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特許7214530マスクアセンブリ、これを含む蒸着設備、及びこれを利用する表示装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】マスクアセンブリ、これを含む蒸着設備、及びこれを利用する表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20230123BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230123BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230123BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019062407
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2019218625
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0068779
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウォンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム チョンポム
(72)【発明者】
【氏名】イ チョンテ
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207390(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0155818(US,A1)
【文献】国際公開第2018/051444(WO,A1)
【文献】特開2016-053526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01L 51/50-51/56
H01L 27/32
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に第1長さを有し、前記第1方向と交差する第2方向に第2長さを有し、前記第1長さは前記第2長さより長く、前記第1の長さ及び前記第2の長さによって第1開口部が画定されるフレームと、
前記第1開口部に重畳するように前記フレームに結合され、前記第1方向に延長され、前記第2方向に配列される複数の第1スティックと、
前記フレームと前記第1スティック上に配置され、前記第2方向に延長され、前記第1方向に配列され、各々に複数の第2開口部が設けられた複数のマスクと、を含み、
前記第1スティックの各々は、前記第2方向に対向する第1エッジと第2エッジを含み、前記第1方向と前記第2方向とで規定される平面上で前記第1スティックの中で最も外側に配置される最外側スティックの前記第1エッジと前記第2エッジの形状は、異なり、
前記最外側スティックの前記第1エッジと前記第2エッジのそれぞれの輪郭に沿った長さを直線にしたときの長さは、実質的に同一であるマスクアセンブリ。
【請求項2】
前記第1エッジ及び前記第2エッジいずれか1つは、非直線領域を含む、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項3】
前記最外側スティックにおいて、前記第1エッジ及び前記第2エッジのいずれか1つは、複数のスリット領域を含み、
前記複数のスリット領域は、前記最外側スティックの前記フレームに重畳する外側領域に比べ、前記最外側スティックの前記第2方向の中心から対応するエッジまでの長さが短いことを特徴とする、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項4】
前記フレームは、
前記第1方向に対向する第1延長部分及び第2延長部分と、
前記第2方向に対向し、各々が前記第1延長部分と前記第2延長部分を連結する第3延長部分及び第4延長部分と、を含む、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項5】
前記最外側スティックは、前記第2方向において対向し、前記第3延長部分と前記第4延長部分に各々隣接するように配置された第1最外側スティック及び第2最外側スティックを含み、
前記第1最外側スティックと前記第2最外側スティックとは、前記第1方向と平行な方向軸を基準に対称な形状を有する、請求項4に記載のマスクアセンブリ。
【請求項6】
前記最外側スティックは、前記第2方向において対向し、前記第3延長部分と前記第4延長部分に各々隣接するように配置された第1最外側スティック及び第2最外側スティックを含み、
前記複数の第1スティックは、前記第1最外側スティックと前記第2最外側スティックとの間に配置された内側スティックを含み、
前記平面上で、前記内側スティックの各々の前記第1エッジと前記第2エッジの形状は、前記第1方向と平行な方向軸を基準に対称である、請求項4に記載のマスクアセンブリ。
【請求項7】
前記第1延長部分及び前記第2延長部分の各々は、前記最外側スティックが結合される結合溝が設けられている、請求項4に記載のマスクアセンブリ。
【請求項8】
前記平面上で、前記複数の第1スティックの形状は、それぞれ同一である、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項9】
前記複数のマスクの各々は、前記複数の第2開口部が設けられた開口領域と前記開口領域を囲む非開口領域を含み、
前記最外側スティックの前記第1エッジ及び前記第2エッジの各々の前記開口領域に重畳する部分は、活性エッジ領域とされ、
前記最外側スティックの前記第1エッジの前記活性エッジ領域は、曲線領域を含み、
前記最外側スティックの前記第2エッジの前記活性エッジ領域は、スリット領域を含み、
前記スリット領域は、前記最外側スティックの前記フレームに重畳する外側領域に比べ、前記最外側スティックの前記第2方向の中心から前記第2エッジまでの長さが短い、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項10】
前記複数のマスクの各々は、前記複数の第2開口部が設けられた開口領域と前記開口領域を囲む非開口領域とを含み、
前記複数の第1スティックの各々の前記第1エッジの前記開口領域に重畳する部分は、活性エッジ領域とされ、
前記活性エッジ領域は、曲線領域を含む、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の第1スティックの各々の前記第2エッジの前記非開口領域に重畳する部分は、非活性エッジ領域とされ、
前記平面上で、前記非活性エッジ領域は、複数のスリット領域を含み、
前記スリット領域は、前記複数の第1スティックの各々の前記フレームに重畳する外側領域に比べ、前記複数の第1スティックの各々の前記第2方向の中心から前記第2エッジまでの長さが短い、請求項10に記載のマスクアセンブリ。
【請求項12】
前記第1開口部に重畳するように前記フレームに結合され、前記第2方向に延長され、前記第1方向に配列された複数の第2スティックをさらに含み、
前記複数の第2スティックの各々は、前記複数のマスクの中で隣接する2つのマスクの境界に重畳する、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項13】
前記複数の第2開口部の少なくとも一部は、前記第1スティックに重畳する、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項14】
チャンバーと、
前記チャンバーの内側に配置された蒸着ソースと、
前記チャンバーの内側に配置され、前記蒸着ソース上に配置され、処理基板を支持するマスクアセンブリと、を含み、
前記マスクアセンブリは、
第1方向に第1長さを有し、前記第1方向と交差する第2方向に第2長さを有し、前記第1長さは前記第2長さより長く、前記第1の長さ及び前記第2の長さによって第1開口部が設けられたフレームと、
前記第1開口部に重畳するように前記フレームに結合され、前記第1方向に延長され、前記第2方向に配列された複数の第1スティックと、
前記フレームと前記第1スティック上に配置され、前記第2方向に延長され、前記第1方向に配列され、各々に複数の第2開口部が設けられた複数のマスクと、を含み、
前記第1スティックの各々は、前記第2方向で対向する第1エッジと第2エッジを有し、前記第1方向と前記第2方向で規定される平面上において、前記第1スティックの中で最外側に配置された最外側スティックの前記第1エッジと前記第2エッジの形状は、異なり、
前記最外側スティックの前記第1エッジと前記第2エッジの開けた状態の直線上の長さは、実質的に同一である蒸着設備。
【請求項15】
チャンバーの内部に第1マスクアセンブリによって支持された処理基板を配置する段階と、
第1蒸着ソースから前記処理基板に第1蒸着物質を蒸着する段階と、を含み、
前記第1マスクアセンブリは、
第1方向の第1長さを有し、前記第1方向と交差する第2方向の第2長さを有し、第1長さは、第2長さより長く、第1開口部が定義されたフレームと、
前記第1開口部に重畳するように前記フレームに結合され、前記第1方向に延長され、前記第2方向に配列された複数のスティックと、
前記フレームと前記スティック上に配置され、前記第2方向に延長され、前記第1方向に配列され、各々に複数の第2開口部が定義された複数の第1マスクを含み、
前記スティックの各々は、前記第2方向で対向する第1エッジと第2エッジを含み、前記第1方向と前記第2方向が定義する平面上で前記スティックの中で最外側に配置された最外側スティックの前記第1エッジと前記第2エッジの形状は、異なり、
前記最外側スティックの前記第1エッジと前記第2エッジのそれぞれの輪郭に沿った長さを直線にしたときの長さは、実質的に同一である、表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記複数の第1マスクの各々は、前記複数の第2開口部が設けられた開口領域と前記開口領域を囲む非開口領域を含み、
前記処理基板は、複数のユニットセル領域を含み、前記複数のユニットセル領域の各々は、前記開口領域に重畳する表示領域及び前記表示領域に隣接し前記非開口領域に重畳する非表示領域を含む、請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記開口領域の中で前記スティックの中で隣接する2つのスティックの内側に配置されたユニットセル開口領域は、前記表示領域に整列されている、請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記処理基板から前記複数のユニットセル領域を分離する段階をさらに含む、請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1蒸着物質は、前記表示領域に蒸着されて有機発光ダイオードの発光層を構成する、請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記処理基板を前記第1マスクアセンブリから分離する段階と、
前記処理基板を第2マスクアセンブリに実装する段階と、
第2蒸着ソースから前記処理基板に前記第1蒸着物質と異なる第2蒸着物質を蒸着する段階と、をさらに含み、
前記第2マスクアセンブリは、前記第1マスクアセンブリの前記第1マスクの前記第2開口部と異なる配列の開口部を含む複数の第2マスクを含む、請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、より具体的にはマスクアセンブリ、これを含む蒸着設備、及びこれを利用する表示装置の製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
一般的に発光表示装置は画素毎に発光素子が配置される。発光素子は2つの電極の間に配置された発光層を含む。画素に配置される発光層は複数のグループに区分することができる。
【0003】
複数のグループの発光層を処理基板に蒸着するためにマスクアセンブリを利用する。マスクアセンブリはフレーム、支持スティック、及びマスクを含む。マスク上に処理基板を配置した後、発光物質を処理基板に蒸着することによってパターニングされた発光層を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許公開第2017/0365822号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は熱安定性が優れ、変形が少ないマスクアセンブリを提供することにある。
【0006】
本発明の目的はマスクアセンブリを含む蒸着設備を提供することにある。
【0007】
本発明の目的は不良率が減少された表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリは、フレーム、第1スティック、及びマスクを含む。フレームは長方形状を有し、第1方向の第1長さは第2方向の第2長さより長い。フレームに第1開口部が設けられる。第1スティックは第1開口部に重畳するようにフレームに結合される。第1スティックは第1方向に延長され、第2方向に配列される。マスクはフレームと第1スティック上に配置され、第2方向に延長され、第1方向に配列される。第1スティックの各々は第2方向で対向する第1エッジと第2エッジを有し、第1方向と第2方向によって規定される平面上で第1スティックの中で最外側に配置された最外側スティックの第1エッジと第2エッジの形状は異なる。最外側スティックの第1エッジと第2エッジのそれぞれの輪郭に沿った長さを直線にしたときの長さは実質的に同一である。
【0009】
第1エッジ及び第2エッジのいずれか1つは非直線領域を含むことができる。
【0010】
最外側スティックの第1エッジと第2エッジとのいずれか1つは複数のスリット領域を含むことができる。
【0011】
スリット領域は最外側スティックのフレームに重畳する外側領域に比べ、最外側スティックの第2方向の中心から対応するエッジまでの長さが短い。
【0012】
フレームは、第1方向に対向する第1延長部分及び第2延長部分と、第2方向に対向し、各々が第1延長部分と第2延長部分を連結する第3延長部分及び第4延長部分を含むことができる。
【0013】
最外側スティックは、第2方向に対向し、第3延長部分と第4延長部分に各々隣接するように配置された第1最外側スティック及び第2最外側スティックを含むことができる。
【0014】
第1最外側スティックと第2最外側スティックは第1方向と平行な方向軸を基準に対称な形状を有することができる。
【0015】
最外側スティックは、第2方向において対向し、第3延長部分と第4延長部分に各々隣接するように配置された第1最外側スティック及び第2最外側スティックを含むことができる。
【0016】
複数の第1スティックは第1最外側スティックと第2最外側スティックとの間に配置された内側スティックを含むことができる。
【0017】
第1方向と前記第2方向によって規定される平面上平面上で、内側スティックの各々の第1エッジと第2エッジの形状は第1方向と平行な方向軸を基準に対称である。
【0018】
第1延長部分と第2延長部分との各々には最外側スティックが結合される結合溝が定義されることができる。
【0019】
平面上で、複数の第1スティックの形状は、それぞれ同一であることができる。
【0020】
複数のマスクの各々は、複数の第2開口部設けられた開口領域と開口領域を囲む非開口領域を含むことができる。最外側スティックの第1エッジ及び第2エッジ各々の開口領域に重畳する部分は活性エッジ領域として設けられることができる。最外側スティックの第1エッジの活性エッジ領域は曲線領域を含むことができる。
【0021】
最外側スティックの第2エッジの活性エッジ領域はスリット領域を含むことができる。スリット領域は最外側スティックのフレームに重畳する外側領域に比べ、最外側スティックの第2方向の中心から第2エッジまでの長さが短い。
【0022】
複数のマスクの各々は、複数の第2開口部が設けられた開口領域と開口領域を囲む非開口領域を含むことができる。複数の第1スティックの各々の第1エッジの開口領域に重畳する部分は活性エッジ領域とされることができる。活性エッジ領域は曲線領域を含むことができる。
【0023】
複数の第1スティックの各々の第2エッジの非開口領域に重畳する部分は非活性エッジ領域とされることができる。平面上で、非活性エッジ領域は複数のスリット領域を含むことができる。
【0024】
スリット領域は複数の第1スティックの各々のフレームに重畳する外側領域に比べ、複数の第1スティックの各々の第2方向の中心から第2エッジまでの長さが短い。
【0025】
第1開口部に重畳するようにフレームに結合され、第2方向に延長され、第1方向に配列された複数の第2スティックをさらに含むことができる。
【0026】
複数の第2スティックの各々は複数のマスクの中で隣接する2つのマスクの境界に重畳することができる。
【0027】
複数の第2開口部の中で少なくとも一部は第1スティックに重畳することができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る蒸着設備は、チャンバー、チャンバーの内側に配置された蒸着ソース、及びチャンバーの内側に配置され、蒸着ソース上に配置され、処理基板を支持するマスクアセンブリを含む。マスクアセンブリは上述した特徴を有することができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法は、チャンバーの内部に第1マスクアセンブリによって支持された処理基板を配置する段階及び第1蒸着ソースから処理基板に第1蒸着物質を蒸着する段階を含む。第1マスクアセンブリは上述した特徴を有することができる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法は、処理基板から複数のユニットセル領域を分離する段階をさらに含むことができる。
【0031】
第1蒸着物質は表示領域に配置されて有機発光ダイオードの第1発光層を構成することができる。
【0032】
本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法は処理基板を第1マスクアセンブリから分離する段階、処理基板を第2マスクアセンブリに実装する段階、及び第2蒸着ソースから処理基板に第1蒸着物質と異なる第2蒸着物質を蒸着する段階をさらに含むことができる。
【0033】
第2マスクアセンブリは第1マスクアセンブリの第1マスクの第2開口部と異なる配列の第2開口部を含む複数の第2マスクを含むことができる。
【発明の効果】
【0034】
上述したことによれば、少なくとも最外側のスティックは長手方向に延長された第1エッジと第2エッジとを含み、第1エッジと第2エッジとは長手方向と平行な方向軸を基準に非対称形状を有する。第1エッジと第2エッジとのそれぞれの輪郭に沿った長さを直線にしたときの長さが実質的に同一であることによって、外部から印加される熱による最外側のスティックの変形を防止することができる。
【0035】
第2スティックはマスクに熱を提供する蒸着蒸気を遮断してマスクの変形を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る表示パネルの部分断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る蒸着設備の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの平面図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る内側スティックの平面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る最外側スティックの平面図である。
図5C】本発明の一実施形態に係る最外側スティックの平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る処理基板の平面図である。
図7図6に図示された1つのユニットセル領域に対する平面図である。
図8図7のAA領域の拡大された平面図である。
図9A】本発明の一実施形態に係る第1マスクの拡大された平面図である。
図9B図9Aに図示された第1マスクとユニットセル領域との配置関係を示した断面図である。
図9C】本発明の一実施形態に係る第2マスク及び第3マスクの拡大された平面図である。
図9D】本発明の一実施形態に係る第2マスク及び第3マスクの拡大された平面図である。
図10A】本発明の一実施形態に係る第1スティックの平面図である。
図10B】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの平面図である。
図10C図10Bのマスクアセンブリによって製造されたユニットセル領域の平面図である。
図11A】本発明の一実施形態に係る第1スティックの平面図である。
図11B図11Aの第1スティックを含むマスクアセンブリによって製造されたユニットセル領域の平面図である。
図12A】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの斜視図である。
図12B】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの平面図である。
図12C】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る蒸着設備の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の説明において、同一の符号は同一の構成要素を指すものとする。また、図面において、構成要素の厚さ、比率、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。「及び/又は」は連関付けられた構成を規定することができ、その中の1つ以上の組合を全て含む。
【0038】
第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲において、第1構成要素は第2構成要素と呼ぶことができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と呼ぶことができる。単数の表現は文脈上に明確に区別又は定義して表現しない限り、複数の表現を含む。
【0039】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」等の用語は図面に図示された構成の連関関係を説明するために使用される。用語は相対的な概念として図面に表示された方向を基準に説明される。
【0040】
「含む」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたことが存在することを表現しようするものであり、1つ又はその以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示パネルDPの断面図を示す。本実施形態において、表示パネルDPは発光表示パネルである。図1は、複数の画素の中で、1つの画素に対応する断面構造を示す。さらに詳細には、スイッチングトランジスタT1、駆動トランジスタT2、及び表示素子OLEDに対応する断面を示す。
【0042】
図1に示すように、表示パネルDPは、ベース層BL、ベース層BL上に配置された回路素子層DP-CL、回路素子層DP-CL上に配置された表示素子層DP-OLED、及び表示素子層DP-OLED上に配置された絶縁層TFL(以下、上部絶縁層と呼ばれるれる)を含む。
【0043】
ベース層BLは合成樹脂層を含む。表示パネルDPの製造時に使用される支持基板上に合成樹脂層を形成する。以後、合成樹脂層上に導電層及び絶縁層等を形成する。支持基板が除去されると、合成樹脂層はベース層BLに対応することとなる。
【0044】
回路素子層DP-CLは、少なくとも1つの絶縁層と回路素子とを含む。回路素子は、信号ライン、画素の駆動回路等を含む。コーティング、蒸着等による絶縁層、半導体層、及び導電層の形成工程とフォトリソグラフィー工程による絶縁層、半導体層、及び導電層のパターニング工程を通じて回路素子層DP-CLを形成することができる。
【0045】
本実施形態において、回路素子層DP-CLは無機膜であるバッファ膜BFL、第1中間無機膜10、及び第2中間無機膜20を含み、有機膜である中間有機膜30を含む。図1は、スイッチングトランジスタT1及び駆動トランジスタT2を構成する第1半導体パターンOSP1、第2半導体パターンOSP2、第1制御電極GE1、第2制御電極GE2、第1入力電極DE1、第1出力電極SE1、第2入力電極DE2、第2出力電極SE2の配置関係を例示的に示す。図1は、第1乃至第4スルーホールCH1乃至CH4も同様に例示的に示す。
【0046】
表示素子層DP-OLEDは発光素子を含む。表示素子層DP-OLEDは発光素子として有機発光ダイオードを含む。表示素子層DP-OLEDは画素画定膜を含む。例えば、画素画定膜は有機層である。
【0047】
中間有機膜30上に第1電極AEが配置される。第1電極AEは、中間有機膜30を貫通する第5スルーホールCH5を通して第2出力電極SE2に連結される。画素画定膜PDLには開口部OPが設けられる。画素画定膜PDLの開口部OPは、第1電極AEの少なくとも一部分を露出する。画素画定膜PDLの開口部OPは、他の開口部と区分するために発光開口部と呼ばれる。
【0048】
図1には示されないが、画素画定膜PDLの上面には画素画定膜PDLの一部分に重畳するスペーサが配置されてもよい。スペーサは画素画定膜PDLと一体の形状であってもよいし、或いは追加の工程によって形成された絶縁構造物であってもよい。
【0049】
図1に示すように、表示パネルDPは、発光領域PXAと発光領域PXAに隣接する非発光領域NPXAを含む。非発光領域NPXAは発光領域PXAを囲む。本実施形態において、発光領域PXAは、開口部OPによって露出された第1電極AEの一部領域に対応するように設けられる。
【0050】
正孔制御層HCLは、発光領域PXAと非発光領域NPXAとに共通に配置される。正孔制御層HCLは正孔輸送層を含み、正孔注入層をさらに含む。正孔制御層HCL上に発光層EMLが配置される。発光層EMLは開口部OPに対応する領域に配置される。即ち、発光層EMLは画素の各々に分離されて形成される。発光層EMLは有機物質及び/又は無機物質を含む。発光層EMLは所定の有色光を発光することができる。
【0051】
発光層EML上に電子制御層ECLが配置される。電子制御層ECLは、電子輸送層を含み、電子注入層をさらに含む。正孔制御層HCLと電子制御層ECLは、オープンマスクを利用して複数の画素に共通して形成される。電子制御層ECL上に第2電極CEが配置される。第2電極CEは複数の画素に共通的に配置される。
【0052】
第2電極CE上に上部絶縁層TFLが配置される。上部絶縁層TFLは複数の薄膜が含まれていてもよい。本実施形態で示すように、複数の薄膜は、機能的に区別することができる薄膜封止層TFEとキャッピング層CPLとを含むことができる。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態に係る蒸着設備DAの断面図を示す。図3は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAの斜視図を示す。図4は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAの平面図を示す。本実施形態に係る蒸着設備DAは、図1の表示パネルDP、特に発光層EMLの蒸着工程に用いることができる。
【0054】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る蒸着設備DAは蒸着チャンバーCB、蒸着チャンバーCBの内側に配置された蒸着ソースDS、蒸着チャンバーCBの内側に配置されたマスクアセンブリMSAを含む。マスクアセンブリMSAは処理基板WSを支持する。蒸着チャンバーCBの底面は、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2によって定義される面と平行である。蒸着チャンバーCBの底面の法線方向は、第3方向軸DR3によって示される。
【0055】
以下、第1乃至第3方向は第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3の各々が指し示す方向として定義され、各図において、同一の符号を用いて示される。以下で表現される「平面上で」は、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2によって定義される面と平行である面を基準に設定される。
【0056】
蒸着チャンバーCBは、蒸着条件を真空中で設定することができる。蒸着ソースDSは蒸着物質、例えば発光物質を蒸発させて、蒸着蒸気として噴出する。該当蒸着蒸気はマスクアセンブリMSAを通過して所定の薄膜パターンを有するように処理基板WSに蒸着される。
【0057】
図2には図示されないが、蒸着設備DAはマスクアセンブリMSAを保持する治具又はロボットアームがさらに含まれていてもよい。また、蒸着設備DAはインラインシステムを具現するための追加機械装置をさらに含むことができる。
【0058】
図2乃至図4に示すように、マスクアセンブリMSAはフレームFM、複数の第1スティックST1、及び複数の分割マスクMSKを含む。本発明の一実施形態において、マスクアセンブリMSAは他の種類のスティックをさらに含むことができる。
【0059】
フレームFMは、内側に開口部OP-F(以下、第1開口部)が設けられる。フレームFMは、平面視において長方形状を有する。フレームFMは、第1方向DR1に第1長さを有し、第1方向DR1と異なる第2方向DR2に第2長さを有する。本実施形態において、第1長さは第2長さより長いものとする。
【0060】
フレームFMは、その材料として金属物質で構成される。例えば、フレームFMは、熱膨張係数が小さいインバー合金(invar alloy)を含むことができる。フレームFMは、例えばニッケル(Ni)、ニッケルコバルト合金、ニッケル鉄合金等を含むことができる。フレームFMは4つの部分を含む。フレームFMは、第1方向DR1に対向する第1延長部分FM-1及び第2延長部分FM-2を含む。フレームFMは、第2方向DR2に対向し、各々が第1延長部分FM-1及び第2延長部分FM-2を連結する第3延長部分FM-3及び第4延長部分FM-4を含む。第1延長部分FM-1乃至第4延長部分FM-4は溶接等によって結合されるか、或いは一体の形状を有してもよい。
【0061】
フレームFMには複数の結合溝が設けられていてもよい。例えば、第1延長部分FM-1及び第2延長部分FM-2の各々には、第1スティックST1が結合される結合溝CGVが設けられていてもよい。第1スティックST1は、溶接によってフレームFMの結合溝CGVに結合することができる。
【0062】
第1スティックST1は、第1開口部OP-Fに重畳するようにフレームFMに結合される。第1スティックST1は、第1方向DR1に延長され、第2方向DR2に配列される。第1スティックST1は、その材料としてステンレススチールを含むことができる。第1スティックST1の各々は、結合溝CGVに結合される外側領域OAと第1開口部OP-Fに重畳する内側領域IAを含む。図3は、第1スティックST1の各々は2つの外側領域OAを含むことを示す。
【0063】
図3は、5つの第1スティックST1-1乃至ST1-5を例示的に示す。第1スティックST1の中で最も外側に配置された2つのスティックは、最外側スティックと定義され、2つの最外側スティックの間に配置された残りのスティックは、内側スティックと定義される。
【0064】
第1スティックST1の各々は、第2方向DR2に対向する第1エッジED1と第2エッジED2を有する。内側スティックST1-2乃至ST1-4の第1エッジED1と第2エッジED2は、第1方向軸DR1に対して対称な形状を有する。内側スティックST1-2乃至ST1-4は、互いに同一な形状を有してもよい。
【0065】
本実施形態において、最外側スティックST1-1、ST1-5と、内側スティックST1-2乃至ST1-4との形状は異なる。平面視において、最外側スティックST1-1、ST1-5の第1エッジED1と第2エッジED2の形状は異なる。第1スティックST1の形状に対する詳細な説明は、図5A乃至図5Cを参照して後述される。
【0066】
マスクMSKは、フレームFMと第1スティックST1上に配置され、第2方向DR2に延長され、第1方向DR1に配列される。マスクMSKはその材料として、熱膨張係数が小さいインバー合金を含む。マスクMSKは、例えばニッケル(Ni)、ニッケル-コバルト合金、ニッケル-鉄合金等を含む。
【0067】
マスクMSKの各々には、複数の開口部OP-M(以下、第2開口部)が設けられる。マスクMSKの各々は、第2開口部OP-Mが設けられた開口領域A-OPと開口領域A-OPを囲む非開口領域A-NOPとを含む。マスクMSKの各々は、第2方向DR2に沿って連続的に設けられた単一の開口領域A-OPを含む。第2開口部OP-Mが開口領域A-OP内で均一に配置される。
【0068】
開口領域A-OPは、マスクMSK長さの85%から95%の長さを有するように設けられる。開口領域A-OPの長さは、第2方向DR2において、マスクMSKの一端に最も隣接する開口部OP-MとマスクMSKの他端に最も隣接する開口部OP-Mとの間の最短距離として測定される。開口領域A-OPの一部分、即ち第2開口部OP-Mの一部は第1スティックST1と重畳する。
【0069】
マスクMSKは、フレームFMに溶接によって結合されていてもよい。図2には示されないが、マスクMSKの各々を第2方向DR2に引張させた状態でマスクMSKをフレームFMに溶接する。マスクアセンブリMSAはマスクの垂れを抑制するために、フレームFMに対応する大型マスクを適用する代わりに分割マスクMSKが用いられる。
【0070】
図4に示すように、1つの開口領域A-OPにおいて隣接する2つの第1スティックST1-1乃至ST1-5で分割された領域(即ち、隣接する2つのスティックST1-1乃至ST1-5の内側領域)は、ユニットセル開口領域A-OPUとして画定される。複数のユニットセル開口領域A-OPUは後述する処理基板WS(図6参照)の複数のユニットセル領域USに1対1に対応し、ユニットセル領域USの表示領域DP-DAを1対1に形成する。
【0071】
図2乃至図4に示すマスクアセンブリMSAは、非定型的な形状の表示領域DP-DA(図6及び図7参照)を含む処理基板WSの蒸着工程に用いられる。ここで、非定型的な形状とは、平面視で実質的に長方形状(コーナー角が90°又は90°ではなくても、90°に近い長方形状)ではない形状を意味する。例えば、非定型的な形状の表示領域DP-DAは一つの側のエッジが曲線を含むか、或いは凹状領域又は凸状領域を含むことができる。
【0072】
以下、図4、及び図5A乃至図5Cを参照してユニットセル開口領域A-OPUの構成をさらに詳細に説明する。図5Aは、本発明の一実施形態に係る内側スティックST1-2の平面図を示す。図5B及び図5Cは、本発明の一実施形態に係る最外側スティックST1-1、ST1-5の平面図を示す。
【0073】
非定型的な形状の表示領域DP-DA(図6及び図7参照)を形成するためには、図4に示されるユニットセル開口領域A-OPUも同様に非定型的な形状を有する。図5A乃至図5Cに示すように、非定型的な形状のユニットセル開口領域A-OPUを形成するために、第1スティックST1-1、ST1-2、ST1-5の第1エッジED1と第2エッジED2との中で少なくともいずれか1つは、非直線領域NSAを含む。言い換えれば、第1スティックST1-1、ST1-2、ST1-5は一定ではない幅(第1方向DR1に沿う最短距離)を有する。
【0074】
図5A乃至図5Cに示すように、第1スティックST1-1、ST1-2、ST1-5の第1エッジED1と第2エッジED2との各々は、活性エッジ領域AEAと非活性エッジ領域NAEAを含む。活性エッジ領域AEAと非活性エッジ領域NAEAとの各々は複数提供される。
【0075】
図5A乃至図5Cに示す活性エッジ領域AEAは、図4に示す開口領域A-OPに重畳する部分であり、図5A乃至図5Cに示す非活性エッジ領域NAEAは、図4に示す非開口領域A-NOPに重畳する部分である。第1エッジED1と第2エッジED2との中で少なくともいずれか1つの活性エッジ領域AEAは、曲線のような非直線領域含む。
【0076】
図4に示すように、最外側スティックST1-1、ST1-5により画定されるユニットセル開口領域A-OPUは、内側スティックST1-2により画定されるユニットセル開口領域A-OPUと同一形状を有する。最外側スティックST1-1、ST1-5のフレームFMに対する干渉を防止するために、即ち最外側スティックST1-1、ST1-5がフレームFMの第3及び第4延長部分FM-3、FM-4に重畳することを防止するために、最外側スティックST1-1、ST1-5は、図5B及び図5Cに示されるように第1方向軸DR1に対して非対称形状を有する。
【0077】
第1最外側スティックである第1スティックST1-1と、第2最外側スティックである第5スティックST1-5とは、第1方向軸DR1を基準として対称な形状を有する。したがって、第1スティックST1-1と第2スティックST1-2により画定されるユニットセル開口領域A-OPUと、第4スティックST1-4と第5スティックST1-5により画定されるユニットセル開口領域A-OPUとは、同一形状を有する。
【0078】
図5Aに示すように、内側スティックST1-2の第1エッジED1と第2エッジED2とが、第1方向軸DR1に対して対称である形状を有するので、外部から熱が伝導しても内側スティックST1-2の変形を最小化することができる。
【0079】
これに反して、図5B及び図5Cに示す最外側スティックST1-1、ST1-5の第1エッジED1と第2エッジED2は第1方向軸DR1に対して非対称な形状を有するので、外部から熱が伝導する場合、最外側スティックST1-1、ST1-5の変形が発生する可能性がある。本実施形態において、変形を防止するために最外側スティックST1-1、ST1-5は輪郭に沿った長さを直線にしたときの長さ(以下、基準長さとして定義する)が実質的に同一である第1エッジED1と第2エッジED2を有する。第1エッジED1と第2エッジED2の基準長さを実質的に同一に設定することによって、第1エッジED1と第2エッジED2の熱膨張変化量の差を最小化することができる。
【0080】
最外側スティックST1-1、ST1-5の第1エッジED1と第2エッジED2の基準長さを実質的に同一に設定するために第1エッジED1と第2エッジED2との中で少なくともいずれか1つは複数のスリット領域STAを含む。スリット領域STAの各々には少なくとも1つのスリットSTが設けられる。
【0081】
図5Bに示すように、最外側スティックST1-1、ST1-5の外側領域OAに比べ、スリット領域STAは、最外側スティックST1-1、ST1-5の第2方向DR2の中心に配置された中心線CLから対応する第2エッジED2までの長さが短い。図5Bは、第1距離D1と第2距離D2が比較できるように図示されている。少なくとも1つのスリットSTが設けられることによって、第2エッジED2の基準長さが増加している。
【0082】
上述した基準長さの「実質的に同一」は、第1エッジED1と第2エッジED2の熱膨張変化量の差が蒸着薄膜パターンの不良を発生させない程度の誤差範囲を含む。これは表示パネルの解像度及び/又はマスクMSKの解像度に応じて変わり、これに対する説明は表示パネルの製造方法を参照して後述される。
【0083】
図6は、本発明の一実施形態に係る処理基板WSの平面図を示す。図7は、図6に示す1つのユニットセル領域USに対する平面図を示す。図8は、図7のAA領域の拡大された平面図を示す。図9Aは、本発明の一実施形態に係る第1マスクMSK1の拡大された平面図を示す。図9Bは、図9Aに示す第1マスクMSK1とユニットセル領域USとの配置関係を示す断面図である。図9C及び図9Dは、本発明の一実施形態に係る第2マスクMSK2及び第3マスクMSK3の拡大された平面図を示す。
【0084】
図6に示す処理基板WSは、複数のユニットセル領域USを含む。複数のユニットセル領域USの各々は、処理基板WSでの工程が終了された後、分離されて表示パネルDP(図1)を形成する。
【0085】
図6乃至図8に示す処理基板WSは、図2乃至図5Cを参照して説明したマスクアセンブリMSAを用いて薄膜パターンを形成する前段階の状態を示す。図9Bを参照すれば、正孔制御層HCLまで形成された状態であることが分かる。
【0086】
図7は、長方形状の表示領域DP-DAではなく、4つのコーナー領域に曲線領域が配置された非定型的な表示領域DP-DAを示す。このような表示領域DP-DAは、図4に示すユニットセル開口領域A-OPUによって形成される。
【0087】
画素画定膜PDLは、表示領域DP-DAの全面に重畳するように配置される。画素画定膜PDLの一部は、非表示領域DP-NDAと重畳していてもよい。なお、図7は、長方形状の画素画定膜PDLを例示的に示したが、本実施形態はこのような態様に制限されるものではない。
【0088】
図8に示すように、画素画定膜PDLには3種の発光開口部が形成されてもよい。3種の発光開口部は面積によって区別される第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bを含む。第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bの面積は対応する画素の発光面積(又は第1電極の面積)と比例する。本実施形態において、第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bは緑色画素の発光素子、赤色画素の発光素子、青色画素の発光素子に各々対応する。
【0089】
緑色発光素子の発光層、赤色発光素子の発光層、及び青色発光素子の発光層を、第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bに各々対応するように形成するために、図9A図9C、及び図9Dの第1乃至第3マスクMSK1乃至MSK3が用いられる。
【0090】
図9Bは、処理基板WSが第1マスクMSK1上に配置された状態を示す。図9Bは、第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bに対応する3つの第1電極AE-G、AE-R、AE-Bを追加的に示す。図9Bは、先に説明した支持基板SSを追加的に示す。
【0091】
図9Aに示す第1マスクMSK1を含むマスクアセンブリMSA(図2参照)を用いて、正孔制御層HCL上に緑色発光層を形成する。以後、図9Cに示す第2マスクMSK2を含むマスクアセンブルMSA(図2参照)を用いて赤色発光層を形成し、図9Dに示す第3マスクMSK3を含むマスクアセンブリMSA(図2参照)を用いて青色発光層を形成する。以後、図1に示された電子制御層ECL等を追加に形成する。
【0092】
図9Aに示す第1マスクMSK1の第2開口部OP-MGは、第1発光開口部OP-Gに比べ、大きい面積を有する。マスクアセンブリMSAが蒸着チャンバーCBの内部に配置され、第1マスクMSK1と処理基板WSが整列された状態で、第1発光開口部OP-Gは第1マスクMSK1の第2開口部OP-MGの内側に配置されることが望ましい。図9Cに示す第2マスクMSK2と処理基板WSが整列された状態で、第2発光開口部OP-Rは第2マスクMSK2の第2開口部OP-MRの内側に配置されることが望ましい。図9Cに示す第3マスクMSK3と処理基板WSが整列された状態で、第3発光開口部OP-Bは第3マスクMSK3の第2開口部OP-MBの内側に配置されることが望ましい。
【0093】
反複される蒸着工程で発生した熱がマスクアセンブリMSAに伝導することによって(例えば、蒸着蒸気がマスクアセンブリMSAに蒸着されるとき、熱が伝達される)マスクアセンブリMSAに変形が発生する場合がある。図5A乃至図5Cを参照して説明した最外側スティックST1-1、ST1-5は、伝熱により変形が発生するおそれがある。最外側スティックST1-1、ST1-5の変形は、第1発光開口部OP-Gと第1マスクMSK1の第2開口部OP-MGの誤整列を発生させる可能性がある。これは結果的に蒸着薄膜パターンが第1発光開口部OP-Gの位置からずれてしまうという不良を発生させることとなる。
【0094】
図5A乃至図5Cを参照して説明したように、最外側スティックST1-1、ST1-5の変形を防止するために、第1エッジED1と第2エッジED2は実質的に同一な基準長さを有する。表示パネルの解像度及び/又はマスクMSKの解像度と連関付けられる基準長さの「実質的な同一」の範囲は以下の通りである。
【0095】
各解像度に対応する画素数は以下に示す表1の通りである。図8において、第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bの間隔の最小距離は解像度に応じて異なり、適宜設定される。
【表1】
【0096】
第1発光開口部OP-G、第2発光開口部OP-R、及び第3発光開口部OP-Bの間隔の最短距離RSD(以下、基準最短距離)が15μm以下である場合(即ち、UHD)、第1エッジED1と第2エッジED2の基準長さが実質的に同一であるということは、これらの長さ差が4.6%以下であることを意味する。基準最短距離が20μm以下である場合(即ち、QHD)、第1エッジED1と第2エッジED2の基準長さが実質的に同一であるということは、これらの長さ差が9.6%以下であることを意味する。基準最短距離が25μm以下である場合(即ち、FHD)、第1エッジED1と第2エッジED2の基準長さが実質的に同一であるということは、これらの長さ差が13.5%以下であることを意味する。
【0097】
図10Aは、本発明の一実施形態に係る第1スティックST1の平面図を示す。図10Bは、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAの平面図を示す。図10Cは、図10BのマスクアセンブリMSAによって製造されたユニットセル領域USの平面図を示す。図11Aは、本発明の一実施形態に係る第1スティックST1の平面図を示す。図11Bは、図11Aの第1スティックST1を含むマスクアセンブリによって製造されたユニットセル領域USの平面図を示す。以下、図1乃至図9Cを参照して説明した構成と同一の構成に対する詳細な説明は省略する。
【0098】
図10Aに示すように、第1スティックST1の第1エッジED1と第2エッジED2が第1方向軸DR1に対して非対称である形状を有する。第1エッジED1と第2エッジED2の基準長さは実質的に同一である。
【0099】
本発明の一実施形態において、スリット領域STAがユニットセル開口領域A-OPUの形状を変形させることを防止するために、スリット領域STAは非活性エッジ領域NAEA内に配置されることが望ましい。これは図10Bを参照すれば、確認することができる。
【0100】
図10Bに示すように、第1スティックST1-1乃至ST1-5は、図10Aに示す第1スティックST1と同一の形状を有する。図10Cは、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAを用いて形成された六角形状の非定型的な表示領域DP-DAを示す。先に説明したように、スリット領域STAは、ユニットセル開口領域A-OPUの形状に影響を及ぼさないので、六角形状の表示領域DP-DAにはスリット領域STAに対応する領域が発生しない。
【0101】
図11Aは、図5Bの第1最外側スティックST1-1の第1エッジED1と異なる形状の第1スティックST1を示す。図5Bの第1エッジED1の活性エッジ領域AEAが第2エッジED2に向かって凹形状を有するのに対し、図11Aに示す第1エッジED1の一部分は、第2エッジED2から遠ざかるように凸形状を有する。
【0102】
マスクアセンブリMSA(図10B参照)の第1スティックST1-1乃至ST1-5に、図11Aに示す第1スティックST1を全体に適用して蒸着工程を行えば、図11Bに示す非定型的な形状の表示領域DP-DAが形成される。図11Bは処理基板WSから分離されたユニットセル領域USを示したが、ベース層BL及び画素画定膜PDLも同様に非定型的な形状を有してもよい。
【0103】
図12Aは、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAの斜視図を示す。図12Bは、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAの平面図を示す。図12Cは、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリMSAの断面図を示す。以下、図1乃至図11Bを参照して説明した構成と同一の構成に対する詳細な説明は省略する。
【0104】
図12A及び図12Bに示すように、マスクアセンブリMSAは第2スティックST2をさらに含む。第2スティックST2は第1開口部OP-Fに重畳するようにフレームFMに結合される。第2スティックST2は第2方向DR2に延長され、第1方向DR1に配列される。第2スティックST2の各々の両側端部は、第3延長部分FM-3及び第4延長部分FM-4に設けられた結合溝CGVに挿入される。
【0105】
第2スティックST2は、第1方向DR1の幅が実質的に一定な直線形状である。少なくとも第2スティックST2の各々の第1開口部OP-Fに重畳する部分の幅は先の条件を満足する。これは、外部から伝導する熱による変形を防止するためである。
【0106】
図12Bに示すように、第2スティックST2は複数のマスクMSKの中で隣接する2つのマスクMSKの境界と重畳する。第2スティックST2は、隣接する2つのマスクMSKの非開口領域A-NOPとエッジが重畳する。第2スティックST2は第1スティックST1を支持し、蒸着蒸気が非開口領域A-NOPに蒸着されることを防止する。
【0107】
図13は、本発明の一実施形態に係る蒸着設備DAの断面図を示す。本実施形態に係る蒸着設備はインラインシステムによって動作する。なお、図13は、マスクアセンブリMSAをホールディングする機械的設備(以下、ホールディング設備)、マスクアセンブリMSAを移動させる機械的設備及びマスクアセンブリMSAから処理基板WSを分離する機械的設備は図示されていない。
【0108】
蒸着設備DAは、第1乃至第4アンローディング/ローディングチャンバーULC1乃至ULC4、及び第1乃至第3蒸着チャンバーCB1乃至CB3を含む。第1乃至第3蒸着チャンバーCB1乃至CB3の各々は図2に示すチャンバーCBと実質的に同一である。
【0109】
図13のマスクアセンブリMSA1乃至MSA3は先に説明したマスクアセンブリMSAの中のいずれか1つである。第1乃至第3蒸着チャンバーCB1乃至CB3に沿って搬送されるマスクアセンブリMSA1乃至MSA3のマスクの種類は異なっていてもよい。
【0110】
第1乃至第3蒸着チャンバーCB1乃至CB3の内部には、第1乃至第3蒸着ソースDS1乃至DS3が各々配置される。例えば、第1乃至第3蒸着ソースDS1乃至DS3は緑色発光物質、赤色発光物質、及び青色発光物質を提供する。
【0111】
第1アンローディング/ローディングチャンバーULC1の内部に配置された処理基板WSは、マスクアセンブリMSA1上に実装される。処理基板WSが整列されたマスクアセンブリMSA1は、ホールディング設備にローディングされる。マスクアセンブリMSA1は図9Aに示す第1マスクMSK1を含む。第1蒸着チャンバーCB1の内部に配置された処理基板WS上に、緑色発光物質の薄膜パターンを形成する。
【0112】
第2アンローディング/ローディングチャンバーULC2において、ホールディング設備から第1マスクMSK1を含むマスクアセンブリMSA1をアンローディングし、図9Cに示す第2マスクMSK2を含むマスクアセンブリMSA2をホールディング設備にローディングする。第2蒸着チャンバーCB2の内部に配置された処理基板WSに赤色発光物質の薄膜パターンを形成する。
【0113】
第3アンローディング/ローディングチャンバーULC3において、ホールディング設備から第2マスクMSK2を含むマスクアセンブリMSA2をアンローディングし、図9Dに示す第3マスクMSK3を含むマスクアセンブリMSA3をホールディング設備にローディングする。第3蒸着チャンバーCB3の内部に配置された処理基板WS上に青色発光物質の薄膜パターンを形成する。
【0114】
第4アンローディング/ローディングチャンバーULC4において、ホールディング設備から第3マスクMSK3を含むマスクアセンブリMSA3をアンローディングする。第4アンローディング/ローディングチャンバーULC4で、以後の追加工程のための段階がさらに遂行されることができる。
【0115】
以上では本発明の望ましい実施形態を、図面を参照して説明したが、該当技術分野の熟練された当業者又は該当技術分野に通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更することが可能であることを理解することができる。
【0116】
したがって、本発明の技術的範囲は本明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されることではなく、特許請求の範囲によって定めなければならない。
【符号の説明】
【0117】
CB:蒸着チャンバー
CGV:結合溝
DA:蒸着設備
DP:表示パネル
DS:蒸着ソース
FM:フレーム
MSA:マスクアセンブリ
MSK:マスク
NPXA:非発光領域
OLED:表示素子
PDL:画素画定膜
PXA:発光領域
ST1:第1スティック
US:ユニットセル領域
WS:処理基板
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13