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特許7214607被覆金属顔料、それを製造および使用するための方法、被覆剤、ならびに物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】被覆金属顔料、それを製造および使用するための方法、被覆剤、ならびに物品
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/62 20060101AFI20230123BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20230123BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20230123BHJP
   C09C 1/64 20060101ALI20230123BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20230123BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230123BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20230123BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20230123BHJP
【FI】
C09C1/62
C09C3/06
C09C3/12
C09C1/64
C09D7/62
C09D201/00
C09D5/03
B22F1/102
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019187187
(22)【出願日】2019-10-10
(62)【分割の表示】P 2017169050の分割
【原出願日】2014-12-11
(65)【公開番号】P2020023708
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2019-10-30
(31)【優先権主張番号】102013113885.3
(32)【優先日】2013-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502099902
【氏名又は名称】エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Eckart GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヒップマン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ヘーフェナー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ストラック
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ベットフォード
(72)【発明者】
【氏名】ディーク シューマッハ
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-147226(JP,A)
【文献】国際公開第2004/096921(WO,A1)
【文献】特表2000-502401(JP,A)
【文献】特表2010-508378(JP,A)
【文献】国際公開第2011/136215(WO,A1)
【文献】米国特許第06176918(US,B1)
【文献】特開2003-201293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0160389(US,A1)
【文献】特開2011-231212(JP,A)
【文献】国際公開第2007/094253(WO,A1)
【文献】特開昭56-139566(JP,A)
【文献】特表2002-513838(JP,A)
【文献】特表2009-503207(JP,A)
【文献】特表2006-522192(JP,A)
【文献】特表2010-513619(JP,A)
【文献】特表2005-509658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/62
B22F 1/102
C09C 1/64
C09C 3/06
C09C 3/12
C09D 5/03
C09D 7/62
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材および被覆を有する金属顔料であって、金属基材が、金属コアであり、被覆が、少なくとも1種の金属酸化物を含有する、金属顔料を包囲する少なくとも1つの第1の被覆層と、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを有する少なくとも1つの第2の被覆層とを含み、ここで、金属酸化物という用語は、酸化物水和物および水酸化物も包含し、
少なくとも1種のヘテロポリシロキサンが、構成要素として、少なくとも1種のアミノシランと、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシランとを有し、
ヘテロポリシロキサンが、事前縮合形態で、少なくとも1つの第1の包囲被覆層に施与されており、ヘテロポリシロキサンが、金属顔料の最外側の被覆層であり、
被覆のパーセンテージが、被覆金属顔料の重量に対して、2~30重量%の範囲であり、
金属顔料がフレーク状金属顔料である金属顔料。
【請求項2】
ヘテロポリシロキサンが、金属顔料に施与される前に、未縮合基25%以下を有する、請求項1に記載の金属顔料。
【請求項3】
ヘテロポリシロキサンが、構成要素として、少なくとも1種のアミノシランと、少なくとも1種のアルキルシランとを含む、請求項1から2の一項に記載の金属顔料。
【請求項4】
金属顔料が、熱応答性ポリマーを含有するか、またはそれから構成される被覆層を有しない、請求項1から3の一項に記載の金属顔料。
【請求項5】
金属顔料の金属コアが、20~100nmの範囲のh50値、少なくとも200の形状係数、および30~140%の範囲の、式(VII):
ΔH=(h90-h10)/h50 (VII)
において求められるとおりのΔHの相対厚さ分布を有する、摩砕によって得られるフレーク状金属顔料、またはPVD金属顔料である、請求項1から4の一項に記載の金属顔料。
【請求項6】
金属基材中の金属が、金属基材中の元素金属の合計重量に対して、少なくとも60重量%の強磁性金属から構成される、請求項1から5の一項に記載の金属顔料。
【請求項7】
少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの第1の被覆層の金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化バナジウム、およびそれらの混合物からなる群から本質的に選択され、この際、上述の金属酸化物には、それらの酸化物水和物および水酸化物も含まれる、請求項1から6の一項に記載の金属顔料。
【請求項8】
少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの第1の被覆層の金属酸化物が、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、およびそれらの混合物からなる群から本質的に選択される、請求項1から7の一項に記載の金属顔料。
【請求項9】
少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種の金属酸化物から本質的に構成される少なくとも1つの第1の被覆層に施与されている、請求項1から8の一項に記載の金属顔料。
【請求項10】
金属基材中の金属が、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、スズ、チタン、クロム、コバルト、銀、ステンレス鋼、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、ケイ素、およびホウ素、ならびにそれらの混合物、さらには合金からなる群から選択される金属から本質的に構成される、請求項1から9の一項に記載の金属顔料。
【請求項11】
請求項1から10の一項に記載の、金属基材および被覆を有する金属顔料を製造するための方法であって、
-任意選択により事前被覆されている金属顔料を得るステップと、
-任意選択により事前被覆されている金属顔料上に、少なくとも1種の金属酸化物を含む、金属顔料を包囲する少なくとも1つの第1の被覆層を生成するステップと、
-少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの第1の被覆層に、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの第2の被覆層を施与するステップとを含み、ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれる方法。
【請求項12】
金属顔料の安定性の改善、液状塗料または紛体塗料における金属顔料の施与性および配向性の改善、金属顔料の凝集傾向の低減、塗料系における金属顔料の配向の改善、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属顔料の施与特性の改善を得るための、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンの使用であって、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンの使用が、請求項1から10の一項に記載の金属顔料における少なくとも1つの第2の被覆層としてである使用。
【請求項13】
請求項1から10の一項に記載の金属顔料を含有する被覆剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材および被覆を有する金属顔料、さらには、それを製造および使用するための方法に関する。本発明はさらに、そのような金属顔料を含む被覆剤、さらには、被覆された物品に関する。本発明はまた、被覆金属顔料の様々な特性を改変するための特別なポリシロキサンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 1999/057204 A2は、表面改質剤で被覆された効果顔料に関し、その出発顔料は、少なくとも1種の反応性表面改質剤を含む層を有する。
【0003】
US 2002/0169244 A1は、還元カルボニル鉄粉末を摩砕することによって得られる、金属光沢を有する軟鉄効果顔料に関する。これらの顔料は、摩砕の間、またはその後に不動態化される。
【0004】
WO 2004/087816 A2およびWO 2008/077612 A2は、傑出した光学特性によって特徴づけられる特殊なアルミニウム効果顔料に関する。その顔料は、腐食抑制層または耐食層を備えていてよい。
【0005】
WO 2008/095697 A2は、均質な包囲合成樹脂被覆を備えた金属効果顔料に関し、その合成樹脂被覆は、ポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート、さらには、有機官能性シランを含む。
【0006】
WO 2009/144005 A1は、特別な光学特性によって特徴づけられる特別な鉄効果顔料に関する。この場合、腐食抑制層および/または耐食層が施与され得る。
【0007】
WO 2009/149834 A2は、セルロース誘導体、および/または抗酸化特性および/またはラジカル阻害特性を有する少なくとも1種の添加剤を含む銅含有金属効果顔料の混合物に関する。この場合、銅含有金属効果顔料は、包囲耐食層を備えていてよい。
【0008】
WO 2012/130680 A1は、銅含有金属顔料に関し、その銅含有金属顔料は、少なくとも1つの包囲金属酸化物層および少なくとも1つの化学的に非反応性の包囲プラスチック層を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の被覆顔料と比較して、または非被覆顔料と比較するといっそう、上述の被覆は、改善された耐腐食性、化学的安定性、および/または機械的安定性などの特性を既に提供しているが、安定性のさらなる改善がなお必要とされている。アルミニウム顔料などの顔料の安定性は、例えば、着色顔料などの他のペイント成分によって、または高いpH値によって、著しく影響を受け得るので、金属効果塗料の簡単な配合を可能にするためには、そのような条件に関してより高い安定性を保証することが有利であろう。
【0010】
したがって、本発明の目的は、高いpHなどの非常に侵略的な条件下でも、改善された安定性を示す金属顔料を提供することである。それを製造するための方法、さらにはその使用を提供することもまた、本発明の目的である。
【0011】
市場で入手可能な金属効果顔料は既に、傑出した明度フロップを示している。しかしながら、光学特性のさらなる改善が一般的に必要とされている。したがって、本発明のさらなる目的は、改善された光学特性、特に、明度フロップの特性の改善によって特徴づけられる金属顔料を提供することである。この場合、耐凝縮性などの他の基本的な施与特異的特性が損なわれるべきではない。そのような顔料を製造するための方法、さらにはその使用を提供することもまた、本発明の目的である。
【0012】
PVD金属顔料またはPVD顔料と称される、PVDプロセスにおいて物理的蒸着によって製造された金属効果顔料は、非常に強い凝集傾向の問題を示す。例えば、これは、そのような顔料ペーストをある程度までしか濃縮することができないという結果を有する。これによって、それらの貯蔵および輸送はより困難になり、他の溶媒での再湿潤が複雑になるか、不可能となり、最良の場合でも、PVD金属顔料の強い凝集を示さないPVD金属顔料粉末は、不相応に複雑な方法によってしか得ることができない。
【0013】
したがって、本発明の特別な目的は、より高い濃度でも、または乾燥させた場合にも、はっきりと低下した凝集傾向を示すか、またはその傾向を全く示さない、容易に得ることができるPVD顔料を提供することである。
【0014】
金属効果顔料は、紛体塗装において成功裏に使用することができるが、紛体塗装の場合には、塗料系への良好な統合を保証することが特に重要である。例えば、紛体塗装は多くの場合に、高度に耐性な被覆を得るために、経済的な単層被覆の形態で施与される。したがって、侵略的な外部条件から顔料を保護するためだけでも、好ましい統合が保証されなければならない。
【0015】
したがって、本発明の特定の目的は、紛体塗装において使用した場合に、顔料の特に好ましい施与特性および配向によって特徴づけられる強磁性顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、特許請求の範囲および態様において指定する目的、方法、および施与によって達成される。
【0017】
本発明の目的は、金属基材および被覆を有する金属顔料であって、被覆が、
少なくとも1種の金属酸化物を含有する金属顔料を包囲する少なくとも1つの第1の被覆層および
少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含有する少なくとも1つの第2の被覆層を含み、ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も包含され、
少なくとも1種のヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有し、
ヘテロポリシロキサンが、事前縮合形態で、少なくとも1つの第1の包囲被覆層に施与されている金属顔料を提供することによって達成される。
【0018】
本発明による金属顔料の好ましい改善は、従属請求項2から22において指定する。
【0019】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンは、少なくとも1種のアミノシランおよび少なくとも1種のアルキルシランを含む。さらなる実施形態では、上述の金属顔料は好ましくは、フレーク状金属顔料であるべきである。フレーク状金属顔料は、金属効果顔料とも称され得る。
【0020】
本発明の目的は、金属基材および被覆を有する金属顔料を製造するための方法を提供することによってさらに達成され、その方法は、
-任意選択により事前被覆されている金属顔料を得るステップと、
-任意選択により事前被覆されている金属顔料上に、少なくとも1種の金属酸化物を含む、金属顔料を包囲する少なくとも1つの第1の被覆層を生成するステップと、
-少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの第2の被覆層を、少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの第1の被覆層に施与するステップとを含み、ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれ、
少なくとも1種のヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランの群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有する。任意選択により事前被覆されている金属顔料は好ましくは、フレーク状である。
【0021】
本発明による方法の好ましい改善は、従属請求項24および25において指定する。
【0022】
本発明はまた、金属顔料の安定性の改善、液状塗料または紛体塗料における金属顔料の施与性および配向性の改善、金属顔料の凝集傾向の低減、塗料系における金属顔料の配向の改善、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される金属顔料の施与特性の改善を得るための、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンの使用にも関し、上記金属顔料が、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の被覆層を有し、上記ヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有する。
【0023】
この使用の好ましい実施形態は、請求項27において指定する。
【0024】
ヘテロポリシロキサンは好ましくは、少なくとも1種のアミノシランおよび少なくとも1種のアルキルシランを含有する。アミノシランおよびアルキルシランは、態様9から19の一態様によって選択されることがさらに好ましい。
【0025】
本発明はまた、化粧品、プラスチック、または被覆剤における本発明による被覆金属顔料の使用に関する。
【0026】
本発明はまた、本発明による被覆金属顔料を含む被覆剤に関する。
【0027】
本発明はまた、本発明による金属顔料または本発明による被覆剤を含む物品に関する。
【0028】
本発明は、上述の被覆を有する金属顔料に関する。
【0029】
この場合、被覆金属顔料はフレーク状であることが特に好ましい。多くの場合に、例えばそれは、被覆剤において所望の配向を促進または可能にする被覆である。
【0030】
「金属基材を有する金属顔料」という用語には、本発明の意味の範囲内では、別段に指定しない限り、球状およびフレーク状金属含有粒子が含まれる。特に、これには、少なくとも1種の金属または少なくとも1種の金属合金から本質的に、または好ましくは完全に構成される少なくとも1つの金属層が、非金属基材および粒子に施与されている粒子が含まれる。
【0031】
「金属効果顔料」という用語は、本発明の意味の範囲内では、フレーク状金属含有粒子を指す。フレーク状金属含有粒子には、少なくとも1種の金属または少なくとも1種の金属合金から本質的に、または好ましくは完全に構成される少なくとも1つの金属層が、非金属製フレーク状基材およびフレーク状粒子に施与されているフレーク状粒子も含まれる。別段に指定しない限り、本発明における「金属顔料」および「金属効果顔料」という用語はまた、特に、それに関係する値が、多数の粒子において平均した形でのみ得ることができる統計値であるならば、複数の顔料を含む。そのような平均化に関して具体的に示されていない限り、対応する平均値は、問題の値の算術平均を指す。「非金属基材」という用語には、本発明の意味の範囲内では、例えば、ポリマー基材、ガラスフレークなどのガラス基材、および純粋な金属酸化物基材、例えば、酸化ケイ素フレーク、酸化アルミニウムフレーク、または酸化チタンフレークが含まれる。天然または合成雲母フレークも、非金属基材として使用することができる。しかしながら特に、本発明による「金属顔料」および「金属効果顔料」は、金属または金属合金から本質的に、または好ましくは完全に構成されることが好ましい。
【0032】
さらなる実施形態では、金属基材はフレーク状であることが特に好ましい。「金属コア」という用語は、本発明の意味の範囲内では、金属または金属合金から本質的に、および好ましくは完全に構成される金属基材を指す。
【0033】
「フレーク状」という用語は、本発明の意味の範囲内では、問題の粒子が、他の2つの次元と比較して、1つの次元においてかなり小さいことを意味する。これは、例えば、粒子の平均高さが、平均幅および長さの少なくとも10倍小さいことを意味する。顔料の寸法は、ラスター電子顕微鏡などの当業者に一般に公知の方法によって決定される。そのような顔料は、特に有利な特性を示し、本発明の焦点である。例えば、フレーク状形態によって、電磁放射線および可視光の両方の定方向反射が可能である。次いで、このことによって、特定の光学的効果を達成することが可能である。例えば、可能な最も均一な平面形態は、僅かの随伴散乱のみで、顔料の空間的に整列した反射を達成することを可能にするので、特に高度な輝度を達成するために有利であることが見出されている。
【0034】
本発明による金属顔料の多くにおいて、光学的効果は特に、主要な優先事項であり、したがって、フレーク状顔料が好ましい。しかしながら特に、強磁性顔料の使用によって、例えば、磁界の適用で特別な効果を達成することが可能であり、これによって、その後に移動させて、施与被覆の部分領域において顔料濃度の高いまたは低い局所領域を得ることが可能である。
【0035】
意外にも、他の効果のなかでも、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンを、少なくとも1種の金属酸化物層を含む少なくとも1つの包囲層に施与することで、それで被覆された顔料の安定性、特に、そのガス発生に対する安定性が改善されることが見出されている。
【0036】
事前縮合ヘテロポリシロキサンと、包囲被覆の金属酸化物構成要素との反応が起こり、ヘテロポリシロキサンがその表面に固定されると考えられる。この結合したヘテロポリシロキサンは、少なくとも1種の金属酸化物を含有する、下に位置する被覆層の弱い部位を補償する保護層を形成すると思われる。同時に、事前縮合ヘテロポリシロキサンの使用によって、指定の生成物を表面に施与する際に、かなり簡単な方法を使用することができる。意外にも、事前縮合ヘテロポリシロキサンを使用すると、極めて均質な被覆を施与することができることが見出された。逆に、被覆される金属顔料の存在下で、モノマーのシランをそのまま使用すると、顔料の不均質な被覆が生じることが見出された。
【0037】
本発明による顔料は、事前縮合ヘテロポリシロキサンの代わりに、モノマーのシランが被覆のために使用された顔料と比較して、化学的安定性の上昇、酸化安定性の上昇、およびガス発生の低減などの特性を示すことが見出された。安定性の改善は特に、ガス発生に対する安定性に関して高い。
【0038】
変異型Iによる事前縮合ヘテロポリシロキサン
本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、例えば、一般式(RI)のアミノアルキルアルコキシシランと、一般式(RII)および(RIII)のアルキルトリアルコキシシランおよび/またはジアルキルジアルコキシシランとを混合し、この混合物を水と混合し、反応混合物のpHを1~8の値に調節し、反応中に存在および/または生成したアルコールを除去することによって製造することができる。事前縮合ヘテロポリシロキサンは、有機溶媒を本質的に含有しない。この手法で製造した事前縮合ヘテロポリシロキサンは、80℃よりもずっと高い引火点を有し、また、水で希釈してもアルコールを本質的に放出しない透明で安定な溶液である。
【0039】
したがって、本発明によって使用されるヘテロポリシロキサンは、好ましくは、有機溶媒を本質的に含有せず、80℃よりもずっと高い引火点を有し、水で希釈しても加水分解によるアルコールを本質的に放出しない水系の有機ポリシロキサン含有化合物である。
【0040】
例えば、本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、式(SI)の直鎖状共縮合物:
HO-[[Si(R)(OH)1-y(R-O][-Si(A)(A’)-O][-Si(R)(OH)-O]]-H (SI)
および/または式(SII)の環状共縮合物:
【化1】
および/または式(SIII)の直鎖状縮合物:
HO[-Si(R)(OH)1-y(R-O]x’’-H (SIII)
および/または式(SIV)の直鎖状縮合物:
HO[-Si(R)(OH)-O]x’’-H (SIV)
および/または式(SV)の直鎖状縮合物:
HO[-Si(A)(A’)-O]x’’-H (SV)
および/または式(SVI)の環状縮合物:
【化2】
および/または式(SVII)の環状縮合物:
【化3】
および/または式(SVIII)の環状縮合物:
【化4】
および/または式(SIX)のシラノール:
Si(R)(R(OH)3-y (SIX)
および/または式(SX)のシラノール:
Si(R)(OH) (SX)
および/または式(SXI)のシラノール:
Si(A)(A’)(OH) (SXI)
を含み得る。
ここで、上記の式は、個々のポリシロキサン内での個別のシラン構成要素の何らかの順序を指定するものではなく、
Rは互いに独立に、式(SXII)のアミノ官能性有機基:
[Z(f+g+h)(f+g+h)-[NH2+f-(CH-(NHg+1-(CH-(NHh+1-(CH(f+g+h)+- (SXII)
から選択され、ここで、0≦b≦3、0≦d≦3、0≦i≦3、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦c≦1、0≦e≦1、b+d+i≠0、b=0であれば、c=0、d=0であれば、e=0、i=0であれば、e=0、d=i=0であれば、c=0であり、Zは、例えば、塩化物、硝酸塩、ギ酸塩、および酢酸塩からなる群から選択される一価の無機または有機酸ラジカルであり、
は互いに独立に、メチルおよびエチルからなる群から選択され、
は互いに独立に、1~8個のC原子を有する直鎖状、環状、および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
Aは互いに独立に、1~3個のC原子を有する非分枝鎖状および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
A’は互いに独立に、1~3個のC原子を有する非分枝鎖状および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
それぞれの場合に、互いに独立に、0≦y≦1であり、
q+a+m、q’+a’+m’、x’’およびx’’’は、それぞれの場合に、少なくとも4の平均値を有する。この場合、式(SIII)、(SIV)、(SV)、(SVI)、(SVII)、および(SVIII)のx’’およびx’’’は、それぞれの場合に別々に考慮される。M/Qの比は好ましくは、0~2、より好ましくは0.1~2であり、ここで、Qは、式(SIX)によるアミノ含有シランおよび縮合物に含まれる対応するシラン構成要素の合計モル数であり、
Mは、MおよびMの合計モル数であり、
は、式(SX)によるシランおよび縮合物に含まれる対応するシラン構成要素の合計モル数であり、
は、式(SXI)によるシランおよび縮合物に含まれる対応するシラン構成要素の合計モル数である。上述のとおり、上述の構造式は、そこに含まれるシラン構成要素の順序を指定するものではない。特に、本発明によって上記で使用されるポリシロキサンは、対応するブロックポリマーのみに限定されない。q+a+m、q’+a’+m’、x’’およびx’’’の平均値は、対応する化合物の算術平均から誘導される。
【0041】
さらなる実施形態では、M/Mは、0.1未満、より好ましくは0であることが好ましい。
【0042】
さらに、本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、例えば、
-一般式(RI)の水溶性アミノアルキルアルコキシシラン:
Si(R)(R(OR1*3-y (RI)
を、一般式(RII)の非水溶性アルキルトリアルコキシシラン:
Si(R)(OR1** (RII)
もしくは一般式(RIII)の非水溶性ジアルキルジアルコキシシラン:
Si(A)(A’)(OR1*** (RIII)
または一般式(RII)および(RIII)の非水溶性アルキルトリアルコキシシランおよびジアルキルジアルコキシシランの混合物と、0<M/Q≦2のモル比で混合し(ここで、Qは、一般式(RI)のアミノアルキルアルコキシシランの合計モル数であり、Mは、一般式(RII)のアルキルトリアルコキシシランおよび一般式(RIII)のジアルキルジアルコキシシランの合計モル数である)、
ここで、Rは互いに独立に、式(RIV)によるアミノ官能性有機基:
[Z(f+g+h)(f+g+h)-[NH2+f-(CH-(NHg+1-(CH-(NHh+1-(CH(f+g+h)+- (RIV)
から選択され、ここで、0≦b≦3、0≦d≦3、0≦i≦3、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦c≦1、0≦e≦1であり、
b+d+i≠0、b=0であれば、c=0、d=0であれば、e=0、i=0であれば、e=0、d=i=0であれば、c=0であり、Zは、一価の無機または有機酸ラジカルであり、
、R1*、R1**、およびR1***は、それぞれの場合に相互に独立に、メチルおよびエチルからなる群から選択され、
は互いに独立に、1~8個のC原子を有する直鎖状、環状、および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
Aは互いに独立に、1~3個のC原子を有する非分枝鎖状および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
A’は互いに独立に、1~3個のC原子を有する非分枝鎖状および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
それぞれの場合に、互いに独立に、0≦y≦1であり、
-混合物を水とブレンドし、
-反応混合物のpHを1~8の値に調節し、
-既に存在していた、かつ/または反応中に生成したアルコールを除去することによって得ることができる。「水溶性」という用語は、本発明の意味の範囲内では、好ましくは、20℃および7のpHで、問題の化合物が少なくとも1g/lで、水に溶解し得ることを意味する。「非水溶性」という用語は、本発明の意味の範囲内では、好ましくは、20℃および7のpHで、問題の化合物が0.1g/l以下で、水に溶解し得ることを意味する。
【0043】
この場合、非水溶性出発構成要素として、一般式(RII)のアルキルトリアルコキシシランおよび一般式(RIII)のジアルキルジアルコキシシランの混合物を、好ましくは、一般式(RV)および(RVI)の対応するトリ-およびジクロロシラン:
Si(R)(Cl) (RV)
Si(A)(A’)(Cl) (RVI)
(ここで、Rは互いに独立に、1~8個のC原子を有する直鎖状、環状、および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
Aは互いに独立に、1~3個のC原子を有する非分枝鎖状および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択され、
A’は互いに独立に、1~3個のC原子を有する非分枝鎖状および分枝鎖状アルキル基からなる群から選択される)を、
メタノールまたはエタノールで同時にエステル化することによって得る。しかしながら、上記混合物自体を、純粋な個別の構成要素、一般式(RII)および(RIII)のアルキルトリアルコキシ-およびジアルキルジアルコキシシランから、混合によって得ることもできる。
【0044】
その内容が参照によって本明細書に組み込まれるEP 0 716 128 A2も参照されたい。
【0045】
変異型IIによる事前縮合ヘテロポリシロキサン
本発明によって使用される水系の事前縮合ヘテロポリシロキサンはまた、一般式(TII)の非水溶性オルガノシランと一般式(TI)の水溶性オルガノシランとを、0<M/Q≦2のM、すなわち、非水溶性オルガノトリアルコキシシランと、Q、すなわち、水溶性アミノアルキルアルコキシシランとのモル比で混合し、その混合物を水とブレンドし、反応混合物のpHを1~8の値に調節し、既に存在していたか、または反応中に生成したアルコールを蒸留によって除去する場合に得ることもできる。蒸留によって除去する間、水を好ましくは、反応媒体から除去されたアルコールまたはアルコール/水の量と同量で添加する。一塩基酸が、pH調節に特に適している。この手法で製造した事前縮合ヘテロポリシロキサンは、水で希釈しても、加水分解によるアルコールをさらに放出することはなく、70℃よりもずっと高い引火点を有する。
【0046】
有機溶媒を本質的に含有せず、70℃を超える引火点を有し、水で希釈しても加水分解によるアルコールを本質的に放出しない本発明による水系の事前縮合ヘテロポリシロキサンも使用することもでき、この際、化合物中のアルコール含量は、5重量%未満であり、上記ヘテロポリシロキサンは、
-Qモルの一般式(TI)の水溶性アミノアルキルアルコキシシラン:
Si(R)(R(OR1*3-y (TI)
を、Mモルの一般式(TII)の非水溶性アルキルアルコキシシラン:
Si(R)(OR1** (TII)
と、0<M/Q≦2のモル比で混合し、
ここで、Rは互いに独立に、一般式(TIII)のアミノ官能性有機基:
【化5】
から選択され、ここで、1≦a≦6、1≦b≦6、0≦c≦6、0≦d≦2、0≦e≦1、0≦f≦1、0≦f≦1であり、
AおよびAは、それぞれの場合に互いに独立に、ベンジル基およびビニル基からなる群から選択され、Nは、窒素原子を示し、Zは、一価の無機または有機酸ラジカルであり、
、R1*、R1**は、それぞれの場合に相互に独立に、メチルおよびエチルからなる群から選択され、
は互いに独立に、1~6個のC原子を有する直鎖状、環状、および分枝鎖状アルキル基、ならびに式(TIV)のウレイドアルキル基:
NH-CO-NH-(CH- (TIV)
からなる群から選択され、ここで、1≦b≦6であり、
それぞれの場合に、互いに独立に、0≦y≦1であり、
-混合物を水とブレンドし、
-反応混合物のpHを1~8の値に調節し、
-既に存在していた、かつ/または反応中に生成したアルコールを除去することによって得ることができる。
【0047】
したがって、本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、例えば、式(UI)の直鎖状共縮合物:
HO[[-Si(R)(OH)1-y(R-O][-Si(R)(OH)-O]]-H (UI)
および/または式(UII)の環状共縮合物:
【化6】
および/または式(UIII)の直鎖状縮合物:
HO[-Si(R)(OH)1-y(R-O]x”-H (UIII)
および/または式(UIV)の直鎖状縮合物:
HO[-Si(R)(OH)-O]x”-H (UIV)
および/または一般式(UV)の環状縮合物:
【化7】
および/または式(UVI)の環状縮合物:
【化8】
および/または式(UVII)のシラノール:
Si(R)(R(OH)3-y (UVII)
および/または式(UVIII)のシラノール:
Si(R)(OH) (UVIII)
を含み得る。
ここで、上記の式は、個々のポリシロキサン内での個別のシラン構成要素の何らかの順序を指定するものではなく、
Rは互いに独立に、式(UIX)のアミノ官能性有機基:
【化9】
から選択され、ここで、1≦a≦6、1≦b≦6、0≦c≦6、0≦d≦2、0≦e≦1、0≦f≦1、0≦f≦1であり、
AおよびAは互いに独立に、ベンジル基およびビニルベンジル基からなる群から選択され、Nは、窒素原子であり、Zは、例えば、Cl、NO 、HCOO、およびCHCOOからなる群から選択される一価の無機または有機酸ラジカルであり、
は互いに独立に、メチルおよびエチルからなる群から選択され、
は互いに独立に、1~6個のC原子を有する直鎖状、環状、および分枝鎖状アルキル基、ならびに式(UX)のウレイドアルキル基
NH-CO-NH-(CH- (UX)
からなる群から選択され、ここで、1≦b≦6であり、
それぞれの場合に、相互に独立に、0≦y≦1であり、
q+m、q’+m’、x’’およびx’’’は、それぞれの場合に、2~20の範囲の平均値を有する。この場合、式(UIII)、(UIV)、(UV)、および(UVI)のx’’およびx’’’は、それぞれの場合に別々に考慮される。好ましくは、M/Qの比は、0~2であり、Qは、式(UVII)によるアミノ含有シランおよび縮合物に含まれる対応するシラン構成要素の合計モル数であり、Mは、式(UVIII)によるシランおよび縮合物に含まれる対応するシラン構成要素の合計モル数である。上述のとおり、上述の構造式は、そこに含まれるシラン構成要素の順序を指定するものではない。特に、本発明によって上記で使用されるポリシロキサンは、対応するブロックポリマーのみに限定されない。q+m、q’+m’、x’’およびx’’’の平均値は、対応する化合物の算術平均から誘導される。
【0048】
さらに、本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、例えば、
-Qモルの式(TI)の水溶性アミノアルキルアルコキシシラン:
Si(R)(R(OR1*3-y (TI)
を、Mモルの式(TII)の非水溶性アルキルアルコキシシラン:
Si(R)(OR1*** (TII)
と、0<M/Q≦2のモル比で混合し、
ここで、Rは互いに独立に、式(TIII)のアミノ官能性有機基:
【化10】
から選択され、ここで、1≦a≦6、1≦b≦6、0≦c≦6、0≦d≦2、0≦e≦1、0≦f≦1、0≦f≦1であり、
AおよびAは、ベンジルまたはビニルベンジルラジカルを表し、
Nは、窒素原子を示し、
Zは、例えば、Cl、NO 、HCOO、およびCHCOOからなる群から選択される一価の無機または有機酸ラジカルであり、
、R1*、R1**は、それぞれの場合に相互に独立に、メチルおよびエチルからなる群から選択され、
は互いに独立に、1~6個のC原子を有する直鎖状、環状、および分枝鎖状アルキル基、ならびに式(TIV)のウレイドアルキル基:
NH-CO-NH-(CH- (TIV)
からなる群から選択され、ここで、1≦b≦6であり、
それぞれの場合に、相互に独立に、0≦y≦1であり、
-この混合物を水とブレンドし、
-反応混合物のpHを1~8の値に調節し、
-既に存在していた、かつ/または反応中に生成したアルコールを除去することによって得ることができる。
【0049】
その内容が参照によって本明細書に組み込まれるEP 0 716 127 B1も参照されたい。
【0050】
好ましいヘテロポリシロキサンは、Evonik Industries AG,45128 Essen,Germanyから、Dynasylan Hydrosil 2627、Dynasylan Hydrosil 2776、Dynasylan Hydrosil 2909、Dynasylan 1146、およびDynasylan Hydrosil 2907の商標名で得ることができる。特に好ましい水系のヘテロポリシロキサンは、Dynasylan Hydrosil 2627、Dynasylan Hydrosil 2776、Dynasylan Hydrosil 2907、およびDynasylan Hydrosil 2909である。
【0051】
本発明の好ましい変異型では、事前縮合ヘテロポリシロキサンは、Dynasylan Hydrosil 2627、Dynasylan Hydrosil 2776、Dynasylan Hydrosil 2909、Dynasylan 1146、Dynasylan Hydrosil 2907、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
ヘテロポリシロキサンは好ましくは、少なくとも500g/mol、特に好ましくは少なくとも750g/mol、最も特に好ましくは少なくとも1000g/molの平均分子量を有する。平均分子量は、例えば、任意選択によりH-NMRと組合わせた29Si-NMRなどのNMR分光学的方法によって決定することができる。そのような方法の記載は、例えば、“Organofunctional alkoxysilanes in dilute aqueous solution:New accounts on the dynamic structural mutability”,Journal of Organometallic Chemistry,625(2001),208-216などの刊行物において見出すことができる。
【0053】
さらに、本発明による被覆金属顔料は、従来の被覆顔料と比較して、凝集のかなりの低減を示すことが意外にも見出された。高濃縮な形態、例えば、ペーストの形態での本発明による顔料の取扱いの簡略化、加工、および使用が可能なことに加えて、意外にも、これは、乾燥調製物の形態の顔料の特性に対して、有意な効果も有する。例えば、本発明による顔料を用いると、凝集に関するPVD顔料の品質、したがって、それらの光学特性の顕著な低下を容認しなくても、最も単純な可能な手法で、粉末形態のPVD顔料を得ることさえ可能である。
【0054】
品質のかなりの低減を容認する必要なく、高品質ではあるが繊細な顔料、例えば、特にPVD顔料を高濃縮な形態で加工することができることによって、いくつかの利点が得られ、例えば、顔料の取り扱いが簡略化され、可能な施与範囲がかなり広がる。輸送、貯蔵、および加工に関する要求を低下させつつ、顔料の精製も簡略化され、最終使用者のために一貫した高い品質が保証される。
【0055】
PVD顔料をかなり濃縮し、そのような顔料をさらに乾燥させることができることによって、顔料を完全に新規の手法で取り扱うことが可能である。例えば、さらなる加工ステップの前に、品質の顕著な低下を伴うことなく、対応する顔料を簡単な手順のステップによって濾別することができる。例えば、顔料を、溶媒を完全に除去した後に、溶媒非含有塗料の施与においてそのまま使用することができる。例えば、溶媒を除去することが可能であることによって、輸送および貯蔵をかなり簡単に行うことができる。例えば、気相反応における顔料の改質などの新たな改質の可能性が得られる。例えば、本発明によって、溶媒非含有系、例えば、紛体塗料もしくはプラスチックにおける、または溶媒が問題をもたらし得る系、例えば、UV塗料および印刷インクにおける顔料の使用が可能となる。例えば、製品中で移動する傾向のある構成要素は、容易に除去することができる。これは、食品の分野での顔料の使用を単純化または可能にする。例えば、別の溶媒での再湿潤、すなわち、溶媒の交換がかなり簡単になる。
【0056】
さらに、本発明による顔料は意外にも、紛体塗料に施与した場合に、好ましい施与性、さらには、非常に好ましい被覆および耐摩擦性をもたらすことが示された。本発明によるアルミニウム顔料の紛体塗料への施与では、施与性が、ヘテロポリシロキサンを含有しない同様のアルミニウム顔料の施与性よりも優れていることが見出された。特に、本発明によって施与された被覆は、強磁性顔料を使用する被覆において有利であることが見出され、これはまた、紛体塗料の施与中または施与後に特に好ましい配向を示す。
【0057】
強磁性顔料を例えば、例えば、被覆される材料の背面に配置、例えば、固定されている磁石を使用して、磁界を適用することによって移動させて、指定の位置に強磁性顔料を蓄積させ、他の位置では欠乏させることができる。さらに、例えば、施与後の顔料の配向に、磁界によって影響を及ぼし、特定の光学的効果を達成することができる。したがって、特定の光学的効果を、本発明による強磁性顔料を使用して再現性よく生じさせることができる。
【0058】
被覆剤、例えば、ラッカーを、例えばオーブン内で硬化させる間、配置した磁石を、被覆される材料上に残しておく本発明による変異型では、いずれの他の2層構成でも、例えば、その上にアクリレート層が配置されている金属酸化物層では達成することができない光学部品を作出することが可能である。
【0059】
意外にも、磁石を被覆剤の硬化前に除去する本発明による第2の変異型では、金属酸化物層およびヘテロポリシロキサン改質を有する顔料は、特有の触覚をもたらすことが見出された。これらの触覚は、点字エンボス加工のものと同様である。対照的に、これらの触覚は、同じ条件下で施与された異なる2層構成、例えば、金属酸化物層とその上に配置されたアクリレート層とを有する強磁性顔料の使用では観察されなかった。
【0060】
特に、本発明によって施与された2層から構成される被覆は、好ましくは磁界の作用下で、紛体塗料の施与中または施与後にも配向することができる強磁性顔料の被覆のために有利であることが見出された。
【0061】
本発明による顔料、それらの金属コア、およびそれらの金属基材を特徴づける特徴は、顔料のサイズである。このサイズは、典型的には、D値を使用して示される。この場合、その数値は、体積平均粒子サイズ分布に含まれる、指定のサイズよりも小さい粒子のパーセンテージを示している。例えば、D50値は、粒子の50%より大きいサイズを示す。これらの測定は、例えば、Quantachromeによって製造された粒子サイズ分析器(model:Cilas 1064)を使用してレーザー粒度分析によって行われる。この場合、測定は、製造者からのデータに従って行われる。この目的では、粉末化被覆材料1.5gまたは1.5gの固体含分を有するペーストを、エタノール約100mlに分散させ、超音波浴(model:Sonorex IK 52,Bandelin)内で300秒間にわたって処理し、パスツールピペットを使用して測定デバイスの試料調製セル内に入れ、複数回測定する。個別の測定結果から、生じた平均値が得られる。この場合、散乱光シグナルの評価は、フラウンホーファー法によって実施される。
【0062】
本発明による金属顔料、特に、金属効果顔料は好ましくは、2~66μmの範囲、より好ましくは4~50μmの範囲、なおより好ましくは、8~47μmの範囲の平均顔料直径(D50値)を有する。
【0063】
さらに、D90値は好ましくは、10~81μmの範囲、より好ましくは16~80μmの範囲、なおより好ましくは21~79μmの範囲である。
【0064】
10値が、0.5~34μmの範囲、より好ましくは1~29μmの範囲、なおより好ましくは2~27μmの範囲であることも、好ましい。
【0065】
特に、本発明の実施形態では、D50値が2~66μmの範囲であり、D90値が10~81μmの範囲であり、D10値が0.5~34μmの範囲であることが好ましい。好ましくは、D50値は、4~50μmの範囲であり、D90値は、16~80μmの範囲であり、D10値は、1~29μmの範囲である。
【0066】
本発明による金属顔料、好ましくは金属効果顔料を特徴づけるための別の特徴は、スパンΔDであり、これは、次式:
ΔD=(D90-D10)/D50
のとおり定義される。好ましくは、本発明による金属顔料、特に金属効果顔料は、0.6~2.1の範囲、好ましくは0.7~1.9の範囲、なおより好ましくは0.75~1.7の範囲のスパンを有する。
【0067】
さらに、本発明による被覆金属効果顔料、好ましくは金属効果顔料は、また好ましくは、特定の平均厚さ(h50値)によって特徴づけられる。平均厚さは、累積通過曲線とも称される累積度数分布において、金属顔料の50%が指定の厚さ以下である値を制定しており、少なくとも100個の顔料、例えば100個の顔料を測定する。
【0068】
厚さ分布を決定するための顔料は、EP 1 613 702 B1([0125]~[0126])に記載の方法によって調製および測定される。この方法では、10°未満の方位角を有する顔料のみをカウントする。累積通過における関連値の決定は、Excel(分位点機能)などの標準的なプログラムを使用して実施することができる。
【0069】
顔料を調製するために、上述の方法を使用すべきではない場合、例えば、被膜での調製を代替法として実施することができる。この場合、施与媒体においてフレークの最も好ましい可能な配向を保証することが重要である。この後、硬化した被膜を部分的に研磨し、その断面をREMによって観察する。好ましい配向を示す粒子のみをカウントする。
【0070】
したがって、本発明による被覆金属効果顔料では、h50値は、15nm~2μmの範囲、好ましくは20nm~1.5μmの範囲であることが好ましい。特に、さらなる実施形態では、本発明による被覆金属効果顔料は、20nm~370nmの範囲、より好ましくは20nm~240nmの範囲、特に好ましくは15~80nmの範囲、最も特に好ましくは20~50nmの範囲のh50値を有することが好ましい。
【0071】
例えば、特に好ましい本発明による金属効果顔料を特徴づけるために、アスペクト比を使用することができる。これは、次式:
アスペクト比=D50/h50
によって決定される。したがって、好ましい実施形態では、本発明による被覆金属効果顔料は、1500:1~10:1の範囲、好ましくは1200:1~15:1の範囲、より好ましくは950:1~25:1の範囲のアスペクト比によって特徴づけられる。
【0072】
金属基材は好ましくは、金属効果顔料である。「金属基材」という用語は、本発明の意味の範囲内では、1つ以下の薄い酸化層を有する未被覆金属含有顔料を指すと理解される。これらは、少なくとも1種の金属または少なくとも1種の金属合金から本質的に、および好ましくは完全に構成される金属顔料であるべきである。特に、これらの金属基材は、ナノ粒子またはナノ粒子凝集体ではない。「ナノ粒子」という用語は、本発明の意味の範囲内では、400nm未満の平均粒子サイズを有する粒子を指すと理解される。金属基材は好ましくは、500nm未満の平均粒子サイズを有する粒子、またはその凝集体ではない。そのような小さい粒子の決定は、例えば、Beckman Coulterによって製造されたDelsaNano Cにより、製造者からのデータに従って行われる。
【0073】
金属基材の酸化から生じる大きな色変化を伴うことなく、高い金属光沢値が望ましい用途では、本発明によって使用される金属基材の金属は主に、元素金属の形態で、すなわち、非酸化形態で存在することが好ましい。したがって、さらなる実施形態では、金属基材中の金属の酸素含量は、それぞれの場合に、金属基材中の金属の重量に対して15重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは8重量%以下、なおより好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。
【0074】
しかしながら、特異的な色相が望ましければ、追加の着色顔料を用いることなく、または既存の着色顔料に対する補充として、金属顔料の標的酸化による着色によって、したがって、所望の着色をもたらす酸化物層を生じさせることによって、これらを得ることができる。
【0075】
本発明による金属顔料は、金属基材と、少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの包囲被覆層とを含む。少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを有する第2の被覆層は、この第1の包囲被覆層に施与される。第2の被覆層は、非包囲層または包囲層として構成され得る。金属基材は好ましくは、金属コアである。
【0076】
この金属コアは好ましくは、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、スズ、チタン、クロム、コバルト、銀、ステンレス鋼、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、ケイ素、およびホウ素、ならびにそれらの混合物、さらにはそれらの合金からなる群から選択される金属から大部分構成される。本発明の意味の範囲内では、「金属」という用語には、半金属のケイ素およびホウ素、特に、合金構成要素として好ましくは使用されるべきであるケイ素も含まれる。好ましくは、上述の金属は、酸素を除いた金属コアの重量に対して金属コアの少なくとも95重量%を成している。多くの場合に防止することが困難な表面酸化のために、上述の金属の金属含量を計算する際、酸素の含量は考慮しない。
【0077】
別段に指定しない限り、本発明では、「本質的に」は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%を意味することが特に好ましい。これらの値が、具体的な金属の含量または被覆量などの材料特性に関する場合、それらは、重量%を意味する。
【0078】
さらなる実施形態では、金属基材中の金属は、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、スズ、チタン、およびステンレス鋼、さらにはそれらの混合物および合金からなる群から選択される金属から大部分構成されることが好ましい。金属X、または金属XおよびZの混合物から「大部分」構成されるとは、本発明の意味の範囲内では、その金属Xが、酸素を除いた金属基材または酸素を除いた金属コア中の金属の重量に対して、少なくとも60重量%を構成していることを意味する。好ましくは、金属基材または金属コア中の金属は、それぞれの場合に、酸素を除いた金属基材または酸素を除いた金属コア中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、より好ましくは少なくとも99重量%まで、指定の1種または複数種の金属から構成される。
【0079】
さらなる実施形態では、上述の値、さらには、本発明の後続の値は、金属基材中の金属および金属基材中の金属の重量に対するものではなく、金属コアおよび金属コアの重量に対するものであることが好ましい。
【0080】
さらなる実施形態では、金属基材中の金属は、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、銀、銅、クロム、チタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される金属から構成されることが好ましい。
【0081】
金属の好ましい混合物は、黄銅(金青銅)、亜鉛-マグネシウム合金、および鋼である。
【0082】
酸素を除いた金属コアの重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウム、鉄、亜鉛、鋼、銅、または黄銅、より好ましくはアルミニウム、銅、鉄、または黄銅から構成される金属コアが特に好ましい。
【0083】
金属基材の特に好ましい群は、アルミニウム被覆された非金属基材およびアルミニウム顔料から選択される金属コアである。特に、アルミニウム顔料から選択される金属コアが好ましい。さらなる実施形態では、金属基材中の金属は、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウムから構成されるべきである。さらに、さらなる実施形態では、金属基材中の様々な金属のパーセンテージは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満であることが好ましい。
【0084】
金属基材のさらに好ましい群は、銅含有金属基材である。これらは、それぞれの場合に、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の元素銅の含量を有する。特に、銅含有金属コアを使用することが好ましい。本発明の意味の範囲内では、上述の元素銅の含量はまた、合金の銅含量を指すと理解される。以下では銅効果顔料とも称されるフレーク状銅含有顔料の使用が特に好ましい。
【0085】
さらなる実施形態では、銅顔料、特に銅効果顔料を、金属基材として使用する。「銅顔料」は、本発明の意味の範囲内では、好ましくは、それぞれの場合に、金属基材中の金属の重量に対して、98~100重量%、より好ましくは99~99.999重量%の元素銅の含量を有する。特に、さらなる実施形態では、銅顔料が金属コアであることが好ましい。当業者であれば、銅100重量%という数値は、痕跡量で含有され得る任意の一般的な外来金属を含むとも解釈するであろうと、理解されねばならない。「痕跡量」という用語は、本発明の意味の範囲内では、金属の合計重量に対して、0.01重量%以下の量を指す。
【0086】
さらなる実施形態では、黄銅顔料、特に、以下では黄銅効果顔料とも称されるフレーク状黄銅顔料を、本発明において金属基材として使用する。「黄銅顔料」という用語は、本発明の意味の範囲内では、金属が、少なくとも亜鉛および銅から大部分構成される合金から選択される金属顔料を指す。そのような顔料は、金青銅顔料とも称される。好ましくは、本発明によって使用される黄銅顔料、特に、黄銅効果顔料は、それぞれの場合に、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、70~98重量%未満、より好ましくは75~90重量%の銅含量を有する。特に、さらなる実施形態では、黄銅顔料が金属コアであることが好ましい。
【0087】
銅に加えて、亜鉛が、黄銅顔料中の金属の別の主な構成要素を構成し、銅および亜鉛の合計量は、さらなる実施形態では、好ましくは、それぞれの場合に、酸素を除いた銅含有金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、なおより好ましくは少なくとも99.9重量%である。
【0088】
本発明の特別な目的は、本発明によって施与される被覆を、強磁性金属基材、特に、強磁性金属コアと組み合わせることによって達成される。
【0089】
意外にも、本発明によって施与された被覆は、紛体塗装として施与する際に特有の利点をもたらすことが見出された。例えば、この手法で被覆された強磁性顔料は、特に良好な施与性を示し、不透明仕上げ剤で被覆され得、被覆の硬化後に、耐摩擦性であった。事前縮合ヘテロポリシロキサンが、最外側の被覆層の構成要素であるか、または最外側の被覆層を構成していると、施与性に特に有利であることが見出されている。
【0090】
さらに、本発明による被覆強磁性顔料によって、特異的なプロセスステップを用いて、特有の触覚を得ることが可能になる。例えば、強磁性顔料を含有する紛体塗料の施与では、磁石を、被覆される物質の裏面に配置、例えば、付着させ、被覆が硬化する前に除去することができる。意外にも、顕著な触覚を有するイメージをこの手法で達成することができ、その際、被覆表面の形のくずれが観察される。その結果生じるイメージは、点字書写と同様に、触れることによって識別することができる。これが本発明を何ら限定すると理解されることはないが、本発明の被覆金属顔料は、塗料のかなりの量に従って運ばれて、対応する形のくずれが生じると考えられる。この場合、期待されるより高い耐性は、頻繁に観察される、強磁性金属顔料のやや低減された線の鋭さによって説明されるであろう。特に、事前縮合ヘテロポリシロキサンが被覆表面上に構成され、塗料と相互作用し得る場合に、これは観察される。したがって、さらに好ましい実施形態では、事前縮合ヘテロポリシロキサンは、本発明による金属顔料の最外側の層を構成する。
【0091】
さらに特に好ましい実施形態では、金属基材、好ましくは金属コア中の金属は、酸素を除いた金属基材の重量に対して、少なくとも60重量%まで、室温(25℃)で強磁性である少なくとも1種の金属から構成される。鉄、コバルト、およびニッケルなどの、純粋な形態で強磁性特性を示す強磁性金属に加えて、AlNiCo、SmCo、NdFe14B、Ni80Fe20、およびNiFeCoなどの合金も使用することができる。しかしながら、鉄、コバルト、および/またはニッケル、特に、鉄の使用が特に好ましい。特に有利な鉄は、いわゆるカルボニル鉄である。カルボニル鉄からのフレーク状効果顔料の製造は、EP 1 251 152 B1において記載されている。この物質は、鉄ペンタカルボニルの分解によって得られ、その特に高い純度および高い延性によって特徴づけられる。これらの特性のさらなる改善は、カルボニル鉄含量をさらに還元することによって達成される。そのような還元方法は、例えば、US 6,645,286 B2において開示されている。
【0092】
好ましい実施形態では、金属基材中の金属は、金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも50重量%まで、より好ましくは少なくとも60重量%まで、鉄から構成される。特に、金属基材が金属コアであることが好ましい。この場合、鉄は、元素の形態であってよいか、または例えば、表在酸化物層の形態で、酸化物として存在することもできる。「元素金属」という用語は、本発明の意味の範囲内では、該当する金属が、0の酸化状態で存在すること、すなわち酸化も還元もされていない形態であることを意味する。この場合、元素金属は、合金構成要素の形態であってもよい。例えば、合金中の様々な金属の異なる電気陰性度から生じる効果は、考慮されない。
【0093】
さらに、金属基材、好ましくは金属コア中の金属が、それぞれの場合に、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも90重量%まで、好ましくは少なくとも97重量%まで、より好ましくは少なくとも99重量%まで、なおより好ましくは少なくとも99.9重量%まで、強磁性金属、特に、鉄から構成されることが好ましいことがある。この場合、鉄は、元素の形態であってよいか、または表在酸化物層の形態で、酸化物として使用することができる。強磁性金属の高い含量によって、弱い磁界でも顕著な効果を、または強い磁石で高いコントラスト効果を達成することが可能である。特に、金属コアが、完全に鉄から構成され、痕跡量でのみ他の構成要素を含むことが好ましい。「痕跡量」という用語は、本発明の意味の範囲内では、金属に対して、0.01重量%以下の合計量を指す。
【0094】
本発明のさらなる実施形態では、合金に構成要素を標的添加することによって特異的な特性が達成されている特異的な合金、特に、鋼合金を使用することが好ましい。例えば、第一鉄顔料の耐腐食性を改善するために、クロムを使用することができる。これによって、例えば、本発明による被覆を施与する前に、顔料の酸化を徹底的に低減することが可能となる。しかしながら、強磁性金属のより低い含量によって、磁界が同じ場の強度で適用される場合のコントラストが低下するので、そのような顔料は例えば、より大きな重要性が例えば個々の顔料の特に高い光沢に置かれている、コントラストの豊かさがより低いモチーフのために特に良く適合する。鋼顔料は、そのような合金顔料の特に好ましい例である。
【0095】
本発明のさらに好ましい実施形態では、第一鉄金属コアを使用する。第一鉄顔料という用語は、本発明の意味の範囲内では、酸素を除いた金属コアの重量に対して、鉄を少なくとも60重量%含む顔料を指す。この場合、鉄顔料または強磁性鋼顔料のいずれかを使用することが特に好ましい。「鉄顔料」という用語は、本発明の意味の範囲内では、金属コアが、少なくとも90重量%まで、鉄から構成されることを意味する。特に、鉄顔料が、少なくとも97重量%まで、より好ましくは少なくとも99重量%まで、なおより好ましくは少なくとも99.5重量%まで、鉄から構成されることが好ましい。「鋼顔料」という用語は、本発明の意味の範囲内では、金属コアが、少なくとも70重量%まで鉄、および少なくとも80重量%まで鉄、さらには、さらに構成要素のコバルト、ニッケル、またはそれらの混合物から構成され、鉄に加えて、1重量%を超える含量で、合金構成要素として少なくとも2種、好ましくは少なくとも3種の金属を含有することを意味する。上述の重量パーセンテージは、それぞれの場合に、例えば、表在酸化層の形態で存在し得る酸素を除いた金属コアの重量を指す。合金構成要素として使用することができる金属の例は、タングステン、モリブデン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ニオブ、クロム、ケイ素、マンガン、またはそれらの混合物である。
【0096】
「強磁性」という用語は、本発明の意味の範囲内では、当業者に共通して理解される用語と同等である。強磁性金属の例は、鉄、コバルト、およびニッケルである。そのような金属では、ワイス場が形成され、対応する材料の磁気特性に対して作用を発揮する。ワイス場は、それらのキュリー温度によってさらに特徴づけられ、その温度を超える温度では、強磁性特性が失われる。特に、本発明による強磁性金属は、少なくとも100℃、好ましくは少なくとも150℃、より好ましくは少なくとも250℃、なおより好ましくは少なくとも400℃のキュリー温度を有することが好ましい。
【0097】
強磁性金属のさらなる特性は、それらの高い比透磁率(μ>>1)である。比透磁率は通常、測定のために使用される磁界強度に依存し、この理由で、範囲は、この値で示される。理論上は、適用される磁界を連続的に漸増させると、磁気飽和が生じて、比透磁率が1に近づくこととなるであろう。該当する金属の比透磁率の上限μは、それぞれの場合に20℃で測定して、好ましくは>75、より好ましくは>150、なおより好ましくは>250、最も好ましくは>350であるべきである。透磁率の測定は、例えば、Gouy balanceまたはSQUID(Superconducting QUantum Interference Device)を使用することによって実施することができる。
【0098】
本発明による鉄顔料は、きわめて高い鉄含量によって特徴づけられる。例えば、管状炉において鉄ペンタカルボニルFe(CO)を気相分解することによって製造される純度の高い鉄を使用することが好ましい。この材料は、約97重量%の鉄含量を有し、さらに炭素を約1.5重量%および酸素を約1重量%で含む。この鉄粉末をさらに還元することによって、不純物をより高度に除去して、少なくとも99.5重量%の鉄含量を得ることができる。この高純度の鉄は高い延性を示し、したがって、非常に容易に摩砕することができるか、または特に高品質の鉄効果顔料に変形させることができるので、そのような顔料の使用が特に好ましい。
【0099】
本発明による鋼顔料は典型的には、本発明による鉄顔料よりは好ましくない磁化を示すが、さらなる合金構成要素の添加によって、材料の特性を、所望の要求に合うように仕立てることが可能である。特に、金属基材、好ましくは金属コアの安定性の上昇を達成するためには、ステンレス鋼合金の使用が好ましい。例えば、微細粒子形態の純粋な鉄は発火性であり、自発燃焼する傾向を有するので、これによって、プロセス制御を簡略化することが可能となる。この理由で、本発明によって使用される被覆を施与する前に、例えば、画定された表面酸化による表面の飽和が必要であり、かつ/またはより厳格な安全性要求が満たされなければならない。したがって、ステンレス鋼顔料の使用によって、例えば、かなり簡単なプロセスを使用して、僅かな表面酸化層を有するか、またはそのような層を持たない第一鉄顔料を得ることが可能である。特に、本発明による鋼顔料は、それぞれの場合に、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、クロムを少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも12重量%含むべきである。
【0100】
さらに、本発明による鋼顔料は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、炭素を1.8重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下で含有することによって特徴づけられる。
【0101】
一般に、フレーク状金属顔料、特に、上記で具体的に列挙したものは、当業者に共通して公知の様々な方法によって得ることができる。例には、金属グリット、特に、アルミニウムグリット、銅含有グリット、および強磁性グリットの摩砕、またはPVD法による金属、特に、アルミニウムの気相蒸着が含まれる。上述の2つの製造方法は、典型的に得られるか、または得ることができる顔料の品質において異なるだけではなく、さらなる加工、それらの取り扱い、およびそれらの特異的特性に関するそれらの要求においても異なる。
【0102】
広く異なる特性を有する幅広い範囲の金属効果顔料を得るために広く使用されている方法は、金属グリットの摩砕である。この場合、微細な金属グリットを得るために、液体金属を典型的には、噴霧する。様々な金属を、金属溶融物で、相互に合金させることもできる。例は、黄銅グリットの製造である。次いで、得られたグリットを、摩砕の前に任意選択により分級するか、または後処理に掛ける。
【0103】
摩砕は、乾式または湿式の方法によって行うことができる。対応する変法は、他の因子のなかでも、所望の全体条件、所望の生成物、および使用する抽出物に基づき選択される。例えば、湿式摩砕は、安全性の観点から有利であることが見出され、最適ではないプロセスパラメーターでも、より均質かつ緩い変形をもたらした。アルミニウムの摩砕では、例えば、湿式摩砕が典型的には好ましい。他方で、乾式摩砕は、例えば、その後に、別の溶媒での再湿潤が必要ないので、加工の簡略化を可能にする。この方法を例えば、銅または黄銅グリットをフレーク状銅または黄銅顔料へと摩砕する際に使用する。「湿式摩砕」という用語は、溶媒の存在下での顔料の摩砕を説明している。
【0104】
摩砕の際には、金属粒子の冷間圧接を防止するためにステアリン酸またはオレイン酸などの潤滑剤を添加し、かつ鋼ボールなどの摩砕媒体を使用しながら、金属グリットを、ボールミル内で、ミルのサイズ、直径、および回転速度、ボールサイズ、摩砕時間を含む様々な摩砕パラメーターを有する複数の摩砕ステージで摩砕する。摩砕し、異なる容器へと任意選択により分級した後に、フレーク状金属顔料を収集し、次いで、均質化または混合する。
【0105】
この場合に使用することができる摩砕法についてのさらなる情報は、その内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれるWO 2009/152941 A2において見出すことができる。
【0106】
本発明の特別な目的は、本発明によって施与される被覆を、特に均質な形態によって特徴づけられる、PVD顔料、および摩砕によって得られた特に高品質の顔料と組み合わせることによって達成される。意外にも、顕著な凝集が起こることなく、著しくより高い濃度の顔料懸濁液を使用することができることが観察された。特に意外な所見は、本発明による被覆は、バインダーを添加することなく、粉末を得るために使用することができたことであった。
【0107】
摩砕によって製造される上述の金属効果顔料は、例えば、US 2007/0199478 A1またはUS 2010/0047199 A1において記載されている方法によって大量製造することができる。
【0108】
したがって、さらなる実施形態では、20~100nmの範囲のh50値、少なくとも200の形状係数、および30~140%の範囲の相対厚さ分布Δhを有する、摩砕によって得られた金属顔料を金属コアとして使用する。Δh値は、式VII:
Δh=(h90-h10)/h50 (VII)
によって計算される。そのような金属顔料の製造は、EP 1 613 702 B1、EP 2 102 294 B1、およびEP 2 128 203 A1において記載されている。
【0109】
PVD金属効果顔料は、完全に平らな表面および極めて優れた光学特性を示す。特に、物理的蒸着によって得られた顔料の構造は、光学的効果について実際に理想的である。得られる極めて優れた光学特性によって、これらの顔料は、最高品質の施与のために特に魅力的となった。
【0110】
上述の顔料、特に、PVD顔料の問題は、それらの有利な特性、特に、それらの光学特性を大きく損なうことはないが、濃縮を困難にし、乾燥を不可能にする、それらの強い凝集傾向である。
【0111】
本発明による金属効果顔料のための金属基材として、20~100nmの範囲のh50値、少なくとも200の形状係数、および30~140%の範囲のΔh値を有する、摩砕によって得られた金属顔料を使用するか、またはPVD金属顔料を使用することで、ペイント、印刷インク、塗料、および化粧品において使用するための高光沢顔料を得ることができる。摩砕によって得られた金属顔料およびPVD顔料の両方の場合において、アルミニウム、銅、黄銅(金青銅)、および鉄から構成される顔料、好ましくはアルミニウム顔料が、好ましい。
【0112】
さらなる実施形態では、PVD法によって得られた顔料および摩砕によって得られた顔料の両方が、20~100nmの範囲のh50値、少なくとも200の形状係数、および20~70%未満、好ましくは25~65%、なおより好ましくは30~60%の範囲のΔh値を有することが好ましい。h50値は好ましくは、23~50nmの範囲であり、形状係数は、少なくとも250であり、Δh値は、20~70%未満、好ましくは25~65%、なおより好ましくは30~60%の範囲である。湿式摩砕によるそのようなアルミニウム顔料の製造は、EP 2 102 294 B1において記載されている。
【0113】
例えば、PVD顔料の製造は、次のステップ:
a)真空チャンバー内で、物理蒸着(PVD)によって、少なくとも1種の金属M(A)と共に、好ましい移動型担体材料を気化させて、担体材料上に層Aを形成させるステップと、
b)任意選択により、真空チャンバー内で、物理蒸着(PVD)によって、少なくとも1種の金属M(B)と共に、層Aを気化させて、層Bを形成させるステップと、
d)担体材料から、金属層を剥離するステップと、
e)金属層を金属効果顔料に粉砕するステップと、
f)任意選択により、金属効果顔料を分散液またはペーストに変換するステップとを含む。
【0114】
製造後、金属効果顔料は、典型的には、有機溶媒中に存在する。本発明によって使用される被覆を施与する前、金属効果顔料分散液中の有機溶媒の含量は、好ましくは、それぞれの場合に、分散液の合計重量に対して、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%であるべきである。
【0115】
単一金属ではなく、合金を、担体材料上に堆積させるべき場合には、例えば、別々の蒸発器によって、例えば、フラッシュ蒸発またはジャンピングビーム蒸発器を使用して、これを実施することができる。その際、合金構成要素の特性が異なることによって、より揮発性の構成要素が初めにかなりの程度まで蒸発して、担体材料上に均質な合金を堆積させることを不可能にするので、出来上がった合金の蒸発は不利である。均質な被覆は、スパッタリングまたは電子ビームの使用などの特別な方法を使用してのみ、可能である。
【0116】
ポリテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートから構成されるものなどのポリマーフィルム、または金属板が、担体材料として特に適している。ポリマーフィルムの使用は、特に有利であることが見出されている。好ましい実施形態では、移動型担体材料は、蒸着PVD層の分離または剥離を促進または可能にする分離層(「剥離コート」)を備えている。
【0117】
例えば、アセトンもしくは酢酸エチルなどの溶媒に可溶性である被膜、または水溶性塩を分離層として使用することができる。
【0118】
例えば、ポリマーフィルムの使用、さらには、金属を気化させるために必要な多量のエネルギーによって、PVD顔料の製造には非常に経費が掛かる。特に、極めて優れた光沢を有する高品質の顔料が必要であるならば、さらなる実施形態では、PVD法によって製造された金属が好ましい。しかしながら、極めて優れた光沢を有し、かつ低コストの極めて高品質の顔料が必要な場合には、摩砕によって製造された金属顔料が好ましい。
【0119】
本発明の金属顔料は、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの包囲被覆層と、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの被覆層とを有することによって特徴づけられ、この際、金属酸化物という用語には酸化物水和物および水酸化物も含まれ、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンは、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有する。ヘテロポリシロキサンは、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と少なくとも1種のアルキルシラン構成要素とを有する。この場合、上述のヘテロポリシロキサンは、事前縮合形態で、少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層に施与される。
【0120】
この場合特に、少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層は、金属顔料の酸化生成物ではなく、40nmよりも薄い、より好ましくは30nmよりも薄い、なおより好ましくは少なくとも25nmであることが好ましい。少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層の最小厚さは、少なくとも5nm、より好ましくは少なくとも10nm、なおより好ましくは少なくとも15nmである。好ましくは、少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層は、金属顔料の酸化生成物ではない。多くの金属顔料は典型的には、極めて薄い表在金属酸化物層を有する。さらに、例えばWO 1996/038505 A1およびWO 2012/130680 A1から見ることができるとおり、標的表面酸化によって、特に色に関する特別な効果を達成することができる。
【0121】
顔料を、金属基材と、本発明による被覆層の組合せとの間のさらなる被覆層によって改質することができる。そのような被覆の例は、ポリマー被覆、金属酸化物、特に、酸化ケイ素から本質的に構成される被覆、無機/有機被覆、金属顔料に適した追加被覆である。この目的に適したポリマー被覆は、例えば、WO 2008/095697において開示されている。金属酸化物から本質的に構成される適切な被覆は、例えば、WO 2005/118722 A1において開示されている。本発明による顔料およびその製造に特によく適している無機/有機混合層は、例えば、WO 2007/017195において開示されている。金属顔料に適した追加被覆の例は、例えば、WO 1999/057204において開示されている。
【0122】
さらなる実施形態では、本発明による顔料は、熱応答性ポリマーから構成されるか、またはそれを含有する被覆層を有さないことが好ましい。「熱応答性ポリマー」という用語は、本発明の意味の範囲内では、ポリマーの溶解性が、温度に応じて著しく変化することを意味する。熱応答性ポリマーは、LCSTまたはUCSTポリマーと分類される。LCSTポリマーの場合には、そのポリマーは、LCST温度未満の温度で溶解状態にある。UCSTポリマーの場合には、そのポリマーは、該当温度を超える温度で溶解状態にある。
【0123】
さらなる実施形態では、本発明による顔料は、有機ポリマーから完全に、好ましくは本質的に構成される被覆層を有さないことが特に好ましい。より好ましくは、本発明による顔料は、さらなる実施形態では、有機ポリマーから本質的に構成される被覆層を有さない。
【0124】
本発明による被覆金属顔料中の被覆のパーセンテージは、それぞれの場合に、被覆金属顔料の重量に対して、好ましくは2~30重量%の範囲、より好ましくは3~27重量%の範囲、最も好ましくは4~25重量%の範囲である。
【0125】
別段に指定しない限り、「金属酸化物層」または「金属酸化物」という用語には、本発明の意味の範囲内では、水酸化物および酸化物水和物などの金属の酸化形態も含まれる。
【0126】
本発明の好ましい変異型では、第1の被覆層において、または本発明による第1の被覆層として施与される金属酸化物は、本質的に、好ましくは完全に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、それらの酸化物水和物、それらの水酸化物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、本発明によって施与される金属酸化物は、本質的に、好ましくは完全に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、上述の金属酸化物には、それらの酸化物水和物および水酸化物も含まれる。特に、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、および/または酸化ケイ素水和物などのケイ素酸化物類の使用が、有利であることが見出されている。
【0127】
さらなる好ましい実施形態では、金属コアは、アルミニウムから本質的に構成され、本発明による金属顔料、特に、金属効果顔料は、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から本質的に構成される少なくとも1つの被覆層を含む。
【0128】
光学的効果が、被覆の干渉作用によって影響を受けてはならない顔料では、低屈折率金属酸化物の使用が好ましい。「低屈折率」という用語は、本発明の意味の範囲内では、屈折率が1.7以下であることを意味する。この場合、その値は、顕微鏡的形態での該当金属酸化物の屈折率を指す。これは、一般的な方法によって、例えば、屈折計を使用して決定することができる。さらなる実施形態では、被覆の金属酸化物は、それぞれの場合に、被覆の合計重量に対して、少なくとも95重量%まで、好ましくは少なくとも99重量%まで、低屈折率金属酸化物の群から選択される。より好ましくは、低屈折率を有さない金属酸化物の痕跡量のみが、好ましくはそのような酸化物が10重量%未満で、被覆中に含まれる。特に好ましい低屈折率金属酸化物は、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、および/または酸化ケイ素水和物を含むケイ素酸化物である。
【0129】
本発明の意味の範囲内では、「金属酸化物から本質的に構成される」または例えば、「酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から本質的に構成される」という用語は、その層が、好ましくは少なくとも90重量%まで、より好ましくは少なくとも95重量%まで、なおより好ましくは少なくとも99重量%まで、金属酸化物から、または例えば、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から主に構成されることを意味すると理解される。例えば、ゾルゲルプロセスによって生成されていて、焼成されていない層は、アルコキシ基も含有し得る。少なくとも1種の金属酸化物を含む、本発明によって施与された少なくとも1つの被覆層は、好ましくは、1つまたは複数の未焼成被覆から構成される。「未焼成」は、本発明の意味の範囲内では、ゾルゲルプロセスによって施与された層の中に存在する水を本質的に完全に除去するための加熱が行われていないことを意味する。これは、例えば、400℃を超えて加熱することによって実施され得る。これによって、該当する層の中の「含水量」が3重量%未満である顔料を得ることが可能になる。
【0130】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンが施与される、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの被覆層は、金属酸化物から本質的に構成される。特に、上述の被覆層が、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から本質的に構成されることが典型的には好ましい。
【0131】
さらなる実施形態では、金属酸化物から本質的に構成される被覆層のすべてが、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から本質的に構成される。この例外は、金属基材または金属コア中の金属の表面酸化によって生成される被覆層である。
【0132】
被覆中の金属酸化物の含量が、それぞれの場合に、金属酸化物およびヘテロポリシロキサンを含む全被覆の合計重量に対して、少なくとも43重量%、好ましくは少なくとも65重量%、なおより好ましくは少なくとも82重量%であることが有利であることが、典型的には見い出されている。
【0133】
被覆中の金属酸化物の重量パーセンテージの決定は、当業者に公知の方法を使用して、例えば、水酸化物、酸化物水和物などを含む得られた酸化金属の合計量を決定することによって行う。この例は、原子吸光分析、元素分析、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-AES)、および特に、そのような方法の組合せである。この値は、対応する金属含量に基づき計算する。金属酸化物中に含まれる正確な金属またはその混合物の決定を、XPSなどの当業者に公知の方法によって実施することができない場合、標準条件下で最も高度に酸化された金属の安定酸化物を基準とする。標準条件は、本発明の意味の範囲内では、0℃の温度および1.01325バールの圧力である。例えば、SiOが、酸化ケイ素のための基準として採用される。
【0134】
無機/有機混合層も、本発明による顔料を被覆するために適している。「無機/有機混合層」または「混合層」という用語は、本発明の意味の範囲内では、その混合層が、1種または複数種の無機酸化物構成要素から構成される少なくとも1つの無機ネットワークと、少なくとも1種の有機構成要素とを有することにおいて特徴づけられる、無機および有機構成要素を含む層を指す。有機構成要素は、共有結合によって無機ネットワークに少なくとも部分的に結合している。構成要素として有機官能性シランを有する酸化ケイ素ネットワークが、この例である。さらに、さらなる実施形態では、有機構成要素が、1種または複数種の有機ネットワーク形成剤によって無機ネットワークに少なくとも部分的に共有結合によって結合している、有機オリゴマーおよび/またはポリマーから少なくとも部分的に構成されていることが、好ましい。
【0135】
さらに、さらなる実施形態では、上述の混合層が、1種または複数種の一般式(NI)または(NII)を有する有機ネットワーク形成剤:
an1 xn1bn1 yn1SiX(4-xn1-yn1) (NI)
(Ran1O)xn2(Rbn1O)yn2MX(zn2-xn2-yn2) (NII)
によって少なくとも部分的に誘導される、無機酸化物構成要素と、有機オリゴマーおよび/またはポリマーとの共有結合によって少なくとも部分的に形成されていることが好ましい。
ここで、Xは互いに独立に、それらの加水分解後に、有機ネットワーク形成剤と無機ネットワークとの共有結合を形成し得る加水分解性基から選択され、
an1は互いに独立に、有機オリゴマーおよび/またはポリマーと共有結合によって結合可能な反応性有機基から選択され、
bn1は互いに独立に、有機オリゴマーおよび/またはポリマーと結合可能であり得る有機基から選択され、
Mは、Al、Zr、およびTiからなる群から選択され、
xn1は、1~3の整数であり、yn1は、0~(3-xn1)の整数であり、
zn2は、Mの形式酸化数であり、xn2は、1~(zn2-1)の整数であり、
yn2は、0~(zn2-2)の整数であり、
xn2+yn2≦zn2-1である。
【0136】
さらなる実施形態では、式(NI)および式(NII)による有機ネットワーク形成剤において、Xは互いに独立に、ハロゲン基、好ましくはBr、Cl、およびI、好ましくはCl、ヒドロキシ基、ならびにヘテロ原子、好ましくは、O、S、および/またはNを炭素鎖中に有してもよいC1~C20アルコキシ基からなる群から選択される。Xは互いに独立に、好ましくは、ハロゲン基、ヒドロキシ基、およびC1~C4アルコキシ基からなる群から選択される。
【0137】
さらなる実施形態では、Ran1の任意選択により存在する置換基は、アミノ、ヒドロキシ、チオール、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アリル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、カルボキシル無水物、イソシアネート、シアネート、ウレイド、カルバメート基、およびそれらの混合からなる群から選択される。
【0138】
さらなる実施形態では、Rbn1は互いに独立に、H、C1~C40アルキル、C2~C40アルケニル、C2~C40アルキニル、C6~C36-アリール、フッ素化C6~C36アリール、部分フッ素化C6~C36アリール、C7~C40アルキルアリール、C7~C40アリールアルキル、C8~C40アルケニルアリール、C8~C40アリールアルケニル、C8~C40アリールアルキニル、C8~C40アルキニルアリール、C5~C40シクロアルキル、C6~C40アルキルシクロアルキル、およびC6~C40シクロアルキルアルキルシランからなる群から選択され、ここで、任意選択により含まれる置換基は、アミノ、ヒドロキシ、チオール、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アリル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、カルボキシル無水物、イソシアネート、シアネート、ウレイド、カルバメート、およびエステル基からなる群から選択され、炭素鎖および炭素環系に任意選択により含まれるヘテロ原子は、O、N、およびSからなる群から選択される。
【0139】
さらなる実施形態では、有機オリゴマーおよび/またはポリマーは、アミノ、ヒドロキシ、チオール、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アリル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、カルボキシル無水物、イソシアネート、シアネート、ウレイド、およびカルバメート基、ならびにそれらの混合からなる群から選択される官能性を備えたモノマーから構成される。
【0140】
さらなる実施形態では、有機構成要素は、無機ネットワークに、かつ/または少なくとも有機ネットワーク形成剤の基Ran1に結合し得る反応性基を有する反応性有機オリゴマーおよび/またはポリマーから構成される。
【0141】
さらなる実施形態では、反応性有機オリゴマーおよび/またはポリマーは、シラノールおよび/またはメトキシ末端シリコーン、トリアルコキシシラン改質ポリエチレンイミン、ポリアリールアルキルシルセスキオキサン、アミノシラン改質ポリエチレンオキシドウレタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0142】
さらなる実施形態では、反応性有機オリゴマーおよび/またはポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド、ポリオール、ポリウレタン、およびポリオレフィンからなる群から選択され、これらのオリゴマーおよび/またはポリマーは、無機ネットワークまたは有機ネットワーク形成剤に結合し得る反応性官能基を有する。
【0143】
さらなる実施形態では、有機オリゴマーおよび/またはポリマーは、官能基Ran1を介して、無機/有機混合層中の1種または複数種の有機ネットワーク形成剤に共有結合により結合している。
【0144】
さらなる実施形態では、無機/有機混合層を、式(NIII)または(NIV):
an3 xn3SiX(4-xn3) (NIII)
(Ran3O)xn4MX(yn4-xn4) (NIV)
による少なくとも1種の有機ネットワーク改質剤によって改質する。
ここで、Xは互いに独立に、それらの加水分解後に、有機ネットワーク形成剤と無機ネットワークとの共有結合を形成し得る加水分解性基から選択され、Ran3は互いに独立に、非反応性有機基の群から選択され、Mは、Al、Zr、およびTiからなる群から選択され、xn3は、1、2、または3であり、yn4は、Mの形式酸化数であり、xn4は、1~(yn4-1)の整数である。
【0145】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの別個の本質的に純粋な無機層、本質的に純粋な有機ポリマーの少なくとも1つの別個の層、またはそのような層の組合せを、金属基材と、無機/有機混合層との間に配置する。
【0146】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの別個の被覆層を、本質的に有機ポリマーから構成される、本質的に純粋な無機層を構成する無機/有機混合層上に配置する。
【0147】
さらなる実施形態では、金属酸化物の少なくとも1つの別個の本質的に純粋な無機層は、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、鉄、銅、スズ、コバルト、クロム、セリウム、亜鉛、アンチモン、マンガン、ニッケル、イットリウム、モリブデン、バナジウム、タンタル、タングステン、およびそれらの混合物からなる群から選択される元素から構成され、ここで、上述の金属酸化物には、水酸化物および酸化物水和物も含まれる。
【0148】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの別個の本質的に純粋な有機ポリマー層は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド、ポリオール、ポリウレタン、ポリフェノールホルムアルデヒド、ポリオレフィン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0149】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの別個の本質的に純粋な有機ポリマー層は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0150】
この場合、金属酸化物は、好ましくは、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、鉄、スズ、クロム、セリウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、およびそれらの混合物からなる群から選択される金属の酸化物から選択される。
【0151】
本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、様々な方法で施与することができる。被覆される金属顔料を含む懸濁液に、好ましくは溶解または分散形態のポリシロキサンを添加することが、特に有利であることが見出されている。被覆される金属顔料を含む懸濁液を得るために、例えば、先行する被覆ステップから得られた反応生成物を、金属酸化物、特に、酸化ケイ素と一緒に使用することができる。
【0152】
特に、本発明による事前縮合ヘテロポリシロキサンの構造は、鎖状、環状、架橋、またはそれらの混合であってよい。
【0153】
さらに、さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンが、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、少なくとも87重量%まで、好ましくは少なくとも93重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、アミノシラン、アルキルシラン、ビニルシラン、アリールシラン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるシランモノマー構成要素から構成されることが好ましい。特に、ヘテロポリシロキサンが、上述の量のアミノシランおよびアルキルシラン構成要素から構成されることが好ましい。
【0154】
シランモノマーを例えば、アルコキシドの形態で使用する。このアルコキシドを開裂して、重合を開始させ、シランモノマーを、縮合ステップの結果として、個々のヘテロポリシロキサンに変換または架橋する。好ましくは、メトキシドおよびエトキシドを、本発明においてアルコキシドとして使用する。別段に指定しない限り、ヘテロポリシロキサン中のシランモノマー構成要素の重量%は、本発明の意味の範囲内では、アルコキシ基などの、ヘテロポリシロキサンへの縮合によって開裂される構成要素を除いたシランモノマーの重量に基づく。そのようなポリシロキサンの生成は、文献において記載されている。例えば、対応する製造方法を、US 5,808,125 A、US 5,679,147 A、およびUS 5,629,400 Aにおいて見出すことができる。
【0155】
1個のSi当たり1または2個のアミノ基を有するアミノシランは、本発明によるヘテロポリシロキサンを作製するために特に有利であることが見出されている。さらなる実施形態では、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の合計重量に対して、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の少なくとも92重量%、好ましくは少なくとも97重量%が、1または2個のアミノ基を有するアミノシランから選択される。
【0156】
例えば、(HN(CH)Si(OCH((3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、AMMO)、(HN(CH)Si(OC((3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、AMEO)、(HN(CHNH(CH)Si(OCH((N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン)、(DAMO))、(HN(CHNH(CH)Si(OC((N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン)、およびそれらの混合物が有利であることが見出されている。さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素は、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の合計重量に対して、少なくとも92重量%まで、好ましくは少なくとも97重量%、上述の基、およびそれらの混合物から選択される。
【0157】
さらなる実施形態では、本発明によって使用されるヘテロポリシロキサンは、エポキシシランを少量のみ含有するか、またはまったく含有しないことが好ましい。従来の液状塗料系において、対応するヘテロポリシロキサンは典型的に、より良好な付着を示した。特に、さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンは、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、10重量%以下、好ましくは6重量%以下、より好ましくは4重量%以下、なおより好ましくは痕跡量以下のエポキシシラン構成要素を含むことが好ましい。
【0158】
また、少量のみのヘテロポリシロキサンで典型的には十分であることが見出されている。さらなる実施形態では、少なくとも1種、好ましくは1種のみのヘテロポリシロキサンを含む被覆層は、20nm以下、より好ましくは10nm以下の平均厚さを有する。特に、少なくとも1種、好ましくは1種のみのヘテロポリシロキサンは、本質的に単層の形態で存在することが好ましい。
【0159】
少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを、酸化ケイ素を含む包囲被覆層に施与すると、特に有利であることが見出されている。
【0160】
少なくとも1種の金属酸化物から本質的に構成される被覆層の施与を、好ましくはゾルゲルプロセスによって行う。
【0161】
本発明によって使用されるヘテロポリシロキサンは、例えば、アルキルシランおよびアミノシランの縮合によって生成することができる。しかしながら、当業者は、同一のヘテロポリシロキサンを他の手段、例えば、少なくとも1種のアルキルシラン、少なくとも1種のハロゲノアルキルシラン、および少なくとも1種のアミンの反応によって生成することもできることを分かっている。対応するアルキルシランおよびアミノシランの縮合生成物と形式的には考えることもできる、そのようなヘテロポリシロキサンは、本発明に包含される。当業者は、本発明および公知の専門知識の認識に基づき、様々な逆合成経路の中から選択することができる。
【0162】
さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、シランモノマー構成要素の1重量%以下がフッ素化シランであることも好ましい。フッ素化シラン構成要素は、好ましくは、施与されるヘテロポリシロキサン層中に痕跡量でのみ含有されるか、より好ましくは、上記層には存在しない。
【0163】
「アミノシラン」という用語は、本発明の意味の範囲内では、該当シランが少なくとも1個のアミノ基を有することを意味する。このアミノ基は、シリル基のケイ素原子に直接結合している必要はない。本発明によるヘテロポリシロキサンを生成するために適したアミノシランの例は、(6-アミノ-n-ヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(6-アミノ-n-ヘキシル)(トリメトキシ)シラン、(4-アミノ-3,3-ジメチルブチル)(トリメトキシ)シラン、(HN(CH)Si(OCH((3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、AMMO)、(HN(CH)Si(OC((3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、AMEO)、(3-アミノイソブチル)(トリメトキシ)シラン、(3-アミノイソブチル)(トリエトキシ)シラン、(2-アミノエチル)(トリメトキシ)シラン、(2-アミノエチル)(トリエトキシ)シラン、(アミノメチル)(トリメトキシ)シラン、(アミノメチル)(トリエトキシ)シラン、(N-シクロヘキシルアミノメチル)(トリエトキシ)シラン(Geniosil XL 926)、(N-フェニルアミノメチル)(トリメトキシ)シラン、(6-アミノ-n-ヘキシル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(3-アミノプロピル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(3-アミノプロピル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、(2-アミノエチル)(フェニル)(ジメトキシ)シラン、(2-アミノエチルアミノ)(エチル)(トリエトキシ)シラン、(2-アミノエチル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、(2-アミノエチル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(1-アミノメチル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、(N-シクロヘキシル-アミノメチル)(メチル)(ジエトキシ)シラン(Geniosil XL 924)、(N-エチルアミノ-i-ブチル)(トリメトキシ)シラン、(N-n-ブチル-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(N-n-ブチル-3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、(N-n-ブチル-1-アミノメチル)(トリエトキシ)シラン、(N-n-ブチル-1-アミノメチル)(トリメトキシ)シラン、(ベンジル-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(ベンジル-3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、(N-フェニルアミノメチル)(トリメトキシ)シラン(Geniosil XL 973)、(N-フェニルアミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(N-ホルミル-3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、(N-ホルミル-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(N-ホルミル-1-アミノメチル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(N-ホルミル-1-アミノメチル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、(N-n-ブチル-3-アミノプロピル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、(N-n-ブチル-3-アミノプロピル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(N-n-ブチル-1-アミノメチル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(N-ブチル-1-アミノメチル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、(ジアミノエチレン-3-プロピル)(トリエトキシ)シラン、(N-(2-アミノエチル)アミノエチル)(トリメトキシ)シラン、(2-アミノエチルアミノエチル)(トリエトキシ)シラン、(N-(1-アミノエチル)アミノメチル)(トリメトキシ)シラン、(N-(1-アミノエチル)アミノメチル)(トリエトキシ)シラン、(HN(CHNH(CH)Si(OCH((N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、DAMO))、(2-アミノエチルアミノプロピル)(トリエトキシ)シラン(Silquest A-1130)、(2-アミノエチルアミノエチル)(トリメトキシ)シラン、(2-アミノエチルアミノエチル)(トリエトキシ)シラン、(1-アミノエチルアミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(1-アミノエチルアミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、(1-アミノエチルアミノメチル)(トリメトキシ)シラン、(1-アミノエチルアミノメチル)(トリエトキシ)シラン,(N-シクロヘキシル-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(N-(N-ベンジルアミノエチル)アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(3-ウレイドプロピル)(トリメトキシ)シラン、(3-ウレイドプロピル)(トリエトキシ)シラン、(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(メチル)(ジメトキシ)シラン、(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(メチル)(ジエトキシ)シラン、HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH((トリアミノジエチレン-3-プロピル)(トリメトキシ)シラン、TRIAMO)、(トリアミノジエチレン-3-プロピル)(トリエトキシ)シラン、(トリアミノジエチレン-3-プロピル)(トリメトキシ)シラン、(トリアミノジエチレン-3-プロピル)(トリエトキシ)シラン、(((アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(((アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、ビス(トリメトキシシラン)アミン、ビス(トリエトキシシラン)アミン、ビス(トリメトキシシリルエチル)アミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)アミン、ビス(トリエトキシシリルエチル)アミン、ビス(トリ-メトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルイソプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルイソプロピル)アミン、(3-トリメトキシ)シリルメチル-O-メチルカルバメート、N-ジメトキシ-(メチル)シリルメチル-O-メチルカルバメート、トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカルバメート、トリエトキシシリル-プロピルエチルカルバメート、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(トリメトキシシリルエチル)アミン、トリス(トリメトキシシリル-n-プロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリル-i-プロピル)アミン、N[CHSi(OC(トリス(トリエトキシシリルメチル)アミン、トリス-AMEO)、トリス(トリエトキシシリルメチル)アミン、トリス(トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(トリエトキシシリル-n-プロピル)アミン、トリス(トリエトキシシリル-i-プロピル)アミン、N[CHSi(OCH(トリス-AMMO)、((HO)Si(CHNH(CHSi(OC、(ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス-AMEO)、(HCO)Si(CHNH(CHSi(OCH(ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス-AMMO)、(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(ビス-DAMO)、(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(ビス-TRIAMO)、(HCO)(CH)Si(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(CH)、(HCO)(CH)Si(CH)SiNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(CH)、(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(ビス-DAMO)、(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、(ビス-TRIAMO)、(3-(トリメトキシシリル)メチル)(O-メチル)カルバメート、(N-(ジメトキシ)(メチル)シリル)メチル)(O-メチル)カルバメート、(3-(トリエトキシシリル)プロピル)(t-ブチル)カルバメート、および((トリエトキシシリル)プロピル)(エチル)カルバメートである。好ましくは、少なくとも1種のアミノシラン、好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の合計重量に対して、少なくとも95重量%のアミノシラン、より好ましくは、すべてのアミノシランが、上述の例から選択される。
【0164】
特に、少なくとも1種のアミノシランが、式(I):
a1 x1b1 y1c1 (4-x1-y1)Si (I)
によるアミノシランの群から選択されることが好ましい。
ここで、Ra1は互いに独立に、少なくとも1個の窒素基で置換されている官能基から選択され、その官能基は、C1~C16アルキル基、C2~C8アルケニル基、C2~C8アルキニル基、およびフェニル基、C7~C12アルキルアリール基、およびC7~C12アリールアルキル基、ならびにそれらの混合からなる群から選択され、
b1は互いに独立に、非置換の分枝鎖状または非分枝鎖状C1~C18アルキル基、好ましくは、C1~C16アルキル基、C2~C8アルケニル基、C2~C8アルキニル基、フェニル基、C7~C12アリールアルキル基、C7~C12アルキルアリール基、およびそれらの混合からなる群から選択され、
c1は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、
x1=は、1、2、または3であり、
y1は、0~(3-x1)の整数の群から選択される。
【0165】
好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の合計重量に対して、アミノシランの少なくとも95重量%、より好ましくはすべてのアミノシランが、上述のシランから選択される。さらに、x1=1または2であり、y1は、0~(2-x1)の整数の群から選択されることが好ましい。
【0166】
本発明の実施形態における変項が、整数の範囲から選択される場合、数値範囲の指定の終点も含まれる。
【0167】
本出願において別段に指定しない限り、本出願のこの実施形態または他の実施形態における上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアルコキシ基は、分枝鎖状または非分枝鎖状であってよい。
【0168】
さらなる実施形態では、Ra1は互いに独立に、少なくとも1個の窒素基で置換されている官能基から選択され、その官能基は、C1~C5アルキル基、C2~C5アルケニル基、C2~C5アルキニル基、およびそれらの混合からなる群から選択され、Rb1は互いに独立に、非置換の分枝鎖状または非分枝鎖状C1~C4アルキル基、C2~C4アルケニル基、C2~C4アルキニル基、フェニル基、およびそれらの混合からなる群から選択され、Rc1は互いに独立に、C1~C4アルコキシ基の群から選択される。
【0169】
特に、Rc1は、メトキシおよびエトキシからなる群から選択されることが好ましい。
【0170】
さらなる実施形態では、Ra1の少なくとも1個の窒素基が、-NH(2-r1)d1 r1および-(NH(3-s1)d1 s1からなる群から選択され、ここで、r1は、0~2の整数から選択され、s1は、0~3の整数から選択され、Rd1は互いに独立に、C1~C16アルキル基、C2~C8アルケニル基、C2~C8アルキニル基、フェニル環、C7~C12アルキルアリール基、C7~C12アルコキシアルキル基、ジアルキレンジアミン基、およびトリアルキレントリアミン基、さらには、飽和および不飽和アルキレンおよびヘテロアルキレン、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CH=CH-CH=CH-または-CH=N-(CH-からなる群から選択され、r1またはs1≧2であれば、ヘテロアルキレン中のヘテロ原子は、NおよびOから選択されることが好ましい。ヘテロアルキレンのヘテロ原子は、好ましくは窒素原子である。上述の基の任意選択により存在する置換基は、好ましくは、窒素含有置換基、例えば、-NH(2-t1)e1 t1および-(NH(2-u1)e1 u1から選択され、ここで、t1は、0~2の整数から選択され、u1は、0~3の整数から選択され、Re1は、C1~C4アルキル基からなる群から選択される。特に、上述のRd1は非置換であることが好ましい。
【0171】
さらなる実施形態では、Rd1は、C1~C4アルキル基、C2~C4アルケニル基、C2~C4アルキニル基、フェニル環、C7~C8アルキルアリール基、C7~C8アルコキシアルキル基、ジアルキレンジアミン基、およびトリアルキレントリアミン基、さらには、飽和および不飽和C4~C7アルキレンおよびC3~C6ヘテロアルキレン、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CH=CH-CH=CH-、または-CH=N-(CH-からなる群から選択され、r1またはs1≧2であれば、ヘテロアルキレン中のヘテロ原子は、NおよびOから選択される。
【0172】
さらに、さらなる実施形態では、Ra1の少なくとも1個の窒素基は、-NH(2-r1)d1 r1および-(NH(3-s1)d1 s1からなる群から選択され、ここで、r1は、0~2の整数から選択され、s1は、0~3の整数から選択され、Rd1は互いに独立に、非置換および置換C1~C8アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基からなる群から選択され、置換基は、-NH(2-t1)e1 t1および-(NH(3-u1)e1 u1からなる群から選択され、ここで、t1は、0~2の整数から選択され、u1は、0~3の整数から選択され、Re1は互いに独立に、非置換C1~C4アルキル基およびC1~C4アミノアルキル基からなる群から選択されることが好ましい。
【0173】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のアミノシランが、アミノアルキルトリアルコキシシラン、ビス(アミノアルキル)ジアルコキシシラン、(アルキル)(アミノアルキル)(ジアルコキシ)シラン、((アミノアルキル)アミノアルキル)(トリアルコキシ)シラン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、トリス(トリアルコキシルアルキル)アミン、ビス-N,N’-(トリアルコキシシリルアルキル)アルキレンジアミン、およびビス-N,N’-(トリアルコキシシリルアルキル)ジアルキレントリアミンからなる群から選択され、ここで、アルキル基は互いに独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基からなる群から選択され、アルコキシ基は互いに独立に、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択されることが好ましい。特に好ましくは、少なくとも1種のアミノシランは、アミノアルキルトリアルコキシシラン、((アミノアルキル)アミノアルキル)(トリアルコキシ)シラン、およびビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミンからなる群から選択される。
【0174】
本発明では、アルキルシランと、アミノシランなどの、最も広い様々な方法によって官能化されたシランとを区別する。本発明の意味の範囲内では、アミノシランなどの官能化シランは、たとえそれらがアミノアルキル基に加えて、例えば、非置換アルキル基を有していても、「アルキルシラン」という用語には含まれない。少なくとも1種のアルキルシランの例は、(メチル)(トリアルコキシ)シラン、(エチル)(トリアルコキシ)シラン、(n-プロピル)(トリアルコキシ)シラン、(i-プロピル)(トリアルコキシ)シラン、(n-ブチル)(トリアルコキシ)シラン、(i-ブチル)(トリアルコキシ)シラン、(n-オクチル)(トリアルコキシ)シラン、(i-オクチル)(トリアルコキシ)シラン、(デシル)(トリアルコキシ)シラン、(ドデシル)(トリアルコキシ)シラン、(ヘキサデシル)(トリアルコキシ)シラン、および(ジメチル)(ジアルコキシ)シランであり、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、およびそれらの混合を表す。少なくとも1種のアルキルシラン、好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアルキルシラン構成要素の合計重量に対して、アルキルシランの少なくとも95重量%、最も好ましくは、アルキルシランのすべてが、上述の例から選択される。
【0175】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のアルキルシランは、式(II):
a2 x2b2 (4-x2)Si (II)
による構造を有することが好ましい。
ここで、Ra2は互いに独立に、非置換C1~C18アルキル基、好ましくはC1~C16アルキル基の群から選択され、Rb2は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、x2は、1および2から選択される。好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアルキルシラン構成要素の合計重量に対して、アルキルシランの少なくとも95重量%、より好ましくは、アルキルシランのすべてが、上述のシランから選択される。
【0176】
さらなる実施形態では、Ra2は互いに独立に、非置換C1~C8アルキル基の群から選択され、Rb2は互いに独立に、C1~C4アルコキシ基の群から選択されることが好ましい。
【0177】
さらなる実施形態では、式(II)による少なくとも1種のアルキルシランの少なくとも1個のRa2が、非置換C1~C3アルキル基の群から選択されることが好ましい。
【0178】
特に、Rc2は、メトキシおよびエトキシからなる群から選択されることが好ましい。
【0179】
さらなる実施形態では、Ra2は、分枝鎖状または非分枝鎖状の非置換C1~C8アルキル基、より好ましくはC1~C6アルキル基、なおより好ましくはC1~C4アルキル基の群から選択されることが好ましい。そのようなアルキル鎖の例は、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ヘキシル、およびオクチルである。
【0180】
さらなる実施形態では、少なくとも1個のビニルシラン構成要素は、(ビニル)(トリアルコキシ)シラン、(ビニル)(メチル)(ジアルコキシ)シラン、(ビニル)(トリス(メトキシエトキシ))シラン、(ビニル)トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、(ビニル)(トリアセトキシ)シラン、(((ビニルベンジルアミノ)エチルアミノ)プロピル)(トリアルコキシ)シラン、(アリル)(トリアルコキシ)シラン、および(アリル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択され、ここで、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、およびそれらの混合、好ましくはメトキシを表すことが好ましい。好ましくは、少なくとも1種のビニルシラン、より好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるビニルシラン構成要素の合計重量に対して、ビニルシランの少なくとも95重量%、最も好ましくはビニルシランのすべてが、上述の例から選択される。
【0181】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のビニルシランは、式(III):
a3 x3b3 y3c3 (4-x3-y3)Si (III)
による構造を有することが好ましい。
ここで、Ra3は互いに独立に、非置換C2~C16ビニル基の群から選択され、
b3は互いに独立に、非置換C1~C18アルキル基、好ましくはC1~C16アルキル基の群から選択され、
c3は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、
x3は、1および2から選択され、
y3は、0~(2-x3)の整数の群から選択される。
【0182】
好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるビニルシラン構成要素の合計重量に対して、ビニルシランの少なくとも95重量%、より好ましくは、ビニルシランのすべてが、上述のシランから選択される。
【0183】
さらなる実施形態では、Ra3は互いに独立に、非置換C2~C7ビニル基の群から選択され、Rb3は互いに独立に、非置換C1~C8アルキル基の群から選択され、Rc3は互いに独立に、C1~C4アルコキシ基の群から選択されることが好ましい。
【0184】
特に、Rb3は、メトキシおよびエトキシからなる群から選択されることが好ましい。
【0185】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のアリールシランは、(フェニル)(トリアルコキシ)シラン、(フェニル)(メチル)(ジアルコキシ)シラン、(ジフェニル)(ジアルコキシ)シラン、(フェニル)(メチル)(ジアルコキシ)シラン、および(ベンジル-2-アミノエチル-3-アミノプロピル)(トリアルコキシ)シランからなる群から選択され、ここで、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、およびそれらの混合、好ましくはメトキシを表すことが好ましい。
【0186】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のアリールシランは、式(IV):
a4 x4b4 y4c4 (4-x4-y4)Si (IV)
による構造を有することが好ましい。
ここで、Ra4は互いに独立に、フェニル基、非置換C7~C12アルキルアリール基、および非置換C7~C12アリールアルキル基からなる群から選択され、
b4は互いに独立に、非置換C1~C18アルキル基、好ましくはC1~C16アルキル基の群から選択され、
c4は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、
x4は、1および2から選択され、
y4は、0~(2-x4)の整数の群から選択される。
【0187】
好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアリールシラン構成要素の合計重量に対して、アリールシランの少なくとも95重量%、より好ましくはアリールシランのすべてが、上述のシランから選択される。
【0188】
さらなる実施形態では、Ra4は、フェニル基、C7~C10非置換アルキルアリール基、および非置換C7~C10アリールアルキル基からなる群から選択され、Rb4は、非置換C1~C8アルキル基の群から選択され、Rc4は互いに独立に、C1~C4アルコキシ基の群から選択されることが好ましい。
【0189】
特に、Rc4は、メトキシおよびエトキシからなる群から選択されることが好ましい。
【0190】
アクリルシランの例は、(メタクリルオキシメチル)(メチル)(ジアルコキシ)シラン、(メタクリルオキシメチル)(トリアルコキシ)シラン、(3-メタクリルオキシプロピル)(トリアルコキシ)シラン、(3-メタクリルオキシイソブチル)(トリアルコキシ)シラン、(3-メタクリルオキシプロピル)(メチル)(ジアルコキシ)シラン、(1-メタクリルオキシメチル)(トリアルコキシ)シラン、(3-アクリルオキシプロピル)(トリアルコキシ)シラン、および(アクリルオキシメチル)(トリアルコキシ)シランであり、ここで、アルコキシは、メトキシまたはエトキシを表す。特に好ましい例は、(メタクリルオキシプロピル)(トリメトキシ)シラン(MEMO)である。
【0191】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のアクリルシランは、式(V):
a5 x5b5 y5c5 (4-x5-y5)Si (V)
による構造を有することが好ましい。
ここで、Ra5は、非置換C3~C10アクリル基および非置換((C3~C7-アクリルオキシ)C1~C5-アルキル)トリアルコキシからなる群から選択され、
b5は、非置換C1~C18アルキル基、好ましくはC1~C16アルキル基の群から選択され、
c5は、アルコキシ基から選択され、
x5は、1および2から選択され、
y5は、0~(2-x5)の整数の群から選択される。
【0192】
好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアクリルシラン構成要素の合計重量に対して、アクリルシランの少なくとも95重量%、より好ましくはアクリルシランのすべてが、上述のシランから選択される。
【0193】
さらなる実施形態では、Ra5は、非置換C3~C7アクリル基の群から選択され、Rb5は、非置換C1~C8アルキル基の群から選択され、Rc5は、非置換C1~C4アルコキシ基の群から選択される。
【0194】
特に、Rc5は、メトキシおよびエトキシからなる群から選択されることが好ましい。
【0195】
エポキシシランの例は、3-グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、グリシドオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、および(ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル)(トリアルコキシ)シランであり、ここで、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、またはプロポキシを表す。
【0196】
例えば、典型的には、メラミン系などの液状塗料系において使用されるエポキシシラン構成要素を多量に使用することは、有害であることが見出された。対照的に、例えば、紛体塗料系では、著しくは有害ではなく、有利でさえあることが見出された。強磁性顔料と組み合わせると、特に、かなりの量のエポキシシランを含むヘテロポリシロキサンの使用は問題とならないか、または、望ましくさえある。しかしながら、さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンは、エポキシシラン構成要素を10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、なおより好ましくは1重量%未満で含むことが好ましい。紛体塗料系における使用が主に意図されている強磁性顔料が、より広い分野の施与のために用意されている場合には特に、後者が当てはまる。
【0197】
さらなる実施形態では、事前縮合ヘテロポリシロキサンは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のさらなるモノマーを含むことが好ましい。
【0198】
さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンは好ましくは、式(VI):
a6 Si (VI)
による少なくとも1種のシランを含む。
ここで、Ra6は互いに独立に、アルコキシ基から選択される。好ましくは、Rは互いに独立に、C1~C4アルコキシ基の群から選択される。
【0199】
さらなる実施形態では、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、事前縮合ヘテロポリシロキサンを構成するモノマー構成要素の少なくとも32重量%、好ましくはモノマー構成要素の少なくとも36重量%、なおより好ましくはモノマー構成要素の少なくとも41重量%は、アミノシランから選択されることが好ましい。
【0200】
さらなる実施形態では、事前縮合ヘテロポリシロキサン中のアミノシラン構成要素のパーセンテージは、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、95重量%以下、より好ましくは89重量%以下、なおより好ましくは86重量%以下であることも好ましい。
【0201】
特に、さらなる実施形態では、事前縮合ヘテロポリシロキサン中のアミノシラン構成要素のパーセンテージは、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、32重量%~95重量%の範囲、より好ましくは36重量%~89重量%の範囲、なおより好ましくは41重量%~86重量%の範囲であることが好ましい。
【0202】
さらなる実施形態では、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、事前縮合ヘテロポリシロキサンのモノマー構成要素の少なくとも12重量%、より好ましくはモノマー構成要素の少なくとも17重量%、なおより好ましくはモノマー構成要素の少なくとも23重量%が、アルキルシランから選択されることが好ましい。
【0203】
さらに、さらなる実施形態では、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、事前縮合ヘテロポリシロキサンのモノマー構成要素の76重量%以下、より好ましくはモノマー構成要素の72重量%以下、なおより好ましくはモノマー構成要素の69重量%以下が、アルキルシランから選択されることが好ましい。
【0204】
特に、さらなる実施形態では、事前縮合ヘテロポリシロキサン中のアルキルシラン構成要素のパーセンテージは、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、12重量%~76重量%の範囲、より好ましくは17重量%~72重量%の範囲、なおより好ましくは23重量%~69重量%の範囲であることが好ましい。
【0205】
さらなる実施形態では、事前縮合ヘテロポリシロキサンは、少なくとも87重量%まで、より好ましくは少なくとも93重量%まで、なおより好ましくは少なくとも97重量%まで、アミノシランおよびアルキルシランから選択されるモノマー構成要素から構成されていることが好ましい。
【0206】
さらに好ましい実施形態では、アルキルシラン構成要素およびアミノシラン構成要素に関する上述の値は、上記で列挙したアルキルシランおよびアミノシランの具体的な群に関する。これは、例えば、アルキルシランの少なくとも95重量%が、式(II):
a2 x2b2 (4-x2)Si (II)
による構造を有する場合に当てはまる。
ここで、Ra2は互いに独立に、非置換C1~C18アルキル基、好ましくはC1~C16アルキル基の群から選択され、
b2は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、
x2は、1および2から選択される。好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアルキルシラン構成要素の合計重量に対して、アルキルシランの少なくとも95重量%、より好ましくはアルキルシランのすべてが、上述のシランから選択される。
【0207】
さらなる実施形態では、本発明による金属顔料、特に、金属効果顔料の被覆は、ラスター電子顕微鏡によって決定した場合に、20nm~160nmの範囲、より好ましくは25nm~135nmの範囲の平均厚さを有することが好ましい。
【0208】
金属顔料上の金属酸化物層およびプラスチック層の層厚は、例えば、REMイメージによって適切な断面で決定する。この場合、顔料を塗料に施与し、この塗料を硬化させる。この場合、施与媒体におけるフレークの配向が、可能な限り好ましいことを確実にすることが重要である。この後、硬化した被覆を部分的に研磨し、一般に使用される方法によって試料を調製した後、REMによって観察する。好ましい面平行配向を有する粒子のみを、カウントのために選択する。この方法では、配向の不十分なフレークは、未知の視野角によって、高いエラー率の原因となる。これらの被覆は、金属コアに対して、極めて好ましい対比を示す。金属酸化物およびプラスチック層の層厚を明確に識別することができなければ、層厚を測定する前に、空間分解EDX分析を実施することができる。「平均層厚」という用語は、本発明の意味の範囲内では、少なくとも30個の金属顔料、好ましくは40個の金属顔料の層厚の算術平均を指す。被覆が不均等であれば、それぞれの粒子の最も薄い被覆領域および最も厚い被覆領域の算術平均を決定する。例えば、既に被覆された微細粒子顔料が塗料中に含まれることが原因となっている有意な単一偏差は、平均層厚の計算においては考慮しない。
【0209】
本発明による金属顔料は、乾燥調製物、ペースト、または懸濁液の形態であり得る。乾燥調製物の例は、本発明の意味の範囲内では、粉末および顆粒である。特に、本発明による顔料を、例えば、水系の塗料および溶媒含有塗料などの液状塗料、紛体塗料、コイル塗装配合物、ならびに印刷インクからなる群から選択される被覆剤に組み込むことができる。本発明による顔料はまた、プラスチックまたは化粧品における使用に、極めて優れて適している。被覆剤の特に好ましい群は、印刷インクおよび他のインクなどの塗料、液状塗料、および紛体塗料である。印刷インクおよび他のインクの特定の適用分野は、機密保護インクの分野である。
【0210】
本発明はまた、水系および溶媒系の両方の塗料における本発明による顔料の使用に関する。そのような塗料は、例えば、自動車および工業部門において使用される。水系のシステムにおける使用では、本発明による顔料を、水、またはブチルグリコールなどの一般的な補助溶媒中で浄化することができる。本発明による顔料はまた、水系の施与媒体に直接組み込むことができる。溶媒系の塗料において使用するための状況も、同様である。この場合、本発明による顔料は、極めて優れた分散挙動によって特徴づけられる。
【0211】
従来の金属顔料、特に、金属効果顔料では、長期貯蔵の間に変化が起こり得る。これは、顔料の凝集および/または、例えば、アルミニウム顔料の腐食に起因し得る。これは次いで、不透明度の低下をもたらす。しかしながら、本発明による顔料を用いると、それらがより低い凝集傾向を有するので、特に有利な結果を達成することができる。
【0212】
さらに、本発明による被覆顔料は意外にも、液状塗料において配向の改善を示し、より良好な明度フロップを達成することが可能になる。
【0213】
本発明はまた、紛体塗料における本発明による顔料の使用に関する。紛体塗料は、例えば、工業的大量生産において導電性および耐熱性材料を塗装するために使用される。この場合、施与される紛体塗料は、固体の溶媒非含有粉末の形態である。さらに、プライマーコートまたは単層トップコートとして使用される紛体塗料は、ほぼ完全に再生利用可能である。これらの環境に優しく、用途の広い紛体塗料は、バインダー、顔料、フィラー、架橋剤、さらには、任意選択の添加剤を含有する。バインダーという用語は、当業者に公知の定義によって理解されるべきである。これは、バインダーが、フィルム形成剤、ならびに可塑剤、フィラー、および/または硬化剤などの不揮発性添加剤の両方を含むことを意味する。微細紛体塗料の施与は、一般に、静電的に行われ、その後、それらは、放射線エネルギーを使用して焼き付けまたは硬化される。
【0214】
金属効果顔料は、他の物質のなかでも、紛体塗料の顔料着色のために使用することができる。しかしながら、混合法によって製造される紛体塗料の場合には、押し出しおよび摩砕プロセス中にこれらのフレークに作用するせん断力によって、顔料フレークの損傷また破壊の問題が起こり得る。特に、これは、光沢に、したがってそのように顔料着色された施与物の光学的効果に、不利な影響を及ぼし得る。
【0215】
この理由で、乾燥ブレンド法では、例えば、金属効果顔料を、摩砕の後まで、ベース紛体塗料に混合しない。しかしながら、この欠点は、個別のペイント構成要素の異なる負荷挙動から生じる、塗料施与中に起こり得る顔料と粉体濃縮の分離である。これは、その施与中の、紛体塗料における顔料濃度の低下また上昇の結果として、不規則な光学作用をもたらす。さらに、顔料とバインダーの分離は、「オーバースプレー」、すなわち、被覆される物品を通り越して噴霧されて、コストの理由によって再生利用されるべき紛体塗料の一部の組成の変化をもたらす。別法は、顔料を加熱によって、ベース塗料の粒子に付着させるいわゆるボンディング法である。しかしながら、そのようなボンディング紛体塗料の製造は、比較的コストがかかる。現在使用されている最も安価な紛体塗料は、混合法を使用して製造されている。これらの方法では、様々な原料すべてと一緒に、顔料を混合し、押し出し、摩砕する。
【0216】
さらに、本発明による顔料は、コイル塗装プロセスにおいて使用することができる。このプロセスは、高度に環境に優しいことによって特徴づけられる。塗装および乾燥が、閉鎖系内で、ノーリンス法で連続的に行われ、化学残渣をすすぎ落とす必要もない。さらに、最適化されたプロセス制御によって、ほぼ100%の施与効率を達成することができるが、多くの他の塗装法では、例えば、オーバースプレーによって、より大きな損失が生じる。しかしながら、コイル塗装法では、塗膜を240~280℃の温度で焼き付けるので、特に安定な顔料しか、この方法では使用することができない。
【0217】
本発明による顔料はまた、印刷インクにおいて使用することができる。そのような印刷インクの例には、ディープ印刷、スクリーン印刷、またはフレキソ印刷インクが含まれる。本発明による顔料はまた、特に、水系の塗料(水系の仕上げ)および屋外用途に特によく適している。
【0218】
ディープ印刷、スクリーン印刷、またはフレキソ印刷インクは、溶媒または溶媒混合物を含有する。これらは、バインダーを溶解するなどの目的のために、または、粘度または乾燥速度などの印刷インクの重要な施与特性を調節するためにも使用することができる。低沸点溶媒が典型的には使用され、沸点がより高い溶媒は、乾燥速度の調節のために少量使用される。
【0219】
溶媒に加えて、反応性希釈剤、および放射線硬化性印刷インクでは光重合開始剤;ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アクリレート、ポリビニルブチレート、脂肪族および芳香族ポリウレタン、ならびにポリ尿素などのバインダー;炭酸カルシウム、酸化アルミニウム水和物、ケイ酸アルミニウム、およびケイ酸マグネシウム、ポリエチレンワックスなどのワックス、酸化ポリエチレンワックス、石油ワックス、およびセレシンワックスなどのフィラー;脂肪酸アミド、可塑剤、分散剤、脂肪酸、および沈降防止剤などの様々な他の構成要素が、塗料中に含有され得る。
【0220】
本発明はまた、ポリマーにおける本発明による顔料の使用に関する。本発明による被覆によって得られる追加の保護に加えて、顔料を好ましくは、ポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーに組み込み、かつ分散させることができる。
【0221】
熱可塑性ポリマーの例は、ポリオキシアルキレン、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ビニル芳香族(コ)ポリマー、例えば、ポリスチレン、衝撃改質ポリスチレン、例えば、HI-PS、またはASA、ABS、もしくはAESポリマー、ポリアリーレンエーテル、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリラクチド、ハロゲン含有ポリマー、イミド基含有ポリマー、セルロースエステル、シリコーンポリマー、または熱可塑性エラストマーである。様々な熱可塑性プラスチックの混合物を使用することもできる。
【0222】
さらなる実施形態では、化粧品は、ボディパウダー、フェースパウダー、プレスドおよびルースパウダー、顔用メイキャップ、パウダークリーム、クリーム状メイキャップ、エマルジョン状メイキャップ、ワックス状メイキャップ、ファンデーション、フォーム状メイキャップ、口紅、眼用メイキャップ、例えば、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、リキッドアイライナー、アイブローペンシル、リップケアスティック、リップスティック、リップグロス、リップライナー、ヘアスタイリング用組成物、例えば、ヘアスプレー、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアワックス、ヘアマスカラ、永続的または半永続的ヘアダイ、一時的なヘアダイ、スキンケア用組成物、例えば、ローション、ジェル、乳液、および指の爪用マニキュア組成物からなる群から選択される。
【0223】
本発明はまた、金属顔料の安定性を増大させ、かつ、金属顔料の安定性の改善、液状塗料または紛体塗料、特に紛体塗料における金属顔料の施与性および配向性の改善、金属顔料の凝集傾向の低減、塗料系における金属顔料の配向の改善、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される金属顔料の施与特性の改善を得るための、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンの使用に関し、ここで、金属顔料が、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の被覆層を有し、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれ、ヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有する。ヘテロポリシロキサンは好ましくは、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、少なくとも1種のアルキルシラン構成要素とを含む。特に、ヘテロポリシロキサンを構成するシランモノマーが、上記実施形態によって選択されることが好ましい。
【0224】
さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンを、最外側の層として、少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層に施与する。
【0225】
さらなる実施形態では、金属顔料は、少なくとも1つの無機/有機混合層を含む。
【0226】
さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンを、金属酸化物、好ましくは酸化ケイ素から本質的に構成される被覆層に施与する。
【0227】
本発明はまた、本発明による顔料を製造するための方法に関し、その方法は、
-任意選択により事前被覆されている金属顔料を得るステップと、
-任意選択により事前被覆されている金属顔料上に、少なくとも1種の金属酸化物を含む、金属顔料を包囲する少なくとも1つの第1の被覆層を生成するステップと、
-少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの第1の被覆層上に、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの第2の被覆層を施与するステップとを含み、
ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれ、
少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンを含む被覆層が、金属顔料の最外側の被覆層を構成し、
少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有する。
【0228】
特に、ヘテロポリシロキサンは、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、少なくとも1種のアルキルシラン構成要素とを含むことが好ましい。ヘテロポリシロキサンに関しての「事前縮合」という用語は、本発明の意味の範囲内では、該当シランモノマーが、ヘテロポリシロキサンを施与する前の別のステップにおいて既に縮合されていることを意味する。したがって、シランモノマーの重縮合は、被覆される金属顔料の存在下では行われない。好ましくは、本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、未縮合基を25%以下、より好ましくは19%以下、なおより好ましくは16%以下で有する。未縮合基、特に、ヒドロキシル基の決定は、当業者に一般に公知の方法を使用して行われる。この場合、加水分解されたか、および/または加水分解可能な縮合可能な基の数は、既に縮合した基および未縮合基の総数に関連する。
【0229】
さらなる実施形態では、上記方法は好ましくは、金属顔料を事前被覆するために、
-少なくとも1種の無機ネットワーク形成剤、少なくとも1種の有機ネットワーク形成剤、および少なくとも1種の反応性有機構成要素を液相に変換して、被覆組成物を形成するステップと、
-その被覆組成物を金属顔料に混合層として施与するステップとを含み、
ここで、金属顔料を、少なくとも1種の無機ネットワーク形成剤、少なくとも1種の有機ネットワーク形成剤、および少なくとも1種の反応性有機構成要素を液相に添加するか、変換する前、その間、またはその後に添加し、
混合層は少なくとも部分的に、1種または複数種の無機酸化物構成要素を有する無機ネットワークおよび少なくとも1種の有機構成要素を含有し、有機構成要素は少なくとも部分的に、少なくとも部分的に無機ネットワークに共有結合により結合する有機オリゴマーおよび/またはポリマーである。
【0230】
さらなる実施形態では、上記方法は、
(a)金属顔料の反応混合物を液相中で得るステップと、
(b1)少なくとも1種の無機ネットワーク形成剤を、ステップ(a)の反応混合物に添加するステップと、
(c1)ステップ(b1)において添加された無機ネットワーク形成剤を加水分解または縮合させるステップと、
(d1)少なくとも1種の反応性有機ネットワーク形成剤および少なくとも1種の反応性有機構成要素を、ステップ(c1)の加水分解および/または縮合の前、またはその間に添加を開始し、その間またはその後に添加を終了するステップか、
または、
(b2)少なくとも1種の反応性有機ネットワーク形成剤および少なくとも1種の反応性有機構成要素を、ステップ(a)の反応混合物に添加するステップと、
(c2)少なくとも1種の無機ネットワーク形成剤を、ステップ(b2)の反応混合物に添加するステップと、
(d2)ステップ(c2)において添加された無機ネットワーク形成剤を加水分解または縮合させるステップと、
および、
(e)加水分解および/または縮合させた無機ネットワーク形成剤を、反応性有機ネットワーク形成剤と、さらに、反応性有機構成要素と反応させ、無機/有機混合層を同時に、かつ/または続けて堆積させるステップと、
(f)任意選択によって、ステップ(e)の被覆金属顔料を反応混合物から分離するステップとを含む。
【0231】
さらなる実施形態では、反応性有機構成要素を、反応性の重合可能な有機モノマー、オリゴマー、および/またはポリマーの形態で添加する。
【0232】
反応性有機構成要素を、モノマー、オリゴマー、ポリマー、およびそれらの混合物の形態で添加することができる。さらなる実施形態では、少なくとも1種の反応性オリゴマーまたはポリマーを、反応性有機構成要素として添加する。
【0233】
さらなる実施形態では、アゾまたはペルオキソ開始剤などの少なくとも1種の重合開始剤を添加する。対応する重合開始剤の例は、AIBN、V601、フェントン試薬、または過酸化ベンゾイルである。
【0234】
事前被覆の後に得られた金属顔料が、金属酸化物、好ましくは所望の金属酸化物(複数可)を含有する包囲被覆層を有することを条件として、ヘテロポリシロキサンで、またはそれから、第2の被覆層を、この第1の被覆層に直ちに施与することができる。
【0235】
もちろん、初めに、少なくとも第1の金属酸化物を含む被覆層を、次いで、第2のヘテロポリシロキサン含有被覆層を、例えば、無機/有機混合層を有する事前被覆金属顔料に、その外側層として施与することもできる。
【0236】
本発明によって使用される事前縮合ヘテロポリシロキサンは、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを含む。使用されるヘテロポリシロキサンを生成するための対応するモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーの縮合を、例えば、US 5808125 A、US 5679147 A、およびUS 5629400 Aにおいて開示されている方法などの当業者に公知の方法を使用して行う。さらに、様々なヘテロポリシロキサンが市販もされている。
【0237】
好ましくは、ヘテロポリシロキサンを、水性配合物の形態で使用する。特に、配合物は好ましくは、配合物の合計重量に対して、5~50重量%の範囲のヘテロポリシロキサン濃度を有するべきである。
【0238】
ヘテロポリシロキサンの施与は、当業者に公知の方法を使用して実施することができる。非常にわずかな費用で、極めて優れた結果を得ることが可能となるので、好ましい方法は、ヘテロポリシロキサンの水溶液が、被覆される顔料に対して作用することを可能にする方法である。この場合、曝露時間は、15分~240分の間であるべきである。
【0239】
さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサン層の施与に、シロキサン層の任意の硬化ステップ、特に、熱硬化が続かないことが特に好ましい。
【0240】
さらなる実施形態では、ヘテロポリシロキサンは、加水分解および/または縮合によるヘテロポリシロキサンの生成中に放出されるアルコールを0.5重量%未満で含有する。
【0241】
意外にも、ヘテロポリシロキサンは、本質的に完全に、好ましくは完全に加水分解されているはずであることも見出された。さらなる反応または架橋の可能性が低いにも関わらず、そのようなヘテロポリシロキサンは圧倒的に、より良好な結果を示す。
【0242】
本発明によって使用されるヘテロポリシロキサンは好ましくは、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、0.3重量%未満の高度に揮発性の有機溶媒の含量を有する。
【0243】
ヘテロポリシロキサンを好ましくは、水性配合物の形態で使用する。多くの用途において、ヘテロポリシロキサンを含む水性配合物は、シランモノマーの反応において通常生成するアルコールと比較して、VOC(揮発性有機化合物)を最小可能量でしか含まないことが典型的には好ましい。さらなる実施形態では、水性配合物は、それぞれの場合に、水性配合物の重量に対して、VOCを5重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、なおより好ましくは0.1重量%未満で含むことが好ましい。理想的には、VOCを含有しない水性配合物を使用する。
【0244】
好ましくは、シランモノマーの縮合において生成するアルコールを、反応混合物から連続的に除去する。
【0245】
例えば、本発明による少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層の生成を、ゾルゲルプロセスによって実施することができる。
【0246】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの包囲被覆層の金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、それらの酸化物水和物、それらの水酸化物、ならびにそれらの混合物からなる群から本質的に、好ましくは完全に選択される。特に好ましくは、本発明による金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、上述の金属酸化物には、酸化物水和物および水酸化物も含まれる。特に、二酸化ケイ素、水酸化ケイ素、および/または酸化ケイ素水和物などのケイ素酸化物類の使用が有利であることが見出されている。
【0247】
金属酸化物から本質的に構成される簡単な層の使用であっても、包囲金属酸化物含有被覆層に、事前縮合ヘテロポリシロキサンを施与する本発明による組合せによって、高度に好ましい結果が達成されることも見出されている。したがって、さらなる実施形態では、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンが施与される少なくとも1つの被覆層は、金属酸化物、好ましくは酸化ケイ素から本質的に構成される。
【0248】
対照的に、例えば、安定性に関して特に高品質の特性は、より複雑な無機/有機混合層を使用することによって達成される。したがって、さらなる実施形態では、少なくとも1種の金属酸化物を含む施与された被覆層は、無機/有機混合層から構成される。特に、上述の無機/有機混合層が酸化ケイ素を含むことが好ましい。好ましくは、無機/有機混合層中に含有される金属酸化物は、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から本質的に構成される。
【0249】
さらなる実施形態では、上記方法は、少なくとも1種の金属酸化物を含有する少なくとも1つのさらなる被覆層の施与を含む。
【0250】
さらなる実施形態では、上記方法は、少なくとも1種の有機ポリマーから本質的に構成される少なくとも1つのさらなる被覆層の施与を含む。該当する層は、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの包囲被覆層と、金属基材との間に配置される。
【0251】
さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1種の有機ポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリアルケン、ポリジエン、ポリアルキン、ポリアルキレングリコール、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから本質的に構成される。有機ポリマーが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、およびそれらの混合物からなる群、より好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から本質的に選択されるポリマー層は、特に有利であることが見出されている。
【0252】
さらなる実施形態では、指定の被覆層を、ワンポット反応で施与する。
【0253】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの被覆層を含有する被覆を施与する前に、少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層の生成を少なくとも大部分完了させる。被覆層の生成を「大部分完了させる」という用語は、本発明の意味の範囲内では、被覆の遊離体の30重量%以下がなお反応性であることを意味すると理解される。好ましくは、遊離体が15重量%未満、より好ましくは5重量%未満なお反応性である。その量は、溶液中にまだ存在する反応性遊離体の量に基づいて決定する。
【0254】
さらなる実施形態では、少なくとも1種のテトラアルコキシシラン、または少なくとも1種のテトラアルコキシシランのオリゴマーを、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの被覆層の生成において使用する。テトラアルコキシシランのアルコキシ基は互いに独立に、例えば、C1~C4アルコキシ基の群から選択され得る。しかしながら、少なくとも3個の、好ましくは少なくとも4個の同一のアルコキシ基を有するテトラアルコキシ基は、特に好ましいテトラアルコキシシランを構成する。テトラアルコキシシランは好ましくは、テトラエトキシシランおよびテトラエトキシシランのオリゴマーからなる群から選択される。
【0255】
さらなる実施形態では、有機官能性シランを、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの被覆層の生成において使用する。
【0256】
さらなる実施形態では、液相は、水、アルコール、グリコールエーテル、ケトン、酢酸エステル、ホワイトスピリット、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒である。
【0257】
さらなる実施形態では、ステップ(b)~(e)における反応温度は、0℃~180℃の範囲、好ましくは40℃~120℃、より好ましくは60℃~100℃の範囲である。
【0258】
さらなる実施形態では、ステップ(c1)または(d2)におけるpHは、2~4の範囲であり、ステップ(e)におけるpHは、8~9の範囲である。
【0259】
特に、さらなる実施形態では、本発明の被覆金属顔料、特に、特許請求の範囲において記載するものを、上述の方法、好ましくは具体的なその実施形態によって製造することが好ましい。下記の特許請求の範囲および態様において指定する変法が特に好ましい。
【0260】
本発明はまた、特許請求の範囲または態様の1つによる被覆金属顔料、さらには、特許請求の範囲または態様の1つによる方法によって製造された金属顔料からなる群から選択される被覆金属顔料を含有する被覆剤に関する。
【0261】
さらなる実施形態では、被覆剤は、水系の塗料、溶媒含有塗料、および紛体塗料からなる群から選択される。紛体塗料は、本発明による被覆強磁性顔料のための特に好ましい被覆剤を構成する。
【0262】
本発明はまた、特許請求の範囲または態様の1つによる、被覆金属顔料とも称される、被覆を有する金属顔料の物品に関する。
【0263】
態様1では、本発明は、金属基材および被覆を有する金属顔料に関し、その被覆が、金属顔料を包囲し、少なくとも1種の金属酸化物を含有する少なくとも1つの第1の被覆層と、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含有する少なくとも1つの第2の被覆層とを含み、
ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれ、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびフェニルシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有し、事前縮合形態のヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の包囲被覆層に施与されていて、ヘテロポリシロキサンが、金属顔料の最外側の被覆層を構成している。金属顔料は好ましくは、フレーク状金属顔料である。
【0264】
本発明の態様2では、態様1による被覆金属顔料は、好ましくはフレーク状である。
【0265】
本発明の態様3では、態様1から2の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、20nm~160nmの範囲の平均厚さを有する被覆を有する。被覆の厚さは、ラスター電子顕微鏡によって行われる。
【0266】
本発明の態様4では、態様1から3の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、熱応答性ポリマー、好ましくは、有機ポリマーから構成される被覆層を含有しない。より好ましくは、被覆金属顔料は、少なくとも1種の熱応答性ポリマー、好ましくは少なくとも1種の有機ポリマーから本質的に構成される被覆層を含有しない。
【0267】
本発明の態様5では、態様1から4の1つによる被覆金属顔料において、事前縮合ヘテロポリシロキサンは好ましくは、金属顔料の酸化生成物を構成し、20nmより薄い少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層には施与されない。好ましくは、少なくとも1種の金属酸化物を含む第1の包囲被覆層は、金属顔料の酸化生成物ではない。
【0268】
本発明の態様6では、態様1から5の1つによる被覆金属顔料の金属基材は、好ましくは金属コアである。
【0269】
本発明の態様7では、態様1から6の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、顔料の合計重量に対して、1重量%未満のメタノール含量を有する。特に、本発明による金属顔料が痕跡量のメタノールしか含有しないことが好ましい。
【0270】
本発明の態様8では、態様1から7の1つによる被覆金属顔料の被覆は好ましくは、それぞれの場合に、被覆の合計重量に対して、少なくとも43重量%、好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも82重量%の金属酸化物含量を有する。
【0271】
本発明の態様9では、態様1から8の1つによる被覆金属顔料において、それぞれの場合に、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、事前縮合ヘテロポリシロキサンのシランモノマー構成要素の少なくとも87重量%、好ましくは少なくとも93重量%、より好ましくは少なくとも97重量%は好ましくは、アミノシラン、アルキルシラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0272】
本発明の態様10では、態様1から9の1つによる被覆金属顔料において、少なくとも1種のアミノシラン構成要素は、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の合計重量に対して、少なくとも92重量%まで、好ましくは完全に、(HN(CH)Si(OCH((3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、AMMO)、(HN(CHSi(OC((3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、AMEO)、(HN(CH)NH(CH)Si(OCH((N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(トリメトキシ)シラン、(DAMO))、(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル)(トリエトキシ)シラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0273】
本発明の態様11では、態様1から10の1つによる被覆金属顔料において、少なくとも1種のアミノシランは好ましくは、式(I):
a1 x1b1 y1c1 (4-x1-y1)Si (I)
によるアミノシランの群から選択され、
ここで、Ra1は互いに独立に、少なくとも1個の窒素基で置換されている官能基から選択され、官能基は、C1~C16アルキル基、C2~C8アルケニル基、C2~C8アルキニル基、フェニル基、C7~C12アルキルアリール基、およびC7~C12アリールアルキル基からなる群から選択され、
b1は互いに独立に、非置換の分枝鎖状または非分枝鎖状C1~C18アルキル基、好ましくは、C1~C16アルキル基、C2~C8アルケニル基、C2~C8アルキニル基、フェニル基、C7~C12アリールアルキル基、C7~C12アルキルアリール基、およびそれらの混合からなる群から選択され、
c1は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、
x1は、1、2、または3であり、
y1は、0~(3-x1)の整数の群から選択される。
【0274】
好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアミノシラン構成要素の合計重量に対して、アミノシラン構成要素の少なくとも95重量%、より好ましくは、アミノシラン構成要素のすべてが、上述のシランから選択される。さらに、x1は、1および2から選択され、y1は、0~(2-x1)の整数の群から選択されることが好ましい。
【0275】
本発明の態様12では、態様1から11の1つによる被覆金属顔料において、Ra1は互いに独立に、少なくとも1個の窒素基で置換されている官能基から選択され、官能基は、C1~C5アルキル基、C2~C5アルケニル基、C2~C5アルキニル基からなる群から選択され、Rb1は互いに独立に、非置換の分枝鎖状または非分枝鎖状C1~C4アルキル基、C2~C4アルケニル基、C2~C4アルキニル基、およびフェニル基からなる群から選択され、Rc1は互いに独立に、C1~C4アルコキシ基の群から選択される。好ましくは、Rc1は、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される。
【0276】
本発明の態様13では、態様1から12の1つによる被覆金属顔料において、Ra1の少なくとも1個の窒素基は、-NH(2-r1)d1 r1および-(NH(3-s1)d1 s1からなる群から選択されることが好ましく、ここで、r1は、0~2の整数から選択され、s1は、0~3の整数から選択され、Rd1は互いに独立に、C1~C16アルキル基、C2~C8アルケニル基、C2~C8アルキニル基、フェニル環、C7~C12アルキルアリール基、C7~C12アルコキシアルキル基、ジアルキレンジアミン基、およびトリアルキレントリアミン基、さらには、飽和および不飽和アルキレンおよびヘテロアルキレン、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CH=CH-CH=CH-または-CH=N-(CH-からなる群から選択され、r1またはs1≧2であれば、ヘテロアルキレン基中のヘテロ原子は、NおよびOから選択される。好ましくは、ヘテロアルキレンのヘテロ原子は、窒素原子である。上述の基の任意選択により存在する置換基は好ましくは、窒素含有置換基、例えば、-NH(2-t1)e1 t1および-(NH(2-u1)e1 u1から選択され、ここで、t1は、0~2の整数から選択され、u1は、0~3の整数から選択され、Re1は、C1~C4アルキル基からなる群から選択される。特に、上述のRd1は非置換であることが好ましい。
【0277】
本発明の態様14では、態様1から13の1つによる被覆金属顔料において、Rd1は互いに独立に、好ましくは、C1~C4アルキル基、C2~C4アルケニル基、C2~C4アルキニル基、フェニル環、C7~C8アルキルアリール基、C7~C8アルコキシアルキル基、ジアルキレンジアミン基、トリアルキレントリアミン基、さらには、飽和および不飽和C4~C7アルキレンおよびC3~C6ヘテロアルキレン、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CH=CH-CH=CH-、または-CH=N-(CH-からなる群から選択され、r1またはs1≧2であれば、ヘテロアルキレン中のヘテロ原子は、NおよびOから選択される。
【0278】
本発明の態様15では、態様1から14の1つによる被覆金属顔料において、Ra1の少なくとも1個の窒素基は好ましくは、-NH(2-r1)d1 r1および-(NH(3-s1)d1 s1からなる群から選択され、ここで、r1は、0~2の整数から選択され、s1は、0~3の整数から選択され、Rd1は互いに独立に、非置換および置換C1~C8アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基からなる群から選択され、置換基は、-NH(2-t1)e1 t1および-(NH(3-u1)e1 u1からなる群から選択され、ここで、t1は、0~2の整数から選択され、u1は、0~3の整数から選択され、Re1は互いに独立に、非置換C1~C4アルキル基およびC1~C4アミノアルキル基からなる群から選択される。
【0279】
本発明の態様16では、態様1から15の1つによる被覆金属顔料において、少なくとも1種のアルキルシランは好ましくは、(メチル)(トリアルコキシ)シラン、(エチル)(トリアルコキシ)シラン、(n-プロピル)(トリアルコキシ)シラン、(i-プロピル)(トリアルコキシ)シラン、(n-ブチル)(トリアルコキシ)シラン、(i-ブチル)(トリアルコキシ)シラン、(n-オクチル)(トリアルコキシ)シラン、(i-オクチル)(トリアルコキシ)シラン、(デシル)(トリアルコキシ)シラン、(ドデシル)(トリアルコキシ)シラン、(ヘキサデシル)(トリアルコキシ)シラン、および(ジメチル)(ジアルコキシ)シランからなる群から選択され、ここで、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、およびそれらの混合を表す。
【0280】
本発明の態様17では、態様1から16の1つによる被覆金属顔料において、少なくとも1種のアルキルシランは好ましくは、式(II):
a2 x2b2 (4-x2)Si (II)
による構造を有し、
ここで、Ra2は互いに独立に、非置換C1~C18アルキル基、好ましくはC1~C16アルキル基の群から選択され、Rb2は互いに独立に、アルコキシ基から選択され、x2は、1および2から選択される。好ましくは、ヘテロポリシロキサン中に含まれるアルキルシラン構成要素の合計重量に対して、アルキルシラン構成要素の少なくとも95重量%、より好ましくはアルキルシランのすべてが、上述のシランから選択される。
【0281】
本発明の態様18では、態様1から17の1つによる被覆金属顔料のヘテロポリシロキサンのシランモノマー構成要素は好ましくは、ヘテロポリシロキサンの合計重量に対して、エポキシシラン構成要素を10重量%以下、より好ましくは6重量%以下、なおより好ましくは4重量%以下、なおより好ましくは痕跡以下で含む。
【0282】
本発明の態様19では、態様1から18の1つによる被覆金属顔料のヘテロポリシロキサンは好ましくは、上記の態様の1つによって完全に加水分解されている。
【0283】
本発明の態様20では、態様1から19の1つによる被覆金属顔料の金属酸化物を含有する少なくとも1つの第1の被覆層、より好ましくは第1の被覆層のすべてが、好ましくは低屈折率を有する少なくとも1種の金属酸化物から構成されることが好ましい。
【0284】
本発明の態様21では、態様1から20の1つによる被覆金属顔料の少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の包囲被覆層の金属酸化物は好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、上述の金属酸化物には、それらの酸化物水和物および水酸化物も含まれる。好ましくは、金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、上述の金属酸化物には、それらの酸化物水和物および水酸化物も含まれる。
【0285】
本発明の態様22では、態様1から21の1つによる被覆金属顔料の少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の包囲被覆層の金属酸化物は好ましくは、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、およびそれらの混合物からなる群から本質的に選択される。
【0286】
本発明の態様23では、態様1から22の1つによる被覆金属顔料の金属コアは好ましくは、アルミニウムから本質的に構成され、被覆は、酸化ケイ素、水酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、またはそれらの混合物から本質的に構成される少なくとも1つの第1の被覆層を含む。
【0287】
本発明の態様24では、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンが施与される態様1から23の1つによる被覆金属顔料の少なくとも1つの第1の被覆層は好ましくは、少なくとも1種の金属酸化物から本質的に構成される。好ましくは、該当する層は、少なくとも1種の金属酸化物から構成される。
【0288】
本発明の態様25では、態様1から24の1つによる被覆金属顔料の少なくとも1つの別個の本質的に純粋な有機ポリマー層は好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはそれらの混合物からなる群から選択される。この本質的に純粋な有機ポリマー層は、金属顔料と、ヘテロポリシロキサンを含有するか、またはそれから構成される第2の被覆層が施与される少なくとも1種の金属酸化物を有する少なくとも1つの第1の被覆層との間に配置される。
【0289】
本発明の態様26では、態様1から25の1つによる被覆金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、スズ、チタン、クロム、コバルト、銀、ステンレス鋼、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、ケイ素、およびホウ素、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される金属から大部分構成される。
【0290】
本発明の態様27では、態様1から26の1つによる被覆金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも60重量%まで、強磁性金属から構成される。態様1から26の1つによる金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、少なくとも60重量%まで、鉄、コバルト、ニッケル、およびそれらの混合物から構成される。
【0291】
本発明の態様28では、態様27による被覆金属顔料の強磁性金属は好ましくは、鉄、コバルト、ニッケル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0292】
本発明の態様29では、態様1から28の1つによる被覆金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも60重量%まで鉄から構成される。
【0293】
本発明の態様30では、態様1から29の1つによる金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、銀、金、銅、クロム、チタン、およびそれらの混合物からなる群から、好ましくはアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される金属から構成される。
【0294】
本発明の態様31では、態様1から30の1つによる被覆金属顔料の金属混合物は好ましくは、黄銅(金青銅)、亜鉛-マグネシウム合金、および鋼からなる群から選択される。
【0295】
本発明の態様32では、態様1から31の1つによる被覆金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウム、鉄、亜鉛、鋼、銅および黄銅からなる群から選択される金属から構成される。
【0296】
本発明の態様33では、態様1から32の1つによる被覆金属顔料の金属コアは好ましくは、フレーク状カルボニル鉄、好ましくは、還元カルボニル鉄から構成される。
【0297】
本発明の態様34では、態様1から33の1つによる被覆金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウム、銅、および黄銅からなる群から選択される金属から構成される。
【0298】
本発明の態様35では、態様1から34の1つによる金属顔料の金属基材中の金属は好ましくは、酸素を除いた金属基材中の金属の重量に対して、少なくとも95重量%まで、アルミニウムから構成される。
【0299】
本発明の態様36では、態様1から35の1つによる金属顔料の金属基材は好ましくは、金属コアである。
【0300】
本発明の態様37では、態様1から36の1つによる被覆金属顔料の金属コアは好ましくは、20~100nmの範囲のh50値、少なくとも200の形状係数、および30~140%、好ましくは70~130%の範囲の相対厚さ分布ΔH値を有する摩砕によって得られた金属顔料、またはPVD法によって得られた金属顔料である。
【0301】
本発明の態様38では、少なくとも1種の金属酸化物を含む態様1から37の1つによる被覆金属顔料の少なくとも1つの第1の包囲被覆層を好ましくは、ゾルゲルプロセスによって施与した。
【0302】
本発明の態様39では、態様1から38の1つによる複数の被覆金属顔料が、好ましくは存在する。
【0303】
本発明の態様40では、態様1から39の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、2μm~66μm、好ましくは4μm~50μm、より好ましくは8μm~47μmの範囲のD50値を有する。
【0304】
本発明の態様41では、態様1から40の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、10μm~81μm、より好ましくは16μm~80μm、なおより好ましくは21μm~79μmの範囲のD90値を有する。
【0305】
本発明の態様42では、態様1から41の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、0.5μm~34μmの範囲、より好ましくは1μm~29μmの範囲、なおより好ましくは2μm~27μmの範囲のD10値を有する。
【0306】
本発明の態様43では、態様1から42の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、0.5μm~34μmの範囲のD10値、2μm~66μmの範囲のD50値、および10μm~81μmの範囲のD90値を有する。
【0307】
本発明の態様44では、態様1から43の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、下式:
ΔD=(D90-D10)/D50
のとおり定義される、0.6~2.1、好ましくは0.7~1.9、より好ましくは0.75~1.7の範囲のスパンΔDを有する。
【0308】
本発明の態様45では、態様1から44の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、15nm~2μm、好ましくは20nm~370nm、より好ましくは20nm~240nmの範囲のh50値を有し、この際、厚さは、ラスター電子顕微鏡によって算出される。
【0309】
本発明の態様46では、態様1から45の1つによる被覆金属顔料は好ましくは、1500:1~10:1、好ましくは1200:1~15:1、より好ましくは950:1~25:1の範囲のアスペクト比(D50/h50)を有する。
【0310】
態様47では、本発明は、被覆金属顔料を製造するための方法に関し、
-金属顔料を得るステップと、
-金属顔料に、少なくとも1種の金属酸化物を含む第1の包囲被覆層を生成するステップと、
-少なくとも1種の金属酸化物を含む第1の被覆層に、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの第2の被覆層を施与するステップとを含み、
ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれ、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含む被覆層が、金属顔料の最外側の被覆層を構成しており、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランの群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを有し、ヘテロポリシロキサンが事前縮合形態で使用される。金属顔料は好ましくは、フレーク状である。
【0311】
本発明の態様48では、態様47による方法で得られた被覆金属顔料は好ましくは、フレーク状である。
【0312】
本発明の態様49では、少なくとも1種の金属酸化物を含む、態様47から48の1つによる方法で施与された第1の包囲被覆層は好ましくは、金属酸化物から本質的に構成される。
【0313】
本発明の態様50では、態様47から49の1つによる方法において、ヘテロポリシロキサンは好ましくは、態様9から19の1つによるヘテロポリシロキサンの群から選択される。
【0314】
本発明の態様51では、態様47から50の1つによる方法において、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の包囲被覆層の金属酸化物は好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、それらの酸化水和物、それらの水酸化物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0315】
本発明の態様52では、態様47から51の1つによる方法において、少なくとも1種の金属酸化物を含む第1の包囲被覆層を好ましくは、ゾルゲルプロセスによって生成する。
【0316】
本発明の態様53では、態様47から52の1つによる方法は好ましくは、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つのさらなる被覆層の施与を含む。
【0317】
本発明の態様54では、態様47から53の1つによる方法は好ましくは、有機ポリマーから本質的に構成される被覆層の施与を含む。この場合、有機ポリマーから本質的に構成される被覆層を、少なくとも金属酸化物を含む少なくとも1つの第1の包囲被覆層を施与する前の事前被覆として施与する。
【0318】
本発明の態様55では、態様47から54の1つによる方法において、少なくとも1種のヘテロポリシロキサンを含む少なくとも1つの第2の被覆層を用いた被覆を施与する前に、少なくとも金属酸化物を含む第1の包囲被覆層の生成を好ましくは、少なくとも大部分完了させる。
【0319】
本発明の態様56では、態様47から55の1つによる方法において、少なくとも1種のテトラアルコキシシラン、または少なくとも1種のテトラアルコキシシランのオリゴマーを好ましくは、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの被覆層の生成において使用する。好ましくは、テトラアルコキシシランは、テトラエトキシシラン、およびテトラエトキシシランのオリゴマーからなる群から選択される。
【0320】
本発明の態様57では、態様47から56の1つによる方法において、ヘテロポリシロキサンを好ましくは、最外側の層として、少なくとも1種の金属酸化物を含む包囲被覆層に施与する。
【0321】
本発明の態様58では、態様47から57の1つによる方法において、ヘテロポリシロキサンは好ましくは、加水分解および/または縮合によって上記ヘテロポリシロキサンの生成中に放出されるアルコールを0.5重量%未満で含有する。
【0322】
本発明の態様59では、態様47から58の1つによる方法において、金属基材中の金属は好ましくは、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、スズ、チタン、クロム、コバルト、銀、ステンレス鋼、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、およびそれらの混合物からなる群から選択される金属から大部分構成される。
【0323】
本発明の態様60では、態様47から59の1つによる方法において、金属混合物は好ましくは、黄銅(金青銅)、亜鉛-マグネシウム合金、および鋼からなる群から選択される。
【0324】
本発明の態様61では、態様47から60の1つによる方法において、ステップ(b)~(e)における反応温度は、好ましくは0℃~180℃、より好ましくは40℃~120℃の範囲、より好ましくは60℃~100℃の範囲である。
【0325】
態様62では、本発明は、請求項47から61のいずれか一項に記載の方法によって製造された被覆金属顔料に関する。被覆金属顔料は好ましくは、複数の被覆金属顔料である。特に、上述の被覆金属顔料は、態様1から46の1つによる特徴を示すことが好ましい。
【0326】
態様63では、本発明は、金属顔料の安定性の増大、液状塗料または紛体塗料、特に紛体塗料における金属顔料の施与性および配向性の改善、金属顔料の凝集傾向の低減、および塗料系における金属顔料の配向の改善、またはそれらの組合せなどの施与特性の改善を得るための、少なくとも1種の事前縮合ヘテロポリシロキサンの使用に関し、金属顔料が、少なくとも1種の金属酸化物を含む少なくとも1つの被覆層を有し、ここで、金属酸化物という用語には、酸化物水和物および水酸化物も含まれ、ヘテロポリシロキサンが、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、アルキルシラン、ビニルシラン、およびアリールシランからなる群から選択される少なくとも1種のシラン構成要素とを含む。ヘテロポリシロキサンは好ましくは、少なくとも1種のアミノシラン構成要素と、少なくとも1種のアルキルシラン構成要素とを含む。特に、アミノシランおよびアルキルシランは、態様9から17の1つによって選択されることが好ましい。
【0327】
本発明の態様64では、態様63による使用において、ヘテロポリシロキサンを好ましくは、最外側の層として、少なくとも1種の金属酸化物を含む第1の包囲被覆層に施与する。
【0328】
本発明の態様65では、態様63から64の1つによる金属顔料は好ましくは、少なくとも1つの無機/有機混合層を含む。
【0329】
本発明の態様66では、態様63から65の1つによる使用において、ヘテロポリシロキサンを好ましくは、金属酸化物から本質的に構成される被覆層に施与する。
【0330】
本発明の態様67では、態様63から66の1つによる使用において、少なくとも1つの包囲被覆層の金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、それらの酸化物水和物、それらの水酸化物、およびそれらの混合物からなる群から本質的に、より好ましくは完全に選択される。
【0331】
態様68では、本発明は好ましくは、化粧品、プラスチック、または被覆剤における態様63から67の1つによる被覆金属顔料の使用に関する。
【0332】
本発明の態様69では、態様68による使用において、被覆剤は好ましくは、液状塗料、紛体塗料、ならびに印刷インクおよび他のインクなどの着色剤からなる群から選択される。
【0333】
態様70では、本発明は、請求項1から46の一項に記載の被覆金属顔料、および請求項47から61の一項に記載の方法によって製造された被覆金属顔料からなる群から選択される被覆金属顔料を含有する被覆剤に関する。好ましくは、被覆剤は、水系の塗料、溶媒含有塗料、および紛体塗料からなる群から選択される。
【0334】
態様71では、本発明は、態様1から46の1つによる被覆金属顔料、または請求項47から61の一項に記載の方法によって製造された被覆金属顔料を含有するか、または有する物品に関する。
【0335】
上述の態様のさらなる好ましい実施形態では、従属態様の対応する値は、金属基材中の金属および金属基材中の金属の重量に関するのではなく、金属コアおよび金属コアの重量に関する。
【図面の簡単な説明】
【0336】
図1】施与例1において記載したとおり、実施例3-1(A)による本発明による被覆金属粉末および比較例3-2(B)の乾燥曲線を示す。この場合、顔料の重量損失が乾燥時間に対してプロットされている。
図2】様々な被覆を伴うPVD標準タイプの不透明度を、塗料を粉末に乾燥させた後に決定するための試験カードを示している。この場合、AはMetalure A 31510であり、Bは実施例3-1であり、Cは比較例3-2である。
【0337】
実施例1
10=9μm、D50=15μm、D90=26μmのサイズ分布、およびペーストの合計重量に対して25重量%の固体含量を有するアルミニウム効果顔料ペースト(Silvershine S1500,Eckart GmbH:アルミニウムグリットの摩砕によって製造されたアルミニウム顔料)300gを室温で10分間にわたって、エタノール500gに分散させた。この後、テトラエトキシシラン40gを添加し、撹拌しながら懸濁液を80℃に加熱し、水120g中のトリエチルアミン13gを添加した。6時間後に、水20gに溶解した下記の表に示す構成要素を添加し、混合物をさらに2時間にわたって撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、顔料を濾過によって単離した。実施例1-5~1-8および1-20~1-22のバッチを、事前縮合ヘテロポリシロキサンのための合成手順に従って、下記の実施例Mによって製造した。比較例1-19によるモノマーのシランを同様に、ただし、水を添加せずに調製した。実施例1-23によるモノマーのシランを、事前縮合ヘテロポリシロキサンと同様に、金属顔料にそのまま添加し、事前縮合させなかった。
【0338】
【表1】
【0339】
実施例2
10=9μm、D50=17μm、D90=28μmのサイズ分布、およびペーストの合計重量に対して60重量%の固体含量を有するアルミニウム効果顔料ペースト(Metallux 2156,Eckart GmbH:アルミニウムグリットの摩砕によって製造されたアルミニウム顔料)4000gを室温で10分間にわたって、エタノール7500gに分散させた。この後、テトラエトキシシラン800gを添加し、撹拌しながら懸濁液を80℃に加熱し、水500g中のトリエチルアミン260gを添加した。6時間後に、水200gに溶解した下記の表に示す構成要素を添加し、混合物をさらに2時間にわたって撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、顔料を濾過によって単離した。
【0340】
【表2】
【0341】
実施例3
50=10μmのサイズ分布、およびペーストの合計重量に対して15重量%の固体含量を有するPVDアルミニウム効果顔料ペースト(Metalure A 31510,Eckart GmbH)250gを室温で10分間にわたって、エタノール600gに分散させた。この後、テトラエトキシシラン18gを添加し、撹拌しながら懸濁液を80℃に加熱し、水500g中のトリエチルアミン110gを添加した。6時間後に、水200gに溶解した下記の表に示す構成要素を添加し、混合物をさらに2時間にわたって撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、顔料を濾過によって単離した。
【0342】
【表3】
【0343】
実施例4
70%の固体含量を有するFerricon 200ペースト(Eckart GmbH、D50=18μm:カルボニル鉄グリットの摩砕によって製造された鉄顔料)286gをエタノール285gに分散させ、80℃に加熱した。この後、テトラエトキシシラン140g、ならびに水70gおよびトリエチルアミン100gから構成される混合物を添加した。6時間後に、施与可能であれば、表を参照して、さらに反応物質を添加し、混合物をさらに6時間にわたって撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、顔料を濾過によって単離した。
【0344】
【表4】
【0345】
施与例1:乾燥
乾燥動力学を決定するために、金属顔料ペーストを初めに秤量し、それらの乾燥経過中の重量の変化を観察した。Denver Instrument Inc.によって製造されたIR-35 Moisture Analyzerを使用して、測定を行った。30分後に、金属顔料ペースト中の不揮発性物質含量(NVC)の外挿重量を決定した。NVCについて修正された対応する測定値および重量損失率を表1において示す。
【0346】
【表5】
【0347】
したがって、本発明の被覆金属顔料は、かなり改善された乾燥動力学を示す。
【0348】
施与例2:凝集挙動
凝集挙動を決定するために、対応するペーストを乾燥させた。この後、アルミニウム粉末100gを、71μmのメッシュ幅を有する分析用ふるいに移した。この場合、例えば、ブラシを用いて、粉末をふるいに無理に通すことはしなかった。0.1gの精度を有する秤を使用して、ふるいの上に残った材料を決定する。
【0349】
【表6】
【0350】
したがって、本発明によるヘテロポリシロキサンの使用によって、PVD顔料の凝集傾向はかなり低下する。
【0351】
施与例3:紛体塗料の施与
得られたペーストを、僅かな不活性ガス流下、100℃で真空乾燥させ、次いで、71μmのメッシュ幅でふるいにかけた。ThermoMixをレベル4で使用して、4分間にわたって、個々の金属効果顔料を、Tiger塗料(Tiger Coatings GmbH & Co.KG)およびAeroxide Alu C(Evonik)0.2重量%と一緒に混和した。顔料着色レベルは、紛体塗料の合計重量に対して、5.0重量%であった。ミキサー中の紛体塗料の合計量は、300g+Aeroxide Alu C0.6gであった。
【0352】
ThermoMixは、市販のキッチン用ミキサー(Vorwerk)である。添加剤であるAeroxide Alu Cは、Al粒子から構成され、本出願において、流動調節剤として使用された。OptiSelect(ITWGema)を使用して、市販の紛体塗料ブース内で、紛体塗料を鋼シートに施与した。施与特性を評価するために、噴霧を20秒間にわたって、紛体塗料ブース内で、表1に列挙したパラメーターによって行い、塗装を実施し、電極およびバフル板への付着を比較評価した。この方法によって、実践的塗料中の顔料の長期挙動に関する結論を得ることが可能である。
【0353】
【表7】
【0354】
紛体塗料の施与において、酸化ケイ素層のみを有する比較例4-1の顔料は、鋼シートに付着せず、脱落することが見出された。
【0355】
施与例4:標準ガス発生試験
標準ガス発生試験のために、25重量%の固体含量を有する金属顔料ペースト15gを、5分間の撹拌時間で、ブチルグリコール13.0gに懸濁させた。無色のバインダー(ZK26-6826-402,BASF Coatings)14.4gおよび10%ジメチルエタノールアミン溶液(溶媒として水を含有)0.6gをこの懸濁液に添加し、混合物を5分間にわたって撹拌した。
【0356】
懸濁液23.45gを、効果材料試験用の乳白/無色の混合塗料(ZW42-6008-0101,BASF Coatings)233.1g、水系の塗料着色ペースト赤(ZU560-329-0001,BASF Coatings、酸化鉄レッド、Fe含有)37.5g、および水系の塗料着色ペースト黒(ZU42-5943-0001,BASF Coatings、酸化鉄ブラック、Fe FeO含有)6.0gの混合物中で撹拌した。次いで、10%ジメチルエタノールアミン溶液(溶媒として水を含有)で、懸濁液のpHを8.2に調節した。
【0357】
上記組成物265gをガス発生フラスコに入れ、そのフラスコを二室ガスバブルカウンターで密閉した。気体洗浄フラスコを、1時間にわたって、ウォーターバス中で40℃で調節し、気密に密閉し、試験を28日間以下にわたって実施した。生成したガス体積を、ガスバブルカウンターの上室に移動した水体積に基づき読み取った。28日後に、生成した水素が10ml以下であれば、試験に合格したと判断した。
【0358】
【表8】
【0359】
施与例5:強化ガス発生試験
強化ガス発生試験のために、55重量%の固体含量を有する金属顔料ペースト15gを、5分間の撹拌時間でブチルグリコール11.0gに懸濁させた。無色のバインダー(ZK26-6826-402,BASF Coatigs)14.4gおよび10%ジメチルエタノールアミン溶液(溶媒:水)0.6gをこの懸濁液に添加し、混合物を5分間にわたって撹拌した。
【0360】
懸濁液21.96gを、効果材料試験用の乳白/無色の混合塗料(ZW42-6008-0101,BASF Coatings)195.0g、水系の塗料着色ペースト赤(ZU560-329-0001,BASF Coatings、酸化鉄レッド、Fe含有)75.6g、および水系の塗料着色ペースト黒(ZU42-5943-0001,BASF Coatings、酸化鉄ブラック、Fe FeO含有)6.0gの混合物中で撹拌した。次いで、10%ジメチルエタノールアミン溶液(溶媒として水を含有)で、懸濁液のpHを9.0に調節した。
【0361】
上記組成物265gをガス発生フラスコに入れ、そのフラスコを二室ガスバブルカウンターで密閉した。気体洗浄フラスコを、1時間にわたって、ウォーターバス中で40℃で調節し、気密に密閉し、試験を最大30日間にわたって実施した。生成したガス体積を、ガスバブルカウンターの上室に移動した水体積に基づき読み取った。30日後に、生成した水素が最高10mlであれば、結果は合格と判断した。
【0362】
【表9】
【0363】
施与例6:不透明度
40週間の貯蔵の後に、金属顔料を、ニトロセルロース塗料に組み込んだ。次いで、その顔料着色塗料を、スパイラルアプリケーターを使用して試験カードに施与した。
【0364】
さらに、PVD顔料であるMetalure A 31510、実施例3-1およびCE3-2を、貯蔵することなく、乾燥粉末形態で試験した。試験カードを図2において示す。従来の被覆を実施したかどうかに関わらず、塗料の著しい凝集が生じて、不透明度はほぼ完全に失われたことが見出された。対照的に、本発明による被覆を有する顔料は、顕著な劣化を示さなかった。
【0365】
【表10】
【0366】
施与例7:フロップ指数
顔料試料を、市販の水系の塗料システムに組み込み(金属含量0.35重量%)、プライマー処理された鋼シートへの噴霧塗装によって、試験施与を生じさせた。層厚は6μmであった。ベースコートを市販の1Kクリア塗料で被覆し、次いで、焼き付けた。測定を、BYK Macデバイス(Byk-Gardner)で行った。
【0367】
フロップ指数は、次のとおり:
フロップ指数=2.69・(LE1-LE31.11/LE2 0.86
で、Almanによる該当する文献において定義されており、
ここで、LE1は、近正反射測定角(正反射角に対してE1=15°)の明度を示し、LE2は、近正反射角と遠正反射角との間の測定角(正反射角に対してE2=45°)の明度を示し、LE3は、遠正反射測定角(正反射角に対してE3=110°)の明度を示す。
【0368】
【表11】
【0369】
EN ISO 6270-1に基づき、結露試験を行った。DIN EN ISO 2813に基づき、光沢の測定を行った。フロップ指数の数値が高いほど、所望の明暗フロップはより強く現れる。
【0370】
施与例8:凝縮水試験
顔料試料を、市販の水系の塗料システムに組み込み(金属含量0.35重量%)、プライマー処理された鋼シートへの噴霧塗装によって、試験施与を生じさせた。層厚は6μmであった。ベースコートを市販の1Kクリア塗料で被覆し、次いで、焼き付けた。次いで、DIN 50 017(凝縮水、一定の気候)によって、施与物を試験した。DIN EN ISO 2409によるクロスカット法によって、試験終了直後に、非負荷試料と比較して付着強度を試験した。この場合、0は変化なしを意味し、5は非常に強い変化を意味する。最後に、DOI(写像性)を視覚的に評価した。これは、個々の基材などの因子によって影響を受け得、膨潤プロセスによる保水性に本質的に基づいて変化し得る。
【0371】
【表12】
【0372】
事前縮合ヘテロポリシロキサンを生成するための実施例A~M
実施例A~Gのための装置:温度制御可能な内部温度測定器を備えた2l容量の実験室用撹拌タンク反応器、液体投与デバイス、頭部温度測定器を備えた蒸留ブリッジ、生成物冷却器、蒸留物貯蔵タンク、実験室用圧力フィルター(2l容量)。
【0373】
実施例A:1:1のモル比でのアミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)およびメチルトリエトキシシラン(MTES)の水溶性同時加水分解物の生成
上記の装置内で、AMEO221gおよびMTES178gを混合し、水54gを添加した。30分後に、投与デバイスによって、撹拌しながら追加の水126gを15分以内に添加した。この時間の間に、温度が20℃から約50℃に上昇した。さらなる15分以内に、投与デバイスによって、撹拌しながらHCl(水中32重量%)114gを添加した。約4時間以内に、頭部温度が約50℃になり、かつ頭部生成物が水のみを含有するまで、エタノール/水混合物を約60℃の排出温度および約135mbarの圧力で留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0374】
実施例B:
実施例Aと同様であるが、ただし、pH調節のために、HCl水溶液の代わりに、酢酸60gを添加した。
【0375】
実施例C:1:1のモル比でのAMEOおよびプロピルトリメトキシシラン(PTMO)の水溶性同時加水分解物の生成
上記の装置内で、AMEO221gおよびPTMO164gを混合し、水54gを添加した。30分後に、投与デバイスによって、撹拌しながら追加の水126gを15分以内に添加した。この時間の間に、温度が20℃から約57℃に上昇した。さらなる15分以内に、投与デバイスによって、撹拌しながらHCl(水中32重量%)114gを添加した。約4時間以内に、頭部温度が約100℃になり、かつ頭部生成物が水のみを含有するまで、エタノール/メタノール/水混合物を102℃までの排出温度および標準圧力で留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0376】
実施例D:1:1のモル比でのAMEOおよびビニルトリメトキシシラン(VTMO)の水溶性同時加水分解物の生成
上記の装置内で、AMEO221gおよびVTMO164gを混合し、水54gを添加した。30分後に、投与デバイスによって、撹拌しながら追加の水126gを15分以内に添加した。この時間の間に、温度が20℃から約57℃に上昇した。さらなる15分以内に、投与デバイスによって、撹拌しながらHCl(水中32重量%)114gを添加した。約4時間以内に、頭部温度が約100℃になり、かつ頭部生成物が水のみを含有するまで、エタノール/メタノール/水混合物を102℃までの排出温度および標準圧力で留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0377】
実施例E:1:1のモル比でのAMEOおよびイソブチルトリメトキシシラン(IBTMO)の水溶性同時加水分解物の生成
上記の装置内で、AMEO221gおよびIBTMO178gを混合し、水54gを添加した。30分後に、投与デバイスによって、撹拌しながら追加の水64gを15分以内に添加した。この時間の間に、温度が20℃から約60℃に上昇した。さらなる15分以内に、投与デバイスによって、撹拌しながらHCl(水中33重量%)110gを添加した。約4時間以内に、頭部温度が約50℃になり、かつ頭部生成物が水のみを含有するまで、エタノール/メタノール/水混合物を52℃までの排出温度および130mbarの圧力で留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0378】
実施例F:1:1のモル比での3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(メチル-AMEO)およびMTESの水溶性同時加水分解物の生成
上記の装置内で、メチル-AMEO191gおよびMTES178gを混合し、水54gを添加した。30分後に、投与デバイスによって、撹拌しながら水64gおよびHCl(水中33重量%)110gの混合物を30分以内に添加した。この時間の間に、温度が20℃から約65℃に上昇した。約4時間以内に、頭部温度が約50℃になり、かつ頭部生成物が水のみを含有するまで、エタノール/水混合物を52℃までの排出温度および130mbarの圧力で留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0379】
実施例G:N-ベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN 1160)からの水溶性加水分解物の生成
上記の装置内で、DYNASYLAN 1160(メタノール中50重量%シラン溶液、Huels AG)400gを調製し、水25gを添加した。使用したシランが、メタノール中の50重量%シラン溶液の形態であったので、初めに蒸留によって、メタノール100gを除去した(排出温度60℃、300mbarの圧力、<1mbarに低下)。この後、40~45℃で、酢酸49.5gを、メタノール非含有粘稠性シランに添加した。15分以内に、投与受器を介して、水375gを、50℃の排出温度で添加した。3時間以内に、55℃の最大排出温度および300から130mbarに低下する圧力で、メタノール/水混合物250gを留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0380】
実施例H:ウレイドプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN 2201)およびアミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)からの水溶性加水分解物の生成
上記の装置内で、DYNASYLAN 2201(メタノール中50重量%ウレイドプロピルトリエトキシシラン溶液、Huels AG)400gおよびAMEO200gを初めに調製し、次いで、水50gを添加した。60℃の排出温度で、メタノール/エタノール混合物200gを、300mbarから<1mbarに低下する減圧下で留去した。10分以内に、投与受器を介して、水500gを、80℃に漸増する排出温度で添加した。頭部温度が100℃で一定になるまで、周囲圧力で、メタノール/エタノール/水混合物を留去した。蒸留中に、投与デバイスによって、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で生成物に添加した。
【0381】
事前縮合ヘテロポリシロキサンを生成するための実施例I~L
実施例I~Lのための装置:エステル化装置:温度制御可能(内部温度測定器)な0.5l実験室用撹拌反応器、液体投与デバイス、還流凝縮器(-40℃への下流フリーザーを備えた強力凝縮器)、窒素オーバーレイ、実験室用圧力フィルター、加水分解装置:温度制御可能な内部温度測定器を備えた2l容量の実験室用撹拌タンク反応器、液体投与デバイス、頭部温度測定器を備えた蒸留ブリッジ、生成物冷却器、蒸留物貯蔵タンク;実験室用圧力フィルター(2l容量)。
【0382】
実施例I:アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、プロピルトリクロロシラン(PTCS)、およびジメチルジクロロシラン(DMDCS)の水溶性同時加水分解物の生成:
上記のエステル化装置内で、DMDCS38.7gおよびPTCS53.3gを調製した。2時間以内に、撹拌しながらメタノール50.4gを添加した。排出温度は約60℃であった。次いで、還流を2時間にわたって行って、HClを除去した。エステル化反応を完了するために、粗エステル生成物が7~8のpHを有するまで、クロロシランをなお含有する粗生成物を、30重量%ナトリウムメチラート溶液(約39g)と混合した。濾過の後に、混合物を加水分解装置に供給し、約20分以内に、AMEO132.6g、水64.8g、およびギ酸29.5gと連続して混合した。反応は発熱性で、温度が約60℃に上昇し、溶液は約4~5のpHを有した。次いで、4時間以内に、55℃の排出温度および292mbarから130mbarに低下する圧力で、生成した加水分解アルコールを留去し、蒸留中に、水を、除去された蒸留物の量に等しい量(重量)で添加した(約350g)。次いで、生成物を、水713gで、使用のための最終濃度に希釈した。
【0383】
実施例K:アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、プロピルトリクロロシラン(PTCS)、イソブチルトリクロロシラン(IBTCS)、オクチルトリクロロシラン(OCTCS)、およびジメチルジクロロシラン(DMDCS)の水溶性同時加水分解物の生成
上記のエステル化装置内で、DMDCS38.7g、PTCS53.3g、IBTCS57.5g、およびOCTCS14.9gを調製した。2時間以内に、撹拌しながらメタノール86.7gを添加した。排出温度は約60℃であった。次いで、還流を2時間にわたって行って、HClを除去した。エステル化反応を完了するために、粗エステル生成物が7~8のpHを有するまで、クロロシランをなお含有する粗生成物を、30重量%ナトリウムメチラート溶液(約60g)と混合した。濾過の後に、混合物を加水分解装置に供給し、約20分以内に、AMEO132.6g、水84.2g、およびギ酸29.0gと連続して混合した。反応は発熱性で、温度が約60℃に上昇し、溶液は約4~5のpHを有した。次いで、4時間以内に、55℃の排出温度および292mbarから130mbarに低下する圧力で、生成した加水分解アルコールを留去し、蒸留中に、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で添加した(約350g)。次いで、生成物を、水1,032gで、使用のための最終濃度に希釈した。
【0384】
実施例L:アミノプロピルトリクロロシラン(AMEO)、プロピルトリクロロシラン(PTCS)、プロピルメチルジクロロシラン(PMDCS)、およびジメチルジクロロシラン(DMDCS)の水溶性同時加水分解物の生成
上記のエステル化装置内で、DMDCS38.7g、PTCS106.5g、およびPMDCS47.1gを調製した。2時間以内に、撹拌しながらメタノール101gを添加した。排出温度は約60℃であった。次いで、還流を2時間にわたって行って、HClを除去した。エステル化反応を完了するために、粗エステル生成物が7~8のpHを有するまで、クロロシランをなお含有する粗生成物を、30重量%ナトリウムメチラート溶液(約35g)と混合した。濾過の後に、混合物を加水分解装置に供給し、約20分以内に、AMEO265.2g、水130g、およびギ酸55gと連続して混合した。反応は発熱性で、温度が約60℃に上昇し、溶液は約4~5のpHを有した。次いで、4時間以内に、55℃の排出温度および292mbarから130mbarに低下する圧力で、生成した加水分解アルコールを留去し、蒸留中に、水を、除去された蒸留物の量に等しい量で添加した(約330g)。次いで、生成物を、水1,750gで、使用のための最終濃度に希釈した。
【0385】
実施例M:様々なシランの水溶性同時加水分解物の生成
上記の、ただし蒸留ブリッジを備えていない装置内で、次の表に列挙するシランを混合し、水54gを添加した。30分後に、投与デバイスによって、撹拌しながら追加の水126gを15分以内に添加した。この時間の間に、温度が20℃から約50℃に上昇した。さらなる15分以内に、投与デバイスによって、撹拌しながらHCl(水中32重量%)114gを添加した。4時間後に、反応を完了させ、得られた生成物を再使用した。
【0386】
【表13】
図1
図2