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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
F26B9/06 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019080226
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020176786
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134028
【氏名又は名称】株式会社SCREEN SPE テック
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 将平
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-126980(JP,A)
【文献】特開平09-017736(JP,A)
【文献】特開平11-083316(JP,A)
【文献】特開2019-054112(JP,A)
【文献】特開平10-154688(JP,A)
【文献】実開平02-132942(JP,U)
【文献】実開平05-048334(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00-25/22
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を乾燥する乾燥装置であって、
筐体と、
前記複数の基板を収容するキャリアが、前記筐体の内部において載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記複数の基板よりも上側に設けられた給気口を有し、前記給気口から当該複数の基板に向けて乾燥用の気体を供給する気体供給部と、
前記載置部よりも下側に設けられた排気口を有し、前記気体を前記排気口から外部に排気する気体排出部と
を備え、
前記気体排出部は、前記気体の流れを整流する整流構造を有し、
前記排気口は複数設けられて、上側に開口しており、
前記気体排出部は、
それぞれ前記排気口を有し平面視において2次元的に分散して配置されている複数の排気管と、
吸引部と、
前記吸引部に接続する主管と、
上面と下面と側面とで区画された気液分離部と
を含み、
前記複数の排気管と前記主管との間に前記気液分離部が配置されている、乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥装置であって、
前記気体排出部は、前記整流構造として、前記気体を整流する排気側整流板を有する、乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の乾燥装置であって、
前記複数の排気管が均等間隔で配置されている、乾燥装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記気体排出部は、前記複数の排気管の少なくとも一つに設けられ、前記気体の流量を調整する流量調整部をさらに含む、乾燥装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乾燥装置であって、
前記複数の排気管の少なくとも一つには、前記流量調整部が設けられていない、乾燥装置。
【請求項6】
請求項から請求項5のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記気液分離部は、前記複数の排気管から流入される流体から気体と液体とを分離し、
前記主管は、前記気液分離部からの前記気体を外部に排出する排気主管を含み、
前記気体排出部は、前記気液分離部からの前記液体を外部に排出する排液管を含み、
前記複数の排気管は前記気液分離部の前記上面に接続され、
前記排気主管は前記気液分離部の前記下面の中央部に接続される、乾燥装置。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の乾燥装置であって、
前記気液分離部は、前記複数の排気管から流入する流体から気体と液体とを分離し、
前記主管は、前記気液分離部からの前記気体を外部に排出する排気主管を含み、
前記気体排出部は、前記気液分離部からの前記液体を外部に排出する排液管を含み、
前記複数の排気管は前記気液分離部の前記上面に接続され、
前記排気主管は前記気液分離部の前記側面に接続に接続される、乾燥装置。
を含む、乾燥装置。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記筐体の内部において、前記気体供給部の前記給気口と、前記複数の基板との間に設けられ、前記気体の流れを整流する供給側整流板をさらに備える、乾燥装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記給気口は複数設けられており、
前記気体供給部は、水平方向に沿って並んで配置された前記給気口を有するバーノズルを含む、乾燥装置。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記載置部は、前記キャリアを傾けた姿勢で載置する、乾燥装置。
【請求項11】
請求項10に記載の乾燥装置であって、
前記載置部は、互いに異なる2方向において、前記キャリアを傾けた姿勢で載置する、乾燥装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記筐体の外壁面に取り付けられた加熱部をさらに備える、乾燥装置。
【請求項13】
請求項12に記載の乾燥装置であって、
前記加熱部は、帯状の形状を有して前記筐体を囲む複数のラバーヒータを含み、
前記複数のラバーヒータは鉛直方向に沿って並んで設けられている、乾燥装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記筐体の内部に設けられた温度センサと、
前記温度センサの温度に基づいて前記筐体の開閉部材の開閉を制御する制御部と
をさらに備える、乾燥装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記筐体は、密閉筐体である、乾燥装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の乾燥装置であって、
前記キャリアは、前記複数の基板を、各基板の厚み方向が水平方向に沿う姿勢で収納する、乾燥装置。
【請求項17】
複数の基板を乾燥する乾燥装置であって、
筐体と、
前記複数の基板を収容するキャリアが、前記筐体の内部において載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記複数の基板よりも上側に設けられた給気口を有し、前記給気口から当該複数の基板に向けて乾燥用の気体を供給する気体供給部と、
前記載置部よりも下側に設けられた排気口を有し、前記気体を前記排気口から外部に排気する気体排出部と
を備え、
前記気体排出部は、前記気体の流れを整流する整流構造を有し、
前記排気口は複数設けられて、上側に開口しており、
前記気体排出部は、前記整流構造として、それぞれ前記排気口を有する複数の排気管を含み、
前記複数の排気管の前記排気口は、平面視において2次元的に分散して配置されており、
前記気体排出部は、
前記複数の排気管から流入される流体から気体と液体とを分離する気液分離部と、
前記気液分離部からの前記気体を外部に排出する排気主管と、
前記気液分離部からの前記液体を外部に排出する排液管と
を含み、
前記複数の排気管は前記気液分離部の上面に接続され、
前記排気主管は前記気液分離部の下面の中央部に接続される、乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の基板に対して一括で乾燥処理を行うバッチ式の基板乾燥装置が提案されている(例えば特許文献1)。これら複数の基板はキャリアに収納された状態で、基板乾燥装置に搬送される。基板乾燥装置は乾燥チャンバ内にキャリア受け部を備えており、このキャリア受け部は、複数の基板を収納したキャリアを受け取って支持する。
【0003】
乾燥チャンバの下部には、排気口が設けられている。また乾燥チャンバ内には、上部吹き出し部、ヒータ、および側部吹き出し部が設けられている。上部吹き出し部は、キャリアよりも上側に設けられており、キャリアに向けて乾燥用空気を吹き出す。ヒータは上部吹き出し部とキャリアとの間に設けられており、通気性を有している。ヒータは自身を通過する乾燥用空気を加熱する。側部吹き出し部はキャリアよりも側方に設けられており、キャリアに向けて乾燥用空気を吹き出す。
【0004】
ヒータを通過した乾燥用空気、および、側部吹き出し部から吹き出された乾燥用空気は、キャリア内の複数の基板の相互間を通過する。これにより、基板を乾燥させることができる。複数の基板の相互間を通過した乾燥用空気はキャリア受け部を通過し、その一部は排気口から排気され、残りの一部は再び乾燥チャンバの上部へと循環する。
【0005】
この基板乾燥装置は、イソプロピルアルコール(IPA)を使用しないので、環境負荷が小さく、またIPAを使用できない基板に対しても乾燥処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-244276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、複数の方向から乾燥用空気が合流するので、乱流等を生じさせ得る。これにより、洗浄液のミストが舞い上がって基板に付着したり、あるいは、パーティクルが舞い上がって基板に付着する可能性がある。
【0008】
そこで本願は、ミストまたはパーティクルの基板への付着を抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
乾燥装置の第1の態様は、複数の基板を乾燥する乾燥装置であって、筐体と、前記複数の基板を収容するキャリアが、前記筐体の内部において載置される載置部と、前記載置部に載置された前記複数の基板よりも上側に設けられた給気口を有し、前記給気口から当該複数の基板に向けて乾燥用の気体を供給する気体供給部と、前記載置部よりも下側に設けられた排気口を有し、前記気体を前記排気口から外部に排気する気体排出部とを備え、前記気体排出部は、前記気体の流れを整流する整流構造を有し、前記排気口は複数設けられて、上側に開口しており、前記気体排出部は、それぞれ前記排気口を有し平面視において2次元的に分散して配置されている複数の排気管と、吸引部と、前記吸引部に接続する主管と、上面と下面と側面とで区画された気液分離部とを含み、前記複数の排気管と前記主管との間に前記気液分離部が配置されている
【0010】
乾燥装置の第2の態様は、第1の態様にかかる乾燥装置であって、前記気体排出部は、前記整流構造として、前記気体を整流する排気側整流板を有する。
【0011】
乾燥装置の第3の態様は、第1または第2の態様にかかる乾燥装置であって、前記複数の排気管が均等間隔で配置されている
【0012】
乾燥装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記気体排出部は、前記複数の排気管の少なくとも一つに設けられ、前記気体の流量を調整する流量調整部をさらに含む。
【0013】
乾燥装置の第5の態様は、第4の態様にかかる乾燥装置であって、前記複数の排気管の少なくとも一つには、前記流量調整部が設けられていない。
【0014】
乾燥装置の第6の態様は、第から第5のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記気液分離部は、前記複数の排気管から流入される流体から気体と液体とを分離し、前記主管は、前記気液分離部からの前記気体を外部に排出する排気主管を含み、前記気体排出部は、前記気液分離部からの前記液体を外部に排出する排液管を含み、前記複数の排気管は前記気液分離部の前記上面に接続され、前記排気主管は前記気液分離部の前記下面の中央部に接続される。
【0015】
乾燥装置の第7の態様は、第4または第5の態様にかかる乾燥装置であって、前記気液分離部は、前記複数の排気管から流入する流体から気体と液体とを分離し、前記主管は、前記気液分離部からの前記気体を外部に排出する排気主管を含み、前記気体排出部は、前記気液分離部からの前記液体を外部に排出する排液管を含み、前記複数の排気管は前記気液分離部の前記上面に接続され、前記排気主管は前記気液分離部の前記側面に接続される。
【0017】
乾燥装置の第の態様は、第1から第のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記筐体の内部において、前記気体供給部の前記給気口と、前記複数の基板との間に設けられ、前記気体の流れを整流する供給側整流板をさらに備える。
【0018】
乾燥装置の第の態様は、第1から第のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記給気口は複数設けられており、前記気体供給部は、水平方向に沿って並んで配置された前記給気口を有するバーノズルを含む。
【0019】
乾燥装置の第10の態様は、第1から第のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記載置部は、前記キャリアを傾けた姿勢で載置する。
【0020】
乾燥装置の第11の態様は、第10の態様にかかる乾燥装置であって、前記載置部は、互いに異なる2方向において、前記キャリアを傾けた姿勢で載置する。
【0021】
乾燥装置の第12の態様は、第1から第11のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記筐体の外壁面に取り付けられた加熱部をさらに備える。
【0022】
乾燥装置の第13の態様は、第12の態様にかかる乾燥装置であって、前記加熱部は、帯状の形状を有して前記筐体を囲む複数のラバーヒータを含み、前記複数のラバーヒータは鉛直方向に沿って並んで設けられている。
【0023】
乾燥装置の第14の態様は、第1から第13のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記筐体の内部に設けられた温度センサと、前記温度センサの温度に基づいて前記筐体の開閉部材の開閉を制御する制御部とをさらに備える。
【0024】
乾燥装置の第15の態様は、第1から第14のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記筐体は、密閉筐体である。
乾燥装置の第16の態様は、第1から第15のいずれか一つの態様にかかる乾燥装置であって、前記キャリアは、前記複数の基板を、各基板の厚み方向が水平方向に沿う姿勢で収納する。
乾燥装置の第17の態様は、複数の基板を乾燥する乾燥装置であって、筐体と、前記複数の基板を収容するキャリアが、前記筐体の内部において載置される載置部と、前記載置部に載置された前記複数の基板よりも上側に設けられた給気口を有し、前記給気口から当該複数の基板に向けて乾燥用の気体を供給する気体供給部と、前記載置部よりも下側に設けられた排気口を有し、前記気体を前記排気口から外部に排気する気体排出部とを備え、前記気体排出部は、前記気体の流れを整流する整流構造を有し、前記排気口は複数設けられて、上側に開口しており、前記気体排出部は、前記整流構造として、それぞれ前記排気口を有する複数の排気管を含み、前記複数の排気管の前記排気口は、平面視において2次元的に分散して配置されており、前記気体排出部は、前記複数の排気管から流入される流体から気体と液体とを分離する気液分離部と、前記気液分離部からの前記気体を外部に排出する排気主管と、前記気液分離部からの前記液体を外部に排出する排液管とを含み、前記複数の排気管は前記気液分離部の上面に接続され、前記排気主管は前記気液分離部の下面の中央部に接続される。
【発明の効果】
【0025】
乾燥装置の第1、第3および第16の態様によれば、排気側において気体の流れを整流できる。これによれば、ミストまたはパーティクルが舞い上がって基板へ付着する可能性を低減できる。しかも、2次元的に配置された複数の排気口が整流板と同様に機能することができる。よって、排気側の気体の流れを整流できる。
【0026】
乾燥装置の第2の態様によれば、簡易に排気側の気体の流れを整流できる。
【0028】
乾燥装置の第4の態様によれば、複数の排気管を流れる気体の流速のばらつきを低減することができる。言い換えれば、排気側の気体の流れをさらに整流することができる。
【0029】
乾燥装置の第5の態様によれば、製造コストを低減することができる。
【0030】
乾燥装置の第6および第17の態様によれば、排気主管が気液分離部の下面の中央部に接続されているので、排気主管と複数の排気管の各々との間の距離のばらつきを低減できる。よって、気体の流速のばらつきを低減できる。つまり、排気側において気体の流れをさらに整流することができる。
【0031】
乾燥装置の第7の態様によれば、排気主管が気液分離部の側面に接続されているので、排気主管と複数の排気管の各々との間の距離のばらつきが大きい。しかるに、複数の排気管には、流量調整部が設けられているので、気体の流速のばらつきを低減することができる。つまり、排気側において気体の流れを適切に整流することができる。
【0033】
乾燥装置の第の態様によれば、供給側においても気体の流れを整流することができるので、ミストまたはパーティクルが舞い上がって基板に付着する可能性をさらに低減することができる。
【0034】
乾燥装置の第の態様によれば、供給側において、気体の流速分布のばらつきを低減することができる。言い換えれば、気体の流れを整流することができる。よって、ミストまたはパーティクルが舞い上がって基板に付着する可能性をさらに低減することができる。
【0035】
乾燥装置の第10の態様によれば、キャリアの上端面の上に残留した処理液の少なくとも一部を落下させることができる。
【0036】
乾燥装置の第11の態様によれば、キャリアの上端面から落下する処理液の量を増大できる。
【0037】
乾燥装置の第12の態様によれば、筐体の内部温度を向上することができる。
【0038】
乾燥装置の第13の態様によれば、筐体の内部空間の全体を加熱できる。
【0039】
乾燥装置の第14の態様によれば、筐体の内部温度に応じて開閉部材の開閉を制御するので、例えば内部温度が高いときのみ、キャリアの搬入のために開閉部材を開くことができる。これによれば、内部温度が低い状態でキャリアが搬入されることに起因した乾燥不良を回避できる。
【0040】
乾燥装置の第15の態様によれば、外気が筐体の内部に流入しにくい。よって、筐体の内部温度の低下を抑制でき、また筐体の内部へのパーティクルの混入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】乾燥装置の構成の一例を概略的に示す図である。
図2】気体排出部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図3】気体排出部の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
図4】気体排出部の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
図5】乾燥装置の上部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図6】乾燥装置の上部の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
図7】乾燥装置の構成の他の一例を概略的に示す図である。
図8】載置部の構成の一例を概略的に示す図である。
図9】乾燥装置の構成の他の一例を概略的に示す図である。
図10】乾燥装置の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
図11】乾燥装置の構成の他の一例を概略的に示す図である。
図12】キャリアの搬出入時の乾燥装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されており、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされ得る。また、図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0043】
第1の実施の形態.
<乾燥装置の構成>
図1は、乾燥装置1の構成の一例を概略的に示す図である。乾燥装置1は乾燥槽とも呼ばれる。この乾燥装置1は、複数の基板W1に対して一括して乾燥処理を行うことができるバッチ式の乾燥装置である。基板W1は、例えば、半導体基板であり、略円板形状を有している。乾燥装置1は、例えば25枚または50枚等の複数の基板W1に対して一括して乾燥処理を行うことができる。
【0044】
複数の基板W1は所定のキャリア90に収納されており、このキャリア90が不図示の搬送装置によって乾燥装置1の内部に搬入される。キャリア90は、各基板W1の厚み方向が略水平方向に沿う姿勢で、複数の基板W1を収納する。複数の基板W1はキャリア90の内部において、厚み方向に沿って間隔を空けて並んで収納される。以下では、複数の基板W1が並ぶ方向を前後方向とも呼び、前後方向および鉛直方向に垂直な方向を左右方向とも呼ぶ。
【0045】
乾燥装置1へのキャリア90の搬入時において、複数の基板W1およびキャリア90には、処理液が付着している。処理液は例えば純水である。この処理液は乾燥装置1よりも前の工程において、基板W1およびキャリア90に付着する。当該工程の具体的な一例として、複数の基板W1に対するバッチ式の洗浄処理を例示できる。この洗浄処理においては、複数の基板W1を収納したキャリア90を、貯留槽に貯留された純水に浸漬させる。これにより、複数の基板W1を一括して純水で洗浄することができる。キャリア90を純水から引き上げた状態では、複数の基板W1およびキャリア90には、純水が付着しており、これらの乾燥が望まれる。そこで、搬送装置は、このキャリア90を乾燥装置1に搬入する。
【0046】
図1を参照して、乾燥装置1は、筐体10と、載置部20と、気体供給部30と、気体排出部40と、制御部50とを含んでいる。
【0047】
筐体10はチャンバとも呼ばれ、その内部に処理空間を形成する。図1の例では、筐体10は、筐体本体11と、開閉部材12とを含んでいる。筐体本体11は例えば上側に開口する箱型の部材であり、開閉部材12はその筐体本体11の開口を閉じるように設けられている。図1の例では、開閉部材12は略板状の形状を有しており、その一端がヒンジ部13を介して筐体本体11に連結されている。開閉部材12はヒンジ部13を中心として開くことができる。開閉部材12が開くことによって、筐体本体11は開口する。ここでは、ヒンジ部13の回転を駆動する不図示の駆動部(例えばモータ)が設けられ、当該駆動部は制御部50によって制御される。言い換えれば、制御部50は開閉部材12の開閉を制御する。
【0048】
外部の搬送装置は、未乾燥の複数の基板W1を収納したキャリア90を、筐体本体11の当該開口を介して筐体10の内部へと搬入する。乾燥装置1は開閉部材12を閉じ、この状態で複数の基板W1に対して乾燥処理を行う。乾燥処理が終了すると、乾燥装置1は開閉部材12を再び開く。搬送装置は筐体本体11の開口を介して、筐体10の内部から外部へとキャリア90を搬出する。これにより、乾燥済みの基板W1およびキャリア90が乾燥装置1から搬出される。
【0049】
なお、開閉部材12および筐体本体11には、それぞれ係止構造(不図示)が設けられてもよい。開閉部材12が閉じた状態で係止構造が互いに係止することにより、開閉部材12がロックされる。この係止構造の係止/解除は制御部50によって制御される。
【0050】
載置部20は筐体10の内部に設けられており、キャリア90を載置する。図1の例では、載置部20は、載置板21と、囲い部22とを含んでいる。囲い部22は筒状の形状を有しており、その中空軸が鉛直方向に沿う姿勢で配置される。囲い部22は平面視において(つまり鉛直方向に沿って見て)、例えば、中空部を囲む略矩形状の形状を有する。囲い部22の平面視における一辺は例えば前後方向に沿う。
【0051】
載置板21はその厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で設けられる。載置板21は通気性を有しており、自身よりも上側の空間と、自身よりも下側の空間とを繋げる。例えば載置板21は網状の形状を有していてもよい。載置板21の周縁は略矩形状の形状を有しており、囲い部22の内周面に連結されている。
【0052】
図1の例では、キャリア90が載置板21の上に載置された状態で、囲い部22の上端は基板W1の上端よりも高くに位置している。つまり、囲い部22は複数の基板W1およびキャリア90を囲っている。
【0053】
気体供給部30は、載置部20よりも上側に設けられた給気口31aを有し、給気口31aから載置部20に向けて乾燥用の気体を供給する。乾燥用の気体としては、例えば窒素またはアルゴン等の不活性ガスを採用することができる。ここでいう不活性ガスとは、基板W1との反応性が低いガスをいう。乾燥用の気体の温度は高く、例えば、給気口31aにおける気体の温度は90℃以上である。
【0054】
図1の例では、気体供給部30は、ノズル31と、給気管32と、給気バルブ33と、加熱部34と、気体供給源35とを含んでいる。ノズル31は筐体10の内部において、載置部20よりも上側に設けられている。図1の例では、一対のノズル31が設けられており、これらは水平方向において向かい合っている。言い換えれば、一対のノズル31は略同じ高さ位置に設けられる。
【0055】
図1の例では、一対のノズル31は、前後方向に沿って見て、複数の基板W1の中心を通り鉛直方向に延在する基準線Q1に対して、互いに反対側に位置している。具体的な一例として、一対のノズル31は、基準線Q1に対して略対称となるそれぞれ位置に設けられる。
【0056】
各ノズル31は給気口31aを有している。各ノズル31は、例えば複数の給気口31aを有するバーノズルであってもよい。図1の例では、ノズル31は、略円筒形状を有するバーノズルである。例えばノズル31は前後方向に沿って延在しており、複数の給気口31aはこの前後方向に沿って並んで配置される。各給気口31aの開口軸は、基板W1に向けて斜め下方向に沿うように設定される。各ノズル31は給気口31aから基板W1に向けて斜め下方向に気体を吐出する。
【0057】
ノズル31は給気管32を介して気体供給源35に接続されている。気体供給源35は乾燥用の気体として、不活性ガスを給気管32に供給する。加熱部34は給気管32の途中に設けられており、給気管32の内部を流れる気体を加熱する。加熱部34は制御部50によって制御される。加熱部34の出口において気体の温度は例えば200[℃]程度である。気体の温度は給気管32を流れるにしたがって低下し、ノズル31の給気口31aにおいて例えば100[℃]程度となる。
【0058】
給気バルブ33は給気管32の途中に設けられており、給気管32の内部の流路の開閉を切り替える。給気バルブ33は制御部50によって制御される。給気バルブ33が給気管32の流路を開くことにより、気体供給源35からの気体が給気管32の内部の流路を流れてノズル31の給気口31aから吐出される。給気バルブ33は気体の流量を調整可能であってもよい。気体の流量は例えば200[L/min]程度に設定される。
【0059】
各ノズル31の給気口31aから吐出された高温の気体は基板W1へ向かって流れる。キャリア90の内部空間は上側にも下側にも開口しているので、当該気体はキャリア90の上側から複数の基板W1の相互間を経由してキャリア90の下側へと通過する。キャリア90の内部を通過した気体は続いて載置部20の載置板21を通過する。
【0060】
気体排出部40は載置板21よりも下側に設けられた排気口(図1では不図示)を有し、筐体10内の気体を当該排気口から外部へと排気する。気体排出部40は、排気主管46と、吸引部48を有している。排気主管46の内部の流路には、筐体10内の当該排気口から流入した気体が流れる。吸引部48は排気主管46の途中に設けられており、筐体10内の気体を吸引して外部へと排気する。吸引部48は例えば吸引ポンプを含んでいる。吸引部48は制御部50によって制御される。図1の例では、気体排出部40は排液管47(後述)も含んでいる。
【0061】
また、気体排出部40は、気体の流れを整流する整流構造41を有している。整流構造41の具体的な例については後に詳述する。
【0062】
制御部50は乾燥装置1を統括的に制御することができる。例えば制御部50は開閉部材12、気体供給部30の給気バルブ33、加熱部34、吸引部48を制御することができる。
【0063】
制御部50のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部50は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM(Random Access Memory)および制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどを備えて構成される。制御部50のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、乾燥装置1の各動作機構が制御部50によって制御される。なお制御部50の機能の一部または全部は、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0064】
<乾燥装置の動作の概要>
次に乾燥装置1の動作について概説する。まず制御部50は気体供給部30および気体排出部40を制御して、筐体10内の上部の給気口31aから高温の気体を供給させつつ、筐体10内の下部の排気口から気体を外部に排気させる。筐体10内には高温の気体が供給されるので、筐体10の内部温度は上昇する。筐体10の内部温度が十分に上昇すると、制御部50は開閉部材12の駆動部を制御して開閉部材12を開く。次に、外部の搬送装置は、未乾燥の複数の基板W1を収納したキャリア90を筐体10内に搬入して、載置板21の上に載置させる。次に、制御部50は開閉部材12の駆動部を制御して開閉部材12を閉じる。なお、制御部50は開閉部材12が開いている期間において、気体供給部30による給気および気体排出部40による排気を停止させてもよい。
【0065】
筐体10内において、給気口31aから吐出された高温の気体はキャリア90の内部を鉛直方向に沿って通過する。つまり、当該気体は複数の基板W1の相互間の空間を鉛直方向に沿って流れて、キャリア90の内部を通過する。キャリア90の内部を通過した気体は載置板21を通過し、気体排出部40によって筐体10の外部に排気される。
【0066】
高温の乾燥用の気体は基板W1およびキャリア90に付着した処理液を蒸発させ、あるいは、吹き飛ばすことができる。これにより、基板W1およびキャリア90を乾燥することができる。
【0067】
しかも、乾燥装置1においては、気体排出部40は整流構造41を有している。よって、基板W1よりも下流側(排気側)において気体の流れが整流する。気体の流れは空間的に連続するので、基板W1よりも下流側において気体の流れが整流すると、その上流側の基板W1の付近においても気体の流れを整えることができる。つまり、特に基板W1の付近および基板W1よりも下流側における気体の流れを層流に近づける、あるいは、層流にすることができる。さらに言い換えれば、平面視における気体の流速分布のばらつきを、特に基板W1の付近および基板W1の下流側において、低減することができる。
【0068】
これによれば、基板W1またはキャリア90に付着していた処理液(例えばリンス液)が吹き飛ばされてミストとなったとしても、当該ミストが舞い上がって再び基板W1に付着する可能性を低減することができる。あるいは、筐体10の内部にパーティクルが混入したとしても、そのパーティクルが舞い上がって基板W1に付着する可能性を低減することができる。
【0069】
<気体排出部の整流構造>
次に、整流構造41の具体的な例について説明する。図2は、気体排出部40の具体的な内部構成の一例を概略的に示す斜視図である。図2では、筐体10の内部を透過的に示している。気体排出部40は排気口42aを有しており、筐体10内の気体を排気口42aから外部へと排出する。図2の例では、排気口42aは筐体10の底面に設けられている。
【0070】
図2の例では、気体排出部40は整流構造41として、整流板(排気側整流板)44を含んでいる。整流板44は排気口42aよりも上側に設けられている。より具体的には、整流板44は載置部20(図2において不図示)と排気口42aとの間において、載置部20と鉛直方向で対向する位置に設けられる。整流板44は板状の形状を有しており、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で設けられている。図2の例では、整流板44の平面視における周縁は略矩形状の形状を有しており、整流板44の当該周縁は筐体10の内周側面に当接している。
【0071】
整流板44には、複数の貫通孔44aが形成されている。複数の貫通孔44aは厚み方向に整流板44を貫通する。図2の例では、各貫通孔44aは平面視において略円形の形状を有している。貫通孔44aの直径は例えば1~5[mm]程度に設定される。複数の貫通孔44aは平面視において2次元的に配置されている。ここでいう「2次元的な配置」とは、複数の配置対象物が1軸方向のみに沿って並ぶのではなく、平面的に分散して配置されていることを意味する。図2の例では、複数の貫通孔44aはマトリクス状に配置されている。図2では、4×7個の貫通孔44aが設けられているものの、貫通孔44aの個数は適宜に変更可能である。
【0072】
キャリア90の内部および載置板21を通過した乾燥用の気体は整流板44の各貫通孔44aを通過し、排気口42aから外部に排出される。当該気体が複数の貫通孔44aを通過することにより、当該気体の流れを整流することができる。言い換えれば、平面視における気体の流速分布のばらつきを低減することができる。
【0073】
図2の例では、気体排出部40は、複数の排気管42と、複数の流量調整部43とを含んでいる。複数の排気管42および複数の流量調整部43は後述のように、整流構造41としても機能する。また、気体排出部40は、気液分離部45と、排気主管46と、排液管47とを含んでいる。
【0074】
各排気管42の一端は筐体10の底面において、排気口42aとして上側に開口している。つまり、図2の例では、複数の排気口42aが設けられている。複数の排気口42aのうち少なくとも1つ以上の排気口42aは、載置部20と鉛直方向において対向する位置に設けられる。
【0075】
図2の例では、複数の排気口42aは平面視において2次元的に配置されている。図2の例では、排気口42aの平面視における面積は、整流板44の貫通孔44aの面積よりも大きい。また図2の例では、排気管42の個数(つまり排気口42aの個数)は整流板44の貫通孔44aの個数よりも少ない。具体的な一例としては図2においては、排気管42の個数は5つである。図2の例では、1つの排気管42の排気口42aは整流板44の略中央部と鉛直方向において対向している。残りの4つの排気管42の排気口42aは整流板44の4つの角部と鉛直方向においてそれぞれ対向している。なお、排気口42aの個数および配置態様は適宜に変更可能である。
【0076】
排気管42の途中には、流量調整部43が設けられている。流量調整部43は排気管42の内部を流れる気体の流量を調整することができる。流量調整部43は例えばダンパである。なおダンパはバルブの一種とみなすことができる。
【0077】
気液分離部45は複数の排気管42の他端(以下、接続端42bと呼ぶ)に接続されており、複数の排気管42から流入する流体から気体および水分を分離する。図2の例では、気液分離部45は筐体10よりも下側において筐体10と鉛直方向で対向する位置に設けられている。気液分離部45は上面45aと下面45bと側面45cとを有している。上面45aおよび下面45bは鉛直方向において向かい合っており、側面45cは上面45aの周縁と下面45bの周縁とを連結する。図2の例では、気液分離部45は略直方体形状を有しているので、上面45aおよび下面45bは略矩形状の形状を有している。図2の例では、複数の排気管42の接続端42bは気液分離部45の上面45aに接続されている。
【0078】
排気主管46の一端(以下、接続端46aと呼ぶ)は気液分離部45に接続されており、気液分離部45から流入された気体を外部へと排出する。図2の例では、排気主管46の接続端46aは気液分離部45の側面45cに接続されている。
【0079】
排液管47の一端は気液分離部45に接続されており、気液分離部45から流入された液体を外部へと排出する。図2の例では、排液管47の一端は気液分離部45の下面45bに接続されている。
【0080】
図2の例では、上述のように、排気管42の接続端42bは気液分離部45の上面45aに接続され、排気主管46の接続端46aは気液分離部45の側面45cに接続されている。この構造では、排気管42の接続端42bと排気主管46の接続端46aとの間の距離Dが、複数の排気管42の間においてばらつく。つまり、排気主管46に最も近い排気管42と排気主管46との間の距離Dと、排気主管46から最も遠い排気管42と排気主管46との間の距離Dとの差は大きくなる。
【0081】
よって、流量調整部43が気体の流量を制御しなければ、排気主管46に最も近い排気管42の内部を流れる気体の流速が、排気主管46から最も遠い排気管42の内部を流れる気体の流速に比べて、大きくなる。これによれば、気体の流速分布のばらつきが増大し得る。
【0082】
しかるに、図2の例では、各排気管42には流量調整部43が設けられている。この流量調整部43は各排気管42を流れる気体の流速のばらつきが所定の基準値よりも小さくなるように、各気体の流量を調整する。したがって、筐体10内の下部空間(排気側)を流れる気体の流速分布のばらつきをより高い精度で低減することができる。言い換えれば、排気側において気体の流れをより高い精度で整流することができる。
【0083】
なお、図2の例では、複数の排気管42の全てに流量調整部43が設けられているものの、必ずしもこれに限らない。少なくとも1つの排気管42に流量調整部43が設けられていれば、全ての排気管42に流量調整部43が設けられていない場合に比して、流速分布のばらつきを低減できる。そして、流量調整部43を有さない排気管42を使用することにより、製造コストを低減することができる。より具体的な一例として、排気主管46から最も遠い排気管42に対して流量調整部43が設けられていなくてもよい。これにより、製造コストを低減できる。しかもこの場合には、他の排気管42における気体の流量を調整することにより、全ての排気管42における気体の流速のばらつきを低減することもできる。つまり、製造コストを低減しつつも流速分布のばらつきを低減できる。
【0084】
また、図2の例において、複数の排気管42および流量調整部43によって十分に気体を整流できる場合には、整流板44は設けられなくてもよい。逆に、整流板44によって十分に気体を整流できる場合には、排気管42の個数は1つであってもよく、また、流量調整部43が設けられていなくてもよい。
【0085】
図3は、気体排出部40の内部構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。図3の例でも、筐体10の内部を透過的に示している。気体排出部40は整流構造41として、複数の排気管42を含んでいる。ただし、複数の排気管42のいずれにも流量調整部43が設けられていない。また気体排出部40は、図2と同様に、気液分離部45と、排気主管46と、排液管47とを含んでいる。
【0086】
図3の例では、各排気管42の一端である排気口42aは、図2と同様に、筐体10の底面において上側に開口している。複数の排気口42aは平面視において2次元的に配置されており、図3の例では、マトリクス状に配置されている。各排気口42aは例えば平面視において略円形の形状を有しており、その直径は、例えば20~50[mm]程度に設定され得る。排気口42aの個数は任意に設定できるものの、例えば9以上に設定される。各排気管42の接続端42bは気液分離部45の例えば上面45aに接続される。
【0087】
図3の例では、排気主管46の接続端46aは気液分離部45の下面45bに接続されている。排気主管46の接続端46aは、例えば、気液分離部45の下面の中央部に接続されていてもよい。これによれば、排気主管46の接続端46aは、複数の排気管42のうち比較的中央に位置する排気管42の接続端42bに最も近づく。よって、排気主管46の接続端46aと排気管42の接続端42bとの間の距離Dの、複数の排気管42におけるばらつきは、図2の態様に比して低減する。
【0088】
したがって、気体が排気主管46へと吸引されることによる、排気管42の内部の気体の流速のばらつきを低減することができる。しかも、この構造によれば、10個以上の排気口42aが2次元的に配置されているので、複数の排気管42が整流板として機能することができる。したがって、この構造によっても、筐体10内の下部空間(排気側)において気体の流れを整流することができる。言い換えれば、平面視における気体の流速分布のばらつきを低減することができる。
【0089】
図4は、気体排出部40の内部構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。図4の例では、載置部20よりも下側に位置する筐体10の下部(以下、筐体下部と呼ぶ)14は、筐体10の底面に向かって先細となる形状を有している。ここで、筐体下部14の開口面積を導入して説明する。ここでいう開口面積とは、筐体下部14の内周側面が水平断面において囲む面積を意味する。筐体下部14は、その開口面積が、筐体10の底面に向かって低減する形状を有している。
【0090】
気体排出部40は、排気管42と、気液分離部45と、排気主管46と、排液管47と、邪魔板49とを含んでいる。
【0091】
排気管42の排気口42aは筐体10の底面において上側に開口している。この排気口42aは、例えば、載置部20と鉛直方向において対向する位置に設けられる。排気管42の接続端42bは気液分離部45に接続されている。排気主管46および排液管47は気液分離部45に接続されている。
【0092】
邪魔板49は排気口42aよりも上側に設けられており、排気口42aと鉛直方向において対向している。この邪魔板49は載置部20と筐体10の底面との間に設けられる。邪魔板49は板状の形状を有しており、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で配置されている。邪魔板49は例えば平面視において略円形の形状を有している。邪魔板49の平面視における面積は、排気口42aの面積よりも大きくてもよい。
【0093】
筐体下部14の形状によれば、気体を排気口42aに導きやすい。その一方で、邪魔板49が設けられていなければ、排気口42aの中心を通り鉛直方向に沿って延在する中心軸に近い気体の流速が、当該中心軸から遠い気体の流速よりも高くなる。しかるに、図4の例では、邪魔板49が設けられているので、中心軸側の気体は邪魔板49の上面に衝突し、邪魔板49の周縁を回り込んで排気口42aへと流れる。これによれば、中心軸側の気体の流速が低下する。よって、平面視における流速分布のばらつきを低減することができる。言い換えれば、筐体10内の下部空間(排気側)において気体の流れを整流することができる。
【0094】
この構造において、気体排出部40の整流構造41は、実質的に、筐体下部14の形状、邪魔板49および排気管42によって構成される。
【0095】
なお、図3および図4の気体排出部40においても、必要に応じて整流板44が設けられてもよい。
【0096】
<供給側の整流>
次に、筐体10内の上部空間(供給側)の気体の流れについて述べる。図1の例では、気体供給部30は2つのノズル31を含んでおり、当該2つのノズル31は水平方向で隣り合う位置に設けられている。これによれば、単一のノズル31が気体を基板W1に向けて吐出する場合に比して、平面視における気体の流速分布のばらつきを低減することができる。
【0097】
また上述の例では、ノズル31は前後方向に沿って延在するバーノズルである。ノズル31は、前後方向に沿って並ぶ複数の給気口31aを有している。これによっても、平面視における気体の流速分布のばらつきを低減することができる。
【0098】
以上のように、図1の例では、筐体10内の上部空間(供給側)においても、気体の流れを整流することができる。気体の流れは空間的に連続するので、基板W1よりも上側および下側において気体の流れが整流すると、筐体10の全体において、気体の流れを整流することができる。言い換えれば、平面視における気体の流速分布のばらつきを、筐体10の全体において低減することができる。
【0099】
したがって、基板W1またはキャリア90に付着していた処理液が吹き飛ばされてミストとなったとしても、当該ミストが舞い上がって再び基板W1に付着する可能性をさらに低減できる。あるいは、筐体10の内部にパーティクルが混入したとしても、そのパーティクルが舞い上がって基板W1に付着する可能性をさらに低減することができる。
【0100】
なお、キャリア90と水平方向(例えば左右方向)で隣り合う領域において、乾燥用の気体を供給するノズル(つまり給気口)が設けられていなくてもよい。なぜなら、このようなノズルが設けられると、当該ノズルから基板W1へ向かって吐出される気体が、基板W1よりも上側のノズル31から供給される気体と衝突し、気流の乱れが生じ得るからである。
【0101】
図5は、乾燥装置1の上部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。図5の例でも、筐体10の内部を透過的に示している。図5の例では、乾燥装置1は、整流板(供給側整流板)38をさらに含んでいる。整流板38は気体供給部30の給気口31aよりも下側に設けられている。より具体的には、整流板38は給気口31aと載置部20との間において、載置部20と鉛直方向において対向する位置に設けられる。整流板38の構成は整流板44と同様である。
【0102】
図5の例では、気体供給部30は単一のノズル31を有している。ノズル31は整流板38の略中央部と鉛直方向において対向する位置に設けられている。ノズル31の下端には給気口31aが形成されている。ノズル31は給気口31aから下側へと乾燥用の気体を吐出する。ノズル31は平面視において略等方的に気体が広がるように、当該気体を吐出してもよい。
【0103】
気体供給部30のノズル31から吐出された気体は整流板38の貫通孔38aを通過して複数の基板W1へ向かって流れる。これによって、筐体10内の上部空間(供給側)においても、気体の流れを整流することができる。したがって、筐体10の全体において気体の流れを整流することができる。
【0104】
なお、図1の態様においても、整流板38が設けられても構わない。
【0105】
<載置部>
次に載置部20の囲い部22について説明する。上述の例では、囲い部22の上端は基板W1の上端よりも高い位置にあり、囲い部22は複数の基板W1およびキャリア90を囲っている。これによれば、例えば筐体10の内周側面で跳ね返った気体が基板W1へ向かって流れたとしても、その気体は囲い部22の外周面で跳ね返って囲い部22の外側を流れる。つまり、囲い部22の外側の側方から囲い部22の内部へと気体が流れることを阻止できる。これによれば、囲い部22内の気流の乱れ、つまり、複数の基板W1の近傍での気流の乱れを抑制することができる。
【0106】
<密閉筐体>
次に、筐体10についてさらに説明する。この筐体10は密閉筐体であってもよい。この場合、開閉部材12と筐体本体11との間は気密に封止される。例えば開閉部材12と筐体本体11との間には、Oリングなどの封止部材が設けられる。
【0107】
これによれば、乾燥処理において、外気が筐体10の内部にほとんど流入しない。よって、外気の流入に起因した筐体10内の気流の乱れを抑制することができる。したがって、ミストまたはパーティクルが舞い上がって基板W1に付着する可能性をさらに低減することができる。
【0108】
また、外気の温度は筐体10の内部温度に比べて低い。よって、低温の外気が筐体10内に流入すれば、筐体10の内部温度が低下する。これに対して、筐体10が密閉筐体であれば、低温の外気の流入に起因した内部温度の低下を抑制できる。したがって、内部温度の低下に起因した乾燥不良または乾燥時間の延長を抑制できる。
【0109】
また、外気が筐体10の内部に流入すれば、外部のパーティクルが筐体10の内部に混入する可能性がある。これに対して、筐体10が密閉筐体であれば、外部から筐体10の内部に混入するパーティクルも低減することができる。
【0110】
<給気管の配置態様>
図6は、乾燥装置1の上部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。開閉部材12は板状の形状を有しており、その下面には、気体供給部30の一対のノズル31が取り付けられる。一対のノズル31の前後方向における長さは互いに略等しい。また気体供給部30の給気管32は配管321~324を含んでいる。配管321は筐体10の内部において一対のノズル31の一方側(後方側)の端部同士を接続し、配管322は筐体10の内部において一対のノズル31の他方側(前方側)の端部同士を接続する。配管321および配管322は左右方向に沿って延在している。
【0111】
配管323は開閉部材12をその厚み方向に沿って貫通しており、その一端が配管321の左右方向の中央部に接続される。配管324は開閉部材12をその厚み方向に沿って貫通しており、その一端が配管322の左右方向の中央部に接続される。
【0112】
配管323の内部を流れる気体は配管321の中央部へ流入し、当該中央部から分岐して、それぞれ一対のノズル31の後方端に向かって配管321の内部を流れる。配管324を流れる気体は配管322の中央部へ流入し、当該中央部から分岐して、それぞれ一対のノズル31の前方端に向かって配管322の内部を流れる。各ノズル31はその両端から流入した気体を給気口31a(図6において不図示)から吐出する。
【0113】
以上のように、給気管32は開閉部材12をその厚み方向に貫通してノズル31に接続されている。よって、この給気管32は開閉部材12と筐体本体11との間に介在していない。したがって、開閉部材12と筐体本体11との間を封止しやすい。
【0114】
なお、図5の例でも、給気管32は開閉部材12をその厚み方向に貫通するので、開閉部材12と筐体本体11との間に介在していない。よって、図5の態様においても、開閉部材12と筐体本体11との間を封止しやすい。
【0115】
第2の実施の形態.
図7は、乾燥装置1Aの構成の一例を概略的に示す図であり、図8は、乾燥装置1Aの載置部20の構成を拡大して示す図である。図7では、前後方向に沿って見た乾燥装置1Aの構成が示され、図8では、左右方向に沿って見た載置部20の構成が示されている。
【0116】
乾燥装置1Aは、載置部20の構成を除いて、乾燥装置1と同様の構成を有している。乾燥装置1Aにおいては、載置部20はキャリア90を傾けた姿勢でキャリア90を支持する。図7および図8の例では、載置部20の載置板21の上面には、段差211および段差212が形成されている。段差211および段差212を構成する部材は載置板21の上面に固定される。段差211の高さは段差212の高さと異なっている。
【0117】
キャリア90は、例えば、フッ素樹脂によって構成されており、キャリア本体91と、支持脚92とを含んでいる。キャリア本体91は、複数の基板W1を収容する部材である。キャリア本体91は上側に開口しており、複数の基板W1は上側からキャリア本体91に挿入される。キャリア本体91は下側にも開口している。ただし、キャリア本体91は複数の基板W1を支持しており、複数の基板W1はキャリア本体91の下側の開口から落下することはない。
【0118】
支持脚92はキャリア本体91の下端から下側に延在している。図7の例では、一対の支持脚92が設けられており、これらは左右方向において間隔を空けて設けられている。以下では、一方の支持脚92および他方の支持脚92を区別する場合には、一方の支持脚92を支持脚92aと呼び、他方の支持脚92を支持脚92bと呼ぶ。図7の例では、支持脚92aが左側に位置し、支持脚92bが右側に位置する。図8の例では、支持脚92は前後方向に沿って延在しており、その前後方向における長さはキャリア本体91の長さに略等しい。
【0119】
段差211および段差212は例えば支持脚92bに対応して設けられている。段差211および段差212は前後方向において間隔を空けて並んで設けられている。段差211は段差212よりも前方側に設けられている。支持脚92bの前方端部は段差211の上に載置され、後方端部は段差212の上に載置される。段差211の高さは段差212の高さと異なっているので、左右方向に沿って見て、キャリア90は傾斜した姿勢で載置板21の上に載置される。図8の例では、段差211は段差212によりも低いので、キャリア90は、後方上端よりも前方上端が低くなる傾斜姿勢で載置される。左右方向に沿って見たキャリア90の傾斜角度(つまり前後方向に対する傾斜角)は例えば数度程度(例えば1.2度)に設定される。
【0120】
支持脚92aは、段差211および段差212の両方が設けられていない位置で載置板21の上に載置されている。よって、前後方向に沿って見ても、キャリア90は傾斜した姿勢で載置板21の上に載置される。具体的には、キャリア90は、左側上端が右側上端よりも低くなる傾斜姿勢で載置される。前後方向に沿って見たキャリア90の傾斜角度(つまり左右方向に対する傾斜角)は、例えば数度程度(例えば6度)に設定される。
【0121】
以上のように、図7および図8の例では、キャリア90は、互いに異なる2つの方向において傾斜した姿勢で、載置部20の載置板21の上に載置される。
【0122】
この載置姿勢による作用効果を説明するにあたって、まず、キャリア本体91の形状の一例について説明する。キャリア本体91は、前壁部911と、後壁部912と、側壁部913および側壁部914を有している。前壁部911および後壁部912は前後方向において互いに対向する。図7の例において、側壁部913は前壁部911の左側の端部と後壁部912の左側の端部とを連結し、側壁部914は前壁部911の右側の端部と後壁部912の右側の端部とを連結する。前壁部911、後壁部912、側壁部913および側壁部914によって囲まれた空間がキャリア90の内部空間に相当する。
【0123】
キャリア90が傾斜せずに載置されている状態において、側壁部913の上端面913aおよび側壁部914の上端面914aは前後方向に沿って延在する。乾燥装置1Aにおいては、キャリア90は左右方向に沿って見て傾斜した姿勢で載置されるので、この状態では、側壁部913の上端面913aおよび側壁部914の上端面914aも傾斜する(図8参照)。よって、上端面913aの上に残留した処理液はその傾斜に沿って上端面913aの上を流れ、その一部は上端面913aから落下する。処理液の残りの一部は上端面913aの上に残留するものの、その流れの軌跡上に残留する処理液の厚みは薄くなる。これによれば、処理液と周囲の空気との接触面積を向上することができ、処理液の蒸発を促進することができる。上端面914aも同様である。
【0124】
前壁部911の上端面911aは、上側に開口する略U字状の形状を有している。キャリア90が傾斜せずに載置されている状態において、上端面911aのU字状の中央部(底部)は左右方向に沿って延在する。乾燥装置1Aにおいては、キャリア90は前後方向に沿って見て傾斜した姿勢で載置されるので、この状態では、上端面911aの中央部も傾斜する。よって、上端面911aの中央部の上に残留した処理液は、その傾斜に沿って中央部の上を流れる。これにより、処理液の一部は上端面911aの中央部から落下する。また上端面911aの中央部の上に残留した処理液は中央部の一方の端(図7の例では左側の端)に集まる。
【0125】
さて、乾燥装置1Aが乾燥処理を終了すると、そのキャリア90は搬出されて、未乾燥の次のキャリア90が乾燥装置1Aに搬入される。以後、乾燥装置1Aは同様の動作により、順次に基板W1およびキャリア90を乾燥させる。このように複数のキャリア90が乾燥装置1Aに搬入される。この乾燥装置1Aの搬入時において、各キャリア90に残留する処理液の量および位置はばらつく。
【0126】
しかしながら、キャリア90が乾燥装置1A内の載置部20の載置板21の上に載置されると、上述のようにキャリア90が傾斜した姿勢で載置される。これにより、キャリア90の上端面911aの中央部の上の処理液の一部は落下しつつ、残りの一部は当該中央部の一方の端に集まる。したがって、上端面911aの中央部の上に残留する位置を、複数のキャリア90間において、より均一にすることができる。これによれば、複数のキャリア90間における乾燥の不均一を低減することができる。
【0127】
キャリア90の後壁部912の上端面も上側に開口する略U字状の形状を有していてもよい。この場合、後壁部912の上端面の上に残留する処理液は、前壁部911の上端面911aの上に残留する処理液と同様である。
【0128】
図7および図8の例では、側壁部913,914の上端面913a,914aは処理液が流れる方向に沿って直線的に延在しているのに対して、前壁部911の上端面911aは略U字状の形状を有している。よって、前壁部911の上端面911a上の処理液は側壁部913,914の上端面913a,914a上の処理液に比して落下しにくい。そこで、前後方向に沿って見たキャリア90の傾斜角度を、左右方向に沿って見たキャリア90の傾斜角度よりも高く設定してもよい。これにより、キャリア90をより安定に載置しつつも、処理液をより効果的に落下させることができる。
【0129】
第3の実施の形態.
図9は、乾燥装置1Bの構成の一例を概略的に示す図であり、図10は、乾燥装置1Bの構成の一例を概略的に示す斜視図である。乾燥装置1Bは加熱部60の有無を除いて、乾燥装置1と同様の構成を有している。加熱部60は筐体10の外壁面に取り付けられており、筐体10を介して筐体10の内部空間を加熱する。加熱部60は制御部50によって制御される。
【0130】
加熱部60は例えば複数のラバーヒータ61を含んでいる。図9および図10の例では、各ラバーヒータ61は帯状の形状を有している。ラバーヒータ61は、柔軟性を有する帯状の絶縁素材と、当該絶縁素材の内部で配策された発熱用の抵抗線とを含んでいる。図10の例では、ラバーヒータ61は筐体本体11の側壁部を外側から囲んでいる。ラバーヒータ61は筐体本体11の側壁部の外周面に密着しているとよい。これにより、筐体本体11へと熱を効率的に伝達できる。
【0131】
図9および図10の例では、複数のラバーヒータ61は鉛直方向に沿って間隔を空けて並んで設けられている。少なくとも1つのラバーヒータ61は、基板W1を囲む高さ位置に設けられるとよい。これにより、当該ラバーヒータ61は筐体10の内部空間のうち特に基板W1の周縁を加熱することができる。また、他の少なくとも1つのラバーヒータ61は基板W1よりも上側の位置に設けられてもよく、他の少なくとも1つのラバーヒータ61は基板W1よりも下側の位置に設けられてもよい。このようにラバーヒータ61が基板W1に対して上側および下側の両方の位置に設けられていれば、乾燥対象となる基板W1の周縁の空間を効果的に加熱できる。
【0132】
開閉部材12が閉じており、かつ、気体供給部30が高温の気体を供給していない状態において、加熱部60は筐体10の内部温度を例えば60度以上(例えば70度程度)に昇温する。
【0133】
さて、キャリア90の搬出時の開閉部材12の開動作によって、低温の外気が筐体10の内部に流入する。もし加熱部60が設けられていない場合には、キャリア90の搬出時において筐体10の内部温度は50度程度以下まで低下する。これに対して、加熱部60が筐体10の内部空間を加熱している場合には、キャリア90の搬出時における筐体10の内部温度は70度程度まで低下する。つまり、加熱部60により、キャリア90の搬出時における筐体10の内部温度の低下を抑制することができる。
【0134】
よって、次の未乾燥のキャリア90を搬入して開閉部材12を閉じたときには、筐体10の内部温度は比較的高い値(例えば70度程度)から昇温する。これにより、乾燥処理時において適した温度に達するまでの時間を短縮することができる。言い換えれば、乾燥処理のスループットを向上することができる。
【0135】
しかも、加熱部60は筐体10の内部に設けられておらず、筐体10の外部に設けられている。これによれば、加熱部60に起因したパーティクル(例えば絶縁素材の剥離)が発生したとしても、その発生個所が筐体10の外部なので、当該パーティクルが筐体10の内部の基板W1に付着する可能性は低い。つまり、加熱部60が筐体10の内部に設けられている場合に比べて、パーティクルが基板W1に付着する可能性を低減することができる。
【0136】
図11は、乾燥装置1Cの構成の一例を概略的に示す図である。乾燥装置1Cは温度センサ70の有無を除いて、乾燥装置1Bと同様の構成を有している。
【0137】
温度センサ70は筐体10の内部温度を測定する。図11の例では、温度センサ70は筐体10の内部に設けられており、より具体的な一例として、温度センサ70は水平方向において載置部20と隣り合う位置に設けられる。これにより、温度センサ70は、複数の基板W1の近傍における内部温度を測定することができる。なお温度センサ70は囲い部22の内部に設けられてもよい。これによれば、複数の基板W1の近傍の内部温度を測定することができる。温度センサ70は測定した内部温度を示す測定情報を制御部50に出力する。
【0138】
温度センサ70は複数設けられていても構わない。制御部50は、複数の温度センサ70から入力された測定情報に基づいて、各位置の内部温度を平均して筐体10の内部温度を算出してもよい。
【0139】
制御部50は、温度センサ70によって測定した内部温度に基づいて、次のキャリア90の搬入の許可/禁止を判断する。制御部50は、キャリア90の搬入を許可したときには、開閉部材12を開き、キャリア90の搬入を禁止したときには、開閉部材12を閉じる。つまり、制御部50は、温度センサ70によって測定された内部温度に基づいて、開閉部材12の開閉を制御する。
【0140】
図12は、乾燥装置1Cの動作の一例を示すフローチャートである。図12では、キャリア90の搬出入時の制御部50の動作の一例が示されている。この一連の処理は、乾燥装置1Cがキャリア90に対する乾燥処理を終了したときに実行される。まずステップS1にて、制御部50は開閉部材12の駆動部を制御して開閉部材12を開く。これにより、低温の外気が筐体10の内部に流入し、筐体10の内部温度は低下する。次にステップS2にて、外部の搬送装置は乾燥済みのキャリア90を乾燥装置1Cの外部に搬出する。
【0141】
次にステップS3にて、制御部50は、温度センサ70によって測定された筐体10の内部温度が第1目標値以上であるか否かを判断する。内部温度が第1目標値以上であるときには、ステップS7にて、外部の搬送装置は次のキャリア90を乾燥装置1Cの内部に搬入する。つまり、筐体10の内部温度が第1目標値以上であるときには、内部温度が十分に高いので、制御部50は次のキャリア90の搬入を許可して乾燥処理を行う。
【0142】
一方で、内部温度が第1目標値未満であるときには、ステップS4にて、制御部50は開閉部材12の駆動部を制御して、開閉部材12を閉じる。開閉部材12が閉じると、加熱部60による加熱、さらには給気口31aからの高温の気体の吐出により、筐体10の内部温度は上昇する。つまり、内部温度が低い場合には、乾燥に適した温度に達するまでの時間が長くかかり、乾燥不良が生じる可能性があるので、制御部50は次のキャリア90の搬入を許可せずに、開閉部材12を閉じて内部温度の上昇を図る。
【0143】
次にステップS5にて、制御部50は、温度センサ70によって測定された筐体10の内部温度が第2目標値以上であるか否かを判断する。第2目標値は第1目標値以上の値である。筐体10の内部温度が第2目標値未満であるときには、制御部50は再びステップS5を実行する。筐体10の内部温度が第2目標値以上であるときには、ステップS6にて、制御部50は開閉部材12の駆動部を制御して開閉部材12を開く。次にステップS7にて、外部の搬送装置は次のキャリア90を乾燥装置1Cの内部に搬入する。
【0144】
以上のように、乾燥装置1Cによれば、温度センサ70によって測定された筐体10の内部温度が高いときのみ、キャリア90が乾燥装置1Cの内部に搬入されて、乾燥処理が行われる。よって、乾燥処理により、複数の基板W1およびキャリア90をより確実に乾燥させることができる。
【0145】
また乾燥装置1Cにおいては加熱部60が設けられているので、ステップS3の時点において筐体10の内部温度が第1目標値未満となる可能性を低減することができる。またたとえステップS3の時点において筐体10の内部温度が第1目標値未満となったとしても、開閉部材12を閉じてから筐体10の内部温度が第2目標値以上となるまでの時間を短縮することができる。
【0146】
基板処理装置は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、基板処理装置は、その開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。また上述の実施の形態は適宜に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 乾燥装置
10 筐体
12 開閉部材
14 筐体下部
20 載置部
30 気体供給部
31 バーノズル(ノズル)
31a 給気口
38 給気側整流板(整流板)
40 気体排出部
41 整流構造
42 排気管
42a 排気口
43 流量調整部
44 排気側整流板(整流板)
45 気液分離部
46 排気主管
47 排液管
49 邪魔板
50 制御部
60 加熱部
61 ラバーヒータ
70 温度センサ
90 キャリア
W1 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12