(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】薄膜圧電弾性波共振器及び製造方法並びにフィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20230123BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20230123BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
H03H3/02 B
(21)【出願番号】P 2021527075
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2020099639
(87)【国際公開番号】W WO2021135134
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】201911422717.4
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520281859
【氏名又は名称】中芯集成電路(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 河
(72)【発明者】
【氏名】羅 海龍
(72)【発明者】
【氏名】李 偉
(72)【発明者】
【氏名】斉 飛
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-038658(JP,A)
【文献】特開2018-037906(JP,A)
【文献】特開2006-191356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0205360(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0097603(US,A1)
【文献】特開2007-142372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0253036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-3/10
H03H9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜圧電弾性波共振器であって、
内部に反射構造がある第一の基板と、
前記第一の基板の上面に設けられ、上から下へ順に積層される第一の電極、圧電片体、第二の電極と、を含み、
前記第一の電極、前記圧電片体及び前記第二の電極は、前記圧電片体の表面に垂直な方向上に重畳領域が設けられ、前記重畳領域は、前記反射構造の上方に位置し、
前記重畳領域内において、前記圧電片体と前記第一の電極との間にギャップが設けられ、
前記圧電片体の外周には、隔離キャビティが囲まれ、
前記ギャップが前記隔離キャビティに連通
し、
前記ギャップの領域範囲を画定する第二の誘電層をさらに含む、
ことを特徴とする、薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項2】
薄膜圧電弾性波共振器であって、
内部に反射構造がある第一の基板と、
前記第一の基板の上面に設けられ、上から下へ順に積層される第一の電極、圧電片体、第二の電極と、を含み、
前記第一の電極、前記圧電片体及び前記第二の電極は、前記圧電片体の表面に垂直な方向上に重畳領域が設けられ、前記重畳領域は、前記反射構造の上方に位置し、
前記重畳領域内において、前記圧電片体と前記第一の電極との間にギャップが設けられ、
前記圧電片体の外周には、隔離キャビティが囲まれ、
前記ギャップが前記隔離キャビティに連通し、
前記隔離キャビティにおいて前記圧電片体の全部の外周を露出する、
ことを特徴とする、薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項3】
薄膜圧電弾性波共振器であって、
内部に反射構造がある第一の基板と、
前記第一の基板の上面に設けられ、上から下へ順に積層される第一の電極、圧電片体、第二の電極と、を含み、
前記第一の電極、前記圧電片体及び前記第二の電極は、前記圧電片体の表面に垂直な方向上に重畳領域が設けられ、前記重畳領域は、前記反射構造の上方に位置し、
前記重畳領域内において、前記圧電片体と前記第一の電極との間にギャップが設けられ、
前記圧電片体の外周には、隔離キャビティが囲まれ、
前記ギャップが前記隔離キャビティに連通し、
前記ギャップの上方又は前記隔離キャビティの上方に設けられる少なくとも一つのビアホールをさらに含む、
ことを特徴とする、薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項4】
前記圧電片体の上、下面に位置し、又は前記圧電片体の内部に位置する弾性波温度補償板体をさらに含むことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項5】
前記第二の電極の一部の周縁は、前記圧電片体の表面に垂直な方向上において、前記隔離キャビティによって囲まれて形成される領域範囲内又は領域範囲外に位置する、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項6】
前記圧電片体は、多角形であり、且つ前記多角形の任意の二辺が平行せず、
前記圧電片体の少なくとも一部の境界は、前記隔離キャビティによって構成される、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項7】
前記圧電片体と前記第一の基板との間に少なくとも一つの接続ブリッジが設けられ、
前記隔離キャビティによって切断されていない前記圧電片体の部分は、前記接続ブリッジを構成する、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項8】
前記隔離キャビティにおいて露出する前記圧電片体の周縁の形状は、一つ又は複数の弧形及び/又は直辺を含む、ことを特徴とする、請求項
2に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項9】
前記ギャップの高さは、0.1ナノメータ~5マイクロメータである、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項10】
前記圧電片体の厚さは、0.01マイクロメータ~10マイクロメータである、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項11】
前記反射構造は、キャビティ又はブラッグ反射器である、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項12】
前記反射構造が前記キャビティであるとき、前記隔離キャビティは、前記キャビティに連通し、又は前記隔離キャビティは、前記キャビティに連通しない、ことを特徴とする、請求項1
1に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項13】
前記第一の電極の上面には、前記ビアホールを充填するキャップ層がさらに設けられる、ことを特徴とする、請求項
3に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項14】
前記キャップ層の材質は、
シリカ、窒化ケイ素及び有機固化膜のうちの一つ又は二つの組み合わせを含む、ことを特徴とする、請求項13に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項15】
前記ギャップの外側における前記第一の電極と前記圧電片体との間に誘電層があり、又は、前記第一の電極が前記圧電片体と接触する、ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項16】
第一の誘電層をさらに含み、前記第二の電極が前記第一の誘電層に嵌設される、ことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項17】
前記第一の誘電層と前記第二の誘電層の材料は、
シリカ又は窒化ケイ素を含む、ことを特徴とする、請求項
16に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項18】
前記第一の基板は、半導体ベース又は、前記半導体ベースと、前記半導体ベース上に位置する誘電層とを含み、
前記キャビティは、半導体ベース内に位置し、又は前記キャビティは、前記各誘電層内に位置する、ことを特徴とする、請求項1
1に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項19】
前記隔離キャビティと前記ギャップによって囲まれて形成される領域外の領域は、
前記圧電片体の無効領域であり、
前記第一の電極と前記第二の電極は、前記一部の周縁が位置する側においてずれ
、
前記薄膜圧電弾性波共振器は、
ずれる一方側において前記第一の電極に接続され、前記第一の電極が前記第一の基板に相対する他方側において前記第一の電極の上方構造を貫通する第一の導電性プラグと、
ずれる一方側において前記第二の電極に接続され、前記第二の電極が前記第一の基板に相対する他方側において前記第一の電極の上方構造を貫通する第二の導電性プラグをさらに含む、ことを特徴とする、請求項
5に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項20】
前記第一の基板の内部に第一の
能動マイクロデバイス及び/又は第一の受動マイクロデバイスが嵌め込まれ、
前記薄膜圧電弾性波共振器は、
前記圧電片体の無効領域に位置する第三の導電性プラグをさらに含み、
前記第三の導電性プラグは、一端が前記第一の
能動マイクロデバイス及び/又は前記第一の受動マイクロデバイスに接続され、他端が前記第一の
能動マイクロデバイス及び/又は前記第一の受動マイクロデバイスの上方の構造を貫通し、又は、他端が前記第一の電極又は前記第二の電極に接続される、ことを特徴とする、請求項
19に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項21】
前記第一の
能動マイクロデバイスは、ダイオード、トランジスタ、MOSトランジスタ又は静電気放電保護デバイスを含む、ことを特徴とする、請求項2
0に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項22】
前記第一の受動マイクロデバイスは、抵抗、コンデンサ又はインダクタを含む、ことを特徴とする、請求項2
0に記載の薄膜圧電弾性波共振器。
【請求項23】
フィルタであって、複数の請求項1~2
2のいずれか1項に記載の共振器を含む、ことを特徴とする、フィルタ。
【請求項24】
薄膜圧電弾性波共振器の製造方法であって、
第一のベースを提供するステップと、
前記第一のベース上に第一の電極を形成するステップと、
前記第一の電極上に積層構造を形成し、前記積層構造は、背向する第一の表面と第二の表面を有する圧電片体と、前記圧電片体の第一の表面に位置する第一の犠牲層と、前記圧電片体の外周に位置する第二の犠牲層とを含み、前記第一の犠牲層が前記第一の電極の表面に位置し、前記第一の犠牲層と前記第二の犠牲層が接続されるステップと、
前記積層構造上に第二の電極を形成するステップと、
前記第一の犠牲層と前記第二の犠牲層を除去し、前記圧電片体と前記第一の電極との間に位置するギャップと、前記圧電片体の外周に位置する隔離キャビティとを形成するステップと、
内部に反射構造がある第一の基板を提供するステップと、
前記第二の電極と前記第一の基板をボンディングするステップと、
又は、前記第二の電極上に誘電層を形成し、前記誘電層内に前記反射構造を形成し、前記第一の基板を提供し、前記第一の基板と前記誘電層をボンディングするステップと、
前記第一の電極、前記圧電片体及び前記第二の電極は、前記第一のベースの表面に垂直な方向上に重畳領域を設け、前記ギャップと前記反射構造は、前記重畳領域内に少なくとも部分的に位置し、前記重畳領域を、有効作業領域とするステップと、を含
み、
前記薄膜圧電弾性波共振器は、前記ギャップの領域範囲を画定する第二の誘電層を含む、
ことを特徴とする、薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項25】
前記積層構造を形成するステップは、
前記第一の電極上に前記第一の犠牲層及び前記第一の犠牲層の範囲を画定する第二の誘電層を形成するステップと、
前記第一の犠牲層、前記第二の誘電層上に前記圧電片体と、重畳領域の前記圧電片体を全部で又は少なくとも部分的に囲む前記第二の犠牲層とを形成し、前記第一の犠牲層がと前記第二の犠牲層が接続されるステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項26】
前記第一の犠牲層及び前記第二の誘電層を形成するステップは、
前記第一の電極の表面に第二の誘電薄膜を形成し、前記第二の誘電薄膜をパターニングし、前記第二の誘電薄膜を貫通する凹溝を形成するステップと、
前記凹溝と前記第二の誘電薄膜を覆う第一の犠牲薄膜を形成するステップと、
前記第二の誘電薄膜の上方における前記第一の犠牲薄膜を除去し、且つ前記凹溝における前記第一の犠牲薄膜の第一の表面と前記第二の誘電層の第一の表面とを面一にするステップと、
前記凹溝における前記第一の犠牲薄膜を前記第一の犠牲層として構成し、前記第一の犠牲層の外部における前記第二の誘電薄膜を前記第二の誘電層とするステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2
5に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項27】
前記圧電片体と、前記圧電片体を少なくとも部分的に囲む前記第二の犠牲層を形成するステップは、前記第一の犠牲層上、前記第二の誘電層上に圧電誘導薄膜を形成し、前記圧電誘導薄膜をパターニングし、前記圧電誘導薄膜を切断するトレンチと前記圧電片体を形成し、前記トレンチが前記圧電片体の全部又は一部の外周を囲むステップと、
前記トレンチ内に前記第二の犠牲層を形成し、前記トレンチにおける第二の犠牲薄膜の上面と前記圧電片体の上面を面一にするステップと、ことを含む、ことを特徴とする、請求項2
6に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項28】
前記トレンチにおける前記第二の犠牲層の頂面と前記第二の誘電層の頂面とを面一にするステップは、
イオンビームトリミングプロセスを利用し、前記第一の犠牲層の頂面を平坦度トリミングし、前記第一の犠牲層の頂面の微細凹凸の高さと前記第一の犠牲層の厚さとの比の値を0.1%よりも小さくするステップを含む、ことを特徴とする、請求項2
7に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項29】
前記圧電誘導薄膜を形成した後に、
前記圧電誘導薄膜の第一の表面を平坦度トリミングし、前記圧電誘導薄膜の第一の表面の微細凹凸の高さと前記圧電誘導薄膜の厚さとの比の値を0.1%よりも小さくするステップをさらに含む、ことを特徴とする、請求項2
7に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項30】
前記積層構造上に前記第二の電極を形成するステップは、
下導電薄膜を形成し、前記第二の犠牲層と前記圧電片体を覆うステップと、
前記下導電薄膜をパターニングし、前記第二の電極を形成し、前記第二の電極は、前記第二の犠牲層を全部で覆い、又は、前記第二の電極の端部と前記第二の犠牲層とは、重畳部分を有し、一部の前記第二の犠牲層を露出させるステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項31】
前記第一の犠牲層の厚さは、0.1ナノメータ~5マイクロメータである、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項32】
前記第一の電極は、導電層をパターニングした後の電極であり、各隣接する薄膜圧電弾性波共振器の間の前記第一の電極を相互に切断し、且つ前記第一の電極の無効領域と有効領域を相互に切断し、又は、
前記第一の電極は、導電層全体であり、
前記第二の電極を形成した後に、
前記第二の電極を覆う第一の誘電層を形成するステップと、
前記第一の誘電層上に前記第一の基板をボンディングし、次に前記第一のベースを除去するステップと、
前記導電層全体をパターニングし、前記第一の電極を形成し、各隣接する薄膜圧電弾性波共振器の間の前記第一の電極を相互に切断し、且つ前記第一の電極の無効領域と有効領域を相互に切断するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項33】
前記第一の犠牲層及び前記第二の犠牲層を除去するステップは、
前記第一の電極を貫通する少なくとも一つのビアホールを形成し、前記ビアホールにおいて前記第一の犠牲層を露出し、気相化学反応によって、前記第一の犠牲層及び前記第二の犠牲層を揮発性気体に転化して前記ビアホールから排出し、又は液体化学反応によって、前記第一の犠牲層又は前記第二の犠牲層を溶液に溶解して前記ビアホールから排出するステップを含む、ことを特徴とする、請求項3
2に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項34】
前記第一の犠牲層及び前記第二の犠牲層を除去した後に、
前記ビアホールが形成される前記第一の電極の表面にキャップ層を形成し、前記キャップ層は、前記ビアホールを充填するステップをさらに含む、ことを特徴とする、請求項3
3に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項35】
前記キャップ層の材質は、有機固化膜又は
シリカを含み、前記キャップ層の厚さは、0.2マイクロメータ~30マイクロメータである、ことを特徴とする、請求項3
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項36】
前記第一の犠牲層及び前記第二の犠牲層の材料は、リンシリコンガラス、ボロホスホシリケートガラス、ゲルマニウム、非晶質炭素、低温
シリカ、ポリイミドのうちのいずれか一つを含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項37】
前記第一の電極は、導電層をパターニングした後の電極であり、各隣接する薄膜圧電弾性波共振器の間の前記第一の電極が相互に切断し、且つ前記第一の電極の無効領域と有効領域が相互に切断し、
前記第一の電極を形成するステップは、
前記第一のベース上に上導電薄膜を形成するステップと、
前記上導電薄膜をパターニングし、前記第一の電極を形成し、前記第一の電極の端部と前記第二の犠牲層とは、重畳部分を有するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項38】
前記隔離キャビティと前記ギャップによって囲まれて形成される領域の外周に、前記第一の電極と前記第二の電極は、前記一部の周縁が位置する側においてずれ
、
ずれる一方側において前記第一の電極を接続され、前記第一の電極が前記第一のベースに相対する他方側において前記第一の電極の上方構造を貫通する第一の導電性プラグを形成するステップと、
ずれる一方側において前記第二の電極を接続され、前記第二の電極が前記第一のベースに相対する他方側において前記第一の電極の上方構造を貫通する第二の導電性プラグを形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項39】
前記保留される前記第一のベースの内部に第一の
能動マイクロデバイス及び/又は第一の受動マイクロデバイスが嵌め込まれ、
一端が前記第一の
能動マイクロデバイス及び/又は前記第一の受動マイクロデバイスに接続され、他端が前記第一の
能動マイクロデバイス及び/又は前記第一の受動マイクロデバイスの上方の構造を貫通し、又は、他端が前記第一の電極又は前記第二の電極に接続される第三の導電性プラグを形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする、請求項3
1に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項40】
前記積層構造を形成するステップは、
前記第一の電極上に前記第一の犠牲層を形成するステップと、
圧電誘導薄膜を形成し、前記第一の電極、前記第一の犠牲層及び前記第一のベースを覆うステップと、
前記圧電誘導薄膜をパターニングし、前記圧電誘導薄膜を全部で又は部分的に切断するトレンチを形成し、前記トレンチの底部において一部の前記第一の犠牲層を露出するステップと、
前記トレンチに前記第二の犠牲層を形成し、前記第二の犠牲層の第一の表面と前記圧電片体の第一の表面を面一にするステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【請求項41】
前記反射構造は、キャビティ又はブラッグ反射器であり、
前記第一の基板は、半導体ベース又は、前記半導体ベースと、前記半導体ベース上に位置する前記誘電層とを含み、
前記キャビティは、前記半導体ベース内に位置し、又は前記キャビティは、前記誘電層内に位置し、
前記ブラッグ反射器は、前記半導体ベース、又は前記半導体ベースの表面における前記誘電層上に位置する、ことを特徴とする、請求項2
4に記載の薄膜圧電弾性波共振器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス製造分野に関し、特に薄膜圧電弾性波共振器及び製造方法並びにフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電誘導に基づく弾性波共振器は、表面弾性波共振器(Surface Acoustic Wave Resonator、SAWR)とバルク弾性波共振器(Bulk Acoustic Wave Resonator、BAWR)に分けられ、無線周波数フィルタを構成する基本的な要素であり、無線周波数フィルタは、現在の無線通信無線周波数フロントエンドと基地局システムの一つのコアデバイスである。そのうち、バルク弾性波共振器は、低い挿入損失、高品質因子などの優れた特性を有し、特に2.0GHz以上の周波数で表面弾性波共振器より明らかな優位性を有する。
【0003】
図1に示すように、従来のバルク弾性波薄膜共振器(Film Bulk Acoustic Resonator、FBAR)は、基板R10上に配置される薄膜圧電片体R40と、その第一の表面R41と第二の表面R42と物理的に「半田付け」される第一の電極片R30と第二の電極片R50とから構成されるものであり、第一の電極片R30と第二の電極片R50との重畳部分が基板上のキャビティR20の上に配置される。上第二の電極片から発生する交番電界の作用で、薄膜圧電片体R40の内部と表面は、縦方向R1と横方向R2のバルク弾性波弾性振動を発生させ、第一の電極片R30と第二の電極片R50は、薄膜圧電片体R40の第一の表面R41と第二の表面R42に物理的に「溶接」されるので、このバルク弾性波弾性振動は、第一の電極片R30と第二の電極片R50に自然に伝達され、且つ第一の電極片R30と第二の電極片R50に沿って外部に伝播される。したがって、第一の電極片R30と第二の電極片R50から発生する交番電界の作用から、圧電片体R40上に発生するバルク弾性波の弾性振動及びそのエネルギは、かなりの部分が圧電片体の外に放出されて消費され、特に、圧電片体R40の厚さが減少される(より高い縦方向の共振周波数を取得した)とともに、圧電片体R40、第一の電極片R30及び第二の電極片R50の面積が増大するときに、消費されるバルク弾性波エネルギの比重が増大することにより、バルク弾性波共振器の性能にさらに悪影響を及ぼす。しかしながら、従来と現行のバルク弾性波共振器の基本的なデバイス枠組みでは、バルク弾性波が圧電片体R40から第一の電極片R30と第二の電極片R50に分散することにより、バルク弾性波の振動エネルギが損失することは、避けられない。なお、縦方向の弾性波振動は、第一の電極片R30、第二の電極片R50と圧電片体R40の上下界面R41とR42、及び第一の電極片R30、第二の電極片R50と空気界面R31とR51でいずれも反射が発生し、発生する次高調波はさらに、ノイズの一部となる。なお、第一の電極片R30と第二の電極片R50の存在により、圧電誘導共振周波数は、圧電片体の厚さ及び縦方向の弾性波の速度に依存するだけでなく、上第二の電極の前記弾性波反射及びその弾性剛性の影響を多少受けることがある。これらのデバイスの基本的な枠組みからのマイナス影響は、必要な共振周波数の更なる向上に伴い、圧電片体の厚さの更なる縮小に伴い、更に深刻化する。また、二つの薄膜電極が圧電薄膜層と直接接触することは、一方で、温度変化による材料物性の差異的変化を含む異なる材料間の物性が異なるため、界面に残留応力、及び縦、横弾性波に対する界面反射が発生し、他方で、圧電薄膜層における弾性波が薄膜電極内に伝播され、弾性波エネルギの損失をもたらす。
【0004】
圧電弾性波共振器の圧電片体、電極又は誘電体層の厚さ及びその内部の音速は、温度の変化に応じて変化するので、圧電弾性波共振器の共振周波数も温度の変化に応じて変化する。現在では、圧電弾性波共振器に応用されている材料の大部分は、マイナスの音速温度係数を示しており、すなわち、温度が高くなるにつれて音速が小さくなり、例えば、アルミナ窒化物の音速温度係数は、-25ppm/°Cであり、モリブデンの音速温度係数は、-60ppm/°Cである。圧電弾性波共振器で構成される無線周波数(Radio Frequency、RF)フィルタには、一般的には、通過帯域周波数応答があり、圧電弾性波共振器の周波数温度係数(Temperature Coefficient of Frequency、TCF)は、RFフィルタの製造良品率を低減させ、その原因は、圧電弾性波共振器で構成される機器又はデバイスは、一定の温度範囲内でのみ通過帯域幅の要求を満たすことができることである。大部分の必要なデュプレクサの応用では、広い温度範囲内で依然として要求を満たすために、低い周波数温度係数が非常に重要である。
【0005】
図2に示すように、改良された薄膜バルク弾性波共振器は、基板R110上に位置する第一の電極R520と、第一の電極R520の上方に位置する圧電層R140と、圧電層R140の上方に位置する第二の電極R160と、第一の電極R140の下方に位置する音響反射構造R115とを含み、そのうち、第二の電極R160と第一の電極R140との間に少なくとも一つのギャップR530又はR150があり、このギャップは、薄膜バルク弾性波共振器の有効領域(有効領域は、第一の電極R1220、第二の電極R160及び圧電層R140が厚さ方向に互いに重畳する領域である)を少なくとも部分的に覆い、且つ垂直方向での投影は、全て前記音響反射構造R115内に位置する。この改良された薄膜バルク弾性波共振器は、縦方向R101において、上記圧電層R140から発生する縦方向の弾性波を効果的に除去して上第二の電極(すなわち、第一の電極R520と第二の電極R160)に直接伝播することができ、しかしながら、水平方向R102において、圧電層R140の圧電材料自体の物理的効果により、上第二の電極の交番電界の作用で発生する縦方向のバルク弾性波は、横方向のバルク弾性波振動を必然的に引き起こし、且つ有効領域の境界に伝播して部分反射を形成するが、相当部分の横方向の弾性波が有効領域外の圧電層と上第二の電極に伝播して消費されることは、避けられない。なお、該改良された共振器に掲示される上第二の電極と圧電層との間にギャップ(少なくとも一つのギャップR530またはR150)が含まれる構造は、このギャップの高さが1ナノメータから500ナノメータの間にあると規定され、犠牲層(例えば、酸化シリコン)を化学的に放出する方法で形成され、一般的には、有効領域の大きさは、数十マイクロメータであり、さらにはもっと大きく、化学的放出によってすべての犠牲層材料を効果的に除去することは、かなりの技術的困難である。
【0006】
したがって、どのように圧電薄膜と薄膜電極との接触界面の物理的差異を改善し、電極によってもたらされた弾性波圧電薄膜における弾性波エネルギ損失を低減させ、また、どのようにバルク弾性波共振器を形成するより良い方法を提供するかは、現在直面している主な問題である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、薄膜圧電弾性波共振器及び製造方法並びにフィルタを掲示し、従来の技術において圧電薄膜と電極との接触界面に残留応力と音波が電極と圧電薄膜から漏れているという問題を解決する。
【0008】
上記技術的問題を解決するために、本発明によれば、
内部に反射構造がある第一の基板と、
前記第一の基板の上面に設けられ、上から下へ順に積層される第一の電極、圧電片体、第二の電極と、を含み、
前記第一の電極、前記圧電片体及び前記第二の電極は、前記圧電片体の表面に垂直な方向上に重畳領域が設けられ、前記重畳領域は、前記反射構造の上方に位置し、
前記重畳領域内において、前記圧電片体と前記第一の電極との間にギャップが設けられ、
前記圧電片体の外周には、隔離キャビティが囲まれ、
前記ギャップが前記隔離キャビティに連通する薄膜圧電弾性波共振器が提供される。
【0009】
本発明はさらに、フィルタを提供し、複数の以上に記載の共振器を含む。
【0010】
また、本発明によれば、
第一のベースを提供するステップと、
前記第一のベース上に第一の電極を形成するステップと、
前記第一の電極上に積層構造を形成し、前記積層構造は、背向する第一の表面と第二の表面を有する圧電片体と、前記圧電片体の第一の表面に位置する第一の犠牲層と、前記圧電片体の外周に位置する第二の犠牲層とを含み、前記第一の犠牲層が前記第一の電極の表面に位置し、前記第一の犠牲層と前記第二の犠牲層が接続されるステップと、
前記積層構造上に第二の電極を形成するステップと、
前記第一の犠牲層と前記第二の犠牲層を除去し、前記圧電片体と前記第一の電極との間に位置するギャップと、前記圧電片体の外周に位置する隔離キャビティとを形成するステップと、
内部に反射構造がある第一の基板を提供するステップと、
前記第二の電極と前記第一の基板をボンディングするステップと、
又は、前記第二の電極上に誘電層を形成し、前記誘電層内に前記反射構造を形成し、前記第一の基板を提供し、前記第一の基板と前記誘電層をボンディングするステップと、
前記第一の電極、前記圧電片体及び前記第二の電極は、前記第一のベースの表面に垂直な方向上に重畳領域を設け、前記ギャップと前記反射構造は、前記重畳領域内に少なくとも部分的に位置し、前記重畳領域を、有効作業領域とするステップと、を含む薄膜圧電弾性波共振器の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の有益な効果は、以下の通りである:
本発明は、薄膜弾性波共振器の有効作業領域において、圧電片体と第一の電極との間に微小なギャップを形成し、第二の電極の電界は、ギャップを貫通し、圧電片体上に印加することができ、圧電片体の外周に隔離キャビティが設けられ、第二の電極は、前記圧電片体を支持する。圧電片体と第一の電極との接触界面に残留応力と音波エネルギが圧電片体の境界、電極から漏れているという問題を解決する。また、圧電片体と第一の電極との間のギャップとキャビティは、弾性波の反射界面を形成し、圧電片体における縦方向の弾性波が、ギャップが所在する空気界面に伝播されるとき、弾性波を圧電片体の内部に反射し、縦方向の弾性波の損失を減少する。隔離キャビティは、圧電片体の境界を空気に露出させ、圧電片体の横方向の弾性波が圧電片体の境界に伝播されるとき、隔離キャビティにおける空気界面は、弾性波を圧電片体の内部に反射し、横方向の弾性波の損失を減少する。
【0012】
さらに、隔離キャビティ、ギャップ及びキャビティの三者が相互に連通することは、圧電片体と空気界面との接触面積を増大させ、弾性波のエネルギ損失をよりよく減少し、共振器の品質因数を向上させることができる。
【0013】
さらに、第二の電極の一部の境界は、隔離キャビティによって囲んで形成される領域内に遮断され、垂直方向に第一の電極と重畳する領域がなく、寄生効果を減少する。
【0014】
さらに、ビアホールが設けられる電極(例えば、第一の電極)の表面にキャップ層を設け、キャビティと外界環境とを隔離すれば、圧電層と微小なギャップを外界物質に影響されないように保護することができ、また、キャップ層と第一の電極を結合すれば、第一の電極の構造強度を高め、共振器の良品率を向上させる。
【0015】
さらに、第一の導電性プラグ側に、上第二の電極は、相対部分がなく、寄生効果がなく、第二の導電性プラグは、共振器の有効作業領域の外部の上第二の電極を電気的に接続し、上第二の電極を短絡し、圧電片体の上下に電位差がなく、共振領域の外部の重畳領域(第一の電極、圧電片体、第二の電極)の寄生効果を減少する。
【0016】
さらに、第一の基板において第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスを集積することは、デバイスの集積度を向上させることができる。
【0017】
さらに、ギャップ及び隔離キャビティにおける犠牲層材料は、いずれも非晶質炭素を採用し、犠牲層材料の上方にビアホールを形成し、犠牲材料を容易に一度に除去することができる。
【0018】
さらに、圧電片体の上面又は下面又は圧電片体の内部に正温度係数のある弾性波温度係数補償層が設けられ、これによって温度変化による共振器の周波数の変化を低減させ、弾性波温度係数補償層の厚さを制御し、共振器に温度補償を実現させながら、電気機械結合係数を可能な限り低下させないようにする。
【0019】
本発明の共振器を形成する方法は、プロセスの信頼性が高くい、プロセスが簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面を結び付けながら、本発明の例示的な実施例をより詳細に説明することによって、本発明の上記及び他の目的、特徴、並びに利点は、より明らかになり、本発明の例示的な実施例では、一般的に同じ参照番号が同じ部品を表す。
【
図1】
図1は、従来の薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図2】
図2は、従来の別の薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の立体概略図を示し、そのうち、共振器の主な三層構造を主に表示する。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施例によるビアホールの設置位置の構造概略図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の別の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第二の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の構造概略図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法のフローチャットを示す。
【
図12】
図12は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図15】
図15は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図16】
図16は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図17】
図17は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図18】
図18は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図19】
図19は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図20】
図20は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図21】
図21は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図22】
図22は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図23】
図23は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図24】
図24は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図25】
図25は、本発明の第一の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なるステップに対応する構造概略図を示す。
【
図26】
図26は、本発明の第二の実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造過程における構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面と具体的な実施例を参照しながら、本発明についてさらに詳細に説明する。以下の説明及び添付図面に基づき、本発明の利点及び特徴は、より明確になるが、説明すべきことは、本発明の技術的解決手段の構想は、様々な異なる形式で実施されてもよく、本明細書に記載された特定の実施例に限定されるものではない。添付図面は、いずれも非常に簡略化される形式を採用し、且ついずれも正確でない比率を使用し、本発明の実施例の目的の説明を容易かつ明確に補助するためにのみ用いられる。
【0022】
理解すべきことは、要素又は層が他の要素又は層「...の上にある」、「...に隣接する」、「...に接続される」又は「に結合される」と呼ばれる場合、それは、直接他の要素又は層の上にあり、それに隣接し、接続され又は結合されてもよく、又はそれらは、中間の要素又は層が存在してもよい。逆に、要素が他の要素又は層「直接...の上にある」、「...に直接隣接する」、「に直接接続される」又は「に直接結合される」と呼ばれる場合、中間の要素又は層が存在しない。理解すべきことは、第一、第二、第三という用語を使用して各種の要素、部品、領域、層及び/又は部分を記述できるが、これらの要素、部品、領域、層及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一つの要素、部品、領域、層及び/又は部分を別の要素、部品、領域、層又は部分と区別するためにのみ用いられる。したがって、本発明の教示を逸脱することなく、以下に討論される第一の要素、部品、領域、層又は部分は、第二の要素、部品、領域、層又は部分と表してもよい。
【0023】
空間的関係用語、例えば「…の下にある」、「…の下方にある」、「下の」、「…の下部にある」、「…の上にある」、「上の」などは、本明細書では、記述を容易にするために使用されてもよく、それによって、図に示された一つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を記述する。理解すべきことは、図に示される配向のほか、空間的関係用語は、使用及び操作中のデバイスの異なる配向をさらに含むことを意図する。例えば、添付図面における要素が反転する場合、「他の要素の下にある」又は「その下にある」又は「その下方にある」と記述される要素又は特徴は、他の要素又は特徴の「上」にあると配向される。したがって、「…の下にある」及び「…の下方にある」という例示的な用語は、上と下の両方の配向を含んでもよい。デバイスは、追加的に配向(90度又は他の配向)されてもよく、且つ本明細書で使用される空間的記述用語は、それに応じて解釈される。
【0024】
本明細書で使用される用語の目的は、具体的な実施例を記述するだけであり、且つ本発明を限定するものではない。ここで使用される場合、単数形の「一」、「一つ」及び「前記/該」は、文脈が他の方式を明示的に示していない限り、複数形を含むことも意図する。さらに理解すべきことは、用語「構成する」及び/又は「含む」は、該明細書で使用されるとき、前記特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は部品の存在を決定するが、一つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品及び/又は組の存在又は追加を排除するものではない。ここで使用されるとき、「及び/又は」という用語は、関連列挙項目のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0025】
本明細書の方法に一連のステップが含まれている場合、且つ本明細書で示されるこれらのステップの順序は、これらのステップを実行できる唯一の順序である必要がなく、且つステップの一部は、省略されてもよく、及び/又は本明細書に記述されていないその他のステップは、該方法に追加されてもよい。ある添付図面における部材が他の添付図面における部材と同じである場合、すべての添付図面においてこれらの部材を容易に識別できるが、添付図面の説明をより明確にするために、本明細書では、すべての同じ部材の符号を各図面に表記することはない。
【0026】
実施例1、第一種の薄膜圧電弾性波共振器:
【0027】
本発明の一実施例は、薄膜圧電弾性波共振器を提供し、
図3は、本発明の一実施例による薄膜圧電弾性波共振器の簡略化立体概略図を示し、
図4は、
図3がX-X方向に沿う断面図であり、
図3と
図4を参照すると、薄膜圧電弾性波共振器は、
内部に反射構造がある第一の基板50と、第一の基板50の第一の表面に設けられ、上から下まで順に積層される第一の電極20、圧電片体30、第二の電極40とを含み、第一の電極20、圧電片体30及び第二の電極40は、圧電片体30の表面に垂直な方向上に重畳する領域が設けられ、重畳する領域がキャビティの上方に位置し、重畳する領域内において、圧電片体30と第一の電極20との間にギャップ211第二の電極が設けられ、隔離キャビティ300が、圧電片体30の外周を周回し、ギャップ211が隔離キャビティ300に連通する。
【0028】
バルク弾性波共振器の作業原理は、圧電片体30を利用して交番電界下で振動を発生させ、該振動は、圧電片体30の厚さ方向に沿って伝播するバルク弾性波を励起し、この音波が反射界面に伝達されるときに反射され、さらに圧電片体30の内部で往復反射し、振動を形成することである。弾性波が圧電片体30内での伝播が、ちょうど半波長の奇数倍であるとき、定在波振動が形成される。第一の電極20、圧電片体30及び第二の電極40が圧電片体30の表面に垂直な方向上に重畳する領域は、バルク弾性波が発生する領域であり、以下では、有効作業領域と呼ばれる。本実施例において、圧電片体30と第一の基板50との間に少なくとも一つの接続ブリッジ301が設けられる(点線枠に示される)。
【0029】
図4を参照すると、第一の電極20と第二の電極40に対して無線周波数交流電圧信号を印加する場合、電力線は、圧電片体30及びギャップ211を通過する必要があるため、ギャップ211の高さは重要であり、一般的には、0.1ナノメータ-5マイクロメータの間にある。具体的には、ギャップ211の最適な高さは、第一の電極20と圧電片体30との間に最大の圧電相互作用誘導を実現することができるとともに、圧電片体30が圧電弾性波振動を発生させるときに、その上面が第一の電極20に触れないことを確保することを原則とする。ギャップが大きすぎると、上第一の電極と圧電片体との結合が弱まり、ギャップが小さすぎると、圧電片体の弾性波振動、特に垂直方向での振動をもたらし、圧電片体が上第一の電極の表面に触れる。ギャップ211と反射構造は、弾性波の反射界面を形成し、圧電片体30における縦方向の弾性波が、ギャップ211が所在する空気界面と反射構造に伝播されるとき、弾性波を圧電片体30の内部に反射し、縦方向の弾性波の損失を減少し、共振器の品質因数を向上させる。ギャップ211が有効作業領域内に位置することは、有効作業領域の一部の領域にギャップ211が設けられ、又は有効作業領域全体内にいずれもギャップ211が設けられると理解されてもよい。
【0030】
隔離キャビティ300は、圧電片体30を遮断するために用いられ、圧電片体30の全部又は一部の周縁を隔離キャビティ300内に露出させ、弾性波が圧電片体30の境界に伝送されるとき、弾性波は、隔離キャビティ300の空気界面によって圧電片体30内に反射され、弾性波の横方向の漏れを減少し、共振器の品質因数を向上させる。隔離キャビティ300内に露出する圧電片体30の周縁形状は、弧形又は直線を含み、例えば周縁の形状は、一つ又は複数の弧形で構成されてもよく、弧形と直線の組み合わせであってもよく、又は複数の直線で構成されてもよい。ここで言及された圧電片体30の周縁は、有効作業領域に位置する圧電片体30の周縁である。有効作業領域における圧電片体は、選択的に、不規則な多角形であってもよく、且つ多角形の任意の二辺は、平行しない。
【0031】
一実施例において、
図5を参照すると、隔離キャビティ300は、連続する全体であり、圧電片体30の全部の周縁を周回する。すなわち隔離キャビティ300から圧電片体の全部の外周を露出させる。このとき、第二の電極は、圧電片体に支持を提供する。別の実施例において、
図4を参照すると、隔離キャビティ300は、連続する全体であり、圧電片体30の一部の周縁を周回し、圧電片体と基板との間に少なくとも一つの接続ブリッジが設けられる。隔離キャビティ300によって周回されていない圧電片体が第一の基板50の上方に延びる部分は、接続ブリッジ301を構成する。別の実施例において、隔離キャビティ300は、複数の間隔されるサブキャビティであり、隣接するサブキャビティの間の圧電片体30が第一の基板50の上方まで延びる部分は、接続ブリッジ301を構成する。接続ブリッジは、圧電片体30を第一の基板50上に接続して固定するために用いられる。接続ブリッジの分布、形状は、圧電片体30を安定して支持することができる。形式としては、隔離キャビティ300が圧電片体30の周縁を五角形に構成し、接続ブリッジ301が五角形の5つの頂角に位置するなどのような様々な状況があってもよい。本別の実施例において、隔離キャビティは、周方向に沿って閉鎖するキャビティであってもよく、この場合、接続ブリッジは、隔離キャビティの上方を跨ぎ、圧電片体と第一の基板との間に接続されてもよく、このとき、圧電片体の外周は、いずれも空気と接触し、横方向の弾性波の漏れをよりよく防止することができる。本実施例において、隔離キャビティ300とギャップ211が相互に連通する。隔離キャビティ300とギャップ211を形成する時、そのうちに犠牲層を充填する必要があり、二つの空間が相互に連通する場合、二つの空間の犠牲層は、一度に除去し、プロセス工程を簡略化することができる。また、隔離キャビティ300とギャップ211が相互に連通することは、圧電片体30と空気界面との接触面積を増大させ、弾性波のエネルギ損失をよりよく減少し、共振器の品質因数を向上させることができる。
【0032】
圧電片体30の厚さは、0.01マイクロメータ~10マイクロメータであり、具体的に設定される周波数の状況に応じて異なる厚さを選択してもよく、圧電片体30の材質は、酸化物、窒化物又は炭素化物であってもよく、例えば、アルミナ窒化物(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)であり、圧電結晶又は圧電セラミックスであってもよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、石英(Quartz)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ガリウム酸リチウム、ゲルマニウム酸リチウム、ゲルマニウム酸チタン又は鉛亜鉛チタニウムなどのウルツ鉱型結晶構造を有する圧電材料及びそれらの組み合わせである。圧電片体102がアルミナ窒化物(AlN)を含む時、圧電片体102は、希土類金属を含んでもよく、例えばスカンジウム(Sc)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)及びランタン(La)のうちの少なくとも一つである。なお、圧電片体102がアルミナ窒化物(AlN)を含む時、圧電片体102は、遷移金属を含んでもよく、例えばスカンジウム(Sc)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)及びハフニウム(Hf)のうちの少なくとも一つである。
【0033】
図4を参照すると、本実施例において、第一の基板50の第一の表面に第一の誘電層41がさらに設けられ、第二の電極40が第一の誘電層41に嵌設され、且つ第二の電極40の第一の表面が露出し、第二の電極40の端部302と隔離キャビティ300とは、重畳部分を有する。第二の電極の一部の周縁は、圧電片体の表面に垂直な方向上に、隔離キャビティによって囲んで形成される領域範囲内又は領域範囲外に位置し、
図4には、第二の電極40の端部302すなわち一部の境界が隔離キャビティの下方に完全に位置することが示される。
【0034】
一実施例では、
図7を参照すると、第一の誘電層41内には、放出ビアホールがあり、放出ビアホールが隔離キャビティ300と導通し、第一の基板50のキャビティ520が放出ビアホールと導通するので、キャビティ520は、放出ビアホールによって隔離キャビティと導通する。具体的には、第一の誘電層41は、第二の電極40を包み込み、第二の電極40を保護するために用いられる。第二の電極40の端部302は、隔離キャビティ300の下方に位置し、つまり、第二の電極40の一部の境界が隔離キャビティ300によって囲んで形成される領域内に遮断され、このとき、有効作業領域の外側303(図における点線内領域)は、垂直方向上に第一の電極20と重畳する領域がなく、寄生効果を減少する。また、弾性波が第二の電極40内に伝送され、第二の電極40における弾性波が、第二の電極40が隔離キャビティ300の下方に位置する端部に伝送されるとき、第一の誘電層の界面は、弾性波を第二の電極40の内部に反射し、弾性波の損失を減少し、共振器の品質因数を向上させる。
【0035】
引き続き
図8を参照すると、本実施例において、ギャップ211の上方の第一の電極20に少なくとも一つのビアホール13が設けられ、第一の電極20の第一の表面にキャップ層110がさらに設けられ、キャップ層110は、ビアホール13を充填する。このビアホール13は、犠牲孔であり、ギャップ及び隔離キャビティ内に充填される犠牲層を放出するために用いられる。
図4を参照すると、別の実施例において、ギャップ211は、隔離空間300に連通するので、ビアホール13は、隔離空間300の上方構造のみを貫通してもよい。
【0036】
本実施例において、キャップ層110は、複合構造であり、第三の誘電層11と、第三の誘電層11の第一の表面に位置する最上膜層12とを含む。第三の誘電層11と最上膜層12は、いずれも絶縁材料であり、第三の誘電層11の材料は、シルカ又は窒化ケイ素であってもよく、最上膜層12の材料は、有機固化膜であってもよい。本実施例において、ビアホール13はまた、第三の誘電層11を貫通し、第三の誘電層11は、共振器を製造するときに第一の電極20を保護するために用いられる。最上膜層12の材料は、有機固化膜又はシルカ層であってもよい。最上膜層12は、一方で、ビアホール13を密封するために用いられ、他方で、第一の電極20への支持作用を補強することができる。ギャップ211の外側の第一の電極20と圧電片体30との間に誘電層があり、又は第一の電極20が圧電片体30と接触する。具体的には、
図4を参照すると、本実施例において、第一の電極20と圧電片体30との間に第二の誘電層21が設けられ、ギャップ211は、第二の誘電層21の内部に位置し、第二の誘電層21は、ギャップ211の領域範囲を画定する。設けられる第二の誘電層21は、ギャップ211内に露出する圧電片体30とギャップ211内に露出していない圧電片体30の第二の表面とを面一にする。第二の誘電層21の高さは、ギャップ211の高さを決定する。前文の第一の誘電層41、第二の誘電層21及び第三の誘電層11の材料は、シルカ又は窒化ケイ素を含む。
【0037】
第一の基板50は、半導体ベース又は半導体ベース及びその上方の誘電層であってもよく、該誘電層は、半導体ベース上に他のデバイス構造を形成するときに、半導体ベース上に形成される膜層である。第一の基板50内には、反射構造があり、反射構造は、キャビティ又はブラッグ反射構造である。本実施例において、
図4を参照すると、反射構造は、キャビティであり、第一の基板は、半導体ベース500と、半導体ベース500上に位置する誘電層510とを含み、キャビティ520は、誘電層510内に位置する。別の実施例において、キャビティは、半導体ベース内に位置してもよい。他の実施例において、
図6に示すように、第一の基板50は、半導体ベース500とその上方の誘電層であり、反射構造は、誘電層上又は誘電層内に位置する。反射構造は、ブラッグ反射構造であり、ブラッグ反射構造530は、多層誘電層及び隣接する誘電層の間に位置する金属層を含む。
【0038】
半導体ベース500の材質は、以下に言及される材料のうちの少なくとも一つであってもよい:シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンカーボン(SiC)、シリコンゲルマニウムカーボン(SiGeC)、ヒ化インジウム(InAs)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、または他のIII/V化合物半導体、又は誘電体上シリコン(SOI)、誘電体上積層シリコン(SSOI)、誘電体上積層ゲルマニウム化シリコン(S-SiGeOI)、誘電体上ゲルマニウム化シリコン(SiGeOI)及び誘電体上ゲルマニウム(GeOI)であってもよく、又は両面研磨シリコンシート(Double Side Polished Wafers、DSP)であってもよく、アルミナなどのセラミック基板、石英やガラス基板などでもよい。誘電層510の材料は、ケイ素酸化物、窒化ケイ素、ケイ素炭化物、酸化炭化シリコン、オキシ窒化ケイ素、アルミナ、アルミナ窒化物又はホウ素窒化物を含む。
【0039】
本実施例において、隔離キャビティ300とギャップ211によって囲んで形成される領域の外周において、第一の電極20と第二の電極40は、一部の周縁の所在側にずれ、一部の周縁の相対側には、相対部分がある。共振器は、ずれる一側に第一の電極20に接続され、第一の電極20が基板に相対する他側に第一の電極20の上方構造を貫通する第一の導電性プラグ61と、相対部分を有する側に第二の電極40に接続され、第二の電極40が基板に相対する他側に第一の電極20の上方構造を貫通する第二の導電性プラグ62とをさらに含む。
【0040】
本実施例において、第一の導電性プラグ61は、有効作業領域の外部に位置し、第一の導電性プラグ61の所在側において、上第二の電極の間に相対部分がなく、このため、両者の間に寄生効果がなく、さらに、第二の導電性プラグ62は、一方で、第二の電極40を外部に電気的に接続するという役割を果たし、他方で、第二の導電性プラグを側面にさらに第一の電極20に電気的に接続し、このため、共振器の有効作業領域の外部の上第二の電極を電気的に接続し、上第二の電極を短絡し、圧電片体30の上下に電位差がなく、共振領域の外部の重畳領域(第一の電極、圧電片体、第二の電極)の寄生効果を減少し、共振器の品質因数を向上させる。以上の説明に基づき、本実施例において、共振器全体は、全ての無効領域に寄生電気容量効果がほとんどなく、共振器の性能を向上させるのに非常に有利である。
【0041】
図9を参照すると、本発明の別の実施例において、薄膜圧電弾性波共振器は、弾性波温度補償板体36をさらに含み、弾性波温度補償板体36は、圧電片体30の第一の表面又は第二の表面に位置してもよく、又は、圧電片体30の内部に位置してもよく、図には第一の表面に位置する状況が示される。弾性波温度補償板体36は、正温度係数を有し、材料は、ホウ素をドープしたシルカのような材料である。弾性波温度補償板体36の挿入は、共振器の電気機械結合係数を低減させ、厚さが厚いほど電気機械結合係数に与える影響が大きく、本実施例では、その厚さの選択的な範囲は、5ナノメータから500ナノメータまでであり、温度補償を実現するとともに共振器の電気機械結合係数を可能な限り低減させないようにする。
【0042】
また、引き続き
図9を参照すると、本実施例において、第一の基板50は、半導体ベース500と、半導体ベース500上に位置する誘電層110とを含み、第一の基板50の内部に第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスが設けられる。そのうち、第一の主動マイクロデバイスは、ダイオード、トランジスタ、MOSトランジスタ、静電気放電保護デバイス(ESD)のうちの一つ又はそれらの組み合わせを含み、
図9には、MOSトランジスタ72が示され、他のデバイスは、実際の必要に応じて選択され、そのうち、MOSトランジスタは、無線周波数スイッチ、低雑音増幅器等の無線周波数サブシステムを構成することができ、これによって、フィルタと短距離の相互接続を実現し、相互接続による信号挿入損失と干渉を低減させるのに有利である。第一の受動マイクロデバイスは、抵抗、電気容量又はインダクタ、又はそれらの組み合わせを含み、
図9にはMIM電気容量71及びインダクタ73が示される。且つ、図におけるMOSトランジスタ72、MIM電気容量71及びインダクタ73は、一定の方式によって相互に接続される。これによって、フィルタは、短距離の相互接続を実現し、第一の受動マイクロデバイスは、フィルタとより好ましいインサイチュインピーダンスマッチング等の作用を実現することができる。第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイス70を共振器に電気的に接続するために、該実施例において、無効領域に位置する第三の導電性プラグ63をさらに含み、第三の導電性プラグの一端が第一の主動マイクロデバイス及び/又は第一の受動マイクロデバイスに接続され、他端がマイクロデバイスの上方の構造を貫通し(
図9を参照する)、キャップ層上の他の相互接続構造によって、第三の導電性プラグ、第一の導電性プラグ、第二の導電性プラグを接続し、マイクロデバイスと上第二の電極との電気的な接続を実現するが、このような接続方式に限られず、第三のプラグ63の他端が第一の電極又は第二の電極に接続され、第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスが第三の導電性プラグ63によって第一の電極20又は第二の電極40に電気的に接続されてもよい。図において、簡略化された形式で第一の主動マイクロデバイス、第一の受動マイクロデバイスが示される。具体的に、どのデバイスを含む必要があるか、およびそれらの間の相互接続関係は、実際の状況に応じて設定する必要がある。
【0043】
実施例2、第二種の薄膜圧電弾性波共振器:
【0044】
図10を参照すると、該実施例と実施例1との主な区別は、圧電片体30と上電極20との間に誘電層が設けられなくてもよく、第二のギャップ211の上方に露出する上電極20が、第二のギャップ211の上方に露出していない上電極20の底面と面一でなく、第二のギャップ211の上方に露出していない上電極20の下面が圧電片体30の上面と直接接触することである。このとき、ギャップ211の高さは、第一の電極20上に形成される犠牲層の厚さによって決定される。他の記述されていない部分は、実施例1を参照する。
【0045】
実施例3、第一種の薄膜圧電弾性波共振器の形成方法:
【0046】
本発明の第三の実施例は、薄膜圧電弾性波共振器の製造方法を提供し、
図8は、本発明の一実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法のフロチャートを示し、
図9~
図25は、本発明の一実施例による薄膜圧電弾性波共振器の製造方法の異なる段階の構造概略図を示し、
図8を参照すると、製作方法は、以下のステップを含む:
【0047】
S01:第一のベースを提供し、第一のベース上に第一の電極を形成する。S02:第一の電極上に積層構造を形成し、積層構造は、圧電片体と、圧電片体の第一の表面に位置する第一の犠牲層と、第二の表面が圧電片体の外周に位置する第二の犠牲層とを含み、第一の犠牲層と第二の犠牲層が接続される。S03:積層構造上に第二の電極を形成する。S04:第一の犠牲層と第二の犠牲層を除去し、第二の電極が圧電片体と第一の電極との間に位置するギャップと、圧電片体の外周に位置する隔離キャビティととを形成し、第一の電極、圧電片体及び第二の電極は、第一のベースの表面に垂直な方向上に重畳する領域が設けられ、ギャップは、重畳する領域内に少なくとも部分的に位置し、重畳する領域は、有効作業領域と定義される。
【0048】
以下では、
図11~
図25を参照すると、薄膜圧電波共振器の製造方法を説明する。
図11~
図25は、本発明の薄膜圧電弾性波共振器の製作方法の一実施例において各ステップに対応する構造概略図である。
【0049】
図11と
図12を参照すると、ステップS01を実行し、第一のベース10を提供し、第一のベース10上に第一の電極20を形成する。
図12を参照すると、本実施例において、第一の電極は、全層の導電層であり、第一の電極をパターニングして形成するプロセスは、後続プロセスに完了される。第一の電極20を形成する前に、前記方法は、第一のベース10上に第三の誘電層11を形成するステップをさらに含み、第一のベース10は、臨時担持層として、後期プロセスにおいて除去される必要があり、第三の誘電層11は、隔離の役割を果たし、第一のベース10と第一の電極20を隔離するために用いられる。別の実施例において、第一の電極は、導電層をパターニングした後の電極であり、各隣接する共振器の間の第一の電極が相互に切断し、且つ第一の電極の無効領域と有効領域が相互に切断し、第一の電極を形成する方法は、第一のベース上に上導電薄膜を形成するステップと、上導電薄膜をパターニングし、第一の電極を形成し、第一の電極の端部と後続プロセスにおいて形成される第二の犠牲層とは、重畳部分を有するステップとを含む。
【0050】
第一のベース10の材質は、以下に言及される材料のうちの一つであってもよい:シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンカーボン(SiC)、シリコンゲルマニウムカーボン(SiGeC)、ヒ化インジウム(InAs)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、または他のIII/V化合物半導体、又は誘電体上シリコン(SOI)、誘電体上積層シリコン(SSOI)、誘電体上積層ゲルマニウム化シリコン(S-SiGeOI)、誘電体上ゲルマニウム化シリコン(SiGeOI)及び誘電体上ゲルマニウム(GeOI)であってもよく、又は両面研磨シリコンシート(Double Side Polished Wafers、DSP)であってもよく、アルミナなどのセラミック基板、石英やガラス基板などでもよい。第三の誘電層11の材料は、シルカ又は窒化ケイ素を含む。
【0051】
図13を参照すると、第三の誘電層11の表面の上方に上導電薄膜を形成し、マグネトロンスパッタリング、蒸着等の物理気相堆積又は化学気相堆積方法によって、上導電薄膜を形成することができる。本実施例において、上導電膜層を形成し終わった後に上導電膜層に対してパターニングを行って第一の電極を形成しておらず、上導電膜層に対するパターニングプロセスは、後期に完了され、他の実施例において、上導電膜層を形成し終わった後に、上導電膜層に対して直接パターニングを行い、第一の電極20を形成する。第一の電極20の材料は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、白金、ニッケルなどの金属のうちの一つで製作され、又は以上の合金で製作される。
【0052】
図14~19を参照すると、ステップS02を実行し、第一の電極20上に積層構造を形成し、積層構造は、相対する第一の表面と第二の表面を有する圧電片体30と、圧電片体30の第一の表面に位置する第一の犠牲層23と、圧電片体30の外周に位置する第二の犠牲層34とを含み、第一の犠牲層は、第一の電極の表面に位置し、第一の犠牲層と第二の犠牲層が接続され、
【0053】
本実施例において、積層構造を形成することは、以下のステップを採用する:S21:第一の電極20上に第二の犠牲層23及び第二の誘電層21を形成し、第二の誘電層21は、第二の犠牲層23の範囲を画定する。S22:第二の犠牲層23、第二の誘電層21上に圧電片体30と、重畳領域の圧電片体30を全部で又は少なくとも部分的に周回する第二の犠牲層34とを形成する。
【0054】
具体的には、ステップS21は、以下のステップを含む:1、
図14を参照すると、第一の電極20の表面に第二の誘電薄膜を形成し、第二の誘電薄膜をパターニングし、第二の誘電薄膜を貫通する凹溝22を形成し、凹溝22の外部の第二の誘電薄膜は、第二の誘電層21である。2、
図15を参照すると、凹溝22と第三の誘電層21を覆う第一の犠牲薄膜を形成し、第一の犠牲薄膜をパターニングし、第三の誘電層21の上方の第一の犠牲薄膜を除去し、且つ凹溝における第一の犠牲薄膜の上面と第二の誘電層21の上面とを面一にする。凹溝22における第一の犠牲薄膜は、第一の犠牲層23を構成する。
【0055】
具体的には、物理気相堆積又は化学気相堆積によって第一の電極20の表面に第二の誘電薄膜を形成し、エッチングプロセスによって第三の誘電薄膜をパターニングし、第二の誘電薄膜を貫通する凹溝22を形成し、凹溝22の外部の第二の誘電薄膜は、第二の誘電層21を構成し、凹溝22が所在する領域は、後期プロセスにおけるギャップの形成領域である。気相堆積プロセス(蒸発、スパッタリング、化学気相堆積を含む)又は液体堆積プロセス(めっきを含む)によって、凹溝22内、第二の誘電層21上に第一の犠牲薄膜を形成し、エッチングプロセスによって第二の誘電層21の上方の第一の犠牲薄膜を除去する。凹溝22における第一の犠牲薄膜は、第一の犠牲層23を構成する。本実施例において、第二の犠牲薄膜の第一の表面と第三の誘電層21の第一の表面とを面一にする方法は、イオンビームトリミングプロセスによって、凹溝22における第一の犠牲薄膜の表面に対してイオンビームトリミングを行い、第一の犠牲層23の第一の表面の微細凹凸の高さと第一の犠牲層23の厚さとの比の値を0.1%よりも小さくするステップを含む。後期プロセスにおいて、第一の犠牲層23の第一の表面に圧電片体を形成する必要があり、圧電片体の上第二の表面の平坦度は、共振器の全体性能に影響を与え、第一の犠牲層23の表面平坦度は、圧電片体の第二の表面の平坦度に影響を与える。このため、第一の犠牲層23の第一の表面に対してイオンビームトリミングを行うことは、共振器の性能を向上させることができる。
【0056】
なお、第二の誘電層21の上方の第一の犠牲薄膜をエッチングして除去するとき、フォトレジストをマスクとする必要があり、エッチングプロセスが完了した後に、フォトレジストを除去する必要があり、フォトレジストを除去する過程において、湿式プロセスを採用して除去し、例えば、硫酸とオキシドール水との混合溶液を採用してフォトレジストを除去することである。乾式プロセスを採用してフォトレジストを除去すると同時に、第一の犠牲層23を除去することができる。
【0057】
ステップS22は、以下のステップを含む:1、
図16を参照すると、第一の犠牲層23上、第二の誘電層21上に圧電誘導薄膜を形成する。2、
図17を参照すると、圧電誘導薄膜をパターニングし、圧電誘導薄膜を切断するトレンチ33と圧電片体30を形成し、トレンチ33の底部から一部の第一の犠牲層23が露出する。本実施例において、圧電誘導薄膜がトレンチ33によって切断されていない部分は、接続ブリッジ301を構成し、トレンチ33は、圧電誘導薄膜を切割し、圧電片体30を形成し、圧電片体30の一部の端部は、トレンチ33内に露出し、トレンチ33は、後期プロセスにおける隔離キャビティを形成するために用いられ、トレンチ33と圧電片体30の形状、位置等は、第一の実施例における隔離キャビティと圧電片体との関係を参照し、ここでは説明を省略する。別の実施例において、トレンチ33から圧電片体30の全部の外周を露出させる。3、
図18を参照すると、トレンチ33内に第二の犠牲層34を形成する。具体的には、物理気相堆積又は化学気相堆積によって、第一の犠牲層23上、第二の誘電層21上に厚さが0.01マイクロメータ~10マイクロメータである圧電誘導薄膜30を形成し、圧電誘導薄膜の材料は、前文を参照する。本実施例において、圧電誘導薄膜を形成した後に、前記方法は、イオンビームトリミングプロセスによって、圧電誘導薄膜の第一の表面に対して平坦度トリミングを行い、圧電誘導薄膜の第一の表面の微細凹凸の高さと圧電誘導薄膜の厚さとの比の値を0.1%よりも小さくするステップをさらに含む。圧電片体の第一の表面と第二の表面の平坦度は、共振器の全体性能に影響を与え、圧電片体30の第一の表面に対してイオンビームトリミングを行うことは、共振器の性能を向上させることができる。
【0058】
トレンチ33の底部から一部の第一の犠牲層23が露出し、後期プロセスにおいて形成されるギャップと隔離キャビティを相互に連通させる。トレンチ33が閉鎖しないトレンチである時、圧電誘導薄膜がトレンチ33によって切断されていない部分は、接続ブリッジ301を構成する。接続ブリッジ301の形状、位置及び作用は、前文を参照する。
【0059】
図18を参照すると、第二の犠牲層34の形成方法は、トレンチ33内と圧電誘導片体30上に初期第二の犠牲層を形成し、圧電片体30上の初期第二の犠牲層を除去し、トレンチにおける初期第二の犠牲層を第二の犠牲層として保留し、且つトレンチにおける第二の犠牲層の上面と圧電片体30の上面とを面一にし、トレンチ33内に第二の犠牲層を形成するステップを含む。本実施例において、トレンチにおける第二の犠牲層の上面と圧電片体30の上面とを面一する方法は、イオンビームトリミングプロセスを利用し、トレンチにおける初期第二の犠牲層の表面に対して平坦度トリミングを行い、第二の犠牲層34の上面の微細凹凸の高さと第二の犠牲層34の厚さとの比の値を0.1%よりも小さくするステップを含む。第二の犠牲層34の材質は、外周に対して圧電誘導薄膜であるので、CPMプロセスを採用すれば、圧電誘導薄膜の品質に影響を与え、イオンビームトリミングプロセスを採用すれば、圧電誘導薄膜に対する損傷を回避することができ、且つ犠牲層の厚さをより良く制御することができる。本実施例において、第一の犠牲層及び第二の犠牲層の材料は、リンシリコンガラス、ボロホスホシリケートガラス、ゲルマニウム、炭素、低温シルカ、ポリイミドのうちのいずれか一つを含む。
【0060】
図19を参照すると、積層構造上に第二の電極40を形成する。マグネトロンスパッタリングプロセスによって第二の犠牲層34上、圧電片体30上に下導電薄膜を形成し、下導電薄膜をパターニングして第二の電極40を形成する。本実施例において、第二の電極40は、第二の犠牲層34の表面を覆う。第二の電極40は、第二の犠牲層34の全部の表面を覆い、後に形成される隔離キャビティは、後に形成される反射構造と接触しない。一実施例において、
図19を参照すると、第二の電極40の一部の端部は、第二の犠牲層34の上方に遮断される。このような設置方式の効果は、前文を参照する。具体的には、第二の電極40の図形は、実際の必要に応じて設置されてもよく、例えば、前述第一の実施例において記述される各種の状況は、
図19に示される一部の境界が第二の犠牲層の上方に遮断されることに限られない。
【0061】
図20を参照すると、第二の電極40を形成した後に、第一の誘電層41を形成して第二の電極40を覆うステップをさらに含む。具体的には、堆積プロセスによって第二の電極40の表面の上方に第一の誘電層41を形成し、平坦化プロセスによって第一の誘電層41の頂面を面一にする。本実施例において、第一の誘電層41は、第二の電極40を覆う。一実施例においては、第一の誘電層41の頂面は、第二の電極40の頂面と面一であり、第一の誘電層41内には、放出ビアホールがあり、放出ビアホールから第二の犠牲層34が露出する。引き続き
図20を参照すると、第一の誘電層41に第一の基板60をボンディングした後に、第一のベース10を除去し、第一の基板50は、半導体ベース500又は半導体ベース500上の誘電層510を含み、第一の基板50内には、反射構造があり、反射構造は、キャビティ又はブラッグ反射構造を含む。本実施例において、反射構造は、キャビティ520であり、キャビティ520は、半導体ベース500上の誘電層510内に位置する。他の実施例において、キャビティ520は、半導体ベース500内に位置し、別の実施例において、反射構造がブラッグ反射構造であるとき、第一の基板50は、半導体ベースと半導体基板上に位置するブラッグ反射構造を含み、ブラッグ反射構造は、多層の誘電層及び隣接する誘電層の間に位置する金属層を含む。別の実施例において、第二の電極上に誘電層を形成し、誘電層内に反射構造を形成し、第一の基板を提供し、第一の基板と誘電層をボンディングする。反射構造は、キャビティであってもよく、ブラッグ反射構造であってもよい。反射構造がキャビティであるとき、反射構造の形成方法は、第二の電極上に誘電層を形成するステップと、誘電層内にキャビティ開口を形成し、キャビティ開口から第二の電極の全部又は一部の表面が露出するステップと、キャビティ開口を形成した後に、誘電層と、半導体ベースである第一の基板とをボンディングするステップと、を含む。別の実施例において、第一の誘電層41上に誘電層を形成し、第四の誘電層を貫通するキャビティ開口を誘電層内に形成し、第三の犠牲層をキャビティ開口内に形成し、第三の犠牲層はさらに、放出ビアホール内に位置し、第四の誘電層上に第一の基板60をボンディングする。
【0062】
図21を参照すると、全層導電層をパターニングし、第一の電極20を形成し、各隣接する共振器の間の第一の電極20が相互に切断し、且つ第一の電極20の無効領域と有効領域が相互に切断する。そのうち、
図21を参照すると、第一の電極20をパターニングして形成するとき、さらに犠牲孔とするビアホール13をエッチングして形成し、また二つの共振器の間に隔離溝14を形成する。第一の犠牲層及び第二の犠牲層を除去し、圧電片体30と第一の電極20との間に位置するギャップ211と、圧電片体30の外周に位置する隔離キャビティ300とを形成する。本実施例において、犠牲層を除去する具体的なステップは、以下の通りである:
【0063】
図21~
図23を参照すると、第二の犠牲層及び/又は第三の犠牲層の上方膜層を貫通する少なくとも一つのビアホール13を形成し、気相化学反応によって、第一の犠牲層、第二の犠牲層及び第三の犠牲層を揮発性気体に転化してビアホールから排出し、又は液体化学反応によって、第一の犠牲層又は第二の犠牲層を溶液に溶解してビアホールから排出する。
図21を参照すると、ビアホール13は、第二の犠牲層の上方構造を貫通し、
図22を参照すると、ビアホールは、第二の犠牲層の上方構造を貫通する。本実施例において、ビアホール13の第一の電極20の表面に第三の誘電層11が設けられ、ビアホール13はまた、第三の誘電層11を貫通する。第一の犠牲層と第二の犠牲層を除去した後に、ギャップ211から圧電片体30の第一の表面が露出し、その間に、圧電片体30の一部の周縁は、隔離キャビティ300内に露出する。別の実施例において、第一の犠牲層と第二の犠牲層を除去する過程において、第一の誘電層41と誘電層510における第三の犠牲層も除去し、キャビティを形成し、キャビティが隔離キャビティ300と導通する。
図7を参照する。なお、ビアホール13を形成する時、二つの共振器の間に隔離溝14を形成し、隣接する二つの共振器の間の電気的隔離を実現する。
【0064】
図24を参照すると、第三の誘電層11上に最上膜層12を形成し、最上膜層12は、ビアホールを密封し、最上膜層12の材質と作用は、前文を参照し、本実施例において、第三の誘電層11と最上膜層12は、キャップ層を共同で形成する。ここでは説明を省略する。
【0065】
図25を参照すると、本実施例において、隔離キャビティ300とギャップ211によって囲んで形成される領域の外周において、第一の電極20と第二の電極40は、一部の周縁の所在側にずれ、一部の周縁の相対側には、相対部分があり、方法は、第一の導電性プラグ61を形成し、ずれる一側に第一の電極20を接続し、第一の電極20が第一のベースに相対する他側に第一の電極20の上方構造を貫通するステップと、第二の導電性プラグ62を形成し、相対部分を有する側に第二の電極40を接続し、第二の電極40が第一のベースに相対する他側に第一の電極20の上方構造を貫通するステップとをさらに含む。本実施例において、第一の電極20の上方構造は、最上膜層12と第三の誘電層11を含む。第一の導電性プラグ61は、最上膜層12と第三の誘電層11を貫通し、第一の導電性プラグ61は、第一の電極20に電気的に接続される。第二の電極40の上方構造は、最上膜層12、第三の誘電層11、第一の電極20、第三の誘電層21、圧電片体30及び第二の誘電層31を含み、第二の導電性プラグ62は、最上膜層12、第三の誘電層11、第一の電極20、第三の誘電層21、圧電片体30及び第二の誘電層31を貫通し、第二の導電性プラグ62が第二の電極40に接続される。第一の導電性プラグ61と第二の導電性プラグ62は、共振器の有効作業領域の外に位置する。第二の導電性プラグ62は、非有効作業領域の第一の電極と第二の電極を電気的に接続し、そのうち、第二の導電性プラグ62に電気的に接続される第一の電極20と有効作業領域の第一の電極は、分離されている。第二の導電性プラグ62は、非有効作業の圧電片体に上下に電圧差を発生させず、寄生効果を減少する。
【0066】
図9を参照すると、別の実施例において、第一の基板50における誘電層510の内部に第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスがさらに形成され、第一の主動マイクロデバイスは、ダイオード、MOSトランジスタ、簡単な半導体静電気放電保護デバイスを含み、第一の受動マイクロデバイスは、抵抗、電気容量又はインダクタを含む。第三の導電性プラグ63を形成することをさらに含み、第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスは、第三の導電性プラグ63によって第一の電極20又は第二の電極40に電気的に接続される。設計の必要に応じて、異なる第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスを集積してもよい。第一の基板において第一の主動及び/又は第一の受動マイクロデバイスを集積することは、デバイスの集積度を向上させ、集積化された無線周波数マイクロシステム全体の体積を縮小するとともに、その挿入損失と抗干渉などの性能を向上させることができる。
【0067】
図9に示される第三の導電性プラグ63を形成する方法は、第一の導電性プラグ、第二の導電性プラグを形成した後に形成されてもよく、又は第一の導電性プラグ、第二の導電性プラグを形成する前に形成されてもよい。該実施例は、第一の電極20が第一のベース上に形成されるがパターニングされていないことを例として説明し、本発明において、第一の電極20は、第一のベース上に形成されてパターニングされた電極であってもよい。このとき、キャップ層、及び犠牲層としてリリースされるビアホールは、いずれも第一の電極20上に形成されず、第二の電極40上に形成されるべきである。
【0068】
このため、本発明において、第一の犠牲層と第二の犠牲層を除去する方法は、保留されるベースから離れる犠牲層の上方膜層を貫通する少なくとも一つのビアホールを形成するステップを含み、例えば、第一の実施例において、該犠牲層は、第一の犠牲層である。第一の電極が第一のベース上にパターニングされていないとき、第一のベースを除去し、第一の基板を保留する必要があり、第一の電極が第一のベース上にパターニングされたとき、保留されるベースが第一のベースであり、第一の基板を必要としない。第一の基板がないという状況で、該犠牲層は、第二の犠牲層である。キャップ層は、ビアホールが形成される電極の表面にあり、キャップ層は、ビアホールを充填する。保留されるベースが第一のベースである時、ビアホールは、第二の電極上に形成され、キャップ層は、第二の電極上に形成される。
【0069】
図26を参照すると、別の実施例において、圧電片体の第二の表面に誘電層が設けられておらず、積層構造を形成することは、第一の電極20上に第一の犠牲層23を形成するステップと、圧電誘導薄膜を形成し、第一の電極20、第二の犠牲層23及び第一のベース10を覆うステップと、圧電誘導薄膜をパターニングし、切断される圧電誘導薄膜のトレンチを形成し、トレンチの底部から一部の第一の犠牲層23が露出し、圧電誘導薄膜がトレンチによって切断されていない部分は、接続ブリッジを構成するステップと、トレンチにおいて第三の犠牲層34を形成し、第三の犠牲層34の第一の表面と圧電片体30の第一の表面とを面一にするステップと、第一の犠牲薄膜を形成し、第二の犠牲層34、圧電片体30を覆うステップと、第一の犠牲薄膜をパターニングし、第二の領域外の第一の犠牲薄膜を除去し、第二の領域は、有効作業領域内に位置し、第二の領域の第一の犠牲薄膜は、第一の犠牲層35を構成するステップとを含む。
【0070】
具体的には、第一の電極20上に第一の犠牲薄膜を形成し、第一の犠牲薄膜は、第一の電極20を覆い、第一の犠牲薄膜をパターニングし、第一の犠牲層23を形成し、第一の犠牲層23は、有効作業領域内に位置し、第一の犠牲層23の位置は、ギャップを形成するために用いられる。第一の犠牲層の厚さは、ギャップ211の高さであり、選択的な範囲は、0.1ナノメータ~5ナノメータである。第一の犠牲層23の材質は、前文を参照する。堆積プロセスを利用して第一の犠牲層23上、第一の電極20上に圧電誘導薄膜を形成し、圧電誘導薄膜の厚さは、0.1-10マイクロメータの間に介在し、圧電誘導薄膜の材質は、前文を参照する。エッチングプロセスによって圧電誘導薄膜において圧電誘導薄膜を切断するトレンチを形成する。トレンチは、圧電片体30の周縁の境界を定義する。本実施例においてトレンチの底部から一部の第一の犠牲層23が露出し、圧電誘導薄膜がトレンチによって切断されていない部分は、接続ブリッジを構成する。トレンチの形状と分布及び圧電片体30の形状、接続ブリッジの位置分布は、前の実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。第二の犠牲薄膜を形成し、トレンチ、圧電片体30の第一の表面を覆い、トレンチの外部の第二の犠牲薄膜を除去し、第二の犠牲層34を形成する。第一の犠牲薄膜を形成し、第二の犠牲層34、圧電片体30の第一の表面を覆い、第一の犠牲薄膜をパターニングし、第二の領域外の第一の犠牲薄膜を除去し、第二の領域は、有効作業領域内に位置し、第二の領域は、ギャップが所在する領域であり、第二の領域の第一の犠牲薄膜は、第一の犠牲層35を構成する。第一の犠牲薄膜の材質と厚さは、第三の犠牲薄膜の材質と厚さを参照する。
【0071】
犠牲層を除去し、キャップ層を形成する等の他のことについては、前の実施例の方法における関連記述を参照する。
【0072】
なお、本明細書における各実施例は、いずれも関連する方法で記述されており、各実施例の間で同じで類似する部分は、互いに参照すればよく、各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を当てて説明されている。特に、構造の実施例にとって、方法の実施例と基本的に類似しているので、記述は、比較的簡単であり、関連する点は、方法の実施例の一部の説明を参照すればよい。
【0073】
上記の記述は、本発明の好ましい実施例に対する記述に過ぎず、本発明の範囲に対するいかなる限定ではなく、当業者によって上記掲示される内容に基づいて行われたいかかなる変更、修飾は、いずれも特許請求の範囲の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0074】
図1では、R10-基板、R20-キャビティ、R30-第一の電極片、R50-第二の電極片、R40-薄膜圧電片体、R41-第一の表面、R42-第二の表面、R31-空気界面、R51-空気界面。
図2では、R110-基板、R520-第一の電極、R140-圧電層、R160-第二の電極、R115-音響反射構造、R530-ギャップ、R150-ギャップ、R141-空気界面、R142-空気界面。
図3~
図26では、50-第一の基板、41-第一の誘電層、31-第二の誘電層、30-圧電片体、21-第三の誘電層、20-第一の電極、40-第二の電極、61-第一の導電性プラグ、62-第二の導電性プラグ、63-第三の導電性プラグ、33-トレンチ、34-第三の犠牲層、35-第一の犠牲層、36-弾性波温度補償板体、211-ギャップ、23-第二の犠牲層、300-隔離キャビティ、301-接続ブリッジ、302-端部、303-有効作業領域の外側、13-ビアホール14-隔離溝、12-最上膜層、11-第三の誘電層、110-キャップ層、32第一の凹溝、22-凹溝、60-第一の基板、70-マイクロデバイス、71-MIM電気容量、72-MOSトランジスタ、73-インダクタ、500-半導体ベース、510-誘電層、520-キャビティ、530-ブラッグ構造。