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特許7214491かご型ロータ及びかご型ロータを製造するための方法
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  • 特許-かご型ロータ及びかご型ロータを製造するための方法 図1
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  • 特許-かご型ロータ及びかご型ロータを製造するための方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】かご型ロータ及びかご型ロータを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 17/16 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
H02K17/16 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019019348
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2019154224
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10 2018 001 587.5
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND-WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】クリストファ カストル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クラウィッツ
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187866(JP,A)
【文献】特開2016-63740(JP,A)
【文献】実開昭60-11660(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 17/16
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に、シャフト(2)と、内部に配置されたロータバー(4)及び短絡環(5)を有するロータ積層コア(3)とを有する、特に非同期機のためのかご型ロータ(1)であって、1つの短絡環(5)の少なくとも一部が、凹部(63)を有するディスク(6)で層状に構成されているディスクパケット(7)から成り、前記ディスクを通って、前記ロータバー(4)の端部が前記ロータ積層コア(3)から通過している、前記かご型ロータにおいて、
-1つの短絡環(5)の前記ディスクパケット(7)が同一の直径を有する複数の個別のディスク(6)で構成されていること、
-1つの短絡環(5)の隣り合うディスク(6)が、端面としてのジャケット面(61)を起点として、内側へ溶接深さ(t,t,t)まで径方向に延在する溶接結合部(71,72,73)を用いて外周にわたって結合されていること、及び
-互いに連続するディスク(6)の間の複数の溶接結合部(71,72,73)が軸方向に互いに連続する場合に、少なくとも1つの溶接結合部(71,72,73)の前記溶接深さ(t,t,t)が、残りの前記溶接結合部(71,72,73)の前記溶接深さ(t,t,t)とは異なっていること
を特徴とするかご型ロータ。
【請求項2】
互いに連続するディスク(6)の間の溶接結合部(71,72,73)が軸方向に互いに連続する場合に、前記溶接深さ(t,t,t)が、その延長部において交互に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項3】
溶接結合部(71,72,73)が軸方向に互いに連続する場合に、前記溶接深さ(t,t,t)が、外部からロータ積層コア(3)の方向へ小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項4】
最も浅い前記溶接深さ(t,t,t)が、少なくともロータバー(4)の径方向外側に位置する表面まで延在していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項5】
最も深い前記溶接深さ(t,t,t)が、最大でロータバー(4)の径方向内側に位置する表面まで延在していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項6】
前記溶接結合部(71,72.73)が、全外周において延びていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項7】
前記溶接結合部(71,72,73)が、電子ビーム溶接又はレーザビーム溶接を用いて製造されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項8】
前記ディスク(6)が2~10mm、好ましくは2~6mmの厚さを有していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項9】
前記ディスク(6)が、鋼合金、アルミニウム合金、銅又は銅合金、特にCu-Cr-Zr合金又はCu-Ag合金から成ることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のかご型ロータ(1)を製造するための方法において、
-ロータ積層コア(3)がシャフト(2)に配置されること、
-凹部(63)を有するディスク(6)から1つのディスクパケット(7)へ層状に結合される短絡環(5)が前記シャフト(2)に配置され、前記ロータバー(4)の端部が前記ロータ積層コア(3)から前記凹部(63)を通過することが可能であること、
-ロータバー(4)が、前記ロータ積層コア(3)の内部及び前記ディスク(6)の凹部(63)に配置されること、
-前記短絡環(5)の隣り合うディスク(6)が、端面としてのジャケット面(61)を起点として、内側へ径方向に溶接深さ(t,t,t)まで延在する溶接結合部(71,72,73)を用いて外周にわたって結合され、互いに連続するディスク(6)の間の複数の溶接結合部(71,72,73)が軸方向に互いに連続する場合に、少なくとも1つの溶接結合部(71,72,73)の前記溶接深さ(t,t,t)が、残りの前記溶接結合部(71,72,73)の前記溶接深さ(t,t,t)とは異なること
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文によるかご型ロータと、請求項10の前文による、かご型ロータを製造するための方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のかご型ロータは、溝を有するロータ積層コアと、溝内に設けられた良好な導電性を有する材料から成るロータバーとを含んでいる。ロータバーの端部は、ロータ積層コアの端面を越えて突出しているとともに、コンパクトな短絡環と硬質はんだ付けされているか、又は硬質溶接されている。ロータバーの端部は、短絡環においてねじ込まれた(eingedreht)リング溝へ突出し、当該リング溝は、硬質はんだのための土台を形成するとともに、硬質はんだで満たされている。ロータ積層コアが広がることと、妨げとなる振動とを防止するために、個別のコンパクトな圧力リングが、端面でロータ積層コアへ押圧される。さらに、ロータ積層コアの溝におけるロータバーの軸方向の変位を防止するために、ロータバーは、ロータ積層コアと機械的に固結されている。
【0003】
特許文献1から、ロータ巻線を有する同種のかご型ロータが知られている。ロータ巻線は導電性のロータバーを含んでおり、当該ロータバーは、ロータ積層コアの閉じられた溝に配置されているとともに、その端面を越えて突出している。突出した端部は、良好な導電性を有する短絡環と導電的に接続されている。短絡環は、ロータ積層体(Laeuferblech)に合わせて、溝付けされた積層コアとして良好な導電性の材料で形成されているとともに、端面の圧縮体(Druckkoerper)として全面において伝熱的にロータ積層コアと密に接触しつつその閉じられた溝においてロータバーと固結されている。特徴は、短絡環のための導電性の個々の積層体が、ロータ積層体よりも大きな厚さを備えているものの、そのほかにおいてはロータ積層体と同一の形状及び寸法を有していることである。かご型ロータの製造においては、短絡環及びロータ積層体が、共通にコア化(packetiert)されるとともに、端面で挿入されたロータバーを備えているとともに、その後、共通のコアを軸方向に押圧しつつロータバーの端部が短絡環と硬質はんだ付けされる。
【0004】
特許文献2から、短絡環を有する非同期機において用いるためのかご型ロータが知られている。短絡環はディスクパケットで構成されており、当該ディスクパケットは、凹部を有するディスクから層状に構成されており、凹部を通って、ロータ積層コアから成るかごバーの端部が貫通している。短絡環の各ディスクは、ジャケット面を起点として外周部にわたって、径方向に内側へ向いた少なくとも1つの面取り部又は段部を備えている。これにより、隣り合うディスクは、その各面取り部又は段部によって、ディスクパケットにおいて溝を形成し、当該溝には、接合結合部が形成されている。
【0005】
さらに、特許文献3から、短絡環がロータバーの端部に溶接されているかご型ロータが知られている。溶接継ぎ目は、傾斜部によって材料に形成された溝に沿って延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第3421537号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013005050号明細書
【文献】特開昭58-54845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎をなす課題は、かご型ロータの接合結合部を発展形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かご型ロータについては請求項1の特徴により表され、かご型ロータを製造するための方法については請求項10の特徴により表される。別の引用請求項は、本発明の有利な形態及び発展形態に関するものである。
【0009】
本発明は、選択的に、シャフトと、内部に配置されたロータバー及び短絡環を有するロータ積層コアとを有するかご型ロータを含んでおり、短絡環の少なくとも一部が、凹部を有するディスクで層状に構成されているディスクパケットから成り、ディスクを通って、ロータバーの端部がロータ積層コアから通過しており、短絡環のディスクパケットが同一の直径を有する複数の個別のディスクで構成されており、1つの短絡環の隣り合うディスクが、端面としてのジャケット面を起点として、径方向で内側へ溶接深さまで延在する溶接結合部を用いて外周にわたって結合されている。このとき、互いに連続するディスクの間の複数の溶接結合部が軸方向に互いに連続する場合に、少なくとも1つの溶接結合部の溶接深さが、残りの溶接結合部の溶接深さとは異なっている。かご型ロータは、特に非同期機における使用のために設けられている。
【0010】
このとき、本発明は、シャフト及び短絡環を有するロータ積層コアが接合過程後にコンパクトなかご型ロータ部材を生じさせるという考察に基づくものである。ロータ積層コア及び短絡環ではロータバーが貫通しており、当該ロータバーは、短絡環の材料と導電的に接続されている。このために、ロータバーは、ロータ積層コアに関して過剰長さを有しており、その結果、ロータバーは、凹部において短絡環へ突出している。短絡環は、ロータ積層コアの両側においてシャフトに位置決めされる。各短絡環は、同一の直径を有する複数の個々のディスクで構成されたディスクパケットから成っている。ディスク自体は、かご型ロータを構成するために必要なロータバーと同数の凹部をディスク面に備えている。まずは互いにばらばらに配置されたこれら個別部材は、1つのコンパクトなかご型ロータへ結合される必要がある。溶接過程は、ディスクの端面を起点として、各短絡環のジャケット面にわたってなされる。円筒としてのディスクの幾何形状を観察すると、ジャケット面は、端面の包囲面あるいは周面、すなわち、径方向に見て、表面の最も外側の範囲である。そして、円筒の基礎面あるいはカバー面は、その回転軸線に対して垂直なディスク面である。これにより、ディスクパケットに対して配置された隣り合うディスクが、全面で接触するか、又は溶接結合部が形成され得る非常にわずかな隙間のみを有することとなる。
【0011】
少なくとも1つの溶接結合部は、径方向に内側へ見て、少なくともロータバーへ到達する。したがって、バー範囲の周囲を、接合時にレーザビーム又は電子ビームを用いて生成される溶融物が流れ、バー範囲は、導電的にディスクと接続される。このとき、隣り合うディスクの互いに隣接したディスク面の間に1つの接合面のみが存在することが本質である。軸方向において連続して隣り合う溶接結合部は、互いには接触しないか、重なり合わない。溶接結合部は、ジャケット面に周設された途切れのない一様な溶接継ぎ目として構成されることが可能である。最適な電気的な結合に対する溶接過程による入熱を小さく維持するために、ロータバーまで達する最大の溶接深さを最も浅い溶接深さの少なくとも2倍とすることが可能である。
【0012】
換言すると:したがって、個別部分が電気的にも、また機械的にも互いに接合され得るように、少なくとも1つの溶接継ぎ目が、径方向において、隣り合うディスク間でロータバーのレベルまで延在している。このようにして、非同期機の動作時における送電のための十分な電気的な接触が形成される。各ディスクに設けられた凹部は、形状及び寸法においてロータバーに適合されているため、当該ロータバーは、わずかな遊びをもって位置決めされることが可能である。このとき、短絡環のディスクは、ストリップ材料から成る平坦に閉じられた個別部材であってよいか、又は開かれたディスクとしてスナップリングから同様に製造されることが可能である。各ディスクにおける凹部は、例えば、浸食され、穿孔され、又は打ち抜かれることが可能である。
【0013】
およそ3~7枚のディスクにより、あらかじめ完全な短絡環を構成することが可能である。これにより、接合結合部の数は相応にわずかであり、その結果、かご型ロータの経済的な製造が可能となる。
【0014】
特別な利点は、短絡環のジャケット面の近傍における外側の範囲での、密に隣接しているものの十分な接合範囲により、部材全体の十分な機械的な強度が存在することにある。同様に、短絡環とのロータバーの満足のいく電気的な接触も生じる。進行する接合方法のより大きな温度においても、残りの部材及び特にロータ積層コアに熱的に影響を与えることなく、2つのディスク間の接合隙間においてのみ局所的な加熱が生じる。短絡環に用いられる合金は、多くの場合、その良好な導電性により、十分な伝熱性を有しており、これにより、接合時にもたらされる熱エネルギーは、ヒートシンクによって迅速に排熱される。このようにして、個々のディスクは、外周部の範囲において接合されるとともに互いに固結される。
【0015】
本発明の好ましい形態では、互いに連続するディスクの間の溶接結合部が軸方向に互いに連続する場合に、溶接深さは、その延長部において交互に構成されることができる。これにより、より深い溶接結合部とより浅い溶接結合部の交互の順序により、一方では少なくともより深い溶接結合部によってロータバーへの良好な電気的な結合が行われ、より浅い溶接結合部によるわずかな入熱により、コンパクトな短絡環への十分な結合が得られる。所望の導電的な結合は、特に、個々のディスクの材料が一時的にジャケット面から局所的に溶融され、隣り合うディスクが接合隙間に沿ってバー端部の材料と結合されることによって遂行される。したがって、ロータバーと短絡環の間の特に良好な電気的な結合が形成される。
【0016】
有利には、溶接結合部が軸方向に互いに連続する場合に、溶接深さは、外部からロータ積層コアの方向へ浅くなるように構成されることが可能である。これにより、機械的な結合も、また導電的な結合も、十分な規模で形成され、加えて、ロータ積層コアの方向への、及び特にロータ積層コアの直近における溶接過程による入熱が最小化される。
【0017】
本発明の有利な実施形態においては、最も浅い溶接深さは、少なくともロータバーの径方向外側に位置する表面まで延在することが可能である。これにより、少なくとも、溶接結合部のうち1つによって、ロータバーへの良好な導電性を有する結合部が得られる。
【0018】
本発明の有利な実施形態においては、最も深い溶接深さは、最大でロータバーの径方向内側に位置する表面まで延在することが可能である。これにより、互いに連続する全てのディスク間に、ロータバーへの良好な導電性を有する結合部が溶接結合によって得られる。
【0019】
有利には、溶接結合部は、全外周において延びている。これにより、より深く位置するロータバーの範囲での外周部における局所的な溶接結合部のほかに、ロータバーへの良好な電気的な結合部と結合した均一な溶接継ぎ目と、ディスクの互いの良好な機械的な結合部とが得られる。
【0020】
本発明の有利な形態では、溶接結合部は、電子ビーム溶接又はレーザビーム溶接を用いて製造されることが可能である。特に、このような溶接結合部は、全周にわたって延びる接合結合部に特に適している。このとき、溶接ビードが、内部において、ディスク間で共通の接触面において生じるとともに、場合によってはできる限りわずかな入熱を考慮してロータバーにわたって内方へも達し得る。両接合結合態様は、機械的な強度に関連して良好な導電性を生じさせるものである。
【0021】
本発明の有利な実施形態においては、ディスクは、2~10mm、好ましくは2~6mmの厚さを有することが可能である。ディスクの厚さ自体は、打抜き又は他の分離方法によって、例えばストリップ材料から個別部材が作り出されることができるように選択されている。特に、2~6mmの好ましい厚さにおいては、ストリップ材料からの経済的な製造が保証されている。他方では、わずかなディスクによって完全な短絡環を構成することができるように、ディスクの厚さはできる限り厚く選択されるべきである。
【0022】
有利には、ディスクは、鋼合金、アルミニウム合金、銅又は銅合金、特にCu-Cr-Zr合金又はCu-Ag合金から成ることが可能である。各合金の選択は、十分な引張強度に関連したできる限り良好な導電性のバランスのとれた割合に基づいている。好ましい選択において挙げられた合金は、この要件を満たしている。合金タイプの選択における別の態様は、腐食に対するできる限りわずかな感受性でもある。
【0023】
本発明の別の態様は、本発明によるかご型ロータを製造するための方法を含んでおり、
-ロータ積層コアがシャフトに配置され、
-凹部を有するディスクから層状に1つのディスクパケットへ結合される短絡環がシャフトに配置され、ロータバーの端部がロータ積層コアから凹部を通過することが可能であり、
-ロータバーが、ロータ積層コアの内部及びディスクの凹部に配置され、
-短絡環の隣り合うディスクが、端面としてのジャケット面を起点として、内側へ径方向に溶接深さまで延在する溶接結合部を用いて外周にわたって結合され、互いに連続するディスクの間の複数の溶接結合部が軸方向に互いに連続する場合に、少なくとも1つの溶接結合部の溶接深さが、残りの溶接結合部の溶接深さとは異なっている。
【0024】
本発明の有利な実施形態においては、接合結合部の製造前にディスクパケット及びロータ積層コア自体をねじることが可能である。パケット全体をねじることにより、ロータバーが通常の位置から出るようにシャフトに対して平行にある程度の角度だけ回転する。このために、通常は、回転を可能とするように、ロータ積層コア及びディスクパケットにおけるややより大きな凹部を構成することが必要である。つづく接続結合部により、構造全体が安定する。ロータ積層コア及びディスクパケットにおける凹部を各ディスク主面に対して垂直ではなく、あらかじめ回転角度をもって形成することも考慮されている。このようにして、隙間が回転角度に適合され、これにより、パケットのより容易なねじりが可能であるか、又は設定されている。
【0025】
本発明の実施例を概略的な図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】かご型ロータの概略的な側面図である。
図2】短絡環の範囲Aにおける図1に基づく詳細図である。
図3】短絡環の別の詳細断面図Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
互いに対応する部材には、全ての図において同一の符号が付されている。
【0028】
図1には、かご型ロータ1の側面図が概略的に示されている。この状態では、ロータ積層コア3がシャフト2に位置決めされ、ロータ積層コア3を端面で閉鎖する2つの短絡環5と組み合わされている。ロータ積層コア3及び短絡環5の内部には、複数のロータバー4が配置されている。ロータバー4のバー端部41は、短絡環5の凹部63へ突出しているとともに、ディスクパケット7の最後のディスク6と同一平面で閉鎖している。この場合では、ディスクパケット7は、端面としてのジャケット面61を起点として外周にわたって溶接結合部71,72,73を用いて結合された4つのディスク6で構成されている。溶接結合部71,72,73は、内側にシャフト2の方向へある溶接深さまで径方向に延在している。図示の形態では、溶接結合部71,72,73は、径方向に見て異なる溶接深さにおいて、ロータバー4が設けられた凹部63まで達している。ディスク6の各基礎面あるいはカバー面62は互いに同一平面に位置している。
【0029】
図2には、短絡環の範囲Aにおける図1に基づく詳細断面図が示されている。短絡環5のディスクパケット7は、同一の直径を有する複数の個々のディスク6で構成されている。隣り合うディスク6は、端面としてのそのジャケット面61を起点として外周部にわたってそれぞれ溶接結合部71,72,73を用いて結合されており、これら溶接結合部は、内側へ径方向に溶接深さt,t,tまで延在している。溶接結合部71,72,73の溶接深さt,t,tは、互いに軸方向に連続するディスク6においてその溶接深さについてそれぞれ隣り合う溶接結合部71,72,73とは異なっている。ロータ積層コア3は、各ディスク6のジャケット面61と同一平面で閉鎖している。特に電子ビーム接合又はレーザビーム接合によって外周にわたって平滑に、ジャケット面61と同一平面に終わっている溶接結合部71,72,73が形成され得る。各溶接結合部71,72,73の深さは、ロータバーを電気的に最適に短絡環5へ結合させるためにロータバー4の範囲へ至っている。接合時には、レーザビーム又は電子ビームにより生じる溶融物がバー端部41の周囲を流れ、バー端部がディスク6と導電的に接続される。
【0030】
図3には、短絡環5の別の詳細図Aが示されている。軸方向に連続した溶接結合部71,72,73は、その溶接深さt,t,tについて、外部からロータ積層コア3の方向へ小さくなるように構成されている。これにより、導電的な接続が十分な規模で形成され、加えて、ロータ積層コアの方向における溶接過程による入熱が最小化される。
【符号の説明】
【0031】
1 かご型ロータ
2 シャフト
3 ロータ積層コア
4 ロータバー
41 バー端部
5 短絡環
6 ディスク
61 ジャケット面
62 基礎面あるいはカバー面
63 凹部
7 ディスクパケット
71 溶接結合部
72 溶接結合部
73 溶接結合部
溶接深さ
溶接深さ
溶接深さ
A 詳細図の一部
図1
図2
図3