(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】トライアル構造アセンブリを取り外すための整形外科用器具システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/46 20060101AFI20230123BHJP
A61F 2/38 20060101ALI20230123BHJP
A61B 17/88 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
A61F2/46
A61F2/38
A61B17/88
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018171294
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-08-18
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・エス・ツカヤマ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ジー・ウィジー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア・エム・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エル・ペニンガー
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・エイ・アマラル
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・エス・ハサウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・イー・ラシュア
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0010262(US,A1)
【文献】特表2002-537897(JP,A)
【文献】特開平06-169930(JP,A)
【文献】米国特許第05464406(US,A)
【文献】特開2010-104764(JP,A)
【文献】米国特許第02370336(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
A61F 2/38
A61B 17/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具システムであって、
(i)外側顆から離間した内側顆と、(ii)前記内側顆と前記外側顆との間に配置された顆間ノッチと、(iii)前記顆間ノッチの中へと開口する通路と、
(iv)前記通路から外向きに延びる環状溝部と、を含
む大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントと、
整形外科用器具であって、
前記大腿骨プロテーゼトライアル
コンポーネントの前記通路内に受容されるように寸法決めされた遠位先端部を有する細長本体と、
前記細長本体を通じて延びるボアと、
前記ボア内に配置されたロッドであって、前記細長本体の前記遠位先端部と選択的に係合して前記遠位先端部を展開位置に移動させるように構成された遠位端部を有するロッドと、を備え
、
前記細長本体は、中心シャフトと、該中心シャフトから外向きに延びる複数の片持ちアームとを含み、前記複数の片持ちアームは前記細長本体の前記遠位先端部を画定し、各片持ちアームは前記遠位先端部から外向きに延びる遠位フランジを含む、整形外科用器具と、を備え、
前記遠位先端部が前記大腿骨プロテーゼトライアル
コンポーネントの前記通路内に配置されており、前記展開位置にあるとき、前記
遠位フランジは、前記大腿骨プロテーゼトライアル
コンポーネントの
前記環状溝部内に受容され前記大腿骨プロテーゼトライアル
コンポーネントを前記整形外科用器具に固定するように構成されている、外科用器具システム。
【請求項2】
前記遠位先端部は収縮位置へと移動可能であり、
前記
遠位フランジは、前記遠位先端部が前記収縮位置に位するときの第1の直径と、前記遠位先端部が前記展開位置に位するときの第2の直径とを規定し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きい、請求項
1に記載の外科用器具システム。
【請求項3】
前記ロッドは、前記細長本体の前記遠位先端部と係合して前記遠位先端部を前記展開位置に移動させるように構成された勾配付きの外側表面を有する、請求項
1に記載の外科用器具システム。
【請求項4】
前記細長本体の前記遠位先端部は、前記ボアの遠位区間を画定する勾配付きの内側表面を有し、前記ロッドの前記勾配付きの外側表面は、前記勾配付きの内側表面と係合するように構成されている、請求項
3に記載の外科用器具システム。
【請求項5】
前記整形外科用器具は、前記ロッドの近位端部に結合されたリンケージアセンブリを備え、
前記リンケージアセンブリは、前記ロッドの前記遠位端部が前記細長本体の前記遠位先端部と係合し、前記遠位先端部が前記展開位置に位する第1の位置と、前記ロッドの前記遠位端部が前記遠位先端部から係合解除され、前記遠位先端部が前記収縮位置に位する第2の位置との間で移動可能である、請求項2に記載の外科用器具システム。
【請求項6】
前記リンケージアセンブリは、前記細長本体内のスロットから外向きに延びるユーザ操作レバーを含んでおり、前記ユーザ操作レバーは、前記リンケージアセンブリを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように、前記細長本体を通じて延びる枢動軸線の周りを回転可能である、請求項5に記載の外科用器具システム。
【請求項7】
前記リンケージアセンブリは、前記ロッドに枢動的に結合された第1の端部と、前記ユーザ操作レバーに枢動的に結合された第2の端部とを有するリンクアームを含んでいる、請求項6に記載の外科用器具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には、整形外科用器具システムに関し、より詳細には、患者の骨からトライアル構造を取り外すか又は抜き出すための整形外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変した天然関節及び/又は損傷した天然関節を人工関節に置換する、周知の外科手術である。通常の膝プロテーゼは、脛骨トレイ、大腿骨コンポーネント、及び脛骨トレイと大腿骨コンポーネントとの間に配置されるポリマーインサート又はベアリングを含む。大腿骨コンポーネントは、患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端に取付けられるよう設計されている。脛骨トレイは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端に取付けられるよう設計されている。
【0003】
天然関節を膝プロテーゼで置き換えることを容易にするために、整形外科医は、例えばプロテーゼトライアルコンポーネント、切断ブロック、ドリルガイド、ミリングガイド、及び他の手術器具等の様々な整形外科用手術器具を使用する。例えば大腿骨トライアルコンポーネント及び脛骨ベアリングトライアルコンポーネントなどのようなプロテーゼトライアルコンポーネントは、患者の天然関節を置き換える膝プロテーゼのコンポーネントをサイズ合わせ及び選定するために使用される。膝プロテーゼのコンポーネントをサイズ合わせ及び選定するためにトライアルコンポーネントを使用する手順は、しばしばトライアルレダクションと呼ばれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、整形外科用器具が、長手方向軸線に沿って延びる細長本体を有する。細長本体は、長手方向軸線に対して展開位置と収縮位置との間で展開及び収縮するように構成された遠位先端部を有する。ボアが長手方向軸線に沿って細長本体を通じて延びる。ロッドがボア内に配置され、長手方向軸線に沿って移動可能となる。ロッドは、細長本体の遠位先端部と選択的に係合して展開位置と収縮位置との間で遠位先端部を移動させるように構成された遠位端部を有する。リンケージアセンブリがロッドの近位端部に結合される。リンケージアセンブリは、ロッドの遠位端部が細長本体の遠位先端部と係合し、遠位先端部が展開位置に位する第1の位置と、ロッドの遠位端部が遠位先端部から係合解除され、遠位先端部が収縮位置に位する第2の位置との間で移動可能である。
【0005】
いくつかの実施形態では、細長本体の遠位先端部は、ボアの遠位区間を画定する勾配付きの内側表面を有してもよい。ロッドの遠位端部は、リンケージアセンブリが第1の位置にあるときに勾配付きの内側表面と係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、内側表面は、円筒状の内側表面から勾配付きの内側表面へと先細になっていてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、細長本体は、中心シャフトと、中心シャフトから外向きに延びる複数の片持ちアームとを有してもよい。複数の片持ちアームは、細長本体の遠位先端部を画定してもよい。いくつかの実施形態では、片持ちアームはボアの周りに周囲方向に配置されてもよい。各片持ちアームは、勾配付きの内側表面のうちのある表面区間を有してもよい。いくつかの実施形態では、スロットが各片持ちアームの間に画定されてもよい。各スロットは、中心シャフトと遠位先端部内の開口部との間に延びていてもよい。いくつかの実施形態では、各片持ちアームは、長手方向軸線から半径方向外向きに延びる遠位フランジを有してもよい。いくつかの実施形態では、遠位フランジは、遠位先端部が収縮位置に位するときの第1の直径と、遠位先端部が展開位置に位するときの第2の直径とを規定してもよい。第2の直径は、第1の直径より大きくてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、リンケージアセンブリは、細長本体のスロットから外向きに延びるユーザ操作レバーを有してもよい。レバーは、リンケージアセンブリを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように、細長本体を通じて延びるピボット軸線の周りを回転可能である。いくつかの実施形態では、リンケージアセンブリは、ロッドに枢動的に結合された第1の端部と、ユーザ操作レバーに枢動的に結合された第2の端部とを有するリンクアームを有してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、ストライクプレートが細長本体の近位端部から外向きに延びていてもよい。
【0009】
本開示の別の態様によれば、外科用器具システムは、外側顆から離間した内側顆と、内側顆と外側顆との間に配置された顆間ノッチと、顆間ノッチの中へと開口する通路と、を含んだ大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントを含む。ある整形外科用器具が、大腿骨プロテーゼトライアルの通路内に受容されるように寸法決めされた遠位先端部を有する細長本体を有する。ボアが細長本体を通じて延びる。ロッドがボア内に配置される。ロッドは、細長本体の遠位先端部と選択的に係合して遠位先端部を展開位置に移動させるように構成された遠位端部を有する。遠位先端部が大腿骨プロテーゼトライアルの通路内に配置されており、かつ展開位置にあるとき、遠位先端部は、大腿骨プロテーゼトライアルの内側表面と係合して大腿骨プロテーゼトライアルを整形外科用器具に固定するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントは、通路から外向きに延びる環状溝部を有してもよい。環状溝部は、部分的に内側表面によって画定されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のフランジが、整形外科用器具の遠位先端部から外向きに延びていてもよい。各フランジは、大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントの環状溝部内に受容されるように寸法決めされてもよい。いくつかの実施形態では、遠位先端部は収縮位置へと移動可能であってもよい。フランジは、遠位先端部が収縮位置に位するときの第1の直径と、遠位先端部が展開位置に位するときの第2の直径とを規定してもよい。第2の直径は、第1の直径より大きくてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、ロッドは、細長本体の遠位先端部と係合して遠位先端部を展開位置に移動させるように構成された勾配付きの外側表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、細長本体の遠位先端部は、ボアの遠位区間を画定する勾配付きの内側表面を有してもよい。ロッドの勾配付きの外側表面が勾配付きの内側表面と係合するように構成されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、細長本体は、中心シャフトと、中心シャフトから外向きに延びる複数の片持ちアームとを有してもよい。複数の片持ちアームは、細長本体の遠位先端部を画定してもよい。
【0013】
本開示の別の態様によれば、患者の骨から整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントを取り外す方法が、整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントの顆間ノッチの中に整形外科用器具の遠位先端部を挿入することを含む。本方法はまた、整形外科用骨プロテーゼトライアルコンポーネントに画定された通路の中へと遠位先端部を遠位側に前進させることと含む。本方法はまた、整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントの内側表面に整形外科用器具の複数のフランジを係合させるために遠位先端部を展開させることを含む。本方法はまた、患者の骨から整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントを取り外すために整形外科用器具を近位側に移動させることを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、整形外科用器具の複数のフランジを係合させるために遠位先端部を展開させることは、通路から外向きに配置された環状溝部の中へと複数のフランジを前進させることを必要とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
詳細な説明では、特に次の図面を参照する。
【
図1】大腿骨トライアルアセンブリが大腿骨に形成された空洞の中に挿入されるところの斜視図である。
【
図2】
図1の線2-2に沿った表面トライアルコンポーネントの断面立面図である。
【
図3】患者の骨から
図1の大腿骨トライアルアセンブリを抜き出す際に使用するための外科用器具の斜視図である。
【
図4】
図3の線4-4に沿った外科用器具の一部分の断面立面図である。
【
図5】
図3の線5-5に沿った外科用器具の遠位先端部の断面立面図である。
【
図6】
図3に示した外科用器具のロッドの平面図である。
【
図7】
図2に示した大腿骨表面トライアルの通路の中へと前進されている、
図3に示した外科用器具の斜視図である。
【
図8】表面トライアルコンポーネント及び表面トライアルコンポーネントに配置された外科用器具の遠位先端部を示す断面図である。
【
図9】展開位置に配置された外科用器具の遠位先端部を示す、
図8と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の例示的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変、等価物、並びに代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0017】
解剖学的基準を表す、前、後、内側、外側、上、下などの用語は、本明細書全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント及び整形外科用器具に関して、並びに患者の自然の解剖学的構造に関して使用されてよい。これらの用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。本明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準を表す用語の使用は、特に断らない限り、それらの十分に理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0018】
プロテーゼ膝関節及び膝関節コンポーネント、並びに膝関節をインプラントして再建する方法を包含する、本開示の例示的な実施形態を下記で説明及び例示する。また、以下に議論される好ましい実施形態が本質的に例示的なものであり、本発明の範囲及び意図から逸脱せずに構成が変更され得ることは、当業者には明白であろう。しかしながら、明確さ及び精密さを目的にして、下記で説明する例示的な実施形態は、本発明の範囲に含まれるための要件ではない、当業者が認識すべき任意の段階、方法、及び特徴を含むことができる。
【0019】
ここで
図1~2を参照すると、整形外科手技で用いるための大腿骨トライアル構造アセンブリ10が示されている。例示的な実施形態では、大腿骨トライアル構造アセンブリ10は、患者の大腿骨14の外科的に準備された表面に取り付けられるように構成された大腿骨表面トライアルコンポーネント16を含む。大腿骨トライアル構造アセンブリ10はまた、大腿骨表面トライアルコンポーネント16に固定された細長ステムトライアルコンポーネント20を含んでいる。細長ステムトライアルコンポーネント20は、大腿骨14の外科的に準備された髄内管12内に配置されるように寸法決めされている。整形外科手技の間、外科医は、大腿骨トライアル構造アセンブリ10を患者の大腿骨14に取り付けて、大腿骨プロテーゼコンポーネントアセンブリの予想される可動域及び寸法を評価し得る。大腿骨トライアル構造アセンブリ10は、患者の大腿骨14に固着されることもあり、その結果として、手で取り外すことが困難となることがある。以下で更に詳細に説明するように、外科医は、患者の大腿骨14から大腿骨トライアル構造アセンブリ10を抜き出すか又は取り外すために、以下で更に詳細に説明する外科用器具22を利用してもよい。本明細書に記載される実施形態はまた、ステム、オフセットステム、又はブローチ/スリーブトライアルが取り付けられるか否かにかかわらず、大腿骨トライアルのいかなる構成にも適用され得る。
【0020】
図1に示すように、大腿骨表面トライアルコンポーネント16は、外側顆26から離間された内側顆24を含んでいる。顆24、26は、脛骨トライアルコンポーネント(図示せず)の対応する支持表面上で関節運動するように寸法及び形状を定められている。顆間ノッチ28が顆24、26の間に画定されており、脛骨トライアルコンポーネントのスパインを受容するように寸法を定められている。図示の実施形態では、顆24、26及び顆間ノッチ28の構成は、大腿骨プロテーゼコンポーネントの構成を模倣したものである。他の実施形態では、大腿骨表面トライアルコンポーネントがトライアルコンポーネントとしてのみでなく切断ガイドとしても機能し得るように、大腿骨表面トライアルコンポーネントが1つ以上の切断スロットを含んでもよいことを理解されたい。
【0021】
図2に示すように、大腿骨表面トライアルコンポーネント16は、顆24、26を連結するハウジング19を含んでいる。ポスト18がハウジング19の近位表面から外向きに延びている。例示的な実施形態では、ポスト18は、細長ステムトライアルコンポーネント20の遠位端部を受容するように寸法及び形状を定められている。通路30がポスト18を通じて延びており、顆間ノッチ28の中へと開口している。通路30は、ポスト18に細長ステムトライアルコンポーネント20を固定するために、例えばねじ付きボルト(図示せず)などの締結具を受容するように寸法及び形状を定められている。他の実施形態では、勾配ロックを用いてトライアルコンポーネント16、20を接合することが可能となるように、ポストは勾配付きの外側表面を有してもよく、細長ステムコンポーネントは勾配付きの内側表面を有してもよいことを理解されたい。
【0022】
大腿骨表面トライアルコンポーネント16は、通路30の遠位区間23を画定する円筒状の内側表面21を含んでいる。例示的な実施形態では、内側表面21は遠位区間23の直径32を規定する。
図2に示すように、大腿骨表面トライアルコンポーネント16は、内側表面21内に画定された環状溝部34を有している。1対のリム表面36が、内側表面21内に画定された開口部38から円筒状の表面40へと内向きに延びている。図示の実施形態では、表面36、40は、通路30の周りに円周方向に延びる環状溝部34を画定するように協働している。いくつかの実施形態では、リム表面36は、丸み付きの、例えば凹形であってもよい。そのような実施形態では、表面36、40は、部分的に円環体の形状の環状溝部34を画定するように協働する。円筒状の表面40は、通路30の直径32よりも大きい直径42を有している。以下で更に詳細に説明するように、外科用器具22は遠位先端部56を有しており、この遠位先端部は、環状溝部34内に受容されるように構成されており、また、リム表面36と係合して患者の大腿骨14からの大腿骨トライアル構造アセンブリ10の抜き出しを支援するように構成されている。
【0023】
ここで
図3を参照すると、外科用器具22は、近位端部50と遠位先端部56との間で長手方向軸線48に沿って延びる細長本体44を有している。外科用器具22は、細長本体44の近位端部50から外向きに延びるストライクプレート54を有している。ストライクプレート54は、レバー84に直接的に対向するウェッジを有している(以下で更に詳細に説明する)。ストライクプレート54の構成は、抜き出しを容易にするためにユーザが必要に応じてストライクプレート54を方向付けるのを促進するものであり、またユーザが抜き出しの間にレバー84(必要な場合)を保持して器具22を安定させることを可能にするものである。ストライクプレート54の遠位表面は平坦であるが、近位表面は、嵌入を防ぐように非一様なプロファイルを有している。ストライクプレート54はまた、ブローチを用いた大腿骨トライアルの抜き出しの間に支援のためのスラップハンマーの取付けを可能にするねじ形態を備えた中心ホールを有している。細長本体44は、ストライクプレート54に隣接して配置されるグリップ52を有しており、このグリップは、外科用器具22を操作し、大腿骨表面トライアルコンポーネント16の通路30内に遠位先端部56を配置するために、外科医又は他のユーザによって把持され得る。以下で更に詳細に説明するように、外科用器具22はまた作動機構46を含んでおり、この作動機構は、遠位先端部56を展開させて大腿骨表面トライアルコンポーネント16の環状溝部34の中へと遠位先端部56を前進させるように動作可能である。
【0024】
細長本体44は、中心シャフト58と、中心シャフト58の端部から外向きに延びる複数の片持ちアーム60とを含んでいる。片持ちアーム60は、長手方向軸線48に沿って遠位先端部56へと延びている。中心シャフト58及び片持ちアーム60は、例えばステンレス鋼などの金属性の金属から形成されている。例示的な実施形態では、シャフト58とアーム60は、単一のモノリシックコンポーネントとして形成される。他の実施形態では、シャフト58とアーム60は、後に組み付けられて細長本体44を形成する別個のコンポーネントとして形成されてもよいことを理解されたい。
【0025】
各片持ちアーム60は、細長本体44の遠位先端部56に配置された遠位フランジ64を有している。各遠位フランジ64は、長手方向軸線48から半径方向外向きに延びており、またフランジ64は、遠位先端部56が展開されていないときに直径168を規定するように協働する。各遠位フランジ64は、近位の係合表面66と、その係合表面66の反対側に配置された遠位の勾配付きの表面70とを有している。以下で更に詳細に説明するように、フランジ64の係合表面66は、遠位先端部56が展開されているときに大腿骨表面トライアルコンポーネント16のリム表面36と係合するように構成されている。
【0026】
例示的な実施形態では、細長本体44は、長手方向軸線48の周りに配列された3つの片持ちアーム60を有する。片持ちアーム60は、片持ちアーム60の隣接する各対の間に画定された3つのスロット62によって分離されている。他の実施形態では、細長本体44は更なる片持ちアームを有してもよく、あるいは2つの片持ちアームのみを有してもよいことを理解されたい。遠位先端部56が展開されていないとき、片持ちアーム60は長手方向軸線48と平行に延びる。
【0027】
上記で説明したように、外科用器具22はまた、遠位先端部56を展開させるように動作可能である作動機構46を含んでいる。図示の実施形態では、作動機構46は、軸線48に沿って片持ちアーム60に対して移動するように構成された細長ロッド74と、細長ロッド74を移動させるように動作可能であるリンケージアセンブリ82とを含んでいる。リンケージアセンブリ82は、細長本体44内に画定された長円形スロット80内に配置されている。リンケージアセンブリ82のレバー84が、長円形スロット80から細長本体44の上方の位置へと外向きに延びている。レバー84は、片持ちアーム60に対するロッド74の位置を変化させ、それによって遠位先端部56を展開させるために、ユーザによって操作されるように構成されている。
【0028】
ここで
図4を参照すると、リンケージアセンブリ82は、レバー84と、レバー84と細長ロッド74との間に延びるリンク94と、を含んでいる。図示の実施形態では、レバー84は、ピン90によって細長本体44に枢動的に結合された主本体88を含んでいる。外側レバーアーム86が、主本体88から外向きに長円形スロット80の外に延びて、ユーザ操作ボタンを画定している。レバー84はまた、外側レバーアーム86とは反対側に主本体88から外向きに延びる駆動レバーアーム92を含んでいる。例示的な実施形態では、レバー84は、例えばステンレス鋼などの金属材料から形成され、また単一のモノリシックコンポーネントとして形成される。他の実施形態では、レバー84は、後に組み付けられる別個のコンポーネントとして形成されてもよいことを理解されたい。
【0029】
駆動レバーアーム92の先端部は、ピン100によってリンク94の端部96に結合されている。リンク94の反対側の端部98は、ピン104によってロッド74の近位端部102に結合されている。ピン90、100、104の各々は、以下で更に詳細に説明するように、ロッド74を片持ちアーム60に対して移動させるために、リンケージアセンブリ82が使用中にその周りを枢動する枢動軸線を規定している。リンク94及びピン90、100、104は、例えばステンレス鋼などの金属材料から形成される。
【0030】
例示の実施形態において、細長ロッド74は、長手方向軸線48に沿って細長本体44内に画定されたボア72内に配置されている。ここで
図5を参照すると、ボア72は、長円形スロット80に連結された近位開口部78から延びる内側表面132内に画定されている。内側表面132は、外科用器具22の遠位先端部56内に画定された遠位開口部106へと延びている。内側表面132は、近位開口部78から延びる円筒状区間138を含んでおり、また直径142を有している。各片持ちアーム60は、内側表面132の円筒状区間138の一部を画定する曲線状表面134を含んでいる。各曲線状表面134は、遠位先端部56の近くに位置する円筒状区間138の縁部136へと延びている。
【0031】
内側表面132は、縁部136からより小さな円筒状区間148に結合された別の縁部146へと長手方向軸線48に沿って延びる勾配付きの区間140を含んでいる。各片持ちアーム60は、勾配付きの区間140の一部を画定する勾配付きの曲線状表面150と、円筒状区間148の一部を画定する曲線状表面152とを含んでいる。円筒状区間148は、細長本体44の遠位開口部106へと延びている。
図5に示すように、円筒状区間148は、遠位先端部56が展開されていないときの直径144を有している。直径144は、円筒状区間138の直径142よりも小さい。
【0032】
ここで
図6を参照すると、細長ロッド74は、近位端部102から遠位端部160へと延びるシャフト156を含んでいる。スルーホール162が近位端部102内に画定されており、ピン104を受容して細長ロッド74をリンケージアセンブリ82のリンク94に連結するように寸法を定められている。図示の実施形態では、シャフト156は、細長本体44内に画定されたボア72の直径142に実質的に等しい直径164を有する円筒状の外側表面を有している。細長ロッド74は、例えばステンレス鋼などの金属材料から形成され、またこの例示的な実施形態では単一のモノリシックコンポーネントとして形成されている。
【0033】
細長ロッド74の遠位端部160は、片持ちアーム60の勾配付きの曲線状表面150と係合して外科用器具22の遠位先端部56を展開させるように構成されたラムヘッド158を含んでいる。例示的な実施形態では、ラムヘッド158は、シャフト156から円筒状ピン172へと延びる勾配付きの表面170を有している。円筒状ピン172は、シャフト156の直径164よりも小さい中間直径174を有している。例示的な実施形態では、直径174は、細長本体44の直径144(すなわち、遠位先端部56が展開されていないときの開口部106の直径)に実質的に等しい。円筒状ピン172は、ラムヘッド158の別の勾配付きの表面176へと延びており、この勾配付きの表面はペグ178へと内向きに延びている。
図6に示すように、ペグ178は、細長ロッド74の最遠位表面を画定する丸み付き先端部を有している。
【0034】
使用中、リンケージアセンブリ82は、ボア72に沿って細長ロッド74を前進させ、片持ちアーム60の勾配付きの曲線状表面150にラムヘッド158を係合させるように作動され得る。これを行うために、外科医又は他のユーザは、レバー84の外側レバーアーム86を操作して、
図4に実線で示された非ロック位置から、
図4に破線でまた
図3に実線で示された配置位置へと、リンケージアセンブリ82を移動させ得る。ユーザが
図4で矢印180によって示される方向に力を加えると、レバー84はピン90の周りを枢動されて、細長本体44に向かって外側レバーアーム86を移動させる。
【0035】
レバー84がピン90の周りを回転すると、駆動レバーアーム92は細長本体44の長手方向軸線48に向かって上向きに枢動され、それによって軸線48に沿って遠位側にピン100を移動させることになる。ピン100が遠位側に移動すると、リンク94はピン100及びピン104の周りを回転し、長手方向軸線48に実質的に平行な位置へと移動する。リンク94が移動すると、矢印182によって示される方向に細長ロッド74の近位端部102に力が加えられ、それによってロッド74が押しやられて遠位側に移動する。
【0036】
ロッド74が遠位側に移動すると、ラムヘッド158の勾配付きの表面176が前進されて、片持ちアーム60の勾配付きの曲線状表面150と係合し、それによって片持ちアーム60に半径方向外向きの力を加える。ロッド74が遠位側に引き続き移動すると、ラムヘッド158の円筒状ピン172が前進されて片持ちアーム60の勾配付きの曲線状表面150と係合し、次いで、ラムヘッド158の勾配付きの表面170が前進されて片持ちアーム60の勾配付きの曲線状表面150と接触し、遠位先端部56によって規定される直径を増大させる。
【0037】
リンケージアセンブリ82がロック位置にあるとき、ピン100、104は長手方向軸線48上に位置し、駆動レバーアーム92及びリンク94は長手方向軸線48に沿って延びる。細長ロッド74のシャフト156の円筒状の外側表面は、片持ちアーム60の曲線状表面152(ボア72のより小さな円筒状区間148を画定する)と接触して配置される。細長ロッド74のペグ178は、細長本体44の遠位開口部106から外向きに延びており、外科用器具22の遠位先端部56は展開位置にある。展開位置において、遠位フランジ64は、大腿骨表面トライアルコンポーネント16内に規定される直径32よりも大きい展開直径190(
図9を参照)を規定する。
【0038】
患者の大腿骨14に固着された大腿骨表面トライアルコンポーネント16を取り外すために、外科医は、器具22の遠位先端部56が直径168を有するように、外側レバーアーム86を操作してリンケージアセンブリ82を(したがってロッド74を)非ロック位置へと移動させ得る。
図8に示すように、外科医は次いで、大腿骨表面トライアルコンポーネント16内に画定された通路30の中へと遠位先端部56を前進させ得る。遠位先端部56が大腿骨表面トライアルコンポーネント16の環状溝部34と整列されると、外科医は外側レバーアーム86を作動させてリンケージアセンブリ82をロック位置へと移動させ得る。上記で説明したように、リンケージアセンブリ82が非ロック位置からロック位置へと移動すると、細長ロッド74はボア72に沿って遠位側にスライドしてラムヘッド158を片持ちアーム60と係合させ、直径168から直径190へと遠位先端部56を展開させる半径方向外向きの力を加える。
【0039】
遠位先端部56が展開されると、
図9に示すように、外科用器具22の遠位フランジ64は、大腿骨表面トライアルコンポーネント16の環状溝部34の中へと前進する。遠位先端部56が展開された状態で、遠位フランジ64の係合表面66は環状溝部34の遠位リム表面36と係合する。ラムヘッド158が展開された状態で、ラムヘッド158は、大腿骨表面トライアルコンポーネント16の通路30内に配置されたステムボルト(図示せず)内に画定された開口部内に位置する。ラムヘッド158は、長手方向軸線48に対する外科用器具22の変位を防止するためにステムボルト内に配置されている。いくつかの事例では、環状溝部34が完全な円形となるのに十分な材料が存在しないことがあり、部分的な溝部しか実現可能でなく、溝部は大腿骨トライアルの壁部を突き破る。そのような事例では、環状溝部34が大腿骨トライアルの壁部を突き破ることが原因で、1本の片持ちアーム60が環状溝部34のいずれの部分とも係合しない可能性があるため、ラムヘッド158は、安定性を得るためにボルトヘッドと係合する。したがって、片持ちアーム60は依然として、一方のアーム60が溝部34に対して浮遊し、大腿骨トライアルの本体内に完全に収容された状態で展開し得る。外科医は次いで、矢印192によって示される方向に(ストライクプレート54を介して又はグリップ52を引っ張ることによって)力を加えて、患者の大腿骨14から大腿骨表面トライアルコンポーネント16(及び任意のステムトライアルコンポーネント20)を取り外し得る。力を加えるとき、外科用器具22の細長本体44は、大腿骨表面トライアルコンポーネント16の抜き出しのための負荷経路を規定する。外科医は次いで、整形外科手技を継続し得る。手技の終わりに、外科用器具22は、加圧滅菌されるかあるいは別様に減菌され、別の外科手技での使用に備えられ得る。
【0040】
外科用器具22については、大腿骨表面トライアルコンポーネント16を抜き出すことに関連して説明されているが、外科用器具22はまた、大腿骨表面トライアルコンポーネント16の嵌入を可能にするように改良されてもよいことは理解されたい。例えば、遠位フランジ64の勾配付きの遠位表面70は、環状溝部34の近位リム表面36と係合するように構成された平坦な表面として形成されてもよい。そのような構成では、外科用器具22の細長本体44は、大腿骨表面トライアルコンポーネント16の嵌入のための負荷経路を設け得る。嵌入は、ストライクプレート54を介して力を加えることによって、又はグリップ52を押さえ付けることによって達成され得る。図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで代表的な実施形態を示しかつ説明してきたのにすぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれるすべての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。例えば、整形外科用器具については、大腿骨表面トライアルコンポーネントの抜き出し又は取外しに関連して図示及び説明されているが、他の実施形態では、整形外科用器具が脛骨表面トライアルコンポーネント及びそれに関連するステムトライアルコンポーネントを抜き出すためにも使用され得ることを理解されたい。他の実施形態では、整形外科用器具は、例えば、股関節、肩関節、又は足首関節など、患者の骨の他の関節からトライアルコンポーネントを抜き出すか又は取り外すために使用されてもよい。他の実施形態では、整形外科用器具は、切断ブロックなどの他の外科用器具を患者の骨から抜き出すか又は取り外すために使用されてもよい。
【0041】
本明細書に記載の装置及び組立体の様々な特性から本開示の複数の利点が生じる。本開示の装置及びアセンブリの代替実施形態は、記載された特徴のすべてを含んでいない場合もあるが、それでも依然としてこのような特徴の利点の少なくともいくつかから恩恵を享受していることが留意される。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、「特許請求の範囲」において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される装置及び組立体を独自に実施することが容易に可能であろう。
【0042】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用器具であって、
長手方向軸線に沿って延びる細長本体であって、前記長手方向軸線に対して展開位置と収縮位置との間で展開及び収縮するように構成された遠位先端部を含む、細長本体と、
前記長手方向軸線に沿って前記細長本体を通じて延びるボアと、
前記ボア内に配置され、前記長手方向軸線に沿って移動可能なロッドであって、前記細長本体の前記遠位先端部と選択的に係合して前記展開位置と前記収縮位置との間で前記遠位先端部を移動させるように構成された遠位端部を含む、ロッドと、
前記ロッドの近位端部に結合されたリンケージアセンブリであって、前記ロッドの前記遠位端部が前記細長本体の前記遠位先端部と係合し、前記遠位先端部が前記展開位置に位する第1の位置と、前記ロッドの前記遠位端部が前記遠位先端部から係合解除され、前記遠位先端部が前記収縮位置に位する第2の位置との間で移動可能であるリンケージアセンブリと、を備える整形外科用器具。
(2) 前記細長本体の前記遠位先端部は、前記ボアの遠位区間を画定する勾配付きの内側表面を有し、前記ロッドの前記遠位端部は、前記リンケージアセンブリが前記第1の位置にあるときに前記勾配付きの内側表面と係合するように構成されている、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(3) 前記内側表面は、円筒状の内側表面から前記勾配付きの内側表面へと先細になる、実施態様2に記載の整形外科用器具。
(4) 前記細長本体は、中心シャフトと、該中心シャフトから外向きに延びる複数の片持ちアームとを含み、前記複数の片持ちアームは前記細長本体の前記遠位先端部を画定する、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(5) 前記片持ちアームは、前記ボアの周りに円周方向に配置され、各片持ちアームは前記勾配付きの内側表面のうちのある表面区間を含む、実施態様4に記載の整形外科用器具。
【0043】
(6) スロットが各片持ちアームの間に画定され、各スロットは、前記中心シャフトと前記遠位先端部内の開口部との間に延びる、実施態様4に記載の整形外科用器具。
(7) 各片持ちアームは、前記長手方向軸線から半径方向外向きに延びる遠位フランジを含んでいる、実施態様4に記載の整形外科用器具。
(8) 前記遠位フランジは、前記遠位先端部が前記収縮位置に位するときの第1の直径と、前記遠位先端部が前記展開位置に位するときの第2の直径を規定し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きい、実施態様7に記載の整形外科用器具。
(9) 前記リンケージアセンブリは、前記細長本体内のスロットから外向きに延びるユーザ操作レバーを含んでおり、前記レバーは、前記リンケージアセンブリを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように、前記細長本体を通じて延びる枢動軸線の周りを回転可能である、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(10) 前記リンケージアセンブリは、前記ロッドに枢動的に結合された第1の端部と、前記ユーザ操作レバーに枢動的に結合された第2の端部とを有するリンクアームを含んでいる、実施態様9に記載の整形外科用器具。
【0044】
(11) 前記細長本体の近位端部から外向きに延びるストライクプレートを更に備える、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(12) 外科用器具システムであって、
(i)外側顆から離間した内側顆と、(ii)前記内側顆と前記外側顆との間に配置された顆間ノッチと、(iii)前記顆間ノッチの中へと開口する通路と、を含んだ大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントと、
整形外科用器具であって、
前記大腿骨プロテーゼトライアルの前記通路内に受容されるように寸法決めされた遠位先端部を有する細長本体と、
前記細長本体を通じて延びるボアと、
前記ボア内に配置されたロッドであって、前記細長本体の前記遠位先端部と選択的に係合して前記遠位先端部を展開位置に移動させるように構成された遠位端部を有するロッドと、を備える整形外科用器具と、を備え、
前記遠位先端部が前記大腿骨プロテーゼトライアルの前記通路内に配置されており、前記展開位置にあるとき、前記遠位先端部は、前記大腿骨プロテーゼトライアルの内側表面と係合して前記大腿骨プロテーゼトライアルを前記整形外科用器具に固定するように構成されている、外科用器具システム。
(13) 前記大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントは、前記通路から外向きに延びる環状溝部を有し、前記環状溝部は前記内側表面によって部分的に画定されている、実施態様12に記載の外科用器具システム。
(14) 複数のフランジが前記整形外科用器具の前記遠位先端部から外向きに延び、各フランジは、前記大腿骨プロテーゼトライアルコンポーネントの前記環状溝部内に受容されるように寸法決めされている、実施態様13に記載の外科用器具システム。
(15) 前記遠位先端部は収縮位置へと移動可能であり、
前記フランジは、前記遠位先端部が前記収縮位置に位するときの第1の直径と、前記遠位先端部が前記展開位置に位するときの第2の直径とを規定し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きい、実施態様12に記載の外科用器具システム。
【0045】
(16) 前記ロッドは、前記細長本体の前記遠位先端部と係合して前記遠位先端部を前記展開位置に移動させるように構成された勾配付きの外側表面を有する、実施態様12に記載の外科用器具システム。
(17) 前記細長本体の前記遠位先端部は、前記ボアの遠位区間を画定する勾配付きの内側表面を有し、前記ロッドの前記勾配付きの外側表面は、前記勾配付きの内側表面と係合するように構成されている、実施態様16に記載の外科用器具システム。
(18) 前記細長本体は、中心シャフトと、該中心シャフトから外向きに延びる複数の片持ちアームとを含み、前記複数の片持ちアームは前記細長本体の前記遠位先端部を画定する、実施態様12に記載の外科用器具システム。
(19) 患者の骨から整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントを取り外す方法であって、
前記整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントの顆間ノッチの中に整形外科用器具の遠位先端部を挿入することと、
前記整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントに画定された通路の中へと前記遠位先端部を遠位側に前進させることと、
前記整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントの内側表面に前記整形外科用器具の複数のフランジを係合させるために前記遠位先端部を展開させることと、
前記患者の骨から前記整形外科用プロテーゼトライアルコンポーネントを取り外すために前記整形外科用器具を近位側に移動させることと、を含む方法。
(20) 前記整形外科用器具の複数のフランジを係合させるために前記遠位先端部を展開させることは、前記通路から外向きに配置された環状溝部の中へと前記複数のフランジを前進させることを含む、実施態様19に記載の方法。