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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】工作機械及びこの工作機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 15/013 20060101AFI20230123BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20230123BHJP
   B23G 1/02 20060101ALI20230123BHJP
   B23B 1/00 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
B23Q15/013
G05B19/4093 M
B23G1/02 A
B23B1/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019099918
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192647
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宮 一彦
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067372(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152768(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/013
G05B 19/4093
B23G 1/02
B23B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持するワーク保持手段と、前記ワークを切削加工する切削工具を保持する刃物台と、前記ワーク保持手段と前記刃物台との相対移動によって前記ワークに対して切削工具を所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記ワーク保持手段と前記刃物台とを前記ワークの径方向に相対的に往復振動させる振動手段と、前記ワークと前記切削工具を相対的に回転させる回転手段と、前記送り手段、前記振動手段、及び前記回転手段の作動を制御する制御手段とを備え、前記ワークと前記切削工具とを相対回転させながら前記加工送り方向に沿って相対的に送り移動させ、所定の螺旋状をなす同一の切削経路に沿って複数回に亘って切り込み加工を行うことで前記ワークにねじ部分を形成するねじ切り加工を行う際に、前記ワークに対して、前記切削工具を、前記ワークの端面から前記ねじ部分のピッチの所定倍だけ離れた位置に設定された加工開始点に前記ワークと前記切削工具とが離反した所定のイニシャル点から前記加工送り方向に向かって前記ワークの径方向で接近させ、前記ワークと前記切削工具との当接によって前記ねじ切り加工が開始される工作機械であって、
前記イニシャル点から前記ワークと前記切削工具とが当接する直前の前記加工開始点までの期間、前記制御手段が、前記往復振動が停止するように前記振動手段を制御するとともに、前記ねじ切り加工の前記複数回の切り込み加工で連続する切り込み加工において、前記ワークと前記切削工具との当接の際に前記ねじ切り加工を開始する前記相対回転の回転位相に対してそれぞれ所定の往復振動の位相となるように前記刃物台の振動方向の位相位置を定めて前記往復振動を停止制御する工作機械。
【請求項2】
ワークを保持するワーク保持手段と、前記ワークを切削加工する切削工具を保持する刃物台と、前記ワーク保持手段と前記刃物台との相対移動によって前記ワークに対して切削工具を所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記ワーク保持手段と前記刃物台とを前記ワークの径方向に相対的に往復振動させる振動手段と、前記ワークと前記切削工具を相対的に回転させる回転手段とを備えた工作機械に設けられ、前記送り手段、前記振動手段、及び前記回転手段の作動を制御し、前記ワークと前記切削工具とを相対回転させながら前記加工送り方向に沿って相対的に送り移動させ、所定の螺旋状をなす同一の切削経路に沿って複数回に亘って切り込み加工を行うことで前記ワークにねじ部分を形成するねじ切り加工を行う際に、前記ワークに対して、前記切削工具を、前記ワークの端面から前記ねじ部分のピッチの所定倍だけ離れた位置に設定された加工開始点に前記ワークと前記切削工具とが離反した所定のイニシャル点から前記加工送り方向に向かって前記ワークの径方向で接近させ、前記ワークと前記切削工具との当接によって前記ねじ切り加工が開始される工作機械の制御装置であって、
前記イニシャル点から前記ワークと前記切削工具とが当接する直前の前記加工開始点までの期間、前記往復振動を停止させるとともに、前記ねじ切り加工の前記複数回の切り込み加工で連続する切り込み加工において、前記ワークと前記切削工具との当接の際に前記ねじ切り加工を開始する前記相対回転の回転位相に対してそれぞれ所定の往復振動の位相となるように前記刃物台の振動方向の位相位置を定めて前記往復振動を停止制御する工作機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークのねじ切り加工を行う工作機械及びこの工作機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械として、ワークを保持するワーク保持手段と、前記ワークを切削加工する切削工具を保持する刃物台と、前記ワーク保持手段と前記刃物台との相対移動によってワークに対して切削工具を所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記ワーク保持手段と前記刃物台とを前記ワークの径方向に相対的に往復振動させる振動手段と、前記ワークと前記切削工具を相対的に回転させる回転手段とを備え、前記ワークと前記切削工具とを相対回転させながら前記加工送り方向に沿って相対的に送り移動させ、所定の螺旋状をなす同一の切削経路に沿って複数回に亘って切り込み加工を行うことで前記ワークにねじ部分を形成するねじ切り加工を行う工作機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、ワークと当接するまで切削工具の振動を止めておく旋削装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/056526号
【文献】特開平10-43906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記ワークと前記切削工具とを、相対回転させながら、ワーク保持手段と刃物台とをワークの径方向に相対的に往復振動させるとともに、加工送り方向に沿って相対的に送り移動させてねじ切り加工を行う場合、ワークに対して、切削工具を、ワークと切削工具とが離反した所定のイニシャル点から加工送り方向に向かって接近させ、ワークと切削工具との当接によってねじ切り加工を開始すると、イニシャル点からワークと切削工具とが当接するまでの期間は、工具とワークとの接触がないため、無用な振動を発生させないように、往復振動を停止させることが考えられる。
しかし、往復振動の停止によって、ねじ切り加工の前記複数回の切り込み加工で連続する切り込み加工において、ワークの回転位相と切削工具の振動の位相とを所定の関係に定める必要があり、ワークの加工に要する時間が長くなる場合があった。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、イニシャル点からワークと切削工具とが当接する直前の加工開始点までの期間、ワーク保持手段と刃物台とのワークの径方向への相対的な往復振動を停止させた場合に、ワークの加工時間の短縮化を図る工作機械及びこの工作機械の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1に、ワークを保持するワーク保持手段と、前記ワークを切削加工する切削工具を保持する刃物台と、前記ワーク保持手段と前記刃物台との相対移動によって前記ワークに対して切削工具を所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記ワーク保持手段と前記刃物台とを前記ワークの径方向に相対的に往復振動させる振動手段と、前記ワークと前記切削工具を相対的に回転させる回転手段と、前記送り手段、前記振動手段、及び前記回転手段の作動を制御する制御手段とを備え、前記ワークと前記切削工具とを相対回転させながら前記加工送り方向に沿って相対的に送り移動させ、所定の螺旋状をなす同一の切削経路に沿って複数回に亘って切り込み加工を行うことで前記ワークにねじ部分を形成するねじ切り加工を行う際に、前記ワークに対して、前記切削工具を、前記ワークの端面から前記ねじ部分のピッチの所定倍だけ離れた位置に設定された加工開始点に前記ワークと前記切削工具とが離反した所定のイニシャル点から前記加工送り方向に向かって前記ワークの径方向で接近させ、前記ワークと前記切削工具との当接によって前記ねじ切り加工が開始される工作機械であって、前記イニシャル点から前記ワークと前記切削工具とが当接する直前の前記加工開始点までの期間、前記制御手段が、前記往復振動が停止するように前記振動手段を制御するとともに、前記ねじ切り加工の前記複数回の切り込み加工で連続する切り込み加工において、前記ワークと前記切削工具との当接の際に前記ねじ切り加工を開始する前記相対回転の回転位相に対してそれぞれ所定の往復振動の位相となるように前記刃物台の振動方向の位相位置を定めて前記往復振動を停止制御することを特徴とする。
【0008】
第2に、ワークを保持するワーク保持手段と、前記ワークを切削加工する切削工具を保持する刃物台と、前記ワーク保持手段と前記刃物台との相対移動によって前記ワークに対して切削工具を所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記ワーク保持手段と前記刃物台とを前記ワークの径方向に相対的に往復振動させる振動手段と、前記ワークと前記切削工具を相対的に回転させる回転手段とを備えた工作機械に設けられ、前記送り手段、前記振動手段、及び前記回転手段の作動を制御し、前記ワークと前記切削工具とを相対回転させながら前記加工送り方向に沿って相対的に送り移動させ、所定の螺旋状をなす同一の切削経路に沿って複数回に亘って切り込み加工を行うことで前記ワークにねじ部分を形成するねじ切り加工を行う際に、前記ワークに対して、前記切削工具を、前記ワークの端面から前記ねじ部分のピッチの所定倍だけ離れた位置に設定された加工開始点に前記ワークと前記切削工具とが離反した所定のイニシャル点から前記加工送り方向に向かって前記ワークの径方向で接近させ、前記ワークと前記切削工具との当接によって前記ねじ切り加工が開始される工作機械の制御装置であって、前記イニシャル点から前記ワークと前記切削工具とが当接する直前の前記加工開始点までの期間、前記往復振動を停止させるとともに、前記ねじ切り加工の前記複数回の切り込み加工で連続する切り込み加工において、前記ワークと前記切削工具との当接の際に前記ねじ切り加工を開始する前記相対回転の回転位相に対してそれぞれ所定の往復振動の位相となるように前記刃物台の振動方向の位相位置を定めて前記往復振動を停止制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以下の効果を得ることができる。
イニシャル点からワークと切削工具とが当接する直前の加工開始点までの期間において、ワークの回転位相と切削工具の振動の位相とが、ワークと切削工具とが当接する際に必要となる所定の関係に定められて往復振動が停止するため、イニシャル点からワークと切削工具とが当接する直前の加工開始点までの期間の無用な振動を避けることができるとともに、切削工具とワークとの当接で振動を伴った切削を開始することができ、ワーク保持手段と刃物台とのワークの径方向への相対的な往復振動を停止させた場合に、ワークの加工時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例の工作機械の概略を示す図。
図2】第1実施例の切削工具とワークとの関係を示す概略図。
図3】第1実施例のねじ切り加工のサイクルを説明する図。
図4】第1実施例のねじ切り加工の振動の位相(加工開始点)を説明する図。
図5】本発明の第1実施例のワークに対する切削工具の位置を示す展開模式図。
図6】Z軸方向から視たワークにおける切削工具の一つのねじ溝における軌跡を示す概念図。
図7】本発明の第2実施例のワークに対する切削工具の位置を示す展開模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例の制御装置Cを備えた工作機械100の概略を示す図である。
工作機械100は、主軸110と、切削工具台130Aとを備えている。
主軸110の先端にはチャック120が設けられている。
チャック120を介して主軸110にワークWが保持され、主軸110は、ワークを保持するワーク保持手段として構成されている。
主軸110は、図示しない主軸モータの動力によって回転駆動されるように主軸台110Aに支持されている。
前記主軸モータとして主軸台110A内において、主軸台110Aと主軸110との間に形成される従来公知のビルトインモータ等が考えられる。
【0012】
主軸台110Aは、工作機械100のベッド側に、Z軸方向送り機構160によって主軸110の軸線方向となるZ軸方向に移動自在に搭載されている。
主軸110は、主軸台110Aを介してZ軸方向送り機構160によって、前記Z軸方向に移動する。
Z軸方向送り機構160は、主軸110をZ軸方向に移動させる主軸移動機構を構成している。
【0013】
Z軸方向送り機構160は、前記ベッド等のZ軸方向送り機構160の固定側と一体的なベース161と、ベース161に設けられたZ軸方向に延びるZ軸方向ガイドレール162とを備えている。
Z軸方向ガイドレール162に、Z軸方向ガイド164を介してZ軸方向送りテーブル163がスライド自在に支持されている。
Z軸方向送りテーブル163側にリニアサーボモータ165の可動子165aが設けられ、ベース161側にリニアサーボモータ165の固定子165bが設けられている。
【0014】
Z軸方向送りテーブル163に主軸台110Aが搭載され、リニアサーボモータ165の駆動によってZ軸方向送りテーブル163が、Z軸方向に移動駆動される。
Z軸方向送りテーブル163の移動によって主軸台110AがZ軸方向に移動し、主軸110のZ軸方向への移動が行われる。
【0015】
切削工具台130Aには、ワークWを旋削加工するバイト等の切削工具130が装着されている。
切削工具台130Aは、切削工具130を保持する刃物台を構成している。
切削工具台130Aは、工作機械100のベッド側に、X軸方向送り機構150及び図示しないY軸方向送り機構によって、前記Z軸方向に直交するX軸方向と、前記Z軸方向及びX軸方向に直交するY軸方向とに移動自在に設けられている。
X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構とによって、切削工具台130Aを主軸110に対して前記X軸方向及びY軸方向に移動させる刃物台移動機構が構成されている。
【0016】
X軸方向送り機構150は、X軸方向送り機構150の固定側と一体的なベース151と、ベース151に設けられたX軸方向に延びるX軸方向ガイドレール152とを備えている。
X軸方向ガイドレール152に、X軸方向ガイド154を介してX軸方向送りテーブル153がスライド自在に支持されている。
【0017】
X軸方向送りテーブル153側にリニアサーボモータ155の可動子155aが設けられ、ベース151側にリニアサーボモータ155の固定子155bが設けられている。
リニアサーボモータ155の駆動によってX軸方向送りテーブル153が、X軸方向に移動駆動される。
なお、Y軸方向送り機構は、X軸方向送り機構150をY軸方向に配置したものであり、X軸方向送り機構150と同様の構造であるため、図示及び構造についての詳細な説明は割愛する。
【0018】
図1においては、図示しないY軸方向送り機構を介してX軸方向送り機構150を前記ベッド側に搭載し、X軸方向送りテーブル153に切削工具台130Aが搭載されている。
切削工具台130Aは、X軸方向送りテーブル153の移動駆動によってX軸方向に移動し、Y軸方向送り機構が、Y軸方向に対して、X軸方向送り機構150と同様の動作をすることによって、Y軸方向に移動する。
【0019】
なお、図示しないY軸方向送り機構を、X軸方向送り機構150を介して前記ベッド側に搭載し、Y軸方向送り機構側に切削工具台130Aを搭載してもよく、Y軸方向送り機構とX軸方向送り機構150とによって切削工具台130AをX軸方向及びY軸方向に移動させる構造は従来公知であるため、詳細な説明及び図示は割愛する。
【0020】
前記刃物台移動機構(X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構)と前記主軸移動機構(Z軸方向送り機構160)とが協動し、X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構によるX軸方向とY軸方向への切削工具台130Aの移動と、Z軸方向送り機構160による主軸台110A(主軸110)のZ軸方向への移動によって、切削工具台130Aに装着されている切削工具130は、ワークWに対して相対的に任意の加工送り方向に送られる。
【0021】
前記主軸移動機構(Z軸方向送り機構160)と前記刃物台移動機構(X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構)とから構成される送り手段により、切削工具130を、ワークWに対して相対的に任意の加工送り方向に送るとともに、前記主軸移動機構と前記刃物台移動機構とから構成される振動手段により、切削工具130を、ワークWに対して前記加工送り方向と交差するワークWの径方向に相対的に往復振動させて複数回に亘って螺旋状に切り込み加工を行うことでねじ切り加工することによって、図2に示すように、切削工具130により、ワークWにねじ部分が切削加工される。
【0022】
なお、本実施形態においては、主軸台110Aと切削工具台130Aの両方を移動するように構成しているが、主軸台110Aを工作機械100のベッド側に移動しないように固定し、刃物台移動機構を、切削工具台130AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させるように構成してもよい。
この場合、前記送り手段及び振動手段が、切削工具台130AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる刃物台移動機構から構成され、固定的に位置決めされて回転駆動される主軸110に対して、切削工具台130Aを移動させることによって、切削工具130をワークWに対して加工送り動作させるとともに往復振動させることができる。
【0023】
また、切削工具台130Aを工作機械100のベッド側に移動しないように固定し、主軸移動機構を、主軸台110AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させるように構成してもよい。
この場合、前記送り手段及び振動手段が、主軸台110AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる主軸台移動機構から構成され、固定的に位置決めされる切削工具台130Aに対して、主軸台110Aを移動させることによって、切削工具130をワークWに対して加工送り動作させるとともに往復振動させることができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構、Z軸方向送り機構160は、リニアサーボモータによって駆動されるように構成されているが、従来公知のボールネジとサーボモータとによる駆動等とすることもできる。
【0025】
本実施形態においては、ワークWと切削工具130とを相対的に回転させる回転手段が、前記ビルトインモータ等の前記主軸モータによって構成され、ワークWと切削工具130との相対回転は、主軸110の回転駆動によって行われる。
本実施例では、切削工具130に対してワークWを回転させる構成としたが、ワークWに対して切削工具130を回転させる構成としてもよい。
【0026】
主軸110の回転、Z軸方向送り機構160、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構は、制御装置Cが有する制御部C1によって駆動制御される。
制御部C1は、各送り機構を振動手段として、各々対応する移動方向に沿って往復振動させながら、主軸台110A又は切削工具台130Aを各々の方向に移動させるように制御するように予め設定されている。
【0027】
各送り機構は、制御部C1により、図3から図6に示すように、一例として切り込み回数7回に亘って螺旋状に切り込み加工を行うことでねじ切り加工するように制御される。
ここで、切り込み回数は、何回の切り込み加工を行うことでねじ切り加工とするかについての切り込み加工の回数である。
制御部C1は、各送り機構を用いて、切削工具130をワークWに対して図3に示す矢印のように動かしてワークWの外周面におねじを形成させる(サイクル(1)~(4))。サイクル(1)切削工具130の刃先がイニシャル点Iに位置する。イニシャル点IはワークWと切削工具130の刃先とが離反した早送りの位置決め点である。切削工具130は、イニシャル点Iから加工開始点(図4(A)にS1で示す)に向けてねじ切り加工の送りで移動する(アプローチ動作ともいう)。加工開始点は、ねじ切りの開始点であり、ワークWの端面からZ方向でねじのピッチ(またはリード)の所定倍だけ離れた位置に設定される。このアプローチ動作では、切削工具130の振動は停止している。なお、切削工具130がワークWの端面の斜め上方からワークWに向かうアプローチ動作を説明したが、切削工具130は、垂直下方に移動してからワークWの端面に向けて水平移動してもよい。
【0028】
次に、サイクル(2)切削工具130は、加工開始点S1で振動を開始するとともに、ワークWは回転しながら切削工具130に向けて移動し、ワークWと切削工具130の刃先とが当接した位置から実際にワークWにねじ溝(1回目)が切削加工される。サイクル(3)切削工具130がねじ溝の加工終了点まで移動した場合、切削工具130は、例えば振動を停止して、ワークWの上方に設定された退避点に向けて移動する。その後、サイクル(4)ワークWが切削工具130から離れるように早送りで移動すると、切削工具130は、例えば振動を停止した状態で、この退避点からイニシャル点Iに向けて移動する。このイニシャル点Iに到達すると、1回目の切り込み加工が終わり、2回目の切り込み加工に入る。以降、上記サイクル(1)~(4)を繰り返し、加工開始点を図4に示すようにS1(S2)、S3、S5、S7とねじ切りの開始位置を変更しながら計7回の切り込み加工を行う。
【0029】
本実施例は、螺旋状をなす同一の切削経路に沿って複数回に亘って切り込み加工を行うので、ねじ切り加工を開始するワークWの回転位相(ワークWの周方向で見たねじ切りを開始する角度位置)は、計7回の切り込み加工においていずれも同じとなる。
また、本実施例では、1回目の切り込み加工においては、往復振動の復動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、切削工具130の往復振動の復動時に切削工具130の先端をワークWの外周面まで到達させる。このため、図4(A)に示すように、加工開始点S1は、ワークWの径方向で見て、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h1の位置に設定される。
【0030】
2回目の切り込み加工では、1回目の切り込み加工における復動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、2回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の先端を、1回目の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。この場合の加工開始点S2は、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h1の位置に設定されるので、図4(B)に示すように、加工開始点S2は、図4(A)の加工開始点S1と同じ位置である。
【0031】
3回目の切り込み加工では、往復振動の復動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、切削工具130の往復振動の復動時に切削工具130の先端を2回目の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。このため、図4(C)に示すように、加工開始点S3は、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h2(>h1)の位置に設定される。
4回目の切り込み加工では、3回目の切り込み加工における復動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、4回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の先端を、3回目の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。この場合の加工開始点は、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h2の位置に設定されるので、図4(C)の加工開始点S3と同じ位置である。
【0032】
5回目の切り込み加工では、往復振動の復動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、切削工具130の往復振動の復動時に切削工具130の先端を4回目の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。このため、図4(D)に示すように、加工開始点S5は、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h3(>h2)の位置に設定される。
6回目の切り込み加工では、5回目の切り込み加工における復動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、6回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の先端を、5回目の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。この場合の加工開始点は、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h3の位置に設定されるので、図4(D)の加工開始点S5と同じ位置である。
【0033】
最後の7回目の切り込み加工では、切削工具130を振動させない。図4(E)に示すように、加工開始点S7は、ねじ切り加工前のワークWの外周面から距離h4(>h3)の位置に設定される。
【0034】
制御部C1は、アプローチ動作において、切削工具130が、次回の切り込み加工に対する加工開始点での振動の位相となるように、切削工具130の振動方向の位相位置を定めて、切削工具130を往復振動の停止状態に設定する。例えば、1回目の切り込み加工では、イニシャル点Iにおいて、あるいは、アプローチ動作中に、ワークWの回転位相と切削工具130の振動の位相(図4(A)の加工開始点S1)とが同期するように設定して切削工具台130Aを停止させることができる。以降、各切り込み加工に入る際に、イニシャル点Iにおいて、あるいは、アプローチ動作中に、ワークWの回転位相と切削工具130の振動の位相(図4(B)の加工開始点S2、図4(C)の加工開始点S3、図4(D)の加工開始点S5、図4(E)の加工開始点S7)とを同期させて切削工具台130Aを停止させることができる。なお、切削工具130がねじ溝の加工終了点まで移動したときに、切削工具130のイニシャル点Iにおいて必要となる振動方向の位相位置に切削工具130を停止させることもできる。また切削工具130を、ねじ溝の加工終了点から退避点に向けて移動させる場合、ねじ切りの送り速度、または早送りで移動させることができる。
【0035】
このように、イニシャル点IからワークWと切削工具130とが当接するまでの期間において、ワークWの回転位相と切削工具130の振動の位相とが、ワークWと切削工具130とが当接する際に必要となる所定の関係に定められて往復振動が停止する。このため、イニシャル点IからワークWと切削工具130とが当接するまでの期間の無用な振動を避けることができる。しかも、切削工具130とワークWとが当接した時点で、振動を伴った切削を開始することができる。よって、主軸110と切削工具台130AとによるワークWの径方向への相対的な往復振動を停止させた場合であっても、ワークWの加工時間の短縮化を図ることができる。
【0036】
図5は、本発明の第1実施例のワークに対する切削工具の位置を示す展開模式図である。
なお、図5では、説明をわかり易くするため、切削工具130の振動を直線状にして表現している。
【0037】
制御部C1は、連続するn+1回目(nは1以上の整数)の切り込み加工における復動時の切削工具の軌跡を、n回目の切り込み加工における切削工具の軌跡の位置まで到達させる制御手段として機能する。
また、制御部C1は、連続するn回目及びn+1回目の切り込み加工における切り込み時の互いの振動の位相などの振動パターンを変えて、n+1回目の切り込み加工時の切削加工部分に、n回目の切り込み加工による切削済みの部分が部分的に含まれるように、往復振動を伴う各切り込み加工時の振動のパターンを設定する振動設定手段としても機能する。
1回目~6回目の切り込み加工においては、振動手段による振動数は固定であり、ワーク1回転に対して、切削工具130が一例としてX軸方向に2回の割合で振動する。
本実施例では、1回目の切り込み加工においては、往復振動の復動の開始から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、切削工具130の往復振動の復動時に切削工具130の先端をワークWの外周面まで到達させる。
切削工具130の先端がワークWの外周面まで到達する部分で、切屑が分断される。
【0038】
2回目の切り込み加工では、制御部C1は、1回目の切り込み加工の切り込み時の位相に対して2回目の切り込み加工の切り込み時の位相を変えるとともに、2回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡を、1回目の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させるように制御する。
【0039】
本実施例では、具体的には、2回目(n+1回目:nは1以上の整数)の切り込み加工における往復振動の位相を、1回目(n回目)の切り込み加工における往復振動の位相と逆の関係に設定し、往復振動の往動の開始から切り込み加工が開始されるように往復振動させるとともに、2回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡を、1回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。
この到達させたタイミングで、切屑が分断される。
言い換えると、制御部C1の制御によって、2回目の切り込み加工における復動時の切削加工部分と、1回目の切り込み加工における往動時の切削加工部分とが接する。
1回目の切り込み加工時の往動時の切削加工部分と、2回目の切り込み加工時の復動時の切削加工部分とが接することによって、1回目の切り込み加工における切削工具130の往動時の切削加工部分に、2回目の切り込み加工における復動時の切削加工部分が理論上「点」として部分的に含まれ、この部分では、切削工具130がワークWに対して何ら切削を行わずに空削りする、空振り動作が「点」で生じることにより、切削加工時にワークWから生じる切屑は、前記空振り動作(1回目の切り込み加工時の往動時の切削加工部分と、2回目の切り込み加工時の復動時の切削加工部分とが接する点)によって順次分断される。
1回目の切り込み加工と2回目の切り込み加工との関係と同様の関係で、3回目~6回目の切り込み加工が実行される。
【0040】
なお、往復振動の振幅は、切り込み加工時の切り込み量と一致することで、連続する2回の切り込み加工時の切削加工部分が互いに接する。
1回のねじ切り加工において、切り込み加工の切り込み量は減少するため、往復振動の振幅は、切り込み加工の回数を重ねる毎に小さくなるように制御される。
これにより、切り込み加工の回数を重ねる毎にワークWのねじ底面の凹凸が徐々に小さくなる。
最後の7回目の切り込み加工では、切削工具130を振動させずにワークWのねじ底面を切削することによって、ワークWのねじ底面の平坦性を向上させることができる。
【0041】
この図5における1つのねじ溝における切削工具130の軌跡をワークWのZ軸方向から観察した概念図を図6に示している。
図6に示すように、図5の切り込みの条件は主軸1回転当たりの切削工具130の振動数が2回であるため、ワークWをZ軸方向から観察すると楕円の形状となり、ワークWの周長(ワーク1回転)に対して2回の空振り動作が入る。
そして、2回、3回と切り込み加工を継続して行うに従って、前回の切り込み加工で楕円形状になっている長径方向に残った領域を次回の切り込み加工で振幅を小さくしながら切り込み加工を進めていくことで、ねじ溝の形成が進むとともに、加工面の平坦性が増していく。
【0042】
なお、本実施例の工作機械100では、ユーザによって、主軸110の回転数、主軸1回転当たりの切削工具130の振動数などを、数値設定部C2等を介して制御部C1に設定するように構成されている。
回転数、振動数などの制御部C1への設定は、制御部C1にパラメータとして入力することができる他、例えば回転数、振動数や振幅や切り込み回数などを加工プログラムに記載して設定したり、プログラムブロック(プログラムの1行)において振動数を引数として設定したりすることができる。
【0043】
また、本実施例では、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡が、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置まで到達して、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削加工部分と、n回目の切り込み加工における往動時の切削加工部分とが理論上「点」で接するようにしたが、前記到達すればよく、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡が、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置を越えてもよい。
言い換えると、制御部C1は、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削加工部分と、n回目の切り込み加工における往動時の切削加工部分とが、前記接する状態を含み重複するように、制御を行ってもよい。
要するに、n+1回目の切り込み加工時の切削加工部分に、n回目の切り込み加工による切削済みの部分が部分的に含まれていればよい。
【0044】
振幅は、例えばワークに対する実際の切削工具の切り込み量に対する比率(振幅切込み比率)によって設定することができ、本実施例では、振幅と切り込み量とを同じに設定したが、振幅を切り込み量より大きく設定してもよい。
例えば、振幅切込み比率を1より大きくすることによって、振幅を切り込み量より大きく設定し、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡を、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置を越えさせることができる。
【0045】
ただし、1回のねじ切り加工において、切り込み加工毎に切り込み量は減少するため、往復振動の振幅は、切り込み加工の回数を重ねる毎に小さくなり、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡が、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置を越える量が順次小さくなる。
このため、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡が、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置を越える量を、予め、振幅保証値として設定することもできる。
【0046】
このため、振幅切込み比率によって設定した振幅では、前記振幅保証値より小さな量しか復動時の切削工具130の軌跡が、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置を越えない場合は、振幅を切り込み量に振幅保証値を加えた値とすることができる。
振幅切込み比率や、振幅保証値は、前記主軸110の回転数、振動数などと同様に制御部C1にパラメータとして入力することができる他、例えば加工プログラムに記載して設定したり、プログラムブロック(プログラムの1行)において引数として設定したりすることができる。
【0047】
例えば、上記のように、切削工具130を、ワークWに対して前記加工送り方向と交差する方向に相対的に往復振動させて複数回に亘って螺旋状に切り込み加工を行うねじ切り加工の開始(振動開始)を、加工プログラムにおいてG△△△ P3の命令で指令するように制御部C1を構成する場合、G△△△の命令に、Dに続く値(引数D)で制御部C1に対して設定される振動数Nを指定させ、Qに続く値(引数Q)で制御部C1に対して、振幅切込み比率を設定し、Uに続く値(引数U)で制御部C1に対して、振幅保証値を設定することができる。
なお振動数Nは、1振動当たりの主軸110の回転数として設定することもできる。
例えばEに続く値(引数E)で制御部C1に対して、1振動当たりの主軸110の回転数を設定することができる。
【0048】
振幅切込み比率「1.2」を設定する場合はG△△△に続けて「Q1.2」と、振幅保証値「0.02mm」を設定する場合はG△△△に続けて「U0.02」と、振動数を「1」と設定する場合はG△△△に続けて「D1」と各々加工プログラムに記載することによって、制御部C1に対して振動数Nと振幅切込み比率、振幅保証値を設定することができる。
また、1回のねじ切り加工において何回目の切り込み加工まで振動させるかの設定や、何回目の切り込み加工から振動を開始させるか等の設定を、上述した主軸110の回転数、振動数、振幅切込み比率や、振幅保証値などと同様、入力、設定等を行うことができる。
例えば、何回目の切り込み加工まで振動させるかの設定を、Kに続く値(引数K)で制御部C1に対して行うことができる。
なお引数Kを設定する場合は、ワークWの径を制御部C1に対して設定することが望ましい。
ワークWの径は、例えばXに続く値(引数X)で制御部C1に対して設定することができる。
【0049】
このようにして得られた本発明の第1実施例である工作機械100及びこの工作機械100の制御装置Cは、往復振動を伴う各切り込み加工時の振動のパターンを、n+1回目の切り込み加工時の切削加工部分に、n回目の切り込み加工による切削済みの部分が部分的に含まれるように設定する振動設定手段としての制御部C1を備えたことにより、ワークWに対して切り込み加工した際に、前記重複部分で切屑が分断され、長く繋がった切屑がワークWや切削工具130に巻き付くことを回避するとともにワークWの加工面を傷つけることを回避することができる。
【0050】
さらに、往復振動の周波数が一定であり、n+1回目の切り込み加工における往復振動の位相が、n回目の切り込み加工における往復振動の位相と逆の関係であり、制御部C1が、n+1回目の切り込み加工における復動時の切削工具130の軌跡を、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置まで到達させることにより、効率よく切屑を分断しながらねじ切り加工を実行することができる。
【0051】
(第2実施例)
第2実施例について、以下に第1実施例と異なる構成を説明することとし、共通する内容の説明は割愛する。
図7に示すように、第2実施例では、1回目~6回目の切り込み加工において、振動手段による往復振動の周波数を変更している。
【0052】
一例として、1回目の切り込み加工において、主軸8回転に対して、切削工具130が1回の割合で振動し、2回目の切り込み加工において、主軸4回転に対して、切削工具130が1回の割合で振動し、3回目の切り込み加工において、主軸2回転に対して、切削工具130が1回の割合で振動し、4回目の切り込み加工において、主軸1回転に対して、切削工具130が1回の割合で振動し、切り込み加工の回数を重ねる毎に往復振動の周波数が高くなるように制御される。
これにより、回数を追う毎に徐々に周波数が高まってねじ切り加工によるワークWのねじ底面の凹凸が細かくなる。
【0053】
なお、切り込み加工における往復振動の振幅は、第1実施例と同様に、切り込み量に応じて設定され、切り込み加工の回数を重ねる毎に小さくなるように制御される。
ただし、切り込み量に対する振幅の比率や、切り込み量に対する振幅の増加量を設定し、前記比率や増加量に応じた値をとるようにすることもできる。
【0054】
なお、第2実施例の場合、いずれの切り込み加工でも、往復振動の往動の開始位置から切り込み加工が開始されるように往復振動させ、切削工具130の往復振動の復動時に切削工具130の先端を前回の切り込み加工における切削工具130の軌跡の位置まで到達させる。このため、加工開始点は、前回の加工開始点よりもワークWの中心に近い位置に設定される。
【0055】
このようにして得られた本発明の第2実施例である工作機械100及びこの工作機械100の制御装置Cは、n+1回目の切り込み加工における往復振動の周波数が、n回目の切り込み加工における往復振動の周波数より高く、制御部C1が、n+1回目の切り込み加工における複数回の振動に1度の割合で復動時の切削工具130の軌跡を、n回目の切り込み加工における往動時から復動時に切り替わったときの切削工具130の軌跡の位置まで到達させることにより、効率よく切屑を分断しながらねじ切り加工を実行することができ、回数を追う毎に徐々にねじ底面を整えることも可能となる。
【符号の説明】
【0056】
100 ・・・ 工作機械
110 ・・・ 主軸
110A・・・ 主軸台
120 ・・・ チャック
130 ・・・ 切削工具
130A・・・ 切削工具台
150 ・・・ X軸方向送り機構
151 ・・・ ベース
152 ・・・ X軸方向ガイドレール
153 ・・・ X軸方向送りテーブル
154 ・・・ X軸方向ガイド
155 ・・・ リニアサーボモータ
155a・・・ 可動子
155b・・・ 固定子
160 ・・・ Z軸方向送り機構
161 ・・・ ベース
162 ・・・ Z軸方向ガイドレール
163 ・・・ Z軸方向送りテーブル
164 ・・・ Z軸方向ガイド
165 ・・・ リニアサーボモータ
165a・・・ 可動子
165b・・・ 固定子
C ・・・ 制御装置
C1 ・・・ 制御部
C2 ・・・ 数値設定部
h ・・・ ねじ切り加工前のワークの外周面からの距離
I ・・・ イニシャル点
S ・・・ 加工開始点
W ・・・ ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7