(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】絶縁変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/32 20060101AFI20230123BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20230123BHJP
H01F 41/12 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H01F27/32 130
H01F30/10 H
H01F41/12 E
(21)【出願番号】P 2019565898
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2018064197
(87)【国際公開番号】W WO2018220018
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノゲス バリエラス,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ マルティン,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】セブリアン リェス,ロレナ
(72)【発明者】
【氏名】ムリーリョ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス ラゴ,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ラーフル アール.
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-005438(JP,A)
【文献】特開平09-092549(JP,A)
【文献】特開平07-297054(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017381(WO,A1)
【文献】特開平07-074032(JP,A)
【文献】実開昭60-085814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/32
H01F 30/10
H01F 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式変圧器であって、
少なくとも第1の巻線と、
少なくとも第2の巻線と、
前記少なくとも第1と第2との巻線の間の円筒形バリアと、
1つ以上の絶縁モジュールと、を備え、
各絶縁モジュールは、誘電体スクリーン及び支持ブロックを備え、
前記支持ブロックは、前記変圧器の前記第1の巻線の上で前記誘電体スクリーンを支持するためのものであり、
前記誘電体スクリーンは、前記第2の巻線の周囲に部分的に延在し、前記変圧器の前記第1と第2の巻線の間に配置された対応する円筒形バリアによって画定された空間内に適応するように構成された第1の実質的に均一な部分と、前記第1の部分に対して及び前記変圧器の前記第1の巻線に対して垂直であり、前記第1の部分から外側に及び前記支持ブロックを超えて延在する第2の実質的に均一な部分と、を有
し、
前記乾式変圧器はさらに、複数の円筒形バリアを備え、
各絶縁モジュールは、複数の誘電体スクリーンを備え、
各誘電体スクリーンは、それぞれ、前記変圧器の異なる円筒形バリアと共に配置するように構成され、
複数の前記誘電体スクリーンは、すべての前記第2の部分が前記第1の部分から半径方向外側に向かって延びるように設けられている、乾式変圧器。
【請求項2】
前記第2の部分は、前記支持ブロックの接続部分を受け取るための開口を備える、請求項1に記載の乾式変圧器。
【請求項3】
前記第1の部分と前記第2の部分との間の周縁で屈曲した、柔軟な誘電体スクリーンを備える、請求項1
または2に記載の乾式変圧器。
【請求項4】
前記第1の部分は、前記対応する円筒形バリアの湾曲に一致するような湾曲を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項5】
前記誘電体スクリーンは、第1の誘電体材料で作られ、
前記支持ブロックは、第2の誘電体材料で作ら
れ、
前記第1の誘電体材料および前記第2の誘電体材料は、単一片を構成するように互いに一体的に形成されている、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項6】
前記誘電体スクリーン及び/又は前記支持ブロックは、樹脂で作られる、請求項1から
5のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項7】
各誘電体スクリーンは、1つ以上の絶縁層を備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項8】
前記支持ブロックから半径方向外側に向かって延在する水平シェッドを更に備える、請求項1から
7のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項9】
前記誘電体スクリーンの少なくとも前記第1又は前記第2の部分は、前記対応する円筒形バリアに沿って前記第2の巻線の周囲に部分的に延在する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項10】
前記支持ブロックは積み重ねられ、連結された支持ブロック間に前記第2の部分が交互配置される、請求項1から
9のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項11】
前記第1の巻線は、LV巻線であり、
前記第2の巻線は、HV巻線である、請求項1から
10のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項12】
少なくとも1つのブロックが前記円筒形バリアの上に延在し、前記変圧器のLV巻線上に存在する部分を備える、請求項
11に記載の乾式変圧器。
【請求項13】
前記絶縁モジュールは、カラーを更に備える、請求項1から
12のいずれか一項に記載の乾式変圧器。
【請求項14】
前記カラーは、前記誘電体スクリーンの頂部上に存在する、請求項
13に記載の乾式変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年5月31日出願の欧州出願第17382321号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
本開示は変圧器に関し、より具体的には変圧器の電気絶縁に関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、変圧器は1つの電圧レベルを別の電圧レベルに変換し、電圧レベルはどちらかがより高いか又はより低い値である。変圧器は第1のコイル及び第2のコイルを使用してこの電圧変換を達成し、各々のコイルは強磁性コアの周囲に巻き付けられ、多くの巻数の導電体を含む。第1のコイルは電圧源に接続され、第2のコイルは負荷に接続される。1次コイル内の巻数の2次コイル内の巻数に対する比(「巻数比))は、源の電圧の負荷の電圧に対する比と同じである。
【0004】
他のタイプの変圧器も周知であり、多巻線変圧器と呼ばれる。こうした変圧器は、直列又は並列に接続されるか、あるいは変圧器の所望の機能に個別に依存する、複数の巻線を使用する。
【0005】
電圧下の2つの部分、例えば第1のコイル及び第2のコイルを絶縁するために、絶縁バリアが使用されることがある。絶縁バリアは電圧下の部分間に配置され、電界に直角である。したがって、絶縁バリアを含めることによって、支持可能な電界(及び、したがって電圧)を増加させる。エアの合計空間が最小のセクションに分割される場合、コイル間の所与の距離のエアは、より大きな電圧に耐えられる可能性がある。この手法は、高電圧(HV)巻線と低電圧(LV)巻線との間に絶縁バリアを含めることによって、乾式変圧器の絶縁に適用される。絶縁バリアは、それらの巻線間のエアギャップを分割する。
【0006】
別の例は、固体の絶縁コンポーネントが2つの部分を接続しているか、又はブリッジしている場合である。そこで、誘電的挙動を向上させるために、電界に直角に、そのコンポーネントに絶縁バリア又はシェッドを追加するのが一般的である。こうした例は、電気絶縁体に見ることができる。
【0007】
更に別の例は、乾式変圧器においてコイルを支持するためにブロックを使用することである。ブロックは、電圧下でコイルを金属構造から分離して支持し、こうしたシェッドを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ある絶縁レベル(例えば、12kV)より上の乾式変圧器の場合、HV巻線とLV巻線との間に1つ以上の円筒形バリアを有することが一般的である。沿面距離を増加させるために、支持ブロック内に1つ以上の水平スクリーンを有することも一般的である。しかし、相対的に高い絶縁レベル(例えば、72.5kV)の場合であっても、これらのバリア及びスクリーンは一体型要素を形成しない。
【0009】
ある絶縁レベルより上の液体充填変圧器の場合、HV-LV円筒形バリアと一体化した水平スクリーン(角リング、カラー)の使用が一般的である。
図1は、HV巻線105、LV巻線110、及びその間の円筒形バリア115を備える、液体充填変圧器100を示す。角リング120は円筒形バリアを取り囲む一方で、支持ブロック125は分離し、HV巻線の上で角リングを支持する。セルロースは必要に応じて経済的に形状化可能であるため、角リング又はカラーを製造するために使用される。しかしながら、乾式変圧器の場合は、適切に働くために液体を含浸させなければならないため、有用ではない。また、機械的耐久性に乏しく、作業温度も低いため、適切ではない。乾式変圧器には他の材料(例えば、Nomex(商標)又はポリエステル)が使用可能であるが、高価であり、及び/又は、形状化が困難である。また、それらを乾式変圧器に使用するには、機械的問題及び冷却問題も何らかの制約を加えている。実際のところ、液体充填変圧器の場合、角リング又はカラーは接線方向に360°延在し、巻線の外周全体をカバーしている。更に、支持ブロックは、最高電圧差(例えば、HV対LV、及びHV対コア又はクランプ)を伴って要素をブリッジしているため、潜在的な弱点である。そのゾーン内での問題を回避するために、十分な隙間が維持されているが、支持ブロックを含み、カラー又は角リングのより複雑且つ費用の掛かるソリューションを回避する、絶縁におけるいずれの改良も、よりコンパクトなソリューションにつながる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の問題を解決するために、柔軟なL型スクリーンを備える支持ブロックを有する絶縁モジュールが提案される。提案されるソリューションは、2つ以上の巻線とそれらの間の円筒形バリアとを備える変圧器にとって、また好ましくは、より高い絶縁レベル、例えば72.5kV又は123kVにとって、有用であり得る。提案されるソリューションは、削減されたコストで、実用的な絶縁ソリューションを提供する配置である。
【0011】
第1の態様において、変圧器のための絶縁モジュールが開示される。絶縁モジュールは、誘電体スクリーン及び支持ブロックを備えることができる。支持ブロックは、変圧器の第1の巻線の上で、誘電体スクリーンを支持することができる。誘電体スクリーンは、変圧器の第1と第2の巻線の間に配置された対応する円筒形バリアによって画定された空間内に適応するように構成された第1の実質的に均一な部分と、第1の部分に対して及び変圧器の第1の巻線に対して垂直であり、第1の部分から外側に及び支持ブロックを超えて延在する第2の実質的に均一な部分と、を有することができる。
【0012】
「均一」という用語は、本明細書では、平滑であり、表面の不規則性がないことを意味するために用いられる。いくつかの例では、第1及び/又は第2の部分は平坦且つ均一であり得るが、他の例では、第1及び/又は第2の部分は湾曲し且つ均一であり得る。「垂直」という用語は、本明細書では、第2の部分の平面が第1の部分と2つ以上の線で交差することを意味するために用いられる。好ましい実施形態において、第2の部分は第1の部分に対して直角であり得る。
【0013】
支持ブロックと円筒形バリアとの間に誘電体スクリーンを提供することによって、支持ブロックの表面に沿った直接放電経路が遮断される。誘電体スクリーンはL型であり得、円筒形バリアにより良く適応するように柔軟であり得る。スクリーンは、以下の2つの異なる配置が可能である。
支持ブロックがエポキシ樹脂で作られる場合、スクリーンを鋳造の前に挿入可能である。これにより、十分な沿面距離を得ることができる。
支持ブロックが異なる切片から組み立てられる場合、スクリーンをそれらの間に配置可能である。2つの近接する支持ブロックは、それらの間に接続インターフェース、例えばホールピンインターフェースを使用して、結合可能である。
【0014】
いくつかの例において、第2の部分は、支持ブロックの接続部分を受け取るための開口を備えることができる。次いで、支持ブロックを積み重ねて支持カラムを形成し、連結された支持ブロック間に第2の部分が交互配置される。開口は絶縁を遮断するため、できる限り小さく選択又は設計することが可能であり、十分な沿面距離を可能にするために、支持ブロックの断面の相対的に中央に配置することができる。
【0015】
いくつかの例において、変圧器は複数の円筒形バリアを備えることができる。その後、絶縁モジュールは複数の誘電体スクリーンを備えることができる。各誘電体スクリーンは、それぞれが変圧器の異なる円筒形バリアと共に配置されるように構成可能である。円筒形バリアの高さは、外側巻線から内側巻線の方向に増加し得るために、これによって、支持ブロックカラムに沿ってL型スクリーンをより良好に分配すること、及び、変圧器の組み立て中に絶縁モジュールを累進的に追加していくことが、可能となり得る。したがって、様々な絶縁モジュールを備える絶縁モジュール構造が実装可能であり、これを変圧器の円筒形バリア構造と一体化することが可能である。
【0016】
いくつかの例において、絶縁モジュールは、第1の部分と第2の部分との間の周縁で屈曲した、柔軟な誘電体スクリーンを備えることができる。これにより、円筒形バリア間に絶縁モジュールの第1の部分を挿入することがより容易になる。更に、第1の部分と第2の部分との間の長さを変更可能にし、すなわち、誘電体スクリーンは、それぞれの支持ブロックと円筒形バリアとの間の距離に従って、線に沿って湾曲可能となる。これにより、異なる距離の円筒形バリアについて、同じタイプの誘電体スクリーンが使用可能となる。
【0017】
いくつかの例において、第1の部分は、対応する円筒形バリアの湾曲に一致するような湾曲を有することができる。湾曲は事前に確立可能であるか、又は、誘電体スクリーンが柔軟であると想定して、取付けの間に形成可能である。
【0018】
いくつかの例において、絶縁モジュールは単一片の誘電体材料を備えることができる。単一片は誘電体スクリーン及び支持ブロックを備えることができる。
【0019】
いくつかの例において、誘電体スクリーン及び/又は支持ブロックは樹脂で作ることができる。樹脂の使用により、絶縁モジュールに絶縁特性を与えることができる。
【0020】
いくつかの例において、誘電体スクリーンは1つ以上の絶縁層を備えることができる。絶縁層の量は、より高い絶縁特性(層が多いほど高い絶縁性を与えることができる)及び/又はより高い柔軟性(層が少ないほど、結果としてより高い柔軟性を生じさせることができる)に関連付けることができる。層は部分的であってもよく、すなわち第1の部分は第2の部分とは異なる量の層を備えることができる。
【0021】
いくつかの例において、絶縁モジュールは、支持ブロックから半径方向外側に向かって延在する水平シェッドを更に備えることができる。これにより、シェッドは支持ブロック表面に沿って沿面距離を増加させるため、HV巻線とヨーク及びクランプとの間の絶縁を向上させることができる。
【0022】
いくつかの例において、誘電体スクリーンの少なくとも第1又は第2の部分は、対応する円筒形バリアに沿って、第2の巻線の周囲に部分的に延在可能である。いくつかの実装において、複数の絶縁モジュールを円筒の周囲に分配することができる。例えば、4つの絶縁モジュールを、各々が円筒形バリアの外周の4分の1をカバーするように、円筒形バリアの周囲に配置することができる。
【0023】
いくつかの例において、少なくとも1つのブロックが円筒形バリアの上に延在し、変圧器の第2の巻線上に存在する部分を備える。これにより、変圧器構造全体の構造的完全性をより良くすることができる。
【0024】
別の態様において、変圧器が開示される。変圧器は、本明細書に開示された例に従った、少なくとも第1の巻線、少なくとも第2の巻線、少なくとも第1と第2の巻線の間の円筒形バリア、及び絶縁モジュールを備えることができる。
【0025】
いくつかの例において、変圧器は乾式変圧器とすることができ、第1の巻線はLV巻線とすることができ、第2の巻線はHV巻線とすることができる。
【0026】
いくつかの例において、変圧器は複数の巻線を備えることができる。次いで、絶縁モジュールのセットは、連続する巻線間に配置することができる。
【0027】
本開示の非限定的例を、添付の図面を参照しながら下記で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】角リングを備える従来技術の変圧器を示す概略部分図である。
【
図2A】一例に従った、絶縁モジュールを示す斜視図である。
【
図2B】一例に従った、絶縁モジュールを示す断面図である。
【
図2C】一例に従ったマルチスクリーン絶縁モジュールを示す斜視図である。
【
図3】一例に従った、絶縁モジュールを備える変圧器を示す概略部分図である。
【
図4】一例に従った、絶縁モジュールを備える変圧器を示す概略断面図である。
【
図5A】一例に従った、1片に鋳造された絶縁モジュールを示す断面図である。
【
図5B】一例に従った、絶縁モジュールを伴う変圧器部分を示す斜視図である。
【
図6】一例に従った、1片に鋳造された絶縁モジュールを伴う変圧器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図2は、一例に従った絶縁モジュールの概略図である。絶縁モジュール200は、スクリーン205及び支持ブロック210を備えることができる。スクリーンは、第1の部分215及び第2の部分220を備えることができる。第2の部分220は、第1の部分215の周縁から延在することができ、実質的に平坦であり、また第1の部分215に対して直角とすることができる。第1の部分215は、誘電体材料の1つ以上の層を備えることができ、変圧器の1つ以上の円筒形バリアによって画定された空間内に収まるように構成されたサイズ(厚み)を有することができる。こうした空間は、巻線と円筒形バリアとの間の空間、又は、2つの連続する円筒形バリアの間の空間とすることができる。
【0030】
第2の部分220は開口を備えることができる。開口は、支持ブロック210の少なくとも一部をホストするように設計することができる。
図2A及び
図2Bの例では、開口は円形とすることができ、支持ブロック210は、スクリーンの第2の部分220の開口に実質的に対応する開口又は陥凹部Rを伴う頂部を有することができる。
図2Bに示されるように、陥凹部Rは、別の支持ブロック212の対応する突出部Pに一致するようにサイズを決定することができる。
【0031】
図2A及び
図2Bの例は、第2の部分及び支持ブロックをどのように相互接続できるかの単なる一例である。他の例において、支持ブロックの頂部は突出部を備えることができ、別の支持ブロックは、突出部を受け取るために底部に陥凹部を備えることができる。更に他の例では、第2の部分及び支持ブロックを1片に鋳造することができる。更に他の例では、複数のスクリーン及び複数の支持ブロックを1片に鋳造することができる。したがって、開口及び/又は連結片は不要となる可能性がある。当業者であれば、他の構成も可能であることを理解されよう。
【0032】
図2Cは、一例に従ったマルチスクリーン絶縁モジュールの斜視図である。絶縁モジュール250は、誘電体スクリーン260を伴う単一片の誘電体材料(例えば、エポキシ樹脂)の形の、支持ブロックカラム255を備えることができる。支持ブロックカラム255の下部は、変圧器の巻線上、例えばHV巻線上に存在するように構成可能である。各スクリーンは、支持ブロックカラム255の鋳造の間に樹脂が流れることができるようにするための、1つ以上のホールを有し得、したがってすべての要素が単一片を形成する。各スクリーンは、支持ブロックカラム255に実質的に平行な第1の部分260A、及び、支持ブロックカラム255を横切る(travers)第2の部分260Bを有し得る。この横切りは、支持ブロックカラムの軸に直角であり得る。第1の部分は、変圧器の円筒形バリア間の空間に適応するように構成又は形状化可能、例えば湾曲可能とすることができる。下部誘電体スクリーンから始まり、上方へ移動していくと、それぞれの誘電体スクリーンは支持ブロックカラム255から更に離れた円筒形バリアに対応することができるため、第2の部分260Bは累進的に長くなり得る。第2の部分は、支持ブロックのホールピンインターフェースを
図2A及び
図2Bに示されるように係合可能にするために、中央ホールも備えることができる。
【0033】
図3は、一例に従った絶縁モジュールを備える変圧器の概略部分図である。変圧器300は乾式変圧器とすることができる。変圧器300は、HV巻線305及びLV巻線310を備えることができる。一連の円筒形バリア315は、HV巻線305とLV巻線310との間に入れることができる。HV巻線の頂部に、絶縁モジュール320を配置することができる。絶縁モジュール320は、互いに積み重ねられた支持ブロック325及び柔軟なL型スクリーン330を備えることができる。各支持ブロック325は、スクリーン330を支持することができる。各スクリーン330は、円筒形バリアと共に配置することができる。底部から始まり上方に進んでいくと、第1のスクリーン330は、HV巻線とLV巻線との間に第1の円筒形バリアと共に配置することができる。したがって、第1の(底部)支持ブロック325は、第1の(最下)スクリーン330を支持することができる。それにより、第2の支持ブロック325は第2のスクリーンを支持し得る、という具合である。第2のスクリーンの第2の部分は、スクリーンの第1の部分を第2の円筒形バリアと共に配置するように、第1の円筒形バリアの上に部分的に延在することができる。それにより、第3のスクリーンの第2の部分は、第3のスクリーンの第1の部分を第3の円筒形バリアと共に配置するように、第1及び第2の円筒形バリアの上に部分的に延在することができる。スクリーンが円筒形バリアと共にLV巻線310に近付く方向に配置された場合、HV巻線とバリアとの間の距離は増加するため、第2の部分は変圧器の半径方向により長くなり得る。構造的支持を最大にするために、支持ブロックを最上スクリーンの頂面上に配置することが可能であり、最も内側の円筒形バリアを超えて延在すること、及び、LV巻線上で支持可能な第2のピラーを備えることが可能である。L型スクリーンは、絶縁特性を最大にするために、等電位線に対してほぼ平行に配置可能である。これを達成するために、第1の部分と第2の部分との間の周縁での屈曲半径は、HV巻線からの距離が増加するにつれて増加可能である。
【0034】
図4は、一例に従った絶縁モジュールを備える変圧器の概略断面図である。
図4の例では、HV巻線405とLV巻線410との間に6つの円筒形バリアが配置される。HV巻線405とLV巻線410との間に、絶縁モジュール420が配置される。絶縁モジュール420は、逆L型スクリーン430によって遮断される支持ブロック425のセットを備えることができる。
図4の例では、3つのスクリーン430がそれぞれ、3つの円筒形バリアと共に配置されている。各スクリーン430は、それぞれ支持ブロック425によって支持される。最上スクリーン430の頂面上に、最も内側の円筒形バリアの上及びこれを超えて延在し、LV巻線上で支持されるように垂直に延在する、支持ブロックが配置され、したがって、絶縁モジュール420は逆ピラミッド型の脚を有するπ(pi)型とすることができる。
【0035】
各支持ブロックは、
図4に示されるように単一の要素を備えるか、又は、LV巻線のための1要素及びHV巻線のための別の要素を備え、それらの間にいかなる機械的接続もないことが、可能である。後者は、その後の鋳造がより単純になるため、エポキシで作られた支持ブロックであることが好ましい。更に、いくつかの支持ブロックは、主となる支持ブロック構造から外側に向かって延在する水平シェッドを備えることができる。絶縁モジュールを、角リング又はカラーと組み合わせることも可能である。
図4では、シェッド435が支持ブロックの間に入れられるため、変圧器の絶縁特性が最大になる。
【0036】
図5Aは、一例に従った、1片に鋳造された絶縁モジュールの断面図である。絶縁モジュール500は、支持ブロックカラム510、一体化された誘電体スクリーン520、及びカラー525を備えることができる。支持ブロックカラム及び誘電体スクリーンは、1片に鋳造可能であり、例えばエポキシ樹脂で作成可能である。したがって、沿面を増加させるために、様々な突出部が支持ブロックから外側に向かって延在可能である。カラー525は、スクリーン520の頂部上に存在可能である。他の例では、誘電体スクリーンは、同じ鋳型を使用して鋳造すること、及び、樹脂で作ることも可能である。
【0037】
図5Bは、一例に従った、絶縁モジュールを伴う変圧器部分の斜視図である。変圧器550は、絶縁モジュール555、巻線560、円筒形バリア565、及びカラー570を備えることができる。絶縁モジュール555は、支持ブロック557及び誘電体スクリーン559を備えることができる。誘電体スクリーン559は、支持ブロックカラムに平行な第1の部分を有すること、及び、円筒形バリア565間の空間に収まるように配置することが可能である。第2の部分は、第1の部分に対して垂直に、好ましくは直角であり得、支持ブロックカラムを横切ることが可能である。カラー570は、誘電体スクリーン559の第2の部分の頂部上に存在することができる。
【0038】
図6は、一例に従った、1片に鋳造された絶縁モジュールを伴う変圧器の断面図である。変圧器600は、第1の巻線605及び第2の巻線650を備える。第1の巻線605の頂部上に、絶縁モジュール610が存在可能である。より具体的には、絶縁モジュール610は、支持ブロックカラム615及び誘電体スクリーン620を備えることができる。円筒形バリアを、第1の巻線605と第2のバリア650との間に配置することができる。誘電体スクリーンの第1の部分は、円筒形バリア間の空間内に配置すること、円筒形バリアを置超えて延在すること、及び、第1の部分に対して垂直な、好ましくは直角な第2の部分と周縁で接続することが、可能である。第2の部分は、支持ブロックカラムを横切り、支持ブロックカラムを超えて延在することが可能である。カラー625は、誘電体スクリーン620の第2の部分の頂部上に存在可能である。
【0039】
本明細書ではいくつかの例のみが開示されているが、他の代替、修正、用途、及び/又はそれらの等価物が可能である。更に、説明した例のすべての可能な組み合わせもカバーされている。したがって、本開示の範囲は、特定の例によって限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるものとする。特許請求の範囲において、図面に関する参照記号が括弧で囲まれている場合、それらは単に特許請求の範囲の明瞭度を上げるための試みであって、特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。