(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】寸法計測装置および配筋検査方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20230123BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20230123BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
G01B21/00 C
E04G21/16
E04G21/12 105Z
(21)【出願番号】P 2019005419
(22)【出願日】2019-01-16
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】竹内 啓五
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元信
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-293612(JP,A)
【文献】特開2007-066020(JP,A)
【文献】特開2008-107250(JP,A)
【文献】登録実用新案第3158838(JP,U)
【文献】実開昭60-137313(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00
E04G 21/16
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離寸法を計測するための寸法計測装置であって、
長尺の標尺本体と、標尺本体に設けられ、標尺本体の長尺方向に沿ってスライド移動可能であるとともにスライド移動した位置で標尺本体に固定可能な複数のマーカーと、標尺本体に設定した基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測する計測手段と、計測した距離を記録する記録手段と
、標尺本体に設けられ、計測した距離を表示するモニターとを備え、モニターに配筋検査用の検査基準値をデジタル表示するものであることを特徴とする寸法計測装置。
【請求項2】
検査基準値と、マーカーを用いて計測した配筋ピッチとを比較し、差がある場合に報知することを特徴とする請求項1に記載の寸法計測装置。
【請求項3】
モニターは、計測した距離をデジタル表示するデジタル表示部と、計測した距離を二次元バーコードで表示する二次元バーコード表示部とを有することを特徴とする請求項
1または2に記載の寸法計測装置。
【請求項4】
標尺本体は、配筋された複数の鉄筋間の配筋ピッチおよび鉄筋の径の少なくとも一方を計測する配筋検査用であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の寸法計測装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つに記載の寸法計測装置を用いて配筋検査を行う方法であって、配筋された鉄筋の近くに、目盛を有する標尺本体を配置して、標尺本体に沿ってマーカーをスライド移動させてマーカーを鉄筋の位置に合わせた後、基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測して、計測した距離を記録するとともに、標尺本体とマーカーと鉄筋とを一画面に収めた写真を撮影することを特徴とする配筋検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物の施工時の配筋検査において、鉄筋の配置間隔(配筋ピッチ)などを自動計測するのに好適な寸法計測装置および配筋検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート構造物の施工時の配筋検査では、配筋された鉄筋の径と配筋ピッチが設計に適合するかを確認するため、鉄筋にマーカー(例えばカラーマグネットやカラーホースの切れ端)を付けるとともに、鉄筋の近傍に標尺を設置して、これらを一画面に収めた写真を撮影し、現場の標尺または写真から標尺の目盛を読み取ることで鉄筋の径、ピッチを計測し、計測した値を数値データ化することで、検査を実施していた。この際、現場技術者が計測データをパソコン等に打ち直して検査一覧表を作成し、これを検査に使用していた。しかし、このような方法はアナログ的であるため、現場技術者に多大な手間がかかっていた。
【0003】
こうした手間を減らすようにした装置として、例えば特許文献1に記載の配筋測定装置が知られている。この装置は、矩形の白板および鉄筋を一画面に収めてカメラで撮影するとともに、レーザー距離計でカメラから白板までの距離を測定し、カメラと白板との位置関係を特定して、その位置関係に基づいて画像に含まれる鉄筋の径、ピッチを測定するものである。
【0004】
他方、目盛の読み取りを不要とし、長さなどを簡単かつ高精度に測定できるものさしとして、例えば特許文献2に記載のデジタル表示式ものさしが知られている。このものさしは、ものさし本体に目盛を有する目盛部を形成するとともに、この目盛部の目盛方向に沿ってガイドを形成し、このガイドに沿ってスライダを移動自在に装着し、このスライダにそのスライダの移動量を表示するデジタル表示器と、基線を有する基線プレートとを設けたものである。基線プレートの基線を測定対象部位の始端および終端に合わせると、その間の長さがデジタル表示器にデジタル表示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-15455号公報
【文献】特開平8-184427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の従来の特許文献1に記載の配筋測定装置は、レーザー距離計のような高精度距離計を要するとともに、複雑で高度な画像処理を伴うものであることから、装置コストが高くなるとともに、取り扱いが難しいという問題があった。また、上記の従来の特許文献2に記載のデジタル表示式ものさしは、配筋ピッチ等の複数区間の寸法を一度に計測したり、計測した結果を記録することはできないため、利便性が低いという問題があった。このため、配筋検査の手間を軽減するために、配筋ピッチ等を容易に計測することのできる安価な装置が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配筋ピッチ等の寸法を容易に計測することのできる安価な寸法計測装置および配筋検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る寸法計測装置は、距離寸法を計測するための寸法計測装置であって、長尺の標尺本体と、標尺本体に設けられ、標尺本体の長尺方向に沿ってスライド移動可能であるとともにスライド移動した位置で標尺本体に固定可能な複数のマーカーと、標尺本体に設定した基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測する計測手段と、計測した距離を記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の寸法計測装置は、上述した発明において、標尺本体に設けられ、計測した距離を表示するモニターをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の寸法計測装置は、上述した発明において、モニターは、計測した距離をデジタル表示するデジタル表示部と、計測した距離を二次元バーコードで表示する二次元バーコード表示部とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の寸法計測装置は、上述した発明において、標尺本体は、配筋された複数の鉄筋間の配筋ピッチおよび鉄筋の径の少なくとも一方を計測する配筋検査用であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る配筋検査方法は、上述した寸法計測装置を用いて配筋検査を行う方法であって、配筋された鉄筋の近くに、目盛を有する標尺本体を配置して、標尺本体に沿ってマーカーをスライド移動させてマーカーを鉄筋の位置に合わせた後、基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測して、計測した距離を記録するとともに、標尺本体とマーカーと鉄筋とを一画面に収めた写真を撮影することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る寸法計測装置によれば、距離寸法を計測するための寸法計測装置であって、長尺の標尺本体と、標尺本体に設けられ、標尺本体の長尺方向に沿ってスライド移動可能であるとともにスライド移動した位置で標尺本体に固定可能な複数のマーカーと、標尺本体に設定した基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測する計測手段と、計測した距離を記録する記録手段とを備えるので、例えば、従来のように標尺本体を配筋箇所に配置した後、マーカーを鉄筋の位置に合わせるだけで基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を記録することができる。このため、配筋ピッチや鉄筋の径などの寸法を容易に計測することができるとともに、配筋ピッチ等の複数区間の寸法を一度に計測することができ、配筋検査などの寸法検査の手間を軽減することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の寸法計測装置によれば、標尺本体に設けられ、計測した距離を表示するモニターをさらに備えるので、例えば、標尺本体とマーカーと検査対象の鉄筋とモニターとを一画面に収めた写真を撮影すれば、従来の写真撮影による検査と同様に、検査結果が判りやすくなるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の寸法計測装置によれば、モニターは、計測した距離をデジタル表示するデジタル表示部と、計測した距離を二次元バーコードで表示する二次元バーコード表示部とを有するので、例えば、このモニターの表示と検査対象とを一画面に収めた検査写真を撮影すれば、計測した距離の情報を写真の中に埋め込むことが可能となる。また、埋め込んだ情報は、バーコードリーダーなどを用いて比較的容易にパソコンなどの端末に取り込むことができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の寸法計測装置によれば、標尺本体は、配筋された複数の鉄筋間の配筋ピッチおよび鉄筋の径の少なくとも一方を計測する配筋検査用であるので、配筋ピッチや鉄筋の径を容易に計測することができ、配筋検査の手間を軽減することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る配筋検査方法によれば、上述した寸法計測装置を用いて配筋検査を行う方法であって、配筋された鉄筋の近くに、目盛を有する標尺本体を配置して、標尺本体に沿ってマーカーをスライド移動させてマーカーを鉄筋の位置に合わせた後、基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測して、計測した距離を記録するとともに、標尺本体とマーカーと鉄筋とを一画面に収めた写真を撮影するので、配筋検査の手間が軽減することに加え、従来の写真撮影による検査と同様に、判りやすい検査結果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係る寸法計測装置および配筋検査方法の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る寸法計測装置および配筋検査方法の実施の形態を示す配筋検査イメージ図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る寸法計測装置および配筋検査方法の他の実施の形態を示す配筋検査イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る寸法計測装置および配筋検査方法の実施の形態について、鉄筋の配筋検査に適用する場合を例にとり、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
(寸法計測装置)
まず、本発明に係る寸法計測装置の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る寸法計測装置10は、配筋ピッチおよび鉄筋の径の少なくとも一方(寸法)を自動計測するためのものである。この寸法計測装置10は、一定幅の長尺帯状に形成されたプラスチック製の標尺本体12と、長手方向へスライド移動自在に標尺本体12に装着された複数のマーカー14と、計測手段16と、記録手段18と、モニター20とを備える。標尺本体12、マーカー14、計測手段16は、例えば特許文献2に記載のデジタル表示式ものさしの構成要素を利用することができる。
【0021】
標尺本体12には、幅方向中央に目盛部22が、一方の側縁側に図示しないガイドがそれぞれ長手方向に沿って形成されている。目盛部22には、長手方向に沿って目盛が所定間隔(例えば5mm)で刻まれている。また、標尺本体12には、複数の電極を長手方向に一定ピッチ間隔で配列した図示しないメインスケールが貼り付けられている。なお、目盛部22は本発明に必須な構成ではないが、従来の写真撮影による配筋検査を可能とするために標尺本体12に形成されていることが望ましい。
【0022】
マーカー14は、標尺本体12の図示しないガイドに対してスライド移動自在に装着される。マーカー14は、スライド移動した位置でガイドとの摩擦力等により動かないように固定可能である。マーカー14は、目立つ色彩が施された三角形状のものであり、標尺本体12の長手方向に直角な方向に尖った頂点部24で目盛を指示可能である。なお、マーカー14の形状は三角形状のものに限るものではなく、例えば円形や四角形など、いかなる形状でもよい。
【0023】
計測手段16は、マーカー14の内部に設けられ、所定の基準位置(例えば標尺本体12の左端P0)からのマーカー14の移動量(距離)を検出する変位検出器を含んで構成される。この変位検出器は、標尺本体12に貼り付けられた図示しないメインスケールの電極と静電的に結合可能な電極を有するインデックススケールと、これら両スケールの相対移動に応じて変化する静電容量信号を処理してマーカー14の移動変位量に対応する電気信号(パルス)を出力する信号処理回路と、この信号処理回路からのパルス数をカウントして、計測データとして記録手段18に記録させるカウンタとから構成されている。
【0024】
記録手段18は、計測手段16による計測データを記録するメモリ等からなり、標尺本体12に設けられる。モニター20は、計測データや配筋検査用データをデジタル表示するためのデジタル表示器(デジタル表示部)であり、標尺本体12に設けられる。なお、モニター20には、図示しないキーボード等の入力手段から入力された検査基準値などもデジタル表示可能である。
【0025】
上記構成の動作および作用について説明する。
図2に示すように、略平行に配置された複数の鉄筋Sからなる配筋検査対象の部位に、スケール本体12を沿わせるとともに、各マーカー14を移動させてその頂点部24を鉄筋S位置(例えば鉄筋軸心C)に合わせる。こうすることで、基準位置P0から各マーカー14までの距離Lが計測手段16により自動的に計測されるとともに、計測データが記録手段18に自動的に記録される。その後、現場技術者が、記録手段18と図外のパソコン等とを接続して、記録手段18に記録された計測データをパソコン等で読み出し、計測データから隣り合うマーカー14間の長さを算定すれば、配筋ピッチMが求められる。求めた配筋ピッチMを一覧表にすることで、その検査一覧表を容易に作成することができる。
【0026】
本実施の形態によれば、従来のように標尺本体12を配筋箇所に配置した後、マーカー14を鉄筋Sの位置に合わせるだけで基準位置P0からマーカー14までの距離Lを記録することができる。このため、現場での目盛の読み取りや撮影写真からの目盛の読み取りを不要にでき、配筋ピッチMを間違いなく簡単かつ高精度に計測できる。また、記録手段18に自動的に記録された計測データを利用することで、従来の方法に比べて検査一覧表を容易に作成でき、現場技術者の作業手間を軽減することができる。これにより、施工現場の生産性向上が図れる。本実施の形態は、標尺本体12、マーカー14、計測手段16、記録手段18等という簡易な構成のため安価であるとともに、取り扱いも容易である。
【0027】
また、従来の写真撮影による検査のように、寸法計測装置10と鉄筋Sとを一画面に収めた写真を撮影すれば、従来と同様に検査結果を判りやすくすることができる。この場合、モニター20に各計測データをデジタル表示させておき、モニター20と標尺本体12とマーカー14と鉄筋Sとを一画面に収めた写真を撮影する。このようにすれば、撮影された写真からも計測データが所定の検査基準値に適合するか否かを視覚的に判断可能である。
【0028】
なお、このようにする代わりに、あらかじめモニター20に検査基準値をデジタル表示させておき、モニター20と標尺本体12とマーカー14と鉄筋Sとを一画面に収めた写真を撮影してもよい。
図2の例では、モニター20に配筋ピッチMの基準値として「250」(単位mm)がデジタル数値で表示された場合を示している。このようにすれば、撮影された写真からも配筋ピッチMが検査基準値に適合するか否かを視覚的に判断可能である。
【0029】
また、所定の操作(例えば、標尺本体12等に付属するボタン操作)に基づいて、検査基準値と配筋ピッチMとを比較し、差があるならその旨を例えば音声や数値の色変化等で報知してもよい。このようにすれば、検査手間をさらに軽減することができる。
【0030】
また、所定の操作(例えば、標尺本体12等に付属するボタン操作)に基づいて、モニター20の表示内容を検査基準値、二次元バーコード、計測データ、配筋ピッチ等に切り換え可能なようにしてもよい。このようにすれば、利便性をさらに向上することができる。
【0031】
上記の実施の形態においては、現場技術者が、記録手段18と図外のパソコン等とを接続して、記録手段18に記録された計測データをパソコン等で読み出し、計測データから隣り合うマーカー14間の長さを算定して配筋ピッチMを求める場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、寸法計測装置10が算定手段を備えるようにし、この算定手段が計測データから隣り合うマーカー14間の長さを算定して配筋ピッチMを求めるようにしてもよい。また、こうして算定した配筋ピッチMの数値をモニター20に表示させてもよい。このようにすれば、配筋ピッチMの算定手間を軽減することができる。また、上記の実施の形態において、計測手段16が各マーカー14間の距離を測定するようにしてもいい。その場合には、複数区間の配筋ピッチM等の寸法を計測するため、マーカー14は3つ以上であることが好ましく、そのうちの一つは基準位置P0に配置することが好ましい。
【0032】
また、記録手段18に記録された計測データを無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格でパソコンやタブレット等の端末に送信できるようにしてもよい。このようにすれば、利便性をさらに向上することができる。
【0033】
また、記録手段18には、一回の計測データのみ記録できるようにしてもよいし、複数の計測データを記録できるようにしてもよい。複数の計測データを記録する場合には、各計測データに対応付けて識別情報を記録する方がよく、この場合、当該識別情報は、撮影時の日付や時間、GNSSによる撮影位置の位置データ等のユニークなIDを用いればよく、それらの入力方法については音声入力やキーボード入力、スマートフォン等からの入力等、いずれの方法でもよい。
【0034】
また、上記の実施の形態において、配筋ピッチMを自動計測する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、鉄筋Sの径Dを自動計測するようにしてもよい。この場合、例えば、マーカー14を鉄筋Sの左側外縁と右側外縁とに合わせて距離Lを計測し、両者間の差を求めることによって径Dを計測する。これにより、配筋検査の手間を軽減することができる。
【0035】
また、上記の実施の形態において、モニター20は、例えば
図3に示すように、各計測データをデジタル表示するデジタル表示部20B(デジタル表示器)に加えて、各計測データを二次元バーコード(例えばQRコード(登録商標))で表示する二次元バーコード表示部20Aを有してもよい。モニター20の表示と検査対象とを一画面に収めた検査写真を撮影すれば、各計測データの情報を写真の中に埋め込むことが可能となる。埋め込んだ情報は、バーコードリーダーなどを用いて比較的容易にパソコンなどの端末に取り込むことができるので、端末による計測データの処理が可能となる。
【0036】
(配筋検査方法)
次に、本発明に係る配筋検査方法の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る配筋検査方法は、上記の寸法計測装置10を用いて配筋検査を行う方法である。この方法は、
図2に示すように、配筋された鉄筋Sの近くに、目盛部22を有する標尺本体12を配置して、標尺本体12に沿ってマーカー14をスライド移動させてマーカー14を鉄筋Sの位置に合わせた後、基準位置P0からマーカー14までの距離Lを計測して、計測した距離Lを記録するとともに、標尺本体12とマーカー14と鉄筋Sとを一画面に収めた写真を撮影するものである。このようにすれば、上述したように、配筋検査の手間が軽減することに加え、従来の写真撮影による検査と同様に、判りやすい検査結果を得ることができる。
【0037】
なお、本発明はこれに限るものではなく、上述したように、モニター20に各計測データや検査基準値をデジタル表示させておき、モニター20と標尺本体12とマーカー14と鉄筋Sとを一画面に収めた写真を撮影してもよい。
【0038】
以上説明したように、本発明に係る寸法計測装置によれば、距離寸法を計測するための寸法計測装置であって、長尺の標尺本体と、標尺本体に設けられ、標尺本体の長尺方向に沿ってスライド移動可能であるとともにスライド移動した位置で標尺本体に固定可能な複数のマーカーと、標尺本体に設定した基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測する計測手段と、計測した距離を記録する記録手段とを備えるので、例えば、従来のように標尺本体を配筋箇所に配置した後、マーカーを鉄筋の位置に合わせるだけで基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を記録することができる。このため、配筋ピッチや鉄筋の径などの寸法を容易に計測することができるとともに、配筋ピッチ等の複数区間の寸法を一度に計測することができ、配筋検査などの寸法検査の手間を軽減することができる。
【0039】
また、本発明に係る他の寸法計測装置によれば、標尺本体に設けられ、計測した距離を表示するモニターをさらに備えるので、例えば、標尺本体とマーカーと検査対象の鉄筋とモニターとを一画面に収めた写真を撮影すれば、従来の写真撮影による検査と同様に、検査結果が判りやすくなる。
【0040】
また、本発明に係る他の寸法計測装置によれば、モニターは、計測した距離をデジタル表示するデジタル表示部と、計測した距離を二次元バーコードで表示する二次元バーコード表示部とを有するので、例えば、このモニターの表示と検査対象とを一画面に収めた検査写真を撮影すれば、計測した距離の情報を写真の中に埋め込むことが可能となる。また、埋め込んだ情報は、バーコードリーダーなどを用いて比較的容易にパソコンなどの端末に取り込むことができる。
【0041】
また、本発明に係る他の寸法計測装置によれば、標尺本体は、配筋された複数の鉄筋間の配筋ピッチおよび鉄筋の径の少なくとも一方を計測する配筋検査用であるので、配筋ピッチや鉄筋の径を容易に計測することができ、配筋検査の手間を軽減することができる。
【0042】
また、本発明に係る配筋検査方法によれば、上述した寸法計測装置を用いて配筋検査を行う方法であって、配筋された鉄筋の近くに、目盛を有する標尺本体を配置して、標尺本体に沿ってマーカーをスライド移動させてマーカーを鉄筋の位置に合わせた後、基準位置からマーカーまでの距離または各マーカー間の距離を計測して、計測した距離を記録するとともに、標尺本体とマーカーと鉄筋とを一画面に収めた写真を撮影するので、配筋検査の手間が軽減することに加え、従来の写真撮影による検査と同様に、判りやすい検査結果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る寸法計測装置および配筋検査方法は、鉄筋コンクリート構造物の施工時の配筋検査において、鉄筋の配筋ピッチなどを自動計測するのに有用であり、特に、容易かつ安価に計測するのに適している。
【符号の説明】
【0044】
10 寸法計測装置
12 標尺本体
14 マーカー
16 計測手段
18 記録手段
20 モニター
22 目盛部
24 頂点部
C 軸心
D 径
L 距離
M 配筋ピッチ
P0 基準位置
S 鉄筋