(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】ヘッダコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20230123BHJP
H01R 13/6587 20110101ALI20230123BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/6587
(21)【出願番号】P 2021510175
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2019056780
(87)【国際公開番号】W WO2020044147
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】チャラス,グアダルーペ
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジョン ウェズリー
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-015214(JP,A)
【文献】特開2011-222224(JP,A)
【文献】特開2005-235410(JP,A)
【文献】特表2001-516132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0057493(US,A1)
【文献】特開2017-117734(JP,A)
【文献】特開2007-299687(JP,A)
【文献】特開平06-124739(JP,A)
【文献】米国特許第05509823(US,A)
【文献】米国特許第09742081(US,B1)
【文献】特開2011-044327(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03217485(EP,A1)
【文献】特開2017-195041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91、
13/56-13/72、
24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダコネクタ(102)であって、
前記ヘッダコネクタ(102)は、
- 相手側コネクタ(104)と嵌合されるように構成されている嵌合端部(120)と、回路基板(106)に装着されるように構成されている装着端部(122)とを有するヘッダハウジング(110)であって、前記嵌合端部(120)にキャビティ(128)を有し、シール用ポケット(144)を形成するフランジ(140)を有し、前記キャビティに開口している信号コンタクト用チャネル(160)および前記キャビティに開口している接地シールド用チャネル(162)を有する、ヘッダハウジング(110)と、
- 前記シール用ポケット内に配置されるシール(116)と、
- 前記信号コンタクト用チャネル内に受けられている信号コンタクト(112)であって、嵌合端部(202)および装着端部(204)を有し、前記嵌合端部(202)は前記相手側コネクタと嵌合されるように構成されており、前記装着端部(204)は前記回路基板のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている弾性ピン(206)を有する、信号コンタクト(112)と、
- 前記接地シールド用チャネル内に受けられており、前記信号コンタクトの前記嵌合端部(202)に沿って延在して前記信号コンタクトに電気シールドを提供する接地シールド(114)であって、前記回路基板のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている弾性ピン(306)を有する、接地シールド(114)と、
を備える
とともに、
前記ヘッダハウジング(110)の前記嵌合端部(120)および前記装着端部(122)は、前記ヘッダハウジング(110)において互いに反対側に位置しており、
前記ヘッダハウジング(110)の前記嵌合端部(120)の外面は、前記相手側コネクタ(104)の中に挿入されるように構成されており、
前記回路基板(106)に面している前記フランジ(140)の底面には、前記ヘッダハウジング(110)を前記回路基板(106)に装着するための、1つまたは複数の装着ポスト(150)が形成されている、
ヘッダコネクタ(102)。
【請求項2】
前記接地シールド(114)は、U形状の基部(300)を含み、
前記U形状の基部(300)の開放端側に、複数の前記弾性ピン(306)が設けられている、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項3】
前記信号コンタクト(112)の前記弾性ピン(206)は、半径方向外向きの付勢力を加えるばね要素(240)を含む、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項4】
前記弾性ピン(206)は、第1の脚部(220)と、前記第1の脚部に対向する第2の脚部(222)と、前記第1の脚部と前記第2の脚部の間のばね要素(240)と、を含み、
前記第1の脚部は、前記回路基板(106)に対して押圧されるように構成されている第1の嵌合接合面(230)を含み、
前記第2の脚部は、前記回路基板に対して押圧されるように構成されている第2の嵌合接合面(232)を含む、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項5】
前記ばね要素(240)は、前記第1の脚部(220)の前記第1の嵌合接合面(230)を前記第2の脚部(222)から外向きに離れるように付勢し、かつ前記ばね要素は、前記第2の脚部の前記第2の嵌合接合面(232)を前記第1の脚部から外向きに離れるように付勢する、
請求項4に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項6】
前記シール用ポケット(144)は、開口部を有し、前記開口部が前記嵌合端部(120)の方を向いている、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項7】
前記ヘッダハウジング(110)は、前記装着端部(122)に基部(124)を含み、
前記基部(124)は、前記回路基板(106)に面し前記回路基板(106)に装着されるとこれに係合するように構成されている後側表面を有する、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項8】
前記ヘッダハウジング(110)は、前記嵌合端部(120)に前記キャビティ(128)を包囲しているタワー部(126)を含み、
前記接地シールド(114)は、前記タワー部の内面に沿って延在し、
前記信号コンタクト(112)は、前記タワー部の前記内面から離間されている、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項9】
前記フランジ(140)は、前記タワー部(126)から半径方向外向きに延在し、
前記シール(116)は、前記タワー部を包囲している、
請求項8に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項10】
前記信号コンタクト用チャネル(160)および前記接地シールド用チャネル(162)は、前記ヘッダハウジング(110)内を真っ直ぐ通過して
いる、
請求項1に記載のヘッダコネクタ(102)。
【請求項11】
前記ヘッダコネクタ(102)は、自動車用である、
請求項1から10のいずれか一項に記載のヘッダコネクタ(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における主題は一般に、ヘッダコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムでは、プラグコネクタなど相手側コネクタと嵌合するヘッダコネクタが使用されている。用途によっては、ヘッダコネクタは、相手側コネクタをプリント回路基板に電気接続するために、プリント回路基板に装着される。自動車用途では、電気コネクタは、熱、ごみ(debris)、水分、および振動に起因して、過酷な環境に曝される。従来のヘッダコネクタは過酷な環境に耐えるようにプリント回路基板にはんだ付けされる。しかしながら、信号コンタクトおよび接地コンタクトをプリント回路基板にはんだ付けすることにより、組立工程に追加のステップが加えられ、組立時間およびコストが増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決すべき課題は、丈夫で費用効果の高い自動車用ヘッダコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、相手側コネクタと嵌合されるように構成されている嵌合端部と、回路基板に装着されるように構成されている装着端部と、を有するヘッダハウジングを含む、ヘッダコネクタによって解決される。ヘッダハウジングは、嵌合端部にあるキャビティと、シール用ポケットを形成するフランジと、を有する。ヘッダハウジングは、キャビティに開口している信号コンタクト用チャネルとキャビティに開口している接地シールド用チャネルとを有する。シール用ポケット内にはシールが受けられ、このシールは相手側コネクタと接合するように嵌合端部において露出される。信号コンタクト用チャネル内には信号コンタクトが受けられる。信号コンタクトは、相手側コネクタと嵌合されるように構成されている嵌合端部と、回路基板のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている弾性ピンを有する装着端部と、を有する。
接地シールドは、接地シールド用チャネル内に受けられる。接地シールドは、信号コンタクトの嵌合端部に沿って延在し、信号コンタクトに電気シールドを提供する。接地シールドは、回路基板のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている弾性ピン(compliant pin、コンプライアントピン)を有する。
【0005】
別の実施形態では、相手側コネクタと嵌合されるように構成されている嵌合端部と、回路基板に装着されるように構成されている装着端部と、を有するヘッダハウジングを含む、ヘッダコネクタが提供される。ヘッダハウジングは、装着端部にある基部と、基部からキャビティを有する嵌合端部まで延在するタワー部と、を有する。ヘッダハウジングは、タワー部および基部の少なくとも一方から延在するフランジを有する。フランジは、シール用ポケットを形成するリップを有する。ヘッダハウジングは、基部を通ってキャビティに開口している信号コンタクト用チャネルと、基部を通ってキャビティに開口している接地シールド用チャネルと、を有する。シール用ポケット内には、相手側コネクタと接合するように嵌合端部において露出される、シールが受けられる。
対応する信号コンタクト用チャネル内に信号コンタクトが受けられ、これらは差動信号を伝達するように構成される対として配置される。各信号コンタクトは、相手側コネクタと嵌合されるように構成されている嵌合端部と、回路基板のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている弾性ピンを有する装着端部と、を有する。接地シールド用チャネル内には、信号コンタクトの嵌合端部に沿って延在し信号コンタクトに電気シールドを提供するシュラウドを有する、接地シールドが受けられる。シュラウドは相手側コネクタと嵌合されるように構成される。接地シールドは、回路基板のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている、弾性ピンを有する。
【0006】
ここで本発明について、添付の図面を参照して例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な実施形態に係る通信システムを示す図である。
【
図2】例示的な実施形態に係る通信システムの断面図である。
【
図3】例示的な実施形態に係る通信システムのヘッダコネクタ背面斜視図である。
【
図4】例示的な実施形態に係る通信システムの正面斜視図である。
【
図5】例示的な実施形態に係るヘッダコネクタのヘッダハウジングの背面図である。
【
図6】例示的な実施形態に係るヘッダコネクタの1対の信号コンタクトの斜視図である。
【
図7】例示的な実施形態に係るヘッダコネクタの接地シールドの斜視図である。
【
図8】例示的な実施形態に係るヘッダコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は例示的な実施形態に係る通信システム100を示す。通信システム100は、第2の電気コネクタ104(第1の電気コネクタ102を示すために仮想線で図示してある)と嵌合される、第1の電気コネクタ102を含む。第1の電気コネクタ102は回路基板106に装着される。図示した実施形態では、第2の電気コネクタ104は、別の電気構成要素まで延在するケーブル108の端部に設けられている。しかしながら、代替の実施形態では、第2の電気コネクタ104は回路基板に装着されてもよい。第1の電気コネクタ102および第2の電気コネクタ104は、回路基板を電気構成要素に電気接続する。例示的な実施形態では、第1の電気コネクタ102はヘッダコネクタであり、以降ではヘッダコネクタ102と称する場合がある。
例示的な実施形態では、第2の電気コネクタ104はプラグコネクタまたは相手側コネクタであり、以降ではプラグコネクタ104または相手側コネクタ104と称する場合がある。
【0009】
ヘッダコネクタ102は、1つまたは複数の信号コンタクト112(
図2に示す)を保持しかつ1つまたは複数の接地シールド114(
図2に示す)を保持する、ヘッダハウジング110を含む。接地シールド114は、信号コンタクト112に電気シールドを提供する。接地シールド114は、接地シールド114を相手側コネクタ104と電気的に連絡するために、相手側コネクタ104の対応する接地コンタクトと電気接続されるように構成される。接地シールド114は相手側コネクタ104と、例えばヘッダコネクタ102を介した高速データシグナリングのための、シールドされた接続部を形成する。接地シールド114は、回路基板106の1つまたは複数の接地回路または接地面に電気的に連絡されるように構成される。
【0010】
例示的な実施形態では、ヘッダコネクタ102は、ヘッダハウジング110に結合されたシール116を含む。シール116は、パネル118(
図2に示す)に対して封止し、ヘッダコネクタ102とパネル118の間に封止された嵌合接合面をもたらすように構成される。様々な実施形態において、シール116は、パネル118に係合するように構成されている接合面シールを画定する、ゴム製ガスケットである。シール116はヘッダコネクタ102に、例えばごみ、水分、または他の異物を信号コンタクト112から封止するための、環境的封止を提供する。様々な実施形態において、ヘッダコネクタ102および/または相手側コネクタ104は、ヘッダコネクタ102と相手側コネクタ104の間に封止された接続部を画定するための、シール(図示せず)を含み得る。
【0011】
図2は、ヘッダコネクタ102に嵌合される相手側コネクタ104を示す、通信システム100の断面図である。ヘッダコネクタ102は回路基板106に電気接続される。ヘッダコネクタ102はパネル118に装着され、パネル118の開口部を通って延在する。シール116はパネル118の背面に封止されており、回路基板106はパネル118の背後に位置している。ヘッダコネクタ102の嵌合端部は、パネル118を通ってパネル118の前面まで延在し、パネル118の外部または前方にある相手側コネクタ104と嵌合するようになっている。図示した実施形態では、相手側コネクタ104は、ヘッダハウジング110の内部に封止されているシールを含む。
信号コンタクト112は、相手側コネクタ104の信号線を回路基板106に電気接続するために使用される。接地シールド114は、相手側コネクタ104の接地構成要素を回路基板106に電気接続するために使用される。例えば、接地シールド114は、ケーブル108のケーブルシールドに電気接続され得る、相手側コネクタ104の接地シールドに電気接続されてもよい。
【0012】
図3は、例示的な実施形態に係るヘッダコネクタ102の背面斜視図である。
図4は、例示的な実施形態に係るヘッダコネクタ102の正面斜視図である。
図5は、ヘッダハウジング110の様々な特徴を説明するための、信号コンタクト112または接地シールド114を有さないヘッダハウジング110の背面図である。
図3および
図4は、ヘッダハウジング110によって保持される信号コンタクト112および接地シールド114を示す。
【0013】
例示的な実施形態では、ヘッダコネクタ102は1対の信号コンタクト112を含み、そのような対は、ヘッダコネクタ102を通して差動対信号を搬送する差動対を画定する。代替の実施形態では、単一の信号コンタクト112または複数の信号コンタクト112がシングルエンド信号を搬送することを含め、他の構成が可能である。他の様々な実施形態では、信号コンタクト112の複数の対を設けてもよい。図示した実施形態では、1対の信号コンタクト112をシールドするために、単一の接地シールド114が設けられている。他の様々な実施形態では、複数の接地シールドを設けてもよい。
【0014】
ヘッダハウジング110は、プラスチック材などの誘電材料から製造される。様々な実施形態において、ヘッダハウジング110は単一の一体物として射出成形される。他の様々な実施形態では、ヘッダハウジング110は複数の部片から形成されてもよい。ヘッダハウジング110は、嵌合端部120と装着端部122の間に延在する。嵌合端部120は、ヘッダコネクタ102の前部に設けられて、相手側コネクタ104(
図1に示す)と嵌合するようになっている。装着端部122は、ヘッダハウジング110の後部に設けられて、回路基板106(
図1に示す)で終端するようになっている。
【0015】
例示的な実施形態では、ヘッダハウジング110は、装着端部122にある基部124と、基部124から嵌合端部120に延在するタワー部126と、を含む。タワー部126は、相手側コネクタ104の一部を受ける、キャビティ128を有する。信号コンタクト112および接地シールド114はキャビティ128内へ延在して、相手側コネクタ104と嵌合するようになっている。任意選択で、タワー部126は、キャビティ128ならびにキャビティ128内の信号コンタクト112および接地シールド114の、全周を包囲してもよい。図示した実施形態では、タワー部126は、端部壁130、132および側壁134、136によって画定される、角を丸めた全体に矩形の断面を有する。
タワー部126は、代替の実施形態では、キャビティ128を画定するより多いまたはより少ない壁を含むなどの、他の形状を有し得る。任意選択で、タワー部126は、他の様々な実施形態では、円形の断面を有し得る。
【0016】
例示的な実施形態では、ヘッダハウジング110は、タワー部126および基部124の少なくとも一方から延在する、フランジ140を含む。例えば、フランジ140は、基部124の前方および/またはタワー部126の後方に、例えば基部124とタワー部126の間の接合面に、位置していてもよい。フランジ140は代替の実施形態では他の場所に、例えば基部124から離れておよび/またはタワー部126から離れて、設けられることになる。フランジ140は、例えばタワー部126から、半径方向外向きに延在する。フランジ140は、第1の端部壁130および/または第2の端部壁132および/または第1の側壁134および/または第2の側壁136から、半径方向外向きに延在し得る。
【0017】
例示的な実施形態では、フランジ140は、シール用ポケット144を形成するリップ142を含む。シール用ポケット144はシール116を受ける。シール用ポケット144は、フランジ140の前部146に設けられている。シール用ポケット144は前方に面しており、相手側コネクタ104がヘッダコネクタ102と嵌合されるときに、相手側コネクタ104(
図1に示す)と接合するための場所にシール116を保持するようになっている。
【0018】
ヘッダハウジング110は装着端部122に、ヘッダハウジング110を回路基板106(
図1に示す)に装着するための、1つまたは複数の装着ポスト150を含む。図示した実施形態では、装着ポスト150はフランジ140の後部148から延在する。しかし装着ポスト150は、ヘッダハウジング110の他の部分、例えば基部124から延在してもよい。装着ポスト150は、ヘッダハウジング110を回路基板106に対して位置付けるために使用され得る。例えば、装着ポスト150は、ヘッダハウジング110を回路基板106に対して位置付けるために、回路基板106の開口部内に受けられてもよい。任意選択で、装着ポスト150は、装着ポスト150を使用してヘッダハウジング110および信号コンタクト112の回路基板106に対する初期位置合わせが行われるために用いるように、信号コンタクト112よりも更に後方へ延在する。
例えば、装着ポスト150は、信号コンタクト112が回路基板106のビア内に装填されるように、信号コンタクト112を回路基板106の対応するビアと位置合わせすることができる。任意選択で、装着ポスト150は、装着ポスト150の外面に沿って、回路基板106に係合するためのクラッシュリブまたは他の特徴を含み得る。クラッシュリブは、回路基板106内に装着ポスト150を締まり嵌めによって保持して、ヘッダハウジング110を回路基板106上に維持および/または支持するために使用され得る。任意選択で、装着ポスト150は、後方に面し回路基板106の頂面上に定置されるように構成されている、定置ブロック152を含み得る。定置ブロック152は、例えば回路基板106への装着ポスト150の装着深さを制御することによって、装着ポスト150を回路基板106に対して位置付けるものである。
【0019】
ヘッダハウジング110は、対応する信号コンタクト112を受ける信号コンタクト用チャネル160と、接地シールド114を受ける接地シールド用チャネル162と、を含む。信号コンタクト用チャネル160は、信号コンタクト112をヘッダハウジング110内に位置決めし、接地シールド用チャネル162は、接地シールド114をヘッダハウジング110内に、例えば信号コンタクト112に対して、位置決めする。図示した実施形態では、信号コンタクト用チャネル160および接地シールド用チャネル162は、ヘッダハウジング110内を真っ直ぐ通過して、垂直な(vertical)ヘッダコネクタ102を画定する。例えば、嵌合端部120および装着端部122は、互いから縦方向に(vertically)位置がオフセットされている、互いに反対側にある端部である。
他の様々な実施形態では、ヘッダコネクタ102は、直角信号コンタクトおよび直角接地シールドを収容する信号コンタクト用チャネル160および接地シールド用チャネル162を有する、直角ヘッダコネクタであってもよい。例えば、嵌合端部120および装着端部122は、互いから90°ずらされてもよい。
【0020】
例示的な実施形態では、信号コンタクト用チャネル160は基部124を通って延在し、キャビティ128に開口している。信号コンタクト112は、信号コンタクト用チャネル160内へ後方装填されてキャビティ128内に延在してもよい。任意選択で、信号コンタクト112は、締まり嵌めによって信号コンタクト用チャネル160内に保持されてもよい。様々な実施形態において、信号コンタクト用チャネル160は全体に矩形の断面を有する。しかし信号コンタクト用チャネル160は、代替の実施形態では他の形状を有し得る。図示した実施形態では、信号コンタクト用チャネル160は1対の信号コンタクト用チャネルとして互いに対して位置決めされる。但し、代替の実施形態では、ヘッダハウジング110内の信号コンタクトの112の特定の配置に応じて、他の配置が可能である。
【0021】
例示的な実施形態では、接地シールド用チャネル162は基部124を通って延在し、キャビティ128に開口している。接地シールド114は、接地シールド用チャネル162内へ後方装填されてキャビティ128内に延在してもよい。任意選択で、接地シールド114は、締まり嵌めによって接地シールド用チャネル162内に保持されてもよい。様々な実施形態において、接地シールド用チャネル162は、全体にU形状の断面を有するなど、接地シールド114を受けるような形状となっている。しかし接地シールド用チャネル162は、代替の実施形態では他の形状を有し得る。図示した実施形態では、接地シールド用チャネル162は1対の信号コンタクト用チャネル160の周囲に、例えば1対の信号コンタクト用チャネル160の3つの側に延在する。しかし代替の実施形態では、接地シールド114の形状に応じて、他の配置が可能である。
【0022】
例示的な実施形態では、ヘッダハウジング110は、タワー部126上に、相手側コネクタ104にラッチ式に結合するためのラッチ機構を含む。図示した実施形態では、ラッチ機構170は、ラッチ機構170の前部にある傾斜部172と、ラッチ機構170の後部にある捕捉表面174と、を含む。代替の実施形態では、偏向可能なラッチ機構などの、他のタイプのラッチ機構170を設けてもよい。図示した実施形態では、ラッチ機構170は、第1の端部壁130に沿ってなど、タワー部126の外部176に沿って設けられる。ラッチ機構170は追加または代替として、第2の端部壁132および/または第1の端部壁134および/または第2の側壁136に沿って設けられてもよい。任意選択で、ラッチ機構170をタワー部126の前部の近くに設けてもよい。しかしながら代替の実施形態では、ラッチ機構170は、フランジ140の近傍などの他の場所に設けられてもよい。
【0023】
例示的な実施形態では、ヘッダハウジング110は、相手側コネクタ104との嵌合を案内するための、1つまたは複数の案内機構180を含む。図示した実施形態では、案内機構180は、第1の端部壁130に沿ってなど、タワー部126の外部176に沿って延在するリブ182によって画定される。案内機構180は追加または代替として、第2の端部壁132および/または第1の端部壁134および/または第2の側壁136に沿って設けられてもよい。様々な実施形態において任意の数の案内機構180を設けることができる。任意選択で、案内機構180は、相手側コネクタ104とのキー嵌合のためのキーイング機構を画定するように、ヘッダハウジング110に沿って非対称に位置付けられてもよい。
例えば、案内機構180は、相手側コネクタ104の嵌合およびヘッダコネクタ102に対する不適切な配向などの、相手側コネクタ104とヘッダコネクタ102の不適切な嵌合を制限してもよい。案内機構180は、様々な異なるタイプの相手側コネクタ104とのキー嵌合を提供し得る。例えば、ヘッダコネクタ102は、キー案内機構180を使用する対応する異なるタイプの相手側コネクタ104と嵌合するための異なるタイプのヘッダコネクタ102を画定する、異なる構成の案内機構180を有し得る。
【0024】
図6は、例示的な実施形態に係る1対の信号コンタクト112の斜視図である。任意選択で、信号コンタクト112は同一であってもよい。各信号コンタクト112は、基部200と、基部200の前方に延在する嵌合端部202と、基部200の後方に延在する装着端部204と、を含む。嵌合端部202は、相手側コネクタ104と、例えば相手側コネクタ104の対応する嵌合コンタクトに嵌合されるように構成される。装着端部204は、回路基板106(
図1に示す)で終端されるように構成される。
図示した実施形態では、装着端部204は、回路基板106のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている、弾性ピン206を含む。図示した実施形態では、信号コンタクト112は真っ直ぐなまたは垂直なコンタクトである。但し、代替の実施形態では、信号コンタクト112は、互いに対して垂直に配向された嵌合端部202および装着端部204を有する、直角コンタクトであってもよい。
【0025】
例示的な実施形態では、信号コンタクト112は、嵌合端部202に嵌合ピン208を含む。嵌合ピン208は、互いに直角な辺を有する方形の断面など、矩形の断面を有し得る。嵌合ピン208は、相手側コネクタ104のソケットコンタクト内に受けられるように構成される。図示した実施形態では、嵌合ピン208はその遠位の先端部を面取りされている。任意選択で、信号コンタクト112は、例えば基部200の前方に、嵌合ピン208の側縁部に沿って、バーブ210を含み得る。バーブ210は、信号コンタクト112をヘッダハウジング110(
図3に示す)内に固止するために使用される。
バーブ210はヘッダハウジング110のプラスチック材に埋め込まれるかまたは穿通されて、信号コンタクト112を締まり嵌めによってヘッダハウジング110内に保持することができる。他の様々な実施形態では、バーブ210は追加または代替として、基部200に沿って設けられてもよい。
【0026】
弾性ピン206は基部200から延在する。例示的な実施形態では、弾性ピン206は第1の脚部220と第2の脚部222とを含み、第1の脚部220と第2の脚部222の間には開口部224がある。脚部220、222は弾性ピン206の前部226および後部228で合流しており、前部226と後部228の間で膨出している。第1の脚部220は、回路基板106、例えば回路基板106のめっきされたビアに対して押圧されるように構成されている、第1の嵌合接合面230を含む。第2の脚部222は、回路基板106、例えば回路基板106のめっきされたビアに対して押圧されるように構成されている、第2の嵌合接合面232を含む。第1の嵌合接合面230は、第1の脚部220の外面に沿って画定され、第2の嵌合接合面232は、第2の脚部222の外面に沿って画定される。
第1の嵌合接合面230および第2の嵌合接合面232は、弾性ピン206の互いに反対側にある。任意選択で、第1の嵌合接合面230および第2の嵌合接合面232は、前部226と後部228の間の略中央に配置される。
【0027】
例示的な実施形態では、弾性ピン206は、第1の脚部220と第2の脚部222の間にブリッジ242を形成する、1つまたは複数のばね要素240を含む。ばね要素240は、第1の脚部220および/または第2の脚部222に半径方向外向きの付勢力を加え、第1の脚部220および第2の脚部222を互いから外向きに遠ざける。ばね要素240は回路基板106と嵌合されると、脚部220、222を能動的に押圧して分離させる。例えば、弾性ピン206が回路基板106のめっきされたビア内に圧入され、脚部220、222が回路基板106によって内向きに屈曲すると、ばね要素240はこの内向きの屈曲に対抗または反作用して第1の脚部220および第2の脚部222を互いから分離させ、この結果、回路基板106に対する第1の脚部220および第2の脚部222の圧力が維持される。
長い時間にわたって回路基板106と弾性ピン206の間の接合面が振動に曝される場合があり、ばね要素240は弾性ピン206の弾性および外向きの屈曲を経時的に維持して、弾性ピンと回路基板106のめっきされたビアの間の物理的および電気的接続を確保する。
【0028】
図7は、例示的な実施形態に係る接地シールド114の斜視図である。接地シールド114は、基部300と、基部300の前方に延在する嵌合端部302と、基部300の後方に延在する装着端部304と、を含む。嵌合端部302は、相手側コネクタ104、例えば相手側コネクタ104の1つまたは複数の接地コンタクトと嵌合されるように構成される。装着端部304は、回路基板106(
図1に示す)で終端されるように構成される。図示した実施形態では、装着端部304は、回路基板106のめっきされたビア内に圧入されるように構成されている、弾性ピン306を含む。
図示した実施形態では、接地シールド114は真っ直ぐなまたは垂直な接地シールドである。しかし代替の実施形態では、接地シールド114は、互いに対して垂直に配向された嵌合端部302および装着端部304を有する、直角接地シールドであってもよい。
【0029】
例示的な実施形態では、接地シールド114は、嵌合端部302にシュラウド308を含む。任意選択で、シュラウド308は、図示した実施形態におけるように、端部壁310と、端部壁310の第1の側から延在する第1の側壁312と、端部壁310の第2の側から延在する第2の側壁314と、を有する、U形状であってもよい。任意選択で、接地シールド114は、例えば基部300の前方に、側壁312、314および/または端部壁310に沿って、バーブ316を含み得る。バーブ316は、接地シールド114をヘッダハウジング110(
図3に示す)内に固止するために使用される。バーブ316はヘッダハウジング110のプラスチック材に埋め込まれるかまたは穿通されて、接地シールド114を締まり嵌めによってヘッダハウジング110内に保持することができる。
バーブは、側壁312、314および/または端部壁310からプレス加工してもよい。他の様々な実施形態では、バーブ316は追加または代替として、基部300に沿って設けられてもよい。
【0030】
弾性ピン306は基部300から、例えば側壁312、314および/または端部壁310から延在する。任意選択で、弾性ピン306は互いに同一であってもよい。例示的な実施形態では、弾性ピン306は第1の脚部320と第2の脚部322とを含み、第1の脚部320と第2の脚部322の間には開口部324がある。脚部320、322は弾性ピン306の前部326および後部328で合流しており、前部326と後部328の間で膨出している。第1の脚部320は、回路基板106、例えば回路基板106のめっきされたビアに対して押圧されるように構成されている、第1の嵌合接合面330を含む。第2の脚部322は、回路基板106、例えば回路基板106のめっきされたビアに対して押圧されるように構成されている、第2の嵌合接合面332を含む。第1の嵌合接合面330は、第1の脚部320の外面に沿って画定され、第2の嵌合接合面332は、第2の脚部322の外面に沿って画定される。
第1の嵌合接合面330および第2の嵌合接合面332は、弾性ピン306の互いに反対側にある。任意選択で、第1の嵌合接合面330および第2の嵌合接合面332は、前部326と後部328の間の略中央に配置される。
【0031】
例示的な実施形態では、弾性ピン306は、第1の脚部320と第2の脚部322の間にブリッジ342を形成する、1つまたは複数のばね要素340を含む。ばね要素340は、第1の脚部320および/または第2の脚部322に半径方向外向きの付勢力を加え、第1の脚部320および第2の脚部322を互いから外向きに遠ざける。ばね要素340は回路基板106と嵌合されると、脚部320、322を能動的に押圧して分離させる。例えば、弾性ピン306が回路基板106のめっきされたビア内に圧入され、脚部320、322が回路基板106によって内向きに屈曲すると、ばね要素340はこの内向きの屈曲に対抗または反作用して第1の脚部320および第2の脚部322を互いから分離させ、この結果、回路基板106に対する第1の脚部320および第2の脚部322の圧力が維持される。
時間の経過とともに回路基板106と弾性ピン306の間の接合面が振動に曝される場合があり、ばね要素340は弾性ピン306の弾性および外向きの屈曲を経時的に維持して、弾性ピンと回路基板106のめっきされたビアの間の物理的および電気的接続を確保する。
【0032】
図3および
図4に戻って、信号コンタクト112および接地シールド114は組み立てられると、ヘッダハウジング110内に装填される。例えば、信号コンタクト112および接地シールド114の基部200、300は、ヘッダハウジング110の基部124内に受けられる。装着端部204、304(
図2)は基部124から後方に延在して、回路基板106(
図1に示す)と嵌合するようになっている。弾性ピン206、306は、回路基板106のめっきされたビア内に圧入されるように構成される。例示的な実施形態では、装着ポスト150は、装着ポスト150を最初に回路基板106内に装填してヘッダコネクタ102を回路基板106と位置合わせできるように、弾性ピン206、306よりも遠くまで延在する。例えば、弾性ピン206、306は、対応する回路基板106のめっきされたビアと位置合わせされ得る。
【0033】
接地シールド114は、信号コンタクト112に電気シールドを提供する。例えば、接地シールド114は、1対の信号コンタクト112の3つの面に沿って延在する。弾性ピン306は弾性ピン206の周囲に配置されている。端部壁310は、両方の信号コンタクト112に沿って延在する。第1の側壁312は、信号コンタクト112の一方に沿って延在する。第2の側壁314は、他方の信号コンタクト112に沿って延在する。代替の実施形態では、4番目の面に沿ってシールドを提供する接地シールド114などの、他のシールド構成を設けてもよい。他の様々な実施形態では、単一の接地シールド114を設けるのではなく、端部壁310が、第1の側壁312および第2の側壁314から個々の接地シールドとして分離していてもよい。
【0034】
嵌合ピン208(
図4)はキャビティ128内へ延在して、相手側コネクタ104の嵌合コンタクトと嵌合するようになっている。シュラウド308(
図4)はキャビティ128内へ延在し、キャビティ内に露出されて、相手側コネクタ104と嵌合するようになっている。例えば、端部壁310および側壁312、314は、タワー部126の内部178(
図4)に沿って延在する。
【0035】
例示的な実施形態では、ヘッダコネクタ102は、シールドされかつ封止されている高速ヘッダコネクタ102である。信号コンタクト112は、ヘッダコネクタ102を通して高速データ信号を搬送するように構成される。信号コンタクト112は、弾性ピン206、306を使用して回路基板106で終端されるように構成されており、接地シールド114は信号コンタクト112に電気シールドを提供して、信号コンタクト112の性能を向上させる。例えば、接地シールド114は、信号コンタクト112におけるノイズを低減させる。シール116(
図4)は、ヘッダハウジング110と相手側コネクタ104の間の封止された接合面を提供する。したがって、ヘッダコネクタ102は、水分またはごみに曝される環境などの過酷な環境、例えば自動車用途で使用できる。
【0036】
ヘッダコネクタ102は、弾性ピン206、306を使用して回路基板106に圧入されるように構成される。弾性ピン206、306は、回路基板106のめっきされたビアと嵌合するための、高いばね力を提供する。例えば、ばね要素240、340は、弾性ピン206、306に弾性をもたらして、回路基板106のめっきされたビアとヘッダコネクタ102の間の物理的電気的接続を保証する。したがって、ヘッダコネクタ102は、振動に曝される環境などの過酷な環境、例えば自動車用途で使用できる。
【0037】
図8は、例示的な実施形態に係るヘッダコネクタ402の斜視図である。ヘッダコネクタ402はヘッダコネクタ102と似ているが、ヘッダコネクタ402は直角ヘッダコネクタである。ヘッダコネクタ402は、信号コンタクト412および接地シールド414を保持する、ヘッダハウジング410を含む。信号コンタクト412の弾性ピン416および接地シールド414の弾性ピン418は、ヘッダハウジング410の底部420まで延在する。信号コンタクト412および接地シールド414の嵌合端部は、底部420に対して垂直なヘッダハウジング410の前部422まで延在する。信号コンタクト412は、底部420と前部422の間の移行部となる90°の屈曲部を有する。
【0038】
例示的な実施形態では、ヘッダコネクタ402は、シールドされかつ封止されている高速の直角ヘッダコネクタ402である。信号コンタクト412は、ヘッダコネクタ402を通して高速データ信号を搬送するように構成される。信号コンタクト412は、弾性ピン416、418を使用して回路基板406で終端されるように構成される。弾性ピン416、418は回路基板406に圧入されるように構成され、回路基板406のめっきされたビアと嵌合するための高いばね力を提供する。したがって、ヘッダコネクタ402は、振動に曝される環境などの過酷な環境、例えば自動車用途で使用できる。接地シールド414は信号コンタクト412に電気シールドを提供して、信号コンタクト412の性能を向上させる、例えば、信号コンタクト412におけるノイズを低減させる。
ヘッダハウジング410と相手側コネクタの間に封止された接合面を提供するために、嵌合接合面にシール(図示せず)を設けてもよい。したがって、ヘッダコネクタ402は、水分またはごみに曝される環境などの過酷な環境、例えば自動車用途で使用できる。