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特許7214767X線感知可能電池セパレータ及び関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】X線感知可能電池セパレータ及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20230123BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20230123BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20230123BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/434
H01M50/417
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021034118
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2019165326の分割
【原出願日】2011-01-18
(65)【公開番号】P2021093376
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】12/689,418
(32)【優先日】2010-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】シュエファ リー
(72)【発明者】
【氏名】シー.グレン ウェンスリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンミン ジャン
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-098911(JP,A)
【文献】特開2009-110937(JP,A)
【文献】特開平07-272762(JP,A)
【文献】特開2008-094911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池用のX線感知可能電池セパレータであって、
乾式延伸法ポリマー微多孔膜を含み、前記微多孔膜が前記微多孔膜に分散した、前記微多孔膜を被覆した、及び前記微多孔膜に添加したX線検出可能成分の少なくとも一つを有し、
前記X線検出可能成分が金属硫酸塩からなる群から選ばれ、これら成分の金属がZn、Ti、Mn、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Fe、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、前記X線検出可能成分を、前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜の2~10重量%含む、
X線感知可能電池セパレータ。
【請求項2】
前記X線検出可能成分を、前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜の2~5重量%含む、請求項1に記載のX線感知可能電池セパレータ。
【請求項3】
前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜が乾式延伸法ポリオレフィン膜である、請求項1に記載のX線感知可能電池セパレータ。
【請求項4】
前記X線検出可能成分が前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜を被覆している、請求項1に記載のX線感知可能電池セパレータ。
【請求項5】
前記X線検出可能成分が前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜に分散している、請求項1に記載のX線感知可能電池セパレータ。
【請求項6】
前記X線検出可能成分が前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜に添加されている、請求項1に記載のX線感知可能電池セパレータ。
【請求項7】
リチウム二次電池用のX線感知可能電池セパレータであって、
乾式延伸法ポリマー微多孔膜を含み、前記微多孔膜が前記微多孔膜に分散した、前記微多孔膜を被覆した、及び前記微多孔膜に添加したX線検出可能成分の少なくとも一つを有し、
前記X線検出可能成分がバリウム、酸化バリウム、リン酸バリウム、炭酸バリウム、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、前記X線検出可能成分を、前記乾式延伸法ポリマー微多孔膜の0.01~5重量%含む、
X線感知可能電池セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、X線を感知又は検出できる電池セパレータ及びこのようなセパレータを作製
し使用する方法に関し、該方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセ
パレータの位置を検出する方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池等の電池の正極と負極を分離するために電池セパレータが用いられる
。電池セパレータは通常微多孔性であるため、電極同士が直に接触することにより起こる
内部短絡を防止しながら、最小限の抵抗でイオン電流を通し得る。
【0003】
通常、リチウム二次電池の正極と負極との間に電池セパレータを挟む。電池セパレータ
の位置が僅かにずれただけでも電池が短絡することがあるため、セパレータを適切な位置
に維持することが重要である。現在のところ、特許文献1に記載のものを除いて、電池内
のセパレータの位置を測定し、欠陥のある電池(即ち、製造過程でセパレータ又は電極の
位置がずれてしまった電池)が消費者市場に出るのを防ぐための有力な技術は無い。
【0004】
微多孔高分子膜は公知であり、様々な方法で形成でき、その形成方法は膜の物性に影響
を及ぼす(例えば非特許文献1参照)。3種の異なる公知の微多孔高分子膜形成方法とし
て、乾式延伸法(セルガード法としても知られる)、湿式法、及び粒子延伸法が挙げられ
る。
【0005】
乾式延伸法(セルガード法)は、非多孔性且つ半結晶性の押出高分子前駆体を流れ方向
に延伸(MD延伸)することによって孔を形成する方法である(例えば非特許文献1の2
90~297頁参照、該文献はこの参照により開示に含まれる)。このような乾式延伸法
は湿式法及び粒子延伸法とは異なる。湿式法は相反転法、抽出法、又はTIPS法として
も知られており、一般的には高分子原料をプロセス油(可塑剤とも称される)と混合し、
この混合物を押出した後、プロセス油を除去して孔を形成する(油除去の前又は後に膜を
延伸してもよい)(例えば非特許文献1の237~286頁参照、該文献はこの参照によ
り開示に含まれる)。
【0006】
粒子延伸法では、一般的には高分子原料を孔形成微粒子と混合し、この混合物を押出し
、延伸工程中に延伸力によって高分子と微粒子の間の界面を破砕して孔を形成する(例え
ば特許文献2及び3参照、該文献はこの参照により開示に含まれる)。
【0007】
また、通常、これら異なる形成方法によって得られる膜は異なる物性を示し、膜がどの
方法によって形成されたか判別できることが多い。例えば、乾式延伸法による膜は、前駆
体を流れ方向に延伸(MD延伸)した結果として、スリット状の孔を有する場合がある。
湿式法による膜は、油又は可塑剤を用い、前駆体を流れ方向に延伸(MD延伸)し、横流
れ方向又は横方向に延伸(TD延伸)した結果として、円形の孔及びレース状の外観を有
する傾向がある。一方、粒子延伸法による膜は、微粒子を用い、流れ方向に延伸(MD延
伸)したために、長円形の孔を有する傾向がある。従って、これらの膜は形成方法によっ
てそれぞれ区別できる。
【0008】
乾式延伸法により得られる膜は、セルガード・エルエルシー(ノースカロライナ州シャ
ーロット)から販売されている種々のセルガード(登録商標)乾式延伸多孔膜(例えばフ
ラットシート膜、電池セパレータ、中空繊維等)のように、既に商業的に大きな成功を収
めている。しかしながら、このような膜をより広い用途で使用したり、特定の目的でより
効果的に使用したりするためには、少なくとも幾つかの選択された物性について改善、修
正、又は増強する必要がある。
【0009】
例えば、非多孔性且つ半結晶性の押出高分子前駆体を流れ方向に延伸(MD延伸)し、
更に流れ方向に緩和(MD緩和)しながら横方向に延伸(TD延伸)することによって、
独特な円形孔を形成する改良乾式延伸法(改良セルガード法)が特許文献4に開示されて
おり、該文献はこの参照により開示に含まれる。
【0010】
電池セパレータの発展のための研究に努力が払われてきたにもかかわらず、更に改良さ
れた電池セパレータが求められている。改良電池セパレータとしては、電池、セル、スタ
ック、ゼリーロール、缶等に挿入又は組み込んだ際にX線を感知又は容易に検出できるた
め、その内部でのセパレータの位置又は電極に対する相対的なセパレータの位置を測定で
き、更に比較的製造が容易であり、低コストであり、性能要件や製品規格を満たすもの等
が必要とされている。更には、電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部でのセ
パレータの位置を検出することで、比較的容易に高い費用効率でその内部でのセパレータ
の位置又は電極に対する相対的なセパレータの位置を測定する方法や、このようなセパレ
ータを比較的単純に高い費用効率で製造するための方法、該セパレータを比較的単純に高
い費用効率で使用するための方法等が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2009/0081535A1号(2009年3月26日公開)
【文献】米国特許第6,057,061号
【文献】米国特許第6,080,507号
【文献】米国特許出願公開第2007/0196638A1号(2007年8月23日公開)
【非特許文献】
【0012】
【文献】Kesting, Robert E., Synthetic Polymeric Membranes, A Structural Perspective, Second Edition, John Wiley & Sons, New York, NY (1985)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
少なくとも選択された実施形態においては、本出願は、リチウム二次電池用のX線感知
可能電池セパレータ、及びリチウム二次電池中のこのようなセパレータの位置を検出する
方法に関する。少なくとも選択された実施形態においては、好ましいX線感知可能電池セ
パレータはX線検出可能成分を含有する微多孔膜を有する。少なくとも選択された実施形
態においては、電極に対する相対的なセパレータの位置を検出する(例えば最小限のコン
トラストを有するX線写真を得る)ために十分な量のX線検出可能成分を使用する。少な
くともセパレータの特定の実施形態においては、微多孔膜中のX線検出可能成分の比率は
20重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、最も好ま
しくは5重量%未満である。
【0014】
少なくとも電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレータの位置を検
出するための典型的な方法は、(1)X線を感知又は検出できる電池セパレータを含む電
池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等を準備する工程、(2)この電池、セル、スタ
ック、ゼリーロール、缶等にX線を照射する工程、及び(3)それにより電池、セル、ス
タック、ゼリーロール、缶等の内部でのセパレータの位置を検出する工程を含む。
【0015】
少なくとも本発明の選択された実施形態においては、改良電池セパレータや改良法等を
提供する。例えば、電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等に挿入又は組み込んだ際
にX線を感知又は容易に検出できる改良セパレータであって、電池、セル、スタック、ゼ
リーロール、缶等の内部でのセパレータの位置又は電極に対する相対的なセパレータの位
置を測定でき、更に比較的製造が容易であり、低コストであり、性能要件や製品規格等を
満たすセパレータを提供する。更には、少なくとも本発明の選択された実施形態において
は、電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部にセパレータを形成又は使用する
ための改良法や、その内部でのセパレータの位置を検出するための改良法を提供する。例
えば、X線を感知又は容易に検出できる改良電池セパレータであって、電池、セル、スタ
ック、ゼリーロール、缶等の内部でのセパレータの位置又は電極に対する相対的なセパレ
ータの位置を測定でき、比較的単純で費用効率が高いセパレータや、このようなセパレー
タを比較的単純に高い費用効率で製造するための方法、該セパレータを比較的単純に高い
費用効率で使用するための方法等を提供する。
【0016】
少なくとも幾つかの実施形態においては、本出願は、リチウム二次電池用のX線感知可
能電池セパレータ、及びリチウム二次電池中のこのようなセパレータの位置を検出する方
法に関する。X線感知可能電池セパレータは、好ましくはX線検出可能成分を含有する微
多孔膜を有する。少なくとも一実施形態においては、微多孔膜中のX線検出可能成分(硫
酸バリウム粒子等)の比率が、好ましくは5重量%未満である。上記電池内のセパレータ
の位置を検出する方法は、(1)X線感知可能電池セパレータを含む電池を準備する工程
、(2)この電池にX線を照射する工程、及び(3)それにより電池内部でのセパレータ
の位置を検出する工程を含む。
【0017】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる乾式延伸電池セ
パレータ、このようなセパレータを作製するための乾式延伸法、及び該セパレータを使用
する方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレ
ータの位置を検出する方法を包含する。
【0018】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる湿式法延伸電池
セパレータ、このようなセパレータを作製するための湿式法、及び該セパレータを使用す
る方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレー
タの位置を検出する方法を包含する。
【0019】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる粒子延伸電池セ
パレータ、このようなセパレータを作製するための粒子延伸法、及び該セパレータを使用
する方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレ
ータの位置を検出する方法を包含する。
【0020】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる改良乾式延伸電
池セパレータ、このようなセパレータを作製するための改良乾式延伸法、及び該セパレー
タを使用する方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部
のセパレータの位置を検出する方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
現時点で好ましいと考えられる形態を図面に示して本発明を説明するが、本発明は図の
実施形態、配置、及び手段に限定されるものではない。
図1】本発明の第一の実施形態によるX線感知可能電池セパレータを示す概略斜視図である。
図2】本発明の第二の実施形態によるX線感知可能電池セパレータを示す概略斜視図である。
図3図1のX線感知可能電池セパレータを有する電池又は缶を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面中、類似の要素は同様の数字で示す。図1には、第一の実施形態によるX線感知可
能電池セパレータ10を示す。このX線感知可能電池セパレータ10は微多孔膜12を有
し、X線検出可能成分14が微多孔膜12内に分散している。
【0023】
微多孔膜12はX線検出可能成分14を含有していればいかなる微多孔膜であってもよ
い。微多孔膜は当該技術分野で広く知られている。微多孔膜12はどのような材料からな
るものであってもよく、例えば高分子からなる。高分子は、例えば任意の合成高分子、セ
ルロース、又は合成変性セルロースであってよい。好ましい合成高分子としては、ポリエ
チレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、超高分
子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレン、これらの共重合体、混合物、又はブレン
ド等のポリオレフィンが挙げられる。微多孔膜12はいかなる多孔性を有してもよく、例
えば約20%~約80%の多孔率を有してよい。微多孔膜12はいかなる平均孔径を有し
てもよく、例えば約0.1~約5ミクロンの平均孔径を有してよい。微多孔膜12は1つ
以上の層からなるものであってよく、いかなる膜厚を有してもよく、例えば約6~約80
ミクロンの膜厚を有してよい。
【0024】
X線検出可能成分14はいかなるX線検出可能材料であってもよい。例えば、X線材料
14は、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、X線蛍光物質、硫酸バリウム(BaS
4)等の金属硫酸塩、又は塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択してよい。こ
れら例示のX線材料は制限的なものではない。典型的な金属酸化物としては、Zn、Ti
、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta、Zr、Al、P
b、Sn、Sb、Cu、Ni、及びFeからなる群から選ばれる金属を含有する金属酸化
物が挙げられるが、これらに限定されない。これら例示の金属酸化物は制限的なものでは
ない。典型的な金属リン酸塩としては、Zn、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si
、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Ni、及びF
eからなる群から選ばれる金属を含有するリン酸塩酸化物が挙げられるが、これらに限定
されない。これら例示の金属リン酸塩は制限的なものではない。典型的な金属炭酸塩とし
ては、Zn、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta
、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Ni、及びFeからなる群から選ばれる金属を
含有するものが挙げられるが、これらに限定されない。これら例示の金属炭酸塩は制限的
なものではない。典型的なX線蛍光物質としては、有機物質、無機物質、及びこれらの組
み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ここで蛍光物質とは、X線照射により
励起されて検出信号を生じ得る電子を有する物質を表す。これら例示のX線蛍光物質は制
限的なものではない。X線検出可能成分14は、膜12の重量の何%を構成していてもよ
い。膜12中のX線検出可能成分の比率は、例えば0.01~98重量%であってよく、
場合によっては好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、最も好まし
くは10重量%未満である。X線検出可能成分として硫酸バリウム粒子を用いる場合、好
ましい一実施形態においては、膜12中の硫酸バリウムの比率は10重量%未満であり、
より好ましくは2~5重量%であり、最も好ましくは約4重量%である。
【0025】
或いは、図2に示すように、X線感知可能電池セパレータ10’は多層電池セパレータ
であってもよい。ここで多層とは2層以上を意味する。X線検出可能電池セパレータ10
’は、好ましくは、X線検出可能成分14’を含有する少なくとも1つの微多孔膜又は微
多孔層12’と、少なくとも1つの多孔性の他の膜、材料、又は層16とを有する。この
X線を感知又は検出可能な電池セパレータ10’は、例えば微多孔層12’の両側等に複
数の層16を有するのが好ましい。一実施形態においては、層16が付加的な微多孔層1
2’に相当する。更に、層16、微多孔層12’、及び付加的な層のうち少なくとも1つ
がシャットダウン層(即ち、内部又は外部の要因によって熱暴走や内部短絡が起こった場
合に、電極間のイオン流動を停止する層)であってもよい。
【0026】
微多孔膜又は微多孔層12’(或いは複数の微多孔層12’)は、X線検出可能成分1
4’を含有していればいかなる微多孔膜であってもよい。微多孔膜は当該技術分野で広く
知られている。微多孔膜12’はどのような材料からなるものであってもよく、例えば高
分子からなる。高分子は、例えばいかなる合成高分子、セルロース、又は合成変性セルロ
ースであってよい。好ましい合成高分子としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレ
ン(PP)、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWP
E)、超高分子量ポリプロピレン(UHMWPP)、これらの共重合体、混合物、又はブ
レンド等のポリオレフィンが挙げられる。微多孔膜12’はいかなる多孔性を有してもよ
く、例えば約20%~約80%の多孔率を有してよい。微多孔膜12’はいかなる平均孔
径を有してもよく、例えば約0.1~約5ミクロンの平均孔径を有してよい。微多孔膜1
2’は1つ以上の層からなるものであってよく、いかなる膜厚を有してもよく、例えば約
6~約80ミクロンの膜厚を有してよい。
【0027】
X線検出可能成分14’(成分14に類似)はいかなるX線検出可能材料であってもよ
い。例えば、X線材料14’は、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、X線蛍光物質
、硫酸バリウム(BaSO4)等の金属硫酸塩又は塩、及びこれらの組み合わせからなる
群から選択してよい。これら例示のX線を感知又は検出できる材料は制限的なものではな
い。典型的な金属酸化物としては、Zn、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、C
s、Sr、Ca、Rb、Ta、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Ni、及びFeか
らなる群から選ばれる金属を含有する金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない
。これら例示の金属酸化物は制限的なものではない。典型的な金属リン酸塩としては、Z
n、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta、Zr、
Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Ni、及びFeからなる群から選ばれる金属を含有する
リン酸塩酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。これら例示の金属リン酸塩は制
限的なものではない。典型的な金属炭酸塩としては、Zn、Ti、Mn、Ba、Ni、W
、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、
Ni、及びFeからなる群から選ばれる金属を含有するものが挙げられるが、これらに限
定されない。これら例示の金属炭酸塩は制限的なものではない。典型的なX線蛍光物質と
しては、有機物質、無機物質、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定さ
れない。ここで蛍光物質とはX線照射により励起されて検出信号を生じ得る電子を有する
物質を表す。これら例示のX線蛍光物質は制限的なものではない。X線検出可能成分14
’は膜12’の重量の何%を構成していてもよい。セパレータ10’又は膜12’中のX
線検出可能成分14’の比率は、例えば0.01~98重量%であってよく、場合によっ
ては好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、最も好ましくは10重
量%未満である。X線検出可能成分として硫酸バリウム粒子を用いる場合、好ましい一実
施形態においては、膜12’中の硫酸バリウムの比率は10重量%未満であり、より好ま
しくは2~5重量%であり、最も好ましくは約4重量%である。
【0028】
層16(又は複数の層16)は、いかなる従来の多孔性又は微多孔性の膜、材料、又は
層であってもよい。多孔性又は微多孔性の膜又は材料は当該技術分野で広く知られている
。層16(又は複数の層16)はどのような材料からなるものであってもよく、例えば高
分子からなる。高分子は、例えばいかなる合成高分子、セルロース、又は合成変性セルロ
ースであってよい。好ましい合成高分子としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレ
ン(PP)、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、超高分子量ポリエチレン、超高分子量
ポリプロピレン、これらの共重合体、混合物、又はブレンド等のポリオレフィンが挙げら
れる。層16はいかなる多孔性を有してもよく、例えば約20%~約80%の多孔率を有
してよい。層16はいかなる平均孔径を有してもよく、例えば約0.1~約5ミクロンの
平均孔径を有してよい。層16は1つ以上の層からなるものであってよく、いかなる膜厚
を有してもよく、例えば約10~約40ミクロンの膜厚を有してよい。セパレータ10’
が2以上の層16を有する場合、該複数の層16の構造は同じであっても異なっていても
よい。セパレータ10’は、PP層12’とPP層16からなる構造、PP層12’とP
E層16からなる構造、PE層12’とPP層16からなる構造、PE層12’とPE層
16からなる構造、2つの類似のPP層16の間にPE層12’を有する構造、2つの異
なるPP層16の間にPE層12’を有する構造、2つの類似のPE層16の間にPP層
12’を有する構造、2つの異なるPE層16の間にPP層12’を有する構造、第一の
PP層16と第二のPE層16の間にPE層12’を有する構造、2つのPP層12’か
らなる構造、2つのPP層12’とPE層16からなる構造、2つのPE層12’からな
る構造、2つのPP層16の間に2つのPE層12’を有する構造等を有していてよく、
これらに限定されない。セパレータ10’の層12’及び16は、例えば共押出、積層、
又は接着されたものであってよい。
【0029】
図3に示すように、製造時には、図1のX線感知可能電池セパレータ10(又は図2
セパレータ10’)を正極18と負極20の間に挟み、次にこれをゼリーロール15(或
いは、プリズム状の構造又はスタック、矩形状セル、ポケットセル、ボタンセル、その他
の缶、容器、構造等)の状態に巻回してよい。ゼリーロール15は更に負のタブ24及び
正のタブ22を有してもよい。正極18は、アルミニウム箔等の金属シート(即ち、図示
しないが公知の正極材料又は電極活混合物を従来法により塗布した電流コレクタ)からな
るものであってよい。負極20は、銅箔等の金属シート(即ち、図示しないが公知の負極
材料又は電極活混合物を従来法により塗布した電流コレクタ)からなるものであってよい
。その後、ゼリーロール15を電解質(図示せず)を充填した缶26に挿入し、缶26を
蓋28で封止する。両端部をそれぞれ蓋で閉じてもよい。缶26は、金属(鋼、ステンレ
ス鋼、アルミニウム等)製の円筒缶、プラスチックの箱、金属化箔等のホイルポーチ等で
あってよい。電解質はいかなるイオン伝導性物質であってもよい。電解質は例えば液体電
解質、固体電解質、或いは高分子状又はゲル状の電解質であってよい。液体電解質は一般
的に無機又は有機の溶媒に溶解した電解質塩を含む。ゲル電解質は一般的に非水溶媒に溶
解した電解質塩を含み、これをポリマーマトリクスでゲル化して得られる。
【0030】
使用時には、X線感知可能電池セパレータ10(又は10’)を含む電池、セル、スタ
ック、ゼリーロール、缶等にX線を照射することによって、電池、セル、スタック、ゼリ
ーロール、缶等の内部でのX線感知可能電池セパレータ10(又は10’)の位置の検出
を可能にする。一例においては、セパレータは電極よりも幅が広く、電極の側部縁部から
はみ出ている。電極同士が物理的に接触して短絡の危険が生じるのを防ぐために、セパレ
ータは電極の側部縁部を分離し更に外に延在する。巻回過程又は電池組み立て中に、電極
側部縁部から外に出た部分のセパレータが除去されたり、移動したり、押し込められたり
、又はずれてしまうことによって(或いは電極が移動したりその位置が変わってしまうこ
とによって)、電極同士が物理的に接触してしまう恐れが生じることがある。組み立てた
電池、セル、スタック等をX線検査することによって、製造中にセパレータ(又は電極)
が適切な位置に保持されたかを確認、検査、又は試験することができる。X線検査によっ
てこのセパレータを観察し、適切な位置(即ち、電極側部縁部から更に外に出た部分)を
維持しているか確認することができる。更に、コンピュータを用いてX線検査を自動化し
、検査速度を向上することが可能である。
【0031】
少なくとも選択された好ましい実施形態においては、非多孔性且つ半結晶性の押出高分
子前駆体を流れ方向に延伸(MD延伸)することによって孔を形成する乾式延伸法(セル
ガード法)を用いて、膜又は層12、12’、及び/又は16を形成する(例えば非特許
文献1の290~297頁参照、該文献はこの参照により開示に含まれる)。このような
乾式延伸法は、湿式法や粒子延伸法とは異なる。
【0032】
少なくとも他の選択された好ましい実施形態においては、高分子原料をプロセス油(可
塑剤とも称される)と混合し、この混合物を押出した後、プロセス油を除去して(油除去
の前又は後に膜を延伸してもよい)孔を形成する湿式法(相反転法、抽出法、又はTIP
S法としても公知)を用いて、膜又は層12、12’、及び/又は16を形成する(例え
ば非特許文献1の237~286頁参照、該文献はこの参照により開示に含まれる)。
【0033】
少なくとも更に他の選択された好ましい実施形態においては、高分子原料を孔形成微粒
子と混合し、この混合物を押出し、延伸工程中に延伸力によって高分子と微粒子との間の
界面を破砕して孔を形成する粒子延伸法を用いて、膜又は層12、12’、及び/又は1
6を形成する(例えば特許文献2及び3参照、該文献はこの参照により開示に含まれる)
【0034】
少なくとも更に他の選択された好ましい実施形態においては、例えば、非多孔性且つ半
結晶性の押出高分子前駆体を流れ方向に延伸(MD延伸)し、更に流れ方向に緩和(MD
緩和)しながら横方向に延伸(TD延伸)する改良乾式延伸法(改良セルガード法)を用
いて、膜又は層12、12’、及び/又は16を形成する(例えば特許文献4参照、該文
献はこの参照により開示に含まれる)。
【0035】
少なくとも更に他の選択された実施形態においては、膜又は層12、12’、及び/又
は16は、例えば米国特許第6,368,742号等に開示されているような、ベータ核
形成前駆体又はベータ核形成ポリプロピレン(BNPP)から得られたポリプロピレン微
多孔膜である(該文献はこの参照により開示に含まれる)。ポリプロピレンに用いるベー
タ核形成剤は、ポリプロピレン中にベータ結晶を形成する物質である。
【0036】
また、例えば、前駆体、膜、フィルム等を押出し又は成形する前にX線検出可能成分1
4又は14’を高分子に混合することによって、該X線検出可能成分14又は14’を膜
又は層12、12’、又は16に導入してよいが、このような導入の替わりに、或いはこ
の導入に加えて、X線検出可能成分14又は14’を膜又は層12、12’、又は16や
その前駆体に塗布したり、X線検出可能成分14又は14’で膜又は層12、12’、又
は16を被覆したり、X線検出可能成分14又は14’を膜又は層12、12’、又は1
6等に添加したりしてよい。例えば、前駆体、膜、フィルム等を押出し又は成形する前に
硫酸バリウム粒子を高分子混合物に混合することによって、硫酸バリウム粒子を膜又は層
12、12’、又は16に導入してもよく、硫酸バリウム粒子を膜又は層12、12’、
又は16やその前駆体に塗布してもよく、或いは硫酸バリウム粒子で膜又は層12、12
’、又は16やその前駆体を被覆してもよく、これらに限定されない。このようにして、
単一又は複数のX線検出可能成分14又は14’を膜又は層12、12’、及び/又は1
6の内部に導入したり、膜又は層12、12’、及び/又は16の表面に導入したり、膜
又は層12、12’、及び/又は16に塗布したり、且つ/或いは膜又は層12、12’
、及び/又は16の孔内部に導入してよい。例えば、X線検出可能成分14又は14’を
膜又は層12又は12’の内部に導入したり、膜又は層12又は12’の表面に導入した
り、膜又は層12又は12’に塗布したり、且つ/或いは膜又は層12又は12’の孔内
に導入してよく、X線検出可能成分14又は14’は膜12又は12’或いはセパレータ
10又は10’の重量の何%を占めていてもよく、特に限定されない。セパレータ10又
は10’或いは膜12又は12’中のX線検出可能成分14又は14’の比率は、例えば
0.01~98重量%であってよく、好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重
量%未満、最も好ましくは10重量%未満である。X線検出可能成分として硫酸バリウム
粒子を用いる場合、好ましい一実施形態においては、セパレータ10又は10’或いは膜
12又は12’中の硫酸バリウムの比率は10重量%未満であり、より好ましくは2~5
重量%であり、最も好ましくは約4重量%である。X線検出可能成分として硫酸バリウム
粒子を用いる場合、好ましい他の実施形態においては、膜12又は12’の前駆体中の硫
酸バリウムの比率は15重量%未満であり、より好ましくは10重量%未満であり、更に
好ましくは1~10重量%であり、最も好ましくは約7~8重量%である。
【0037】
実施可能な一例において、多孔性高分子膜12は、硫酸バリウム粒子及びバインダを含
有するコーティングを一方の表面上に有する。膜及びコーティングの総重量に対する硫酸
バリウムの重量比は、好ましくは20重量%未満である。
【0038】
少なくとも本発明の選択された実施形態においては、リチウム二次電池用のX線感知可
能電池セパレータ、及びリチウム二次電池中での該セパレータの位置を検出する方法を提
供する。少なくとも選択された実施形態においては、好ましいX線感知可能電池セパレー
タは、X線検出可能成分を含有する微多孔膜を含む。少なくとも選択された実施形態にお
いては、電極に対する相対的なセパレータの位置を検出する(例えば最小限のコントラス
トを有するX線写真を得る)ために十分な量のX線検出可能成分を使用する。少なくとも
セパレータの特定の実施形態においては、微多孔膜中のX線検出可能成分の比率は20重
量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、最も好ましくは
5重量%未満である。
【0039】
電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレータの位置を検出するため
の少なくとも典型的な方法は、(1)X線を感知又は検出できる電池セパレータを含む電
池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等を準備する工程、(2)この電池、セル、スタ
ック、ゼリーロール、缶等にX線を照射する工程、及び(3)それにより電池、セル、ス
タック、ゼリーロール、缶等の内部でのセパレータの位置を検出する工程を含む。
【0040】
少なくとも本発明の選択された実施形態においては、改良電池セパレータや改良法等を
提供する。例えば、電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等に組み込んだ際にX線を
感知又は容易に検出できる改良電池セパレータであって、電池、セル、スタック、ゼリー
ロール、缶等の内部でのセパレータの位置又は電極に対する相対的なセパレータの位置を
測定でき、更に比較的製造が容易であり、低コストであり、性能要件や製品規格等を満た
すセパレータを提供する。更には、少なくとも本発明の選択された実施形態においては、
電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部にセパレータを形成又は使用するため
の改良法や、その内部でのセパレータの位置を検出するための改良法を提供する。例えば
、X線を感知又は容易に検出できる改良電池セパレータであって、電池、セル、スタック
、ゼリーロール、缶等の内部でのセパレータの位置又は電極に対する相対的なセパレータ
の位置を測定でき、比較的単純で費用効率が高いセパレータや、このようなセパレータを
比較的単純に高い費用効率で製造するための方法、該セパレータを比較的単純に高い費用
効率で使用するための方法等を提供する。
【0041】
少なくとも幾つかの実施形態においては、本出願は、リチウム二次電池用のX線感知可
能電池セパレータ、及びリチウム二次電池中のこのようなセパレータの位置を検出する方
法に関する。X線感知可能電池セパレータは、好ましくはX線検出可能成分を有する微多
孔膜を含む。微多孔膜中のX線検出可能成分(硫酸バリウム粒子等)の比率は、好ましく
は5重量%未満である。電池内の上記のようなセパレータの位置を検出する方法は、(1
)X線感知可能電池セパレータを含む電池を準備する工程、(2)この電池にX線を照射
する工程、及び(3)それにより電池内部でのセパレータの位置を視覚的に検出する工程
を含む。
【0042】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる乾式延伸電池セ
パレータ、このようなセパレータを作製するための乾式延伸法、及び該セパレータを使用
する方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレ
ータの位置を検出する方法を包含する。
【0043】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる湿式延伸電池セ
パレータ、このようなセパレータを作製するための湿式法、及び該セパレータを使用する
方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレータ
の位置を検出する方法を包含する。
【0044】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる粒子延伸電池セ
パレータ、このようなセパレータを作製するための粒子延伸法、及び該セパレータを使用
する方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部のセパレ
ータの位置を検出する方法を包含する。
【0045】
少なくとも本発明の選択された実施形態は、X線を感知又は検出できる改良乾式延伸電
池セパレータ、このようなセパレータを作製するための改良乾式延伸法、及び該セパレー
タを使用する方法に関し、この方法は電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部
のセパレータの位置を検出する方法を包含する。
【0046】
少なくとも選択された実施形態は、リチウム二次電池用のX線感知可能電池セパレータ
、及びリチウム二次電池内のセパレータの位置を検出する方法に関する。ここで、X線感
知可能電池セパレータはX線検出可能成分を有する少なくとも1つの微多孔膜を含み、こ
の成分は膜中又は膜上に含まれるか或いは膜に添加され、微多孔膜又はセパレータの20
重量%未満を構成し、且つ/或いは、電池、セル、スタック、ゼリーロール、缶等の内部
でのセパレータの位置を検出する方法は、(1)X線感知可能電池セパレータを含む電池
、セル、スタック、ゼリーロール等を準備する工程、(2)この電池、セル、スタック、
ゼリーロール等にX線を照射する工程、及び(3)それにより電池、セル、スタック、ゼ
リーロール等の内部でのセパレータの位置を検出する工程を含む。
【0047】
本発明は、本発明の趣旨及び本質的特徴から逸脱することなく他の形態で実施すること
ができ、従って、本明細書よりも添付の特許請求の範囲を参照して本発明の範囲を理解す
べきである。
【0048】
一態様において、本発明は以下の発明を包含する。
[1] リチウム二次電池内の電極に対する相対的なセパレータの位置を検出する方法で
あって、
正極、負極、これら電極の間に設置されたX線感知可能セパレータ、及び前記電極と前
記セパレータとを収容する缶を含むリチウム二次電池を準備する工程であって、前記X線
感知可能セパレータがX線検出可能成分を分散した微多孔膜を含み、前記X線検出可能成
分が前記膜中に2~20重量%含む、工程、
前記リチウム二次電池にX線を照射する工程、
前記電極に対する相対的な前記セパレータの位置を測定する工程、並びに
前記電極に対する相対的な前記位置に基づいて前記リチウム二次電池の合否を判定する
工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~10重量%であることを特徴とす
る[1]の方法。
[3] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~5重量%であることを特徴とする
[1]の方法。
[4] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が4重量%であることを特徴とする[1
]の方法。
[5] 前記X線検出可能成分が金属、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、X線蛍
光物質、金属塩、金属硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、これら成分の
金属がZn、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、Ta
、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Fe、及びこれらの混合物からなる群から選ば
れることを特徴とする[1]の方法。
【0049】
[6] 前記X線検出可能成分が硫酸バリウムであることを特徴とする[5]の方法。
[7] リチウム二次電池用のX線感知可能電池セパレータであって、
X線検出可能成分を有する微多孔膜を含み、前記成分が前記膜中に分散した構造、前記
成分が前記膜を被覆した構造、及び前記成分を前記膜に添加した構造のうちの少なくとも
1つの構造を有し、前記膜又は前記セパレータ中の前記X線検出可能成分の比率が2~2
0重量%であることを特徴とするX線感知可能電池セパレータ。
[8] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~10重量%であることを特徴とす
る[7]のX線感知可能電池セパレータ。
[9] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~5重量%であることを特徴とする
[7]のX線感知可能電池セパレータ。
[10] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が4重量%であることを特徴とする[
7]のX線感知可能電池セパレータ。
【0050】
[11] 前記X線検出可能成分が金属、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、X線
蛍光物質、金属塩、金属硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、これら成分
の金属がZn、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、T
a、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Fe、及びこれらの混合物からなる群から選
ばれることを特徴とする[7]のX線感知可能電池セパレータ。
[12] 前記X線検出可能成分が硫酸バリウムであることを特徴とする[7]のX線感
知可能電池セパレータ。
[13] X線検査に用いられるリチウム二次電池であって、
正極、負極、これら電極の間に設置されたX線感知可能セパレータ、及び前記電極と前
記セパレータとを収容する缶を含み、前記X線感知可能セパレータはX線検出可能成分が
分散した微多孔膜を含み、前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~20重量%であ
ることを特徴とするリチウム二次電池。
[14] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~10重量%であることを特徴と
する[13]のリチウム二次電池。
[15] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が2~5重量%であることを特徴とす
る[13]のリチウム二次電池。
【0051】
[16] 前記膜中の前記X線検出可能成分の比率が4重量%であることを特徴とする[
13]のリチウム二次電池。
[17] 前記X線検出可能成分が金属、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、X線
蛍光物質、金属塩、金属硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、これら成分
の金属がZn、Ti、Mn、Ba、Ni、W、Hg、Si、Cs、Sr、Ca、Rb、T
a、Zr、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Fe、及びこれらの混合物からなる群から選
ばれることを特徴とする[13]のリチウム二次電池。
[18] 前記X線検出可能成分が硫酸バリウムであることを特徴とする[17]のリチ
ウム二次電池。
図1
図2
図3