトユニット101の正面方向の輝度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-148081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上述のようなLED103を用い、逆プリズムシート104を配したエッジライト型バックライトユニット101にあっては、プリズム列の方向と垂直方向の視野角が狭いことが判明した。この原因は必ずしも明らかではないが、逆プリズムシート104の集光特性にあると考えられる。つまり、導光シート102から出射された光線が一定の広がりを有していても、逆プリズムシート104によってプリズム列の方向と垂直方向の光線の広がりが鉛直方向に集約され、これによって逆プリズムシート104から出射される光線は、プリズム列の方向と垂直方向の光線の広がりが少なく、プリズム列の方向と垂直方向の視野角が狭くなっていると考えられる。また、LED103は指向性が高い光線を出射するため、逆プリズムシート104の集光特性がより顕著となって現れるものと考えられる。
【0007】
このプリズム列の方向と垂直方向の視野角を確保するためには、例えば断面多角形状のプリズム列を採用する方法が考えられるが、断面多角形状のプリズム列の形成は困難であるため、製造コストが高くなるおそれがある。また、逆プリズムシートの上面にビーズ塗工層等の拡散層を設ける方法も考えられるが、拡散層はプリズム列の方向と垂直方向のみならずプリズム列の方向にも光線を拡散するので、正面方向の輝度が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列の方向と垂直方向の視野角を十分に確保することができるバックライトユニット用プリズムシート及びバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るバックライトユニット用プリズムシートは、一方の外面にプリズム列を備えるバックライトユニット用プリズムシートであって、表面又は中間界面に上記プリズム列の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝が形成されていることを特徴とする。
【0010】
当該バックライトユニット用プリズムシートは、例えば光源としてLEDを用いたバックライトユニットにおいて逆プリズムシートとして用いられた際に、所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。この原因は必ずしも明らかではないが、プリズム列から入射し多数の微細線状溝の形成領域に到達した光線が、微細線状溝の幅、つまりはプリズム列の方向と垂直方向に拡散されているためと考えられる。
【0011】
上記多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直方向における多数の微細線状溝の単位長さ当たりの平均存在個数としては、30本/mm以上10000本/mm以下が好ましい。このように、上記多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直方向における多数の微細線状溝の単位長さ当たりの平均存在個数が上記範囲内であることによって、多数の微細線状溝の形成領域に到達した光線を微細線状溝の幅方向に十分に拡散し易い。
【0012】
上記多数の微細線状溝の長さ、幅又はピッチがランダムであるとよい。このように、上記多数の微細線状溝の長さ、幅又はピッチがランダムであることによって、多数の微細線状溝に起因して当該バックライトユニット用プリズムシートを備える液晶表示装置に虹ムラが生じることを抑制することができる。
【0013】
上記多数の微細線状溝が少なくとも一方の外面に形成されているとよい。このように、上記多数の微細線状溝が少なくとも一方の外面に形成されていることによって、多数の微細線状溝が形成される外面及びこの外面の外側に存在する空気層の屈折率差を利用して多数の微細線状溝の形成領域に到達した光線を微細線状溝の幅方向に十分に拡散し易い。
【0014】
上記多数の微細線状溝が形成される外面における多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)としては、0.5μm以上10μm以下が好ましい。このように、上記多数の微細線状溝が形成される外面における多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)が上記範囲内であることによって、多数の微細線状溝の形成領域に到達した光線を微細線状溝の幅方向に十分に拡散し易い。
【0015】
上記多数の微細線状溝が中間界面に形成されているとよく、この中間界面の両側の層の屈折率差としては、0.01以上が好ましい。このように、上記多数の微細線状溝が中間界面に形成され、かつこの中間界面の両側の層の屈折率差が上記範囲内であることによって、中間界面の両側の層の屈折率差を利用して多数の微細線状溝の形成領域に到達した光線を微細線状溝の幅方向に十分に拡散し易い。
【0016】
上記多数の微細線状溝が回折格子を構成するとよい。このように、上記多数の微細線状溝が回折格子を構成することによって、多数の微細線状溝の形成領域を通過する光線同士に一定の光路差が生じる回折現象が起こり、この回折現象によって多数の微細線状溝の形成領域に到達した光線を微細線状溝の幅方向に十分に拡散し易い。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る液晶表示装置用バックライトユニットは、一の端面から入射した光線を上面側に導くライトガイドフィルムと、このライトガイドフィルムの一の端面に沿うよう配設される1又は複数のLEDと、上記ライトガイドフィルムの上面側にそのプリズム列を有する面を下方に向けて配設されるプリズムシートとを備える液晶表示装置用バックライトユニットであって、上記プリズムシートとして当該バックライトユニット用プリズムシートが用いられ、上記LEDが配設される一の端面が上記プリズムシートのプリズム列と平行に位置することを特徴とする。
【0018】
当該液晶表示装置用バックライトユニットは、ライトガイドフィルムのLEDが配設される一の端面とプリズム列とが平行に位置する逆プリズムシートとして当該バックライトユニット用プリズムシートが用いられるので、上述のように、所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。
【0019】
なお、本発明において「上面側」とは液晶表示装置における視認者側を意味し、「下面側」とはその逆を意味する。「多数の微細線状溝の平均配向方向」とは、20個の微細線状溝を任意に抽出し、抽出した各微細線状溝の長手方向両端を通る直線の配向方向を平均した値をいう。また、「多数の微細線状溝の平均存在個数」とは、任意の10箇所における多数の微細線状溝の存在個数の平均値をいう。「算術平均粗さ(Ra)」とは、JIS-B0601:1994に準じ、カットオフλc0.8mm、評価長さ4mmの値をいう。「屈折率」とは、波長589.3nmの光(ナトリウムのD線)における屈折率をいい、一辺が70mm、かつ厚さが2mmの平板状の試験片を用い、温度23℃で測定した試験回数3回の平均値を意味する。「回折格子」とは、光学特性が厳密に調整されたものに限定されず、広く入射光に対して回折を生じる構造をいう。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明のバックライトユニット用プリズムシート及びバックライトユニットは、所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列の方向と垂直方向の視野角を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るバックライトユニットを示す模式的斜視図である。
図2図1のバックライトユニットを示す模式的端面図である。
図3図1のバックライトユニットにおける複数のLEDの光線方向と垂直方向から見た逆プリズムシートを示す模式的平面図である。
図4図3逆プリズムシートのA-A線部分拡大端面図である。
図5図1のバックライトユニットの視野角拡大機能を説明するための模式的側面図である。
図6図3の逆プリズムシートとは異なる形態に係る逆プリズムシートを示す模式的端面図である。
図7図3及び図6の逆プリズムシートとは異なる形態に係る逆プリズムシートを示す模式的端面図である。
図8図3図6及び図7の逆プリズムシートとは異なる形態に係る逆プリズムシートを示す模式的端面図である。
図9図3及び図6図8の逆プリズムシートとは異なる形態に係る逆プリズムシートを示す模式的端面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る微細線状溝を示す模式的端面図である。
図11図10の微細線状溝とは異なる形態に係る微細線状溝を示す模式的端面図である。
図12図10及び図11の微細線状溝とは異なる形態に係る微細線状溝を示す模式的端面図である。
図13】従来のエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
[第一実施形態]
[バックライトユニット]
図1及び図2の液晶表示装置用バックライトユニットは、エッジライト型バックライトユニットであって、光源としてLEDが用いられる液晶表示装置用バックライトユニットである。当該バックライトユニットは、一の端面から入射した光線を上面側に導くライトガイドフィルム1と、ライトガイドフィルム1の一の端面に沿うように配設される複数のLED2と、ライトガイドフィルム1の上面側に配設され、一方の外面にプリズム列6を備える当該バックライトユニット用プリズムシートとを備える。当該バックライトユニット用プリズムシートは、プリズム列6を有する面を下方に向けて配設される逆プリズムシート3である。当該逆プリズムシート3は、ライトガイドフィルム1の上面に直接(他のシート等を介さず)重畳されている。また、複数のLED2が配設されるライトガイドフィルム1の上記一の端面は、当該逆プリズムシート3のプリズム列6と平行に位置している。さらに、当該バックライトユニットは、ライトガイドフィルム1の下面側に配設される反射シート4をさらに備える。
【0024】
<逆プリズムシート>
逆プリズムシート3は、ライトガイドフィルム1の上面側から出射された光線を鉛直方向側(逆プリズムシート3の法線方向側)に導く。逆プリズムシート3は、平面視略方形状に形成されている。逆プリズムシート3は、基材層5と、基材層5の下面に積層されるプリズム列6とを有する。逆プリズムシート3は、基材層5及び基材層5に直接積層されるプリズム列6から構成されている(つまり、基材層5及びプリズム列6は一体的に形成されており、基材層5及びプリズム列6以外に他の層を有していない)。プリズム列6は平行に配設される複数の突条プリズム部6aによって構成されている。また、図3及び図4に示すように、逆プリズムシート3は、表面(基材層5の上面)にプリズム列6の方向(稜線方向)と平面視で平行又は鋭角に交差する多数の微細線状溝7が形成されている。
【0025】
(基材層)
基材層5の上面は、当該逆プリズムシート3の外面を構成している。多数の微細線状溝7は、当該逆プリズムシート3の一方の外面(上面)に形成されている。また、多数の微細線状溝7は、ヘアライン状に形成されている。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7が外面に形成されていることによって、多数の微細線状溝7が形成される外面及びこの外面の外側に存在する空気層の屈折率差を利用して多数の微細線状溝7の形成領域に到達した光線を微細線状溝7の幅方向に十分に拡散し易い。
【0026】
また、多数の微細線状溝7は、回折格子を構成していてもよい。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7が回折格子を構成することによって、多数の微細線状溝7の形成領域を通過する光線同士に一定の光路差が生じる回折現象が起こり、この回折現象によって多数の微細線状溝7の形成領域に到達した光線を微細線状溝7の幅方向に十分に拡散し易い。
【0027】
多数の微細線状溝7は、基材層5の上面の全領域に亘って略均一に(略等密度で)形成されている。各微細線状溝7は、断面略U字状に構成されている(つまり、各微細線状溝7は断面三角形状に形成されていない)。また、各微細線状溝7のプリズム列6の方向(図1のX方向)に対する傾斜角の上限としては、±30°が好ましく、±15°がより好ましく、±5°がさらに好ましい。さらに、各微細線状溝7は、上記傾斜角の範囲内でランダムに配向していてもよい(つまり、各微細線状溝7の配向方向は完全には一致していなくてもよい)。このように、各微細線状溝7の配向方向がランダムとされることによって、多数の微細線状溝7に起因して液晶表示装置に虹ムラが生じることを抑制することができる。なお、多数の微細線状溝7は、光線の拡散方向を制御するうえでは各々独立して形成されていることが好ましいが、一部の微細線状溝7は交叉していてもよい。
【0028】
多数の微細線状溝7は、上述のようにプリズム列6の方向と平面視で平行又は鋭角に交差している。平面視における多数の微細線状溝7のプリズム列6の方向に対する平均傾斜角の上限としては、±30°が好ましく、±15°がより好ましく、±5°がさらに好ましく、0°が特に好ましい。上記平均傾斜角が上記上限を超えると、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に確保し難くなるおそれがある。なお、「多数の微細線状溝のプリズム列に対する平均傾斜角」とは、20個の微細線状溝を任意に抽出し、抽出した各微細線状溝の長手方向両端を通る直線とプリズム列の方向との傾斜角の平均値をいう。
【0029】
図3に示すように、多数の微細線状溝7の長さLはランダムであることが好ましい。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7の長さLがランダムであることによって、多数の微細線状溝7に起因して液晶表示装置に虹ムラが生じることを抑制することができる。
【0030】
多数の微細線状溝7の平均長さの下限としては、平均幅に対して2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。一方、多数の微細線状溝7の平均長さの上限としては、特に限定されるものではなく基材層5の両端に亘って連続していてもよいが、例えば平均幅に対して10000倍以下が好ましく、5000倍以下がより好ましい。多数の微細線状溝7の平均長さが上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の形成領域に到達した光線の光量に対する多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、多数の微細線状溝7の平均長さが上記上限を超えると、液晶表示装置の虹ムラの発生を抑制すべく多数の微細線状溝7をランダムな配向方向でかつ高密度に形成し難くなるおそれがある。なお、「多数の微細線状溝の平均長さ」とは、任意に抽出した20個の微細線状溝のこの微細線状溝が形成される面の平均界面における長さの平均値をいう。
【0031】
多数の微細線状溝7の幅Lはランダムであることが好ましい。また、図3に示すように、各微細線状溝7の幅Lは、この微細線状溝7の長手方向に沿ってランダムに変化することが好ましい。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7の幅Lがランダムであることによって、多数の微細線状溝7に起因して液晶表示装置に虹ムラが生じることを抑制することができる。
【0032】
多数の微細線状溝7の平均幅の下限としては、10nmが好ましく、50nmがより好ましく、100nmがさらに好ましく、5μmが特に好ましい。一方、多数の微細線状溝7の平均幅の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましく、40μmが特に好ましい。多数の微細線状溝7の平均幅が上記下限に満たないと、微細線状溝7の成形性が低下するおそれがある。逆に、多数の微細線状溝7の平均幅が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に確保できないおそれがある。なお、各微細線状溝7の幅は、上記範囲内において長手方向に沿ってランダムに形成されていることが好ましい。各微細線状溝7の幅が上記範囲内においてランダムに形成されていることによって周期的なピッチを持つ他部材(プリズムシートや液晶セル)等との干渉によるモアレを防ぐことができると共に、色分解が規則的に発生するのを防止して虹ムラ等を防止することができる。なお、「多数の微細線状溝の平均幅」とは、任意に抽出した20個の微細線状溝の長手方向両端部分を除いた任意の点のこの微細線状溝が形成される面の平均界面における幅の平均値をいう。
【0033】
多数の微細線状溝7のピッチはランダムであることが好ましい。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7のピッチがランダムであることによって、多数の微細線状溝7に起因して液晶表示装置に虹ムラが生じることを抑制することができる。なお、「多数の微細線状溝のピッチ」とは、多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直な直線上において隣接する微細線状溝同士のピッチをいう。
【0034】
多数の微細線状溝7の平均ピッチの下限としては、10nmが好ましく、50nmがより好ましく、100nmがさらに好ましく、1μmが特に好ましく、5μmがさらに特に好ましい。一方、多数の微細線状溝7の平均ピッチの上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましく、40μmが特に好ましい。多数の微細線状溝7の平均ピッチが上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の成形性が低下するおそれがある。逆に、多数の微細線状溝7の平均ピッチが上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。なお、「多数の微細線状溝の平均ピッチ」とは、多数の微細線状溝の平均配向方向と垂直な直線上において隣接する20個の微細線状溝のピッチの平均値をいう。
【0035】
多数の微細線状溝7のピッチの標準偏差の上限としては、10μmが好ましく、9μmがより好ましく、7μmがさらに好ましい。多数の微細線状溝7のピッチの標準偏差が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7のピッチが不均一となり過ぎ、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を多数の微細線状溝7の形成領域全体に亘って均一に増加させることができないおそれがある。一方、多数の微細線状溝7のピッチの標準偏差の下限としては、多数の微細線状溝7を比較的ランダムな方向に配設し易い点から、例えば4μmとすることができる。なお、「多数の微細線状溝のピッチの標準偏差」とは、任意に抽出した20個の微細線状溝のピッチの標準偏差をいう。
【0036】
また、多数の微細線状溝7の平均幅及び平均ピッチは、いずれも上記範囲内に含まれることが好ましい。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7の平均幅及び平均ピッチがいずれも上記範囲内に含まれることによって、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができる。
【0037】
後述するプリズム列6のピッチに対する多数の微細線状溝7の平均ピッチの比の下限としては、0.005が好ましく、0.01がより好ましく、0.1がさらに好ましい。一方、プリズム列6のピッチに対する多数の微細線状溝7の平均ピッチの比の上限としては、0.6が好ましく、0.5がより好ましく、0.4がさらに好ましい。上記比が上記範囲内であることによって、多数の微細線状溝7を高密度で略均一に形成し、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。
【0038】
多数の微細線状溝7の平均配向方向と垂直方向における多数の微細線状溝7の単位長さ当たりの平均存在個数の下限としては、10本/mmが好ましく、20本/mmがより好ましく、30本/mmがさらに好ましく、50本/mmが特に好ましく、200本/mmがさらに特に好ましい。一方、上記平均存在個数の上限としては、10000本/mmが好ましく、5000本/mmがより好ましく、3000本/mmがさらに好ましく、1100本/mmが特に好ましい。上記平均存在個数が上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の形成領域に到達した光線の光量に対する多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、上記平均存在個数が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の成形性が低下するおそれがある。
【0039】
多数の微細線状溝7の平均深さDの下限としては、10nmが好ましく、500nmがより好ましく、1μmがさらに好ましく、2μmが特に好ましい。一方、多数の微細線状溝7の平均深さDの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。多数の微細線状溝7の平均深さDが上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、微細線状溝7の平均深さDが上記上限を超えると、基材層5の強度が低下するおそれがある。なお、「多数の微細線状溝の平均深さ」とは、任意に抽出した20個の微細線状溝の樹脂層の平均界面から底部までの深さの平均値をいう。
【0040】
また、多数の微細線状溝7の深さの標準偏差の上限としては、4μmが好ましく、3μmがより好ましく、2.5μmがさらに好ましい。多数の微細線状溝7の深さの標準偏差が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の深さが不均一となり過ぎ、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を多数の微細線状溝7の形成領域全体に亘って均一に増加させることができないおそれがある。一方、多数の微細線状溝7の深さの標準偏差の下限としては、特に限定されるものではなく、例えば0.3μmとすることができる。なお、「多数の微細線状溝の深さの標準偏差」とは、任意に抽出した20個の微細線状溝の深さの標準偏差をいう。
【0041】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)の下限としては、0.005μmが好ましく、0.05μmがより好ましく、0.1μmがさらに好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)の上限としては、1.5μmが好ましく、1.2μmがより好ましく、1μmがさらに好ましい。上記算術平均粗さ(Ra)が上記下限に満たないと、プリズム列6の方向と鋭角に傾斜する微細線状溝7によるプリズム列6の方向と垂直方向の視野角拡大効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記算術平均粗さ(Ra)が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量に対する多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向に拡散される光量が大きくなり、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に確保し難くなるおそれがある。
【0042】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)の下限としては、0.01μmが好ましく、0.1μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましく、1.0μmが特に好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)の上限としては、20μmが好ましく、10μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。上記算術平均粗さ(Ra)が上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、上記算術平均粗さ(Ra)が上記上限を超えると、光線の出射角度を制御し難くなるおそれがある。
【0043】
また、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)及び多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)は、共に上記範囲内に含まれることが好ましい。当該逆プリズムシート3は、多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)及び多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)が上記範囲内であることによって、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させてプリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。
【0044】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)と多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)との差の下限としては、0.5μmが好ましく、0.7μmがより好ましく、1μmがさらに好ましい。上記算術平均粗さ(Ra)の差が上記下限以上であることにより、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させてプリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。一方、上記算術平均粗さ(Ra)の差の上限としては、例えば1.9μmとすることができる。
【0045】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする最大高さ(Ry)の下限としては、0.1μmが好ましく、1μmが好ましく、1.5μmがより好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする最大高さ(Ry)の上限としては、3μmが好ましく、2.5μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。上記最大高さ(Ry)が上記下限に満たないと、プリズム列6の方向と鋭角に傾斜する微細線状溝7によるプリズム列6の方向と垂直方向の視野角拡大効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記最大高さ(Ry)が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量に対する多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向に拡散される光量が大きくなり、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に確保し難くなるおそれがある。なお、「最大高さ(Ry)」とは、JIS-B0601:1994に準じ、カットオフλc0.8mm、評価長さ4mmの値をいう。
【0046】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする最大高さ(Ry)の下限としては、4μmが好ましく、5μmがより好ましく、6μmがさらに好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする最大高さ(Ry)の上限としては、12μmが好ましく、10μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。上記最大高さ(Ry)が上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、上記最大高さ(Ry)が上記上限を超えると、光線の出射角度を制御し難くなるおそれがある。
【0047】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする最大高さ(Ry)と多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする最大高さ(Ry)との差の下限としては、4μmが好ましく、5μmがより好ましく、6μmがさらに好ましい。上記最大高さ(Ry)の差が上記下限以上であることによって、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させてプリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。一方、上記最大高さ(Ry)の差の上限としては、例えば11μmとすることができる。
【0048】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする十点平均粗さ(Rz)の下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする十点平均粗さ(Rz)の上限としては、2.5μmが好ましく、2μmがより好ましく、1.5μmがさらに好ましい。上記十点平均粗さ(Rz)が上記下限に満たないと、プリズム列6の方向と鋭角に傾斜する微細線状溝7によるプリズム列6の方向と垂直方向の視野角拡大効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記十点平均粗さ(Rz)が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量に対する多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向に拡散される光量が大きくなり、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に確保し難くなるおそれがある。なお、「十点平均粗さ(Rz)」とは、JIS-B0601:1994に準じ、カットオフλc0.8mm、評価長さ4mmの値をいう。
【0049】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする十点平均粗さ(Rz)の下限としては、4μmが好ましく、5μmがより好ましく、6μmがさらに好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする十点平均粗さ(Rz)の上限としては、10μmが好ましく、8μmがより好ましく、7μmがさらに好ましい。上記十点平均粗さ(Rz)が上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、上記十点平均粗さ(Rz)が上記上限を超えると、光線の出射角度を制御し難くなるおそれがある。
【0050】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする十点平均粗さ(Rz)と多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする十点平均粗さ(Rz)との差の下限としては、3μmが好ましく、4μmがより好ましく、4.5μmがさらに好ましい。上記十点平均粗さ(Rz)の差が上記下限以上であることによって、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させてプリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。一方、上記十点平均粗さ(Rz)の差の上限としては、例えば9μmとすることができる。
【0051】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする二乗平均平方根傾斜(RΔq)の下限としては、0.05が好ましく、0.2がより好ましく、0.25がさらに好ましく、0.3が特に好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする二乗平均平方根傾斜(RΔq)の上限としては、0.5が好ましく、0.45がより好ましく、0.4がさらに好ましい。上記二乗平均平方根傾斜(RΔq)が上記下限に満たないと、プリズム列6の方向と鋭角に傾斜する微細線状溝7によるプリズム列6の方向と垂直方向の視野角拡大効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記二乗平均平方根傾斜(RΔq)が上記上限を超えると、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量に対する多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向に拡散される光量が大きくなり、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に確保し難くなるおそれがある。なお、「二乗平均平方根傾斜(RΔq)」とは、JIS-B0601:2001に準じた値をいう。
【0052】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする二乗平均平方根傾斜(RΔq)の下限としては、0.5が好ましく、0.7がより好ましく、1がさらに好ましい。一方、多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする二乗平均平方根傾斜(RΔq)の上限としては、2.5が好ましく、2がより好ましく、1.8がさらに好ましい。上記二乗平均平方根傾斜(RΔq)が上記下限に満たないと、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、上記二乗平均平方根傾斜(RΔq)が上記上限を超えると、光線の出射角度を制御し難くなるおそれがある。
【0053】
多数の微細線状溝7が形成される外面(基材層5の上面)における多数の微細線状溝7の配向方向と垂直方向を基準とする二乗平均平方根傾斜(RΔq)と多数の微細線状溝7の配向方向と平行方向を基準とする二乗平均平方根傾斜(RΔq)との差の下限としては、0.5が好ましく、0.7がより好ましく、1がさらに好ましい。上記二乗平均平方根傾斜(RΔq)の差が上記下限以上であることによって、多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を十分に増加させてプリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。一方、上記二乗平均平方根傾斜(RΔq)の差の上限としては、例えば2.2とすることができる。
【0054】
基材層5は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。基材層5の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。なお、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
【0055】
基材層5の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、35μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。一方、基材層5の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく、250μmがより好ましく、188μmがさらに好ましい。基材層5の平均厚さが上記下限に満たないと、当該逆プリズムシート3の強度が不十分となるおそれがある。逆に、基材層5の平均厚さが上記上限を超えると、当該バックライトユニットの輝度が低下するおそれがあると共に、当該バックライトユニットの薄型化の要請に沿えないおそれがある。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0056】
基材層5の屈折率の下限としては、1.51が好ましく、1.53がより好ましく、1.55がさらに好ましい。一方、基材層5の屈折率の上限としては、1.7が好ましく、1.67がより好ましく、1.65がさらに好ましい。基材層5の屈折率が上記範囲内であることによって基材層5と基材層5の上面側に存在する空気層との屈折率差を利用して多数の微細線状溝7の幅方向に拡散される光量を増加させてプリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。
【0057】
(プリズム列)
プリズム列6は、上述のように、平行に配設される複数の突条プリズム部6aによって構成されている。各突条プリズム部6aは三角柱状体であり、各々略同形状に形成されている。各突条プリズム列6aの断面形状としては、特に限定されないが、基材層5との積層面を底辺とする二等辺三角形が好ましい。
【0058】
プリズム列6のピッチの下限としては、20μmが好ましく、30μmがより好ましい。一方、プリズム列6のピッチの上限としては、100μmが好ましく、60μmがより好ましい。また、各突条プリズム部6aの高さの下限としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましい。一方、各突条プリズム部6aの高さの上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。
【0059】
各突条プリズム部6aの頂角としては、60°以上70°以下が好ましい。また、突条プリズム部6aの底角としては、50°以上70°以下が好ましい。
【0060】
プリズム列6は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。プリズム列6は、基材層5と同様の形成材料を用いて基材層5と一体成形されてもよく、また基材層5と別個に形成されてもよい。
【0061】
プリズム列6の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えば基材層5の主成分と同様の合成樹脂や、活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられる。上記活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線を照射することによって架橋、硬化する紫外線硬化型樹脂や、電子線を照射することによって架橋、硬化する電子線硬化型樹脂等が挙げられ、重合性モノマー及び重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることが可能である。中でも、上記活性エネルギー線硬化型樹脂としては、基材層5との密着性を向上し易いアクリル系、ウレタン系又はアクリルウレタン系紫外線硬化型樹脂が好ましい。
【0062】
上記重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適に用いられ、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートである限り特に限定されない。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0063】
また、上記多官能性(メタ)アクリレートに加え、粘度の低下等を目的として、単官能性(メタ)アクリレートをさらに含んでもよい。この単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
上記重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーが挙げられ、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
【0065】
上記エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物によって変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることも可能である。上記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えばポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。上記ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することによって得ることができる。また、上記ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付与して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることも可能である。上記ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することによって得ることができる。
【0066】
また、上記活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂も好適に用いられる。上記紫外線硬化型エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等の硬化物が挙げられる。
【0067】
上記活性エネルギー線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、特に限定されるものではなく、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、例えばベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(ピロール-1-イル)フェニル]チタン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。なお、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0068】
<ライトガイドフィルム>
ライトガイドフィルム1は、一の端面から入射される光線を上面から略均一に出射する。ライトガイドフィルム1は、平面視略方形状に形成されており、厚みが略均一の板状(非楔形状)に形成されている。ライトガイドフィルム1は、下面に上面側に陥没する複数の凹部8を有する。また、ライトガイドフィルム1は、下面にスティッキング防止部を有する。具体的には、ライトガイドフィルム1は、上記スティッキング防止部として、複数の凹部8の周囲に存在し、下面側に突出する複数の隆起部9を有する。隆起部9は、凹部8に隣接して設けられ、隆起部9の内側面は凹部8の形成面と連続している。
【0069】
ライトガイドフィルム1の平均厚さの下限としては、100μmが好ましく、150μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。一方、ライトガイドフィルム1の平均厚さの上限としては、600μmが好ましく、580μmがより好ましく、550μmがさらに好ましい。ライトガイドフィルム1の平均厚さが上記下限に満たないと、ライトガイドフィルム1の強度が不十分となるおそれがあり、またLED2の光線をライトガイドフィルム1に十分に入射させることができないおそれがある。逆に、ライトガイドフィルム1の平均厚さが上記上限を超えると、当該バックライトユニットの薄型化の要請に沿えないおそれがある。
【0070】
複数の凹部8は、入射光を上面側に散乱させる光散乱部として機能する。各凹部8は、平面視略円形状に形成されている。また、各凹部8は、上面側に向けて徐々に縮径するように形成されている。凹部8の形状としては、特に限定されるものではなく、半球状、半楕円体状、円錐状、円錐台形状等とすることが可能である。中でも、凹部8の形状としては、半球状又は半楕円体状が好ましい。凹部8が半球状又は半楕円体状であることによって、凹部8の成形性を向上することができると共に、凹部8に入射した光線を好適に散乱させることができる。
【0071】
隆起部9は、ライトガイドフィルム1の下面におけるライトガイドフィルム1の厚さ方向と垂直な面から連続して形成されている。詳細には、隆起部9は、ライトガイドフィルム1の下面の平坦面から連続して形成されている。隆起部9は、凹部8を囲むように平面視略円環状に形成されている。ライトガイドフィルム1は、隆起部9が凹部8を囲むように平面視略円環状に形成されることによって、凹部8及び凹部8近辺がライトガイドフィルム1の下面側に配設される反射シート4と密着するのを容易かつ確実に防止することができる。
【0072】
ライトガイドフィルム1は、可撓性を有する。ライトガイドフィルム1は、可撓性を有することによって、下面側に配設される反射シート4の傷付きを抑制することができる。ライトガイドフィルム1は、光線を透過させる必要があるため、透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として構成されている。
【0073】
ライトガイドフィルム1の主成分としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル、活性エネルギー線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも、ライトガイドフィルム1の主成分としては、ポリカーボネート又はアクリル樹脂が好ましい。ポリカーボネートは透明性に優れると共に屈折率が高いため、ライトガイドフィルム1が主成分としてポリカーボネートを含むことによって、ライトガイドフィルム1の上下面において全反射が起こりやすく、光線を効率的に伝搬させることができる。また、ポリカーボネートは耐熱性を有するため、LED2の発熱による劣化等が生じ難い。さらに、ポリカーボネートはアクリル樹脂等に比べて吸水性が少ないため、寸法安定性が高い。従って、ライトガイドフィルム1は、ポリカーボネートを主成分として含むことによって経年劣化を抑止することができる。一方、アクリル樹脂は透明度が高いのでライトガイドフィルム1における光の損耗を少なくすることができる。
【0074】
<LED>
複数のLED2は、ライトガイドフィルム1の一の端面に沿って配設されている。複数のLED2は、各々光線出射面がライトガイドフィルム1の一の端面に対向(又は当接)するよう配設されている。
【0075】
<反射シート>
反射シート4は、合成樹脂を主成分とする樹脂層を有する。反射シート4は、ポリエステル等の基材樹脂にフィラーを分散含有させた白色樹脂層として構成されてもよく、ポリエステル等から形成される樹脂層の上面に、アルミニウム、銀等の金属を蒸着させることで正反射性が高められた鏡面シートとして構成されてもよい。
【0076】
<視野角拡大機能>
次に、図5を参照して、当該逆プリズムシート3及び当該バックライトユニットの視野角拡大機能について説明する。まず、図5(a)を参照して、逆プリズムシート124が多数の微細線状溝7を有しないエッジライト型バックライトユニット121における視野角特性について説明する。このエッジライト型バックライトユニット121にあっては、LED123から出射された比較的指向性の高い光線は、LED123と対向する端面からライトガイドフィルム122に入射され、さらにライトガイドフィルム122の上面から出射される。このライトガイドフィルム122の上面から出射された光線は、LED123出射方向に傾斜しつつ一定の広がりを有する。そして、このライトガイドフィルム122の上面から出射された光線は、逆プリズムシート124によってプリズム列126の方向と垂直方向の光線の広がりが鉛直方向に集約されるので、逆プリズムシート124から出射される光線は、プリズム列126の方向と垂直方向の光線の広がりが少なく、プリズム列126の方向と垂直方向の視野角が狭くなると考えられる。
【0077】
これに対し、当該バックライトユニットにおいても、ライトガイドフィルム1の上面から出射された光線は、プリズム列6によって屈折されプリズム列6の方向と垂直方向の光線の広がりが鉛直方向に集約されると考えられる。しかしながら、当該バックライトユニットにあっては、図5(b)に示すように、プリズム列6で屈折され多数の微細線状溝7の形成領域に到達した光線が、微細線状溝7の幅、つまりはプリズム列6の方向と垂直方向に拡散されるので、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分確保することができる。
【0078】
<利点>
当該逆プリズムシート3は、光源としてLED2を用いたバックライトユニットにおいて、所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。
【0079】
また、当該逆プリズムシート3は、最上面を構成する基材層5の上面に多数の微細線状溝7が形成されていることで、プリズム列6によって屈折された光線を、基材層5と基材層5の上面側に存在する空気層との屈折率差を利用してこのプリズム列6の方向と垂直方向に効果的に拡散することができるので、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角を十分に広げ易い。
【0080】
当該液晶表示装置用バックライトユニットは、ライトガイドフィルム1の複数のLED2が配設される一の端面とプリズム列6とが平行に位置する当該逆プリズムシート3を備えるので、上述のように所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。
【0081】
<逆プリズムシートの製造方法>
当該逆プリズムシート3の製造方法としては、基材層5及びプリズム列6を一体成形する方法と、基材層5及びプリズム列6を別個に形成する方法とが挙げられる。
【0082】
基材層5及びプリズム列6を一体成形する方法としては、
(a)プリズム列6の反転形状を有する金型及び多数の微細線状溝7の反転形状を有する金型のキャビティ内に溶融樹脂を注入する射出成形法、
(b)シート化された樹脂を再加熱して上記同様の一対の金型間に挟んでプレスして形状を転写する熱プレス法、
(c)プリズム列6の反転形状を周囲に有するロール型、及び多数の微細線状溝7の反転形状を周囲に有するロール型とのニップに溶融状態の樹脂を通し、上記形状を転写する押出シート成形法
等が挙げられる。
【0083】
一方、基材層5及びプリズム列6を別個に形成する方法としては、
(d)上記射出成形法、熱プレス法、押出シート成形法等によって、一方の面に多数の微細線状溝7が形成された基材層5を形成した後、この基材層5の他方の面に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布し、プリズム列6の反転形状を有するシート型、金型又はロール型に押さえつけて未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂に形状を転写し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(e)プリズム列6の反転形状を有する金型又はロール型に未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂を充填塗布し、一方の面に多数の微細線状溝7が形成された基材層5の他方の面で押さえつけて均し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法
等が挙げられる。
【0084】
<利点>
当該逆プリズムシートの製造方法は、上述のように、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列6の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる当該逆プリズムシート3を容易かつ確実に製造することができる。
【0085】
[第二実施形態]
<逆プリズムシート>
図6の逆プリズムシート13は、図1の逆プリズムシート3に代えて図1のエッジライト型バックライトユニットに用いられる。図6の逆プリズムシート13は、平面視略方形状に形成されている。逆プリズムシート13は、基材層15と、基材層15の下面に積層されるプリズム列16とを有する。逆プリズムシート13は、基材層15及び基材層15に直接積層されるプリズム列16から構成されている(つまり、基材層15及びプリズム列16は一体的に形成されており、基材層15及びプリズム列16以外に他の層を有していない)。プリズム列16は、平行に配設される複数の突条プリズム部16aによって構成されている。また、逆プリズムシート13は、中間界面(基材層15及びプリズム列16の界面)にプリズム列16の方向と平面視で平行又は鋭角に交差する多数の微細線状溝17が形成されている。
【0086】
(基材層)
図6に示すように、基材層15の下面(プリズム列16と接する側の面)には多数の微細線状溝17が形成されている。多数の微細線状溝17は、ヘアライン状に形成されている。また、多数の微細線状溝17は、回折格子を構成していてもよい。多数の微細線状溝17の具体的構成としては、図1の逆プリズムシート3の多数の微細線状溝7と同様とすることができる。つまり、当該逆プリズムシート13の基材層15の下面は、図1の逆プリズムシート3の基材層5の上面と同様に形成されている。
【0087】
基材層15は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。基材層15の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えば図1の逆プリズムシート3の基材層5の主成分と同様の合成樹脂が挙げられる。また、基材層15の平均厚さとしては、図1の逆プリズムシート3の基材層5と同様とすることができる。
【0088】
基材層15の屈折率の下限としては、1.51が好ましく、1.53がより好ましく、1.55がさらに好ましい。一方、基材層15の屈折率の上限としては、1.7が好ましく、1.67がより好ましく、1.65がさらに好ましい。当該逆プリズムシート13は、多数の微細線状溝17が形成される中間界面の両側の層の屈折率差が大きい方が多数の微細線状溝17の幅方向に拡散される光量を増加させ易い。この点に関し、基材層15の屈折率が上記下限に満たないと、上記両側の層に相当する基材層15及びプリズム列16の屈折率差が十分に大きくならず、多数の微細線状溝17の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。逆に、基材層15の屈折率が上記上限を超えると、基材層15に使用できる樹脂が限定されるおそれがある。
【0089】
基材層15及びプリズム列16の屈折率差(つまり、多数の微細線状溝17が形成される中間界面の両側の層の屈折率差)の下限としては、0.01が好ましく、0.05がより好ましく、0.07がさらに好ましい。上記屈折率差が上記下限に満たないと、多数の微細線状溝17の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。一方、上記屈折率差の上限としては、例えば0.15とすることができる。
【0090】
(プリズム列)
プリズム列16は、上述のように平行に配設される複数の突条プリズム部16aによって構成されている。各突条プリズム部16aは三角柱状体であり、各々略同形状に形成されている。各突条プリズム列16aの断面形状としては、特に限定されないが、基材層15との積層面を底辺とする二等辺三角形が好ましい。プリズム列16のピッチ及び各突条プリズム部16aの高さ、頂角、底角としては、図1の逆プリズムシート3と同様とすることができる。
【0091】
プリズム列16は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。また、プリズム列16は、基材層15とは異なる合成樹脂によって形成されている。具体的には、プリズム列16は、上述の活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分として形成されている。
【0092】
プリズム列16の屈折率の下限としては、1.36が好ましく、1.4がより好ましく、1.43がさらに好ましい。一方、プリズム列16の屈折率の上限としては、1.51が好ましく、1.5がより好ましく、1.49がさらに好ましい。プリズム列16の屈折率が上記下限に満たないと、プリズム列16に使用できる樹脂が限定されるおそれがある。逆に、プリズム列16の屈折率が上記上限を超えると、基材層15及びプリズム列16の屈折率差が十分に大きくならず、多数の微細線状溝17の幅方向に拡散される光量を十分に増加させることができないおそれがある。
【0093】
<利点>
当該逆プリズムシート13は、中間界面にプリズム列16の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝17が形成されているので、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列16の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。また、当該逆プリズムシート13は、中間界面にプリズム列16の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝17が形成されていることで、プリズム列16によって屈折された光線をこのプリズム列16の方向と垂直方向に拡散することができるので、プリズム列16の方向と垂直方向の視野角を広げ易い。
【0094】
<逆プリズムシートの製造方法>
当該逆プリズムシート13は、基材層15及びプリズム列16を別個に形成する方法によって製造される。当該逆プリズムシート13の製造方法としては、
(f)上述の当該逆プリズムシート3の製造方法と同様の射出成形法、熱プレス法、押出シート成形法等によって、一方の面に多数の微細線状溝17が形成された基材層15を形成した後、この基材層15の一方の面に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布し、プリズム列16の反転形状を有するシート型、金型又はロール型に押さえつけて未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂に形状を転写し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(g)プリズム列16の反転形状を有する金型又はロール型に未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂を充填塗布し、一方の面に多数の微細線状溝17が形成された基材層15の一方の面で押さえつけて均し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法
等が挙げられる。
【0095】
<利点>
当該逆プリズムシートの製造方法は、上述のように、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列16の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる当該逆プリズムシート13を容易かつ確実に製造することができる。
【0096】
[第三実施形態]
<逆プリズムシート>
図7の逆プリズムシート23は、図1の逆プリズムシート3に代えて図1のエッジライト型バックライトユニットに用いられる。図7の逆プリズムシート23は、平面視略方形状に形成されている。逆プリズムシート23は、基材層25と、基材層25の下面に積層されるプリズム列26とを有する。逆プリズムシート23は、基材層25及び基材層25に直接積層されるプリズム列26から構成されている(つまり、基材層25及びプリズム列26は一体的に形成されており、基材層25及びプリズム列26以外に他の層を有していない)。プリズム列26は、平行に配設される複数の突条プリズム部26aによって構成されている。また、逆プリズムシート23は、中間界面(基材層25及びプリズム列26の界面)にプリズム列26の方向と平面視で平行又は鋭角に交差する多数の微細線状溝27が形成されている。
【0097】
(基材層)
基材層25は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。基材層25の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えば図1の逆プリズムシート3の基材層5の主成分と同様の合成樹脂が挙げられる。また、基材層25の平均厚さとしては、図1の逆プリズムシート3の基材層5と同様とすることができる。さらに、基材層25の屈折率としては、図6の逆プリズムシート13の基材層15と同様とすることができる。
【0098】
(プリズム列)
プリズム列26は、上述のように平行に配設される複数の突条プリズム部26aによって構成されている。各突条プリズム部26aは三角柱状体であり、各々略同形状に形成されている。各突条プリズム列26aの断面形状としては、特に限定されないが、基材層25との積層面を底辺とする二等辺三角形が好ましい。プリズム列26のピッチ及び各突条プリズム部26aの高さ、頂角、底角としては、図1の逆プリズムシート3と同様とすることができる。
【0099】
図7に示すように、プリズム列26の上面(基材層25と接する側の面)には多数の微細線状溝27が形成されている。多数の微細線状溝27は、ヘアライン状に形成されている。また、多数の微細線状溝27は、回折格子を構成していてもよい。多数の微細線状溝27の具体的構成としては、図1の逆プリズムシート3の多数の微細線状溝3と同様とすることができる。つまり、当該逆プリズムシート23のプリズム列26の上面は、図1の逆プリズムシート3の基材層5の上面と同様に形成されている。
【0100】
プリズム列26は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。また、プリズム列26は、基材層25とは異なる合成樹脂によって形成されている。具体的には、プリズム列26は、上述の活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分として形成されている。
【0101】
プリズム列26の屈折率としては、図6の逆プリズムシート13のプリズム列16と同様とすることができる。また、基材層25及びプリズム列26の屈折率差(つまり、多数の微細線状溝27が形成される中間界面の両側の層の屈折率差)としては、図6の逆プリズムシート13の基材層15及びプリズム列16の屈折率差と同様とすることができる。
【0102】
<利点>
当該逆プリズムシート23は、中間界面にプリズム列26の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝27が形成されているので、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列26の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。また、当該逆プリズムシート23は、中間界面にプリズム列26の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝27が形成されていることで、プリズム列26によって屈折された光線をこのプリズム列26の方向と垂直方向に拡散することができるので、プリズム列26の方向と垂直方向の視野角を広げ易い。
【0103】
<逆プリズムシートの製造方法>
当該逆プリズムシート23は、基材層25及びプリズム列26を別個に形成する方法によって製造される。当該逆プリズムシート23の製造方法としては、
(h)射出成形法、熱プレス法、押出シート成形法等によって、一方の面に多数の微細線状溝27の反転形状が形成された基材層25を形成した後、この基材層25の一方の面に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布し、プリズム列26の反転形状を有するシート型、金型又はロール型に押さえつけて未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂に形状を転写し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(i)プリズム列26の反転形状を有する金型又はロール型に未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂を充填塗布し、一方の面に多数の微細線状溝27の反転形状が形成された基材層25の一方の面で押さえつけて均し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法
等が挙げられる。
【0104】
<利点>
当該逆プリズムシートの製造方法は、上述のように、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列26の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる当該逆プリズムシート23を容易かつ確実に製造することができる。
【0105】
[第四実施形態]
<逆プリズムシート>
図8の逆プリズムシート33は、図1の逆プリズムシート3に代えて図1のエッジライト型バックライトユニットに用いられる。図8の逆プリズムシート33は、平面視略方形状に形成されている。逆プリズムシート33は、基材層35と、基材層35の下面に積層されるプリズム列36とを有する。逆プリズムシート33は、基材層35及び基材層35に直接積層されるプリズム列36から構成されている(つまり、基材層35及びプリズム列36は一体的に形成されており、基材層35及びプリズム列36以外に他の層を有していない)。プリズム列36は、平行に配設される複数の突条プリズム部36aによって構成されている。また、逆プリズムシート33は、表面(プリズム列26の下面)にプリズム列36の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝37が形成されている。
【0106】
(基材層)
基材層35は上面及び下面が平坦な略直方体状に形成されている。基材層35は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。基材層35の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えば図1の逆プリズムシート3の基材層5の主成分と同様の合成樹脂が挙げられる。また、基材層35の平均厚さとしては、図1の逆プリズムシート3の基材層5と同様とすることができる。
【0107】
(プリズム列)
プリズム列36は、上述のように平行に配設される複数の突条プリズム部36aによって構成されている。各突条プリズム部36aは三角柱状体であり、各々略同形状に形成されている。各突条プリズム列36aの断面形状としては、特に限定されないが、基材層35との積層面を底辺とする二等辺三角形が好ましい。プリズム列36のピッチ及び各突条プリズム部36aの高さ、頂角、底角としては、図1の逆プリズムシート3と同様とすることができる。
【0108】
図8に示すように、プリズム列36の下面には多数の微細線状溝37が形成されている。多数の微細線状溝37は、ヘアライン状に形成されている。また、多数の微細線状溝37は、回折格子を構成していてもよい。多数の微細線状溝37の具体的構成としては、図1の逆プリズムシート3の多数の微細線状溝3と同様とすることができる。
【0109】
プリズム列36は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。プリズム列36の主成分としては、図1の逆プリズムシート3のプリズム列6の主成分と同様の合成樹脂が挙げられる。
【0110】
プリズム列36の屈折率の下限としては、1.36が好ましく、1.4がより好ましく、1.43がさらに好ましい。一方、プリズム列36の屈折率の上限としては、1.7が好ましく、1.67がより好ましく、1.65がさらに好ましい。プリズム列36の屈折率が上記範囲内であることによってプリズム列36とプリズム列36の下面側に存在する空気層との屈折率差を利用して多数の微細線状溝37の幅方向に拡散される光量を増加させてプリズム列36の垂直方向の視野角を十分に広げ易い。
【0111】
<利点>
当該逆プリズムシート33は、表面にプリズム列36の方向と平行又は鋭角で交差する多数の微細線状溝37が形成されているので、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列36の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる。
【0112】
<逆プリズムシートの製造方法>
当該逆プリズムシート33は、例えばプリズム列36の反転形状に加え、多数の微細線状溝37の反転形状を有する金型、ロール型、シート型を用い、図1の逆プリズムシート3と同様の製造方法で製造することができる。
【0113】
<利点>
当該逆プリズムシートの製造方法は、上述のように、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列36の方向と垂直方向の視野角も十分確保することができる当該逆プリズムシート33を容易かつ確実に製造することができる。
【0114】
[第五実施形態]
<逆プリズムシート>
図9の逆プリズムシート43は、図1の逆プリズムシート3に代えて図1のエッジライト型バックライトユニットに用いられる。図9の逆プリズムシート43は、平面視略方形状に形成されている。逆プリズムシート43は、基材層45と、基材層45の下面に積層されるプリズム列16とを有する。逆プリズムシート43は、基材層45及び基材層45に直接積層されるプリズム列16から構成されている(つまり、基材層45及びプリズム列16は一体的に形成されており、基材層45及びプリズム列16以外に他の層を有していない)。プリズム列16については、図6の逆プリズムシート13と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。当該逆プリズムシート43は、基材層45の上面に図1の逆プリズムシート3と同様の多数の微細線状溝47が形成され、かつプリズム列46の上面に図7の逆プリズムシート23と同様の多数の微細線状溝48が形成されている。基材層45の主成分としては、図1の逆プリズムシート3の基材層5の主成分と同様の合成樹脂が挙げられる。基材層45の平均厚さとしては、図1の逆プリズムシート3の基材層5と同様とすることができる。基材層45の屈折率、基材層45及びプリズム列46の屈折率差としては、図6の逆プリズムシート13と同様とすることができる。
【0115】
<利点>
当該逆プリズムシート43は、基材層45及びプリズム列16に各々多数の微細線状溝47,48が形成されているので、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列46の方向と垂直方向の視野角もより十分に確保することができる。
【0116】
<逆プリズムシートの製造方法>
当該逆プリズムシート43は、基材層45及びプリズム列16を別個に形成する方法によって製造される。当該逆プリズムシート43の製造方法としては、
(j)射出成形法、熱プレス法、押出シート成形法等によって、一方の面に多数の微細線状溝48の反転形状が形成され、かつ他方の面に多数の微細線状溝47が形成された基材層45を形成した後、この基材層45の一方の面に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布し、プリズム列16の反転形状を有するシート型、金型又はロール型に押さえつけて未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂に形状を転写し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(k)プリズム列16の反転形状を有する金型又はロール型に未硬化の活性エネルギー線硬化型樹脂を充填塗布し、一方の面に多数の微細線状溝48の反転形状が形成され、かつ他方の面に多数の微細線状溝47が形成された基材層45の一方の面で押さえつけて均し、活性エネルギー線を当てて活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法
等が挙げられる。
【0117】
<利点>
当該逆プリズムシートの製造方法は、上述のように、バックライトユニットの所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列46の方向と垂直方向の視野角もより十分に確保することができる当該逆プリズムシート43を容易かつ確実に製造することができる。
【0118】
[その他の実施形態]
なお、本発明に係るバックライトユニット用プリズムシート及びバックライトユニットは、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば当該バックライトユニット用プリズムシートは、逆プリズムシートであることが好ましいが、プリズム列を有する面を上方に向けて配設されたプリズムシートであってもよい。また、当該バックライトユニット用プリズムシートは、基材層及びプリズム列の2層構造であることが好ましいが、これらの層以外の他の層を有していてもよく、これら他の層の表面に多数の微細線状溝が形成されていてもよい。
【0119】
上記多数の微細線状溝は、当該バックライトユニット用プリズムシートの表面又は中間界面に形成されている限りその形成部分は限定されるものではない。また、多数の微細線状溝は、基材層の上下両面、プリズム列の上下両面、基材層及びプリズム列の任意の面等、複数の任意の表面又は中間界面に形成されていてもよい。当該逆プリズムシートは、多数の微細線状溝が2以上の面に形成されることによって、液晶表示装置におけるプリズム列の方向と垂直方向の視野角をより効果的に広げることができる。また、上記多数の微細線状溝は、当該逆プリズムシートの表面又は中間界面の一部の領域のみに形成されていてもよい。
【0120】
上記多数の微細線状溝の具体的形状としては、上述の実施形態の形状に限定されるものではなく、例えば図10に示すような断面角U字状、図11に示すような断面三角形状、図12に示すようなスリット状であってもよい。
【0121】
当該バックライトユニットは、複数のLEDを有することが好ましいが、1つのLEDのみを有していてもよい。また、当該バックライトユニットは、上述のライトガイドフィルムに代えて、例えば側面視略楔形状の導光シートを用いてもよい。
【0122】
当該バックライトユニットは、当該バックライトユニット用プリズムシート以外の他の光学シートをさらに有していてもよい。このような他の光学シートとしては、例えば光拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズシート等が挙げられる。また、当該バックライトユニットは、当該バックライトユニット用プリズムシートに重畳され、当該バックライトユニット用プリズムシートのプリズム列の方向に対してプリズム列の方向が直交する他の逆プリズムシートを有していてもよい。さらに、当該バックライトユニット用プリズムシートは、ライトガイドフィルムの上面に直接重畳されることで液晶表示装置におけるプリズム列と垂直方向の視野角を十分確保することができるが、ライトガイドフィルム及び当該バックライトユニット用プリズムシート間に他の光学シートが配設されていてもよい。
【0123】
上記多数の微細線状溝は、上記各実施形態の製造方法を用いることでヘアライン状に形成し易いが、上記製造方法の他、例えばレーザー、ヤスリ等によって形成することも可能である。
【0124】
当該バックライトユニットは、エッジライト型バックライトユニットであることが好ましいが、直下型バックライトユニットであってもよい。また、当該バックライトユニットは、エッジライト型バックライトユニットである場合でも、ライトガイドフィルムの一の端面に沿ってのみ1又は複数のLEDが配設された片側エッジライト型バックライトユニットである必要はなく、ライトガイドフィルムの対向する一対の端面に沿って複数のLEDが配設された両側エッジライト型バックライトユニットや、ライトガイドフィルムの各端面に沿って複数のLEDが配設された全周囲エッジライト型バックライトユニットであってもよい。
【0125】
当該バックライトユニットは、パーソナルコンピュータや液晶テレビ等、比較的大型の表示装置や、スマートフォン等の携帯電話端末や、タブレット端末等の携帯型情報端末に用いることができる。
【実施例
【0126】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0127】
[実施例]
(No.1~No.3)
一の端面から入射した光線を上面側に導くライトガイドフィルムと、ライトガイドフィルムの上記一の端面に沿うように配設される複数のLEDと、ライトガイドフィルムの上面側に配設され、下面にプリズム列を備え、プリズム列が上記一の端面と平行に位置する本発明に係るバックライトユニット用プリズムシート(逆プリズムシート)と、ライトガイドフィルムの下面側に配設される反射シートとを備える図1のエッジライト型バックライトユニットを用意した。上記逆プリズムシートとしては、基材層及びこの基材層の下面に積層されるプリズム列から構成され、この基材層の上面にプリズム列の方向と平面視で平行な多数の微細線状溝を有するものを用いた。また、この逆プリズムシートとしては、プリズム列のピッチが38μm、プリズム列の凸状プリズム部の頂角が65°のものを用いた。No.1~No.3の逆プリズムシートの基材層の平均厚さ、基材層及びプリズム列の屈折率差、微細線状溝の平均幅、平均深さ、平均ピッチ及び上記基材層の上面における微細線状溝の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)を表1に示す。
【0128】
[比較例]
(No.4)
逆プリズムシートの基材層の上面に多数の微細線状溝が形成されていない以外はNo.1と同様の構成を有するエッジライト型バックライトユニットを用意した。
【0129】
(No.5)
微細線状溝の平均幅、平均深さ、平均ピッチ及び基材層の上面における微細線状溝の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)を表1の通りとした以外はNo.1と同様の構成を有するエッジライト型バックライトユニットを用意した。
【0130】
【表1】
【0131】
<拡散性評価>
複数のLEDから出射され逆プリズムシートの上面から取り出される光の視野角をELDIM社製の視野角特性評価装置(「EzContrast」)を用いて測定した。具体的には、ライトガイドフィルムの出光面(上面)の垂直方向を90°、この出光面の平面方向を0°とし、複数のLEDの配列方向(ライトガイドフィルムの上記一の端面と平行な水平方向)をX軸、このX軸と垂直な水平方向をY軸とし、X軸及びY軸の90°の輝度に対する半値角をそれぞれ測定した。さらに、軸の半値角を軸の半値角で除することで逆プリズムシートの上面の垂直方向への光拡散性を評価した。この評価結果を表2に示す。
【0132】
【表2】
【0133】
[評価結果]
表2に示すように、No.1~No.3のエッジライト型バックライトユニットは、微細線状溝の平均幅、平均深さ、平均ピッチ及び基材層の上面における微細線状溝の配向方向と垂直方向を基準とする算術平均粗さ(Ra)が適切に制御されることで、上面方向への優れた拡散性を有しており、視野角を十分に確保することができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上のように、本発明のバックライトユニット用プリズムシート及びバックライトユニットは、所望の正面方向の輝度を得ることができると共に、プリズム列の方向と垂直方向の視野角を十分に確保することができるので、高品質な透過型液晶表示装置等、種々の液晶表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0135】
1 ライトガイドフィルム
2 LED
3,13,23,33,43 逆プリズムシート
4 反射シート
5,15,25,35,45 基材層
6,16,26,36 プリズム列
6a,16a,26a,36a 突条プリズム部
7,17,27,37,47,48 微細線状溝
8 凹部
9 隆起部
101,121 エッジライト型バックライトユニット
102 導光シート
103 LED
104 逆プリズムシート
122 ライトガイドフィルム
123 LED
124 逆プリズムシート
126 プリズム列
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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図13