(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】横型5軸フラップマシニングセンタ
(51)【国際特許分類】
B23C 1/027 20060101AFI20230123BHJP
B23C 9/00 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
B23C1/027
B23C9/00 Z
(21)【出願番号】P 2021558699
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 CN2020083274
(87)【国際公開番号】W WO2020207353
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】201910277370.2
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517012970
【氏名又は名称】科徳数控股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KEDE NUMERICAL CONTROL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Huanghai Street, Economic and Technological Development Zone, Dalian, Liaoning 116600 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 虎
(72)【発明者】
【氏名】侯 延星
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲伝▼思
(72)【発明者】
【氏名】劉 廷輝
(72)【発明者】
【氏名】范 春宏
(72)【発明者】
【氏名】時 冬梅
(72)【発明者】
【氏名】趙 立新
(72)【発明者】
【氏名】王 闊
(72)【発明者】
【氏名】仲 輝
(72)【発明者】
【氏名】段 恵強
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0252581(US,A1)
【文献】中国実用新案第204295296(CN,U)
【文献】仏国特許出願公開第02972951(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第109262031(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109262032(CN,A)
【文献】特開平05-177234(JP,A)
【文献】特開昭56-114640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/027
B23C 9/00
B23Q 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持ベースと、支持ベースに設置されたベッド及び支持ベースに設置されたコラムを含み、前記ベッドと前記コラムは接続アームを介して固定接続される横型5軸フラップマシニングセンタであって、
前記支持ベースにさらにフラップ装置が設けられ、前記フラップ装置は下部が支持ベースにヒンジ接続されたフラップと、
前記フラップを駆動して反転させることができる第1駆動ユニットを含み、前記ベッドのコラムに向かう片側に、ベッド上でX方向に沿ってスライド可能なX方向スライド板と、X方向スライド板を駆動してスライドさせることができる第2駆動ユニットが設けられ、前記フラップに、作業台を駆動して
前記フラップと
前記X方向スライド板との間で位置交換させることができる第3駆動ユニットが設けられ、前記X方向スライド板に
前記作業台をロックできるロック機構が設けられ、前記コラムにY方向スライド板が設けられ、前記Y方向スライド
板にZ方向ラムが設けられ、前記Z方向ラムにフライスヘッドが設けられること
、
前記ロック機構がT型ブロックと、支持ブロックと、タイロッドと、皿ばねと、ばね及びタイロッドの軸方向移動を駆動する第4駆動装置を含み、前記支持ブロックは前記X方向スライド板に固定され、前記タイロッドは前記T型ブロック及び前記支持ブロックを貫通し、且つ前記タイロッドの端部に前記T型ブロックを引っ張ることができる第1径方向突起が設けられ、前記ばねは前記T型ブロックと前記支持ブロックとの間に設置され、前記皿ばねは前記タイロッドに嵌められ、前記皿ばね及び前記T型ブロックはそれぞれ前記支持ブロックの外側及び内側に位置し、前記タイロッドに、皿ばねを前記タイロッドに制限する第2径方向突起が設けられ、前記皿ばねの両端はそれぞれ前記支持ブロック及び前記第2径方向突起に当接し、前記作業台の裏面に前記T型ブロックと嵌合するT型ロック溝が設けられること
を特徴とする、横型5軸フラップマシニングセンタ。
【請求項2】
前記フラップの下部に第1支持ランナーが設けられ、前記X方向スライド板の下部に第2支持ランナーが設けられ、前記作業台の裏面の下部にスライドローラが設けられ、前記スライドローラは
前記第1支持ランナー及び
前記第2支
持ランナー上でスライドさせることができ、前記作業台の上部にリミットスライド溝が設けられ、前記フラップの上部に第1リミットローラが設けられ、前記第1リミットローラを
前記リミットスライド溝に入れて、且つ
前記リミットスライド溝に相対してスライドさせ、且つ
前記作業台を
前記フラップ上に制限することができ、前記X方向スライド板の上部に第2リミットローラが設けられ、前記第2リミットローラを
前記リミットスライド溝に入れて、且つ
前記リミットスライド溝に相対してスライドさせ、且つ作業台を
前記X方向スライド板上に制限することができることを特徴とする、請求項1に記載の横型5軸フラップマシニングセンタ。
【請求項3】
前記第1駆動ユニットは
前記支持ベースにヒンジ接続されたフラップスクリューロッドと、
前記フラップスクリューロッドの回転を駆動するフラップ駆動モータを含み、前記フラップの端面上部に
前記フラップスクリューロッドと嵌合するスクリューロッドナットが設けられることを特徴とする、請求項2に記載の横型5軸フラップマシニングセンタ。
【請求項4】
前記第2駆動ユニットはX方向に沿って
前記ベッドに固定されるラックと、
前記X方向スライド板に取り付けられる歯車及び前記歯車を駆動するモータを含み、前記歯車は
前記ラックと噛み合うことを特徴とする、請求項3に記載の横型5軸フラップマシニングセンタ。
【請求項5】
前記第3駆動ユニットはウォーム及びウォームを駆動するモータを含み、前記ウォームの軸方向はX方向に沿って設置され、前記作業台の裏面にX方向に沿って配列されるローラが設けられ、隣接する
前記ローラの間には隙間があって、前記ウォームと係合し、
前記ウォームが回転する時に
前記ローラを押して移動させることにより
前記作業台を駆動して移動させることができることを特徴とする、請求項4に記載の横型5軸フラップマシニングセンタ。
【請求項6】
前記Y方向スライド板はコラムの片側に設置され、工具マガジンは
前記コラムの他方の側に設置され、前記コラムの側面に第1Y方向スクリューロッドと、第2Y方向スクリューロッドと、それぞれ第1Y方向スクリューロッド及び第2Y方向スクリューロッドを駆動する第1Y方向駆動モータ及び第2Y方向駆動モータが設けられ、前記Y方向スライド板は
前記第1Y方向スクリューロッド及び
前記第2Y方向スクリューロッドに取り付けられ、前記Y方向スライド板に2つのZ方向スライドレールが設けられ、前記Z方向ラムの両側はZ方向スライダを介してZ方向スライドレールに取り付けられ、前記フライスヘッドはA/B軸揺動式フライスヘッドであることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の横型5軸フラップマシニングセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工作機械における全体構造の技術分野に関し、具体的には横型5軸フラップマシニングセンタに関する。
【背景技術】
【0002】
中国の航空産業の急速な発展に伴い、様々なプレートタイプのキャビティ部品を加工するニーズがあり、加工効率及び精度を向上させるために、多くの工作機械はワークを加工ステーションに垂直にクランプし、フライスは工作機械の主軸に横向きに取り付けられる。現在、横型5軸マシニングセンタはワークを加工ステーションに直接取り付けているが、取り付け作業の操作が難しく、特に切削の除去割合が大きい航空機エンジン構造部材の加工において、製造効率が大幅に低下し、中国国内の航空宇宙産業におけるアルミニウム合金部材の効率的で、高精度の加工設備に求められる要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の課題に対して、横型5軸フラップマシニングセンタを開発し設計したものであり、本発明が採用する技術的手段は以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
横型5軸フラップマシニングセンタであって、支持ベースと、支持ベースに設置されたベッド及び支持ベースに設置されたコラムを含み、前記ベッドとコラムは接続アームを介して固定接続され、前記支持ベースにさらにフラップ装置が設けられ、前記フラップ装置は下部が支持ベースにヒンジ接続されたフラップと、フラップを駆動して反転させることができる第1駆動ユニットを含み、前記ベッドのコラムに向かう片側に、ベッド上でX方向に沿ってスライド可能なX方向スライド板と、X方向スライド板を駆動してスライドさせることができる第2駆動ユニットが設けられ、前記フラップに、作業台を駆動してフラップとX方向スライド板との間で位置交換させることができる第3駆動ユニットが設けられ、前記X方向スライド板に作業台をロックできるロック機構が設けられ、前記コラムにY方向スライド板が設けられ、前記Y方向スライド板にZ方向ラムが設けられ、前記Z方向ラムにフライスヘッドが設けられる。
【0005】
さらに、前記フラップの下部に第1支持ランナーが設けられ、前記X方向スライド板の下部に第2支持ランナーが設けられ、前記作業台の裏面の下部にスライドローラが設けられ、前記スライドローラは第1支持ランナー及び第2支持ランナー上でスライドさせることができ、前記作業台の上部にリミットスライド溝が設けられ、前記フラップの上部に第1リミットローラが設けられ、前記第1リミットローラをリミットスライド溝に入れて、且つリミットスライド溝に相対してスライドさせ、且つ作業台をフラップ上に制限することができ、前記X方向スライド板の上部に第2リミットローラが設けられ、前記第2リミットローラをリミットスライド溝に入れて、且つリミットスライド溝に相対してスライドさせ、且つ作業台をX方向スライド板上に制限することができる。
【0006】
さらに、前記第1駆動ユニットは支持ベースにヒンジ接続されたフラップスクリューロッドと、フラップスクリューロッドの回転を駆動するフラップ駆動モータを含み、前記フラップの端面上部にフラップスクリューロッドと嵌合するスクリューロッドナットが設けられる。
【0007】
さらに、前記第2駆動ユニットはX方向に沿ってベッドに固定されるラックと、X方向スライド板に取り付けられる歯車及び前記歯車を駆動するモータを含み、前記歯車はラックと噛み合う。
【0008】
さらに、前記第3駆動ユニットはウォーム及びウォームを駆動するモータを含み、前記ウォームの軸方向はX方向に沿って設置され、前記作業台の裏面にX方向に沿って配列されるローラが設けられ、隣接するローラの間には隙間があって、前記ウォームと係合し、ウォームが回転する時にローラを押して移動させることにより作業台を駆動して移動させることができる。
【0009】
さらに、前記ロック機構はT型ブロックと、支持ブロックと、タイロッドと、皿ばねと、ばね及びタイロッドの軸方向の移動を駆動する第4駆動装置を含み、前記支持ブロックはX方向スライド板に固定され、前記タイロッドはT型ブロック及び支持ブロックを貫通し、且つタイロッドの端部にT型ブロックを引っ張ることができる第1径方向突起が設けられ、前記ばねはT型ブロックと支持ブロックとの間に設置され、前記皿ばねはタイロッドに嵌められ、前記皿ばね及びT型ブロックはそれぞれ支持ブロックの外側及び内側に位置し、前記タイロッドに、皿ばねをタイロッドに制限する第2径方向突起が設けられ、前記皿ばねの両端はそれぞれ支持ブロック及び第2径方向突起に当接し、前記作業台の裏面に前記T型ブロックと嵌合するT型ロック溝が設けられる。
【0010】
さらに、前記Y方向スライド板はコラムの片側に設置され、工具マガジンはコラムの他方の側に設置され、前記コラムの側面に第1Y方向スクリューロッドと、第2Y方向スクリューロッドと、それぞれ第1Y方向スクリューロッド及び第2Y方向スクリューロッドを駆動する第1Y方向駆動モータと第2Y方向駆動モータが設けられ、前記Y方向スライド板は第1Y方向スクリューロッド及び第2Y方向スクリューロッドに取り付けられ、前記Y方向スライド板に2つのZ方向スライドレールが設けられ、前記Z方向ラムの両側はZ方向スライドブロックを介してZ方向スライドレールに取り付けられ、前記フライスヘッドはA/B軸揺動式フライスヘッドである。
【0011】
従来技術と比較して、本発明に記載の横型5軸フラップマシニングセンタは以下の利点を有する。
1、フラップ装置を設置し、フラップの水平及び垂直位置の転換を実現し、フラップが水平状態にある時にワークの取り付け及び取り外しを行い、且つフラップが垂直状態にある時に作業台をベッドに搬送して、ワークを加工することができ、着脱効率を大幅に向上させる。
2、2つのスクリューロッドと2つのライナーによる構造を採用し、主軸の剛性が高く、特にアルミニウム合金の航空機エンジン部品、円柱部材の効率的で、高精度の加工に適する。
3、A/B軸揺動式フライスヘッドの形式を採用し、機械全体の構造配置が合理的であり、より高い加工精度及び加工効率を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】本発明の実施例に記載の作業台の立体構造概略図である。
【
図6】本発明の実施例に記載の作業台の他の角度からの立体構造概略図である。
【
図7】本発明の実施例に記載の作業台の側面概略図である。
【
図8】本発明の実施例に記載のベッドとX方向スライド板の構造概略図である。
【
図9】本発明の実施例に記載のベッドとX方向スライド板の側面概略図である。
【
図10】本発明の実施例に記載のベッド、X方向スライド板及び作業台の側面概略図である。
【
図12】本発明の実施例に記載のウォームと作業台との係合関係の概略図である。
【
図14】本発明の実施例に記載のロック機構の構造概略図である。
【
図15】本発明の実施例に記載のコラムの他の角度からの立体構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から
図15に示すように、横型5軸フラップマシニングセンタは、支持ベース1と、支持ベース1に設置されたベッド2及び支持ベース1に設置されたコラム3を含み、前記ベッド2とコラム3は接続アーム4を介して固定接続され、前記支持ベース1にさらにフラップ装置5が設けられ、前記フラップ装置5は下部が第1ヒンジ6を介して支持ベース1にヒンジ接続されるフラップ7と、フラップ7を駆動して反転させることができる第1駆動ユニットを含み、前記ベッド2のコラム3に向かう片側に、ベッド2上でX方向に沿ってスライド可能なX方向スライド板8と、X方向スライド板8を駆動してスライドさせることができる第2駆動ユニットが設けられ、前記フラップ7に、作業台9を駆動してフラップ7とX方向スライド板8との間で位置交換させることができる第3駆動ユニットが設けられ、前記X方向スライド板8に作業台9をロックできるロック機構が設けられ、前記コラム3にY方向スライド板10が設けられ、前記Y方向スライド板10にZ方向ラム11が設けられ、前記Z方向ラム11にフライスヘッド12が設けられる。
【0014】
前記フラップ7の下部に第1支持ランナー13が設けられ、前記X方向スライド板8の下部に第2支持ランナー14が設けられ、前記作業台9の裏面の下部にスライドローラ15が設けられ、前記スライドローラ15は第1支持シュート13及び第2支持シュート14上でスライドさせることができ、前記第1支持ランナー13と第2支持ランナー14は同軸に設置され、前記作業台9の上部にリミットスライド溝16が設けられ、前記フラップ7の上部に第1リミットローラ17が設けられ、前記第1リミットローラ17をリミットスライド溝16に入れて、且つリミットスライド溝16に相対してスライドさせ、且つ作業台9をフラップ7上に制限することができ、前記X方向スライド板8の上部に第2リミットローラ18が設けられ、前記第2リミットローラ18をリミットスライド溝16に入れて、且つリミットシュート16に相対してスライドさせ、且つ作業台9をX方向スライド板8上に制限することができる。
【0015】
前記第1駆動ユニットは第2ヒンジ19を介して支持ベース1にヒンジ接続されたフラップスクリューロッド20と、フラップスクリューロッド20の回転を駆動するフラップ駆動モータ21を含み、前記フラップ7の端面上部にフラップスクリューロッド20と嵌合するスクリューロッドナット22が設けられ、本実施例においては、反転動作の安定性を保証するために、前記フラップ7の2つの端面の上端にそれぞれ1つのスクリューロッドナットが設けられ、フラップ7の両端に2つのフラップスクリューロッドが対応して設けられる。
【0016】
図2に示すとおり、前記第2駆動ユニットはX方向に沿ってベッドに固定されるラック23と、X方向スライド板8に取り付けられる歯車24及び前記歯車24を駆動する歯車モータ25を含み、前記歯車24はラック23と噛み合う。
【0017】
図12及び
図13に示すとおり、前記第3駆動ユニットはウォーム26及びウォームを駆動するモータを含み、具体的な駆動方式は同軸駆動であってもよく、又は歯車を介した駆動であってもよく、前記ウォーム26の軸方向はX方向に沿って設置され、前記作業台9の裏面にX方向に沿って配列されるローラ27が設けられ、隣接するローラ27の間には隙間があって、前記ウォーム26と係合し、ウォームの螺旋状構造がローラ27と間隔をおいて係合して、噛み合いに似た構造を形成し、ウォーム26が回転する時にローラ27を押して移動させることにより作業台9を駆動して移動させることができる。
【0018】
図11及び
図14に示すように、前記ロック機構28はT型ブロック29、支持ブロック30、タイロッド31、皿ばね32、ばね33及びタイロッド31の軸方向の移動を駆動する第4駆動装置32を含み、前記支持ブロック30はX方向スライド板8に固定され、前記タイロッド31はT型ブロック29及び支持ブロック30を貫通し、且つタイロッド31の端部にT型ブロック29を引っ張ることができる第1径方向突起34が設けられ、前記ばね33はT型ブロック29と支持ブロック30との間に設置され、前記皿ばね32はタイロッド31に嵌められ、前記皿ばね32及びT型ブロック29はそれぞれ支持ブロック30の外側及び内側に位置し、前記タイロッド31に、皿ばね32をタイロッド31に制限する第2径方向突起35が設けられ、前記皿ばね32の両端はそれぞれ支持ブロック30及び第2径方向突起35に当接し、前記作業台9の裏面に前記T型ブロック29と嵌合するT型ロック溝43が設けられる。ロックされていない状態で、第4駆動装置32はタイロッド31を押し、第2径方向突起35は皿ばね32を圧縮し、T型ブロック29はばね33の弾力作用で支持ブロック30から離れる方向へ移動し、支持ブロック30との間に一定の隙間が生じ、作業台9がX方向スライド板8にスライドする時、T型ブロック29がT型ロック溝43に入りやすくなり、第4駆動装置32がタイロッド31を押すことを停止すると、皿ばね32は圧縮状態から膨張してリセットし、第2径方向突起35によってタイロッド31を引っ張り、タイロッド31は第1径方向突起34によってT型ブロック29を引っ張って支持ブロック30の方向へ移動させ、T型ブロック29をロックして、それによりT型ブロック29は作業台9をX方向スライド板8上にロックする。本実施例が採用する第4駆動装置は、タイロッド31に対する推進を実現できるものであれば、油圧シリンダであってもよく、又はステッピングモータで駆動するカム構造であってもよい。
【0019】
図15に示すとおり、前記Y方向スライド板10はコラム3の片側に設置され、工具マガジン36はコラムの他方の側に設置される。本実施例において、主軸台側はコラムの左側面に掛けられ、工具マガジンは前記コラムの右側面に設置され、移動マニピュレータの方式で工具を交換する。前記コラム3の側面に第1Y方向スクリューロッド37と、第2Y方向スクリューロッド38と、それぞれ第1Y方向スクリューロッド37と第2Y方向スクリューロッド38を駆動する第1Y方向駆動モータ39と第2Y方向駆動モータ40が設けられ、前記Y方向スライド板10は第1Y方向スクリューロッド37と第2Y方向スクリューロッド38に取り付けられ、前記Y方向スライド板10に2つのZ方向スライドレール41が設けられ、前記Z方向ラム11の両側はZ方向スライダ42を介してZ方向スライドレール41に取り付けられ、前記フライスヘッド12はA/B軸揺動式フライスヘッドであり、具体的には連結ロッドによるA/B軸揺動式フライスヘッドである。前記コラム3に、さらにY方向スライド板10のバランスを取るためのバランスシリンダ44が設けられる。本実施例の主軸はX軸を中心とするA軸運動を実現し、機械全体の構造がシンプルであり、主軸の剛性が非常に高く、特にアルミニウム合金の航空機エンジン部品、円柱部材の効率的で、高精度の加工に適する。中国国内の航空宇宙産業におけるアルミニウム合金部材の効率的で、高精度の加工設備に求められる要件を満たす。
【0020】
本発明に記載のX方向、Y方向及びZ方向はいずれも本分野の工作機械の方向において慣用されている呼称であり、各部品の運動と設置の方向関係を区別しやすくするためのものであり、各部品の絶対的な方向を限定するものではない。
【0021】
本実施例の作業プロセスは以下のとおりである。
材料供給:フラップ7の動作位置は上向きであり、作業台9はフラップ7上に位置し、作業者は加工対象部品をクランプする。
フラップ反転:ワークのクランプが完了した後、第1駆動ユニットはフラップ7を駆動して垂直位置まで回転させて持ち上げ、且つベッド2上のX方向スライド板8と平行にする。
作業台上のベッド:第3駆動ユニットのウォーム26は作業台9をベッド位置まで駆動し、スライドローラ15は第1支持ライナー13から第2支持ライナー14まで転動し、ロック機構は作業台9をX方向スライド板8上にロックし、部品を加工する。
加工済み部品の取り外し:加工が完了すると、作業台9は第3駆動ユニットの駆動でフラップ7に戻り、第1駆動ユニットはフラップ7を駆動して水平位置まで回転させ、作業者は部品を取り外し、完了後に次のサイクルへ進む。
【0022】
以上に記載の実施例は本発明の好ましい実施形態を説明したものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の設計精神から逸脱しない前提で、当業者が本発明の技術的解決手段に対して行う各種の変形及び改良は、いずれも本発明の特許請求の範囲で確定された保護範囲内に含まれる。