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特許7214629フィールド内の距離情報を収集する光学系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】フィールド内の距離情報を収集する光学系
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230123BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230123BHJP
   G02B 7/32 20210101ALI20230123BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230123BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20230123BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20230123BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20230123BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230123BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20230123BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230123BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B3/00 A
G02B7/32
G01C3/06 120Q
G01S17/89
H01L31/12 E
H01S5/022
H04N5/225 400
H04N5/225 300
H04N5/369
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019516177
(86)(22)【出願日】2017-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017039306
(87)【国際公開番号】W WO2018057084
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】15/276,532
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519064609
【氏名又は名称】アウスター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】パカラ アンガス
(72)【発明者】
【氏名】フリクトル マーク
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0176565(US,A1)
【文献】特表2012-530917(JP,A)
【文献】特開2007-103590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0115131(US,A1)
【文献】特開2004-247461(JP,A)
【文献】特開平10-311950(JP,A)
【文献】特開平07-181023(JP,A)
【文献】特開2012-202776(JP,A)
【文献】特開平09-257440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0037114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51,
G01S 17/00-17/95,
G01C 3/06,
G02B 3/00, 7/32,
H01L 31/12,
H01S 5/022,
H04N 5/225,5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離測定を行うための光学系であって、
複数のエミッタを含む照明源であって、前記複数のエミッタの各エミッタが、個別の照明ビームを前記光学の外部のフィールドに投影するように構成されている、前記照明源と、
焦点面を備えたバルク結像光学部品と、
複数のピクセルを有するピクセルアレイと、
前記焦点面と一致しかつ前記バルク結像光学部品と前記ピクセルアレイとの間に設けられたアパーチュア層とを含み、前記アパーチュア層は、停止領域によって隔てられた複数の別々のアパーチュアを有し、これら複数の別々のアパーチュアは、前記光学系の外部に位置するフィールド内のしきい距離を超えて複数の別々の非オーバーラップ状態の視界を定めており、
前記アパーチュア層と前記ピクセルアレイは、複数のセンスチャネルを形成するよう配列され、前記複数のセンスチャネルの各センスチャネルは、前記ピクセルアレイからのピクセル及び前記センスチャネルのための視界を定める前記複数のアパーチュアからの一アパーチュアを有し、前記複数のセンスチャネルの各ピクセルは、入射する光子のカウンタ及びレジスタを含むディジタル処理エレクトロニクスに電気的に結合されており、
前記光学系は、複数の個別の重なり合っていない視野内から、前記照明源からの前記個別の照明ビームの送信と、視野内の物体から反射された前記個別の照明ビームからの光子の検出との間の時間を表す距離データを収集するように構成されている、光学系。
【請求項2】
複数のレンズを含むレンズアレイを更に含み、前記複数のセンスチャネルの各センスチャネルは、前記複数のレンズからの一レンズを更に有する、請求項1記載の光学系。
【請求項3】
前記複数のセンスチャネルの各ピクセルの検出面積は、前記ピクセルがセンスチャネルを共有する前記アパーチュアの面積よりも大きい、請求項1又は2記載の光学系。
【請求項4】
前記複数のセンスチャネルの各ピクセルは、複数の単一光子アバランシェダイオード検波器(SPAD)から成る、請求項3記載の光学系。
【請求項5】
各SPADは、入射する光子のカウンタ及びレジスタを含むディジタル処理エレクトロニクスに電気的に結合されている、請求項4記載の光学系。
【請求項6】
各センスチャネル内に設けられていて、各チャネルからの光を前記チャネル内の前記複数のSPAD全体にわたって広げるよう構成されたディフューザを更に含む、請求項4又は5記載の光学系。
【請求項7】
前記アパーチュア層は、前記バルク結像光学部品の前記焦点面に沿って配置された薄い不透明な構造体から成る、請求項1記載の光学系。
【請求項8】
前記アパーチュア層の隣り合うアパーチュアは、各アパーチュアの直径よりも大きなアパーチュアピッチ距離だけ互いにオフセットしている、請求項1記載の光学系。
【請求項9】
前記複数のセンスチャネルの各ピクセルは、サンプリング期間内に前記ピクセルに入射した光子のカウントに対応した信号又は信号の流れを出力するよう構成されている、請求項1記載の光学系。
【請求項10】
各センスチャネル内で前記バルク結像光学部品と前記ピクセルアレイとの間に設けられた光フィルタを更に含み、前記光フィルタは、前記バルク結像光学部品を通過した光を受け取るとともに前記センスチャネル内のピクセルに狭いバンドの光の波長を送る一方で前記バンドの外にある光の波長を遮断するよう構成されている、請求項1~9のうちいずれか一に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系は、
バルク送信器光学部品を更に含み、
前記複数のエミッタの各エミッタは、その個別の照明ビームを前記バルク送信器光学部品に通して前記光学系の外部に位置する前記フィールド中に投射するよう構成され、
各センスチャネル内の前記光フィルタは、動作波長を含む光の波長のバンドを通す一方で、前記バンドの外にある光を遮断するよう構成され、前記複数のピクセルの各々は、前記複数のエミッタの対応関係にある各々から光を受け取るよう構成されている、請求項10記載の光学系。
【請求項12】
前記照明源は、複数のレーザから成る、請求項11記載の光学系。
【請求項13】
前記複数のレーザは、アレイをなして配列されるとともにサイズ及び幾何学的形状が前記光学系からの距離の範囲全体にわたって合致する照明パターンにしたがって前記光学系の前に位置するフィールド内に複数の別々の照明ビームを投射するよう構成されている、請求項12記載の光学系。
【請求項14】
前記複数のレーザは、モノリシック垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイである、請求項12記載の光学系。
【請求項15】
前記光学系は、アパーチュアのコラムに平行な軸線回りに回されると、前記光学系によって占められるボリュームの仮想三次元表示に再構成可能な三次元距離データを収集するイメージセンサとして機能するよう構成されている、請求項11~14のうちいずれか一に記載の光学系。
【請求項16】
距離測定を実施する光学系であって、前記光学系は、
バルク送信器光学部品を含み、
複数のレーザを有する照明源を含み、前記複数のレーザの各レーザは、個別の照明ビームを動作波長で前記バルク送信器光学部品に通して前記光学系の外部に位置するフィールド中に投射するよう構成され、
焦点面を備えたバルク結像光学部品を含み、
複数のレンズを含むレンズアレイを含み、
複数のピクセルを有するピクセルアレイを含み、前記複数のピクセルの各ピクセルは、入射する光子のカウンタ及びレジスタを含むディジタル処理エレクトロニクスに電気的に結合され、
前記焦点面と一致しかつ前記バルク結像光学部品と前記ピクセルアレイとの間に設けられたアパーチュア層を含み、前記アパーチュア層は、停止領域によって隔てられた複数の別々のアパーチュアを有し、これら複数の別々のアパーチュアは、前記光学系の外部に位置するフィールド内のしきい距離を超えて複数の別々の非オーバーラップ状態の視界を定めており、前記アパーチュア層、前記レンズアレイ及び前記ピクセルアレイは、複数のセンスチャネルを形成するよう配列され前記複数のセンスチャネルの各センスチャネルは、前記ピクセルアレイからのピクセル、前記複数のレンズからの一レンズ、及び前記センスチャネルのための視界を定める前記複数のアパーチュアからの一アパーチュアを有し、
前記光学系は、複数の個別の重なり合っていない視野内から、前記照明源からの前記個別の照明ビームの送信と、視野内の物体から反射された前記個別の照明ビームからの光子の検出との間の時間を表す距離データを収集することができる、光学系。
【請求項17】
前記複数のセンスチャネルの各ピクセルの検出面積は、前記ピクセルがセンスチャネルを共有する前記アパーチュアの面積よりも大きい、請求項16記載の光学系。
【請求項18】
前記ピクセルアレイの各ピクセルは、該ピクセルの検出領域全体にわたって分布して設けられた複数のSPADから成る、請求項17記載の光学系。
【請求項19】
前記複数のセンスチャネルの各チャネル内に設けられかつバルク受信光学部品と前記ピクセルのアレイとの間に設けられた光フィルタを更に含み、前記光フィルタは、前記バルク受信光学部品を通過した光を受け取るとともに狭いバンドの光の波長を通す一方で前記バンドの外にある光の波長を遮断するよう構成されている、請求項16~18のうちいずれか一に記載の光学系。
【請求項20】
前記複数のレーザの各レーザは、VCSELである、請求項19記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光センサの分野に関し、特に、光センサの分野における距離情報を収集する新規かつ有用な光学系に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の一観点によれば、微小光学受信器チャネルであって、
入力アパーチュア層と、
入力アパーチュア層に隣接して設けられた光学レンズ層と、
光学レンズ層に隣接して設けられた光フィルタ層と、
光フィルタ層に隣接して設けられたピクセル層と、を有することを特徴とする微小光学受信器チャネルが提供される。
【0003】
本発明の別の観点によれば、微小光学受信器チャネルであって、
停止領域によって包囲されたアパーチュアと、
アパーチュアに隣接して設けられた光学レンズと、
光学レンズに隣接して設けられた光フィルタと、
光フィルタに隣接して設けられたピクセルと、を有し、
アパーチュアは、広範な波長を有する光の入力コーンを受け入れ、光フィルタは、中心が動作波長にある波長の狭いバンド以外の全てを濾波・除去し、ピクセルは、波長の狭いバンド内の光子を検出するよう構成されていることを特徴とする微小光学受信器チャネルが提供される。
【0004】
本発明の更に別の観点によれば、イメージセンサであって、
複数の微小光学受信器チャネルを有し、各微小光学受信器チャネルは、
アパーチュアと、
アパーチュアに隣接して設けられた光学レンズと、
光学レンズに隣接して設けられた光フィルタと、
光フィルタに隣接して設けられたピクセルと、を有することを特徴とするイメージセンサが提供される。
【0005】
本発明の更に別の観点によれば、方法であって、
微小光学受信器チャネルを用意するステップを含み、微小光学受信器チャネルは、
停止領域によって包囲されたアパーチュアと、
アパーチュアに隣接して設けられた光学レンズと、
光学レンズに隣接して設けられた光フィルタと、
光フィルタに隣接して設けられたピクセルと、を有し、
アパーチュアは、広範な波長を有する光の入力コーンを受け入れ、光フィルタは、中心が動作波長にある波長の狭いバンド以外の全てを濾波・除去し、ピクセルは、波長の狭いバンド内の光子を検出するよう構成されていることを特徴とする方法が提供される。
【0006】
本発明の更に別の観点によれば、方法であって、
微小光学受信器チャネルを用いるステップを含み、微小光学受信器チャネルは、
停止領域によって包囲されたアパーチュアと、
アパーチュアに隣接して設けられた光学レンズと、
光学レンズに隣接して設けられた光フィルタと、
光フィルタに隣接して設けられたピクセルと、を有し、
アパーチュアは、広範な波長を有する光の入力コーンを受け入れ、光フィルタは、中心が動作波長にある波長の狭いバンド以外の全てを濾波・除去し、ピクセルは、波長の狭いバンド内の光子を検出するよう構成されていることを特徴とする方法が提供される。
【0007】
本発明の更に別の観点によれば、光子を受け取って光子を検出する光学チャネルであって、
バルク結像光学部品を有し、
バルク光学部品の結像面のところに配置されたアパーチュア層を有し、
アパーチュア層の後ろに設けられた視準レンズ層を有し、視準レンズ層は、視準レンズ層の焦点距離だけアパーチュア層から隔てられ、
視準レンズ層の後ろに設けられた光フィルタを有し、
視準レンズ層と反対側で光フィルタからオフセットして設けられたピクセルを有し、ピクセルは、ピクセルに入射した光子に応答することを特徴とする光学チャネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】光学系の略図である。
図2】光学系の一形態による略図である。
図3】光学系の一形態による略図である。
図4】光学系の一形態による略図である。
図5】光学系の一形態による略図である。
図6】光学系の一形態による略図である。
図7】光学系の一形態による略図である。
図8】光学系の一形態による略図である。
図9】光学系の一形態による略図である。
図10】光学系の一形態による略図である。
図11】光学系の一形態による略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態についての以下の説明は、本発明をこれら実施形態に限定するものではなく、これとは異なり、当業者が本発明を構成して使用することができるようにするためのものである。本明細書において説明する形態、構成、具体例、例示の具体化例、及び実施例は、オプションでありかつこれらが説明する形態、構成、具体例、例示の具体化例、及び実施例に限定されるものではない。本明細書において説明する発明は、これら形態、構成、具体例、例示の具体化例、及び実施例の任意のかつ全ての組み合わせも含む場合がある。
【0010】
1.一次元光学系:アパーチュアアレイ
図1に示されているように、フィールド内の位置情報を収集する一次元光学系100が第1の軸線に沿って配置された1組の照明源110を含み、1組の照明源110の各照明源は、動作波長の照明ビームを照明源の前に位置するフィールド中の個別のスポットの方へ出力するよう構成され、一次元光学系は、フィールドと反対側に位置する焦点面によって特徴付けられるバルク結像光学部品130と、焦点面と一致していて第1の軸線に平行なラインアレイをなした1組のアパーチュア144を定めるとともに1組のアパーチュア144の周りに停止領域146を定めるアパーチュア層140と、を含み、1組のアパーチュア144の各アパーチュアは、1組の照明源110の対応の照明源によって出力される個別のスポットに一致したフィールド中の視界を定め、停止領域146は、1組のアパーチュア144によって定められた視界の外のフィールド中の表面から反射されてバルク結像光学部品130を通過した光線を吸収し、一次元光学系は、1組のレンズ150を含み、1組のレンズ150の各組は、第2の焦点距離によって特徴付けられ、第2の焦点距離だけバルク結像光学部品と反対側の焦点面からオフセットし、1組のアパーチュア144の中の一アパーチュアと整列しかつこのアパーチュアを通過した光線を視準するよう構成され、一次元光学系は、アパーチュア層140と反対側で1組のレンズ150に隣接して設けられかつ光線を動作波長で通過させるよう構成された光フィルタと、1組のレンズ150と反対側で光フィルタ160に隣接して設けられた1組のピクセル170と、を含み、1組のピクセル170の各ピクセルは、1組のレンズ150の一レンズに対応するとともに第1の軸線と平行ではない第2の軸線に沿って配置された1組のサブピクセルを含み、一次元光学系は、光フィルタ160と1組のピクセル170との間に介在して設けられかつ1組のレンズ150中の各レンズから出力された視準光を1組のピクセル170中の対応のピクセルの1組のサブピクセル全体にわたって広げるよう構成されたディフューザ180を含む。
【0011】
1.1 利用分野
一般に、一次元光学系100(「システム」)は、アパーチュアのコラムに平行な軸線回りに回されると、光学系によって占められたボリュームの三次元距離データを収集するイメージセンサとして機能する。具体的に説明すると、一次元光学系100は、ボリュームを走査して三次元距離データを収集することができ、かかる三次元距離データを次に、例えば照明源からの照明ビームの送信と1組のピクセル170に入射した光子(おそらく照明源に元を発している)の検出との間の記録時間に基づいて、位相を利用した測定技術に基づいて、又は任意他の適当な距離測定技術に基づいてボリュームの仮想三次元表示に再構成することができる。光学系100は、バルク結像光学部品130の後ろに配置されかつバルク結像光学部品130の前に位置するフィールド中に別個の視界(すなわち、光学系からのしきい距離を超える互いにオーバーラップしていない視界)を定めるコラム状(柱状)のオフセットアパーチュア、別々の照明ビームを動作波長でアパーチュアによって定められた視界中に(実質的にかかる視界中にのみ)投射する1組の照明源110、対応のアパーチュアを通過した光線を視準するコラム状のレンズ、動作波長を含む光(すなわち、電磁線)の波長の狭いバンドを選択的に通す光フィルタ160、及び入射光子を検出する(例えば、入射光子を計数する、連続して位置する入射光子相互間の時間を追跡する)1組のピクセル170を含む。したがって、この光学系は、光学系からの距離範囲全体にわたるサイズ及び幾何学的形状に関してアパーチュアの視界に実質的に合致した照明パターンに従って照明ビームを光学系の前のフィールド中に選択的に投射することができる。特に、照明源は、光学系の前に位置するフィールド中の表面だけを実質的に照明するよう構成され、これら表面は、光学系内のピクセルによって検出でき、その結果、光学系によって出力され(照明源を経て)、ピクセルがブラインド(blind )であるフィールド中の表面を照明することによって無駄になるパワーが最小限に抑えられる。したがって、光学系は、出力信号(すなわち、照明ビームパワー)と入力信号(すなわち、ピクセルアレイへの入射部に至らされる光子)の比較的高い割合を達成することができる。さらに、1組のレンズ150は、隣り合うアパーチュアを通過した光線を視準することができ、その結果、光フィルタ160に入射した光線は、約0°の入射角で光フィルタ160に出合い、それにより光フィルタ160を通過した光の波長の比較的狭いバンドを維持するとともに1組のピクセル170に達した光線について比較的高い信号対雑音比(“SNR”)を達成する。
【0012】
この光学系は、コラム状に配置されかつアパーチュアと整列したピクセルを含み、各ピクセルは、固定されたアパーチュアピッチ及びピクセルコラム高さについて光学系の検出領域を拡張するよう幾何学的形状が非正方形であるのが良い(例えば、短くかつ幅が広い)。この光学系は、アパーチュアから光フィルタ160を通ってきた光線を対応のピクセルの領域全体にわたって広げてピクセルがその幅全体及びその高さ全体にわたって入射光子を検出することができ、それにより光学系のダイナミックレンジを増大させるようにするディフューザ180を更に含む。
【0013】
この光学系は、本明細書においては、電磁線をフィールド中に投影するとともにフィールド中の表面から反射されてバルク受信器光学部品に戻される電磁線を検出するものとして説明される。本明細書に記載されている「照明ビーム」、「光」、「光線」、及び「光子」という用語は、かかる電磁線を意味している。本明細書において記載されている「チャネル」という用語は、アパーチュア層140の一アパーチュア、1組のレンズ150中の対応のレンズ、及び1組のピクセル170中の対応のピクセルを意味している。
【0014】
1.2 バルク結像光学部品
この光学系は、フィールドと反対側の焦点面によって特徴付けられるバルク結像光学部品130を含む。一般に、バルク結像光学部品130は、系の外部からの入射光線を焦点面に向かって投射するよう機能し、この焦点面において、アパーチュア層140の停止領域146に入射した光線が拒絶され(例えば、反射され又は吸収され)、アパーチュア層140のアパーチュアに入射した光線は、焦点距離によって特徴付けられるとともに焦点距離だけ焦点面からオフセットしたレンズ中に通される。
【0015】
一具体化例では、バルク結像光学部品130は、光学系を動作波長で特定の焦点距離によって特徴付けられる収束レンズ、例えば両凸レンズ(図2に示されている)又は平凸レンズを含む。バルク結像光学部品130は、互いに協働して光線をアパーチュア層140の方へ投射しかつ図11に示されているようにフィールドと反対側で複合焦点面によって特徴付けられる多数の別々のレンズを更に含むのが良い。しかしながら、バルク結合光学部品130は、任意他の適当な形式のレンズであっても良くあるいは任意他の形式又は幾何学的形状のレンズの組み合わせであっても良い。
【0016】
1.3 アパーチュア層
図1及び図2に示されているように、光学系は、照明源の軸線に平行なラインアレイをなして1組のアパーチュア144を定めかつ1組のアパーチュア144の周りに停止領域146を定める焦点面と一致したアパーチュア層140を含み、1組のアパーチュア144の各アパーチュアは、1組の照明源110中の対応の照明源によって出力された個別のスポットに一致するフィールド中の視界を定め、停止領域146は、1組のアパーチュア144によって定められた視界の外に位置するフィールド中の表面から反射されてバルク結像光学部品130を通過する光線を吸収するとともに/あるいは反射する。一般に、アパーチュア層140は、開放領域(すなわち、レンズ1個当たり1つのアパーチュアを含むアパーチュア)及び隣り合う開放領域相互間に位置する閉鎖領域(「停止領域」)のアレイを備える。アパーチュア層140中の各アパーチュアは、その対応したセンスチャネルについて視界を定めるとともにその視界内の外面から反射された光線をその対応のレンズ中に通す「ピンホール」を定め、各停止領域146は、焦点面の選択された領域に入射した光線が図6に示されているようにレンズアレイ中に入るのを阻止することができる。
【0017】
アパーチュア層140は、図1及び図2に示されているように、バルク結像光学部品130の焦点面と一致した(例えば、この焦点面に沿って配置された)比較的薄い不透明な構造体を含む。例えば、アパーチュア層140は、光硬化可能な透明なポリマー上に蒸着された(例えば、メッキされた)、次にアパーチュアのアレイを形成するよう選択的にエッチングされた10マイクロメートル厚さの銅、銀、又はニッケル膜を含むのが良い。同様な実施形態では、反射金属化層又は光吸収フォトポリマー(例えば、光吸収性染料と混合されたフォトポリマー)をガラスウェーハ上に蒸着し、そして選択的にフォトマスクで硬化させると、アパーチュア層140及び1組のアパーチュア144を形成することができる。変形例として、アパーチュア層140は、アパーチュアのアレイを形成するよう機械的に又は化学的に穿孔され、レンズアレイに結合され、次に焦点面に沿ってバルク結像光学部品130を覆って被着された別個の金属膜を有しても良い。しかしながら、アパーチュア層140は、バルク結像光学部品130の焦点面に沿ってアパーチュアのアレイを構成するよう任意の別の仕方で形成された任意の他の反射(例えば、鏡面仕上げされた)又は光吸収性材料を含むことができる。
【0018】
一次元光学系100では、アパーチュア層140は、実質的に一様な直径の多数の別々の円形アパーチュアから成る単一のコラムを備えるのが良く、各アパーチュアは、図3に示されているように、レンズアレイ中の一レンズに実質的に平行でありかつこれと整列した軸線を定める。隣り合うアパーチュアは、アパーチュア直径よりも大きくかつレンズピッチ距離と実質的にほぼ同じであるアパーチュアピッチ距離だけオフセットして設けられ、アパーチュア層140は、隣り合うアパーチュア相互間に位置する停止領域146(すなわち、不透明な又は反射領域)を備え、その結果、アパーチュアは、これらの対応のセンスチャネルについて別々の非オーバーラップ状態にある視界を定めるようになっている。回折限界直径(これは、入射光の波長及びバルク結像レンズの開口数の関数である)まで次第に減少する直径では、アパーチュアは、幅の狭い視界(すなわち、直径の小さな視界)を定め、そしてバルク結像光学部品130からのシャープであるが強度の低い(減衰した)信号をその対応のレンズ中に通す。したがって、アパーチュア層140は、照明源によって出力される光の波長(例えば、900nm)について回折限界直径よりも大きく、アパーチュア層140の厚さよりも実質的に大きく、しかもレンズピッチ距離及びピクセルピッチ距離と実質的に等価であるアパーチュアピッチ距離よりも小さい直径のアパーチュアを備えることができる。一実施例では、アパーチュア層140は、各センスチャネルの視界の幾何学的選択性を最大にするよう回折限界直径に近づく直径のアパーチュアを備えるのが良い。変形例として、アパーチュアは、照明源によって出力される光の波長に関する回折限界直径よりも小さい直径のものであって良い。一実施例では、アパーチュア層140は、各サンプリング期間内に各ピクセルに入射する標的個数の光子を達成するために光学系中の照明源のパワー出力ならびに1組のピクセル170中の各ピクセルのサブピクセル光検出器の数及び光子検出能力に見合った直径のアパーチュアを備えるのが良い。この実施例では、各アパーチュアは、サンプリング期間中にバルク結像光学部品130に入射する対応の照明源に由来するピクセルのための標的減衰範囲を達成する特定の直径を定めるのが良い。特に、アパーチュア層140の一アパーチュアがその対応のレンズにかつその対応のピクセルに通された信号を減衰させるので、アパーチュアの直径をその対応のピクセルのダイナミックレンジに合致させるのが良い。
【0019】
一具体化例では、アパーチュア層140の第1のアパーチュア141は、光線―バルク結像光学部品130の前に位置するフィールド(センスチャネルの視界)中の表面の個別の領域から反射された―をその対応のレンズ中に通し、第1のアパーチュア141とアパーチュア層140中の隣り合うアパーチュアとの間に介在して設けられた停止領域146は、光線―第1のアパーチュア141の視界の外に位置する表面の領域から反射された―が第1のアパーチュア141に対応したレンズ中に入るのを阻止する。したがって、一次元光学系100では、アパーチュア層140は、図2に示されているように、フィールドの実質的に無限深さの多数の別々のオーバーラップしていない視界を定めるアパーチュアのコラムを備える。
【0020】
この具体化例では、アパーチュア層140中の第1のアパーチュア141は、別個であってかつ図2に示されているように、アパーチュア層140中の別のアパーチュアによって定められた視界と交差しない視界を定める。1組の照明源110は、第1のアパーチュア141と対をなしかつバルク結像光学部品130の前に位置するフィールド中の第1のアパーチュア141の視界と実質的に整列した(すなわち、オーバーラップした)照明ビームを投射するよう構成された第1の照明源111を有する。さらに、第1の照明源111とバルク送信光学部品120は、互いに協働してバルク結像光学部品130からの種々の距離として第1のアパーチュア141の視界の断面と実質的にほぼ同じ(かつこれよりも僅かに大きい)断面の照明ビームを投射することができる。したがって、第1の照明源111―第1のアパーチュア141と対にされている―によって出力され、そして第1のアパーチュア141の視界中に投射された光は、アパーチュア層140中の他のアパーチュアの視界の実質的に外に位置したままでいることができる。
【0021】
一般に、第1の照明源111によってフィールド中に投射された光子は、第1のセンスチャネルの視界内のフィールド中の一表面(又は多数の表面)の特定の領域を照明し、そしてかかる表面によって反射され(例えば、散乱され)、一表面の特定の領域によって反射されたこれら光子のうちの少なくとも何割かは、バルク結像光学部品130に達する場合があり、このバルク結像光学部品は、これら光子を焦点面の方へ差し向ける。これら光子は、第1のアパーチュア141の視界内の一表面の一領域によって反射されたので、バルク結像光学部品130は、これら光子を第1のアパーチュア141中に投射することができ、そして第1のアパーチュア141は、これら光子を第1のレンズ151中に通すことができる(又は、これら光子のサブセットは、しきい角度以下の第1のアパーチュア141の軸線に対する角度を有して入射する)。しかしながら、アパーチュア層140中の第2のアパーチュア142は、第1のアパーチュア141からオフセットしているのでかつ第1の照明源111を経て照明されたフィールド中の表面の特定の領域は、第2のアパーチュア142の視界と一致していない(実質的に一致していない)ので、この表面の特定の領域によって反射されてバルク結像光学部品130に達する光子は、第2のアパーチュア142中に投射されて第2のアパーチュア142の後ろに位置する第2のレンズ152に送られ、また、図2に示されているようにその逆の関係が成り立つ。さらに、第1のアパーチュア141と第2のアパーチュア142との間に位置する停止領域146は、バルク結像光学部品130によって反射されて第1のアパーチュア141と第2のアパーチュア142との間の焦点面の方へ差し向けられた光子を遮断することができ、それにより第1のセンスチャネルと第2のセンスチャネルとのクロストークが減少する。
【0022】
1組の照明源110中の第1の照明源111と対をなしたアパーチュア層140中の第1のアパーチュア141に関し、アパーチュア層140中の第1のアパーチュア141は、第1の視界を定め、そしてこの第1の視界と一致したフィールド中の一表面に源を発し又はこれから反射された入射光線を第1のレンズ151中に通す。第1の照明源111は、第1のアパーチュア141によって定められた視界(図4に示されている)と実質的に一致している(そして、かかる視界と実質的に同一のサイズ又はこれよりも大きいが最小限度である)照明ビームを投射するので、アパーチュア層140中の第1のアパーチュア141によって第1のレンズ151中に送られる信号は、第1の照明源111に由来する光線と光学系中の他の照明源に由来する光線の比が比較的高いことを示すことができる。一般に、光学系中の種々の照明源は、動作中、特定の時刻において互いに異なる周波数、デューティサイクル、及び/又はパワーレベルなどで照明ビームを出力することができるので、バルク結像光学部品130から1組のピクセル170中の第1のピクセル171中に送られるが、第1のピクセル171と対をなす第1の照明源111以外の照明源に由来する光線は、第1のピクセル171のところでノイズとなる。アパーチュア層140中のアパーチュアの比較的小さな直径は、バルク結像光学部品130から1組のレンズ150中に送られた全光信号を減衰させることができるが、アパーチュア層140中の各アパーチュアは、光学系中の他の照明源ではなくその対応した照明源に由来する比較的高い割合の光子を通すことができ、すなわち、特定のアパーチュアの幾何学的形状及びその対応の照明源に起因して、特定のアパーチュアは、比較的高いSNRを示す信号をその対応のレンズ中に送り、かくしてその対応のピクセル中に送ることができる。さらに、アパーチュア層140中の小さなアパーチュア直径―したがって、対応のチャネルの小さな視界―では、光学系は、太陽光線又は他の周囲光源から1組のピクセル170に送るノイズを少なくすることができる。
【0023】
一形態では、光学系は、レンズアレイと光フィルタ160との間に介在して設けられた第2のアパーチュア層を含み、この第2のアパーチュア層は、第2の組をなすアパーチュア144を備え、各アパーチュアは、上述したように1組のレンズ150中の対応のレンズと整列する。この形態では、第2のアパーチュア層140中の一アパーチュアは、上述したように対応のレンズを通過した逸脱した光線を吸収し又は反射してチャネル相互間のクロストークを一段と減少させることができ、それにより光学系内のSNRが向上する。同様に、光学系は、追加的に又は代替的に、光フィルタ160ディフューザ180との間に介在して設けられた第3のアパーチュア層を含むのが良く、この場合、第3のアパーチュア層は、第3の組をなすアパーチュア144を備え、各アパーチュアは、上述したように1組のレンズ150中の対応のレンズと整列する。この形態では、第3のアパーチュア層の一アパーチュアは、上述したように光フィルタを通過した逸脱光線を吸収し又は反射してこの場合もまた、チャネル相互間のクロストークを減少させることができ、それにより光学系内のSNRが向上する。
【0024】
1.4 レンズアレイ
光学系は、1組のレンズ150を含み、1組のレンズ150の各レンズは、第2の焦点距離によって特徴付けられ、第2の焦点距離だけバルク結像光学部品130と反対側の焦点面からオフセットし、1組のアパーチュア144の対応のアパーチュアと整列し、そして対応のアパーチュアを通過した光線を視準するよう構成されている。一般に、1組のレンズ150のうちの一レンズは、その対応のアパーチュアを通過したレンズアレイを視準し、そしてこれら視準した光線を光フィルタ160中に通すよう機能する。
【0025】
一次元光学系100では、レンズは、単一のコラムをなして配列され、隣り合うレンズは、図3に示されているように、一様なレンズピッチ距離(すなわち、隣り合うピクセル相互間の中心間距離)だけオフセットしている。1組のレンズ150は、アパーチュア層と光フィルタ160との間に介在して設けられている。特に、各レンズは、第2の焦点距離によって特徴付けられた収束レンズを含むのが良く、各レンズは、バルク結像光学部品130のアパーチュアを保持するとともにバルク結像光学部品130に入射しかつ対応のアパーチュアを通過した光を視準するよう第2の焦点距離だけバルク結像光学部品130の焦点面―バルク結像光学部品130と反対側で―からオフセットしているのが良い。1組のレンズの各レンズは、比較的短い焦点距離(すなわち、バルク結像光学部品130の焦点距離よりも小さい)及び比較的大きな周辺光線角度(例えば、比較的高い開口数レンズ)によって特徴付けられるのが良く、その結果、レンズは、バルク結像光学部品130の広がりによってレンズの方へ投射された大きな角度をなす光線を捕捉することができるようになっている。すなわち、1組のレンズの各レンズは、バルク結像光学部品130の光線コーンに実質的に合致した光線コーンによって特徴付け可能である。
【0026】
1組のレンズ150のレンズは、実質的に互いにほぼ同じであるのが良い。1組のレンズ150のうちの一レンズは、バルク結像光学部品130によってその対応のアパーチュア中に収束される光線を視準するよう構成されている。例えば、1組のレンズ150のうちの一レンズは、その対応のアパーチュアのサイズ(例えば、直径)及び光学系の動作波長に基づいて選択された焦点距離によって特徴付けられる両凸レンズ又は平凸レンズを含むのが良い。この実施例では、1組のレンズ150のうちの一レンズの焦点距離(f)は、次の公式によって計算できる。
上式において、dは、アパーチュア層中の対応のアパーチュアの直径であり、λは、照明源によって出力される光の動作波長(例えば、900nm)である。したがって、1組のレンズ150のうちの一レンズの幾何学的形状は、アパーチュア層中の対応のアパーチュアの幾何学的形状に合致されるのが良く、その結果、レンズは、光線の実質的にシャープな像―動作波長のところ又はその近傍では―を光フィルタ160中に、かくしてピクセルアレイ上に送るようになっている。
【0027】
しかしながら、1組のレンズ150は、任意他の幾何学的形状のレンズを含むとともにアパーチュア層に隣接して任意他の仕方で配置されても良い。
【0028】
1.5 光フィルタ
図3に示されているように、光学系は、アパーチュア層と反対側で1組のレンズ150に隣接して設けられていて、光線を動作波長で通すよう構成された光フィルタ160を含む。一般に、光フィルタ160は、1組のレンズ150からスペクトル全体にわたって電磁線を受け取り、動作波長の放射線を含む電磁線の比較的幅の狭いバンドをピクセルアレイに送り、そしてこのバンドの外にある電磁線を遮断する。特に、照明源によって出力されて1組のピクセル170中の一ピクセルに入射する電磁線以外の電磁線―例えば周囲光―は、光学系中のノイズとなる。したがって、光フィルタ160は、動作波長の外にありあるいはより実用的に言えば、幅の狭い波長バンドの外にある電磁線を拒絶するよう機能し、それにより光学系中のノイズが減少するとともにSNRが増大する。
【0029】
一具体化例では、光フィルタ160は、中心が実質的に光学系の動作波長にある電磁線の幅の狭いバンドを通す光学バンドパスフィルタを含む。一実施例では、照明源は、光を(主として)900nmの動作波長で出力し、光フィルタ160は、899.95nm~900.05nmの光を通し、このバンドの外にある光を遮断するよう構成されている。
【0030】
光フィルタ160は、光フィルタ160への入射角の関数として光の波長を選択的に通したり拒絶したりすることができる。一般に、光学バンドパスフィルタは、光学バンドパスフィルタへのこれらの入射角と反比例した光の波長を通すことができる。例えば、光フィルタ160が0.5nm幅の光学バンドパスフィルタを含む場合、光フィルタ160は、899.75nmから900.25nmまでのシャープなバンドにわたって95%を超える電磁線を通すことができ、そして約0°の入射角で光フィルタ160に入射する光線の場合、899.70nm未満かつ900.30nmを超える電磁線を約100%拒絶することができる。しかしながら、この実施例では、光フィルタ160は、899.75nmから900.25nmまでの幅の狭いバンドにわたって95%を超える電磁線を通すとともに約15°の入射角で光フィルタ160に入射する光線の場合、899.50nm未満かつ900.30nmを超える幅の広いバンドにわたって電磁線を約100%拒絶することができる。したがって、光フィルタ160の入射面は、レンズの軸線に実質的に垂直であるのが良く、1組のレンズ150は、対応のアパーチュアを通って受け取った光線を視準するとともにこれら光線を光フィルタ160の入射面に実質的に垂直に(すなわち、光フィルタに対して約0°の入射角で)出力することができる。具体的に言えば、1組のレンズ150は、光線を0°に近い入射角で光フィルタ160に向かって出力することができ、その結果、光フィルタ160を通過した実質的に全ての電磁線は、光学系の動作波長の状態にあり又はこれに極めて近い状態にある。
【0031】
一次元光学系100では、この光学系は、1組のレンズ150の中のレンズのコラムにまたがる単一の光フィルタ160を含むのが良い。変形例として、光学系は、多数の光フィルタ160を含んでも良く、各光フィルタは、1組のレンズ150のうちの単一のレンズ又はレンズのサブセットに隣接して位置する。しかしながら、光フィルタ160は、任意他の幾何学的形状を備えることができ、しかも光の波長の限定されたバンドだけを通すよう任意他の仕方で機能することができる。
【0032】
1.6 ピクセルアレイ及びディフューザ
光学系は、1組のレンズ150と反対側で光フィルタ160に隣接して設けられた1組のピクセル170を含み、1組のピクセル170の各ピクセルは、1組のレンズ150のうちの一レンズに対応しかつ第1の軸線とは平行ではない第2の軸線に沿って配置された1組のサブピクセルを含む。一般に、1組のピクセル170は、1組のレンズ150と反対側で光フィルタ160からオフセットしており、1組のピクセル170の各ピクセルは、1つ又は2つ以上のサンプリング期間内でピクセルに入射する光子のカウントに対応した単一の信号又は信号の流れを出力するよう機能し、各サンプリング期間は、持続時間がピコ秒、ナノ秒、マイクロ秒、又はミリ秒であるのが良い。
【0033】
光学系は、光フィルタ160と1組のピクセル170との間に介在して設けられかつ1組のレンズ150の各レンズから出力された視準光を1組のピクセル170の単一の対応のピクセルの1組のサブピクセル全体にわたって広げるよう構成されたディフューザ180を更に含む。一般に、1組のレンズ150の各レンズに関し、ディフューザ180は、光線―レンズによって先に視準されるとともに光フィルタ160を通過した―を対応のピクセル内の検出領域の幅及び高さ全体にわたって広げるよう機能する。ディフューザ180は、1組のレンズ150にまたがる単一の光学素子を構成することができ、又はディフューザ180は、例えば光学系中の各チャネルと整列した1つの光学ディフューザ素子を含む多数の別々の光学素子を含むのが良い。
【0034】
一具体化例では、1組のピクセル170のうちの第1のピクセル171は、単一光子アバランシェダイオード検波器(以下、“SPAD”という)のアレイを含み、ディフューザ180は、光線―対応の第1のアパーチュア141を先に通過し、対応の第1のレンズ151によって視準され、そして光フィルタ160を通過した―を図3図5、及び図6に示されているように、第1のピクセル171の領域全体にわたって広げる。一般に、隣り合うアパーチュアは、互いに整列するとともにアパーチュアピッチ距離だけ垂直にオフセットしていても良く、隣り合うレンズは、互いに整列するとともにアパーチュアピッチ距離に実質的に等しいレンズピッチ距離だけ垂直にオフセットしていても良く、そして隣り合うピクセルは、互いに整列するとともにレンズ及びアパーチュアピッチ距離に実質的に等しいピクセルピッチ距離だけ垂直にオフセットしていても良い。しかしながら、ピクセルピッチ距離は、比較的少数の(例えば、2つの)垂直に積み重ねられたSPADだけに対応するのが良い。したがって、1組のピクセル170の各ピクセルは、1:1を超えるアスペクト比を備えるのが良く、ディフューザ180は、ピクセル1個当たり広い検出領域に対応するために対応のピクセルの幾何学的形状に従って光フィルタ160を通過した光線を広げるのが良い。
【0035】
一実施例では、1組のピクセル170の各ピクセルは、イメージセンサ上に配置され、1組のピクセル170のうちの第1のピクセル171は、アパーチュアのコラムとレンズを2等分する垂直軸線に垂直な横方向軸線に沿って互いに間隔を置いて配置された16個のSPADから成る単一の列を含む。この実施例では、第1のピクセル171中の単一のSPADの高さは、第1のレンズ151の高さ(例えば、直径)よりも小さいのが良いが、16個のSPADの全長は、第1のレンズ151の幅(例えば、直径)よりも大きいのが良く、したがって、ディフューザ180は、第1のレンズ151から出力された光線を第1のピクセル171の平面のところでSPADの高さに対応した高さに収束させるとともに第1のレンズ151から出力された光線を第1のピクセル171の平面のところで16個のSPADの幅に対応した幅に発散させることができる。この実施例では、1組のピクセル170のうちの残りのピクセルは、同様な列をなすSPADを含むのが良く、ディフューザ180は、対応のアパーチュアによって通過して対応のピクセルに当たる光線を同様に収束させるとともに発散させることができる。
【0036】
上記実施例では、アパーチュア層は、16個の同一のアパーチュアから成るコラムを含むのが良く、1組のレンズ150は、アパーチュア層の後ろに配置された16個の同一のレンズから成るコラムを含むのが良く、1組のピクセル170は、1組のレンズ150の後ろに配置された16個の同一のピクセル(各ピクセルは、SPADの同様なアレイを含む)の組を有するのが良い。幅6.4mm、高さ6.4mmのイメージセンサの場合、各ピクセルは、16個のSPADから成る単一の列を含むのが良く、各SPADは、遠隔アナログフロントエンド処理エレクトロニクス/ディジタル処理エレクトロニクス回路240に電気的に結合される。各SPADは、幅400μm幅、高さ400μmのSPAD領域内に配列されるのが良く、各SPADは、直径が約400μmに近い能動検出領域を定めるのが良い。隣り合うSPADは、400μmのSPADピッチ距離だけオフセットしているのが良い。この実施例では、したがって、アパーチュアの垂直コラムに沿うアパーチュアピッチ距離、レンズの垂直コラムに沿うレンズピッチ距離、及びピクセルの垂直コラムに沿うピクセルピッチ距離は各々、約400μmであるのが良い。光学系中の第1のセンスチャネル(すなわち、第1のアパーチュア141、第1のレンズ151、及び第1のピクセル171など)の場合、第1のディフューザ180は、第1のレンズ151から光フィルタ160を通過した光線の円筒形コラム―例えばアスペクト比が1:4のアパーチュア層に関して直径が約100μmの光のコラム―を第1のピクセル171中のSPADの列と垂直に整列した約400μmの高さに発散させることができる。第1のディフューザは、同様に、第1のレンズ151から光フィルタ160を通過した光線の円筒形コラムを中心が第1のピクセル171中のSPADの列全体に水平に位置する約6.4μmの幅に発散させることができる。光学系の他のディフューザ180は、同様に、対応のレンズを通過した視準光を1組のピクセル170の対応のピクセル全体にわたって発散させる(又は収束させる)ことができる。したがって、この実施例では、各SPAD(又は各ピクセル)を遠隔アナログフロントエンド処理エレクトロニクス/ディジタル処理エレクトロニクス回路240に接続することによりかつ光フィルタ160を通過した光を対応のピクセルの幅及び高さ全体にわたって広げるディフューザ180を組み込むことによって、光学系は、イメージングセンサ全体にわたって比較的高い検出領域フィルファクタを達成することができる。
【0037】
したがって、一次元光学系100では、1組のピクセル170のピクセルは、1:1を超えるアスペクト比で配置された多数のSPADのアレイを含むのが良く、ディフューザ180は、光線を対応の非正方形ピクセル全体にわたって広げるのが良く、それにより比較的多数のSPADを単一のピクセルを横切ってタイル表示して図3に示されているように、ピクセル1つ当たりの単一のSPADを備えたイメージセンサよりもイメージセンサを横切って大きなダイナミックレンジを達成することができる。特に、ピクセル1つ当たり(すなわち、センスチャネル1つ当たり)多数のSPADを組み込むことによって、光学系中の第1のセンスチャネルは、SPADに特有のデッドタイムの期間内で多数の入射光子(第1のアパーチュア141によって定められた視界によって境界付けられているフィールド中の表面に由来する)を検出することができる。したがって、第1のセンスチャネルは、その視界中の「明るい」表面を検出することができる。追加的に又は代替的に第1のセンスチャネル中の第1のピクセル171を第1のピクセル171中のSPADに特有のデッドタイムよりも迅速にサンプリングすることができ、と言うのは、第1のピクセル171中のSPADの第1のサブセットが第1のサンプリング期間中に入射光子の収集に起因して第1のサンプリング期間中にダウン(又は「死んでいる」)である場合があるが、第1のピクセル171中の他のSPADは、オン(又は「生きている」)のままであり、したがって、次のサンプリング期間中、入射光子を収集することができる。さらに、光検出器の比較的高いアスペクト比によって特徴付けられたピクセルを組み込むことによって、イメージセンサは、比較的小さなピクセルピッチだけオフセットしたピクセルを含むことができるが、光学系100は、依然として比較的高いダイナミックレンジピクセルを達成することができる。
【0038】
しかしながら、1組のピクセル170のうちの複数のピクセルは、任意他のアレイの状態に、例えば64×1格子アレイの状態で(上述したように)、32×2格子アレイの状態で、又は16×4格子アレイの状態で配列された任意他の数のSPADを含むことができ、ディフューザ180は、光線をそれに応じて任意他の適当な仕方で対応のピクセル上に収束させるとともに/あるいは発散させることができる。さらに、SPADではなく(又はSPADに加えて)、1組のピクセル170の各ピクセルは、1つ又は2つ以上の直線アバランシェフォトダイオード、ガイガーモード型アバランシェフォトダイオード、フォトマルチプライヤ、光電子増倍管、フォトダイオード、QUANTUM DOT 検出器、又は上述したように配置された他形式の光検出器を含むことができ、ディフューザ180は、同様に、光フィルタ160を通過した信号を本明細書において説明するように対応のピクセル全体にわたって収束させたり発散させたりすることができる。
【0039】
1.7 照明源
光学系は、第1の軸線に沿って配置された1組の照明源110を含み、1組の照明源110の各照明源は、動作波長の照明ビームを照明源の前に位置するフィールド内の個別のスポットに向かって出力するよう構成されている。一般に、各照明源は、図1及び図2に示されているように、1組のアパーチュア144のうちの対応のアパーチュアによって定められた視界に一致して照明ビームを出力するよう機能する。
【0040】
一具体化例では、1組の照明源110は、バルク送信器光学部品及びセンスチャネル1つ当たり1つの別個のエミッタを含む。例えば、1組の照明源110は、1組の別々のエミッタを含むモノリシックVCSELアレイを有するのが良い。この具体化例では、バルク送信器光学部品は、材料、幾何学的形状(例えば、焦点距離)、断熱作用などに関してバルク結像光学部品130と実質的に同一であるのが良く、バルク送信器光学部品は、バルク結像光学部品130に隣接して位置するとともにこれから側方かつ/あるいは垂直にオフセットしている。第1の実施例では、1組の照明源110は、コラムの状態に配列された別々のエミッタを含むレーザアレイを有し、隣り合うエミッタは、アパーチュアピッチ距離と実質的に同一のエミッタピッチ距離だけ互いにオフセットしている。この第1の実施例では、各エミッタは、アパーチュア層の対応のアパーチュアの直径と実質的に同一であり又はこれよりも僅かに大きい直径の照明ビームを出力し、エミッタのコラムは、バルク送信器光学部品の焦点面に沿って配置され、したがって、バルク送信器光学部品からフィールド中に投射された照明ビームは、図4に示されているように対応のセンスチャネルの視界と交差しかつこれと実質的に同一のサイズ及び幾何学的形状のものである。したがって、1組の照明源110中の各エミッタによって出力された実質的に全てのパワーは、その対応のセンスチャネルの視界中に投射されるのが良く、センスチャネルの視界の外に位置するフィールド中の表面を照射して無駄になるパワーが比較的最小限に抑えられる。
【0041】
第2の実施例では、別々のエミッタは、コラムの状態に同様に配列され、隣り合うエミッタは、図2に示されているようにアパーチュアピッチ距離の2倍のエミッタピッチ距離だけ互いにオフセットしている。この第2の実施例では、各エミッタは、アパーチュア層の対応のアパーチュアの直径の約2倍(又は、2倍よりも僅かに大きい)直径の照明能動領域(又はアパーチュア)によって特徴付けられ、エミッタのコラムは、バルク送信器光学部品の焦点距離の2倍だけバルク送信器光学部品の後ろにオフセットしており、バルク送信器光学部品からフィールド中に投射された各照明ビームは、上述したように、対応のセンスチャネルの視界と交差しかつこの視界と実質的に同一のサイズ及び幾何学的形状のものである。さらに、照明ビームパワー密度が同一である場合、この第2の実施例においてエミッタにより出力される照明ビームは、上述した第1の実施例においてエミッタにより出力される照明ビームの4倍のパワーを有することができる。したがって、光学系は、スケールファクタ(例えば、2.0又は3.0)及びそれぞれ1)アパーチュア層中のアパーチュアピッチ距離、2)アパーチュア層のアパーチュアの直径、及び3)バルク送信器光学部品の焦点距離の関数として、エミッタピッチ距離にしたがって配置され、所定の直径の照明ビームを出力するよう構成され、かつオフセット距離だけバルク送信器光学部品の後ろにオフセットして設けられた1組のエミッタを含むのが良い。したがって、光学系は、同一ビーム角度内でかつ受信器サブシステムの対応のチャネルの視界内で大きな全出力照明パワーを達成するよう対応の受信器サブシステムよりも比例的に大きい照明サブシステムを含むのが良い。
【0042】
光学系は、多数の別々の組をなす照明源を更に含むのが良く、照明源110の各組は、バルク結像光学部品130に隣接して位置する別個のバルク送信器光学部品と対をなしている。例えば、光学系は、バルク結像光学部品130の中心から一様な半径方向距離を置いたところでバルク結像光学部品130周りに半径方向にパターン付けされかつ120°の角度間隔だけ離隔された第1のバルク送信器光学部品、第2のバルク送信器光学部品、及び第3のバルク送信器光学部品を含むのが良い。この実施例では、光学系は、第1、第2、及び第3のバルク送信器光学部品の各々の後ろに上述したように配置された1つのエミッタを有するレーザアレイを含むのが良い。各別個のレーザアレイ及びその対応のバルク送信器光学部品は、かくして、1組の照明ビームをアパーチュア層のアパーチュアに対応することによって定められた視界中に投射するのが良い。したがって、この実施例では、3つの別々のレーザアレイ及び3つの対応のバルク送信器光学部品は、単一のレーザアレイ及び1つのバルク送信器光学部品と比較して、3倍のパワーを光学系中のセンサチャネルの視界に投射するよう互いに協働することができる。追加的に又は代替的に、光学系は、1)センスチャネル1つ当たり多数の低パワーエミッタを含む受信器サブシステム内の各センスチャネルの視界中に標的照明パワー出力を達成するとともに、2)人間の眼に関してしきい許容光エネルギー密度よりも小さい光エネルギー密度を達成するよう近視野中の広い領域にわたって光エネルギーを分布させるために多数の別々の層アレイ及びバルク送信器光学部品を含むのが良い。
【0043】
しかしながら、光学系は、センスチャネルによって定められた視界を照明するよう構成されている任意他の数及び形態の照明源組及びバルク送信器光学部品を含むのが良い。1組の照明源110は、単一のレーザダイオード、側面発光レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、又は量子ドットLEDアレイなどによって電力供給される任意他の適当な形式の光学送信器、例えば1×16光学スプリッタを更に含むのが良い。
【0044】
1.8 作製
一具体化例では、バルク受信器レンズ、アパーチュア層、1組のレンズ150、光フィルタ160、及びディフューザ180を作製し、次にイメージセンサと整列させてこれに取り付ける。例えば、光フィルタ160を作製するには溶融シリカ基板を被覆するのが良い。光活性光学ポリマーを光フィルタ160上に蒸着させ、レンズモールドを光活性光学ポリマー上に配置するのが良く、そしてUV光源をアクティブにして光活性光学ポリマーを光フィルタ160を横切ってパターン付けされたレンズの形態に硬化するのが良い。同様に、スタンドオフをフォトリソグラフィ技術により光フィルタ160を横切って成形し又は形成するのが良く、次に、選択的に硬化された金属化ガラスウェーハによって定められたアパーチュア層をスタンドオフに結合し又は違ったやり方で取り付けてアパーチュア層を形成するのが良い。次に、この組立体を逆さまにし、1組の別々のディフューザ及びスタンドオフを同様に光フィルタ160の反対側全体にわたって作製するのが良い。次に、別個のイメージセンサをスタンドオフと整列させてこれに結合するのが良く、バルク結像光学部品130を同様にアパーチュア層を覆って取り付けるのが良い。
【0045】
変形例として、フォトリソグラフィ及びウェーハレベル結合技術を実施してバルク結像光学部品、アパーチュア層、1組のレンズ150、光フィルタ160、及びディフューザ180を検出器チップを含む未ダイシング状態の半導体ウェーハ上に直接作製するのが良く、その目的は、製造を単純化し、コストを減少させ、しかもピクセルクロストークを減少させるために光学スタック高さを減少させることにある。
【0046】
2. 一次元光学系:レンズチューブ
光学系の一形態は、第1の軸線に沿って配置された1組の照明源110を含み、1組の照明源110の各照明源は、動作波長の照明ビームを照明源の前に位置するフィールド内の別個のスポットに向かって出力するよう構成され、この光学系は、フィールドと反対側の焦点面によって特徴付けられたバルク結像光学部品130と、第1の軸線に平行な線アレイをなして配置された1組のレンズチューブ210と、を含み、1組のレンズチューブ210の買うレンズチューブは、焦点距離だけ焦点面からオフセットしかつ1組の光学部品の対応の照明源によってバルク結像光学部品130中に照明されたフィールド中の別個のスポットからバルク結像光学部品130中に反射された光線を視準するよう構成されたレンズを含み、光学系は、焦点面と反対側でレンズから延び、第1の軸線に実質的に垂直な長軸を定め、しかも対応の照明源によって照明された別個のスポットの外に位置するフィールド中の領域からバルク結像光学部品130中に反射された入射光線を吸収するよう構成されている円筒形壁218を含む。この形態では、光学系は、焦点面と反対側で1組のレンズチューブ210に隣接して設けられかつ光線を動作波長で通すよう構成された光フィルタ160と、1組のレンズ150の反対側で光フィルタ160に隣接して設けられた1組のピクセル170と、を更に含み、1組のピクセル170の各ピクセルは、1組のレンズ150の一レンズに対応しかつ第1の軸線に垂直な第3の軸線に沿って整列した1組のサブピクセルを含み、光学系は、光フィルタ160と1組のピクセル170との間に介在して設けられかつ1組のレンズ150の各レンズから出力された視準光を1組のピクセル170の対応のピクセルの1組のサブピクセル全体にわたって広げるよう構成されたディフューザ180を含む。
【0047】
一般に、この形態では、光学系は、上述の各アパーチュア及びレンズ対の代わりに(又は、これらに加えて)レンズチューブを含む。この形態では、各レンズチューブは、第2の(短い)焦点距離によって特徴付けられるのが良くかつバルク結像光学部品130のアパーチュアを保持するとともに上述しかつ図5及び図7に示されているようにバルク結像光学部品130から受け取った入射光を視準するよう第2の焦点距離だけバルク結像光学部品の焦点面からオフセットしているのが良い。
【0048】
各レンズチューブはまた、隣接の光フィルタ160の入射平面に垂直な軸線を定めかつ図5に示されているように入射光線を吸収するよう構成された不透明な円筒形壁218を備えている。一般に、軸方向の距離が大きいと、レンズチューブの円筒形壁218は、レンズチューブの軸線に対して浅い角度をなしてレンズチューブを通過した光線を吸収することができ、それによりレンズチューブの視界が減少する(これは、上述したように回折限界直径までアパーチュア層のアパーチュアの直径を減少させることとほぼ同じである場合がある)とともに光フィルタ160の入射平面の垂線の近くに視準光線の出力信号が生じる。したがって、各レンズチューブは、標的視界を達成するとともにレンズチューブの軸線に対してしきい角度よりも小さい最大角度で視準光線を通すのに十分な距離の細長い円筒形壁218を備えるのが良い。この形態では、レンズチューブは、かくして、幅の狭い視界を定めるとともに実質的に視準された光を隣接の光フィルタ160に出力するよう上述したアパーチュア・センス対として機能することができる。
【0049】
レンズチューブの円筒形壁218は、円筒形壁218に入射した光線の吸収を増大させるとともにその反射を減少させるために図5に示されているように透明な(又は半透明な)レンズ材料周りに粗い又は不透明なインターフェースを備えるのが良い。各レンズチューブ(及び上述の各レンズ)はまた、反射防止膜で被覆されるのが良い。
【0050】
図9に示されているように、この形態では、レンズチューブ210の組を作製するには、フォトリソグラフィ技術を実施して光活性光学ポリマー(例えば、SU8)を光フィルタ160上に(例えば、光フィルタを構成するシリコンウェーハ上に)パターン付けするのが良い。次に、光吸収性ポリマーをレンズチューブ相互間に注ぎ込んで硬化させるのが良い。次に、1組のレンズ150を別々に作製し(例えば、成形し)、次にレンズチューブ上に結合するのが良い。変形例として、レンズをフォトリソグラフィ技術によりレンズチューブ上に直接作製しても良い。さらに別法として、ポリマーをレンズチューブ上に配置されたモールド中に注入することによってレンズ用のモールドをレンズチューブ上に直接注型しても良い。単一のディフューザ180又は多数の別々のディフューザ180を同様に作製するとともに/あるいはレンズチューブと反対側で光フィルタ160上に組み付けるのが良い。光フィルタ160から延びるスタンドオフを同様にディフューザ180周りに作製し又は取り付けるのが良くそしてイメージセンサを光フィルタ160と反対側でスタンドオフと整列させてこれに結合するのが良い。光学系内の他の光学素子(例えば、バルク結像レンズ、バルク送信レンズなど)を類似の技術に従ってかつ類似の材料とともに作製するのが良い。
【0051】
3. 二次元光学系
光学系の別の形態は、第1の直線状格子アレイの状態に配置された1組の照明源110を含み、1組の照明源110の各照明源は、動作波長の照明ビームを照明源の前に位置するフィールド中の別個のスポットに出力するよう構成され、この光学系は、フィールドと反対側の焦点面によって特徴付けられたバルク結像光学部品130と、焦点面と一致していて、第1の直線格子アレイに比例した第2の直線格子アレイの状態に1組のアパーチュア144を定めるとともに1組のアパーチュア144の周りに停止領域146を備えたアパーチュア層を含み、1組のアパーチュア144の各アパーチュアは、1組の照明源110の対応の照明源によって出力された別個のスポットと一致したフィールド中の視界を定めるアパーチュア層を含み、停止領域146は、1組のアパーチュア144によって定められた視界の外に位置するフィールド中の表面から反射されてバルク結像光学部品132を通過する光線を吸収し、かかる光学系は、1組のレンズ150を含み、1組のレンズ150の各レンズは、第2の焦点距離によって特徴付けられ、第2の焦点距離だけバルク結像光学部品130と反対側で焦点面からオフセットし、1組のアパーチュア144の一アパーチュアと整列しかつこのアパーチュアを通過した光線を視準するよう構成され、かかる光学系は、アパーチュア層と反対側で1組のレンズ150に隣接して設けられかつ動作波長で光線を通すよう構成された光フィルタ160と、1組のレンズと反対側で光フィルタ160に隣接して設けられた1組のピクセル170と、を含み、1組のピクセル170の各ピクセルは、1組のレンズ150のレンズのサブセットと整列し、かかる光学系は、光フィルタ160と1組のピクセル170との間に介在して設けられかつ1組のレンズ150の各レンズから出力された視準光を1組のピクセル170の対応のピクセル全体にわたって広げるよう構成されたディフューザ180を含む。
【0052】
一般に、この形態では、光学系は、チャネル(すなわち、アパーチュア、レンズ、ならびにピクセル組又はレンズチューブ及びピクセル組)の二次元格子アレイを含み、この光学系は、光学系の占有するボリュームを二次元に画像化するよう構成されている。光学系は、二次元フィールド全体にわたり一次元距離データ、例えばサンプリング期間内における入射光子のカウント及び/又はフィールド中の既知の視界に対応した既知の位置のピクセルに入射した連続した光子相互間の時間を収集することができる。次に、一次元距離データを光学系中の各チャネルに関する視界の既知の位置とマージして光学系の前方にフィールドの仮想三次元表示を再構成するのが良い。
【0053】
この形態では、アパーチュア層は、アパーチュアの格子アレイを備えるのが良く、1組のレンズ150は、類似の格子アレイをなして配置されるのが良く、一レンズは、アパーチュア層中の一アパーチュアと整列し、1組のピクセル170は、上述したように、アパーチュア1つ及びレンズ対1つ当たり1つのピクセルを含むのが良い。例えば、アパーチュア層は、300μmのアパーチュアピッチ距離だけ垂直かつ側方にオフセットした200μm径のアパーチュアの24×24格子アレイを定めることができ、1組のレンズ150は、同様に、300μmのレンズピッチ距離だけ垂直かつ側方にオフセットしたレンズの24×24格子アレイを定めことができる。この実施例では、1組のピクセル170では、300μm正方形ピクセルの24×24格子アレイを含むのが良く、各ピクセルは、9個の100μm正方形SPADの3×3正方形アレイを含む。
【0054】
変形例として、この形態では、1組のピクセル170は、多数のアパーチュア及びレンズ対の群1つ当たり1つのピクセルを含んでも良い。上述の実施例では、1組のピクセル170は、変形例として、600μm正方形ピクセルの12×12格子アレイを含み、各ピクセルは、36個の100μm正方形SPADの6×6正方形アレイを含み、各ピクセルは、正方形格子中の4つの隣にあるレンズの群と整列する。図8に示されているように、この実施例では、4つの隣り合うレンズの各群に関し、ディフューザ180は、正方形格子中の(1,1)位置にあるレンズから出力された視準光線を上方にかつ右側に付勢して(1,1)レンズを通過した光線を対応のピクセルの広さ及び幅全体にわたってひろげることができ、正方形格子中の(2,1)位置にあるレンズから出力された視準光線を上方にかつ左側に付勢して(2,1)レンズを通過した光線を対応のピクセルの広さ及び幅全体にわたってひろげることができ、正方形格子中の(1,2)位置にあるレンズから出力された視準光線を下方にかつ右側に付勢して(1,2)レンズを通過した光線を対応のピクセルの広さ及び幅全体にわたってひろげることができ、正方形格子中の(2,2)位置にあるレンズから出力された視準光線を下方にかつ左側に付勢して(2,2)レンズを通過した光線を対応のピクセルの広さ及び幅全体にわたってひろげることができる。
【0055】
上述の実施例では、正方形格子中の4つのレンズの1つの群に対応した正方形格子中の4つの照明源の各群に関し、光学系は、所与の時点において4つの照明源の群中の1つの照明源を作動させることができる。特に、1組のピクセル170中の一ピクセルに対応した正方形格子中の4つの照明源の各群に関し、光学系は、第1のサンプリング期間中、(1,1)位置にある第1の照明源111を作動させて4つのレンズの対応の群中の(1,1)位置にあるレンズに対応した第1のアパーチュア141によって定められた視界を照明することができ、光学系は、第1のサンプリング期間中、対応のピクセル中の全部で36個のSPADをサンプリングすることができる。光学系は、次に、第1の照明源111を作動停止させて次の第2のサンプリング期間中、(1,2)位置にある第2の照明源112を作動させ、それにより4つのレンズの対応の群中の(1,2)位置にあるレンズに対応した第2のアパーチュア142によって定められた視界を照明することができ、光学系は、第2のサンプリング期間中、対応のピクセル中の全部で36個のSPADをサンプリングすることができる。次に、光学系は、第1及び第2の照明源112を作動停止させて次の第3のサンプリング期間中、(2,1)位置にある第3の照明源を作動させ、それにより4つのレンズの対応の群中の(2,1)位置にあるレンズに対応した第3のアパーチュアによって定められた視界を照明することができ、光学系は、第3のサンプリング期間中、対応のピクセル中の全部で36個のSPADをサンプリングすることができる。最後に、光学系は、第1、第2、及び第3の照明源112を作動停止させて第4のサンプリング期間中、(2,2)位置にある第4の照明源を作動させ、それにより4つのレンズの対応の群中の(2,2)位置にあるレンズに対応した第4のアパーチュアによって定められた視界を照明することができ、光学系は、第4のサンプリング期間中、対応のピクセル中の全部で36個のSPADをサンプリングすることができる。光学系は、このプロセスをその作動全体を通じて繰り返すのが良い。
【0056】
したがって、上述の実施例では、光学系は、幅7.2mm、長さ7.2mmのイメージセンサ全体にわたって配置された1組のピクセル170を含むのが良くかつこの光学系中の各チャネルが多数の実質的に大きなイメージセンサ(例えば、14.4mm×14.4mmイメージセンサ)を必要とするSPADにアクセスすることができる(多数のSPAD上に光線を投射することができる)よう走査方式を実施するのが良い。特に、光学系は、光学系中の各チャネルのダイナミックレンジ内における指数関数的増大を達成するよう照明源の群1つ当たりシリアル走査方式を実施することができる。特に、この形態では、光学系は、光学系の画像化解像度を増大させるよう上述の画像技術を実施することができる。
【0057】
上記具体化例では、光学系は、各チャネルとイメージセンサとの間に位置するシャッタ182を更に含むのが良く、この光学系は、対応のチャネルようの照明源を作動させたり作動停止させたりしたとき、それぞれ、各シャッタ182を選択的に開閉することができる。例えば、光学系は、各レンズ相互間に介在して設けられた1つの独立に動作可能なエレクトロクロミックシャッター182を含むのが良く、この光学系は、(1,1)照明源を作動させたとき、4つのレンズの正方形格子付き群中の(1,1)レンズ上でエレクトロクロミックシャッター182を開いたり(1,2)、(2,1)、(2,2)、レンズ上でエレクトロクロミックシャッター182を閉じたりすることができ、それによりイメージセンサ上の対応のピクセルに達しないよう(1,2)、(2,1)、(2,2)レンズを通過したノイズを拒絶する。光学系は、したがって、各チャネルとイメージセンサとの間のシャッタ182を選択的に開閉して作動中、チャネル1つ当たりのSNRを増大させることができる。変形例として、光学系は、図8に示されているように、各ピクセルの選択領域上に配置された1つの独立に動作可能なエレクトロクロミックシャッター182を含んでも良く、かくエレクトロクロミックシャッター182は、単一のチャネルと(すなわち、1組のレンズのうちの単一のレンズと)整列する。光学系は、変形例として、1組のレンズ150とイメージセンサとの間に介在して設けられたMEMSメカニカルシャッター又は任意他の適当な形式のシャッタを含んでも良い。
【0058】
この形態では、光学系は、アパーチュア、レンズ、ディフューザ、及び/又は第1(例えば、X)軸線に沿う第1のピッチ距離及び第2(例えば、Y)軸線に沿う第2のピッチ距離(第1のピッチ距離とは異なる)によって特徴付けられたピクセルの二次元格子アレイを定めることができる。例えば、イメージセンサは、25μm水平ピッチ及び300μm垂直ピッチだけオフセットしたピクセルを含むのが良く、各ピクセルは、12個のサブピクセルの単一の列を含む。
【0059】
しかしながら、この形態では、二次元光学系は、チャネル(例えば、アパーチュア、レンズ(又はレンズチューブ)及びディフューザ)及びピクセルの任意他の数及びパターンのアレイを含むのが良く、かかる二次元光学系は、イメージセンサのロウ(raw )ピクセル解像度よりも高いチャネル1つ当たりの空間解像度を達成するよう任意他の適当な走査方式を実行することができる。光学系は、追加的に又は代替的に、収束光学部品、発散光学部品、及び/又は任意他の適当な形式の光学素子を含むことができ、それによりチャネルから通過した光線を対応のピクセルの幅全体にわたって広げることができる。
【0060】
当業者であれば上述の詳細な説明ならびに図面及び特許請求の範囲から認識されるように、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態に対する改造及び変更を行うことができる。
図1
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図11