(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】光学測定用試料収容器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20230123BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/03 Z
(21)【出願番号】P 2020526176
(86)(22)【出願日】2018-11-12
(86)【国際出願番号】 IB2018058861
(87)【国際公開番号】W WO2019097387
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-09
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518076469
【氏名又は名称】エス.ディー.サイト ダイアグノスティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨラヴ-ラファエル、ノーム
(72)【発明者】
【氏名】ポラック、ヨセフ ヨエル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ シュライアー、サラ
(72)【発明者】
【氏名】エシェル、ヨハイ シュロモ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-057600(JP,A)
【文献】特開2009-268432(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137543(WO,A1)
【文献】特表2005-516336(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203320(WO,A2)
【文献】特表2018-525611(JP,A)
【文献】米国特許第06027695(US,A)
【文献】特開平08-313340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
G01N 33/48-G01N 33/98
G01N 35/00-G01N 35/10
G01J 1/00-G01J 1/60
C09C 1/00-C09C 1/68
C09K 9/00-C09K 9/02
C09K 11/00-C09K 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体由来の試料と共に使用するための装置であって、前記装置は、
出力デバイスと、
前記身体由来の試料の一部を収容するように構成されている試料収容器であって、前記試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光
を出すように構成されている試料収容器と、
光学測定デバイスと、
前記光学測定デバイスに操作可能に連結されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサとを含み、
前記光学測定デバイスは、
前記試料収容器内に収納される前記身体由来の試料の前記一部に対して光学測定を行うように構成され、かつ、
前記試料収容器の前記一
部の区域
に蛍光
を出させることにより、前記区域を少なくとも部分的に光退色させるように構成されており、
前記コンピュータプロセッサは、
前記試料収容器の前記一
部の前記区域が光退色されたことを検出するように構成され、かつ、
それに応答して、
前記試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを示す前記出力デバイスの出力を生成すること、
前記試料収容器の一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを示す前記出力デバイスの出力を生成すること、及び
前記試料収容器の一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について、前記光学測定デバイスが光学測定を行うことを妨げること
からなる群から選択される1つ以上の
動作を行うように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置が、光学測定ユニットをさらに含み、前記光学測定ユニットは、前記光学測定デバイスが前記身体由来の試料の前記一部に対して前記光学測定を行う間、前記試料収容器を収納するように構成されているものであって、前記光学測定デバイスは、
前記試料収容器が前記光学測定ユニットの内部に配置されている
結果として前記試料収容器の
前記一部の前記区域を光退色するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光学測定デバイスが、前記試料収容器
内に収納されている前記身体由来の試料の前記一部に対して光学測定を複数回行うように構成され、かつ、前記光学測定デバイスは
、前記光学測定デバイス
が前記光学測定を行う度ごとに、前記試料収容器の異なる区域をそれぞれ光退色するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピュータプロセッサが、前記試料収容器の前記一
部の前記区域が光退色されたことを検出することに応答して、前記試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを示す前記出力デバイスの前記出力を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記コンピュータプロセッサが、
前記試料収容器の前記一
部の区域が光退色されたとの検出に基づいて、前記試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
前記試料収容器の少なくとも前記一部が所定回数を超えて使用されたと決定したことに応答して、前記出力デバイスの前記出力を生成するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コンピュータプロセッサが、前記試料収容器の前記一
部の前記区域が光退色されたことを検出することに応答して、前記試料収容器の前記一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを示す前記出力デバイスの前記出力を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記コンピュータプロセッサが、
前記試料収容器の前記一
部の前記区域が光退色されたとの検出に基づいて、前記試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
前記試料収容器の少なくとも前記一部が所定回数を超えて使用されたと決定したことに応答して、前記出力デバイスの前記出力を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コンピュータプロセッサが、前記試料収容器の前記一
部の前記区域が光退色されたことを検出することに応答して、前記試料収容器の前記一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について、前記光学測定デバイスが光学測定を行うことを妨げるように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記コンピュータプロセッサが、
前記試料収容器
の前
記一部
の前記区域が光退色されたとの検出に基づいて、前記試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
前記試料収容器の少なくとも前記一部が所定回数を超えて使用されたとの決定に応答して、前記光学測定デバイスが前記光学測定を行うことを妨げるように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記光学測定デバイスが、前記試料に対する光学測定を行
って前記試料収容器の前記一部の前記区域に蛍光を出させることによって
前記区域を光退色させるように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記光学測定デバイスが、前記試料について光学測定を行うために前記試料に放射線照射するように構成され、かつ、前記光学測定デバイスは、前記試料に放射線照射
して前記試料収容器の前記一部の前記区域に蛍光を出させることによって
前記区域を光退色させるように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
身体由来の試料と共に使用するための方法であって、前記方法は、
試料収容器内に前記身体由来の試料の一部を配置することを含み、前記試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光
を出すように構成され、及び、
前記身体由来の試料の前記一部は前記試料収容器内に収納されたままで、光学測定デバイスを使用して、前記試料収容器内に収納されている前記身体由来の試料の前記一部に対する光学測定を行うことを含み、
前記試料収容器の前記一
部の区域
に蛍光
を出させることによって、前記区域を少なくとも部分的に光退色させることを含み、及び
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、
前記試料収容器の前記一
部の前記区域が光退色されたことを検出すること、及び
それに応答して、
前記試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを表示する出力を出力デバイス上に生成すること、
前記試料収容器の一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを表示する出力を前記出力デバイス上に生成すること、及び
前記光学測定デバイスが、前記試料収容器の一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について光学測定を行うことを妨げること
からなる群から選択される1つ以上の
動作を行うことを含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記試料収容器の前記一
部の前記区域を前記区域
に蛍光
を出させることによって少なくとも部分的に光退色させることが、前記試料収容器
が光学測定ユニットの内部に配置
されている結果として前記試料収容器の前記一部の前記区域に蛍光を出させることによって前記区域を少なくとも部分的に光退色させることを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光学測定デバイスが、前記試料収容器
内に収納されている前記身体由来の試料の前記一部に対して光学測定を複数回行うように構成され、かつ、前記試料収容器の前記一
部の前記区域を前記区域
に蛍光
を出させることによって少なくとも部分的に光退色させることが、前記試料収容器が前記光学測定デバイスによる測定に使用される度ごとに、前記試料収容器の異なる区域をそれぞれ光退色させることを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の
動作を行うことが、前記試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを表示する前記出力を前記出力デバイス上に生成することを含むことを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、さらに、
前記試料収容器の前記一
部の区域が光退色されたとの検出に基づいて、前記試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと判断することを含むものであって、
前記出力デバイス上の前記出力を生成することが、前記試料収容器の少なくとも前記一部が所定回数を超えて使用されたとの決定に応答して、前記出力デバイス上の前記出力を生成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の
動作を行うことが、前記試料収容器の前記一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを表示する前記出力を前記出力デバイス上に生成することを含むことを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、さらに、
前記試料収容器の前記一
部の区域が光退色されたとの検出に基づいて、前記試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと判断することを含むものであって、
前記出力デバイス上の前記出力を生成することが、前記試料収容器の少なくとも前記一部が所定回数を超えて使用されたとの決定に応答して、前記出力デバイス上の前記出力を生成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の
動作を行うことが、前記光学測定デバイスが、前記試料収容器の前記一部内に収納されている前記試料の少なくとも一部について光学測定を行うことを妨げることを含むことを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、さらに、
前記試料収容器の前記一
部の区域が光退色されたとの検出に基づいて、前記試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと判断することを含むものであって、
前記光学測定デバイスが前記光学測定を行うことを妨げることが、前記試料収容器の少なくとも前記一部が所定回数を超えて使用されたとの決定に応答して前記光学測定デバイスが前記光学測定を行うことを妨げることを含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記試料収容器の前記一
部の前記区域
に蛍光
を出させるこ
とが、前記試料に対する光学測定を行うことによって前記区域
に蛍光
を出させることを含むことを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記試料に対する光学測定を行うことが、前記試料について光学測定を行うために前記試料に放射線照射することを含み、かつ、前記区域
に蛍光
を出させるこ
とが、前記試料
に放射線照射することによって前記区域
に蛍光
を出させることを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Sample carrier for optical measurements」と題する、Yorav-raphaelによる2017年11月14日付出願の米国仮特許出願第62/585,621号に基づく優先権を主張する。
【0002】
上記参照出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の具体的態様の分野
ここに開示する主題のいくつかの応用は、一般的には光学測定に使用される試料収容器に関し、特に、身体由来の試料に対して行われる顕微鏡測定に使用される試料収容器に関する。
【0004】
背景
いくつかの光学ベースの方法(例、診断及び/または分析方法)において、血液試料等の生体試料の特性は、光学測定を行うことにより決定される。例えば、ある成分の密度(例、単位体積当たりのその成分の数)は顕微鏡画像内のその成分を数えることにより決定され得る。同様に、ある成分の濃度及び/または密度は、試料に対して光吸収、透過率、蛍光及び/または発光の測定を行うことにより測定され得る。典型的には、試料を試料収容器内に配置して、測定を試料収容器の小室内に含まれる試料の一部に対して行う。試料収容器の小室内に含まれる試料の一部に対して行われた測定値が、その試料の特性を決定するために分析される。
【0005】
いくつかの応用では、診断テストは、対象から採取した身体由来の試料で満たした試料収容器について行われる。そのような場合、ユーザーがカートリッジを(例えば、その洗浄後に)再使用しようとするリスクがある。これはさらに、一旦使用された試料収容器にその後配置される試料の診断において、例えば、試料収容器の先の使用からの交叉汚染(クロスコンタミネーション)及び/または残留物に起因する、誤った結果を得るリスクにつながり得る。
【発明の概要】
【0006】
具体的態様の概要
本発明のいくつかの応用では、試料収容器は、身体由来の試料を収納するように構成されており、該試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光するように構成されている。いくつかの応用では、試料収容器の一部は、該一部またはその区域が光退色を受けたかどうかを決定するために分析される。該一部またはその区域が光退色を受けたとの検出に応答して、試料収容器またはその一部(例、その小室)が既に使用されたこと、及び/または試料収容器またはその一部(例、その小室)が使用された回数が決定される。いくつかの応用では、上記のステップは、コンピュータプロセッサによって行われる。いくつかの応用では、試料収容器またはその一部(例、その小室)が既に使用された、または、試料収容器またはその一部(例、その小室)の使用が所定の閾値を超えたとの検出に応答して、コンピュータプロセッサが、(a)試料収容器またはその一部(例、その小室)が使用されるべきでないことを示す出力を生成し、(b)試料収容器またはその一部(例、その小室)が汚染されていることを示す出力を生成し、及び/または(c)光学測定デバイスが試料収容器またはその一部(例、その小室)に対して光学測定を行うことを妨げる。
【0007】
いくつかの応用では、試料収容器が使用されると、試料収容器の所定区域が、その区域を光退色することによって標識される。例えば、光学測定デバイスは、試料収容器が光学測定デバイス内部に配置されると、および/または光学測定デバイスが試料収容器に光学測定を行うと、試料収容器の所定区域を光退色するように構成されていてもよい。いくつかの応用では、光学測定は、試料収容器に対して光学測定を行うことによって自動的に試料収容器の所定区域を光退色するように構成されている。例えば、光学測定デバイスは、試料に対して蛍光画像化(イメージング)を行う顕微鏡システムであってもよい。いくつかの応用では、顕微鏡システムが発する励起波長が、試料を蛍光させるために、試料収容器の所定区域の光退色も行う。いくつかの応用では、所定区域の光退色に先立って、コンピュータプロセッサが、上記の技術を使用して試料収容器がまだ使用されていないことを検証する。
【0008】
いくつかの応用では、試料収容器は、再使用されるように構成されているが、限定された回数のみである。いくつかのそのような応用では、試料収容器が使用される度ごとに、試料収容器の異なる区域がそれぞれ光退色されて、コンピュータプロセッサが試料収容器に対して光退色された区域の数及び/または位置を検出することにより何回試料収容器が使用されたかを決定できるようにする。
【0009】
いくつかの応用では、上述の光退色効果は、試料収容器の製造メーカーによって、肉眼では見ることのできない方法で試料収容器に関する製造情報をコードするために使用される。例えば、そのような情報は、本物であることを示す標識(模倣の試料収容器が利用されている蓋然性を低くするためのもの)、試料収容器の型式、製造日、有効期限、製造場所、試験の正確な実行に必要な日付(例えば、試料収容器または複数の試料収容器のバッチに関する較正日)を含んでいてもよい。いくつかのそのような応用では、標識は、線、図、バーコード、英数字等を含む幾何学的模様を使用して付けられる。
【0010】
従って、本発明のいくつかの応用に従い、身体由来の試料と共に使用するための装置が提供され、該装置は、
身体由来の試料の一部を収容するように構成されている試料収容器であって、該試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光するように構成されている試料収容器と、
光学測定デバイスとを含み、該光学測定デバイスは、
試料収容器内に収納される身体由来の試料の一部に対して光学測定を行うように構成され、かつ、
試料収容器の一部内の区域を蛍光させることにより、該区域を少なくとも部分的に光退色させるように構成されている。
【0011】
いくつかの応用において、装置は、光学測定ユニットをさらに含み、該光学測定ユニットは、光学測定デバイスが身体由来の試料の一部に対して光学測定を行う間、試料収容器を収納するように構成され、かつ、該光学測定デバイスは、光学測定ユニットの内部に配置されている試料収容器に応答して、試料収容器の所定区域を光退色するように構成されている。
【0012】
いくつかの応用において、試料収容器は、光学測定デバイスによる複数の測定に使用されるように構成され、かつ、光学測定デバイスは、試料収容器が光学測定デバイスによる測定に使用される度ごとに、試料収容器の異なる区域をそれぞれ光退色するように構成されている。
【0013】
いくつかの応用において、装置は、さらに、
出力デバイスと、
光学測定デバイスに操作可能に連結されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサとを含み、該コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたことを検出するように構成され、かつ、
それに応答して、該試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを示す出力デバイスの出力を生成するように構成されている。
【0014】
いくつかの応用において、コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたとの検出に基づいて、該試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
該試料収容器の少なくとも該一部が所定回数を超えて使用されたと決定したことに応答して、出力デバイスの出力を生成するように構成されている。
【0015】
いくつかの応用において、装置は、さらに、
出力デバイスと、
光学測定デバイスに操作可能に連結されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサとを含み、該コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたことを検出するように構成され、かつ、
それに応答して、試料収容器の所定の一部内に収納されている試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを示す出力デバイスの出力を生成するように構成されている。
【0016】
いくつかの応用において、コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたとの検出に基づいて、該試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
該試料収容器の少なくとも該一部が所定回数を超えて使用されたと決定したことに応答して、出力デバイスの出力を生成するように構成されている。
【0017】
いくつかの応用において、装置は、光学測定デバイスに操作可能に連結されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサをさらに含み、該コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたことを検出するように構成され、かつ、
それに応答して、試料収容器の所定の一部内に収納されている試料の少なくとも一部について、光学測定デバイスが光学測定を行うことを妨げるように構成されている。
【0018】
いくつかの応用において、コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたとの検出に基づいて、該試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
該試料収容器の少なくとも該一部が所定回数を超えて使用されたとの決定に応答して、光学測定デバイスが光学測定を行うことを妨げるように構成されている。
【0019】
いくつかの応用において、光学測定デバイスは、試料に対する光学測定を行うことによって試料収容器の所定区域を光退色させるように構成されている。
【0020】
いくつかの応用において、光学測定デバイスは、試料について光学測定を行うために試料に放射線照射するように構成され、かつ、光学測定デバイスは、試料に放射線照射することによって試料収容器の所定区域を光退色させるように構成されている。
【0021】
さらに、本発明のいくつかの応用に従い、身体由来の試料と共に使用するための方法が提供され、該方法は、
試料収容器内に身体由来の試料の一部を配置することを含み、該試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光するように構成され、及び、
該身体由来の試料の一部は試料収容器内に収納されたままで、光学測定デバイスを使用して、試料収容器内に収納されている身体由来の試料の一部に対する光学測定を行うことを含み、及び、
試料収容器の一部内の区域を蛍光させることによって、該区域を少なくとも部分的に光退色させることを含む。
【0022】
さらに、本発明のいくつかの応用に従い、身体由来の試料と出力デバイスと共に使用するための装置が提供され、該装置は、
身体由来の試料を収容するように構成されている試料収容器であって、該試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光するように構成されている試料収容器と、
試料収容器内に収納される身体由来の試料の一部に対して光学測定を行うように構成されている光学測定デバイスと、
光学測定デバイスに操作可能に連結されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサとを含み、該コンピュータプロセッサは、試料収容器の一部内の区域が光退色されたとの検出に応答して、以下の群、即ち、該試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを示す出力デバイスの出力を生成すること、該試料収容器の所定の一部内に収納されている試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを示す出力デバイスの出力を生成すること、及び、光学測定デバイスが、試料収容器の所定の一部内に収納されている試料の少なくとも一部について光学測定を行うことを妨げることからなる群から選択される作用を行うように構成されている。
【0023】
いくつかの応用において、該コンピュータプロセッサは、
試料収容器の一部内の区域が光退色されたとの検出に基づいて、該試料収容器の少なくとも一部が所定回数を超えて使用されたと決定するように構成され、かつ、
該試料収容器の少なくとも該一部が所定回数を超えて使用されたとの決定に応答して選択された作用を行うように構成されている。
【0024】
さらに、本発明のいくつかの応用に従い、身体由来の試料及び出力デバイスと共に使用するための方法が提供され、該方法は、
試料収容器の内部に身体由来の試料の一部を配置することを含み、該試料収容器の少なくとも一部が、少なくとも一定条件下において蛍光するように構成されており、
試料収容器内に収納されている身体由来の試料の一部に対する光学測定を行うことを含み、及び
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、試料収容器の一部内の区域が光退色されたとの検出に応答して、以下の群、即ち、該試料収容器の少なくとも一部が汚染されていることを示す出力デバイスの出力を生成すること、該試料収容器の所定の一部内に収納されている試料の少なくとも一部について光学測定を行うことができないことを示す出力デバイスの出力を生成すること、及び、光学測定デバイスが、試料収容器の所定の一部内に収納されている試料の少なくとも一部について光学測定を行うことを妨げることからなる群から選択される作用を行うことを含む。
【0025】
さらに、本発明のいくつかの応用に従い、身体由来の試料及び画像化モジュールを有する顕微鏡と共に使用するための装置が提供され、該装置は、
内部に身体由来の試料の一部を収納するように構成された、少なくとも1つの小室を含み、該小室は、上側内表面と下側内表面とを含むものであって、
該上側内表面が第1の標識を含み、かつ、該下側内表面が第2の標識を含むことを特徴とし、及び、
コンピュータプロセッサを含み、該コンピュータプロセッサは、
画像化モジュールを第1の標識に焦点を合わせて、画像化モジュールと第1の標識との間の第1の焦点合わせ距離の表示を登録するように構成され、
画像化モジュールを第2の標識に焦点を合わせて、画像化モジュールと第2の標識との間の第2の焦点合わせ距離の表示を登録するように構成され、かつ、
第1の焦点合わせ距離と第2の焦点合わせ距離との差に基づいて、小室の高さを決定するように構成されている。
【0026】
さらに、本発明のいくつかの応用に従い、身体由来の試料及び画像化モジュールを有する顕微鏡と共に使用するための方法が提供され、該方法は、
少なくとも1つの小室の内部に身体由来の試料の一部を配置させることを含むものであって、該小室は上側内表面と下側内表面とを含み、該上側内表面は第1の標識を含み、及び、該下側内表面は第2の標識を含んでおり、及び、
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用することを含み、該コンピュータプロセッサは、
画像化モジュールを第1の標識に焦点を合わせて、画像化モジュールと第1の標識との間の第1の焦点合わせ距離の表示を登録し、
画像化モジュールを第2の標識に焦点を合わせて、画像化モジュールと第2の標識との間の第2の焦点合わせ距離表示を登録し、及び、
第1の焦点合わせ距離と第2の焦点合わせ距離との差に基づいて、小室の高さを決定する。
【0027】
本発明は、以下の図面と共に示すその具体的態様の詳細な説明から、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの応用に従う生体試料分析システムの構成要素を示すブロック図である。
【
図3-1】
図3A及び
図3Bは、本発明のいくつかの応用に従う、短期の蛍光励起に暴露した直後(
図3A)及び暴露から1週間後(
図3B)の試料収容器に対して検出された光退色パターンを示す。
【
図3-2】
図3Cは、本発明のいくつかの応用に従う、試料収容器を短期の蛍光励起に暴露した直後、試料収容器を短期の蛍光励起に暴露した1週間後、及び試料収容器を短期の蛍光励起に暴露した3週間後に、試料収容器の長さに沿って測定した試料収容器からの蛍光発光のプロットである。
【
図4-1】
図4A、
図4B及び
図4Cは、本発明のいくつかの応用に従う、顕微鏡測定と光学密度測定の両方に使用される試料収容器を様々に示す概略図である。
【
図4-2】
図4A、
図4B及び
図4Cは、本発明のいくつかの応用に従う、顕微鏡測定と光学密度測定の両方に使用される試料収容器を様々に示す概略図である。
【
図5-1】
図5A、
図5B及び
図5Cは、本発明のいくつかの応用に従う、顕微鏡測定と光学密度測定の両方に使用される試料収容器を様々に示す概略図である。
【
図5-2】
図5A、
図5B及び
図5Cは、本発明のいくつかの応用に従う、顕微鏡測定と光学密度測定の両方に使用される試料収容器を様々に示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの応用に従う上側表面と下側表面の標識を含む試料収容器を示す概略図である。
【
図7-1】
図7Aは、本発明のいくつかの応用に従う試料収容器の不規則パターンを示す平面概略図である。
【
図7-2】
図7Bは、本発明のいくつかの応用に従う
図7Aの不規則パターンを傾けた場合を示す模式図である。
【
図8】
図8A、
図8B、
図8C及び
図8Dは、本発明のいくつかの応用に従う光学測定デバイスの画像化モジュールの観察フィールドを通して見た
図7Aの不規則パターンの一部の平面概略図である。
【
図9】
図9A、
図9B、
図9C及び
図9Dは、本発明のいくつかの応用に従う光学測定デバイスの画像化モジュールの観察フィールドを通して見た
図7Bの不規則パターンの一部の平面概略図である。
【
図11-1】
図11Aは、本発明のいくつかの応用に従う試料収容器に付けた三次元不規則パターンの概略図である。
【
図11-2】
図11Bは、本発明のいくつかの応用に従う
図11Aの三次元不規則パターンの一部を示す模式的三次元図である。
【
図12】
図12は、本発明のいくつかの応用に従う、光学測定デバイスの画像化モジュールに対する、試料収容器がとり得るいくつかの平面位置を示す模式的XY位置チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
具体的態様の詳細な説明
以下、本発明のいくつかの応用に従う生体試料分析システム20の構成要素を示すブロック図である、
図1を参照する。典型的には、生体試料(例、血液試料)は、試料収容器22内に配置される。試料が試料収容器内に置かれている間、試料に対する光学測定が1以上の光学測定デバイス24を使用して行われる。例えば、光学測定デバイスは、顕微鏡(例、デジタル顕微鏡)、分光光度計、光度計、分光計、カメラ、スペクトルカメラ、ハイパースペクトルカメラ、蛍光光度計、分光蛍光光度計及び/または光検出器(例えば、光ダイオード、光レジスタ及び/または光トランジスタ)を含んでいてもよい。いくつかの応用では、光学測定デバイスは、専用の光源(例えば、発光ダイオード、白熱光源等)及び/または集光及び/または発光を操るための光学素子(レンズ、ディフューザー、フィルタ等)を含む。いくつかの応用では、参照することにより本明細書に組み込まれる、Greenfieldによる米国特許公開公報第2014/0347459号に記載されるものと概ね同様の顕微鏡システムが使用される。
【0030】
コンピュータプロセッサ28は、典型的には、光学測定デバイスが行った光学測定を受け取って処理する。さらに典型的には、コンピュータプロセッサは、1以上の光学測定デバイスが行った光学測定の取得を制御する。コンピュータプロセッサは、メモリ30と情報交換する。ユーザー(例、ラボの技術者)は、コンピュータプロセッサにユーザーインターフェース32経由で指令を送る。いくつかの応用では、ユーザーインターフェースは、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーン装置(スマートフォンやタブレット型コンピュータ等)、タッチパッド、トラックボール、音声指令インターフェース及び/または本技術分野で知られているその他のタイプのユーザーインターフェースを含む。典型的には、コンピュータプロセッサは、出力デバイス34経由で出力を生成する。さらに典型的には、出力デバイスは、モニタ等のディスプレイを含み、出力は、ディスプレイ上に表示される出力を含む。いくつかの応用では、プロセッサは、例えば、スピーカー、ヘッドフォン、スマートフォンまたはタブレット型コンピュータ等の異なるタイプの視覚、文字、図形、触覚、聴覚、及び/またはビデオの出力デバイスの出力を生成する。いくつかの応用では、ユーザーインターフェース32は、入力インターフェース及び出力インターフェースの両方の役割(即ち、出入力インターフェースとしての役割)を果たす。いくつかの応用では、プロセッサは、ディスクや携帯USBドライブ等のコンピュータ読取り可能な媒体(例、コンピュータ読取り可能な非一時的な媒体)に出力を生成し、及び/またはプリンタに出力を生成する。
【0031】
いくつかの応用では、光学測定デバイス24(及び/またはコンピュータプロセッサ28及びメモリ30)は、光学測定ユニット31の内部に収納される。試料に対して光学測定を行うために、試料収容器22は、光学測定ユニットの内部に配置される。
【0032】
以下、本発明のいくつかの応用に従って試料収容器22を様々に示す概略図である
図2A及び
図2Bを参照する。
図2Aは試料収容器の平面図(説明用に
図2Aにおいて不透明として示す試料収容器の上部のカバー)を示し、
図2Bは底面図を示す(ここでは、
図2Aに示す図に対して、試料収容器が短い方の端部の周りに回転されている。)。いくつかの応用では、試料収容器22は、複数の小室36(例えば、
図2Aに示す5つの小室)を含む。典型的には、小室は、試料挿入孔38経由で、血液等の身体由来の試料で満たされる。いくつかの応用では、小室は、1以上の排出孔40を規定する。排出孔は、小室内に存在する空気が小室から放出されるのを許容することによって、小室が身体由来の試料で満たされるのを容易にするように構成されている。典型的には、図示するように、排出孔は、挿入孔の長手方向に向かい側(試料収容器の試料小室に対して)に位置している。いくつかの応用では、排出孔は、このようにして、挿入孔のより近くに配置されていた場合に比べて、より効率的に空気を逃がすメカニズムを提供する。
【0033】
本発明のいくつかの応用に従う試料収容器22の展開図である
図2Cを参照する。いくつかの応用では、試料収容器は、成形部42、ガラスシート44、及びガラスシートを成形部の裏側に接着するように構成されている接着層46という、少なくとも3つの構成要素を含んでいる。説明用に、ガラスシートを不存在とした成形部と接着層を示す
図2Dも参照する。成形部は、典型的には、所望の幾何学形状をした小室を提供する成形(例、射出成形による)ポリマー(例、プラスチック)製である。例えば、図示する通り、成形部は、典型的には成形されて挿入孔38、排出孔40、及び各小室の中央部を囲む溝48を規定する。溝は、典型的には、空気が排出孔に流れるのを許容することにより、及び/または身体由来の試料が小室の中央部の周りを流れるのを許容することにより、小室を身体由来の試料で満たすのを容易にする。
【0034】
上述の通り、試料が試料収容器内に配置されている間に、1以上の光学測定デバイス24を使用して試料に対して光学測定が行われる。典型的には、試料は、少なくとも光学測定デバイスにより典型的に使用される波長に対して透明なガラスの、ガラス層越しに光学測定デバイスによって見ることができる。典型的には、試料収容器は、光学測定が行われている間光学測定デバイスを収納する光学測定ユニット31に挿入されている。典型的には、光学測定ユニットは、成形層がガラス層の上方に配置され、かつ、光学測定ユニットが試料収容器のガラス層の下方に配置されて、ガラス層越しに試料に対して光学測定を行うことができるように試料収容器を収納する。試料収容器は、ガラスシートを成形部に接着することにより形成される。例えば、ガラスシートと成形部は、(例えば、熱接合、溶媒の補助による接着、超音波溶接、レーザー溶接、熱杭打ち、接着、機械的クランプ及び/または追加の基板を使って)製造または組立て中に互いに接着されてもよい。いくつかの応用では、ガラス層と成形部は、接着層46を使用して、製造または組立て中に互いに接着される。
【0035】
いくつかの応用では、診断テストは、対象から採取した身体由来の試料で満たした試料収容器について行われる。そのような場合、ユーザーがカートリッジを(例えば、その洗浄後に)再使用しようとするリスクがある。これはさらに、一旦使用された試料収容器にその後配置される試料の診断において、例えば、試料収容器の先の使用からの交叉汚染(クロスコンタミネーション)及び/または残留物に起因する、誤った結果を得るリスクにつながり得る。いくつかの応用では、
図2A~
図2Dに示す通り、試料収容器は、複数の小室を規定し、複数の試料を1本のカートリッジの対応する小室内に配置すること、及び/または複数のタイプの診断テストを対応する小室内に配置された1つの試料の対応する一部について行うことを容易にする。そのような場合には、それぞれ異なる時点で、ユーザーが様々なテストを行えるようにするのが望ましいかもしれない。しかしさらに望ましいのは、意図的であれ偶発的であれ、同じ小室を再使用しないことである。場合によっては、試料収容器は再使用されるように構成されていてもよいが、再使用は限定された回数である。いくつかの応用では、試料収容器の再使用、試料収容器の小室の再使用及び/または所定回数を超える試料収容器の再使用を防ぐために、
図3A、
図3B及び
図3Cを参照して以下にさらに詳細に説明する、光退色を行う装置及び技術が使用される。
【0036】
いくつかの応用では、試料収容器22の一部は、少なくとも一定条件下において蛍光するように構成されている。例えば、試料収容器の一部は、光学測定デバイス24が発する光(例、顕微鏡システムが発する明視野光または蛍光発光)に暴露されると蛍光するように構成されていてもよい。あるいは、試料収容器の一部が、光学測定デバイス24が収納される光学測定ユニット31内に配置されると蛍光するように構成されていてもよい。上述の通り、いくつかの応用では、試料収容器22は、接着層46を含む。いくつかの応用では、接着層またはその一部は、上記の方法によって(例、蛍光するように構成されている接着層内の接着剤によって、蛍光するように構成されている追加の材料を含む接着層によって、及び/またはそのような材料で被膜されている接着層によって)蛍光するように構成されている。いくつかの応用では、接着層は、少なくとも一部が蛍光するように構成されている加圧接着剤である。例えば、加圧接着は、少なくとも一部が蛍光するように構成されているアクリル系加圧接着剤であってもよい。いくつかの応用では、蛍光するように構成されている試料収容器の一部は、さらに、蛍光励起(例えば、電磁スペクトルの紫外線部分)に暴露された区域において光退色を受けるように構成されている。例えば、そのような区域は、1分未満、10秒未満または1秒未満の蛍光励起に暴露されると光退色を受けるように構成されていてもよい。典型的には、光退色される区域は、光学測定デバイス24(例、顕微鏡システム)を使用して見ることができ、また、さらに典型的には、光退色は、少なくとも1週間、例えば、少なくとも1ヵ月間または1年間、可視の状態を維持する。
【0037】
以下、本発明のいくつかの応用に従い、短期の蛍光励起に暴露した直後(
図3A)及び暴露から1週間後(
図3B)の試料収容器の顕微鏡画像上の光退色した斑紋50を示す
図3A及び
図3Bを参照する。
図3A及び
図3Bに示す斑紋の直径はおよそ2mmであり、図に示す通り、顕微鏡画像において可視である。
【0038】
また、本発明のいくつかの応用に従い、試料収容器を短期の蛍光励起に暴露した直後(x軸沿いの200~300に最も高いピークを有する曲線)、試料収容器を短期の蛍光励起に暴露した1週間後(x軸沿いの200~300に真ん中のピークを有する曲線)及び試料収容器を短期の蛍光励起に暴露した3週間後(x軸沿いの200~300に最も低いピークを有する曲線)に、試料収容器の長さ(x軸)に沿って測定した、試料収容器からの蛍光発光のプロット(y軸)である
図3Cも参照する。プロットは、最も濃い斑紋と等しい強度を有するように正規化された。
【0039】
図3A~
図3Cに実証される効果に従えば、本発明のいくつかの応用では、試料収容器の一部は、該一部またはその区域が光退色を受けたかどうかを決定するために分析される。光退色を受けたとの検出に応答して、試料収容器またはその一部(例、その小室)が既に使用されたこと、及び/または試料収容器またはその一部(例、その小室)が使用された回数が決定される。いくつかの応用では、上記のステップは、コンピュータプロセッサ28によって行われる。いくつかの応用では、試料収容器またはその一部(例、その小室)が既に使用された、または試料収容器またはその一部(例、その小室)の使用が所定の閾値を超えたとの検出に応答して、コンピュータプロセッサが、試料収容器またはその一部(例、その小室)が使用されるべきでないことを示す出力を生成し、試料収容器またはその一部(例、その小室)が汚染されていることを示す出力を生成し、及び/または光学測定デバイスが試料収容器またはその一部(例、その小室)に対して光学測定を行うことを妨げる。
【0040】
いくつかの応用では、試料収容器の所定区域は、試料収容器が使用されている場合にその区域を光退色することによって標識される。例えば、光学測定デバイス24は、光学測定が試料の一部に対して行われる間試料収容器を収納する光学測定ユニット31の内部に試料収容器が配置された場合に、試料収容器の所定区域を光退色するように構成されていてもよい。代替的または追加的に、光学測定デバイス24は、光学測定デバイスが試料収容器について光学測定を行う場合に、試料収容器の所定区域を光退色するように構成されていてもよい。いくつかの応用では、光学測定デバイスは、試料収容器に対して光学測定を行うことによって試料収容器の所定区域を自動的に光退色するように構成されている(即ち、特に光退色を行わせるための何らかの行為であって、光学測定デバイスが光学測定を行うためにいかなる場合も行わなかったであろう行為を特に行う必要なく)。例えば、光学測定デバイスは、試料及び/または試料の染色した一部を試料及び/または試料の染色した一部の励起波長に対応する光で励起することによって試料に対して蛍光画像化を行う顕微鏡システムであってもよく、その光で試料及び/または試料の染色した一部を蛍光させるようにしてもよい。試料及び/または試料の染色した一部を蛍光させるために顕微鏡システムが発する光は、試料収容器の所定区域の光退色も行ってもよい。いくつかの応用では、所定区域の光退色に先立って、コンピュータプロセッサが、上記の技術を使用して、試料収容器がまだ使用されていないことを検証する。
【0041】
上述の通り、いくつかの応用では、試料収容器は、再使用されるように構成されているが、限定された回数のみである。いくつかのそのような応用では、試料収容器が使用される度ごとに、試料収容器の異なる区域がそれぞれ光退色されて、コンピュータプロセッサが試料収容器に対して光退色された区域の数及び/または位置を検出することにより何回試料収容器が使用されたかを決定できるようにする。
【0042】
いくつかの応用では、上述の光退色効果は、試料収容器の製造メーカーによって、肉眼では見ることのできない方法で試料収容器に関する製造情報をコードするために使用される。例えば、そのような情報は、本物であることを示す標識(模倣の試料収容器が利用されている蓋然性を低くするためのもの)、試料収容器の型式、製造日、有効期限、製造場所、試験の正確な実行に必要な日付(例えば、試料収容器または複数の試料収容器のバッチに関する較正日)を含んでいてもよい。いくつかのそのような応用では、標識は、線、図、バーコード、英数字等を含む幾何学的模様を使用して付けられる。
【0043】
いくつかの応用では、所定の試料を含む試料収容器が光学測定デバイスによって複数回分析される。例えば、試料は、分析された後、一定の時間間隔で再分析されてもよい。いくつかの応用では、同一試料の複数の一部がそれぞれ個別に試料収容器の小室内に配置されて、それぞれ別個の時間間隔で分析される。いくつかの応用では、同一試料が確実に再分析されるように、光学測定デバイスが、所定の方法で、光退色を通して試料収容器を標識するように構成されている。その後、試料収容器が光学測定ユニットまたは再分析用の別の光学測定ユニットの内部に戻されると、コンピュータプロセッサが、試料収容器に付けた標識を識別することによりそれが同一試料収容器であることを検証する。
【0044】
上述の装置及び方法は、少なくとも一定条件下で蛍光するように構成されている試料収容器の一部を光退色させることに関わるが、試料収容器の特定の設計に限定されないことが留意される。むしろ、試料収容器の任意の設計がそのような一部を組み込むように構成されていてもよい。同様に、上述の装置及び方法は、少なくとも一定条件下で蛍光するように構成されている試料収容器の一部を光退色させることに関わるが、試料収容器の特定の一部に限定されない。むしろ、試料収容器の任意の一部がそのような特徴を有するように構成されていてもよい。例えば、本明細書中に記載した試料収容器の成形部、接着層またはガラスシートの任意の一部がこのように構成されていてもよい。
【0045】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、試料に対する顕微鏡測定と光学密度測定の両方を容易にするように構成されている試料収容器である、試料収容器22を様々に示す概略図である
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dを参照する。
図4Aは試料収容器の平面図(説明用に、
図4Aにおいて不透明として示す試料収容器の上部のカバー)を示し、
図4Bは底面図(ここでは、
図4Aに示す図に対して、試料収容器が長い方の端部の周りに回転されている。)を示し、
図4Cは展開側面図を示す。
【0046】
いくつかの応用では、血液試料について全血球計算(CBC)を行う時に
図4A~
図4Cに示す試料収容器が使用される。いくつかの応用では、試料収容器は、試料に対して顕微鏡分析を行うために使用される小室の第1のセット52と、試料に対して光学密度測定を行うために使用される小室の第2のセット54を含む。
図2A~
図2Dを参照して上述した通り、いくつかの応用では、試料収容器は、
図4Cに示す通り、成形部42、ガラスシート44及び接着層46から作られる。いくつかの応用では、上述の通り、接着層は、蛍光する及び/または光退色されるように構成されている。典型的には、概ね上述した通り、成形部は、挿入孔38、排出孔40及び/または溝48を規定するように構成されている。
【0047】
参照することにより本明細書に組み込まれるPollackによる国際公報第WO17/195205号に記載される通り、いくつかの応用では、セット54に属する小室(これは光学密度測定用に使用される)は、典型的には少なくとも第1の領域56(これは典型的にはより深い)と第2の領域58(これは典型的にはより浅い)を規定し、第1及び第2の領域の間で小室の高さはあらかじめ決定された方法により異なっている。
【0048】
典型的には、試料に対して光学分析を行うためには、光学測定が行われた対象の試料の一部の光路長、体積及び/または厚さをできる限り正確に知ることが望ましい。さらに典型的には、光学測定は、2以上の向かい合う表面によって規定される試料収容器内に配置される試料の一部に対して行われる。所望のレベルの精度を提供するためには、2以上の向かい合う表面が、同様に厳密にセットされるまたは厳密に制御される距離によって分離されていることが望ましい。ただし、製造または組立て工程によっては、向かい合う表面間の距離に実質的な違いがあることがある。例えば、
図4A~
図4Cに示す小室の上側及び下側表面は、それぞれ成形部及びガラスシートによって規定され、この成形部とガラスシートとは接着層を介して互いに連結されている。接着層は名目厚さを有するが、例えば、加圧接着剤の製造厚さのばらつきまたはその適用中にかかる圧力のばらつきのために、層の実際の厚さが名目厚さと異なるのが典型的である。例えば、成形部とガラスシートとは、100マイクロメートル離れて向かい合う表面によって分離するように構成されている、名目厚さを有する加圧接着層を使って結合されていてもよい。そのような場合には、加圧接着層の製造厚さのばらつきまたはその適用中にかかる圧力のばらつきによって、例えば、名目厚さよりも20マイクロメートルほど多くまたは少なくなった最終厚さになり得る。
【0049】
典型的には、光学測定は、試料について行われる。例えば、ある成分の密度は顕微鏡画像内のその成分を数えることにより決定され得る。同様に、ある成分の濃度及び/または密度は、試料に対して光吸収、透過率、蛍光及び/または発光の測定を行うことによって測定され得る。理論に縛られることなく、2つの向かい合う表面を分離する距離における20パーセントの不確実性(上記の例で記載した通り)は、それがまた試料に対して行われる光学測定に由来する試料のパラメータにおける20パーセントの不確実性に対応し得る(試料内のある成分の導き出された濃度及び/または密度等)が、これは例えば、参照することにより本明細書に組み込まれるPollackによる国際公報第WO17/195205号に記載される通りである。
【0050】
本発明のいくつかの応用に従えば、試料小室の高さに関係する不確実性に伴う上述の問題は、少なくとも部分的に克服される。再び
図4Aを参照すると、セット54に属する試料小室は、第1の領域56及び第2の領域58を規定する。試料小室の第1の領域56及び第2の領域58の高さは、ガラスシートによって規定される下側表面と、成形部によって規定される上側表面とによって規定される。第2の領域における上側表面は、第1の領域における上側表面に対して段差がつけられている。第1及び第2の領域の上側表面間の段差は、領域間にあらかじめ定義された高低差Δhを提供して、領域の絶対的高さが十分な正確度で分からない場合でも、本明細書に記載される技術及び参照することにより本明細書に組み込まれるPollackによる国際公報第WO17/195205号に記載される通りの技術を使用して、高低差Δhは、試料のパラメータの決定に十分な正確度で分かる。
【0051】
上述の通り、成形部は、段差のある表面を規定する形状であり、例えば、セット54に属する小室の高さが第1及び第2の領域間で変化する方法で規定する。典型的には、単一基板内の、特に、近接する表面間の相対的製作公差は、異なる基板間、あるいは同一基板内の向かい合う表面間でも、その位置決めの製作公差と比べてより厳格である。したがって、第1及び第2の領域間での1以上の試料小室の高さの変化の仕方を単一基板に規定させることで、第1及び第2の領域間の高低差が比較的正確になるようにするのが典型的である。例えば、成形部は、射出成形、エンボス加工または機械加工(マシニング)等を使用して、比較的厳格な公差で製造されてもよい。
【0052】
参照することにより本明細書に組み込まれるPollackによる国際公報第WO17/195205号に記載される通り、いくつかの応用では、セット52に属する小室(これは顕微鏡を使用する測定に使用される)は互いに高さが異なるが、これは、異なる測定対象をそれぞれ異なる小室の顕微鏡画像を使用して測定すること、及び/または異なる小室をそれぞれ異なる試料タイプの顕微鏡分析用に使用することを容易にするためである。例えば、血液試料及び/または試料により形成される単分子層の赤血球が比較的低密度な場合には、測定は、統計的に信頼できるデータを提供するために、十分な密度の細胞があるように、及び/または試料により形成される単分子層内に十分な密度の細胞があるように、高さが比較的大きい試料収容器の小室内で行われてもよい。そのような測定の例は、例えば、赤血球密度測定、細胞のその他の属性の測定(例えば、異常な赤血球の数、細胞内小体を含む赤血球(例、病原体、ハウエルジョリー小体)等)及び/またはヘモグロビン濃度を含む。逆に、血液試料及び/または試料により形成される単分子層が比較的高い赤血球密度を有するとすると、その測定は、高さの比較的低い試料収容器の小室に対して、例えば、細胞が十分に散在するように、及び/または試料により形成される細胞の単分子層内で細胞が十分に散在して顕微鏡画像内で細胞が特定できるように、行われてもよい。いくつかの応用では、そのような方法は、明確に分かっているセット52に属する小室間の高さの差がなくても行われる。
【0053】
いくつかの応用では、測定された測定対象に基づいて、光学測定を行う対象となる試料収容器内の小室が選択される。例えば、試料収容器の比較的大きい高さの小室は、(例えば、より浅い領域において低い計測値になり得る統計学的誤差を減らすために)白血球数の計測や白血球分化を行う及び/またはより稀な形の白血球を検出するために使用されてもよい。逆に、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球体積 (MCV)、赤血球分布幅(RDW)、赤血球の形態学的特徴及び/または赤血球の異常を決定するために、高さの比較的低い試料小室の小室から顕微鏡画像を得てもよく、なぜなら、そのような小室内では、細胞は、領域の面積全体にわたって比較的分散して分布している、及び/または細胞が比較的分散した単分子層を形成しているからである。同様に、血小板を計測したり、血小板を分類したり、及び/または血小板のその他の属性(体積等)を抽出したりするために、高さの比較的低い試料小室の小室から顕微鏡画像を得てもよく、なぜなら、そのような小室内では、顕微鏡画像において及び/または単分子層において、血小板と(完全または部分的に)重なり合う赤血球がより少ないからである。
【0054】
上述の例に従えば、試料(血液試料等)内のある測定対象の測定のために光学測定を行うには、試料収容器のより低い小室を使用するのが好ましい一方、そのような試料内の他の測定対象の測定のために光学測定を行うには、試料収容器のより高い小室を使用するのが好ましい。したがって、いくつかの応用では、試料収容器のセット52に属する第1の小室内に配置される試料の一部に対して(例えば、その顕微鏡画像を取得して)、第1の光学測定を行うことによって試料内の第1の測定対象が測定され、また、試料収容器のセット52の第2の小室内に配置される試料の一部に対して(例えば、その顕微鏡画像を取得して)、第2の光学測定を行うことによって同一試料の第2の測定対象が測定される。いくつかの応用では、第1及び第2の測定対象は、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれるZaitによる国際公報第WO17/195208号に記載される通りの技術を使用して、互いに対して正規化される。
【0055】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、顕微鏡測定と光学密度測定の両方を行うのに使用するために構成されている試料収容器である、試料収容器22を様々に示す概略図である
図5A、
図5B及び
図5Cを参照する。
図5Aは試料収容器の底面図を示し、底部表面を透明にして、試料収容器の小室の特徴が観察できるようにしている。
図5B及び5Cは、試料収容器の最上層が不透明である、試料収容器の平面図を示す(そして、ここでは、
図5Aに示す図に対して、試料収容器が長い方の端部の周りに回転されている。)。
【0056】
図5A、
図5B及び
図5Cに示す試料収容器は、下記に説明する違いを除き、
図4A~
図4Cに示し同図面を参照して説明したものと概ね同様である。いくつかの応用では、試料収容器は、試料に対して顕微鏡分析を行う際に使用される小室の第1のセット52と、試料に対して光学密度測定を行う際に使用される小室の第2のセット54を含む。いくつかの応用では、試料に対して光学密度測定を行う際に使用される小室の第2のセットは、図に示す通り、小室を1つだけ含む。いくつかの応用では、試料に対して顕微鏡分析を行う際に使用される小室の第1のセット52内に複数の小室があり、各々の小室が排出孔40を規定する(これは概ね上述の通り)。いくつかのそのような応用では、小室の第1のセットに属する各小室の排出孔は互いにごく近接して配置され(
図5Bに示す通り)て、例えば、これらの孔が1cmの長さよりも短い直線沿いに配置されるようにする。例えば、各小室からその排出孔に延びるそれぞれのチャネル51があってもよく、これにより排出孔が互いにごく近接して配置されるようにする。
【0057】
いくつかの応用では、カバー60(
図5Cに示す)が、カバーが排出孔を覆う等のために反転可能に(または選択的に、反転不可能に)試料収容器に連結されている。例えば、カバーは、接着性の裏材を有する紙、スポンジまたはフィルタ素材を含んでいてもよい。典型的には、カバーは、試料が試料収容器から漏出するのを防ぐように構成されて、試料収容器からの漏出による光学測定デバイスの汚染を起こりにくくする。いくつかの応用では、カバーは、小室から出る空気流の速度を制限することによって、小室の第1のセット52を充填する速度を制御するように構成されている。いくつかの応用では(図示せず)、カバー60と概ね同様のカバーが、小室の第2のセット54に付随する排出孔を覆って配置される。
【0058】
いくつかの応用では、試料収容器22は、入口孔38に隣接する貯蔵室39を規定する形状である。典型的には、貯蔵室は、ユーザーが試料収容器の小室に身体由来の試料を充填できるように構成され、これにより、一方では、ユーザーが正確な体積の身体由来の試料を入口孔に挿入することを要求されず、他方では、入口孔は実質的に液体がない状態のままになる。
【0059】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、試料収容器の小室が下側内表面上の第1の標識62(即ち、ガラス層の内表面)と上側内表面上の第2の標識64(例、基板層の内表面)とを含む、試料収容器22の底面を示す概略図である
図6を参照する。
図6に示す図において、基板層の内表面は、透明ガラス層越しに見えている。対応する応用に従えば、標識は、線またはその他の形状(例、英数字)を構成していてもよい。標識は、試料収容器に印刷されていてもよく、試料収容器に描かれていてもよく、試料収容器にエッチングされていてもよく、試料収容器に彫り込まれていてもよく、試料収容器に接着されていてもよく、試料収容器内に埋設されていてもよく、試料収容器及び/または試料収容器のその他の可視的な特徴内の出っ張り及び/または窪みを構成していてもよく及び/または試料収容器に取り付けられていてもよい。
【0060】
典型的には、試料は、上側及び下側表面によって規定される高さを有する体積を満たす。例えば、1小室内の試料の一部の体積は、小室の面積に小室の高さを乗ずることによって規定される。ただし、場合により、例えば上述の理由のために、正確な小室の高さが分からないことがある。いくつかの応用では、コンピュータプロセッサは、光学測定デバイスの画像化モジュールを第1の標識62に焦点を合わせて第1の標識に関連する焦点合わせ距離F1の表示を登録することで小室の高さを決定する。コンピュータプロセッサは、また、光学測定デバイスの画像化モジュールを第2の標識64にも焦点を合わせて、第2の標識に関連する焦点合わせ距離F2の表示を登録する。コンピュータプロセッサは、次いで、F1とF2の差に基づいて、小室の高さを決定する。いくつかの応用では、コンピュータプロセッサは、決定された小室の高さに基づいて、小室の体積またはその一部を決定する。典型的には、コンピュータプロセッサは、少なくとも部分的に、決定された小室の高さに基づいて、例えば、上述の技術を使用して、試料の特性を決定する。
【0061】
典型的には、光学測定デバイス24の画像化モジュールに対する試料収容器の位置決めには、ある程度のばらつきがある。例えば、顕微鏡ステージ上の試料収容器の配置は、要求される画像解像度に照らして有意に異なり得る(例えば、顕微鏡の限界、試料収容器におけるばらつき、装置のオペレータが配置する際におけるばらつき等に起因して)。したがって、いくつかの応用に従えば、光学測定デバイス24の画像化モジュールに対する試料収容器の位置決めは、本明細書中に記載の技術に従って決定される。
【0062】
いくつかの応用では、光学測定デバイスの画像化モジュールと、試料収容器が配置されるステージの初期の位置は、試料収容器上の可視標識が画像化モジュールの観察フィールド内に現れるように決められる。これに続いて、試料収容器の位置及び/または配向の少なくともXY平面に対する規定に十分な情報を入手するまで、試料収容器の表面部分がスキャンされる(本願においては、光学システムの光軸を指す用語としてZ軸を使用し、また、XY平面は、本技術分野で慣用されるように、光軸に垂直な平面を示す用語として使用される。)。
【0063】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、正方形の境界線76内に限定された、垂直方向の線72と水平方向の線74のセットを含むパターンである、不規則パターン70の例を示す
図7A及び
図7Bを参照する。
図7Bは、
図7Aに示す不規則パターンを
図7Aに示すものに対して傾けた配向で示す図である。いくつかの応用では、
図7A~
図7Bに示すもの等の不規則パターンは試料収容器22上に標識されている。光学測定デバイスは、典型的には顕微鏡システムを含み、観察フィールドを通して試料収容器を画像化する。典型的には、そのような観察フィールドは、試料収容器の小室内の小区分を画像化する。
【0064】
垂直方向の線72の間の間隔が不規則である、即ち、隣接する2本の垂直方向の線72の間の距離は、それぞれ任意の他の隣接する2本の垂直方向の線72の間の距離と異なっていることが観察され得る。同一の設計は水平方向の線にも適用される。例示として、不規則パターンは、約2.7×2.7mm2の寸法であり得るが、観察フィールドは約0.6×0.8mm2の寸法であり得る。
【0065】
不規則パターン70と観察フィールドは本質的に長方形ないし正方形のものとして示されているが、任意の他の形状も使用し得ることが留意される。例えば、円形またはその他の形状の観察フィールドが、例えば、診断フィールド部分においてより良い画像を提供し得る光学限界に基づいて、選択され得る。
【0066】
上述の通り、光学測定デバイスは、典型的には、観察フィールド「O.F」(本明細書中において「配向フィールド」ともいう)を使う試料画像の取り込みに使用されるが、この観察フィールドは、予め決定されたサイズと形状を有し、これを通して(試料収容器の上方に適切に配置された場合は)試料収容器の一部を見ることができる。不規則パターンは、観察フィールドのサイズを補完する解像度で設計されており、不規則パターン上方の観察フィールドの任意の横方向のXY位置において、観察フィールドを通して観察された不規則パターンの一部は、その特定の位置に固有であり、装置の設定解像度で検出可能である。選択的に、観察フィールドは、診断フィールドまたはその一部であってもよい。いくつかの具体的態様において、観察フィールドは、複数の隣接する診断フィールドを使用して組み立てられて、2以上の診断フィールドからの組合せ情報が観察フィールドとして使用されるようにする。
【0067】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、それぞれの観察フィールドに対応するパターンの例を示す、
図8A、
図8B、
図8C及び
図8Dを参照する。観察フィールドの異なる位置で取り込まれた不規則パターンの一部の画像は、そのような位置の違いに応じて異なっていることが観察され得る。不規則パターンは、任意の2つの異なるXY位置において取り込まれた画像が、不規則パターンの異なる可視部分を示すように設計されている。
【0068】
また、不規則パターンの解像度は、典型的には観察フィールドのサイズと形状に補完的となるように設計されているので、極端には観察フィールドがパターンの(水平方向または垂直方向のいずれかの)2本の隣接する線の間の距離よりも小さくて観察フィールドが1本の線も、空のスペースも1本の線のただの厚さすら含みえないということが起きないことも留意される。典型的には、この構成の唯一の例外は、そのような1本の線、空のスペース及び/またはただの厚さが不規則パターン全体にわたる観察フィールドの1ヵ所において起こり得るように、特に設計された不規則パターンである。
【0069】
観察フィールドの各々の位置は、その位置固有のパターンに対応するので、コンピュータプロセッサは、典型的には、観察フィールドについて不規則パターンの位置を決定する。不規則パターンは、試料収容器に固定的に関連付けられているので、コンピュータプロセッサは、これにより、観察フィールド内で画像化された試料収容器の位置及び、選択的に、配向を決定する。
【0070】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、それぞれの観察フィールドに対応するパターンのいくつかの更なる例を示す
図9A、
図9B、
図9C及び
図9Dを参照する。
図9A~
図9Dに示す例を参照して、観察フィールドを通して不規則パターンのXY位置だけでなく、その配向も決定されることが留意される。ゆえに、いくつかの応用では、コンピュータプロセッサは、観察フィールド内で特定された不規則パターンに基づいて、観察フィールド内の試料収容器の配向とともに、所定の観察フィールドにおいてどの試料収容器の一部が画像化されているかを決定する。
【0071】
いくつかの応用に従えば、不規則パターンは、試料収容器に印刷され、試料収容器に描かれ、試料収容器にエッチングされ、試料収容器に彫り込まれ、試料収容器に接着され、試料収容器内に埋設され、試料収容器及び/または試料収容器のその他の可視的な特徴内の出っ張り及び/または窪みを構成し、及び/または試料収容器に取り付けられている。典型的には、不規則パターン(例、
図7A~
図10Cを参照して説明した二次元パターン及び/または
図11A~
図11Fを参照して説明した三次元パターン)は、試料収容器の成形層の内表面上に形成される。代替的または追加的に、不規則パターンは、試料収容器のガラス層の表面上に形成される。いくつかの応用では、
図7A~
図12のいずれか1つを参照して説明した不規則パターンが、
図2A~
図6を参照して説明した試料収容器の異なる特徴を有する試料収容器に使用される。
【0072】
以下、本発明のいくつかの応用に従う不規則パターンの例をさらに3つ示す図である10A、
図10B及び
図10Cを参照する。図に示す例は以下のとおりである。
【0073】
図10A-固有の異なる直径を有する1組の同心円に、長方形の波模様を重ね合わせたもの、
図10B-固有の異なる直径の、線の太さを変化させた同心円ではない1組の円、及び
図10C-線の太さを変化させた渦巻の構成。
【0074】
図10A~
図10Cに示す各々のパターンは、不規則パターンの上方の異なるXY位置に配置されたそれぞれの観察フィールドに固有の画像を提供する。また、
図10A~
図10Cに示す各パターンは、不規則パターンの上方の異なる角度配向に配置されたそれぞれの観察フィールドに固有の画像を提供し、5°未満離れた角度位置を区別できるようにする。
【0075】
原則として、1つの不規則パターンが試料収容器の位置及び配向の両者を決定するのに十分であり得るが、本願の開示の主題は、より正確な結果を許容する可能性のある、1つの収容器/小室における2以上のそのようなパターンの使用を排除しないことが理解されるべきである。
【0076】
いくつかの応用では、不規則パターンは、成分をZ軸沿いの異なる高さに配置させた三次元パターンである。選択的に、三次元パターンの、最低高さとの相対的な最大高さの測定値は、約10μmである。いくつかの応用では、三次元パターンは、試料が画像化される表面と、光学測定デバイスの画像化モジュールの光軸沿いに同一の位置を有する表面上に標識される。例えば、三次元パターンは、素材の表面上に位置する及び/またはその中に埋設される。
【0077】
いくつかの応用に従えば、光学測定デバイスの画像化モジュールについて、観察フィールドのXY平面及び画像化モジュールの光軸沿いの両方に対して、試料収容器の位置及び、選択的に、配向も決定するのに十分な情報の提供に、ただ1画像だけまたは10画像までを必要とするように、三次元パターンが使用されることが留意されるべきである。
【0078】
いくつかの応用では、三次元パターンは上述した二次元パターンまたは標識に関連(ともに並置されているか、その一部になっているか)しているので、一旦情報が(目視検査ゾーンのXY平面に対する試料収容器の位置及び、選択的に、配向に関する)二次元標識またはパターンから収集されると、画像化モジュールの光軸沿いの試料収容器の位置の決定には、三次元パターンの1画像で十分となる。
【0079】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、二次元グリッド設計においてのみならずパターンの異なる区域の様々な深さにおいて不規則パターンが反映されている、三次元パターン80を示す
図11Aを参照する。特に、三次元パターンは複数の矩形部分の不規則グリッドの形態で、各々の矩形が表面からある程度の深さの位置にある上部を有しているので、少なくともいくつかの異なる矩形が異なる深さを有するようになっている。
【0080】
本発明のいくつかの応用に従う、9個の矩形sq1~sq9を含み、各矩形は4つの深さD0~D3の1つにある、三次元パターンの一部(例、観察フィールド「O.F.」によって観察されたパターンの一部)を示す
図11Bも参照する。具体的には、
図11Bに示す配置は以下のとおりである。
【0081】
【0082】
本発明のいくつかの応用に従う、深さD0~D3のそれぞれにおいて光学測定デバイスの画像化モジュールが撮像した三次元部分の画像の例を示す、
図11C~
図11Fも参照する。深さD0~D3の各々に対応する、光学測定デバイスの画像化モジュールの各焦点距離において、受信した画像は、深さ/焦点距離における矩形の境界がはっきりと見える(実線で示されている)が、矩形の残りの部分(その深さ/焦点距離に位置していない部分)には焦点を合わせていない(点線で示されている)というように観察されてもよい。
【0083】
このように、いくつかの応用では、不規則パターンの三次元の特徴がコンピュータプロセッサ28によって使用されると、光学測定デバイスの画像化モジュールについて、試料収容器の位置の決定のためのさらに高度な正確性を提供する。代替的または追加的に、不規則パターンの三次元の特徴は、コンピュータプロセッサ28によって使用されると、光学測定デバイスの画像化モジュールの焦点距離に関する表示を提供する。三次元パターンの撮像された1画像は、XY平面において及び光学測定デバイスの画像化モジュールの光軸に沿って、グリッドの位置に関する十分な情報を提供し得る。選択的に、一旦XY位置が知れると、三次元パターンの画像(例、1画像)は、既知のXY位置において撮像されて、コンピュータプロセッサが、その画像を使って、光学測定デバイスの画像化モジュールの光軸に沿って三次元パターンの位置を導く。
【0084】
なお、深さD0~D3は必ずしも等間隔でなくてよく、また、連続する2つの高さの間の差もそれぞれ異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0085】
以下、本発明のいくつかの応用に従う、光学測定デバイス24の画像化モジュールの観察フィールド「O.F.」についての、試料収容器の不規則パターンの空間配置の概略図である
図12を参照する。図に示す通り、試料収容器は、観察フィールドについての複数のXY位置のうちの1つに位置していてもよい。この例では、観察フィールドについての試料収容器の2つの極端な位置「位置A」及び「位置B」が描かれており、両者の位置は、X軸方向の長さLx及びY軸方向の長さLyによって異なっている。収容器沿いの不規則パターンの空間配置は、典型的には、光学装置に対する収容器の相対的位置関係に関係なく、不規則パターンの少なくとも一部が観察フィールド内に入るようにする。よって、光学測定デバイスの画像化モジュールに対する試料収容器の位置は、光学測定デバイスの正確な動作能力に影響しない。
【0086】
いくつかの応用では、本明細書に記載の試料は、血液またはその成分を含む試料(例、希釈または非希釈の全血試料、主に赤血球を含む試料または主に赤血球を含む希釈試料)であり、パラメータは、血小板、白血球、異常白血球、循環腫瘍細胞、赤血球、網状赤血球、ハウエルジョリー小体等の血中の成分に関連して決定される。
【0087】
一般に、本発明のいくつかの応用は血液試料に関連して説明しているけれども、本発明の技術範囲は本明細書に記載の装置及び方法を様々な試料に適用することを含むことが留意される。いくつかの応用では、試料は、血液、唾液、精液、汗、痰、膣分泌液、便、母乳、気管支肺胞洗浄液、胃洗浄液、涙及び/または鼻水等の生体試料である。生体試料は、任意の生物由来であってもよく、典型的には温血動物由来である。いくつかの応用では、生体試料は、哺乳類由来の試料であり、例えば、人体由来である。いくつかの応用では、試料は、犬、猫、馬、牛及び羊を含むがこれに限定されない、任意の家畜、動物園の動物や農場の動物から採取される。代替的または追加的に、生体試料は、鹿やラットを含む、病気の媒介動物の役割をする動物から採取される。
【0088】
いくつかの応用では、上記と同様の技術が非身体由来の試料に適用される。いくつかの応用では、試料は、水(例、地下水)試料、表面ぬぐい綿棒、土試料、空気試料またはその任意の組合せ等の環境試料である。いくつかの具体的態様においては、試料は、食肉試料、乳製品試料、水試料、洗浄液試料、飲料試料及び/またはその任意の組合せ等の食物試料である。
【0089】
本明細書に記載の発明の応用は、コンピュータ、またはコンピュータプロセッサ28等の任意の指令実行システムによって、またはこれに関連して使用されるためのプログラムコードを提供する、コンピュータで利用可能なまたはコンピュータ読取り可能な媒体(例、コンピュータ読取り可能な非一時的な媒体)からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。この説明の目的のための、コンピュータで利用可能なまたはコンピュータ読取り可能な媒体は、指令実行システム、装置またはデバイスによって、またはこれに関連して使用されるためのプログラムを含む、保存する、伝達する、伝搬するまたは運搬する任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線または半導体システム(または装置またはデバイス)または伝搬用媒体であり得る。典型的には、コンピュータで利用可能なまたはコンピュータ読取り可能な媒体は、コンピュータで利用可能なまたはコンピュータ読取り可能な非一時的な媒体である。
【0090】
コンピュータ読取り可能な媒体の例は、半導体またはソリッドステートメモリ、磁気テープ、取出し可能なコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、剛体磁気ディスク及び光学ディスクを含む。光学ディスクの現在の例は、コンパクトディスクの読出し専用メモリ(CD-ROM)、読出し/書込みコンパクトディスク(CD-R/W)及びDVDを含む。
【0091】
プログラムコードの保存及び/または実行に適したデータ処理システムは、直接またはシステムバスを経由して間接的にメモリ素子(例、メモリ30)に連結された少なくとも1つのプロセッサ(例、コンピュータプロセッサ28)を含み得る。メモリ素子は、プログラムコードの実際の実行中に使用されるローカルメモリ、大容量記憶装置、及び、コードが実行中に大容量記憶装置から取り出されなければならない回数を減らすために少なくともいくつかのプログラムコードの一時保存を提供するキャッシュメモリを含みうる。システムは、プログラム保存デバイスについての本発明の指令を読出して、発明の具体的態様の方法を実行するためにこれらの指令に従う。
【0092】
ネットワークアダプターをプロセッサに連結して、このプロセッサからプライベートまたはパブリックネットワークを中継して他のプロセッサまたは遠隔プリンタまたは保存装置に接続するようにしてもよい。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、の現在入手可能なタイプのネットワークアダプターのほんの数例である。
【0093】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向のプログラミング言語、及びCプログラミング言語その他の同様のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む、1以上のプログラミング言語の任意の組合せで書込むことができる。
【0094】
本明細書中に記載のアルゴリズムは、コンピュータプログラム指令によって実行され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム指令は、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータまたは工作機械用のその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されるようにして、コンピュータのプロセッサ(例、コンピュータプロセッサ28)やその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサ経由で実行される指令が、本願に記載のアルゴリズムにおいて特定される機能/作用を実行するための手段を作出できるようにしてもよい。また、これらのコンピュータプログラム指令は、コンピュータまたはその他のプログラマブルデータ処理装置に特定の様式で機能するように指令できるコンピュータ読取り可能な媒体(例、コンピュータ読取り可能な非一時的な媒体)に保存されて、コンピュータ読取り可能な媒体に保存された指令が、フローチャートの各ブロック及びアルゴリズムにおいて特定される機能/作用を実行する指令手段を含む製品を製造するようにしてもよい。また、コンピュータプログラムの指令は、コンピュータまたはその他のプログラマブルデータ処理装置にロードして、コンピュータやその他のプログラマブル装置で実行される一連の操作ステップにコンピュータで実行されるプロセスを生成させるようにして、コンピュータやその他のプログラマブル装置で実行される指令が本願に記載のアルゴリズムにおいて特定される機能/作用を実行するためのプロセスを提供するようにしてもよい。
【0095】
コンピュータプロセッサ28は、典型的には、特殊目的コンピュータを作製するコンピュータプログラム指令でプログラムされたハードウェア装置である。例えば、本願に記載のアルゴリズムを実行するようにプログラムされた場合、コンピュータプロセッサ28は、典型的には特殊目的の試料分析コンピュータプロセッサとして作用する。典型的には、コンピュータプロセッサ28によって実行される本願に記載の操作は、使用されるメモリの技術に応じて、現実に存在する物品であるメモリ30の物理状態を異なる磁極性、電荷等を有するように変換する。
【0096】
本発明のいくつかの応用に従って、下記の発明概念が提供される。
【0097】
発明概念1. 装置であって、該装置は、
試料を収容するように構成されている試料収容器と、
試料に対して光学測定を行うように構成された光学測定デバイスとを含み、該光学測定デバイスは観察フィールドを規定しており、
試料収容器は、少なくとも1つの不規則パターンを有する表面を有して、これにより、光学測定デバイスの観察フィールドに対応し、かつ前記パターンの少なくとも一部を含む形状と区域を有する試料収容器の表面の任意の部分が、当該部分に固有の幾何学的模様を有することを特徴とする、装置。
【0098】
発明概念2. 発明概念1に従う装置であって、不規則パターンは、それに固有の幾何学的模様を有するパターンの一部を含む、試料収容器の表面の任意の部分の1画像に基づいて、観察フィールドの平面に対する試料収容器の位置を決定することを容易にするように構成されていることを特徴とする、装置。
【0099】
発明概念3. 発明概念1に従う装置であって、不規則パターンが試料収容器の表面に対する所定の配向を有することで、試料収容器が光学測定デバイスの観察フィールドに対する試料収容器の配向を決定することを容易にすることを特徴とする、装置。
【0100】
発明概念4. 発明概念1に従う装置であって、不規則パターンは、描画、エンボス加工、エッチング、彫刻及び接着からなる群から選択される1以上の技術を使用して収容器の表面上に存在することを特徴とする、装置。
【0101】
発明概念5. 発明概念1に従う装置であって、不規則パターンを有する試料収容器の表面が、試料収容器内の試料を収容するように構成されている試料小室の表面を有することを特徴とする、装置。
【0102】
発明概念6. 発明概念1に従う装置であって、収容器がカバーを有し、かつ、不規則パターンを有する試料収容器の表面が、カバーの表面を含むことを特徴とする、装置。
【0103】
発明概念7. 発明概念1に従う装置であって、不規則パターンを有する試料収容器の表面が、任意の小室の外側の試料収容器上に位置する、試料収容器の表面を含むことを特徴とする、装置。
【0104】
発明概念8. 発明概念1に従う装置であって、光学測定デバイスが顕微鏡を含むことを特徴とする、装置。
【0105】
発明概念9. 発明概念1に従う装置であって、試料収容器が2以上の不規則パターンを含むことを特徴とする、装置。
【0106】
発明概念10. 発明概念1に従う装置であって、前記試料収容器が、2以上の小室であって、その各々が試料収容器内の試料の一部を収容するように構成されている小室を有することを特徴とする、装置。
【0107】
発明概念11. 発明概念10に従う試料収容器であって、少なくとも1つの前記少なくとも1つの不規則パターンが、前記2以上の小室の各々の表面上に位置することを特徴とする、装置。
【0108】
発明概念12. 診断画像化倍率における区域Aの最大目視検査ゾーンを有する光学測定デバイスによる分析の対象試料を含むように構成された試料収容器において、収容器の初期画像化位置が、光学装置の光軸に垂直でありかつ区域Sの目視検査ゾーンを有する平面の、X軸及びY軸の少なくとも1つにおける長さLで異なっていてもよく、前記試料収容器は、不規則パターンの予測される初期位置において撮像される目視検査ゾーンの形状および区域と同一の形状および区域を有する任意の画像が、パターンの一部であって、当該一部に固有の幾何学的模様を有するように、区域A’(ここで、A’ = f (A,L)である)を有する少なくとも1つの不規則パターンを含むことを特徴とする、試料収容器。
【0109】
発明概念13. 光学測定デバイスによる分析の対象試料を内部に含むために構成された試料収容器であって、前記収容器は、少なくとも6mm2の面積を有する少なくとも1つの幾何学的模様を有することで、同一のサイズと形状及び0.3mm2以上の面積を有し、かつ、模様の少なくとも一部を含む任意の部分が、当該部分に固有の幾何学的模様を有することを特徴とする、試料収容器。
【0110】
発明概念14. 発明概念13の試料収容器であって、前記不規則な幾何学的模様の内接円が少なくとも3mmの直径であり、かつ、垂直2方向において2mm未満ではないことを特徴とする、試料収容器。
【0111】
発明概念15. 発明概念13の試料収容器であって、前記部分の内接円が少なくとも0.5mmの直径であり、かつ、垂直2方向において0.4mm未満ではないことを特徴とする、試料収容器。
【0112】
発明概念16. 試料収容器内の試料を分析するように構成された自動顕微鏡であって、前記顕微鏡は、
光学モジュールと、
試料収容器を保持する支持体と、
コントローラとを有し、該コントローラは、
光学モジュールを操作して予め定められた位置における試料収容器の10以下の配向画像を取り込むように構成され、かつ
それらの画像を分析してXY平面及び顕微鏡のz軸の少なくとも1つに対する収容器またはその一部の少なくとも1つの位置及び配向を演繹するように構成されており、
試料収容器は、少なくとも1つの不規則パターンを含み、かつ、前記不規則パターンは、試料収容器表面上にサイズおよび位置が決められることで、前記10以下の配向画像の少なくとも1つが、検索することなく、前記不規則パターンまたはその一部を示すように構成されていることを特徴とする、自動顕微鏡。
【0113】
発明概念17. 発明概念16に従う自動顕微鏡であって、不規則パターンは、不規則パターンまたはその一部を示す配向画像の任意の一部が当該一部に固有の幾何学的模様を示すように、パターン形成されることを特徴とする、自動顕微鏡。
【0114】
発明概念18. 発明概念16に従う自動顕微鏡であって、不規則パターンは、1パターンにつき1画像が試料収容器の位置及び配向の少なくとも1つを決定するのに十分であるように、サイズ、形状および位置が決められることを特徴とする、自動顕微鏡。
【0115】
発明概念19. 顕微鏡のための試料収容器であって、分析の対象試料をその中に含むために構成された少なくとも1つの小室を含み、前記小室は、
キャビティを有し、該キャビティは、その中にプラットフォームを有し、かつ、プラットフォーム表面がキャビティの床表面の上方で高くなっており、かつ、
カバーを有し、該カバーは、前記プラットフォーム表面から空間を隔てて前記キャビティを覆っており、
前記プラットフォーム表面は、第1の標識を有し、かつ、前記カバーがその表面上に第2の標識を有しており、第1の標識と第2の標識の間の焦点合わせ距離が、前記プラットフォーム表面と前記カバーの底部表面の間の空間の垂直方向の長さを決定できるようにすることを特徴とする、試料収容器。
【0116】
発明概念20. 発明概念19に従う顕微鏡のための試料収容器であって、第2の標識は、前記カバーの底部表面上にあることを特徴とする、試料収容器。
【0117】
発明概念21. 発明概念19に従う顕微鏡のための試料収容器であって、第1の標識と第2の標識は、Z軸沿いに重なり合うことを特徴とする、試料収容器。
【0118】
発明概念22. 発明概念19に従う顕微鏡のための試料収容器であって、第1の標識及び第2の標識のうち少なくとも1つが不規則パターンを含むことを特徴とする、試料収容器。
【0119】
発明概念23. 発明概念19の試料収容器内の流体試料の一部の体積を決定するための方法であって、該方法は、
前記プラットフォーム表面と前記カバーの底部表面の間に規定される高さを有する体積を満たすように、流体試料を前記試料収容器内に導くことと、
前記プラットフォーム表面の一部である区域(面積)Aを決定することと、
顕微鏡の光学モジュールの焦点を前記第1の標識に合わせて、かつ、前記第1の標識のための焦点合わせ距離F1の表示を登録することと、
顕微鏡の光学モジュールの焦点を前記第2の標識に合わせて、かつ、前記第2の標識のための焦点合わせ距離F2の表示を登録することと、
F1、F2及びAに基づいて、プラットフォーム表面の前記一部上に位置する流体試料の体積を決定することを含むことを特徴とする、方法。
【0120】
本明細書に記載の装置及び方法は、いずれも参照することにより本明細書中に組み込まれる以下の特許出願のいずれかに記載の装置及び方法と共に使用してもよい。
Bacheletによる米国特許公開公報第2012/0169863号、
Greenfieldによる米国特許公開公報第2014/0347459号、
Pollakによる米国特許公開公報第2015/0037806号、
Pollakによる米国特許公開公報第2015/0316477号、
Pollakによる米国特許公開公報第2016/0208306号、
Yorav Raphaelによる米国特許公開公報第2016/0246046号、
Bacheletによる米国特許公開公報第2016/0279633号、
Eshelによる米国特許公開公報第2018/0246313号、
Yorav Raphaelによる国際公報WO16/030897号、
Eshelによる国際公報WO17/046799号、
Eshelによる国際公報WO17/168411号、
Pollackによる国際公報WO17/195205号、及び
Zaitによる国際公報WO17/195208号。
【0121】
本発明は、本明細書中に特に示したり記載したものに限定されないことが当業者によって理解されるであろう。むしろ、本発明の技術的範囲は、上記の説明を読んだ当業者が思いつき得る、先行技術に見られない変更や改変のみならず、上記の様々な特徴の組合せからなる発明とその各々の要素からなる発明の両方も含むものである。