(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】バッチ炉で利用されるウェハカセットを収納するための収納装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230123BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20230123BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 T
H01L21/02 D
(21)【出願番号】P 2020520099
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 NL2018050791
(87)【国際公開番号】W WO2019103613
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ガルセン, アドリアーン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-105206(JP,A)
【文献】特開平06-021197(JP,A)
【文献】米国特許第04986715(US,A)
【文献】特開平7-183230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/673
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハカセット(C)を収納する収納装置(10)であって、
複数のウェハ(W)を収容するよう構成および配置されている複数のウェハカセット(C)を収納するカセット収納カルーセル(12)
を備え、
前記カセット収納カルーセル(12)は、
前記カセット収納カルーセルへ、および、前記カセット収納カルーセルから、カセットまたはウェハを搬送するよう構成されている開口(18、20)を少なくとも1つ含むカルーセル筐体(16)と、
ウェハカセット(C)を収容する前記カルーセル筐体(16)の内部において垂直軸を中心として回転可能となるように実装されている中央支持部に接続されている少なくとも1つのプラットフォームステージ(22)と、
前記少なくとも1つのプラットフォームステージ(22)と共に前記中央支持部を回転させるべく前記中央支持部に動作可能に接続されている駆動アセンブリと、
前記カルーセル筐体(16)によって画定されており、内部に前記プラットフォームステージ(22)を収容している小規模環境チャンバ(24)と、
気体再循環回路と
を有し、前記気体再循環回路は、
垂直方向に延伸するとともに前記中央支持部が画定している気体流入チャネル(26)であって、前記中央支持部は、前記垂直軸(L)を中心として回転可能な
気体流入ダクト(28)として具現化されており、前記気体流入ダクト(28)には、前記気体流入チャネル(26)と前記小規模環境チャンバ(24)との間を流体接続する複数の気体流入開口(30)があり、前記複数の気体流入開口(30)が前記気体流入ダクト(28)の高さおよび周方向にわたって分散して設けられていることにより、利用時には、気体が径方向外側に方向付けられ、前記小規模環境チャンバ(24)へ流入する、気体流入チャネル(26)と、
前記小規模環境チャンバ(24)と、
前記カルーセル筐体(16)の底壁(36)に設けられている複数の気体流出開口(34)であって、プレナム筐体(38)が、前記底壁(36)の下方に延在しているプレナムチャンバ(40)を画定していることにより、前記複数の気体流出開口(34)によって前記小規模環境チャンバ(24)と前記プレナムチャンバ(40)との間を流体接続する、複数の気体流出開口(34)と、
プレナムチャンバ流出
口(42)と、
前記プレナムチャンバ流出口(42)にポンプ流入ダクト(48)を介して接続されている気体循環ポンプ流入口(46)、および、回転可能な前記気体流入ダクト(28)の流入端部(28a)にポンプ流出ダクト(52)を介して接続されている気体循環ポンプ流出口(50)を有する気体循環ポンプ(44)と
を含む、収納装置。
【請求項2】
前記プレナムチャンバ(40)は、前記底壁(36)の表面積のうち少なくとも60%にわたって、前記底壁(36)の下方に延在している、請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記プレナム筐体(38)は、ドーナツ形状であり、途切れている部分がプレナム筐体凹部(38a)を形成しており、前記プレナム筐体凹部(38a)の近くに配置されている前記気体流出開口(34)は、前記プレナム筐体凹部(38a)からより離れた位置にある前記気体流出開口(34)よりも大きい、請求項1または2に記載の収納装置(10)。
【請求項4】
ベースフレーム(54)と、
標準的なボールベアリング(56)として具現化されているカルーセルベアリングであって、内輪(58)は前記
気体流入ダクト(28)の前記流入端部(28a)に固定接続されており、外輪(60)は前記ベースフレーム(54)に固定接続されている、カルーセルベアリングと
をさらに備える、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の収納装置(10)。
【請求項5】
前記カルーセル筐体(16)および前記プレナム筐体(38)は前記ベースフレーム(54)に接続されている、請求項4に記載の収納装置。
【請求項6】
実質的に環状であり、回転する前記気体流入ダクト(28)の前記流入端部(28a)と、前記カルーセル筐体(16)の前記底壁(36)との間を実質的に気密に接続する、第1の気体封止部(62)
を備える、請求項1から5の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項7】
実質的に環状であり、回転する前記気体流入ダクト(28)の前記流入端部(28a)と、前記ポンプ流出ダクト(52)の流出端部(52a)との間を実質的に気密に接続する、第2の気体封止部(64)
を備える、請求項1から6の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項8】
前記第1の気体封止部(62)および前記第2の気体封止部(64)の2つのみが、前記カセット収納カルーセル(12)の回転する部材と前記カセット収納カルーセル(12)の回転しない部材との間を気密に接続するために前記収納装置に設けられる気体封止部である、請求項6に従属している場合の請求項7に記載の収納装置。
【請求項9】
前記駆動アセンブリは、
前記気体流入ダクト(28)の前記流入端部(28a)に実装されている環状の従動はめば歯車(66)と、
駆動はめば歯車(70)が実装されているシャフトを持つ駆動モータ(68)と、
前記駆動はめば歯車(70)と前記従動はめば歯車(66)とを動作可能に接続する歯付きベルト(72)と
を含む、請求項1から8の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項10】
前記カセット収納カルーセル(12)に収納されているカセット(C)とウェハボート(B)との間で各ウェハ(W)を搬送するウェハ搬送ロボット(14)と、
前記ウェハ搬送ロボット(14)が収容されている第2の小規模環境チャンバ(74)であって、第2の小規模環境気体流入部が設けられている第2の小規模環境チャンバ(74)と、
前記ポンプ流出ダクト(52)から分岐しており、前記ポンプ流出ダクト(52)と前記第2の小規模環境気体流入部とを流体接続する分岐ダクト(80)であって、1つの前記気体循環ポンプ(44)は、前記カルーセル筐体(16)が画定しており前記プラットフォームステージ(22)が収容されている前記小規模環境チャンバ(24)に気体を供給すると共に、前記ウェハ搬送ロボット(14)が収容されている前記第2の小規模環境チャンバ(74)にも気体を供給する、分岐ダクト(80)と
をさらに備える、請求項1から請求項9の何れか一項に記載の収納装置(10)。
【請求項11】
前記気体再循環回路は、前記複数の気体流入開口(30)の上方に延在している気体流入フィルタアセンブリ(32)を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項12】
前記カルーセル筐体(16)の底壁(36)に設けられている前記複数の気体流出開口(34)のサイズおよび位置は、前記底壁(36)が気体流配流板を形成するように、そして、利用時には実質的に回転対称の気体流が前記小規模環境チャンバ(24)において得られるように設定されている、請求項1から11の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項13】
前記カルーセル筐体(16)に設けられている少なくとも1つの前記開口は、前記カセット収納カルーセル(12)へ、および、前記カセット収納カルーセル(12)から、カセット(C)を搬送するよう構成されている少なくとも1つのカセット搬送開口(18)を含む、請求項1から12の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項14】
前記カルーセル筐体(16)に設けられている少なくとも1つの前記開口(20)は、前記カルーセル筐体内に収納されているウェハカセット(C)へ、および、前記ウェハカセット(C)から、ウェハ(W)を搬送することができるように設けられている少なくとも1つのウェハ搬送開口(20)を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項15】
利用時に、前記小規模環境チャンバ(24)内の圧力が、前記収納装置(10)が収容されている周囲環境の周囲気圧(P
AM)よりも高い圧力(P
ME)になるように、構成および配置されている、請求項1から14の何れか一項に記載の収納装置。
【請求項16】
バッチ炉アセンブリであって、
請求項1から15の何れか一項に記載の収納装置と、
少なくとも1つのバッチ炉ステーション(13)であって、前記バッチ炉ステーション(13)で処理すべきウェハ(W)を支持する少なくとも1つのウェハボート(B)を有する少なくとも1つのバッチ炉ステーション(13)と、
前記カセット収納カルーセル(12)に収納されているカセット(C)と、前記少なくとも1つのバッチ炉ステーション(13)が有する前記少なくとも1つのウェハボート(B)のうちの一のウェハボート(B)との間で、各ウェハ(W)を搬送するウェハ搬送ロボット(14)と、
を備えるバッチ炉アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハボートにおいて支持されているウェハのバッチをバッチ処理するための炉で利用される収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,407,449号は、それぞれが複数のウェハWを収容するウェハカセットCを複数収納するカセット収納カルーセル(
図1および
図2を参照のこと)を備える収納装置付きバッチ炉を開示している。収納装置はさらに、カセット収納カルーセル内に収納されているカセットCと、バッチ炉ステーション13内に収容されているウェハボートBとの間で個々のウェハWを搬送するウェハ搬送ロボット14を備えるとしてよい(
図1を参照のこと)。
【0003】
カセット収納カルーセル12は、カセット収納カルーセル12へ、および、カセット収納カルーセル12から、カセットCを搬送するよう構成されているカセット搬送開口18が少なくとも1つ設けられているカルーセル筐体16を含むとしてよい。カルーセル筐体16にはさらに、カルーセル筐体16内に収納されているカセットCへ、および、カセットCから、ウェハWを搬送することができるように設けられているウェハ搬送開口20が少なくとも1つ設けられている。
【0004】
カルーセル筐体16には複数のプラットフォームステージ22が収容されており、複数のプラットフォームステージ22は、垂直軸を中心として回転可能に実装されている中央支持部に接続されている。プラットフォームステージ22はそれぞれ、複数のカセットCを収容するように構成されている。カセット収納カルーセル12は、駆動アセンブリを含む。駆動アセンブリは、複数のプラットフォームステージ22と共に中央支持部を回転させるべく中央支持部に動作可能に接続されている。カルーセル筐体16は小規模環境チャンバ24を画定しており、チャンバ24にプラットフォームステージ22が収容されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ロバスト性が高く、流れ抵抗が低く、製造が容易な、上述した種類の収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を実現するべく、本発明は請求項1に記載の収納装置を提供する。収納装置は、複数のウェハを収容するよう構成および配置されている複数のウェハカセットを収納するカセット収納カルーセルを備える。カセット収納カルーセルは、
カセット収納カルーセルへ、および、カセット収納カルーセルから、カセットまたはウェハを搬送するよう構成されている開口を少なくとも1つ含むカルーセル筐体と、
ウェハカセットを収容するカルーセル筐体の内部において垂直軸を中心として回転可能に実装されている中央支持部に接続されている少なくとも1つのプラットフォームステージと、
少なくとも1つのプラットフォームステージと共に中央支持部を回転させるべく中央支持部に動作可能に接続されている駆動アセンブリと、
カルーセル筐体によって画定されており、内部にプラットフォームステージを収容している小規模環境チャンバと、
気体再循環回路と
を備える。
【0007】
そして気体再循環回路は、
垂直方向に延伸すると共に中央支持部が画定している気体流入チャネルであって、中央支持部は垂直軸を中心として回転可能である中央気体流入ダクトとして具現化されており、気体流入ダクトには気体流入チャネルと小規模環境チャンバとの間を流体接続する複数の気体流入開口が設けられ、複数の気体流入開口が気体流入ダクトの高さおよび周方向にわたって分散して設けられていることにより、利用時には、気体が径方向外側に向かって小規模環境チャンバに流入する、気体流入チャネルと、
小規模環境チャンバと、
カルーセル筐体の底壁に設けられる複数の気体流出開口であって、プレナム筐体が、底壁の下方に延在しているプレナムチャンバを画定していることにより、複数の気体流出開口によって小規模環境チャンバとプレナムチャンバとの間を流体接続する、複数の気体流出開口と、
プレナムチャンバ流出口と、
プレナムチャンバ流出口にポンプ流入ダクトを介して接続されている気体循環ポンプ流入口、および、回転可能な気体流入ダクトの流入端部にポンプ流出ダクトを介して接続されている気体循環ポンプ流出口を有する気体循環ポンプと
を有する。
【0008】
複数の気体流出開口を持つ底壁が設けられているので、小規模環境チャンバの下方に延在しているプレナムチャンバと組み合わせることで、公知のシステムに比べて流れ抵抗が非常に低い気体再循環経路が形成される。それと同時に、回転対称な流れが小規模環境チャンバ内に得られる。これは、回転対称で径方向外側に方向付けられた気体が、気体流入ダクトの高さおよび周方向にわたって分散している気体流入ダクト内の気体流入開口を通って流入するためであり、また、底壁に設けられている気体流出開口のサイズおよび位置が理由である。小規模環境チャンバ内部において対称な気体の流れパターンが得られるので、カセット内のウェハはすべて、粒子を含まないフィルタリング済みの気体の実質的な層流によって周囲を取り囲まれる。この結果、ウェハが粒子で汚染される可能性は最小限に抑えられる。プレナムチャンバが底壁の下方に配置されているという事実から、プレナムチャンバ流出口は気体流入ダクトの流入端部の非常に近くに配置されている。このため、ポンプ流入ダクトおよびポンプ流出ダクトの長さを非常に短くできるので、両ダクトの流れ抵抗が最小限に抑えられる。ポンプの容量または出力は、先行技術に係る装置に比べて相対的に小さく抑えられ得る。これは、再循環回路の流れ抵抗が先行技術に係る装置の流れ抵抗に比べて比較的低いためである。
【0009】
本発明はさらに、
本発明に係る収納装置と、
少なくとも1つのバッチ炉ステーションであって、当該バッチ炉ステーションで処理すべきウェハを支持する少なくとも1つのウェハボートを有する少なくとも1つのバッチ炉ステーションと、
カセット収納カルーセルに収納されているカセットと、少なくとも1つのバッチ炉ステーションが有する少なくとも1つのウェハボートのうち一のウェハボートとの間で、各ウェハを搬送するウェハ搬送ロボットと
を備えるバッチ炉アセンブリを提供する。
【0010】
本発明に係るバッチ炉アセンブリは、本発明に係る収納装置に関して上述した利点と同様の利点を持つ。
【0011】
従属項においてさまざまな実施形態を請求するが、図面に図示している例を参照しつつさらに説明する。これらの実施形態は組み合わせるとしてもよいし、または、互いに別々に適用するとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】米国特許第5,407,449号に開示されている先行技術に係る装置を示す概略上面図である。
【0013】
【
図2】米国特許第5,407,449号に開示されている先行技術に係る装置のカセット収納カルーセルを示す斜視図である。
【0014】
【
図3】本発明に係る収納装置の一例を示す垂直断面斜視図である。
【0015】
【
図4】
図3に示した例の下側部分を示す別の垂直断面斜視図である。
【0016】
【
図5】小規模環境チャンバの底壁を示す、小規模環境チャンバの水平断面図である。
【0017】
【
図6】気体流入ダクトの流入端部および駆動アセンブリを示す、プレナムチャンバの水平断面図である。
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願では、同様または対応する特徴は同様または対応する参照符号で表す。さまざまな実施形態の説明は図面に図示した例に限定されるものではなく、詳細な説明および請求項で用いる参照番号は、実施形態の説明を限定することを意図したものではなく、図面に図示した例を参照することで実施形態を明確にするために記載している。
【0020】
本発明は、最大限一般的な用語で表現すると、ウェハカセットCを収納する収納装置10を提供する。収納装置10は、ウェハボートBにおいて支持されているウェハのバッチをバッチ処理するための少なくとも1つのバッチ炉ステーション13と共に利用されるとしてよい。収納装置10は、複数のウェハWを収容するように構成および配置されている複数のウェハカセットCを収納しているカセット収納カルーセル12を備える。
【0021】
カセット収納カルーセル12は、カセット収納カルーセル12へ、および、カセット収納カルーセル12から、カセットまたはウェハWを搬送するよう構成されている開口18を少なくとも1つ含むカルーセル筐体16を有する。
【0022】
カセット収納カルーセル12は、ウェハカセットCを収容するカルーセル筐体16の内部で垂直軸を中心として回転可能に実装されている中央支持部に接続されている少なくとも1つのプラットフォームステージ22を有する。駆動アセンブリは、少なくとも1つのプラットフォームステージ22と共に中央支持部を回転させるべく、中央支持部に動作可能に接続されている。カルーセル筐体16は小規模環境チャンバ24を画定しているとしてよく、小規模環境チャンバ24にプラットフォームステージ22が収容されている。
【0023】
本発明に係る収納装置は、気体再循環回路を備えるとしてよい。気体再循環回路は、垂直方向に延伸すると共に中央支持部によって画定されている気体流入チャネル26を有する。中央支持部は、垂直軸Lを中心として回転可能な中央気体流入ダクト28として具現化されている。気体流入ダクト28には、気体流入チャネル26と小規模環境チャンバ24との間を流体接続する複数の気体流入開口30がある。複数の気体流入開口30は、気体流入ダクト28の高さおよび周方向にわたって分散して設けられている。利用時には、気体が径方向外側に方向付けられて小規模環境チャンバ24へ流入する。そして、再循環回路は、小規模環境チャンバ24を有し、続いて複数の気体流出開口34が設けられている。気体流出開口34は、カルーセル筐体16の底壁36に設けられている。続いて、気体再循環回路は、底壁36の下方に延在するプレナムチャンバ40を画定するプレナム筐体38を有する。この結果、複数の気体流出開口34が、小規模環境チャンバ24とプレナムチャンバ40との間を流体接続する。プレナムチャンバには、プレナムチャンバ流出口42がある。最後に、気体再循環回路は、プレナムチャンバ流出口42にポンプ流入ダクト48を介して接続されている気体循環ポンプ流入口46と、回転可能な気体流入ダクト28の流入端部28aにポンプ流出ダクト52を介して接続されている気体循環ポンプ流出口50とを含む気体循環ポンプ44を有する。
【0024】
「発明の概要」のセクションで上述したように、複数の気体流出開口34が設けられている底壁36が設けられていると同時に、プレナムチャンバ40が小規模環境チャンバ24の下方で延在していることにより、公知のシステムに比べて流れ抵抗が非常に低い気体再循環経路が形成される。同時に、小規模環境チャンバ24内では回転対称の流れが得られるとしてよい。これは、気体流入ダクト28の高さおよび周方向にわたって分散して設けられている気体流入開口30を通って気体が回転対称で径方向外側に方向付けられた流れで流入するためであり、そして、底壁36における気体流出開口34のサイズおよび位置が理由である。この結果、カセットC内のウェハWはすべて、粒子を含まないフィルタリング済みの気体の実質的な層流によって周囲を取り囲まれるので、ウェハが粒子で汚染される可能性は最小限に抑えられる。
【0025】
プレナムチャンバ40が底壁36の下方に配置されているので、プレナムチャンバ流出口42の位置は気体流入ダクト28の流入端部28aに非常に近い。このため、ポンプ流入ダクト48およびポンプ流出ダクト52の長さを非常に短くできるので、両ダクト48、52の流れ抵抗が最小限に抑えられる。気体循環ポンプ44の容量または出力は、比較的小さく抑えられ得る。
【0026】
図面に一例を図示しているある実施形態において、プレナムチャンバ40は底壁36の下方に延在しているが、底壁36の表面積のうち少なくとも60%にわたって延在しているとしてよい。
【0027】
プレナムチャンバ40は底壁36の表面積のうち可能な限り広範囲にわたって延在することが好ましい。これによって、小規模環境チャンバ24からプレナムチャンバ40へ流出する気体は、可能な限り、垂直軸Lを中心とした回転対称となるとしてよい。カバーする割合を少なくとも60%とすることで、小規模環境チャンバ24において良好な回転対称流れを実現することができる。
【0028】
図面(
図6を参照のこと)に一例を図示しているある実施形態において、プレナム筐体38はドーナツ形状であるとしてよく、途切れている部分がプレナム筐体凹部38aを形成している。プレナム筐体凹部38aの近くに配置されている気体流出開口34は、プレナム筐体凹部38aからより離れた位置にある気体流出開口34よりも大きいとしてよい。
【0029】
このドーナツ形状は、プレナム筐体凹部38aを除いて、中心にある垂直軸Lを中心として略回転対称であり、プレナム筐体凹部38aは、回転可能な気体流入ダクト38の流入端部28aへ到達し易くなるように設けられている。このように到達できることは、保守点検面で必要とされていることを考えると、例えば、気体封止部62、64、駆動アセンブリ等を交換する上で、有益である。しかし、プレナム筐体凹部38aは、追加で対策を取らなければ、小規模環境チャンバ24内の回転対称気体流を乱す可能性がある。プレナム筐体凹部38aの近くに配置されている気体流出開口34はプレナム筐体凹部38aからより離れた位置にある気体流出開口34よりも大きいので、プレナム筐体38が完全に回転対称な形状でないとしても、小規模環境チャンバ24内で実質的に回転対称な流れパターンが得られるとしてよい。
【0030】
図面(
図4および
図7を参照のこと)に一例を図示しているある実施形態において、収納装置10は、ベースフレーム54と、標準的なボールベアリング56として具現化されているカルーセルベアリングとを備えるとしてよい。このような実施形態の標準的なボールベアリング56において、内輪58は流入ダクト28の流入端部28aに固定接続されており、外輪60はベースフレーム54に固定接続されているとしてよい。
【0031】
米国特許第5,407,449号は、どのように気体流入ダクト28が回転可能にベースフレームに接続されているのか開示していない。ステージを有する中央ダクトの支持部は、複雑性が高い場合があり、特別に設計され構成されたベアリングサポートが必要になるが、高コストである。これとは対照的に、本発明によれば、中央の気体流入ダクト28および気体流入ダクト28に接続されているプラットフォームステージ22を支持するために用いられるのは単純で標準的なボールベアリング56であるとしてよい。また、カルーセル筐体16の底壁36は固定されており、底壁36に設けられている複数の気体流出開口34を通る戻り流によって、中央にある支持部の回転を容易に実現できるようになる。
【0032】
図面に一例を図示しているある実施形態において、カルーセル筐体16およびプレナム筐体38はベースフレーム54に接続されている。
【0033】
本実施形態が提供する構造は、単純で、ロバスト性および安定性が高く、製造が容易である。
【0034】
図面(
図4および
図7を参照のこと)に一例を図示しているある実施形態において、収納装置10は第1の気体封止部62を備えるとしてよい。第1の気体封止部62は、実質的に環状であり、回転する気体流入ダクト28の流入端部28aと、カルーセル筐体16の底壁36との間を実質的に気密に接続する。
【0035】
図面(
図4および
図7を参照のこと)に一例を図示しているある実施形態において、収納装置10は第2の気体封止部64を備えるとしてよい。第2の気体封止部64は、実質的に環状であり、回転する気体流入ダクト28の流入端部28aと、ポンプ流出ダクト52の流出端部52aとの間を実質的に気密に接続する。
【0036】
ある実施形態において、第1および第2の気体封止部62、64の2つのみが、カセット収納カルーセル12の回転する部材とカセット収納カルーセル12の回転しない部材との間を気密に接続するために収納装置に設けられる気体封止部であってよい。
【0037】
本実施形態において、気体流入ダクト28の流入端部28a等の回転部材が非回転部材、つまり、第1の気体封止部62については底壁36に、第2の気体封止部64についてはポンプ流出ダクト52の流出端部52aに隣接している位置において気体再循環回路を封止するために必要であるのは、これら2つの気体封止部62、64のみである。
【0038】
必要な気体封止部が62、64の2つのみであるという点が改善点である。気体封止部は収納装置10の保守点検を行う場合に交換が必要になる部品であることを鑑みると、収納装置10において回転部材と非回転部材との間に設けられる気体封止部の数を2にまで減らすことは有益である。このように気体封止部の数を減らすことで気体再循環回路において漏れが発生する可能性を最小限に抑えることも明らかである。
【0039】
図面に一例を図示しているある実施形態において、駆動アセンブリは、気体流入ダクト28の流入端部28aに実装されている環状の従動はめば歯車66を有するとしてよい。さらに、駆動アセンブリは、駆動はめば歯車70が実装されているシャフトを有する駆動モータ68を有するとしてよい。歯付きベルト72は、駆動はめば歯車70を従動はめば歯車66に動作可能に接続する。
【0040】
歯付きベルト72および2つのはめば歯車を用いた駆動には、遊びがないという利点がある。この結果、駆動方向が反転しても衝撃等が発生しない。このため、中央の気体流入ダクト28およびプラットフォームステージ22の回転駆動は、滑らかで安定しており、保守点検が行いやすい。これは、システム内で乱れまたは衝撃が発生する度に粒子が放出される可能性があり、このような粒子の放出はバッチ炉ステーション13で処理する必要があるウェハまたは処理されたウェハに対して悪影響を及ぼすことを考えると抑制すべきであるので、有益である。
【0041】
図面に一例を図示しているある実施形態において、収納装置10は、カセット収納カルーセル12内に収納されているカセットCとウェハボートBとの間で各ウェハWを搬送するウェハ搬送ロボット14を備えるとしてよい。収納装置はさらに、ウェハ搬送ロボット14を収容する第2の小規模環境チャンバ74を備えるとしてよい。第2の小規模環境チャンバ74には第2の小規模環境気体流入部が設けられているとしてよい。さらに、収納装置10は分岐ダクト80を備えるとしてよい。分岐ダクト80は、ポンプ流出ダクト52から分岐しており、ポンプ流出ダクト52と第2の小規模環境気体流入部とを流体接続する。1つの気体循環ポンプ44を用いて、カルーセル筐体16が画定しておりプラットフォームステージ22を収容している小規模環境チャンバ24に気体を供給すると共に、ウェハ搬送ロボット14が収容されている第2の小規模環境チャンバ74にも気体を供給している。第2の小規模環境チャンバ74の流出部はプレナムチャンバ40に流体接続されているとしてよい。
【0042】
本明細書で開示しているように収納装置10の気体再循環回路の流れ抵抗が非常に低いので、同一の気体循環ポンプ44を用いて、ウェハ搬送ロボット14が収容されている第2の小規模環境チャンバ74にも供給することが可能になる。本実施形態に係る解決方法は、運転コストおよび保守点検時の要件が減ることから、有益であることは明らかである。また、第2の気体循環ポンプの投資コストの分、費用が削減できる。
【0043】
ある実施形態において、気体再循環回路は、複数の気体流入開口30の上方に延在する気体流入フィルタアセンブリ32を有するとしてよい。このような気体流入フィルタアセンブリ32は、小規模環境チャンバ24における粒子数を最小限に抑える役割を持つ。
【0044】
ある実施形態において、カルーセル筐体16の底壁36に設けられている複数の気体流出開口34のサイズおよび位置は、底壁36が気体流配流板を形成するように、そして、利用時には実質的に回転対称の気体流が小規模環境チャンバ24において得られるように、設定されているとしてよい。
【0045】
底壁36における気体流出開口34の位置およびサイズを適切に選択することで、例えば、底壁36のうち特定部分において途切れているために底壁36が完全に回転対称ではない場合であっても、小規模環境チャンバ24において良好な回転対称流れが形成されるとしてよい。
【0046】
ある実施形態において、カルーセル筐体16における少なくとも1つの開口18は、カセット収納カルーセル12へ、および、カセット収納カルーセル12から、ウェハカセットCを搬送するよう構成されている少なくとも1つのカセット搬送開口18を構成するとしてよい。ウェハカセットWは、このカセット搬送開口18を通って、カセット収納カルーセル12が収容されている小規模環境チャンバ24へ、および、小規模環境チャンバ24から、搬送されるとしてよい。
【0047】
ある実施形態において、カルーセル筐体16に設けられている少なくとも1つの開口は、カルーセル筐体内に収納されているカセットへ、および、カセットから、ウェハを搬送することができるように設けられている少なくとも1つのウェハ搬送開口20を構成するとしてよい。ウェハWは、ウェハ搬送開口20を通って、例えば、カセット収納カルーセル12のプラットフォームステージ22上の小規模環境チャンバに収容されているウェハカセットWへ、および、ウェハカセットWから、ウェハ搬送ロボットによって搬送されるとしてよい。
【0048】
ある実施形態において、収納装置10は、利用時に、小規模環境チャンバ24内の圧力が、収納装置10が収容されている周囲環境の周囲気圧PAMよりも高い圧力PMEになるように、構成および配置されているとしてよい。
【0049】
このため、周囲環境から小規模環境チャンバ24への粒子の侵入が抑制される。
【0050】
最後に、本開示は、
本発明に係る収納装置と、
少なくとも1つのバッチ炉ステーション13であって、当該バッチ炉ステーション13で処理すべきウェハWを支持する少なくとも1つのウェハボートBを有する少なくとも1つのバッチ炉ステーション13と、
カセット収納カルーセル12に収納されているカセットCと、少なくとも1つのバッチ炉ステーション13が有する少なくとも1つのウェハボートBのうちの一のウェハボートBとの間で、各ウェハWを搬送するウェハ搬送ロボット14と、
を備えるバッチ炉アセンブリを提供する。
【0051】
上述したさまざまな実施形態は、それぞれ別々に利用および実装されるとしてもよいし、さまざまな方法で組み合わせるとしてもよい。詳細な説明および請求項で記載した参照番号は、実施形態に説明を限定するものではなく、請求項を限定するものでもない。参照番号は説明を明確にすることのみを目的として用いている。