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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】積層鉄心製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20230123BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H01F41/02 B
H01F27/245 150
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018154840
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020031109
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-04-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】船田 宏平
(72)【発明者】
【氏名】小豆 浩二
(72)【発明者】
【氏名】永作 種規
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-058322(JP,U)
【文献】特開2001-097630(JP,A)
【文献】特開平02-084706(JP,A)
【文献】特開昭62-120010(JP,A)
【文献】特開昭60-248560(JP,A)
【文献】特開昭55-093208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
H01F 27/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層鉄心に用いられる板状片を積むことによって台上に板状片ブロックを構成する工程と、
前記工程によって構成された板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する工程と、を備え、
前記台において、当該台に配置される板状片の短手方向に延びる複数の凹部が、当該板状片の長手方向に沿って平行に配置されており、
前記板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する工程は、
前記台の複数の凹部に挿入可能なように平行に配置された複数の歯を有するフォーク部が、前記台上の板状片ブロックを持ち上げて搬送する工程と、
前記フォーク部が、搬送対象の板状片ブロックが積層位置となった際に、前記複数の歯を長手方向に進退可能に保持するフォーク基部に対して、前記複数の歯を前記フォーク基部側に後退させることによって当該板状片ブロックを積層位置に積層する工程と、を有し、
前記複数の歯は、第1及び第2グループに分けられ、前記第1及び第2グループの歯はそれぞれ独立して進退可能であり、
前記搬送対象の板状片ブロックを積層位置に積層する工程では、前記第1グループの歯を前記フォーク基部側に後退させ、積層対象の板状片ブロックを下方側に押さえる積層押さえ機構によって、前記第1グループの歯が存在しなくなった位置において、前記板状片ブロックを下方側に押さえ、前記積層押さえ機構によって前記板状片ブロックが下方側に押さえられている状態において前記第2グループの歯を前記フォーク基部側に後退させ、前記積層押さえ機構による前記板状片ブロックの押さえを解除する、積層鉄心製造方法。
【請求項2】
前記板状片ブロックを構成する工程では、板状片を長手方向にずらしながら重ねることによって前記板状片ブロックを構成する、請求項1記載の積層鉄心製造方法。
【請求項3】
前記積層鉄心は、第1及び第2ヨークと第1及び第2側脚と中央脚とを有する積層鉄心のうち、第1ヨークと第1及び第2側脚と中央脚とから構成される部分であり、
前記中央脚の両端部と、前記第1及び第2ヨークの中央部との板状片の接合部は、前記第1及び第2ヨーク側が切り込みとなるV字状であり、板状片が前記中央脚の長手方向に順にずれるステップラップ接合である、請求項1または請求項2記載の積層鉄心製造方法。
【請求項4】
前記搬送対象の板状片ブロックを積層位置に積層する工程では、前記複数の歯が後退される際に、板状片ブロックストッパによって積層対象の板状片ブロックの後退方向への移動が防止される、請求項1から請求項3のいずれか記載の積層鉄心製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心に用いられる板状片を積層することによって積層鉄心を製造する積層鉄心製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器等の静止誘導機器を構成する鉄心として、電磁鋼板を積層した積層鉄心がある。また、そのような積層鉄心に用いられる板状片を自動的に積層することによって、積層鉄心を製造する鉄心自動積装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-167962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の鉄心自動積装置では、ベルトコンベアで板状片(鉄心)を搬送し、その搬送した板状片を積層位置において落下させることによって積層鉄心を製造している。そのため、例えば、ヨークと、そのヨークと接合される2個の側脚及び中央脚とを有するE型鉄心積層体を製造する場合には、ヨークの位置、2個の側脚の各位置、中央脚の位置のそれぞれに板状片を搬送できるようにするシステムを構築する必要があり、大規模な装置となってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、より小規模で効率よく積層鉄心を製造することができる積層鉄心製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による積層鉄心製造方法は、積層鉄心に用いられる板状片を積むことによって板状片ブロックを構成する工程と、その工程によって構成された板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する工程と、を備えたものである。
このような構成により、まず板状片ブロックを構成し、その板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造することができ、従来の鉄心自動積装置と比較して、より小規模に積層鉄心を製造することができる。例えば、E型鉄心積層体を製造する場合であっても、ヨークや側脚、中央脚の積層位置までベルトコンベアを配設する必要がない。また、積層対象の鉄心の形状や大きさの変更にも、移動先を変更することによって対応することができ、ベルトコンベアの配設位置を変更するなどの作業は必要ないことになる。また、板状片ブロックを構成する作業と、板状片ブロックを積層する作業とを並列して行うことができるため、作業効率を向上させることもできる。
【0007】
また、本発明による積層鉄心製造方法では、板状片ブロックを構成する工程において、板状片を長手方向にずらしながら重ねることによって板状片ブロックを構成してもよい。
このような構成により、例えば、ステップラップ接合を有する積層鉄心を構成することができる。
【0008】
また、本発明による積層鉄心製造方法では、積層鉄心は、第1及び第2ヨークと第1及び第2側脚と中央脚とを有する積層鉄心のうち、第1ヨークと第1及び第2側脚と中央脚とから構成される部分であり、中央脚の両端部と、第1及び第2ヨークの中央部との板状片の接合部は、第1及び第2ヨーク側が切り込みとなるV字状であり、板状片が中央脚の長手方向に順にずれるステップラップ接合であってもよい。
このような構成により、中央脚の両端部と第1及び第2ヨークの中央部との板状片の接合部をステップラップ接合にすることができ、例えば、鉄損の低減や低騒音化等のメリットが得られる。
【0009】
また、本発明による積層鉄心製造方法では、板状片ブロックを構成する工程において、台上に板状片ブロックが構成され、台において、台に配置される板状片の短手方向に延びる複数の凹部が、板状片の長手方向に沿って平行に配置されており、板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する工程は、台の複数の凹部に挿入可能なように平行に配置された複数の歯を有するフォーク部が、台上の板状片ブロックを持ち上げて搬送する工程と、フォーク部が、搬送対象の板状片ブロックを積層位置に積層する工程と、を有してもよい。
このような構成により、フォーク部によって板状片ブロックを台から取り上げることができると共に、積層位置において、板状片ブロックを降ろして積層することができる。
【0010】
また、本発明による積層鉄心製造方法では、搬送対象の板状片ブロックを積層位置に積層する工程において、搬送対象の板状片ブロックが積層位置となった際に、複数の歯を長手方向に進退可能に保持するフォーク基部側に、複数の歯を後退させることによって板状片ブロックを積層してもよい。
このような構成により、積層位置において、複数の歯を後退させることによって板状片ブロックを積層でき、板状片ブロックの積層を省スペースで実現することができる。
【0011】
また、本発明による積層鉄心製造方法では、複数の歯は、第1及び第2グループに分けられ、第1及び第2グループの歯はそれぞれ独立して進退可能であり、搬送対象の板状片ブロックを積層位置に積層する工程において、第1グループの歯をフォーク基部側に後退させ、積層対象の板状片ブロックを下方側に押さえる積層押さえ機構によって、第1グループの歯が存在しなくなった位置において、板状片ブロックを下方側に押さえ、積層押さえ機構によって板状片ブロックが下方側に押さえられている状態において第2グループの歯をフォーク基部側に後退させ、積層押さえ機構による板状片ブロックの押さえを解除してもよい。
このような構成により、板状片ブロックを積層する際に、積層対象の板状片ブロックの位置ずれを防止することができる。
【0012】
また、本発明による積層鉄心製造方法では、搬送対象の板状片ブロックを積層位置に積層する工程において、複数の歯が後退される際に、板状片ブロックストッパによって積層対象の板状片ブロックの後退方向への移動が防止されてもよい。
このような構成により、板状片ブロックストッパにより、積層対象の板状片ブロックの後退方向でのずれを防止することができる。
【0013】
また、本発明による積層鉄心製造システムは、積層鉄心に用いられる板状片を長手方向にずらしながら重ねて板状片ブロックを構成する段積み装置と、段積み装置によって構成された板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する搬送積層装置とを備えた積層鉄心製造システムであって、段積み装置は、板状片が段積みされる段積み台と、板状片の上面側を保持した状態で板状片を搬送し、段積み台の上方において板状片の保持を解除する搬送部と、段積み台上において板状片の長手方向の前端を位置決めする板状片ストッパと、搬送対象の板状片に応じた位置に板状片ストッパを移動させる板状片ストッパ移動機構と、段積み台上において、搬送部による保持の解除された板状片の前端を保持する保持部と、板状片の前端を保持した状態の保持部を、板状片ストッパを越えて板状片の長手方向に移動させることによって、段積み台上において、板状片ストッパによって位置決めされた位置に板状片を配置させる保持部移動機構と、を備え、段積み台において、段積み台に配置される板状片の短手方向に延びる複数の凹部が、板状片の長手方向に沿って平行に配置されており、搬送積層装置は、段積み台の複数の凹部に挿入可能な平行に配置された複数の歯を有するフォーク部と、段積み台上の板状片ブロックを、フォーク部が持ち上げて搬送し、積層位置に積層するようにフォーク部を移動させるフォーク部移動機構と、を備えた、ものである。
このような構成により、段積み装置によって板状片ブロックを構成し、その板状片ブロックを搬送積層装置によって搬送して積層することによって積層鉄心を製造することができ、従来の鉄心自動積装置と比較して、より小規模に積層鉄心を製造することができる。例えば、E型鉄心積層体を製造する場合であっても、ヨークや側脚、中央脚の積層位置までベルトコンベアを配設する必要がない。また、積層対象の鉄心の形状や大きさの変更にも、フォーク部移動機構によるフォーク部の移動先を変更することによって対応することができ、ベルトコンベアの配設位置を変更するなどの作業は必要ないことになる。
【0014】
また、本発明による積層鉄心製造システムでは、段積み装置は、段積み台に段積みされた板状片を上方から押さえる押さえ部、及び押さえ部を、段積み台上の板状片を押さえる位置である押さえ位置と、段積み台上の板状片の上方から離れた位置である押さえ解除位置との間で移動させる押さえ部移動機構を有する複数の段積み押さえ機構をさらに備え、複数の段積み押さえ機構は、第1及び第2グループに分けられ、段積み台上に新たな板状片が段積みされる前に、第1グループの段積み押さえ機構は、押さえ部を押さえ位置とすることによって、その時点に段積みされている板状片を上方から押さえ、第2グループの段積み押さえ機構は、押さえ部を押さえ解除位置とし、新たな板状片が段積みされた後に、第2グループの段積み押さえ機構は、押さえ部を押さえ位置とすることによって、新たな板状片を含む複数の板状片を上方から押さえ、第1グループの段積み押さえ機構は、押さえ部を押さえ解除位置に移動させた後に、押さえ位置に戻すことによって、新たな板状片を含む複数の板状片を上方から押さえてもよい。
このような構成により、段積み装置において、新たな板状片を段積みする際に、それまでに段積みされた板状片のずれを防止することができる。
【0015】
また、本発明による積層鉄心製造システムでは、段積み装置は、段積み台上における板状片の短手方向の位置決めを行うガイド部をさらに備えてもよい。
このような構成により、段積み装置において、段積み対象の板状片の短手方向のずれをなくすことができる。
【0016】
また、本発明による積層鉄心製造システムでは、フォーク部は、複数の歯を、歯の長手方向に進退可能に保持するフォーク基部と、複数の歯をフォーク基部に対して進退させる進退機構と、をさらに有し、フォーク部移動機構は、複数の歯を段積み台の複数の凹部にそれぞれ挿入させ、フォーク部を上方に移動させることによって、段積み台上の板状片ブロックを持ち上げ、進退機構は、搬送対象の板状片ブロックが積層位置となった際に、複数の歯をフォーク基部側に後退させることによって板状片ブロックを積層してもよい。
このような構成により、フォーク部によって板状片ブロックを段積み台から取り上げることができると共に、積層位置において、板状片ブロックを降ろして積層することができる。
【0017】
また、本発明による積層鉄心製造システムでは、複数の歯は、第1及び第2グループに分けられ、進退機構は、第1グループの歯を進退させる第1進退機構と、第2グループの歯を進退させる第2進退機構とを有し、フォーク部は、第1グループの歯の位置において、積層対象の板状片ブロックを下方側に押さえる積層押さえ機構をさらに有し、フォーク部によって搬送された板状片ブロックが積層される際には、第1進退機構は、第1グループの歯をフォーク基部側に後退させ、積層押さえ機構は、第1グループの歯が存在しなくなった位置において、板状片ブロックを下方側に押さえ、第2進退機構は、第2グループの歯をフォーク基部側に後退させ、積層押さえ機構は、板状片ブロックの押さえを解除してもよい。
このような構成により、新たな板状片ブロックを積層するためにフォーク部の歯を後退させる際に、積層押さえ機構が積層対象の板状片ブロックをそれまでに積層されている板状片ブロックの方向に押さえているため、両者の位置ずれを防止することができる。その結果、より正確な積層が可能となる。
【0018】
また、本発明による積層鉄心製造システムでは、フォーク部は、複数の歯が後退される際に、積層対象の板状片ブロックの後退方向への移動を防止する板状片ブロックストッパをさらに有してもよい。
このような構成により、新たな板状片ブロックを積層するためにフォーク部の歯を後退させる際に、積層対象の板状片ブロックが、後退される歯と一緒に後退することを防止することができる。
【0019】
また、本発明による段積み装置は、積層鉄心に用いられる板状片を長手方向にずらしながら重ねて板状片ブロックを構成する段積み装置であって、板状片が段積みされる段積み台と、板状片の上面側を保持した状態で板状片を搬送し、段積み台の上方において板状片の保持を解除する搬送部と、段積み台上において板状片の長手方向の前端を位置決めする板状片ストッパと、搬送対象の板状片に応じた位置に板状片ストッパを移動させる板状片ストッパ移動機構と、段積み台上において、搬送部による保持の解除された板状片の前端を保持する保持部と、板状片の前端を保持した状態の保持部を、板状片ストッパを越えて板状片の長手方向に移動させることによって、段積み台上において、板状片ストッパによって位置決めされた位置に板状片を配置させる保持部移動機構と、を備えたものである。
このような構成により、積層鉄心に用いられる板状片を長手方向にずらしながら重ねた板状片ブロックを自動的に作成することができる。その板状片ブロックは、例えば、ステップラップ接合の積層鉄心を製造するために用いられてもよい。
【0020】
また、本発明による搬送積層装置は、積層鉄心に用いられる板状片が重ねられた、台上の板状片ブロックを搬送して積層する搬送積層装置であって、台において、台に配置される板状片の短手方向に延びる複数の凹部が、板状片の長手方向に沿って平行に配置されており、台の複数の凹部に挿入可能な平行に配置された複数の歯を有するフォーク部と、台上の板状片ブロックを、フォーク部が持ち上げて搬送し、積層位置に積層するようにフォーク部を移動させるフォーク部移動機構と、を備えた、ものである。
このような構成により、従来の鉄心自動積装置と比較して、より小規模に積層鉄心を製造することができる。例えば、E型鉄心積層体を製造する場合であっても、ヨークや側脚、中央脚の積層位置までベルトコンベアを配設する必要がないからである。また、積層対象の鉄心の形状や大きさの変更にも、フォーク部移動機構によるフォーク部の移動先を変更することによって対応することができ、ベルトコンベアの配設位置を変更するなどの作業は必要ないことになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による積層鉄心製造方法によれば、板状片ブロックを構成し、その板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造することができ、例えば、より小規模な構成によって積層鉄心を製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態による積層鉄心製造システムの全体の構成を示す上面図
図2】同実施の形態における移載装置の構成を示す図
図3】同実施の形態における段積み装置の構成を示す正面図
図4】同実施の形態における段積み装置の構成を示す上面図
図5A】同実施の形態における段積みの動作について説明するための図
図5B】同実施の形態における段積みの動作について説明するための図
図5C】同実施の形態における段積みの動作について説明するための図
図6】同実施の形態におけるフォーク部移動機構の構成を示す正面図
図7】同実施の形態におけるフォーク部移動機構の構成を示す側面図
図8】同実施の形態におけるフォーク部の構成を示す上面外観図
図9】同実施の形態におけるフォーク部の構成を示す上面透視図
図10】同実施の形態におけるフォーク部の構成を示す正面図
図11】同実施の形態における第1及び第2の歯部の当接箇所を示す図
図12A】同実施の形態におけるフォーク部の動作について説明するための図
図12B】同実施の形態におけるフォーク部の動作について説明するための図
図12C】同実施の形態におけるフォーク部の動作について説明するための図
図12D】同実施の形態におけるフォーク部の動作について説明するための図
図12E】同実施の形態におけるフォーク部の動作について説明するための図
図12F】同実施の形態におけるフォーク部の動作について説明するための図
図13A】同実施の形態における積層押さえ機構の動作について説明するための図
図13B】同実施の形態における積層押さえ機構の動作について説明するための図
図14A】同実施の形態における板状片ブロックストッパ及びストッパ移動機構について説明するための図
図14B】同実施の形態における板状片ブロックストッパ及びストッパ移動機構について説明するための図
図15】同実施の形態における積層鉄心のステップラップ接合の一例を示す図
図16】同実施の形態における積層された板状片ブロックの端部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による積層鉄心製造システム、及び積層鉄心製造方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による積層鉄心製造システムは、積層鉄心に用いられる板状片を長手方向にずらしながら重ねて板状片ブロックを構成する段積み装置と、その段積み装置によって構成された板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する搬送積層装置とを備えたものである。
【0024】
図1は、本実施の形態による積層鉄心製造システム1の全体構成を示す上面図である。図2は、移載装置3の構成を示す図である。図3は、段積み装置5の構成を示す正面図であり、図4は、段積み装置5の構成を示す上面図である。図6図7は、搬送積層装置6のフォーク部移動機構61の構成を示す図である。図8は、搬送積層装置6のフォーク部62の構成を示す上面外観図であり、図9は、搬送積層装置6のフォーク部62の構成を示す上面透視図であり、図10は、フォーク部62の構成を示す正面図である。
【0025】
図1において、本実施の形態による積層鉄心製造システム1は、移載装置3と、搬送コンベア4と、段積み装置5と、搬送積層装置6とを備える。複数のパレット2にそれぞれ載置された複数の板状片10は、移載装置3によって搬送コンベア4に移載され、搬送コンベア4によって段積み装置5に搬送される。段積み装置5に搬送された板状片10は、長手方向にずらしながら重ねられ、板状片ブロック10aが構成される。
【0026】
ここで、積層鉄心の一例について説明する。図15は、積層鉄心に用いられる複数の板状片ブロックの接合構造の一例を示す図である。図15では、第1ヨークの板状片ブロック101と、第2ヨークの板状片ブロック102と、第1側脚の板状片ブロック103と、第2側脚の板状片ブロック104と、中央脚の板状片ブロック105とが、継ぎ目が同じ方向に順番にずれるステップラップ接合(ステップラップ継ぎ)によって接合される場合が示されている。その図15で示されるステップラップ接合では、中央脚とヨークとの接合部が中央脚の長手方向(すなわち、図15中の両矢印の方向)に順にずれる縦ズラシ方式のステップラップ接合となっている。なお、ステップラップ接合では、板状片がステップごとに同じ方向に順にずれるように接合される。1ステップ(すなわち、1つの段)に含まれる板状片の枚数(以下、「ステップ枚数」とする。)は、あらかじめ決められている。ステップ枚数は、例えば、1枚であってもよく、2枚であってもよく、3枚以上であってもよい。通常、1ステップに含まれる板状片の枚数が少ないほど、積層鉄心の特性はよくなる。一方、ステップ枚数が多いほど、板状片を積層する際の効率はよくなる。その両方のメリットを享受できるようにするため、例えば、ステップ枚数は2枚であってもよい。ステップラップ接合では、通常、あらかじめ決められた数のステップが順にずれるように積層されることによって1つの板状片ブロックが構成され、その板状片ブロックが複数積層されることによって、ヨークや側脚、中央脚等が構成されることになる。ステップラップ接合で用いられる板状片ブロックに含まれるステップ数は通常、3ステップ以上であり、例えば、5ステップであってもよく、6ステップ以上であってもよい。図16は、板状片ブロックが積層された状態の端部を示す断面図である。図16において、1ステップに2枚の板状片が含まれており、1つの板状片ブロックに5つのステップが含まれている。したがって、1つの板状片ブロックにおいて、10枚の板状片が積層されていることになる。図16で示される板状片ブロックを用いて積層鉄心が構成される場合には、段積み装置5において、10枚の板状片が2枚ごとにずらしながら重ねられた板状片ブロックが構成されることになる。なお、図16では、図示されている板状片ブロックの接合対象となる板状片ブロックは省略している。また、板状片ブロックにおけるステップのずれの方向は、複数の板状片ブロックを積層する際に、途中で切り替わってもよい。また、通常、複数の板状片ブロックが積層されることによって構成されるヨークや側脚、中央脚の長手方向に垂直な断面は、略円形となるように構成されることが多いが、そうでなくてもよい。また、積層鉄心におけるヨークや脚部等の接合構造は、ステップラップ接合でなく、バットラップ接合であってもよい。バットラップ接合は、ステップ数が2ステップであるステップラップ接合と考えることもできるため、その詳細な説明を省略する。積層鉄心の接合構造がバットラップ接合である場合には、段積み装置5において、2個のステップ(2段)の板状片ブロックが構成されることになる。
【0027】
段積み装置5によって構成された板状片ブロックは、搬送積層装置6のフォーク部移動機構61がフォーク部62を移動させることによって段積み装置5の段積み台51から取り上げられ、積層位置にまで移動されて積層される。フォーク部62は、板状片ブロックを持ち上げるための櫛形状の複数の歯を有しており、また、板状片ブロックを目的位置に重ね置く際に、その複数の歯が後退方向にスライドされることによって、板状片ブロックが積層される。本実施の形態では、そのように板状片ブロックが積層されていくことによって、E型鉄心積層体(E型積層鉄心)9が製造される場合について説明する。
【0028】
以下、積層鉄心製造システム1が有する各装置の構成について説明する。まず、図2を参照して、板状片10をパレット2から搬送コンベア4まで移動させる移載装置3について説明する。複数のパレット2にはそれぞれ、切断された電磁鋼板である板状片10が、形状ごとに積み重ねられている。すなわち、複数のパレット2にはそれぞれ、第1ヨーク、第1及び第2側脚、中央脚の板状片10が載置されている。各パレット2においては、上から積層鉄心製造システム1で使用する順となるように板状片10が積み重ねられている。また、パレット2は、リフタ7に載置されている。そして、移載装置3が搬送コンベア4に移載する対象の板状片10が常に同じ高さとなるようにリフタ7によってパレット2の高さが調整される。移載装置3は、ベルトコンベア31と、吸着パッド32を有する吸い上げ機構と、ベルトコンベア31の内部に設けられたマグネット33,34と、マグネット34の昇降機構(図示せず)とを備えている。なお、吸い上げ機構は、吸着パッド32を上下方向(鉛直方向)に移動可能となっている。そして、パレット2上に積み上げられた最上端の板状片10を吸い上げる際には、吸い上げ機構は、その板状片10の位置まで吸着パッド32を下降させ、その板状片10を吸着パッド32によって吸着して上方に移動する。すると、吸い上げられた板状片10は、図2の破線で示されるように、マグネット33によってベルトコンベア31の下面に吸着される。板状片10が下面に吸着された状態のベルトコンベア31を駆動させることによって、板状片10を搬送コンベア4の上方まで移動させる。その後、昇降機構によってマグネット34を上昇させることによって、搬送対象の板状片10にマグネット34の吸着力が及ばないようになり、板状片10は搬送コンベア4の上面に落下する。このようにして、パレット2から搬送コンベア4への板状片10の移載が行われる。なお、移載装置3は、搬送コンベア4の搬送方向に移動可能となっている。したがって、移載装置3は、任意のパレット2から、板状片10を搬送コンベア4に移動させることができる。
【0029】
搬送コンベア4の上面に移動された板状片10は、マグネット4aによって搬送コンベア4の上面に吸着される。そして、搬送コンベア4が駆動されることによって、その上面に吸着された板状片10が段積み装置5まで搬送される。
【0030】
図3図4で示されるように、段積み装置5は、段積み台51と、搬送部52と、板状片ストッパ53と、板状片ストッパ移動機構54と、保持部55と、保持部移動機構56と、複数の段積み押さえ機構57と、ガイド部58とを備える。
【0031】
段積み台51において、搬送された板状片10が段積みされることによって、板状片ブロック10aが作られる。なお、板状片ブロック10aは、通常、同じ幅の板状片10を用いて構成される。その段積み台51は、段積み台51に配置される板状片10の短手方向に延びる複数の凹部51aを有している。その複数の凹部51aは、段積み台51に段積みされる板状片10の長手方向に沿って平行に配置されている。その凹部51aは、フォーク部62が段積み台51上の板状片ブロック10aを取り上げる際に、フォーク部62の複数の歯が挿入される箇所となる。隣接する凹部51aの間には凸部51bが存在する。その複数の凸部51bの上面は、水平方向に延びる一平面を形成するようになっており、その上面に板状片10が段積みされることによって板状片ブロック10aが構成される。
【0032】
搬送部52は、板状片10の上面側を保持した状態でその板状片10を搬送し、段積み台51の上方においてその板状片10の保持を解除するものであり、ベルトコンベア52aと、ベルトコンベア52aの内部に設けられたマグネット52bと、マグネット52bを昇降させる昇降機構52cとを備えている。ベルトコンベア52aの下面は、搬送コンベア4の上面と略同一の高さとなっており、搬送コンベア4の上面で搬送された板状片10は、ベルトコンベア52aの下面にマグネット52bで吸着されることによって移し替えられる。そして、ベルトコンベア52aが駆動されることによって、上面側の保持された板状片10が段積み台51の上方にまで移動されることになる。なお、その際には、マグネット52bは、ベルトコンベア52aの下側のベルトのすぐ内側の位置(図3で示される位置)となっている。搬送部52が有する図示しないセンサによって、板状片10の全体が段積み台51の上方まで移動したことが検知されると、昇降機構52cは、コンベア52aの内部のマグネット52bを、マグネット52bの吸着力が板状片10に及ばなくなる位置まで上昇させる。その結果、ベルトコンベア52aで搬送されていた板状片10の保持が解除され、板状片10は段積み台51上に落下する。昇降機構52は、例えば、エアシリンダやソレノイド等によって構成されてもよい。なお、その落下の距離は短いことが好適である。その落下によって生じる水平方向の位置ずれを抑制するためである。また、板状片10は、その長手方向の前端が板状片ストッパ53の位置を越えない位置において段積み台51上に落とされることが好適である。板状片ストッパ53によって板状片10の前端側の位置決めを行うためである。板状片10の長手方向の前端とは、後述する保持部55による板状片10の移動方向(図4中の矢印方向)における前方側の端部のことである。なお、本実施の形態では、段積み装置5において段積みされる板状片10の長手方向が、その板状片10の搬送方向と同じである場合について主に説明する。
【0033】
板状片ストッパ53は、段積み台51上において板状片10の長手方向の前端を位置決めする部材である。板状片ストッパ53は、板状片10の前端の位置決めを、その板状片10の前端と接触し、板状片10の長手方向への移動を阻止することによって行う。また、板状片ストッパ53が段積み台51上で移動する際には、板状片ストッパ53の下面は、段積み台51上において複数の板状片10が段積みされることによって構成された板状片ブロック10aの最上面よりも上方となる位置に存在することが好適である。板状片ストッパ53の移動時に、板状片ストッパ53が段積み台51上の板状片10に当たらないようにするためである。なお、板状片10は、前端が板状片ストッパ53に当接して落下することによって段積みされるため、その落下の程度が小さいほど、落下に応じた位置ずれが生じないことになる。したがって、板状片10の前端の位置決めを行う際には、板状片ストッパ53の下面は、段積み台51上の板状片10に当たらない範囲において、できるだけ下方となる位置に存在することが好適である。なお、板状片ストッパ53が上下方向にも移動可能である場合には、板状片10の前端の位置決めを行う際に、板状片ストッパ53の下面は、板状片ブロック10aの最上面に当接していてもよい。また、板状片ストッパ53の形状は問わない。板状片ストッパ53は、上面視において、例えば、矩形状、三角形状、多角形状、円形状などであってもよい。その板状片ストッパ53の側面に板状片10の前端が当接することによって位置決めが行われるため、板状片10の前端が当接する側面は、鉛直方向に延びる形状であることが好適である。したがって、板状片ストッパ53は、例えば、直方体形状、三角柱形状、多角柱形状、円柱形状などであってもよい。また、板状片ストッパ53は、1個であってもよく、2個以上存在してもよい。
【0034】
板状片ストッパ移動機構54は、搬送対象の板状片10に応じた位置に板状片ストッパ53を移動させるものであり、基部54aと、支持部54bと、アーム54cと、移動手段(図示せず)とを備える。基部54aは、支持部54bの上面に対して、図3図4の左右方向、すなわち段積み台51上に段積みされる板状片10の長手方向に移動可能に設けられている。その移動は、例えば、ボールネジやラックアンドピニオンなどのように、高精度の位置決めを行うことができる移動手段によって行われる。基部54aからは、搬送コンベア4側に向かってアーム54cが延びており、そのアーム54cの先端側は折れ曲がって段積み台51方向に延びている。すなわち、アーム54cは、略L字形状をしている。そのアーム54cの先端に板状片ストッパ53が取り付けられている。なお、段積みされて構成される板状片ブロック10aでは、あらかじめ長手方向におけるステップごとのずれ量が決められている。したがって、板状片ストッパ移動機構54は、板状片ストッパ53によって長手方向の前端が位置決めされる板状片10が、あらかじめ決められた位置に段積みされるように、その板状片ストッパ53の位置を変更するものとする。例えば、複数ステップの段積みが行われる場合には、そのステップごとに、板状片ストッパ53の位置が板状片ストッパ移動機構54によって移動されることになる。したがって、搬送対象の板状片10に応じた位置に板状片ストッパ53が存在する際には、その板状片ストッパ53に当接して段積み台51に配置された搬送対象の板状片10は、段積み台51上においてあらかじめ決められたステップを構成する位置に配置されることになる。板状片ストッパ移動機構54は、板状片ストッパ53による板状片10の位置決めが行われている間は、板状片ストッパ53の位置を動かさないものとする。また、ステップ枚数が複数である場合には、板状片ストッパ移動機構54は、段積み台51上において複数の板状片10が段積みされるごとに、板状片ストッパ53の位置を変更してもよい。例えば、ステップ枚数が2枚である場合には、連続した2枚の板状片10が位置決めされる間は、板状片ストッパ移動機構54は、板状片ストッパ53を同じ位置に保持してもよい。なお、板状片ストッパ移動機構54は、板状片ストッパ53を上下方向に移動する手段を有していてもよい。
【0035】
保持部55は、段積み台51上において、搬送部52による保持の解除された板状片10の前端を保持する。保持部55は、面方向が水平方向となるように設けられた板状の部材であり、少なくとも搬送コンベア4側にマグネット55aが設けられている。そのマグネット55aによって、搬送部52から落下した板状片10の前端を保持できる。なお、保持部55によって落下した板状片10の前端を保持できるようにするため、板状片10の前端が少なくともマグネット55a上となる位置において、搬送部52による板状片10の保持が解除されることが好適である。また、板状片10は、前端が板状片ストッパ53に当接して保持部55から滑り落ちることによって段積みされるため、保持部55からの落下の程度が小さいほど、その落下に応じた位置ずれが生じないことになる。したがって、保持部55の下面は、段積み台51上の板状片10に当たらない範囲において、できるだけ下方となる位置に存在することが好適である。
【0036】
保持部移動機構56は、板状片10の前端を保持した状態の保持部55を、板状片ストッパ53を越えて板状片10の長手方向に移動させることによって、段積み台51上において、板状片ストッパ53によって位置決めされた位置に板状片10を配置させるものであり、エアシリンダ56aと、取付板56bと、アーム56cとを備えている。エアシリンダ56aの本体は、板状片ストッパ移動機構54の基部54aに固定されている取付板56bに取り付けられており、そのピストンロッドが、段積み台51上に段積みされる板状片10の長手方向に移動可能となっている。そして、そのピストンロッドの先端にアーム56cが取り付けられている。そのアーム56cは、搬送コンベア4側に向かって延びており、その先端側は折れ曲がって段積み台51方向に延びている。すなわち、アーム56cは、略L字形状をしている。そのアーム56cの先端に保持部55が取り付けられている。保持部55によって保持されている板状片10の前端が板状片ストッパ53に当接することによって、その板状片10の長手方向の位置決めが行われる。したがって、保持部55が板状片ストッパ53を越えて移動される際に、保持部55の高さは、保持されている板状片10の前端が板状片ストッパ53に当接する高さとなっているものとする。また、保持部移動機構56は、保持部55を、段積み台51上における板状片10の移動方向において、板状片ストッパ53を越えない位置から、板状片ストッパ53を越える位置にまで移動させるものとする。なお、段積み台51上における板状片10の移動方向とは、段積み台51上において保持部55及び保持部移動機構56によって板状片10が移動される方向(図4の矢印方向)のことである。保持部55によって保持されている板状片10は、板状片ストッパ53に当たることによって移動方向への移動が制限されるが、保持部55は、移動方向に移動を継続するため、最終的に板状片10は、保持部55によって保持されない状態となり、前端が板状片ストッパ53によって位置決めされた段積み台51上の位置に配置されることになる。したがって、保持部移動機構56は、最終的に保持対象の板状片10の下側に保持部55が存在しなくなる位置まで、保持部55を移動させることが好適である。なお、保持部移動機構56は、保持部55を上下方向に移動する手段を有していてもよい。
【0037】
段積み押さえ機構57は、段積み台51に段積みされた板状片10を上方から押さえる押さえ部57aと、その押さえ部57aを、段積み台51上の板状片10を押さえる位置である押さえ位置と、段積み台51上の板状片10の上方から離れた位置である押さえ解除位置との間で移動させる押さえ部移動機構57bを有する。なお、押さえ解除位置にある押さえ部57aは、段積み台51上の板状片10の上方に存在しないものとする。押さえ部57aは、段積み押さえ機構57が段積みされた板状片10を上方から押さえる際に、最上端の板状片10に当接する部材である。押さえ部移動機構57bは、押さえ部57aを、押さえ位置に移動したり、押さえ解除位置に移動したりすることができるのであれば、その構成は問わない。本実施の形態では、段積み押さえ機構57が、ロータリクランプシリンダである場合について主に説明する。ロータリクランプシリンダは、ピストンロッドが移動される際に、ロッドの角度が90°回転するエアシリンダであり、そのピストンロッドの先端に押さえ部57aに相当する部材が取り付けられたものである。なお、段積み押さえ機構57の具体的な動作については後述する。
【0038】
ガイド部58は、段積み台51上における板状片10の短手方向の位置決めを行うものであり、ガイド部材58aと、レール58fと、取付板58gと、エアシリンダ58hとを備える。ガイド部材58aは、板状片10の長手方向の辺に当接することによって、その板状片10の短手方向の位置決めを行うものであり、取付板58gに取り付けられたエアシリンダ58hによって、段積み台51上の板状片10の短手方向に移動可能となっている。取付板58gは、レール58f上を段積み台51上の板状片10の短手方向に移動可能となっており、図示しない移動手段によって移動される。その移動手段は、例えば、ボールネジやラックアンドピニオンなどのように、高精度の位置決めを行うことができるものであることが好適である。その移動手段によって、図4の破線で示されるように、ガイド部材58aが、板状片10を挟む方向または板状片10から離れる方向にそれぞれ移動されることが好適である。なお、取付板58gにそれぞれ取り付けられたエアシリンダ58hが作動することによって、複数のガイド部材58aが、段積み台51上の板状片10を挟む方向に、または、板状片10からそれぞれ離れる方向に移動されるようになっていることが好適である。すなわち、エアシリンダ58hは、ガイド部材58aによるガイド幅を拡張するガイド幅拡張機構として用いられることになる。エアシリンダ58hは、板状片10が搬送部52から段積み台51上に落下されるまでは、ピストンロッドを伸長させることによってガイド部材58aの幅を広げておき、保持部55が板状片10の移動方向(図4の矢印方向)に移動される際には、ピストンロッドをシリンダチューブに収容することによってガイド部材58aが板状片10の幅方向(短手方向)の位置決めを行うようにしてもよい。なお、エアシリンダ58h以外の機構、例えば、ソレノイド等をガイド幅拡張機構として用いてもよい。図3図4では、4個の取付板58gが、2個ずつ2個のレール58f上を移動するようになっている。また、本実施の形態では、取付板58gに段積み押さえ機構57も取り付けられている場合について説明する。したがって、段積み押さえ機構57も、ガイド部材58aと一緒に、段積み台51上の板状片10の短手方向に移動されることになる。なお、ガイド部58の具体的な動作については後述する。なお、段積み押さえ機構57とガイド部材58aとは、それぞれ別々に移動されてもよい。その場合には、ガイド部58は、エアシリンダ58hを有していなくてもよい。取付板58gの移動手段によってガイド部材58aを幅広の位置に移動させても、段積み押さえ機構57の位置は変わらないからである。
【0039】
搬送積層装置6は、段積み装置5によって構成された板状片ブロック10aを搬送して積層することによって積層鉄心を製造するものであり、フォーク部移動機構61と、フォーク部62とを備える。フォーク部62は、段積み台51の複数の凹部51aに挿入可能な複数の歯81a,82aを有する。フォーク部移動機構61は、段積み台51上の板状片ブロック10aを、フォーク部62が持ち上げて搬送し、積層位置に積層するようにフォーク部62を移動させるものであり、図6図7で示されるように、枠体61aと、水平支持部材61bと、垂直支持部材61cと、旋回軸61dとを備えている。
【0040】
枠体61aは、フォーク部62の移動領域に設けられている。枠体61aは、図6における両矢印Xの方向(以下、「X方向」ということがある。)に移動可能となるように水平支持部材61bを支持する。水平支持部材61bは、図7における両矢印Yの方向(以下、「Y方向」ということがある。)に延びる部材である。また、水平支持部材61bは、Y方向、及び図6における両矢印Zの方向(以下、「Z方向」ということがある。)にそれぞれ移動可能となるように垂直支持部材61cを支持している。垂直支持部材61cは、Z方向に延びる部材である。ボールネジ61eが駆動されることによって、垂直支持部材61cはZ方向に移動されることになる。また、垂直支持部材61cは、Z方向に延びる旋回軸61dを介してフォーク部62を支持している。なお、図6図7等において、水平支持部材61bや垂直支持部材61c、旋回軸61dを駆動する各モータは、図示を省略している。フォーク部移動機構61によって、フォーク部62は、X方向、Y方向、Z方向にそれぞれ移動され、また、旋回軸61dを中心に旋回される。したがって、フォーク部移動機構61によるフォーク部62の移動は、3次元空間における移動と回転とを含むものである。例えば、図6において、水平支持部材61bがX方向に移動され、垂直支持部材61cがZ方向に移動されたフォーク部移動機構61を破線で示している。
【0041】
図8図10で示されるように、フォーク部62は、歯部71と、フォーク基部72と、第1進退機構73と、第2進退機構74と、積層押さえ機構76と、板状片ブロックストッパ77と、ストッパ移動機構78とを備えている。
【0042】
歯部71は、平行に配置された複数の歯81a,82aを有する。本実施の形態では、歯部71が、第1の歯部81と、第1の歯部81の両側に存在する2個の第2の歯部82とを有する場合について説明する。第1及び第2の歯部81,82は、それぞれ別々にフォーク基部72に対して進退されるように構成されている。第1の歯部81は、2本の歯81aと、その2個の歯81aの基端側がそれぞれ固定される基部81bとを有する。2個の第2の歯部82はそれぞれ、6本の歯82aと、その6本の歯82aの基端側がそれぞれ固定される基部82bとを有する。なお、第1の歯部81が有する歯81aを、第1グループの歯と呼び、第2の歯部82が有する歯82aを、第2グループの歯と呼ぶこともある。第1及び第2グループの歯81a,82aは、第1及び第2進退機構73,74によってそれぞれ独立して進退可能である。また、第1の歯部81が有する歯81aの個数は、2個以外であってもよい。例えば、1個であってもよく、または3個以上であってもよい。また、第2の歯部82が有する歯82aの個数は、6個以外であってもよい。1個から5個までのいずれかの個数であってもよく、7個以上であってもよい。
【0043】
フォーク基部72は、複数の歯81a,82aを、歯81a,82aの長手方向に進退可能に保持するものであり、レール72a~72dを有している。なお、それらのレール72a~72dは、それぞれフォーク基部72の構造体に固定されている。なお、その構造体の多くの部分については、図示を省略している。また、第1の歯部81は、スライダ81c,81dを有しており、そのスライダ81c,81dがそれぞれレール72c,72dにスライド可能に組み付けられている。そのスライダ81c,81dとレール72c,72dとによって、第1の歯部81が歯81aの長手方向に進退可能に保持されることになる。また、第2の歯部82は、スライダ82c,82dを有しており、そのスライダ82c,82dがそれぞれレール72a,72bにスライド可能に組み付けられている。そのスライダ82c,82dとレール72a,72bとによって、第2の歯部82が歯82aの長手方向に進退可能に保持されることになる。
【0044】
第1進退機構73は、第1の歯部81をフォーク基部72に対して進退させる。すなわち、第1進退機構73は、第1グループの歯である複数の歯81aを進退させるものである。本実施の形態では、第1進退機構73がエアシリンダである場合について主に説明する。
【0045】
第2進退機構74は、第2の歯部82をフォーク基部72に対して進退させる。すなわち、第2進退機構74は、第2グループの歯である複数の歯82aを進退させるものである。本実施の形態では、第2進退機構74がボールネジである場合について主に説明する。そのボールネジのナット74aが、第2の歯部82の基部82bに固定されており、プーリ74bが図示しないモータによって回転されることによってボールネジのネジ軸が回転され、第2の歯部82がフォーク基部72に対して進退することになる。なお、2個の第2の歯部82は、2個の第2進退機構74によってそれぞれ同じ速度(ペース)で進退されることが好適である。
【0046】
なお、図11で示されるように、第1の歯部81の基部81bには、第2の歯部82側に突出した突出部81eが設けられている。また、第2の歯部82の基部82bには、L字状のL字切り欠き部82fが第1の歯部81側に設けられており、そのL字切り欠き部82fは、突出部81eと当接するようになっている。図11で示されている箇所と反対側の第1の歯部81と第2の歯部82との箇所においても、同様になっているものとする。したがって、第1及び第2の歯部81,82をフォーク基部72側から前進させる場合には、第1進退機構73のエアシリンダによって第1の歯部81が前進するように押すことによって、L字切り欠き部82fと突出部81eとが当接し、その結果として、第1の歯部81の基部81bの位置が、第2進退機構74によって正確に位置決めされた第2の歯部82の基部82bの位置に揃い、両者が一直線上に並ぶことになる。
【0047】
積層押さえ機構76は、積層時に積層対象の板状片ブロック10aを下方側に押さえるものであり、エアシリンダ76aと、レール76bと、取付板76cと、エアシリンダ76dと、当接部76eとを備える。なお、本実施の形態では、積層押さえ機構76が、第1グループの歯の位置において、板状片ブロック10aを下方側に押さえる場合について主に説明する。第1グループの歯の位置とは、厳密には、第1グループの歯が後退される前に存在していた位置の意味である。積層押さえ機構76は、搬送対象の板状片ブロック10aを、積層位置において積層体の最上部に積層する際に、第1の歯部81がフォーク基部72側に後退された状態において、積層対象の板状片ブロック10aにおける第1の歯部81が存在していた箇所を、それまでに構成されている積層体の方向(すなわち、下方向)に押さえる。そのようにすることで、第2の歯部82を後退させる際に、既存の積層体に対して、積層対象の板状片ブロック10aの位置がずれることを防止するものである。積層押さえ機構76が積層対象の板状片ブロック10aを下方側に押さえる位置は、まだ後退されていない第2グループの歯の位置から離れた位置であることが好適である。本実施の形態では、第2グループの歯の間に第1グループの歯が存在しているため、積層押さえ機構76が、第1グループの歯である2本の歯81aの間(厳密には、後退される前に存在していた2本の歯81aの間)の位置において、板状片ブロック10aを下方側に押さえる場合について主に説明する。エアシリンダ76aの本体は、フォーク基部72に固定されており、そのエアシリンダ76aのピストンロッドの先端は、取付板76cに固定されている。また、エアシリンダ76aのピストンロッドは、歯81aの長手方向に移動可能となっており、そのピストンロッドの長手方向と平行にレール76bが設けられている。レール76bの先端には取付板76cが取り付けられている。また、フォーク基部72には、レール76bにスライド可能に組み付けられているスライダが取り付けられている。そして、エアシリンダ76aが駆動されることによって、取付板76cが歯81aの長手方向に前進・後退することになる。取付板76cには、エアシリンダ76dが取り付けられており、そのエアシリンダ76dのピストンロッドは、上下方向に移動可能となっている。また、そのエアシリンダ76dのピストンロッドの先端に、板状片ブロック10aのずれを防止する際に板状片ブロック10aの最上端の板状片10に当接する当接部76eが設けられている。したがって、エアシリンダ76dと当接部76eとによって、積層時に積層対象の板状片ブロック10aを積層体の方向に押さえる押さえ部が構成されており、エアシリンダ76aとレール76bと取付板76cとによって、その押さえ部を搬送対象の板状片ブロック10aの短手方向に移動させる移動機構が構成されていることになる。なお、その移動機構は、フォーク基部72に対して、押さえ部を移動させるものである。図13A図13Bは、板状片ブロック10aのずれを防止する際の積層押さえ機構76の動作を示す図である。積層時に板状片ブロック10aのずれを防止する際には、図13Aで示されるように、エアシリンダ76aによって取付板76cが板状片ブロック10aの短手方向の中央付近に移動される。その際には、エアシリンダ76dのピストンロッドは、シリンダチューブ内に収容されている。その後、板状片ブロック10aを押さえる際には、図13Bで示されるように、エアシリンダ76dのピストンロッドが伸長され、当接部76eが板状片ブロック10aに当接することによって、板状片ブロック10aが、それまでに積層されている積層体に対して押さえつけられることになり、歯82aを後退させる際に板状片ブロック10aが長手方向などにずれることが防止される。その際に、当接部76eが当接する付近における板状片ブロック10aの下面側は、それまでに積層されている積層体の上面に接触していることが好適である。なお、図13A図13Bでは、エアシリンダ76aの図示は省略している。また、本実施の形態では、フォーク部62が1個の積層押さえ機構76を有する場合について主に説明するが、フォーク部62は、2個以上の積層押さえ機構76を有していてもよい。
【0048】
また、フォーク部62は、搬送中の板状片ブロック10aのずれを防止するためのずれ防止機構を有していてもよい。そのずれ防止機構は、例えば、積層押さえ機構76と同様に、板状片ブロック10aを複数の歯81a,82aに向かって押さえることによってずれを防止してもよく、マグネットによって板状片ブロック10aの各板状片10を吸着することによってずれを防止してもよく、厚さ方向について板状片ブロック10aを挟持することによってずれを防止してもよく、その他の方法によってずれを防止してもよい。また、そのずれ防止機構の個数も問わない。
【0049】
板状片ブロックストッパ77は、複数の歯81a,82aが後退される際に、積層対象の板状片ブロック10aの後退方向への移動を防止するストッパである。複数の歯81a,82aを後退させる際には、それらの歯81a,82aに載っている板状片ブロック10aが、歯81a,82aと一緒に後退することになる。したがって、この板状片ブロックストッパ77によって、複数の歯81a,82aの後退時における板状片ブロック10aの後退を防止するものである。板状片ブロックストッパ77は、積層対象の板状片ブロック10aの積層時における短手方向の位置決めを行うストッパであると考えてもよい。なお、この板状片ブロックストッパ77は、ストッパ移動機構78によって移動される。また、本実施の形態では、板状片ブロックストッパ77の個数が2個である場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。複数の歯81a,82aの後退時に板状片ブロック10aの移動を防止できるのであれば、板状片ブロックストッパ77の個数は、1個であってもよく、3個以上であってもよい。なお、複数の歯81a,82aの後退時に板状片ブロック10aが斜めに傾かないようにするため、板状片ブロックストッパ77の個数は、通常、2個以上であることが好適である。
【0050】
ストッパ移動機構78は、板状片ブロックストッパ77を、積層対象の板状片ブロック10aの短手方向に移動させるものであり、ボールネジ78aと、1対のガイド部材78bと、取付板78cとを備える。ボールネジ78aは、ネジ軸と略同じ長さのナットを有しており、そのナットの先端に取付板78cが取り付けられている。なお、ネジ軸は、フォーク基部72に対して回転可能に固定されている。そのネジ軸にプーリ78eが取り付けられており、そのプーリ78eが図示しないモータによって回転されることによって、ナットの先端に取り付けられている取付板78cが、歯82aの長手方向に移動されることになる。なお、ボールネジ78aによって取付板78cを移動させるため、エアシリンダよりも精度の高い取付板78cの位置決めを実現できる。また、ボールネジ78aを挟んで対象に一対のガイド部材78bが設けられている。ガイド部材78bは、フォーク基部72に固定された円筒部材と、その円筒部材の内側にスライド可能に挿入された、断面が円形状の棒状部材とを有しており、その棒状部材の先端側が取付板78cに固定されている。その結果、取付板78cは、その面方向が垂直な方向を保った状態で、歯82aの長手方向に移動されることになる。取付板78cには、板状片ブロックストッパ77が取り付けられている。図14A図14Bは、ストッパ移動機構78の動作を示す図である。複数の歯81a,82aが後退される際に搬送対象の板状片ブロック10aの短手方向への移動を防止するまでは、図14Aで示されるように、板状片ブロックストッパ77は、後退した位置に存在することになる。次に、板状片ブロック10aの移動を防止する場合には、図14Bで示されるように、板状片ブロックストッパ77が、搬送対象の板状片ブロック10aの端部の位置となるまで、ボールネジ78aによって取付板78cを移動させる。その板状片ブロックストッパ77の位置は、積層対象の板状片10の形状やサイズにおいてあらかじめ決められていてもよい。その後、複数の歯81aや複数の歯82aを後退させても、積層対象の板状片ブロック10aは、板状片ブロックストッパ77で位置決めされて後退しないため、積層する位置からずれることを防止できる。本実施の形態では、板状片ブロックストッパ77ごとにストッパ移動機構78が設けられている場合について主に説明するが、2個以上の板状片ブロックストッパ77を、1個のストッパ移動機構78によって移動させるようにしてもよい。
【0051】
次に、パレット2に載置されている板状片10が搬送されて段積みされることによって板状片ブロック10aが構成され、その板状片ブロック10aが搬送されて積層されることによってE型鉄心積層体9が構成される際の各装置の動作、すなわち積層鉄心製造方法について説明する。積層鉄心製造方法は、積層鉄心に用いられる板状片10を積むことによって板状片ブロック10aを構成する工程と、その工程によって構成された板状片ブロック10aを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する工程とを備える。
【0052】
はじめに、板状片ブロック10aを構成する工程について説明する。まず、段積みの対象となる板状片10が載置されているパレット2の位置に移載装置3を移動させ、図2で示されるように、移載装置3によって、パレット2上の板状片10を1枚ずつ搬送コンベア4に移載する。移載された板状片10は、搬送コンベア4によって段積み装置5に搬送され、段積み装置5の搬送部52に渡される。搬送部52は、マグネット52bによってベルトコンベア52aの下面に板状片10を吸着し、段積み台51の上方に板状片10を搬送する。図5Aは、1枚の板状片10が積まれた後の段積み装置5における段積み押さえ機構57、及びガイド部材58aの状態を示す図である。なお、段積み押さえ機構57は、図5Aにおいて、第1グループの段積み押さえ機構57-1と、第2グループの段積み押さえ機構57-2とに分けられている。図5Aで示されるように、段積み台51上に板状片10が積まれた後には、第1及び第2グループの段積み押さえ機構57-1,57-2は両方とも、板状片10を押さえる押さえ位置となっている。また、ガイド部材58aの板状片10側において対向する面の距離が、板状片10の短手方向の長さと同じになることによって、板状片10の短手方向の位置決めがなされている。次に、段積み台51上に新たな板状片10が段積みされる前には、第1グループの段積み押さえ機構57-1は、押さえ部57aを押さえ位置とすることによって、その時点に段積みされている板状片10を上方から押さえ、第2グループの段積み押さえ機構57-2は、押さえ部57aを押さえ解除位置とする。また、各ガイド部材58aは、エアシリンダ58hによって幅広の位置に移動される。すなわち、各ガイド部材58aは、板状片10から離れた位置となる。その後、保持部移動機構56は、エアシリンダ56aのピストンロッドを伸長することによって保持部55を板状片10の後端方向に移動させる。次に、板状片ストッパ移動機構54は、板状片ストッパ53及び保持部55を、新たに段積みを行う板状片10に応じた位置に移動させる。
【0053】
その後、搬送部52は、搬送対象の板状片10があらかじめ決められた位置となると、ベルトコンベア52aを止め、昇降機構52cによってマグネット52bを上昇させ、板状片10にマグネット52bの吸着力が及ばないようにすることによって、その板状片10を段積み台51上に落下させる。そのようにして落下された板状片10の前端は、保持部55のマグネット55aによって保持される。したがって、落下された板状片10は、前端側が保持部55によって保持されて、段積み台51上の板状片10から浮いており、後端側が段積み台51上の板状片10に接していることになる。なお、第1グループの段積み押さえ機構57-1の押さえ部57aの箇所では、その押さえ部57aの厚さ分だけ、落下された板状片10が段積み台51上の板状片10から浮くことになる。
【0054】
次に、各ガイド部材58aは、エアシリンダ58hによって元の位置、すなわち段積み台51上の板状片10の長手方向の辺に接する位置に戻される。その結果、板状片10の短手方向の位置決めが行われることになる。図5Bは、その状態における板状片10、板状片ストッパ53、及び保持部55の位置関係を示す図である。その後、保持部移動機構56は、板状片10の前端を保持した状態の保持部55を、板状片ストッパ53の位置を越えて板状片10の前端方向に移動させることによって、すなわち、エアシリンダ56aが保持部55を板状片10の前端方向に移動させることによって、段積み台51上において、新たな板状片10が板状片ストッパ53によって位置決めされた位置に配置されるようにする。その際には、ガイド部材58aによって板状片10の短手方向へのずれが防止される。その結果、図5Cで示されるように、段積み台51上において、新たな板状片10が段積みされることになる。なお、この状態において、第2グループの段積み押さえ機構57-2の押さえ部57aは、押さえ解除位置にあるため、既存の板状片10と新たな板状片10との間には存在しないが、第1グループの段積み押さえ機構57-1の押さえ部57aは、押さえ位置にあるため、既存の板状片10と新たな板状片10との間に存在することになる。
【0055】
そのようにして新たな板状片10が段積みされた後に、第2グループの段積み押さえ機構57-2は、押さえ部57aを押さえ位置とすることによって、新たな板状片10(すなわち、最上端の板状片10)を含む複数の板状片10を上方から押さえる。また、第1グループの段積み押さえ機構57-1は、押さえ部57aを押さえ解除位置に移動させる。その後、第1グループの段積み押さえ機構57-1は、押さえ部57aを再び押さえ位置に戻すことによって、新たな板状片10を含む複数の板状片10を上方から押さえるようになる。なお、段積み台51上のすべての板状片10は、第2グループの段積み押さえ機構57-2によって押さえられているため、第1グループの段積み押さえ機構57-1をこのように動作させても、段積み台51上において板状片10の位置はずれないことになる。このようにして、段積み台51上に板状片10が積まれることになる。なお、板状片ブロック10aに含まれる板状片10の枚数だけ、この動作が繰り返されることになる。なお、上記説明では、段積み台51上にすでに1枚の板状片10が載置されており、その上に新たな板状片10を段積みする場合について説明したが、段積み台51上に1枚目の板状片10を載置する場合にも、同様にして行われてもよい。
【0056】
次に、構成された板状片ブロックを搬送して積層することによって積層鉄心を製造する工程について説明する。この工程は、段積み台51の複数の凹部に挿入可能なように平行に配置された複数の歯81a,82aを有するフォーク部62が、段積み台51上の板状片ブロック10aを持ち上げて搬送する工程と、フォーク部62が、搬送対象の板状片ブロック10aを積層位置に積層する工程とを有する。まず、段積み台51上の板状片ブロック10aを持ち上げて搬送する工程について説明する。段積み台51上において板状片10が段積みされ、板状片ブロック10aが構成されると、フォーク部移動機構61は、複数の歯81a,82aがすべて出された状態のフォーク部62を移動させ、複数の歯81a,82aを段積み台51の複数の凹部51aにそれぞれ挿入させる。その後、フォーク部移動機構61は、フォーク部62を上方に移動させることによって、すなわち、垂直支持部材61cを上方に移動させることによって、段積み台51上の板状片ブロック10aを持ち上げる。なお、その際には、ガイド部材58aは、幅広の位置となっており、また、段積み押さえ機構57の押さえ部57aは、それぞれ押さえ解除位置になっているものとする。
【0057】
フォーク部移動機構61は、図12Aで示されるように、複数の歯81a,82a上に板状片ブロック10aが載置された状態のフォーク部62を、E型鉄心積層体9を構成する位置にまで移動させる。
【0058】
次に、フォーク部62が、搬送対象の板状片ブロック10aを積層位置に積層する工程について説明する。フォーク部62が積層位置にまで移動されると、フォーク部移動機構61は、搬送対象の板状片ブロック10aが、その板状片ブロック10aを積層する位置のすぐ上方となるようにフォーク部62を移動させる。なお、その際に、複数の歯81a,82aの下面は、積層体の最上面に接しない範囲で、その最上面に近づいていることが好適である。次に、図12Bで示されるように、2個のストッパ移動機構78はそれぞれ、板状片ブロックストッパ77を板状片ブロック10aの長手方向の辺の位置にまで移動させる。その位置は、通常、板状片ブロック10aの幅に応じてあらかじめ決まっている。具体的には、ボールネジ78aが駆動されることによって、取付板78cがあらかじめ決められた位置にまで移動され、板状片ブロックストッパ77が、板状片ブロック10aのフォーク基部72側の辺に沿う位置となる(図14B)。
【0059】
その後、フォーク部62によって搬送された板状片ブロック10aが積層される際には、図12Cで示されるように、第1進退機構73であるエアシリンダは、第1の歯部81をフォーク基部72側に後退させる。すなわち、第1グループの歯がフォーク基部72側に後退される。その際に、板状片ブロック10aの後退方向への移動は、板状片ブロックストッパ77によって防止されることになる。次に、図12Dで示されるように、積層押さえ機構76は、第1の歯部81の2本の歯81a、すなわち第1グループの歯が存在しなくなった位置において、積層対象の板状片ブロック10aを下方側、すなわちすでに積層されている鉄心積層体側に押さえる。具体的には、積層押さえ機構76のエアシリンダ76aのピストンロッドが伸長されることによって、板状片ブロック10aの幅方向の略中央にエアシリンダ76dが位置するようにし、その後に、エアシリンダ76dのピストンロッドを伸長させて当接部76eが板状片ブロック10aを下方側に押さえるようにする。その際に、板状片ブロック10aの下面が、それまでに積層されている鉄心積層体の上面に適度な力で押しつけられるようになることが好適である。適度な力とは、第2の歯部82を後退させる際に、板状片ブロック10aが鉄心積層体に対してずれないようにすることができる程度の力である。なお、積層対象の板状片ブロック10aがE型鉄心積層体9において最下段に位置する場合には、積層対象の板状片ブロック10aは、E型鉄心積層体9が積層される台に対して押さえつけられることになる。
【0060】
積層押さえ機構76によって板状片ブロック10aが下方側に押さえられた後に、図12Eで示されるように、2個の第2進退機構74はそれぞれ、第2の歯部82の歯82a、すなわち第2グループの歯をフォーク基部72側に後退させる。具体的には、第2進退機構74のボールネジが駆動されることによって、2個の第2の歯部82がそれぞれ同じ速度でフォーク基部72側に後退される。その際に、積層押さえ機構76と板状片ブロックストッパ77とによって、積層対象の板状片ブロック10aのずれが防止される。次に、積層押さえ機構76は、エアシリンダ76dのピストンロッドをシリンダチューブに収容することによって板状片ブロック10aの押さえを解除し、取付板76cをフォーク基部72側に収容する。また、2個のストッパ移動機構78のボールネジが駆動されることによって、2個の板状片ブロックストッパ77もそれぞれフォーク基部72側に収容される。このようにして、図12Fで示されるように、積層位置における板状片ブロック10aの積層が完了する。その後、フォーク部移動機構61は、フォーク部62を段積み装置5に移動し、段積みされた板状片ブロック10aの搬送と積層を繰り返すことになる。そのように、段積み装置5における板状片ブロック10aの構成と、搬送積層装置6による板状片ブロック10aの積層とが繰り返されることによって、最終的にE型の積層鉄心が製造されることになる。なお、E型鉄心積層体9を構成する際には、各接合部において、ステップラップ接合等を構成する必要がある。したがって、図15で示される各板状片ブロックを積層する場合には、搬送積層装置6は、例えば、第1側脚103と中央脚105とをまず積層し、次に第1ヨーク101を積層し、最後に第2側脚104を積層することを繰り返すことによって、E型鉄心積層体9を構成することになる。そのため、段積み装置5では、例えば、第1側脚、中央脚といった順番で板状片ブロック10aが構成されてもよい。このように板状片ブロック10aを積層することによって、板状片10に位置決めのための孔を設ける必要がなくなる。そのような孔の設けられていない板状片10を積層して製造された積層鉄心においては、断面積の低下に応じて発生しうる変圧器等の特性の低下を防ぐことができ、また、コアショートによる発熱によって起こりうるアセチレンガスの発生を回避することができる。また、鉄心加工時に穿孔に要する時間が不要になるため、積層鉄心の製造時間を全体として短縮することもできる。
【0061】
以上のように、本実施の形態による積層鉄心製造システム1によれば、段積み装置5によって板状片ブロック10aを構成し、その板状片ブロック10aを搬送積層装置6によって搬送して積層することによって積層鉄心を製造することにより、積層位置にまでベルトコンベアを配設する場合と比較して、より小規模なシステムとすることができる。また、積層鉄心の形状や大きさが変更された場合にも、搬送積層装置6による搬送先や積層位置を変更することによって、容易に変更に対応することができる。さらに、搬送積層装置6によって板状片ブロック10aの搬送や積層を行っている際に、段積み装置5によって、次に積層される板状片ブロック10aの段積みを並行して行うことができるため、効率よく積層鉄心を構成することができる。積層鉄心製造システム1によって製造された積層鉄心は、例えば、変圧器やリアクトルなどの静止誘導機器において用いることができる。また、その積層鉄心は、変圧器等において用いられる積層鉄心そのものであってもよく、または、その一部を構成するものであってもよい。例えば、上記説明のE型の積層鉄心は、残りのヨークが組み付けられることによって変圧器等において用いられる積層鉄心として完成することになるため、変圧器等において用いられる積層鉄心の一部を構成するものである。
【0062】
なお、本実施の形態では、段積み台51の上方まで、板状片10が、その長手方向に搬送される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、段積み装置5の搬送部52までは、板状片10が、その短手方向に搬送されてもよく、搬送部52においても、板状片10が、その短手方向に搬送されてもよい。いずれの場合であっても、搬送部52から板状片10が段積み台51上に落下される際の板状片10の位置は、上記説明と同様の位置となっていることが好適である。
【0063】
また、本実施の形態では、様々な移動対象の直線方向の移動にエアシリンダを用いる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、ソレノイドや他の機構を移動対象の移動のために用いてもよい。
【0064】
また、本実施の形態において説明したマグネットは、例えば、永久磁石であってもよく、または、電磁石であってもよい。マグネットとして電磁石を用いる場合には、例えば、搬送対象の板状片10に電磁石の吸着力が及ばないようにする際には、電磁石の電力をオフにすればよい。したがって、例えば、搬送部52のマグネット52bとして電磁石を用いる場合には、昇降機構52cを用いなくても、搬送対象の板状片10にマグネット52bの吸着力が及ばないようにすることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、保持部55がマグネット55aによって板状片10の前端を保持する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、保持部55は、真空吸着パッド等によって板状片10の前端を保持してもよい。なお、その場合でも、保持部55が、板状片10の前端を保持する力は、板状片10が板状片ストッパ53に当接した際に、板状片10が保持部55から落ちる程度に弱いものであることが好適である。
【0066】
また、本実施の形態では、段積み装置5が段積み台51上における板状片10の位置決めのためのガイド部58を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、搬送部52等においてガイド部を用いて板状片10の短手方向の位置決めを適切に行っている場合には、段積み台51において位置決めを行うガイド部58を段積み装置5が有していなくてもよい。なお、そのような場合には、板状片ストッパ53は、保持部55の両側(図4における保持部55の図中の上側と下側)において板状片10の長手方向の前端に関する位置決めを行うことが好適である。板状片10が1個の板状片ストッパ53に当接することによって回転してしまうことを防止するためである。そのように、段積み装置5が有する板状片ストッパ53の個数は、2個以上であってもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、ロータリクランプシリンダである段積み押さえ機構57によって段積み台51上の板状片10を押さえる場合について説明したが、その板状片10を押さえる方法は問わない。例えば、積層押さえ機構76などと同様の構成によって、段積み台51上の板状片10を押さえるようにしてもよい。なお、そのような場合であっても、段積み台51上の既存の板状片10と、新たに積まれる板状片10との間に存在する押さえ部等は薄い構造であることが好適である。そのため、段積み押さえ機構が、積層押さえ機構76などと同様の構成によって板状片10を押さえる場合であっても、その段積み押さえ機構は、例えば、取付板にエアシリンダが取り付けられておらず、レールの基端側を上下方向に移動させることによって、取付板に取り付けられた押さえ部によって板状片10を上方から押さえる構造を有していてもよい。また、第1及び第2グループに属する段積み押さえ機構57-1,57-2の個数は問わない。例えば、第1グループに属する段積み押さえ機構57-1の個数は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、第2グループに属する段積み押さえ機構57-2の個数も、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、段積み装置5が段積み押さえ機構57を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、板状片ストッパ53が、段積みされる複数の板状片10の前端のステップ形状を形成できる形状を有する場合、例えば、図16で示される板状片ブロックの端部に係合可能な段々の形状を有する場合には、板状片ブロック10aを構成するいずれの板状片10を段積みする際にも、段積み対象以外のすでに段積みされた他の板状片10についても板状片ストッパ53によって位置決めされることになる。したがって、その際には、段積み対象の板状片10を前端側に保持部55によって移動させても、それまでに段積みされている板状片10がずれることがないため、段積み装置5は、段積み押さえ機構57を有していなくてもよい。ただし、そのような板状片ストッパ53を用いる場合には、高さ方向を含めて高い精度で板状片ストッパ53の位置を設定することが必要となる。
【0069】
また、本実施の形態では、積層鉄心製造システム1が、移載装置3、搬送コンベア4を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。何らかの手段によって段積み装置5に段積み対象の板状片10が渡されるのであれば、積層鉄心製造システム1は、移載装置2や搬送コンベア4を備えていなくてもよい。例えば、人手によって段積み装置5の搬送部52に板状片10が渡されてもよく、他の構成によって搬送部52に板状片10が渡されてもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、歯部71が、第1及び第2の歯部81,82に分かれており、それぞれを進退させるために第1及び第2進退機構73,74が用いられる場合について説明したが、そうでなくてもよい。歯部71は、第1及び第2の歯部81,82に分かれておらず、その歯部71を進退させるために一つの進退機構が用いられてもよい。その進退機構は、例えば、搬送対象の板状片ブロック10aが積層位置となった際に、複数の歯をフォーク基部72側に後退させることによって、その板状片ブロック10aを積層するものであってもよい。その場合にも、板状片ブロックストッパ77が用いられることによって、複数の歯を後退させる際に、積層対象の板状片ブロック10aがずれないようにすることが好適である。また、歯の間隔が大きい箇所が存在する場合には、複数の歯を後退させる際に、歯の間隔の大きい箇所において、積層押さえ機構76を用いて、積層対象の板状片ブロック10aを下方側に押さえるようにしてもよい。また、歯部71が複数に分かれている場合であっても、その分かれ方は、本実施の形態と違っていてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、フォーク部62が板状片ブロックストッパ77やストッパ移動機構78を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。積層押さえ機構76やその他のずれ防止機構などによって、複数の歯81a,82aの後退時の板状片ブロック10aのずれを防止できる場合には、フォーク部62は、板状片ブロックストッパ77やストッパ移動機構78を有していなくてもよい。
【0072】
また、本実施の形態では、フォーク部62が積層押さえ機構76を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。板状片ブロックストッパ77によって、複数の歯81a,82aの後退時の板状片ブロック10aのずれを防止できる場合には、フォーク部62は、積層押さえ機構76を有していなくてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、フォーク部62が複数の歯を進退させる進退機構(例えば、第1及び第2進退機構73,74)を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、搬送積層装置6のフォーク部移動機構61が、板状片ブロック10aの積層位置において、フォーク部62そのものを後退させることによって搬送対象の板状片ブロック10aを積層する場合には、フォーク部62は、進退機構を有していなくてもよい。その場合には、例えば、フォーク部62全体が後退される際に、ストッパ移動機構78が、フォーク部62全体の後退に応じて板状片ブロックストッパ77を前進させることによって、すなわち、ワールド座標系(グローバル座標系)における板状片ブロックストッパ77の位置が変化しないように制御することによって、積層対象の板状片ブロック10aのずれを防止するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、第1の歯部81の突出部81eと、第2の歯部82のL字切り欠き部82fとが当接することによって、第1の歯部81の位置を第2の歯部82の位置に揃えることができる場合について説明したが、その突出部81eやL字切り欠き部82fは設けられていなくてもよい。それらが設けられていない場合には、例えば、第1進退機構73もボールネジによって第1の歯部81を進退させることによって、第1及び第2の歯部81,82の位置を正確に揃えることができるようにしてもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、板状片10に位置決めのための孔が設けられていなくても適切に積層することができるが、板状片10にその孔が設けられていてもよい。その場合には、例えば、積層位置において、その孔にガイドピンを通すことによって、板状片10がずれることを防止してもよい。具体的には、そのガイドピンは、下から上方に向かって伸びることができるものであり、新たな板状片ブロック10aの積層時には、そのガイドピンの先端は、鉄心積層体の最上面から出ていないことが好適である。また、板状片ブロック10aが積層された後に、そのガイドピンは、上方に向かって伸ばされてもよい。また、板状片10に孔が設けられている場合には、積層鉄心における各板状片10のずれを防止するための結束の際に、その孔が用いられてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、E型の積層鉄心を製造する場合について主に説明したが、第2ヨークを含む積層鉄心を製造するようにしてもよい。例えば、積層鉄心の搬送時のずれや崩れ等を防止するため、そのように第2ヨークを含む積層鉄心を製造してから搬送し、搬送先において第2ヨークを取り外してコイルを装着し、その後に再度、第2ヨークを組み付けるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、1個の中央脚を有する積層鉄心を製造する場合について説明したが、製造対象の積層鉄心は、2以上の中央脚を有していてもよい。本実施の形態による製造対象の積層鉄心は、例えば、3個の中央脚を有する三相五脚の積層鉄心であってもよい。また、中央脚の存在しない積層鉄心が製造されてもよい。このように、積層鉄心製造システム1が製造する積層鉄心は、複数の板状片ブロック10aが積層されることによって製造されるものであれば、その構成を問わない。
【0077】
また、本実施の形態では、板状片ブロック10aが、例えば、図15で示されるステップラップ接合によって積層される場合について説明したが、そうでなくてもよい。板状片ブロック10aは、図15で示される以外のステップラップ接合によって積層されてもよく、バットラップ接合などの他の接合によって積層されてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、積層鉄心の接合部の構造がステップラップ接合やバットラップ接合であるため、段積み装置5において段積み台51上に板状片10の段積みが行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。ステップラップ接合等の段状の接合構造を有しない積層鉄心を構成する場合には、段積み台51と同様の台を有する積み装置において、板状片が長手方向にずらされていない板状片ブロックが構成されてもよい。そして、搬送積層装置6がそのような板状片ブロックを搬送して積層することによって、段状の接合構造を有しない積層鉄心が製造されてもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、積層鉄心製造システム1が、段積み装置5と、搬送積層装置6との両方を有しており、その両者を用いることによって自動的に積層鉄心が製造される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、段積みは人手によって行われ、その人手によって構成された板状片ブロック10aを搬送積層装置6によって自動的に搬送して積層してもよい。また、例えば、段積み装置5によって板状片10の段積みは自動的に行われ、その段積み装置5によって構成された板状片ブロック10aが人手によって搬送されて積層されることによって、積層鉄心が製造されてもよい。
【0080】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上より、本発明による積層鉄心製造方法によれば、例えば、積層鉄心を自動的に製造できるという効果が得られ、積層鉄心を製造する方法として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 積層鉄心製造システム
5 段積み装置
6 搬送積層装置
10 板状片
10a 板状片ブロック
51 段積み台
51a 凹部
52 搬送部
53 板状片ストッパ
54 板状片ストッパ移動機構
55 保持部
56 保持部移動機構
57、57-1、57-2 段積み押さえ機構
57a 押さえ部
57b 押さえ部移動機構
58 ガイド部
61 フォーク部移動機構
62 フォーク部
71 歯部
72 フォーク基部
73 第1進退機構
74 第2進退機構
76 積層押さえ機構
77 板状片ブロックストッパ
78 ストッパ移動機構
81 第1の歯部
81a 歯(第1グループの歯)
82 第2の歯部
82a 歯(第2グループの歯)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16