(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】カートリッジおよび非燃焼式吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20230123BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20230123BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230123BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/44
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2022502757
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008234
(87)【国際公開番号】W WO2021171534
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】松田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6525228(JP,B1)
【文献】特開2010-104310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0168236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/44
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のカートリッジを備えた
非燃焼式吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジおよびカートリッジを備える非燃焼式吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱により霧化させた蒸気(例えば、エアロゾル)を吸引する非燃焼式吸引器(以下、単に吸引器という)が知られている。この種の吸引器としては、例えば霧化可能な液体(例えば、エアロゾル源)が収容されるカートリッジと、本体ユニットと、を備えたものがある。
【0003】
特許文献1から特許文献3に示すように、従来の吸引器では、カートリッジに設けられた加熱部が発熱し、加熱部に吸い上げられた液体が加熱されて霧化される。使用者は、霧化した蒸気を空気とともに吸引する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/158566号
【文献】日本国特許第6525228号公報
【文献】欧州特許出願公開第3061357号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来の吸引器は、カートリッジの外部への液漏れを防止する機構を有していた。しがしながら、カートリッジの形状設計に制限が生じる場合などにおいては、異なる液漏れ防止構造が必要とされていた。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、カートリッジの外部への液漏れを防止する新たな機構を有するカートリッジおよび当該カートリッジを備える非燃焼式吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るカートリッジは、吸口を有する非燃焼式吸引器に使用されるカートリッジであって、液体を収容可能な液収容部を有するタンクと、前記液収容部中の前記液体が供給され、前記液体を加熱する加熱部と、前記加熱部を支持する霧化容器と、を備え、前記霧化容器は、前記液体を保持可能であり、前記加熱部とは離間して設けられた液保持部と、前記液保持部に保持された前記液体を前記加熱部に還流させる液誘導部と、を有する。本発明の第二の態様に係る非燃焼式吸引器は、上記カートリッジを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカートリッジは、新たな液漏れ防止機構により、カートリッジの外部への液漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るカートリッジを含む吸引器の全体構成を示す図である。
【
図4】同カートリッジの軸方向に沿う断面図である。
【
図5】同カートリッジの加熱部、霧化容器およびヒータホルダの斜視図である。
【
図6】同霧化容器および同ヒータホルダの斜視図である。
【
図7】同霧化容器および同ヒータホルダの軸方向から見た平面図である。
【
図8】同霧化容器の内筒部と同ヒータホルダの斜視図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係るカートリッジの分解図である。
【
図10】同カートリッジの軸方向に沿う断面図である。
【
図11】霧化容器およびヒータホルダの軸方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、
図1から
図8を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るカートリッジ11を含む吸引器1の全体構成を示す図である。
図2は、吸引器1の分解図である。
【0011】
<吸引器>
吸引器1は、いわゆる非燃焼式吸引器であり、加熱により霧化されたエアロゾルを、たばこ葉を通して吸引することで、たばこ葉の成分をエアロゾルに付与できる。吸引器1は、本体ユニット10と、本体ユニット10に着脱可能に装着されるカートリッジ(霧化ユニットともいう)11と、マウスピース(吸口ともいう)23を有するたばこカプセル12と、を備えている。
【0012】
本体ユニット10、カートリッジ11およびたばこカプセル12は、それぞれ軸線O上に並んで配置されている。以下の説明では、軸線Oに沿う方向を軸方向Aという。この場合、軸方向Aにおいて、たばこカプセル12から本体ユニット10に向かう側を「反吸口側」や「第1側」ということもでき、本体ユニット10からたばこカプセル12に向かう側を「吸口側」や「第2側」ということもできる。また、軸方向Aから見た平面視で軸線Oに交差する方向を径方向Rといい、軸線O回りに周回する方向を周方向Cという場合がある。本明細書において、「方向」とは2つの向きを意味し、「方向」のうち1つの向きを示す場合には「側」と記載する。
【0013】
<本体ユニット>
本体ユニット10は、電源ユニット21を備えている。電源ユニット21は、蓄電池等のバッテリを含んでおり、カートリッジ11に電力を供給する。電源ユニット21は、本体ユニット10に装着されたカートリッジ11に電気的に接続される。
【0014】
<たばこカプセル>
たばこカプセル12は、
図1に示すように、カートリッジ11が装着された本体ユニット10に、着脱可能に装着される。たばこカプセル12は、マウスピース(吸口ともいう)23を有している。たばこカプセル12には、たばこ葉が封入されている。たばこカプセル12は、軸方向において反吸口側に本体ユニット10と嵌合接続される接続部12aを有する。
【0015】
<カートリッジ>
図3は、カートリッジ11の分解図である。
図4は、カートリッジ11の軸方向Aに沿う断面図である。カートリッジ11は、液体のエアロゾル源を貯留するとともに、この液体のエアロゾル源を霧化する。カートリッジ11は、本体ユニット10内に着脱可能に収納される。
【0016】
カートリッジ11は、タンク191と、ガスケット192と、加熱部194と、霧化容器195と、タンク191の開口部191aを閉塞するヒータホルダ196と、を備える。タンク191、ガスケット192、加熱部194、霧化容器195およびヒータホルダ196は、カートリッジ11の軸方向Aに沿って配列している。カートリッジ11の軸方向Aは、吸引器1の軸方向と一致する。なお、「軸方向Aに沿って配列する」とは、一部もしくは全部が軸方向Aにおいて重複した状態で配列する態様を含む。
【0017】
タンク191は、霧化可能な液体(例えば、エアロゾル源)が収容される液収容部191bを有する。タンク191は、軸方向Aにおいて、加熱部194に対して吸口側に配置される。タンク191は、軸方向Aにおいて加熱部194側に開口部191aを有する。タンク191の底部191cには、径方向Rの中央に底部191cを貫通する貫通孔191dが形成されている。貫通孔191dの周縁には、底部191cの内面からタンク191内に突出する円環状の流路管(流路ともいう)197が一体成形されている。流路管197の内部と貫通孔191dとは連通している。流路管197は、霧化されたエアロゾルの流路となる。流路管197は、底部191cからタンク191の軸方向Aにおける略中央よりも開口部191aに近い位置に至る間に延在されている。
【0018】
ガスケット192は、加熱部194の位置決めを行うとともに、加熱部194を支持している。ガスケット192の径方向R中央には、流路管197を挿入可能な挿入孔192aが形成されている。この挿入孔192aに流路管197の一部が挿入されるように、タンク191内にガスケット192が収納される。また、ガスケット192の挿入孔192aは、流路管197の外周面に接触している。
【0019】
タンク191の液収容部191b内のエアロゾル源は、ガスケット192の外周面192eとタンク191の内周面191iとの間の空間Sを経由して、加熱部194に供給される。
【0020】
ガスケット192は、軸方向Aにおいて加熱部194側に、加熱部194の両端部を支持する支持面192sを有する。支持面192sは、略円柱状に形成された加熱部194の両端部の形状に合わせて湾曲している。
【0021】
図5は、加熱部194、霧化容器195およびヒータホルダ196の斜視図である。
加熱部194は、液体のエアロゾル源を霧化する。加熱部194の両端部は、ガスケット192および霧化容器195に支持されている。加熱部194は、直線状に形成されたウィック204と、ウィック204を加熱する電熱線205と、を備えている。
【0022】
ウィック(柱状部)204は、多孔状で吸液性を有する略円柱状の部材である。ウィック204の両端部204aは、ウィック204の長手軸が軸線Oと垂直となるように、ガスケット192および霧化容器195に支持されている。
図4に示すように、ウィック204の長手軸方向Lの両端面204bは、ガスケット192および霧化容器195より長手軸方向Lにおいて外側に位置している。ガスケット192の外周面192eとタンク191の内周面191iとの間の空間Sから流れるエアロゾル源が、ウィック204に吸い上げられる。
【0023】
電熱線205は、ウィック204の長手軸方向Lにおける中間部の周囲を取り囲むように螺旋状に形成された電熱線本体205aと、電熱線本体205aの両端末から軸方向Aに沿ってヒータホルダ196側に向かって延出する2つの端末部205bと、を有する。電熱線205によってウィック204が加熱されると、ウィック204に吸収されたエアロゾル源が霧化される。2つの端末部205bは、径方向Rの外側に向かってそれぞれ折り返されている。2つの端末部205bは、ヒータホルダ196に接続されている。ここで、電熱線本体205aは、電気抵抗が高く、電流が流れた場合に発熱しやすい材質で形成されている。一方、端末部205bは、一般的な銅線などであり、電流が流れた場合に発熱しにくい材質で形成されている。
【0024】
図6は、霧化容器195およびヒータホルダ196の斜視図である。
図7は、霧化容器195およびヒータホルダ196の軸方向Aから見た平面図である。
霧化容器195は、弾性を有する部材、例えばシリコーン樹脂等の樹脂材料により形成されている。霧化容器195は、軸方向Aにおいて、加熱部194に対して反吸口側に配置される。霧化容器195は、ガスケット192とともに、ウィック204の両端部204aを支持している。霧化容器195は、略角筒状に形成されており、軸方向Aに貫通して流路管197に連通する霧化室Mを有する。霧化室Mにおいてエアロゾル源が霧化される。
【0025】
霧化容器195は、ウィック204の両端部204aを支持する外筒部17と、外筒部17の内側に設けられた内筒部18と、を備える。ここで、霧化容器195がウィック204を支持するとは、霧化容器195が単独でウィック204を支持することを必須としない。本実施形態のように霧化容器195はガスケット192とともにウィック204を支持してもよい。また、霧化容器195がウィック204を支持するとは、霧化容器195がウィック204に一部隣接することや接触することを含む。
【0026】
外筒部17は、略角筒状に形成されている。外筒部17は、外筒部本体17aと、外筒部本体17aの反吸口側に設けられた外筒拡径部17cと、を有する。外筒部17の外周面17eは、
図4に示すように、タンク191の内周面191iに接触している。
【0027】
外筒部本体17aは、吸口側の端部において、軸線Oを挟んで両側に、ウィック204の両端部204aを当接して支持する第一支持面17sを有する。第一支持面17sは、略半円状の切り欠き形状であり、略円柱状に形成されたウィック204の両端部204aの形状に合わせて湾曲している。
図5に示すように、第一支持面17sは、加熱部194の長手軸方向Lから見て、加熱部194の外周面に沿って加熱部194の下方から側方まで延びる。第一支持面17sと面していないウィック204の表面領域を可能な限り少なくすることで、液漏れを好適に防止する。
【0028】
外筒部本体17aの第一支持面17sに支持されたウィック204において、ウィック204の両端面204bは、
図4および
図5に示すように、外筒部17の径方向Rの外側に配置される。外筒部17の外側に配置され部分(両端面204bを含む)から、エアロゾル源がウィック204に吸い上げられる。
【0029】
外筒拡径部17cは、外筒部本体17aと比較して径方向Rに拡径しており、軸方向Aから見た平面視で略矩形形状に形成されている。
図4に示すように、外筒拡径部17cは、反吸口側においてヒータホルダ196と当接し、吸口側においてタンク191と当接する。
【0030】
図8は、内筒部18とヒータホルダ196の斜視図である。
内筒部18は、略角筒状に形成されている。内筒部18は、内筒部本体18aと、外筒部本体17aの反吸口側に設けられた内筒拡径部18cと、内筒拡径部18cの反吸口側に設けられた内筒接続凸部18d(
図3参照)と、を有する。
【0031】
内筒部本体18aは、
図8に示すように、吸口側の端部において、軸線Oを挟んで長手軸方向Lの両側に、ウィック204の両端部204aを当接して支持する第二支持面18sを有する。第二支持面18sは、略円柱状に形成されたウィック204の両端部204aの形状に合わせて湾曲している。第一支持面17sと第二支持面18sとは、
図6に示すように、少なくとも一部が同一面を形成する。第二支持面18sは、長手軸方向Lの両端部から電熱線205近傍まで延びている。第二支持面18sと面していないウィック204の表面領域を可能な限り小さくすることで、液漏れを好適に防止できる。なお、第二支持面18sは、第一支持面17s同様、加熱部194の側方まで延びていてもよい。
【0032】
内筒部本体18aは、
図8に示すように、吸口側の端部において、軸線Oを挟んで短手軸方向の両側に、傾斜面18bを有する。傾斜面18bは、第二支持面18sと比較して反吸口側に位置している。傾斜面18bは、径方向Rの内側から外側に向かって、反吸口側に傾斜している。流路管197表面で液滴化したエアロゾルが垂れ落ちてきた場合、液体は傾斜面18bに沿って径方向Rの外側に流れやすい。そのため、傾斜面18bは、例えば流路管197から垂れ落ちてきた液体を後述する液保持部2に積極的に誘導できる。
【0033】
内筒拡径部18cは、
図7および
図8に示すように、内筒部本体18aと比較して一部が径方向Rに拡径しており、軸方向Aから見た平面視で略矩形形状に形成されている。具体的には、内筒拡径部18cは、内筒部本体18aと比較して、軸方向Aから見て四隅および長手軸方向Lの両端部が径方向Rに拡径している。内筒拡径部18cは、反吸口側においてヒータホルダ196と当接する。
【0034】
内筒拡径部18cは、軸方向Aに貫通する開口18fを有している。内筒拡径部18cは、開口18f付近において吸口側に突出した一対の凸部18gを有している。一対の凸部18gは、開口18fを挟んで長手軸方向Lの両側に形成されている。ウィック204から霧化室Mに漏れた液体が開口18fから霧化室Mの外部に漏れることを好適に抑制できる。
【0035】
内筒拡径部18cは、2つの端末部205bが挿通する2つの接続孔18hを有する。2つの接続孔18hは、軸線Oを挟んで長手軸方向Lの両側に設けられている。2つの端末部205bは、
図4に示すように、接続孔18hをそれぞれ挿通して、後述するヒータホルダ196の電極196bと接続される。
【0036】
内筒接続凸部18dは、
図3に示すように、ヒータホルダ196と接続するための凸部である。内筒接続凸部18dがヒータホルダ196に形成された接続凹部(不図示)と嵌合することで、内筒部18とヒータホルダ196とが固定される。
【0037】
ヒータホルダ196は、軸方向Aから見て略矩形状に形成されており、タンク191の開口部191aを閉塞している。ヒータホルダ196は、ヒータホルダ本体196aと、電極196bと、を有している。ヒータホルダ本体196aは、霧化室Mに空気を導入する通気孔209を有する。電極196bは、カートリッジ11が本体ユニット10に装着された際に、電源ユニット21に電気的に接続される。
【0038】
<液保持部と液誘導部>
外筒部17の内周面17iと内筒部18の外周面18eとの間には、
図7に示すように、液保持部2と液誘導部3とが形成される。液保持部2および液誘導部3は、液体が収容されているタンク191の液収容部191bとは離間して設けられている。
【0039】
液保持部2は、ウィック204から漏れた液体(例えば、エアロゾル源)を保持可能であり、加熱部194とは離間して設けられている。ウィック204からの液体の漏れは、様々な原因により発生する。例えば、液体の漏れは、液収容部191bの内圧と外気圧との差によってウィック204に過剰に液が供給されること等により発生する。液保持部2は、
図7に示すように、外筒部17の内周面17iと内筒部18の外周面18eとの間に形成された空間Eである。液保持部2は、軸方向Aから見て、霧化容器195の内側の四隅に形成される。
【0040】
液保持部2は、
図8に示すように、より具体的には、内筒拡径部18cの吸口側の上面と、内筒部本体18aの外周面18eであって外筒部17の内周面17iと接していない側面と、外筒部17の内周面17iと、により区画される空間Eである。液保持部2は、軸方向Aにおいて傾斜面18bと同じの高さ位置まで液体を保持可能である。傾斜面18bは加熱部194を支持する第二支持面18sより反吸口側に位置するため、液保持部2は加熱部194とは離間している。
【0041】
液誘導部3は、液保持部2に保持された液体を加熱部194に還流させる流路である。液誘導部3は、
図7に示すように、外筒部17の内周面17iと内筒部18の外周面18eとの間に形成された隙間Vである。隙間Vの幅は、液誘導部3が液体を吸い上げる毛管力の大きさや、液保持部2から加熱部194までの距離等に応じて適宜設定でき、例えば0.05mm以上0.2mm以下であり、0.05mm以上0.15mm以下がより好適である。ここで、隙間Vの幅とは、外筒部17の内周面17iと内筒部18の外周面18eとの間の距離である。液誘導部3は、軸方向Aから見て径方向Rに対向する二か所に配置されている。より具体的には、液誘導部3は、長手軸方向Lに対向する二か所に配置されている。液誘導部3と、第一支持面17sと、第二支持面18sとは、軸方向Aから見て長手軸方向Lに沿って配列している。
【0042】
液保持部2と液誘導部3とは、
図7に示すように、軸方向Aから見てカートリッジ11の周方向Cに配列している。液保持部2は、軸方向Aから見て液誘導部3の両側に当接して配置されている。液保持部2に保持された液体は液誘導部3に流入可能である。液誘導部3の両側に当接して配置された二つの液保持部2は、液誘導部3を介して接続されている。これら二つの液保持部2は、保持する液量の偏りがなくなり、保持する液量が平均化される。
【0043】
液誘導部3は、
図8に示すように、より具体的には、内筒拡径部18cの吸口側の上面と、内筒部本体18aの外周面18eと、外筒部17の内周面17iと、に挟まれた隙間Vである。液誘導部3は、軸方向Aにおいて、第一支持面17sおよび第二支持面18sと同じ高さ位置まで伸びている。液誘導部3は、毛管力により液体を、第一支持面17sおよび第二支持面18sと同じ高さ位置まで吸い上げ、第一支持面17sと第二支持面18sとの間の隙間Vから、第一支持面17sおよび第二支持面18sが支持するウィック204に還流させることができる。
【0044】
外筒部17の内周面17iと内筒部18の外周面18eとの間隔は、液保持部2の方が液誘導部3より広い。液保持部2が液体を保持できる容積は、液誘導部3が液体を保持できる容積より大きい。
【0045】
内筒部18の外周面18eは、液保持部2から液誘導部3に近づく部分において湾曲している。外筒部17の内周面17iと内筒部18の外周面18eとの間隔は、軸方向Aから見て、液保持部2から液誘導部3に近づくにつれて徐々に小さくなる。そのため、液保持部2は液誘導部3の毛管力による液体の吸い上げを促進する。
【0046】
<カートリッジの作用>
次にカートリッジ11の作用について説明する。
タンク191内のエアロゾル源は、ガスケット192の外周面192eとタンク191の内周面191iとの隙間を反吸口側に流れて、ウィック204に供給される。加熱部194が通電されることにより、電熱線205が発熱する。すると、ウィック204に含浸された液体のエアロゾル源が加熱されて霧化する。霧化されたエアロゾルは、霧化室Mに充満する。
【0047】
ウィック204の液保持力を超える液体のエアロゾル源が供給されると、ウィック204から液体のエアロゾル源が漏出する。ここで、第一支持面17sは、加熱部194の長手軸方向Lから見て、加熱部194の外周面に沿って加熱部194の下方から側方まで延びている。また、第二支持面18sは、長手軸方向Lにおいて電熱線205近傍まで延びている。よって、ウィック204の下側は、液誘導部3以外の部分がおおむね第一支持面17sおよび第二支持面18sによって覆われている。そのため、ウィック204から漏出する液体のエアロゾル源は、液誘導部3および液誘導部3に連通する液保持部2へと誘導される。
【0048】
傾斜面18bに漏出した液体のエアロゾル源は、外筒部17の内周面17iを伝って液保持部2に溜まる。
【0049】
液保持部2に溜まった液体のエアロゾル源は、液誘導部3に流入する。液保持部2は、軸方向Aから見て液誘導部3の周方向Cにおける両側に当接して配置されている。そのため、液保持部2は、液保持部2と液誘導部3とが軸方向Aに沿って配列している場合に比べて、液体のエアロゾル源を液誘導部3にスムーズに流入させることができる。
【0050】
液誘導部3は、毛管力により液体のエアロゾル源を吸い上げ、第一支持面17sおよび第二支持面18sが支持するウィック204に還流させることができる。第一支持面17sと第二支持面18sとは少なくとも一部が同一面を形成して当接しているため、液誘導部3によって吸い上げられた液体のエアロゾル源が飽和状態でないウィック204に効率よく還流されるように、液誘導部3とウィック204を配置できる。なお、液収容部191bと外気圧との差やエアロゾルの生成などによりウィック204が保持する液量が減ることがある。このような状態においては、ウィック204に液を保持されるような毛管力が生じて、上述のような液誘導部3からウィック204への還流が起こる。
【0051】
霧化室Mにおいて霧化したエアロゾルは、ヒータホルダ196の通気孔209から導入された空気と共に、流路管197を経由してマウスピース(吸口)23側に吸い上げられる。この後、霧化されたエアロゾルと空気との混合気体は、たばこカプセル12を通じて使用者の口内に進入する。これにより、使用者は、たばこの香りを得ることができる。
【0052】
本実施形態のカートリッジ11によれば、ウィック204から漏出した液体のエアロゾル源を液誘導部3および液誘導部3に連通する液保持部2へと誘導して、さらに液体を加熱部194に好適に還流させることができる。その結果、カートリッジ11は、カートリッジ11の外部への液漏れを好適に防止できる。
【0053】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0054】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、
図9から
図11を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。第二実施形態に係るカートリッジ11Bは、第一実施形態に係るカートリッジ11と比較して、霧化容器の構成が異なる。
【0055】
図9は、カートリッジ11Bの分解図である。
図10は、カートリッジ11Bの軸方向Aに沿う断面図である。カートリッジ11Bは、液体のエアロゾル源を貯留するとともに、この液体のエアロゾル源を霧化する。カートリッジ11Bは、本体ユニット10内に収納される。
【0056】
カートリッジ11Bは、タンク191と、ガスケット192と、加熱部194と、霧化容器195Bと、を備える。タンク191、ガスケット192、加熱部194および霧化容器195Bは、カートリッジ11Bの軸方向Aに沿って配列している。
【0057】
霧化容器195Bは、ウィック204の両端部204aを支持する外筒部17Bと、外筒部17Bの内側に設けられた内筒部18Bと、接続部19と、を有する。
【0058】
外筒部17Bは、樹脂材料により略角筒状に形成されている。外筒部17Bは、外筒部本体17aと、外筒部本体17aの反吸口側に設けられたヒータホルダ196と、を有する。外筒部本体17aとヒータホルダ196とは一体成形されている。外筒部17Bの外周面17eは、
図10に示すように、タンク191の内周面191iに接触している。
【0059】
内筒部18Bは、略角筒状に形成されている。内筒部18Bは、弾性を有する部材、例えばシリコーン樹脂等の樹脂材料により形成されている。内筒部18Bは、内筒部本体18aと、外筒部本体17aの反吸口側に設けられた内筒拡径部18cと、を有する。
【0060】
接続部19は、四角環状の部材であり、外筒部本体17aの外側に嵌合される。接続部19は、
図10に示すように、外周部に係合凸部19aを有する。係合凸部19aは、タンク191の内周面191iと係合する。
【0061】
図11は、霧化容器195Bの軸方向Aから見た平面図である。
外筒部17Bの内周面17iと内筒部18Bの外周面18eとの間には、
図11に示すように、第一実施形態同様、液保持部2と液誘導部3とが形成される。液誘導部3は、液保持部2に保持された液体を毛管力により吸い上げ、第一支持面17sおよび第二支持面18sが支持するウィック204に還流させることができる。
【0062】
本実施形態のカートリッジ11Bによれば、ウィック204から漏出した液体のエアロゾル源を液誘導部3および液誘導部3に連通する液保持部2へと誘導して、さらに液体を加熱部194に好適に還流させることができる。その結果、カートリッジ11Bは、カートリッジ11Bの外部への液漏れを好適に防止できる。
【0063】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0064】
(変形例1)
例えば、上記実施形態において、液保持部2は軸方向Aから見て霧化容器195の内側の四隅に形成されていたが、液保持部の態様はこれに限定されない。液保持部2は、軸方向Aから見て径方向Rに対向する2カ所のみに設けられていてもよい。
【0065】
(変形例2)
例えば、四個の液保持部2は接続路を用いて接続されていてもよい。四個の液保持部2が保持する液量の偏りをなくして、四個の液保持部2が保持する液量を平均化できる。
【0066】
(変形例3)
図12は、ウィック204の変形例であるウィック204Bの斜視図である。
ウィック204Bはセラミックで形成された略直方体状の部材である。ウィック204Bの反吸口側は平面204Baに形成されている。ウィック204Bを加熱する電熱線205Bは、平面204Baに取り付けられている。なお、ウィック204Bは反吸口側に平面204Baを有していれば、略直方体状ではない形状の部材であってもよい。
【0067】
平面204Baは、第一支持面17sおよび第二支持面18sと当接する。上記実施形態同様、液誘導部3が吸い上げた液体は、第一支持面17sおよび第二支持面18sが支持するウィック204Bに還流する。
【0068】
第一支持面17sおよび第二支持面18sは、少なくとも平面204Baと当接する部分が同一平面に形成されていることが望ましい。第一支持面17sと第二支持面18sとが形成する同一平面が平面204Baに当接するため、液誘導部3によって吸い上げられた液体のエアロゾル源を飽和状態でないウィック204に効率よく還流されることができるためである。
【0069】
電熱線205Bは、ウィック204Bの平面204Baに蛇行して形成された電熱線本体205Baと、電熱線本体205Baの両端に形成された接続板205Bcと、接続板205Bcから軸方向Aに沿ってヒータホルダ196側に向かって延出する2つの端末部205Bbと、を有する。
【0070】
ウィック204Bに供給された液体は、電熱線205Bの電熱線本体205Baが発熱することで霧化する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、非燃焼式吸引器に使用されるカートリッジに適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 吸引器
2 液保持部
3 液誘導部
10 本体ユニット
11,11B カートリッジ
12 たばこカプセル
17 外筒部
17i 内周面
17s 第一支持面
18 内筒部
18e 外周面
18s 第二支持面
21 電源ユニット
23 マウスピース(吸口)
191 タンク
191b 液収容部
192 ガスケット
194 加熱部
195,195B 霧化容器
196,196B ヒータホルダ
196B ヒータホルダ
197 流路管