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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】挟み込み防止具
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/00 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
B65G21/00 Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021016634
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2021127245
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】10 2020 103 493.8
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506186673
【氏名又は名称】ヴィポテック ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】ADAM-HOFFMANN STRASSE 26, 67657 KAISERSLAUTERN,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】ケイ エリック シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヨッヘン ウォルター
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03020659(EP,A1)
【文献】特表昭61-501555(JP,A)
【文献】特開昭56-122713(JP,A)
【文献】特開2017-201211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00-15/28,15/60-15/64
B65G 21/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのコンポーネントの間に形成されるクランプ間隙を覆うための挟み込み防止具(H)であって、
a)前記コンポーネントのうちの一方は、搬送方向(X)、これに対して直交して延びる横方向(Y)、および前記両方の方向(X,Y)に対して直交して延びる高さ方向(Z)に沿って延びるベルトコンベヤ(K)のコンベヤベルト(F)であり、
b)前記コンベヤベルト(F)は、横方向(Y)に延びるローラ軸(A)を中心として回転可能である、前記ベルトコンベヤ(K)のベルト本体(B)にローラホルダ(T)により取り付けられたローラ(R)によって方向転換される、挟み込み防止具において、
c)前記挟み込み防止具(H)は、前記ローラホルダ(T)と一体的に構成され、
d)前記ローラホルダ(T)は、当該ロールホルダ(T)を受けるフレームと協働作用し、前記フレームに対して相対的なローラホルダ(T)のY位置を定義する外側のストッパ面を有し、
e)少なくとも1つの前記ローラホルダ(T)は前記ベルト本体(B)への取付けのために横方向(Y)に進む挿入運動で、前記ベルト本体(B)の適当な取付手段と係合させることが可能である
ことを特徴とする、挟み込み防止具。
【請求項2】
前記挟み込み防止具は取付状態のときに前記ローラ(R)の横に並んで搬送方向(X)に延びる少なくとも1つの保持区域(D1,D2)を有し、当該保持区域は、
前記ローラホルダ(T)と一体的に構成された前記挟み込み防止具(H)を前記ベルト本体(B)に取り付けるためである、請求項1に記載の挟み込み防止具。
【請求項3】
前記挟み込み防止具(H)は、横方向(Y)に延びる少なくとも1つの保護部材(E1,E2)を、前記保護部材(E1,E2)と、前記ローラ(R)を周回する前記コンベヤベルト(F)との間での設定可能な大きさの径方向の残留間隙(G)の形成のために含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の挟み込み防止具(H)。
【請求項4】
前記コンベヤベルト(F)のほうを向いている前記保護部材(E2)の区域は前記ローラ軸(A)を中心とする円弧に沿って延びることを特徴とする、請求項3に記載の挟み込み防止具(H)。
【請求項5】
前記保護部材(E1,E2)の一区域は、前記コンベヤベルト(F)により形成される搬送平面の延長部を構成するために、搬送方向(X)および横方向(Y)に延びる支持面(S)を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の挟み込み防止具(H)。
【請求項6】
前記保護部材(E1,E2)は、コンベヤベルト幅またはローラ幅が変更されたときにコンベヤベルト幅またはローラ幅の全体にわたって残留間隙(G)を形成できるようにするために、横方向(Y)でモジュール式に拡張可能であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載の挟み込み防止具(H)。
【請求項7】
前記保護部材(E1,E2)は、保持区域(D)を起点として、残留間隙(G)を形成するために横方向(Y)で前記ローラ(R)から自由突出し、それにより前記コンベヤベルト(F)を、前記保持区域(D1,D2)に横方向(Y)で向かい合う前記ローラ(R)の側で、前記ローラ(R)と前記保護部材(E1,E2)との間の間隙から取り出すことができることを特徴とする、請求項3から6いずれか1項に記載の挟み込み防止具(H)。
【請求項8】
前記挟み込み防止具(H)は、X-Y方向にアライメントされた、好ましくは前記ローラ軸(A)を含む対称平面に対して、実質的に対称に構成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の挟み込み防止具。
【請求項9】
少なくとも1つの挟み込み防止具(H)を有している請求項1から8のいずれか1項に記載のベルト本体(B)。
【請求項10】
前記ローラホルダ(T)はローラ(R)を片側で支承することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のベルト本体(B)。
【請求項11】
前記取付手段は搬送方向(X)に延びる切欠きを含み、または、そのような切欠きに対して相補的に構成されて前記切欠きに挿入可能な突起を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のベルト本体(B)。
【請求項12】
前記ローラホルダ(T)は、ベルト張力を調整できるようにするために、長手方向(X)へ前記ベルト本体(B)に対して相対的にさまざまなX位置で好ましくは無段階に固定可能であることを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載のベルト本体(B)。
【請求項13】
前記挟み込み防止具(H)は前記ローラホルダ(T)と一緒にのみ、好ましくは工具なしに、および/または紛失可能な部品なしに、前記ベルト本体(B)から取外し可能であることを特徴とする、請求項9から12のいずれか1項に記載のベルト本体。
【請求項14】
請求項1から8の少なくとも1項に記載の挟み込み防止具(H)を有する、または請求項9から13のいずれか1項に記載のベルト本体(B)を有する、検査器具、特に秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動時に人間の四肢にとって危険なクランプ間隙の発生を回避するためにベルトコンベヤに配置するための挟み込み防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ベルトシステムでは、たとえば操作者の指や手、あるいはたとえばネクタイ、マフラー、袖などの衣料品が、クランプ間隙に引き込まれて挫傷する危険がある。クランプ間隙は、たとえば定置の部分と、可動の、特に回転する部分との間で発生し得る。特に、搬送ベルトシステムで搬送される製品と、特にローラやベルトなどの、搬送ベルトシステムの定置または可動の部分との間でクランプ間隙が発生するケースも考えられる。したがってクランプ間隙とは、本件出願の枠内では、本発明に基づく挟み込み防止具によって現行の安全性規格に準ずる許容寸法まで縮小されるべき、搬送ベルトシステムの稼働にとって危険な間隙を意味するものとする。
【0003】
搬送ベルトシステムへの挟み込み防止具の(場合により事後的な)取付けは、いっそう高い(材料面および時間面での)コストと結びつく。しかも、頻繁に紛失する取付ねじが使用され、このことは、食品産業や医薬品分野で未包装の食品が搬送される場合には望ましくない。たとえば故障したコンベヤベルトの交換時や、(場合により頻繁な)洗浄時など、挟み込み防止具が機械の耐用寿命の経過中に取り外されたとき、あらためて操業開始をする前に挟み込み防止具が忘れられたり、さらには故意に省略される可能性さえあり、そのため、搬送システムの当初の動作安全性が保証されなくなる。
【0004】
搬送ベルトシステムのベルト本体における挟み込み防止の通常の措置は、多かれ少なかれ長手方向ないし搬送方向に奥行をもって講じられ、そのため、接触を確実に回避しようとすれば、前後して位置する2つの搬送ベルトの間の移行部に多かれ少なかれ大きい隙間が残らざるを得ない。このことはとりわけ秤の場合に、特に自動式の秤の場合に、当てはまる。計量プラットフォームおよびこれに伴って計量搬送ベルトが隣接する「本土部分」に対して、支障となる力の分路を有するべきでないからである。
【0005】
しかし、プラットフォームの上で不安定性を生起する揺れを可能な限り生じさせることなく、前後して位置する2つの搬送ベルトの間の移行間隙を介して(短い)製品でも搬送できるようにするには、搬送方向の間隙長さが可能な限り短くなっていなければならない。したがって、挟み込み防止具は搬送方向に可能な限り短くなければならず、ないしは、搬送方向で可能な限りスペースを必要としてはならない。
【0006】
挟み込み防止具と、回転部分ないし搬送ベルトとの間でクランプ間隙の代わりに許容される残留間隙は、安全性規格によれば多くの場合に数ミリメートルを超えない。そうしないと指が引き込まれ得るからである。残留間隙は5mmよりも小さく、またはこれに等しいのが好ましい。
【発明の概要】
【0007】
したがって本発明の課題は、上述した欠点を克服し、クランプ間隙の回避に関わる搬送ベルトシステムの動作安全性を保証する、簡易な挟み込み防止具を提供することにある。
【0008】
この課題は、請求項1に記載の挟み込み防止具、請求項9に記載のこのような挟み込み防止具を有するベルト本体、および、請求項15に記載の検査器具によって解決される。
【0009】
本発明が前提とする知見は、挟み込み防止具を形成する部材がローラホルダに取付可能であるか、またはさらにローラホルダと一体的に構成されることによって、効果的な挟み込み防止具を構成できるというものである。それにより、挟み込み防止具をローラホルダの統合された構成要素にすることができる。それにより、過失または故意による、挟み込み防止具なしでの搬送ベルトの操業開始が難しくなり、もしくは防止される。
【0010】
挟み込み防止具は、ベルトコンベヤの作動時に2つのコンポーネントの間で生じ得るクランプ間隙を覆うための役目を果たし、これら両方のコンポーネントの一方はベルトコンベヤのコンベヤベルトである。このようなベルトコンベヤは、搬送方向X、これに対して直交して延びる横方向Y、およびこれら両方の方向に対して直交して延びる高さ方向Zに延びている。コンベヤベルトは、横方向Yに延びるローラ軸を中心として回転可能な、ローラホルダにより保持されるローラによって方向転換される。ローラホルダは、ベルト本体に取付可能である。たとえばコンベヤベルトを交換するために、あるいはベルト張力を変更するために、ローラホルダを一時的にベルト本体から外すことができ、さらに取り出すことができる。これに引き続く再稼働開始は、当然ながら、ローラホルダが再びベルト本体に取り付けられている場合にのみ可能である。
【0011】
本発明によると、挟み込み防止具はローラホルダに取り付けるために意図され(2部分型の解決法)、または、好ましくはさらにローラホルダと一体的に構成される(一体型の解決法)。そうすれば、ローラホルダがベルト本体から一時的に取り出され、引き続いて再び組み付けられるときに、ローラホルダに配置された挟み込み防止具も同時に再び組み付けられる。組み付けられたローラホルダとともにのみベルトコンベヤの作動準備が整い、かつ、それに伴って同時に挟み込み防止具も適正に取り付けられるので、挟み込み防止具なしでのベルトコンベヤの稼働開始が行われ得ないという利点がある。
【0012】
作動時に回避されるべきクランプ間隙は、特に、ローラがコンベヤベルトを(多くの場合に180°だけ)方向転換させるところで発生する。コンベヤベルトは方向転換中にローラ軸に関して、ローラの半径にコンベヤベルトの厚みを加えて求められる外側半径を有する。このような外側半径を、以下においては「ベルト半径」とも呼ぶ。半径方向で見てベルト半径の外側に後続する領域では、作動時に、たとえばコンベヤベルトと、ローラにより方向転換されるコンベヤベルトに沿ってちょうど引き込まれつつある製品との間で、クランプ間隙が発生し得る。ローラの周りで方向転換されるときにローラ軸の高さにあるコンベヤベルトの区域は、コンベヤベルトがX方向でもっとも遠くまで延在しており、以下においては「ベルト端部」とも呼ぶことにする。
【0013】
効果的な挟み込み防止のためには、潜在的なクランプ間隙を充填する、ないしは関連する安全性規格の許容される寸法まで縮小する、挟み込み防止具の一部としての保護部材をクランプ間隙に配置することが必要である。そのために保護部材は、ベルト半径の半径方向外側で横方向Yにクランプゾーンの中へと延びる。それにより保護部材が潜在的なクランプ間隙のスペースを充填し、その代わりにそれ自体と、ローラにより方向転換されるコンベヤベルトとの間で、コンベヤベルトの支障のない作動のために十分であると同時に人間の四肢、衣料品などの引き込みを確実に防止する、明らかに低減された規格工学的に許容される残留間隙Gを形成する。
【0014】
このとき保護部材はコンベヤベルトのほうを向く区域をもって、ローラ軸を中心として延びる円弧に沿って延びる。このことは、ある程度の剛性と安定性を保護部材に与える。それと同時に、コンベヤベルトをローラに沿って円周方向でシェルまたはハウジングのような形式で部分的に取り囲むこのような保護部材は、不慮の接触、汚れ、摩減、摩耗、あるいはさらに損傷などからコンベヤベルトを保護する。このときシェルまたはハウジングはベルト端部を周回することもでき、ないしは、ローラ軸を含むX-Y平面を貫いて延びることもできる。保護部材はこのケースではX方向で、ローラにより方向転換されるコンベヤベルトよりも若干遠くまで延びる。
【0015】
ただしこのケースでは、コンベヤベルト特別に良好な保護という利点は、ベルト本体と、たとえば搬送方向Xで隣接する他のベルト本体との間で遵守されなければならない、比較的大きい最小間隔と引き換えになる。ベルト本体と、隣接する他のベルト本体との間で、ローラ軸の高さにも保護部材が延びているからである。したがってこれら両方のベルト本体を、その間に介在する保護部材に基づき、X方向に任意の近さで前後して配置することができず、そのため、前後して位置する2つのベルト本体の間の引渡間隙が追加的に不都合に広くなる。(前後して位置する2つのベルト本体の間の引渡間隙は、互いに隣接する両方のベルト端部のところでローラ湾曲に基づいて、およびこの湾曲にそれぞれ追随するコンベヤベルトに基づいて発生し、それにより、前後して位置する両方のベルト本体の搬送平面が「楔形空間」によって中断される)。包装寸法との比率におけるローラ直径によっては、引渡間隙への引渡時に製品が内方に傾くという危険がある。コントロールのもとでのその後の搬送が、それによって著しく困難になる)。
【0016】
したがって保護部材の代替的な実施形態は、こうした問題を回避するために、保護部材がローラ軸の高さに延びるのではなく、当該平面の上方および/または下方にのみ延びることを意図する。そうすれば、ベルト端部がX方向で保護部材により覆われることがない。それにより、引渡間隙を可能な限り小さく抑えるために、搬送方向Xで前後して位置する2つのベルト本体ないしそのベルト端部を、可能な限り最小の相互のX間隔で配置することが可能である。それと同時に、保護部材がコンベヤベルトの上方で搬送経路へ突入してはならないので、保護部材はベルト半径の外側だけでなく、ローラ軸に対して垂直の断面で見たときに、
a)高さ方向Zでは、ローラ軸を含むX-Y平面によって、および、ベルト半径の間隔をおいて当該平面の上方または下方に位置する、これと平行な別の平面によって区切られ(このとき、上方に位置する平面はコンベヤベルトの上面により形成される搬送平面をなす)、かつ、
b)搬送方向Xでは、ローラ軸を含んでいるY-Z平面の、ベルト端部のほうを向く側に位置している領域に位置する。
【0017】
保護部材がローラ軸の上方または下方で搬送方向Xにベルト端部を超えて延びることは、それによって排除されない。このケースでは保護部材は、搬送方向Xでベルト本体に隣接する他のベルト本体のための挟み込み防止具も同時に構成する。その場合に保護部材が「自身の」ベルト本体の搬送ベルトとともに形成する、上に説明した残留間隙Gに追加して、保護部材は、隣接するベルト本体のコンベヤベルトF’との間でも、同等のわずかな間隙を同時に形成することができ、それにより、隣接するベルト本体のための挟み込み防止具の追加の配置が不要となる。そのために保護部材は、ベルト端部を含むY-Z平面に関して対称に構成されるのが好ましい。秤に帰属する搬送ベルトシステムの場合、このような種類の保護部材は、計量ベルトのベルト本体にではなく、供給または排出をするベルトに秤の前ないし後に配置されるのが好ましく、それは予荷重を軽減し、それによって秤の過渡振動プロセスを短縮するためである。
【0018】
その代替としてベルト本体に、当該ベルト本体にのみ資する挟み込み防止具を付与するのが好ましい場合があり得る。そうすれば、1つの挟み込み防止具の保護部材が、隣接するベルト本体でのクランプの危険の除去も担当することなしに、複数の同等のベルト本体を搬送方向に前後して配置することができる。そうすれば、このような「自律した」複数のベルト本体を前後して配置するのがいっそう容易になる。このようなケースでは、保護部材は搬送方向Xでベルト端部を超えて延びていないのが好ましい。
【0019】
引渡間隙をいっそう縮小するために、本発明の好ましい実施形態では、支持面としての役目を果たす保護部材の区域が搬送平面の一部を形成し、それにより、ベルト本体からこれに隣接する搬送デバイスへの製品の引渡を、ないしは以後の搬送を、可能な限り揺動なしに行うことが意図される。それにより、ローラを通り過ぎて搬送されていく製品が引渡間隙の領域で引き続き支持されるのに対して、コンベヤベルトはすでにローラの湾曲に追随して、搬送平面から外に出るように案内される。そのために、支持面が搬送平面でX-Y方向に延びるとともに、その長さに沿ってX方向で、コンベヤベルトから来る製品をいわば「引き取る」。それにより、引渡しのときに引渡間隙での製品の傾動が防止されるという利点がある。
【0020】
本発明による挟み込み防止具を、さまざまに異なる幅のコンベヤベルトを有するベルト本体でも利用できるようにするために、本発明の別の実施形態では、挟み込み防止具の保護部材がY方向へモジュール形式で拡張可能であることが意図される。そのために、可能性のあるクランプ間隙を全面的に覆うために必要な、横方向Yでの所要の幅を総体として実現するために、個々のモジュールをY方向で相互に差込可能であってよく、または、その他の方式で互いに取付可能であってよい(ねじ止め、係止、嵌め込み)。
【0021】
保護部材は、前述した保持区域を起点として、ローラにより案内されるコンベヤベルトにわたって横方向Yへ自由突出しながら、好ましくは一定の断面をもって延びるのが好都合である。このケースでは、保護部材が片側でのみ保持区域に取り付けられる(または、そこで一体的に保護区域に後続する)ので、横方向Yで保持区域に向かい合うローラの側で、そこで挟み込み防止具の一区域によって妨げられることなく、コンベヤベルトを必要に応じて横方向Yへローラから取り外すことができる。それにより、コンベヤベルトの交換が、あるいはローラホルダを含めた挟み込み防止具のベルト本体からの取外しも、著しく簡易化される。
【0022】
好ましい実施形態では、挟み込み防止具は、ローラ軸を含んでいるX-Y平面に対して対称に構成される。そのようにして挟み込み防止具を、選択的に、両方の側から横方向Yへローラホルダに、またはベルト本体のフレームに(必要に応じて180°だけ回して)取り付けることができ、これら両方のケースに備えて、それぞれ独自の挟み込み防止具を製作して在庫しておく必要がない。適当な取付手段がベルト本体のフレームに同じく対称に構成されるか、または、対称に構成された挟み込み防止具を少なくとも受容するために構成されるのが好都合である。このような「同一部品」を使用することで、在庫コストの面からも、部品の多様性を低減できるという利点がある。
【0023】
挟み込み防止具の一部としての保護部材をベルト本体に配置できるようにするために、挟み込み防止具の保持区域はローラホルダにより受容されるローラの横で並んで延びて、クランプ間隙を充填して残留間隙にまで縮小する保護部材を、ベルト半径の向こう側で支持するのが好都合である。それと同時に保持区域は、挟み込み防止具をローラホルダに取り付けるための役目を果たす。その代替として保持区域は、挟み込み防止具とローラホルダが互いに結合されたとき(および特に一体的に構成されているとき)、ベルト本体のフレームへローラホルダを同時に取り付けるための役目も果たす。
【0024】
本発明によるベルト本体は、上に説明した種類の少なくとも1つの本発明による挟み込み防止具を含む。そのために挟み込み防止具はローラホルダに取り付けられ、またはローラホルダの一部である。さらに、ローラホルダがベルト本体に取外し可能に取り付けられ、それにより、ローラホルダが一時的に取り外されるときに挟み込み防止具も一緒に取り外され、ローラホルダが再び組み付けられたとき、再稼働開始の前に同じく再びベルト本体へ同時に取り付けられる。それにより、挟み込み防止具なしでのベルトコンベヤの不慮の稼働開始が防止されるという利点がある。
【0025】
ベルト本体は、ローラホルダの取付けのために、それぞれコンベヤベルトを方向転換させる役目を果たす、さらには必要に応じてこれを駆動する役目も果たす、搬送方向Xで互いに間隔をおく2つのローラの間に延びるフレームを含むのが好ましい。このときフレームの一区域が、コンベヤベルトの上側車間部と下側車間部との間にも延びるのが好ましい。フレームは、両方のローラの間の領域でコンベヤベルトを高さ方向Zに支持する役目も果たすことができる。特にフレームは、各ローラがそれぞれのローラホルダをもってフレームに取り受けられる所定の、かつ好ましくは相互に調整可能なX方向の間隔で、両方のローラを配置するための役目を果たす。
【0026】
フレームにローラホルダを取り付けるために、フレームはたとえば横方向Yで切欠きにより貫通されていてよい。この切欠きは、切欠きに挿入されたローラホルダの区域と協働作用し、それによってフレームに対して相対的なローラホルダの位置を1つまたは複数の空間方向X,Y,Zに関して規定する、1つまたは複数の接触面を有する。ローラホルダは、横方向Yに進む挿入運動の枠内でフレームの切欠きへ挿入可能であるのが好ましく、それによりローラホルダをフレームと係合させる。たとえばローラホルダは、横方向Yに、すなわちベルト本体の側から、これと相補的に構成されたフレームの切欠きへ挿入可能である、横方向Yに構成された突起を有することができる。さらにローラホルダは、フレームと協働作用し、フレームに対して相対的なローラホルダのY位置を定義する、外側のストッパ面を有することができる。
【0027】
ローラホルダを受容するためにベルト本体のフレームに設けられる切欠きは、ベルト本体ないしフレームに対して相対的にローラホルダをさまざまなX位置で受容するために構成されるのが好ましい。このような切欠きは、長手方向Xに延びる長孔によって実矧ぎ(さねはぎ)原理に基づいて構成することができ、該長孔の中へローラホルダの一区域を、当該区域およびこれとともにローラホルダを長孔に沿ってX方向へスライド可能であるように挿入可能である。それにより、たとえば所望のベルト張力を得るために、ローラホルダにより受容されるローラのX位置を、ベルト本体に対して相対的に調整することができる。切欠きが適切な形状と方向になっていれば、ローラないしローラ軸はスライド位置に関わりなくそのY高さを実質的に変わらずに維持し、すなわち、純粋に並進的な運動を傾動することなく行う。
【0028】
適当な取付手段により、たとえばローラホルダおよびフレームと協働作用するクランプねじ、係止手段、またはその他のロックのための手段により、ローラホルダを選択されたX位置でベルト本体に固定することができる。取付手段は、たとえば蝶ナットや手動操作可能な係止機構として、工具なしで操作可能であるのが好ましい。長孔を例にとって説明した実矧ぎ(さねはぎ)原理は、当然ながら運動学的に逆の意味で、切欠きがローラホルダに設けられてベルト本体のフレームにある適当な突起と協働作用することによって、具体化することもできる。2つのコンポーネントを選択可能な相互の相対位置で取付可能である、当業者にそれ自体として周知のその他の取付手段も、原則として、ベルト本体にローラホルダを配置するために考慮の対象となる。
【0029】
フレームへのローラホルダの取付は、たとえば構成要素が常にフレームないしローラホルダと結合されたままに保たれるクランプ機構や係止機構によって、紛失可能な部品なしに行われるのが好ましい。それにより、紛失可能な、場合により検知するのが困難な小部品が異物として搬送される製品に、特に食品製品に、入り得ることが防止される。
【0030】
挟み込み防止具のローラホルダは、ローラを片側で支持ないし支承するために構成されるのが好ましい。このことは、ローラ軸を形成する区域(たとえば円筒状のピン)がローラの一方の側でのみローラホルダと結合され、それに対して、他方の側ではローラ軸が支持されないことを意味する。それによってローラの懸架が簡易化され、ローラ交換もいっそう容易に実行可能である。そのために、ローラ軸を形成する区域が横方向Yに若干突き出し、ローラをこの区域に横方向Yで外嵌して、必要な場合には適当な取付手段により固定することができる。
【0031】
ローラホルダと結合可能な、またはこれと一体的に構成される挟み込み防止具は、ローラを中央で分割するX-Z平面(以下において「ローラ平面」と呼ぶ)に関して、それぞれ異なる方式でローラホルダと結合され、ないしは構成されていてよい。好ましい実施形態では、ベルト本体と結合可能な保持区域はローラ平面の一方の側で、搬送方向Xで見てベルト端部へと向かう方向に延びており、そこで横方向Yに延びる保護部材が後続する。保持区域は同時にローラホルダとしての役目を果たし、保持区域から横方向Yに突き出すピンがローラ軸を形成し、ないしは、ピンに外嵌可能なローラを受容するための役目を果たす。それと同時に保持区域はローラ平面のこの側で、ローラを部分的または全面的に覆う。保持区域と向かい合うローラ平面の他方の側では、ローラないし挟み込み防止具の保護部材は横方向Yで「開いて」おり、それによって特に、コンベヤベルトをこの方向で必要時にローラから取り出すことができる。この実施形態では、保持区域はベルト端部と反対を向くほうの区域をもってベルト本体へ取り付けるための役目を果たし、それに対して、ベルト端部に向かって延びる区域は、一方ではローラを支持するとともに、他方では、ベルト端部の領域で挟み込み防止具をその少なくとも1つの保護部材とともに構成する。このように、ベルト本体から保持区域を外すことで(保守整備目的のため、ベルト張力の調整のためなど)、ローラホルダとローラが挟み込み防止具と一緒に外され、場合により取り出され、その際に、保護部材がローラに対する相対位置を変えることはない。ローラおよび保護部材とともに保持区域が改めてベルト本体に取り付けられた後、保護部材は変わることなく自動的に、ローラないしベルト半径に対して相対的な正しい間隔で位置決めされる。保持区域と、ローラホルダと、保護部材とからなる構造が、安定的なプラスチックや金属、特にアルミニウムや特殊鋼などから、一体的に構成されるのが好ましい。
【0032】
代替的な実施形態は、第1の保持区域がローラ平面の第1の側でローラホルダとして延びており、それに対して、この第1の保持区域と結合可能な、または固定的に結合された第2の保持区域は、ローラ平面の第2の側で挟み込み防止具の一部としてベルト端部まで延びて、そこで少なくとも1つの保護部材を支持することを意図する。このときローラを支持する第1の保持区域は、ローラ平面の第1の側でローラを部分的または全面的に覆う。ローラ平面の第2の側に位置する第2の保持区域は、この第2の側でローラを部分的または全面的に覆うことができ、その際に、少なくとも1つの個所でベルト半径を超えてローラから突出して、横方向Yでベルト表面から突き出す保護部材を支持する。この態様においても、ローラホルダとしての役目を果たす第1の保持区域は第2の保持区域と、ないし挟み込み防止具およびその補助部材と、一体的に構成されていてよく、それにより、規則どおりに設けられた挟み込み防止具をもってのみベルト本体の再稼働開始が可能となる。
【0033】
本発明による挟み込み防止具は、ベルト本体に配置されているときにも、両方のローラ側のうちの一方に向かって「開いて」構成されるのが好都合であり、それにより、コンベヤベルトを横方向Yでローラから引き出して取り外すことができる(ベルト張力を低減するために、ベルト本体のフレームに固定可能なローラホルダを必要に応じて若干緩め、あるいは完全に取り外すことができる)。
【0034】
挟み込み防止具とローラホルダが互いに一体的に構成されるのでなく、互いに取付可能である場合(2部分型の解決法)、たとえば係止結合や差込結合によって、紛失可能な部品なしに取付けが可能であるように留意されるのが好ましい。この結合は調整可能であってよく、または、挟み込み防止具の保護部材が、挟み込み防止具とローラホルダとの組み合せの際に必然的ないし自動的に、ローラにより受容されて方向転換されるべきコンベヤベルトとともに、動作安全性のために必要な小さい残留間隙Gを形成するように設計上で構成されていてよい。人間の四肢や衣料品にとっての危険となり得るクランプ間隙が、このようにして最初から生じ得なくなる。
【0035】
挟み込み防止具とローラホルダとの一体的な施工(一体型の解決法)は、これら両方の部品の間で、いかなる「追加の」取付も必要ないという特別な利点を提供する。それ以外の場合には必要となり、紛失する可能性があり得る、搬送される製品に入る恐れがある取付手段が回避されるという利点がある。さらに、個別部品の個数が少なくなり、このような挟み込み防止具を有するベルトコンベヤの組立ないし保守整備も容易になる。
【0036】
以上、コンベヤベルトがローラで方向転換されるベルト本体を取り上げて、方向転換の領域で挟み込み防止具がクランプ間隙を許容される残留間隙まで縮小させる、本発明による挟み込み防止具を説明してきた。しかし、これらの構成要件ないし考察は、たとえばチェーン、(細い)ベルト、丸ベルト、溝付きベルトなど、これ以外の周回する搬送手段にも意味に即して当てはまる。製品を搬送するために構成された検査器具、たとえば秤、金属探知器、X線装置、またはその他の測定器具にも、挟み込み防止具を好ましく適用することができる。
【0037】
次に、さまざまな図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳しく説明する。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】搬送ベルトシステムの4つのベルト本体を示す斜視図である。
図2a】2通りの実施形態における本発明の挟み込み防止具である。
図2b】2通りの実施形態における本発明の挟み込み防止具である。
図3a】ベルト本体にそれぞれ組み付けられた、図2a,図2bに示す挟み込み防止具の態様である。
図3b】ベルト本体にそれぞれ組み付けられた、図2a,図2bに示す挟み込み防止具の態様である。
図4】一体型および2部分型の挟み込み防止具を有するベルトコンベヤである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示すベルトコンベヤKは、上下に位置するベルト本体B1,B3ないしB2,4の間で製品をクランプし、その際に矢印で示唆する搬送方向Xへ製品を搬送するために、それぞれ搬送方向Xに延びる、高さ方向Zで上下して、ないしは横方向Yに並んで配置された、全部で4つのベルト本体B(B1-B4)を含んでいる。各々のベルト本体は、実質的に、図1にベルト本体B1についてのみ詳しく図示されているフレームMによって構成される。さらに各々のベルト本体は、ベルト本体Bの(搬送方向Xに関して)後側の端部でそれぞれローラRにより方向転換されるコンベヤベルトFを含んでいる(同じ機能を有する、かつ好ましくは同じく挟み込み防止具を有する、各々のベルト本体の前側の端部に配置されるローラは、図面の見やすさの都合から図示していない)。各々のローラRは、横方向Yに延びるローラ軸Aを中心として回転可能である。
【0040】
上側の両方のベルト本体B1,B2は、高さ方向Zでそれぞれ向かい合う下側の両方のベルト本体B3,B4と同一方向に回転し、それにより、搬送方向Xに(図1では左下から)来る製品をそれぞれのベルト本体Bの間に引き込み、これらにより搬送方向Xへさらに搬送することができる。
【0041】
各々のベルト本体Bは、その後側の端部でそれぞれ挟み込み防止具Hを支持している。各々の挟み込み防止具は、ローラRにより方向転換されるコンベヤベルトFに対してわずかな間隔をおいて横方向Yに延びる、1つまたは2つの保護部材E1,E2図2および図3も参照)を含んでいる。それにより保護部材は、人間の四肢よりも、特に指よりも、規格適合的に小さく選択された(特に図3に示す)残留間隙Gを形成する。挟み込み防止具Hは、たとえばローラRの領域で、コンベヤベルトFと、ベルトコンベヤKにより引き込まれる製品との間に形成されるクランプ間隙に指が入るのを防止する。そのために挟み込み防止具Hはその保護部材Sをもって、このような潜在的なクランプ間隙の中に突入して、これを充填する。
【0042】
上側のベルト本体B1の挟み込み防止具Hは、保持区域Dに一体的に成形されたシェル状の保護部材E2を含んでいる。保持区域Dは搬送方向XにローラRの横を通過して延び、保護部材E2と反対を向くほうの端部で、ベルト本体B1のフレームRに取り付けられている。(第1のベルト本体では見えにくくなっている)ローラRも、ローラホルダTとしての役目も果たす保持区域Dによって支持されて、ベルト本体B1のフレームMに対して相対的に位置決めされる。ローラホルダTと一体的に構成された挟み込み防止具Hを、(負の)横方向Yに、すなわち図1では右下に向かって、フレームMから取り出すことができ、ないしはこれと反対方向に挿入することができる。(第1のベルト本体B1に横方向で向かい合う第2のベルト本体B2への挟み込み防止具Hの配置は、第1のベルト本体に対して鏡像対称に選択されており、第1のベルト本体B1に関する上記の説明をそのまま準用する)。
【0043】
それぞれの挟み込み防止具に関してやはり互いに鏡像対称に構成されている両方の下側のベルト本体B3,B4は、それぞれの後側の端部で同じく挟み込み防止具Hをそれぞれ支持する。ここでは各々の挟み込み防止具は、高さ方向Zで互いに間隔をおく、それぞれ横方向Yに自由突出するウェブ状の保護部材E1を有していて、その特性については後でまた詳しく説明する。その他の点では、下側のベルト本体B3,B4の挟み込み防止具Hの構成は、上側のベルト本体B1,B2の構成に準じて選択されている。それに応じて各々の挟み込み防止具Hの保護部材E1は、同時にローラホルダTとしての役目をする(ここには詳しくは図示しない)保持区域を介して、それぞれのベルト本体B3,B4のフレームに取り付けられている。
【0044】
図2aは、図1で両方の上側のベルト本体B1,B2に設けられている、本発明による一体的な挟み込み防止具Hを簡略化した斜視図で示している。シェル状に構成された保護部材E2が、保護部材によって受容されるべきローラRのローラ軸Aを中心とする円弧に沿って延びている。ここでは保護部材は、X方向に延びる保持区域Dを起点として、横方向Yへ自由突出している。ここでは保護部材E2の幅は、挿入されるべきローラRおよびベルトFが横方向Yで完全に覆われるように選択されている。保持区域Dは同時にローラホルダTであり、ローラ軸Aの領域にほぼローラ直径に相当する凹部を、その中でローラを受容できるようにするために有している。保持区域Dは、保護部材と反対を向くほうの端部に結合手段Vを装備しており、これによってベルト本体BのフレームMに取付可能である。
【0045】
保持区域Dは結合手段Vの領域に、互いに平行な2つの案内面Jを装備している。ベルト本体Bのフレームに設けられた切欠きが、両方の案内面Jに対して相補的に配置された、互いに高さ方向Zで向かい合う2つのストッパ面Wを有していて、これらのストッパ面が挿入状態のときに保持区域Dを搬送方向XでフレームMに対して相対的に正確に適合するように案内すると同時に、フレームに対して相対的な保持区域DのX位置の調整を可能にする。それにより、保持区域Dにより受容されるローラRを、必要なベルト張力に適したX位置へとフレームMに沿ってスライドさせて、結合手段Vを利用することで固定することができる。保持区域Dに一体的に成形された保護部材E2も同じくこの運動を行い、それにより、ローラRにより支持されるベルトFに対する、ないしはローラ軸Aに対する、保護部材E2の間隔が変わらずに保たれる。
【0046】
図2bは、図1の下側のベルト本体B3,B4に配置されている、同じく一体的な挟み込み防止具Hを示している。保持区域Dの構造と機能に関わる説明は、図2aに関する説明に準じて理解することができ、それに対してこの挟み込み防止具は、その保護部材の構成に関して相違している。ウェブ状の2つの保護部材E1が高さ方向Zで互いに間隔をおきながら互いに平行に、かつ保持区域Dから自由突出するように、横方向Yへ延びている。ここでも保護部材のY方向幅は、保持区域Dにより受容されるローラRの、ないしはこれに支持されるコンベヤベルトの、Y方向幅に即して選択される。上側と下側の保護部材E1の間の中間スペースは空いたままであり、それにより、ローラRまたは少なくともこれにより方向転換されるコンベヤベルトFがこの中間スペースの中に突入し、もしくはこれを貫いて突出することができる。図2bには示さない、ローラRにより方向転換されるコンベヤベルトFと、ローラ軸Aのほうを向いている保護部材E1の面との間に、すでに上で説明した残留間隙Gが形成される。
【0047】
各々の保護部材E1は、それぞれX-Y平面に延びる、支持面Sとしての役目を果たす上面を有している。ローラ軸Aに対して相対的な支持面Sの位置は、ベルト本体に配置された挟み込み防止具が、上側に位置する保護部材E1の支持面Sをもって、コンベヤベルトFの上面によりベルト本体Bに沿って定義される搬送平面の延長部を生成するように選択される。ベルト半径Nとして定義される、高さ方向Zでのローラ軸に対する支持面Sの間隔は、ローラ半径と、コンベヤベルトFのZ方向厚みとの和から求められる(これに関しては図3aおよび図3bも参照)。
【0048】
あるいは、支持面の機能を省略することも考えられる。コンベヤベルトの高さにまで達する保護部材のせいで、製品が傾く可能性があるからである。そうしたケースでは、Z方向の面Sの位置が搬送平面の位置よりも意図的に若干低く選択され、それにより、製品が保護部材をほぼ接触なしに通過して動くことができ、保護部材は純粋な挟み込み防止具としてのみ作用する。
【0049】
図2aおよび図2bに示す挟み込み防止具は、ローラ軸Aを含むX-Y平面に対してそれぞれ対称に構成されている。図1に明示するように、このような挟み込み防止具は、選択的に、一方の側または(180°だけ回転した)他方の側で、ないしは横方向Yまたはこれと反対方向へ、ベルト本体のフレームMへ挿入されるために構成されるのが好ましく、その際に、それぞれ自由突出する保護部材がY方向ないしこれと反対方向に延びる。
【0050】
図3aおよび図3bは、すでに図1に示したさまざまな挟み込み防止具ないし保護部材E1およびE2の配置を、(横方向Yからの視線をもって)簡略化した側面図で示している。すでに説明した部材に関しては同所の記述を援用する。見られるとおり、シェル状の保護部材E2はX方向で後側のベルト端部を超えて延びており、その際にローラ軸Aの高さでもローラRを周回する。それにより挟み込み防止に加えて、損傷や汚れに対するローラRの特別に良好な保護も実現される。
【0051】
それに代えて型式E1の保護部材を装備する挟み込み防止具Hは、X方向でベルト本体に後続する(ローラR’、コンベヤベルトF’、およびベルト端部Q’を有する)他のベルト本体が、そのとき互いに隣接する両方のベルト本体のベルト端部Q,Q’が可能な限り互いに近くに位置し、それにより引渡間隙を可能な限り小さく抑えるような配置を可能にする。このときコンベヤベルトFはそのベルト端部Qをもって、それぞれの保護部材E1の間に形成される中間スペースの中へX方向に突入し、ないしは貫通する。
【0052】
図4は、2つのベルト本体B3,B4の下側の区域を部分図として示しており、その挟み込み防止具H’は2部分で、それに伴って図1とは別様に構成されている(それに対して、上側のベルト本体B1,B2はこの点に関して図1と同一である)。図4の下側部分では、フレームMに取付可能である第1の保持区域D1がローラRの第1の側で、ベルト本体の後側端部に向かう方向に延びている。ただしこの保持区域D1は、フレームないしローラRのこの第1の側ではローラRのためのローラホルダとしての役目だけを果たし、X方向にベルト端部を超えて延びてはいない。この保持区域は、2部分からなる挟み込み防止具H’の第1の部分を構成する。これと向かい合うローラRの側に、第1の保持区域D1と結合可能な第2の保持区域D2が、2部分からなる挟み込み防止具H’の第2の部分としてベルト半径を超えて、すでに説明した保護部材E1がそこで横方向Yに間隙Gを形成するために、ローラRにより方向転換されるコンベヤベルトを超えて突き出すことができる程度まで延びている。第1の保持区域D1と両方の保護部材E1との間に(これに関してはやはり図3bを参照)、必要時にコンベヤベルトFを横方向YにローラRから引き抜くことができる間隙が残る。
【0053】
この実施形態では、第2の保持区域D2を、本来の挟み込み防止具を構成する保護部材E1とともに第1の保持区域D1から外して、場合により交換することができる。たとえばコンベヤベルトを交換するために、またはその他の保守整備業務を行うために、フレームMから第1の保持区域D1を外すことで、ローラRに加えて第2の保持区域D2も、およびこれに伴って本来の挟み込み防止具を構成する保護部材E1も、ベルト本体から一緒に外される。ベルト本体の再稼働開始は、ローラホルダがあらためて取り付けられた後でのみ(および、これと同時に必要なベルト本体への挟み込み防止具の配置の後でのみ)可能である。
【符号の説明】
【0054】
A ローラ軸
B,B1,B2,B3,B4 ベルト本体
1,D2 保持区域
E,E1,E2 保護部材
F コンベヤベルト
G 残留間隙
H 挟み込み防止具
J 案内面
K ベルトコンベヤ
L 長孔
M フレーム
N ベルト半径
P シャフト
Q ベルト端部
R ローラ
S 支持面
T ローラホルダ
V 結合手段
X 搬送方向
W ストッパ面
Y 横方向
Z 高さ方向
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4