(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】手技前後の鼻腔のマッピング
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20230123BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20230123BHJP
【FI】
A61B17/24
A61B34/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018082069
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-04-23
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ツビ・デケル
(72)【発明者】
【氏名】アクラム・ゾアビ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヴ・ピンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・ラケーリ
(72)【発明者】
【氏名】イタマル・ブスタン
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0004286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0008083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ヒト患者の副鼻腔に挿入されるように構成された遠位端を有するプローブと、
前記遠位端の中に配置される位置センサと、
前記副鼻腔の選択された開口部で、前記遠位端に配置されるように構成されたサイナプラスティバルーンと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記遠位端が前記患者の前記副鼻腔に挿入されている間、かつ前記選択された開口部に前記サイナプラスティバルーンを配置する前に、前記位置センサから第1のシグナルを受信し、前記第1のシグナルから、前記副鼻腔の第1のマップを作成し、
前記選択された開口部に前記バルーンが配置される際、前記選択された開口部を拡張するように前記サイナプラスティバルーンをふくらませ、その後、前記バルーンをしぼませ、
前記バルーンをしぼませた後に、前記遠位端が前記副鼻腔に挿入されている間に、前記位置センサから第2のシグナルを受信し、前記第2のシグナルから前記副鼻腔の第2のマップを作成し、
前記第1のマップ
と、前記第2のマップと
、を比較のために位置合わせし、
位置合わせされたマップ
の比較から、前記選択された開口部の大きさの数値の増加量を作成するように構成されて
おり、
前記第1のマップと前記第2のマップとを位置合わせすることが、前記選択された開口部を位置合わせプロセスから除外しつつ、2つのマップ間の前記位置合わせプロセスを行うことを含む、装置。
【請求項2】
前記遠位端を前記副鼻腔に挿入する前に、前記副鼻腔の画像を受信し、この画像から、前記副鼻腔内の前記選択された開口部を特定するように前記プロセッサを構成することを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サイナプラスティバルーンが、前記遠位端の上を滑るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記副鼻腔の近くに固定するように配置された磁場発生部を備え、前記位置センサが、前記位置センサを横切る前記
磁場発生部からの磁場に応答して前記第1および第2のシグナルを作成する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、サイナプラスティに関し、具体的には、サイナプラスティの結果の定量化に関する。
【背景技術】
【0002】
バルーンサイナプラスティは、ENT(耳、鼻および喉)の専門家が、遮断された洞の治療に使用し得る手技であり、遮断された洞は、典型的には、静脈洞炎と診断された患者で起こる。サイナプラスティ手技は、洞の経路を広げるために、ワイヤカテーテルの上でバルーンを使用する。バルーンは、洞の開口部を広げるという目的のためにふくらませられ、洞の経路の壁を広げ、通常のドレナージを回復させる。
【0003】
本特許出願に参照により組み込まれる文献は、いずれかの用語がこれらの組み込まれた文献において、本明細書に明確に、または暗示的になされる定義と矛盾する形で定義されている場合には、本明細書中の定義のみが考慮されるべきである点を除き、本出願と一体化した部分とみなされるものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、装置であって、
ヒト患者の副鼻腔に挿入されるように構成された遠位端を有するプローブと、
遠位端の中に配置される位置センサと、
副鼻腔の選択された開口部で、遠位端に配置されるように構成されたサイナプラスティバルーンと、
プロセッサと、を備え、このプロセッサは、
遠位端が患者の副鼻腔に挿入さている間、かつ選択された開口部にサイナプラスティバルーンを配置する前に、位置センサから第1のシグナルを受信し、第1のシグナルから、副鼻腔の第1のマップを作成し、
選択された開口部にバルーンが配置される際、選択された開口部を拡張するようにサイナプラスティバルーンをふくらませ、その後、バルーンをしぼませ、
バルーンをしぼませた後に、前記遠位端が副鼻腔に挿入されている間に、位置センサから第2のシグナルを受信し、第2のシグナルから副鼻腔の第2のマップを作成し、
第1のマップを第2のマップと位置合わせし、
位置合わせしたマップから、選択された開口部の大きさの数値の増加量を作成するように構成されている、装置を提供する。
【0005】
この装置は、典型的には、遠位端を副鼻腔に挿入する前に、副鼻腔の画像を受信し、この画像から、副鼻腔内の選択された開口部を特定するようにプロセッサを構成することを含む。
【0006】
典型的には、遠位端は、選択された開口部を越えて挿入されるように構成されている。
【0007】
開示される実施形態において、サイナプラスティバルーンは、遠位端の上を滑るように構成されている。
【0008】
さらなる開示された実施形態では、第1のマップを第2のマップと位置合わせすることは、選択された開口部を位置合わせプロセスから除外しつつ、この2つのマップ間の位置合わせプロセスを行うことを含む。
【0009】
代替的な実施形態では、本装置は、副鼻腔の近くに固定するように配置された磁界発生部を備え、位置センサが、位置センサを横切る磁界発生部からの磁界に応答して第1および第2のシグナルを作成する。
【0010】
本発明の実施形態によれば、ある方法も提供され、この方法は、
遠位端を有するプローブを、ヒト患者の副鼻腔に挿入されるように構成することと、
遠位端の中に位置センサを配置することと、
サイナプラスティバルーンを副鼻腔の選択された開口部で、遠位端に配置されるように構成することと、
遠位端が患者の副鼻腔に挿入されている間、かつ選択された開口部にサイナプラスティバルーンを配置する前に、位置センサから第1のシグナルを受信し、第1のシグナルから、副鼻腔の第1のマップを作成することと、
選択された開口部にバルーンが配置される際、選択された開口部を拡張するようにサイナプラスティバルーンをふくらませ、その後、バルーンをしぼませることと、
バルーンをしぼませた後に、前記遠位端が副鼻腔に挿入されている間に、位置センサから第2のシグナルを受信し、第2のシグナルから副鼻腔の第2のマップを作成することと、
第1のマップを第2のマップと位置合わせすることと、
位置合わせしたマップから、選択された開口部の大きさの数値の増加量を作成することとを含む。
【0011】
以下の本開示の実施形態の詳細な説明を図面と併せ読むことで本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る副鼻腔手術システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る上述のシステムを用いた手術を受ける患者の頭部の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るガイドワイヤの一部の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプロセッサおよびサイナプラスティモジュールによって実行されるアルゴリズムの工程のフローチャートである。
【
図5A】本発明の一実施形態に係るアルゴリズムの結果を模式的に示す。
【
図5B】本発明の一実施形態に係るアルゴリズムの結果を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
サイナプラスティ手技は、典型的には、ガイドワイヤを患者の副鼻腔の所望な位置に挿入することと、広げるべき副鼻腔の部位にバルーンをスライドさせることからなる。バルーンが所定位置に来たら、バルーンは、バルーンと接触した領域を拡張し、広げるようにふくらませられてもよい。広げた後、バルーンをガイドワイヤと共にしぼませ、患者から取り出してもよい。
【0014】
サイナプラスティ手技が成功したかどうかを判定するために、手技前後で副鼻腔の状態を測定することが必要である。典型的には、このような測定は、手技の前後の蛍光コンピュータ断層撮影法(CT)スキャンを必要とする。これらのスキャンは、比較的高価であり、患者を電離放射線にさらすことを伴う。
【0015】
本発明の複数の実施形態は、電離しない様式で手技の前後に副鼻腔を測定することによって、2回のスキャンの必要性を回避する。測定は、この場合には定量化することができ、手技の前後に、医師に副鼻腔の開口部の数値を与える。
【0016】
ここで、副鼻腔手術システム20の概略図である
図1と、本発明の実施形態によるシステムを使用した手術を受ける患者22の頭部の概略図である
図2を参照する。システム20は、典型的に、患者22の副鼻腔におけるサイナプラスティ手技の間に使用される。かかるサイナプラスティ手技の前に、一連の磁界発生器24は、典型的に、患者の頭部に固定されるフレーム26に磁界発生器を組み込むことによって、患者の頭部に固定される。以下に説明するように、磁界発生器によって、追跡されるべき患者の副鼻腔内に挿入されるプローブ28(本明細書ではガイドワイヤ28とも呼ばれる)の位置を決めることができる。
【0017】
システム20の要素(発生器24などを含む)は、システムプロセッサ40によって制御されてもよく、システムプロセッサ40は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを備えている。メモリは、サイナプラスティモジュール46を含んでおり、プロセッサがこれを使用してアルゴリズムの工程(以下に記載される)を実行し、サイナプラスティ手技の結果を、このシステムを操作する医師54に与える。プロセッサ40とモジュール46は、コンソール50に設置されてもよく、典型的にはキーパッドおよび/またはポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)を備える操作制御部51を備えている。コンソール50は、有線および/または無線で、システム20の他の要素、例えば、ガイドワイヤ28の近位端52を保持するハンドル48とも接続する。(このハンドルは、操作制御部を備えていてもよい。)医師54は、操作制御部を使用し、手技を実施しつつ、プロセッサと関わり、プロセッサは、システム20によって作られた結果をスクリーン56に表示してもよい。
【0018】
プロセッサ40は、プロセッサのメモリ内に記憶されたソフトウェアを用い、システム20を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ40にダウンロードされてもよく、またはこれに代えて、またはこれに加えて、磁気メモリ、光メモリまたは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供され、および/または記憶されてもよい。
【0019】
プロセッサ40は、特に、磁界発生器24を操作し、較正するためにソフトウェアを使用する。磁気発生器は、フレーム26に近接した領域に異なる周波数の交番磁界を送り出すように動作する。患者へ配置される前に、フレーム内の磁気発生器は、フレームに対して既知の位置および方向になるように領域内にコイルを位置決めすることによって較正されてもよい。交番磁界によってコイルに信号が誘起され、プロセッサは、この信号を取得し、記録する。次いで、プロセッサは、コイルの位置および方向とこれらの位置および方向に対して、記録された信号との較正関係を構築する。Biosense Webster(33テクノロジードライブ、アーバイン、CA 92618 USA)製のCarto(登録商標)システムは、磁界によって照射される領域内のコイルの位置および方向を見つけるために、本明細書に記載するのと同様のシステムを使用する。
【0020】
較正関係が構築されたら、フレームを患者の頭部に配置してもよい。配置した後に、フレームは、所定位置に固定され、以下に記載するように、フレームの参照フレームが、患者の洞の画像の参照フレームと位置合わせされてもよい。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係るガイドワイヤ28の一部の概略図である。ガイドワイヤ28は、典型的には、ステンレス鋼ワイヤのコイル58として作られ、一実施形態では、外径が0.9mmである。しかし、本発明の他の実施形態のガイドワイヤは、外径が0.9mmより大きくてもよく、または小さくてもよい。
図3は、ガイドワイヤ28の遠位端32と、ガイドワイヤの遠位端と近位端52(
図1)との間にあるセクション60とを示す。
【0022】
上述のように、ガイドワイヤ28は、サイナプラスティ手技に使用され、ガイドワイヤの上に適合し、次いで手技の間にセクション60にスライドするバルーン62を受け入れるように構成される。手技は、典型的には、セクション60が副鼻腔の所望の位置内にあるようにガイドワイヤを前もって位置決めすることを伴う。所望の位置に来たら、プロセッサ40は、サイナプラスティモジュール46を使用し、バルーン62の開口部66に接続する膨張路64を介して加圧流体(典型的には生理食塩水)を運び、バルーンをふくらませることによってサイナプラスティ手技を行う。手技が終了したら、プロセッサ40は、またサイナプラスティモジュール46を使用し、バルーンをしぼませるように加圧流体を除去し、ガイドワイヤと共にバルーンを副鼻腔から取り出してもよい。
【0023】
遠位端32の切り取られたセクション70は、遠位端の内部要素を示す。磁界センサ30は、遠位端の内側に固定するように取り付けられている。磁界センサは、典型的には、コイル58の対称軸と平行な対称軸を有し、典型的にはコイル58の対称軸と一致する対称軸を有する一軸コイルである。導電性ワイヤ72は、磁界発生器24からの磁界に応答してセンサによって作られ、センサを通って流れる(すなわち、横切っていく)信号をプロセッサ40に送信する。または、信号は、無線でプロセッサ40に送信されてもよい。取得した信号から、プロセッサは、センサ30の方向および位置、したがって、遠位端32の方向および位置を計算することができる。
【0024】
図4は、プロセッサ40およびサイナプラスティモジュール46によって実行されるアルゴリズムの工程のフローチャートであり、
図5Aおよび
図5Bは、本発明の一実施形態に係るアルゴリズムの結果を模式的に示す。アルゴリズムは、サイナプラスティ手技を受ける患者の副鼻腔における変化を定量化した測定値を与える。
【0025】
第1の画像取得工程100において、プロセッサは、患者22のコンピュータ断層撮影法(CT)の画像を取得し、この画像は、患者の副鼻腔を含む。CT画像は、蛍光画像、磁気共鳴断層撮影(MRI)の画像、超音波画像またはこのような画像の組み合わせであってもよい。典型的には、画像は、本明細書に記載するサイナプラスティ手技が実行される前に、比較的長時間にわたって(例えば、数日間、または数週間の場合もある)作成される。
【0026】
セットアップ工程102において、磁界発生器24を備えたフレーム26が、患者の頭部に固定される。典型的には、フレーム26が患者に固定される前に、磁界発生器が上述のように較正される。次いで、例えば、センサを横切る磁界に応答して位置シグナルを作成する位置センサを備えたワンドを用いることによって、磁界発生器の参照フレームが、工程100で取得したCT画像と位置合わせされる。ワンドは、患者の視覚的に特定可能な特徴に接触し、その特徴は、CT画像でも特定可能である。
【0027】
挿入工程104において、ガイドワイヤ28は、患者22の副鼻腔に挿入され、プロセッサは、ガイドワイヤが挿入されている間に、磁界センサ30からの信号を用いてガイドワイヤの遠位端の位置を追跡する。ガイドワイヤは、CT画像からサイナプラスティ手技が行われる領域まで、医師が決定した目的の領域を横切るように挿入される。遠位端の位置および追跡は、スクリーン56に表示されるCT画像上にマーカーを重ねることによって医師に示されてもよい。
【0028】
ガイドワイヤの遠位端の追跡された位置から、プロセッサは、遠位端が横切る領域の三次元(3D)マップを作成する。典型的には、Fast Anatomical Mapping(FAM)といった技術を3D作成に使用する。FAMは、Biosense Webster製のCarto(登録商標)3システムで使用される。FAM技術は、センサの移動の程度を規定する表面を自動的に計算する。言い換えると、この表面は、センサが移動する外側ではなく、内側の容積を結んでいる。良好な3Dマップが確実に作成されるように、挿入工程104の間、医師は、典型的には、副鼻腔の壁、洞孔(副鼻腔の開口部)および鼻腔と接触するように遠位端を移動する。
【0029】
マッピングされた領域は、典型的には、目的の領域の前後に、空間的に副鼻腔の領域を含む。
【0030】
サイナプラスティ工程106において、医師は、サイナプラスティ手技を行う。この手技を行うために、医師は、バルーン62をふくらませていない状態でガイドワイヤ28に沿って目的の領域までスライドさせ、次いで、バルーンに流体を注入することによってバルーンをふくらませる。(医師は、典型的には、自身の経験を利用し、バルーンが目的の領域に配置されたことと判定する。)次いで、バルーンをしぼませ、医師によって目的の領域から抜き取られ、しぼんだバルーンをガイドワイヤに沿って再びスライドさせる。
【0031】
手技後のマッピング工程108において、医師は、工程104で行われたマッピング操作を繰り返す。工程108が、工程106のサイナプラスティ手技の直後に行われる場合、マッピングは、目的の領域から離れるようにガイドワイヤの遠位端を抜き取りながら実施されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、工程108の繰り返しのマッピング工程は、ある時間、おそらく数日間または数週間の場合もあるが、工程106のサイナプラスティ手技の後に行われてもよい。工程108が行われるときはいつでも、マッピングは、目的の領域から離れた前後および目的の領域自体の領域を含む。
【0032】
位置合わせ工程110において、プロセッサおよびサイナプラスティモジュールは、工程104で作られたマップと共に、工程108で作られたマップを位置合わせする。サイナプラスティ手技のために、2つのマップは、典型的には、目的の領域の面積が異なっている。その結果、位置合わせを行う際に、プロセッサは、目的の領域の前後のマップの部分には高い重み付けを割り当て、目的の領域に対応するマップの部分に低い(おそらくゼロ)の重み付けを割り当てる。目的の領域にゼロの重み付けを割り当てることは、工程110で行われる位置合わせプロセスから目的の領域を除外することに対応する。
【0033】
最終の測定工程112において、プロセッサは、サイナプラスティモジュールを用い、医師に対し、スクリーン56に2つのマップを提示する。この2つのマップは、重ね合わされた様式で提示されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、2つのマップは、隣り合わせに提示されてもよい。
図5Aは、工程108で作られたマップ120を工程104で作られたマップ124の上に重ね合わせたものを示す。
図5Bは、隣り合わせに表示したマップを示す。いずれの場合でも、医師は、目的の領域内の2つのマップの違いを見て、定量的に測定することができる。定量的な測定(すなわち、上述の違い)は、副鼻腔の経路の開口部の大きさの数値的な増加に対応し、その増加は、サイナプラスティ手技によって作り出されたことが理解されるだろう。典型的には、大きさの増加は、1mm以上である。
【0034】
さらに、これに代えて、またはこれに加えて、プロセッサは、副鼻腔の経路の大きさの増加を自動的に測定するような構成であってもよい。この場合、プロセッサは、典型的には、第1のマップから、目的の領域の一番小さなギャップを測定する。次いで、プロセッサは、第2のマップから、そのギャップの大きさを測定する。両方の測定は、医師によって数値が与えられてもよい。
【0035】
上の記載は、サイナプラスティ手技が副鼻腔の経路に対して行われた前後の副鼻腔の経路の測定に関するものであった。サイナプラスティ手技は、経路の大きさの違いが存在する手技であるが、必ずしも副鼻腔の経路ではないことが理解されるだろう。したがって、当業者は、この記載を、必要な変更を加えて、これらの他の経路に応用することができ、その結果、本発明の範囲は、他の経路の違いの測定を含む。
【0036】
上の記載は、測定前後に行うためのセンサを有するサイナプラスティガイドワイヤを使用しているが、本発明の範囲は、サイナプラスティガイドワイヤに限定されず、測定前後に行うためのセンサを備える他のツールを用いることも含むことも理解されるだろう。
【0037】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に詳細に示し説明したものに限定されないことが認識されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書の上に記載されている様々な特徴の組み合わせと部分的な組み合わせの両方、および前述の説明を一読すると、当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形および改変を含む。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
ヒト患者の副鼻腔に挿入されるように構成された遠位端を有するプローブと、
前記遠位端の中に配置される位置センサと、
前記副鼻腔の選択された開口部で、前記遠位端に配置されるように構成されたサイナプラスティバルーンと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記遠位端が前記患者の前記副鼻腔に挿入されている間、かつ前記選択された開口部に前記サイナプラスティバルーンを配置する前に、前記位置センサから第1のシグナルを受信し、前記第1のシグナルから、前記副鼻腔の第1のマップを作成し、
前記選択された開口部に前記バルーンが配置される際、前記選択された開口部を拡張するように前記サイナプラスティバルーンをふくらませ、その後、前記バルーンをしぼませ、
前記バルーンをしぼませた後に、前記遠位端が前記副鼻腔に挿入されている間に、前記位置センサから第2のシグナルを受信し、前記第2のシグナルから前記副鼻腔の第2のマップを作成し、
前記第1のマップを前記第2のマップと位置合わせし、
前記位置合わせされたマップから、前記選択された開口部の大きさの数値の増加量を作成するように構成されている、装置。
(2) 前記遠位端を前記副鼻腔に挿入する前に、前記副鼻腔の画像を受信し、この画像から、前記副鼻腔内の前記選択された開口部を特定するように前記プロセッサを構成することを含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記遠位端が、前記選択された開口部を越えて挿入されるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記サイナプラスティバルーンが、前記遠位端の上を滑るように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第1のマップを前記第2のマップと位置合わせすることが、前記選択された開口部を位置合わせプロセスから除外しつつ、この2つのマップ間の前記位置合わせプロセスを行うことを含む、実施態様1に記載の装置。
【0039】
(6) 前記副鼻腔の近くに固定するように配置された磁場発生部を備え、前記位置センサが、前記位置センサを横切る前記発生部からの磁場に応答して前記第1および第2のシグナルを作成する、実施態様1に記載の装置。
(7) 方法であって、
遠位端を有するプローブを、ヒト患者の副鼻腔に挿入されるように構成することと、
前記遠位端の中に位置センサを配置することと、
サイナプラスティバルーンを、前記副鼻腔の選択された開口部で、前記遠位端に配置されるように構成することと、
前記遠位端が前記患者の前記副鼻腔に挿入されている間、かつ前記選択された開口部に前記サイナプラスティバルーンを配置する前に、前記位置センサから第1のシグナルを受信し、前記第1のシグナルから、前記副鼻腔の第1のマップを作成することと、
前記選択された開口部に前記バルーンが配置される際、前記選択された開口部を拡張するように前記サイナプラスティバルーンをふくらませ、その後、前記バルーンをしぼませることと、
前記バルーンをしぼませた後に、前記遠位端が前記副鼻腔に挿入されている間に、前記位置センサから第2のシグナルを受信し、前記第2のシグナルから前記副鼻腔の第2のマップを作成することと、
前記第1のマップを前記第2のマップと位置合わせすることと、
前記位置合わせされたマップから、前記選択された開口部の大きさの数値の増加量を作成することと、を含む、方法。
(8) 前記遠位端を前記副鼻腔に挿入する前に、前記副鼻腔の画像を受信することと、前記画像から、前記副鼻腔内の前記選択された開口部を特定することとを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記遠位端が、前記選択された開口部を越えて挿入されるように構成される、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記サイナプラスティバルーンが、前記遠位端の上を滑るように構成される、実施態様7に記載の方法。
【0040】
(11) 前記第1のマップを前記第2のマップと位置合わせすることが、前記選択された開口部を位置合わせプロセスから除外しつつ、前記2つのマップ間の前記位置合わせプロセスを行うことを含む、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記副鼻腔の近くに磁場発生部を固定するように配置することと、前記センサを横切る前記発生部からの磁場に応答して前記第1および第2のシグナルを作成するように前記位置センサを構成することと、を含む、実施態様7に記載の方法。