(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール用の架台
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20230123BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20230123BHJP
H02S 20/24 20140101ALI20230123BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 A
H02S20/24
(21)【出願番号】P 2018208654
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】神原 達二
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08752343(US,B2)
【文献】特開2015-155624(JP,A)
【文献】特開2012-104756(JP,A)
【文献】特開2007-211399(JP,A)
【文献】特開2016-148238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23-20/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを支持する支持部材と、
前記支持部材を設置面に接着する接着材と、
前記支持部材を前記設置面の方に押さえる重しと、を有
し、
前記支持部材は、前記接着材によって接着される接着面を有する土台部と、前記接着面とは反対の方向に向かって立設した立設部と、を有し、
前記重しは、前記土台部上に搭載されており、
前記立設部から、前記重しが載せられる側の前記土台部の一端部までの距離は、前記立設部から、前記重しが載せられる側とは反対側の前記土台部の他端部までの距離よりも長い、太陽電池モジュール用の架台。
【請求項2】
前記接着材の少なくとも一部は、前記設置面に直交する方向において前記重しと重なる位置に設けられる、請求項1に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項3】
前記支持部材は、前記重しを搭載する重し搭載部を有し、
少なくとも前記重しの重心は、前記設置面に直交する方向において前記重し搭載部と重なる、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項4】
前記支持部材は
、前記重しを搭載する重し搭載
部を有し、
前記土台部の
前記接着面に直交する方向から見て、前記重しの少なくとも70%の領域が、前記重し搭載部に搭載される、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項5】
前記支持部材は
、前記重しを搭載する重し搭載部と、前記太陽電池モジュールを支持するモジュール支持部と、を有し、
前記重し搭載部の少なくとも一部は、前記土台部の
前記接着面に直交する方向から見て、前記モジュール支持部と重なる位置に設けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項6】
前記支持部材は、互いに隣接する太陽電池モジュールの互いに対向する両縁辺を支持可能に構成されており、
前記重しは、前記土台部の
前記接着面に直交する方向から見て少なくとも一方の前記太陽電池モジュールに隠れる位置に設けられる、請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項7】
前記支持部材は、前記重しを搭載する重し搭載部を有し、
前記重し搭載部は、前記重し搭載部に沿った前記重しのスライドを規制する突出部を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項8】
前記支持部材は
、前記重しを搭載する重し搭載
部を有し、
前記重し搭載部は、前記土台部を構成する部材に直接又は間接的に着脱可能に構成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項9】
前記支持部材は
、前記重しを搭載する重し搭載部と、前記太陽電池モジュールを支持するモジュール支持部と、を有し、
前記土台部は、前記重し搭載部及び前記モジュール支持部とは別部材によって構成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【請求項10】
太陽電池モジュールを支持する支持部材と、
前記支持部材を設置面に接着する接着材と、
前記支持部材を前記設置面の方に押さえる重しと、を有し、
前記支持部材は、前記重しを搭載する重し搭載部と、前記接着材によって接着される土台部と、前記太陽電池モジュールを支持するモジュール支持部と、前記モジュール支持部から前記土台部の方へ延びる立設部と、を有し、
前記立設部は重しが通過可能な貫通穴を有し、前記重し搭載部は前記立設部の前記貫通穴を跨いで設けられる
、太陽電池モジュール用の架台。
【請求項11】
前記支持部材は、前記太陽電池モジュールの一側辺に沿って延びており、
前記太陽電池モジュールの一側辺に沿った方向における前記支持部材の長さは、前記太陽電池モジュールの前記一側辺の長さと概ね等しい、又は前記一側辺の長さ以上である、請求項1から10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用の架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用の架台に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、スレート屋根、瓦屋根、陸屋根など、様々な種類の屋根に取り付けられる。太陽電池モジュールが例えば陸屋根に取り付けられる場合、太陽電池モジュールは陸屋根上に設置された架台に取り付けられる。一般に、架台は、陸屋根に立ち上げられた杭によって陸屋根上に固定される。したがって、屋根面への穴あけ、杭の固定、屋根面の養生などの工程が必要であり、そのための施工費用や施工時間を要する。
【0003】
下記特許文献1は、太陽電池モジュールを支える架台を、コンクリートブロックのような重しによって支持する方法を開示する。この方法では、架台はコンクリートブロックの荷重で支えられるため、架台を固定するための杭を屋根面に立ち上げる必要がないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたコンクリートブロックを使用する場合、コンクリートブロックのような重しの荷重により屋根への負担が大きくなることがあるため、耐荷重性の高い屋根にしか適用できない。また、屋根面の表面の凹凸が大きい場合、重しと屋根面との接触面積が小さくなるため、予め想定していた荷重を架台に与えることができず、架台が不安定になる可能性がある。
【0006】
したがって、より耐荷重性の低い屋根に適用可能であり、より安定的に架台を支持できる太陽電池モジュール用の架台が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る太陽電池モジュール用の架台は、太陽電池モジュールを支持する支持部材と、前記支持部材を設置面に接着する接着材と、前記支持部材を前記設置面の方に押さえる重しと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、より耐荷重性の低い屋根に適用可能であり、より安定的に架台を支持できる太陽電池モジュール用の架台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の模式的斜視図である。
【
図2】太陽電池モジュールが取り外された状態の太陽電池モジュール組立構造を示す模式的斜視図である。
【
図3】
図1の3A-3A線に沿った太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【
図4】
図1の4A-4A線に沿った太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【
図6】第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【
図7】第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【
図8】第5実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の模式的斜視図である。
【
図9】
図8の9A-9A線に沿った太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の模式的斜視図である。
図2は、太陽電池モジュールが取り外された状態の太陽電池モジュール組立構造を示す模式的斜視図である。すなわち、
図2は、太陽電池モジュール用の架台を示している。
図3は、
図1の3A-3A線に沿った太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
図4は、
図1の4A-4A線に沿った太陽電池モジュール組立構造の断面図である。
【0012】
太陽電池モジュール10は、水平面から傾斜した設置面500に設置されてもよいし、水平面に実質的に平行な設置面500に設置されてもよい。そのような設置面500として、例えば、スレート屋根、瓦屋根、陸屋根などが挙げられる。
【0013】
太陽電池モジュール組立構造は、太陽電池モジュール10と、太陽電池モジュール10を支持する架台と、を有する。太陽電池モジュール組立構造は、1つの太陽電池モジュール10のみを含んでいてもよく、互いに配列された複数の太陽電池モジュール10を含んでいてもよい。
図1では、太陽電池モジュール組立構造は、一例として、4つの太陽電池モジュール10を含んでいる。なお、図では、説明の都合上、太陽電池モジュール10に対して架台を大きく描いていることに留意されたい。
【0014】
太陽電池モジュール10は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換パネルと、光電変換パネルの周囲に設けられたフレームと、を含んでいてよい。架台は、太陽電池モジュール10を支持する支持部材100と、支持部材100を設置面500に接着する接着材220と、支持部材100を設置面500の方に押さえる重し200と、を有する。
【0015】
支持部材100は、太陽電池モジュール10の一側辺に沿って長く延びていてよい。支持部材100の長さは、好ましくは、1つの太陽電池モジュール10の一側辺とほぼ同等の長さ以上であってよい。より具体的には、支持部材100の長さは、好ましくは1つの太陽電池モジュール10の一側辺の長さの90%以上、より好ましくは太陽電池モジュール10の一側辺の長さ以上であってよい。また、
図1に示すように、1つの支持部材100が複数の太陽電池モジュール10を支持する場合、支持部材100の長さは、2つ又はそれ以上の太陽電池モジュール10の一側辺の合計の長さと同じ、又はそれよりも長くてもよい。
【0016】
支持部材100は、接着材220によって接着される土台部102と、重し200を搭載する重し搭載部110と、太陽電池モジュール10を支持するモジュール支持部112と、を有していてよい。本実施形態では、土台部102、重し搭載部110及びモジュール支持部112は一体に形成されている。土台部102は、支持部材100の下部に相当する。土台部102の下面は、設置面500に対向し、接着材220によって設置面500に接着される。
【0017】
支持部材100の長さ、より具体的には土台部102の長さは、1つの太陽電池モジュール10の一側辺とほぼ同等の長さ以上であってよい。すなわち、土台部102の長さは、好ましくは1つの太陽電池モジュール10の一側辺の長さの90%以上、より好ましくは太陽電池モジュール10の一側辺の長さ以上であってよい。この場合、接着材200を塗布可能な領域を広く確保することができるため、重し200が比較的軽くても、支持部材100の安定性を維持することができる。さらに、土台部102の長さが長くなることで、設置面500の一部に局所的に負荷が集中することを抑制することができる。
【0018】
接着材220は、例えばシリコーン系の接着材、アクリル系の接着材、又はウレタン系の接着材などであってよい。接着材220は、好ましくは弾性接着材であってよい。
【0019】
モジュール支持部112は、支持部材100の上部106のうち、太陽電池モジュール10と当接する部分である。支持部材100の上部106の長さは、1つの太陽電池モジュール10の一側辺とほぼ同等の長さ以上であってよい。すなわち、上部106の長さは、好ましくは1つの太陽電池モジュール10の一側辺の長さの90%以上、より好ましくは太陽電池モジュール10の一側辺の長さ以上であってよい。この場合、太陽電池モジュール10と当接するモジュール支持部112を広く確保することができるため、支持部材100から太陽電池モジュール10に局所的に高い負荷がかかることを抑制することができる。
【0020】
太陽電池モジュール10を支持部材100に固定する方法は、特に限定されない。本実施形態では、一例として、太陽電池モジュール10は、クランプ120によって支持部材100に固定される。クランプ120の一部122は、太陽電池モジュール10の側縁の上面、例えば不図示のフレームの上面を覆っている。クランプ120の別の一部124は、支持部材100の上部106に当接している。クランプ120は、支持部材100の上部106と当接した部分において、例えばボルトのような締結部材140によって支持部材100に締結されている。これにより、太陽電池モジュール10の側縁は、クランプ120の一部122と支持部材100の上部106との間に挟まれて固定される。
【0021】
太陽電池モジュール組立構造が互いに隣接する複数の太陽電池モジュール10を含む場合、支持部材100は、互いに隣接する太陽電池モジュール10の両側縁を支持可能に構成されていてよい(
図4参照)。この場合、互いに隣接する太陽電池モジュール10は、別のクランプ130によって支持部材100に固定されてよい。クランプ130は、
図4に示す断面において、支持部材100の上部106に当接する凹部134と、凹部を挟んで両側で太陽電池モジュール10の側縁の上面を覆う被覆部132と、を有していてよい。クランプ130は、凹部134において、例えばボルトのような締結部材140によって支持部材100に締結されている。これにより、両方の太陽電池モジュール10の側縁が、クランプ130と支持部材100の上部106との間に挟まれて固定される。
【0022】
クランプ120及び/又はクランプ130の長さは、1つの太陽電池モジュール10の一側辺とほぼ同等の長さ以上であってよい。すなわち、クランプ120及び/又はクランプ130の長さは、好ましくは1つの太陽電池モジュール10の一側辺の長さの90%以上、より好ましくは太陽電池モジュール10の一側辺の長さ以上であってよい。この場合、太陽電池モジュール10と当接するクランプ120及び/又はクランプ130の領域が広くなるため、クランプ120及び/又はクランプ130から太陽電池モジュール10に局所的に高い負荷がかかることを抑制することができる。
【0023】
クランプ120,130は、支持部材100の後述する立設部104に関して、一方側に偏倚した位置で、締結部材140によって支持部材100の上部106に締結されていてよい。
図3及び
図4に示す態様では、クランプ120,130を締結する締結部材140は、支持部材100の立設部104に関して、重し200が載せられている側に偏倚した位置に設けられている。この代わりに、締結部材140は、支持部材100の立設部104に関して、重し200が載せられている側とは反対側に偏倚した位置に設けられていてもよい。
【0024】
本実施形態では、重し搭載部110は、土台部102の上面のうち、重し200と当接する部分によって規定される。支持部材100は、土台部102から上方、すなわち設置面500から遠ざかる方向に向かって立設した立設部104を有する。モジュール支持部112は、立設部104の上端から設置面500に略平行な方向に延びている。したがって、支持部材100は、太陽電池モジュール10の一側辺に直交する面に沿った断面において、略「エ」の字形の断面を有していてよい。言い換えると、支持部材100は、概ね「H」の字を横向きにした形状を有していてよい(
図3,4参照)。
【0025】
重し200は、支持部材100の重し搭載部110上に載せられる。これにより、重し200は、荷重により支持部材100の土台部102を安定的に保持する。重し200の比重は、支持部材100の比重よりも大きいことが好ましい。例えば、重し200は、コンクリートブロックにより構成されていてよい。一方、支持部材100は、アルミのような比較的比重の小さい部材によって構成されていてよい。
【0026】
図2に示すように、重し200は、支持部材100の同一側に複数設けられていてもよい。具体的には、
図3及び
図4に示す断面において、重し200は、立設部104の一方側にのみ設けられていてよい。この代わりに、重し200は、立設部104の他方の側に設けられてもよい。
【0027】
立設部104から、重し200が載せられる側の土台部102の一端部までの距離L4は、立設部104から、重し200が載せられる側とは反対側の土台部102の他端部までの距離よりも長いことが好ましい。これにより、重し搭載部110の領域を広く確保することができる。特に、重し200が載せられる側の土台部102の一端部までの距離L4を長く確保すると、風等の負圧により重し200が載せられていない側の端部が上方に浮き上がることを抑制することができる。この目的のため、重し200は、立設部104に当接して配置されることが好ましい。より好ましくは、重し200は、設置面500に直交する方向において、少なくとも支持部材100の重心と重なる位置に配置される。これにより、支持部材100は、重心を基点とした回転方向の力に対してより安定的に維持されるため、風等の負圧による支持部材100の浮き上がりをより抑制することができる。
【0028】
本実施形態では、支持部材100は、重し200と接着材220の両方で、設置面500上に安定的に保持される。重し200の比重又はサイズが小さくても、接着材220の利用により、支持部材100は、安定的に設置面500上に固定される。したがって、重し200の荷重による屋根への負荷を軽減することができ、より耐荷重性の低い屋根に適用可能になる。また、傾斜の大きい屋根であっても、重し200の荷重だけで支持部材100を保持するわけではないため、重し200を重くしなくても安定的に支持部材100を保持することができる。また、重し200の比重又はサイズが小さくなれば、太陽電池モジュール10を設置する作業員の負担も軽減される。
【0029】
また、重し200のみで支持部材100を保持するのではなく、重し200と接着材220を併用することで、より安定的に支持部材100を設置面500上に固定できる。特に、接着材220は、弾性的な要素を持つため、設置面500が微小な多数の凹凸を有する場合であっても、支持部材100を安定的に設置面500に接着できる。
【0030】
また、太陽電池モジュール10に風などによる負圧がかかったときに、太陽電池モジュール10が浮き上がるような力、すなわち
図3及び
図4の紙面に直交する軸を中心とした回転方向のモーメントが、太陽電池モジュール10にかかる。
図3及び
図4に示すように、重し200が支持部材100の一方側に偏って設けられる場合、支持部材100が重し200のみで保持されていると、このモーメントに対する安定性が低くなることがある。本実施形態では、支持部材100が接着材220でも設置面500に固定されているため、このようなモーメントに対しても支持部材100は安定する。より支持部材100を安定させるため、土台部102に対する接着材220の塗布領域は、重し200が搭載された領域よりも広いことが好ましい。
【0031】
また、接着材220の少なくとも一部は、設置面500に直交する方向において重し200と重なる位置に設けられることが好ましい。これにより、重し200の荷重が、接着材220にかかり易くなるため、支持部材100と設置面500との間の接着力が安定し易くなる。
【0032】
支持部材100の安定性を向上させるため、少なくとも重し200の重心は、設置面500に直交する方向において重し搭載部110と重なることが好ましい。これにより、重し200の荷重を効果的に重し搭載部110に加えることができる。
【0033】
より好ましくは、土台部102の接着面に直交する方向から見て、重し200の少なくとも70%の領域が、重し搭載部110に搭載される。すなわち、
図3に示す断面において、重し搭載部110の幅L4が、重し200の幅L2の少なくとも70%であることが好ましい。いっそう好ましくは、土台部102の接着面に直交する方向から見て、重し200全体が、重し搭載部110に搭載される。すなわち、
図3に示す断面において、重し搭載部110の幅L4が、重し200の幅L2以上である。これにより、支持部材100の安定性をより向上させることができる。
【0034】
重し200の高さL1は、重し搭載部110からモジュール搭載部112までの高さL3の、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、いっそう好ましくは90%以上であってよい。重し200の高さL1が高いと、重し200が回転したときに重し200が支持部材100の上部106に当たるため、重し200が転がり落ちることを抑制することができる。
【0035】
図4に示すように、重し搭載部110の少なくとも一部は、土台部102の接着面に直交する方向から見て、モジュール支持部112と重なる位置に設けられることが好ましい。より好ましくは、重し搭載部110の全部が、土台部102の接着面に直交する方向から見て、モジュール支持部112と重なる位置に設けられる。設置面500に実質的に平行な面において重し200を設置するために必要なスペースが、太陽電池モジュールを設置するためのスペースと重複するため、太陽電池モジュール組立構造全体の設置スペースが小さくなる。言い換えると、複数の太陽電池モジュール10をより密に互いに近接して配置させることができる。さらに、意匠性の向上の観点から、重し200は、土台部102の接着面に直交する方向から見て少なくとも一方の太陽電池モジュール10に隠れる位置に設けられることが好ましい(
図4参照)。
【0036】
図示した実施形態では、太陽電池モジュール10の一側辺に沿って延びた支持部材100は、当該一側辺に沿う方向において一体に形成されている。この代わりに、支持部材100は、太陽電池モジュール10の一側辺に沿う方向に複数並んだ小部材によって構成されていてよい。この場合、当該小部材の各々は、
図3及び
図4に示す断面において、支持部材100と同じ形状を有する。言い換えると、支持部材100は、太陽電池モジュール10の一側辺に沿う方向において複数の同形状の小部材に分割されていてよい。この場合、重し200は、互いに隣接する小部材どうしに跨って配置されることが好ましい。これにより、支持部材100を構成する小部材の数よりも少ない重し200を利用して、すべての小部材を重し200で押さえることができる。なお、1つの支持部材100が複数の小部材から構成される場合、前述した支持部材100、土台部102及び上部106の長さは、複数の小部材を含めた支持部材100全体に基づき定義されることに留意されたい。
【0037】
また、前述したように、1つの支持部材100が、互いに並んだ複数の小部材から構成される場合、互いに隣接する小部材は、互いに間隔を開けずに並べられていてもよく、互いに間隔を開けて並べられていてもよい。いずれの場合であっても、重し200は、前述したように互いに隣接する小部材に跨るように配置されることが好ましい。
【0038】
(第2実施形態)
次に、
図5を用いて、第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造について説明する。
図5は、第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の断面図であり、具体的には
図1の3A-3A線に相当する位置での断面図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する。第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することに留意されたい。
【0039】
第2実施形態における支持部材100の形状が、第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、重し搭載部110は、重し搭載部110に沿った重し200のスライドを規制する突出部103を有する。突出部103は、土台部102から上方、すなわち設置面500から離れる方向に突出している。突出部103は、重し200がスライドしたとしても、重し200の下側部に当接することにより、重し200の滑り落ちを防止する。
【0040】
第2実施形態では、太陽電池モジュール10の縁辺に直交する断面における重し搭載部110の範囲は、突出部103と立設部104との間の範囲によって規定される。したがって、重し200は、突出部103、立設部104及び土台部102によって囲まれた領域に搭載される。
【0041】
(第3実施形態)
次に、
図6を用いて、第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造について説明する。
図6は、第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の断面図であり、具体的には
図1の3A-3A線に相当する位置での断面図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する。第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することに留意されたい。
【0042】
第3実施形態では、重し搭載部310は、土台部102を構成する部材に直接又は間接的に着脱可能に構成されている。具体的一例では、土台部102、立設部104及びモジュール支持部112は、
図6に示す断面において、一体的に略「エ」の字形の形状を有する。重し搭載部310は、重し200を下から支える下部312と、下部312の両端部において上方に突出する第1突出部314及び第2突出部316を有する。
【0043】
第1突出部314は、立設部104に対向し、ボルトのような締結部材380によって立設部104に締結される。これにより、重し搭載部310は、土台部102に対して直接又は間接的に着脱可能に構成されている。この場合、重し200を設置する必要がある場所にのみ、重し搭載部310を設置することができる。
【0044】
第2突出部316は、第2実施形態における突出部103と同様に重し200の滑り落ちを防止する。第2突出部316は、必要に応じて設けられればよく、不要であれば設けられていなくてよい。
【0045】
図6に示す態様では、重し搭載部310は、締結部材によって立設部104に直接取り付けられている。この代わりに、重し搭載部310は、別の部材を介して間接的に立設部104に取り付けられてもよい。また、重し搭載部310は、立設部104ではなく、土台部102又はモジュール支持部112に、直接又は間接的に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0046】
(第4実施形態)
次に、
図7を用いて、第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造について説明する。
図7は、第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の断面図であり、具体的には
図1の3A-3A線に相当する位置での断面図である。なお、以下では、第3実施形態と異なる構成について詳細に説明する。第3実施形態と同様の構成については、その説明を省略することに留意されたい。
【0047】
第4実施形態では、接着材220によって接着される土台部400は、重し搭載部310及びモジュール支持部112を構成する部材とは別部材によって構成されている。具体的には、土台部400は、重し搭載部310及びモジュール支持部112を構成する部材を受け入れ可能な箱型の形状を有する。重し搭載部310及びモジュール支持部112を構成する部材は、土台部400内に設けられている。言い換えると、前述した実施形態における支持部材100が、追加の土台部400及び接着材220を介して、間接的に設置面500に固定されているとも言える。なお、重し搭載部310及びモジュール支持部112等の形状は、図示したものに限らず、前述した種々の形状を有していてよい。
【0048】
(第5実施形態)
次に、
図8及び
図9を用いて、第5実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造について説明する。
図8は、第5実施形態に係る太陽電池モジュール組立構造の模式的斜視図である。
図9は、
図8の9A-9A線に沿った太陽電池モジュール組立構造の断面図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する。第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することに留意されたい。
【0049】
第5実施形態において、支持部材100の形状は、第1実施形態と概ね同様である。ただし、第5実施形態では、支持部材100の立設部104は、重し200が通過可能な貫通穴105を有する。重し搭載部110は立設部104の貫通穴105を跨いで設けられる。すなわち、重し200は、
図9に示す断面において、立設部104を跨って立設部104の両側に位置する。これにより、重し200は、土台部102により均一に荷重を与えることができるため、より安定的に支持部材100を支えることができる。また、重し200の荷重により、接着材220をより設置面500にくっつき易くすることもできる。
【0050】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0051】
10 太陽電池モジュール
100 支持部材
103 突出部
110,310 重し搭載部
112 モジュール支持部
200 重し
220 接着材
500 設置面