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特許7214942タイヤ構成部材の製造装置及びタイヤ構成部材の製造方法
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  • 特許-タイヤ構成部材の製造装置及びタイヤ構成部材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】タイヤ構成部材の製造装置及びタイヤ構成部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/26 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
B29D30/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018243167
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020104322
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 大地
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501059(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0263847(US,A1)
【文献】米国特許第05904788(US,A)
【文献】米国特許第06547906(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009042(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状ゴム部材を成型ドラムに巻き付けて円筒状のタイヤ構成部材を製造するタイヤ構成部材の製造装置において、
前記シート状ゴム部材を搬送する第1コンベアと、
前記第1コンベアから前記シート状ゴム部材を受け取り前記成型ドラムへ搬送する第2コンベアと、
前記第1コンベアと前記第2コンベアとの間に配置され、前記第1コンベアから前記第2コンベアへ移動する前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出するセンサと、
前記成型ドラムを前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる移動部と、
前記成型ドラムに供給された前記シート状ゴム部材を上から押圧するローラと、
前記ローラを前記第2コンベアの幅方向へ移動させるローラ位置調整部と、を備え、
前記センサで検出した前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置に応じて、前記成型ドラムを前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させるとともに、前記ローラが前記シート状ゴム部材の先端及び後端を押圧するように、前記ローラ位置調整部を制御して前記ローラの位置を調整して前記シート状ゴム部材を前記成型ドラムの所定位置に貼り付けるタイヤ構成部材の製造装置。
【請求項2】
前記第2コンベアが、前記シート状ゴム部材を吸着保持する吸着手段を備える請求項1に記載のタイヤ構成部材の製造装置。
【請求項3】
前記第2コンベアが、タイヤ1周分の前記シート状ゴム部材より長い請求項1又は2に記載のタイヤ構成部材の製造装置。
【請求項4】
シート状ゴム部材を成型ドラムに巻き付けて円筒状のタイヤ構成部材を製造するタイヤ構成部材の製造方法において、
前記シート状ゴム部材を搬送する第1コンベアと、前記第1コンベアから前記シート状ゴム部材を受け取り前記成型ドラムへ搬送する第2コンベアとの間に設けたセンサで前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出し、
検出した位置に応じて前記成型ドラムを前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させるとともに、ローラが前記シート状ゴム部材の先端及び後端を押圧するように、前記ローラの位置を調整して前記シート状ゴム部材を前記成型ドラムの所定位置に貼り付けるタイヤ構成部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ構成部材の製造装置及びタイヤ構成部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、インナーライナ、サイドウォール部、ビード部、トレッド部などの各タイヤ構成部材を予め形成し、これらのタイヤ構成部材を未加硫の状態で貼り合わせてグリーンタイヤを成型し、グリーンタイヤを加硫成型することで製造される。これらタイヤ構成部材は、所定の断面形状に形成されたシート状ゴム部材をドラムの外周面に巻き付け、端部同士を接合することで成型されることがある。
【0003】
シート状ゴム部材を成型ドラムに巻き付ける際に、シート状ゴム部材の幅方向にずれていたり、シート状ゴム部材の長手方向(シート状ゴム部材の移動方向に相当)が成型ドラムの周方向に対して傾斜していると、タイヤ構成部材が所望位置からずれて配置されたり、端部同士によるジョイント部の重なり量が局所的に大きくなり、タイヤのユニフォミティに影響を与えることがある。
【0004】
特に、シート状ゴム部材がトレッド部におけるベルトを成型するシート状ベルトのように平行四辺形状の場合、成型ドラムの周方向に対して傾斜する傾斜辺にジョイント部が設けられるためジョイント部が長大化して、ジョイント部の全体にわたって端部をぴったりと接合することが困難となる。
【0005】
下記特許文献1には、タイヤ成型ドラム上にシート状ゴム部材を搬送する部材供給コンベアの上方位置に設置された変位センサと、部材供給コンベアを自動制御で横行移動させる移動機構部とを備え、変位センサによりシート状ゴム部材の断面形状を捉えて、基準となるシート状ゴム部材の形状と比較し、シート状ゴム部材のズレに応じて部材供給コンベアの横方向位置を調整する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-113235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来の装置では、部材供給コンベアの位置制御を、変位センサによって取得したシート状ゴム部材の断面形状に基づいて行うため、シート状ゴム部材の位置検出において誤差が生じやすく、部材供給コンベアの位置を精度良く制御することが困難となる。また、成型ドラムへ供給するシート状ゴム部材が大きい場合、部材供給コンベアを移動させる移動機構部が大きくなり、装置全体が大型化するおそれがある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、製造装置の大型化を抑えつつ、シート状ゴム部材を成型ドラムの所定位置に精度良く巻き付けることができるタイヤ構成部材の製造装置及びタイヤ構成部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタイヤ構成部材の製造装置は、シート状ゴム部材を成型ドラムに巻き付けて円筒状のタイヤ構成部材を製造するタイヤ構成部材の製造装置において、前記シート状ゴム部材を搬送する第1コンベアと、前記第1コンベアから前記シート状ゴム部材を受け取り前記成型ドラムへ搬送する第2コンベアと、前記第1コンベアと前記第2コンベアとの間に配置され、前記第1コンベアから前記第2コンベアへ移動する前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出するセンサと、前記成型ドラムを前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる移動部と、前記成型ドラムに供給された前記シート状ゴム部材を上から押圧するローラと、前記ローラを前記第2コンベアの幅方向へ移動させるローラ位置調整部と、を備え、前記センサで検出した前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置に応じて、前記成型ドラムを前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させるとともに、前記ローラが前記シート状ゴム部材の先端及び後端を押圧するように、前記ローラ位置調整部を制御して前記ローラの位置を調整して前記シート状ゴム部材を前記成型ドラムの所定位置に貼り付けるタイヤ構成部材の製造装置。
【0010】
本発明のタイヤ構成部材の製造方法は、シート状ゴム部材を成型ドラムに巻き付けて円筒状のタイヤ構成部材を製造するタイヤ構成部材の製造方法において、前記シート状ゴム部材を搬送する第1コンベアと、前記第1コンベアから前記シート状ゴム部材を受け取り前記成型ドラムへ搬送する第2コンベアとの間に設けたセンサで前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出し、検出した位置に応じて前記成型ドラムを前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させるとともに、ローラが前記シート状ゴム部材の先端及び後端を押圧するように、前記ローラの位置を調整して前記シート状ゴム部材を前記成型ドラムの所定位置に貼り付ける方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、製造装置の大型化を抑えつつ、シート状ゴム部材を成型ドラムの所定位置に精度良く巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タイヤ構成部材の製造装置の概略側面図。
図2図1の製造装置における第2コンベアの概略平面図。
図3図1の製造装置における第2コンベアの概略断面図。
図4図1の製造装置の制御構成を示すブロック図。
図5】第1センサ及び第2センサによる検出箇所を示すシート状ベルトの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態のタイヤ構成部材の製造装置(以下、製造装置ということもある)1は、図1図4に示すように、第1コンベア10、第2コンベア20、成型ドラム30、第1センサ40と、第2センサ42と、制御部50と、押圧機構60とを備える。この製造装置1は、帯状のシート状ゴム部材を成型ドラム30の外周面に巻き付けてタイヤ構成部材を製造する。具体的には、シート状ゴム部材として金属製のコードをゴム被覆してなる平行四辺形状のシート状ベルト2を用い、成型ドラム30の外周面にシート状ベルト2を貼り付けて円筒状ベルトからなるタイヤ構成部材を製造する。
【0015】
第1コンベア10には、タイヤ1本分の所定長さLに切断されたシート状ベルト2が載置される。第1コンベア10は、ローラ駆動装置15(図4参照)を備え、載置されたシート状ベルト2を第2コンベア20へ搬送する。
【0016】
図2及び図3に示すように、第2コンベア20は、第1コンベア10よりシート状ベルト2の移動方向前側に間隔を開けて配置されている。第2コンベア20は、その全長がシート状ベルト2の長さLより長く、第1コンベア10から搬送されたシート状ベルト2を受け入れ一時的に待機させる。第2コンベア20は、ローラ駆動装置25(図4参照)を備え、載置されたシート状ベルト2を成型ドラム30へ搬送する。
【0017】
第2コンベア20は、コンベアベルト21の下側に複数の磁石22が第2コンベア20の長手方向(シート状ベルト2の移動方向)に間隔を開けて設けられている。複数の磁石22は、第2コンベア20に載置されたシート状ベルト2を吸着保持してコンベアベルト21の移動時に搬送方向以外の方向へシート状ベルト2が移動するのを防止する。なお、磁石22の代わりに、真空吸引装置等のシート状ベルト2を吸着できる他の吸着手段が用いられても良い。
【0018】
また、第2コンベア20は、後端部20bを支点として前端部20aを上下動させるコンベア上下動機構23に接続されている。第2コンベア20は、第1コンベア10からシート状ベルト2が搬送された後、コンベア上下動機構23によって前端部20aが降下して図1において2点鎖線で示すように前端部20aが成型ドラム30に近接する。
【0019】
成型ドラム30は、シート状ベルト2を巻き付ける円筒形のドラムを備え、第2コンベア20の幅方向Wと平行に配置され回転軸32によって回転可能に支持されている。成型ドラム30は、回転軸32に周りに回転させるサーボモータ33と、成型ドラム30を回転軸32と平行な方向へ移動させる移動部34とを備える。
【0020】
成型ドラム30は、サーボモータ33によってシート状ベルト2を巻き付ける際の成型ドラム30の回転速度を調整することができ、また、移動部34によって第2コンベア20に対する成型ドラム30の位置を幅方向Wにおいて調整することができる。
【0021】
押圧機構60は、シリンダ62の動作によって上下動可能に設けられたローラ64と、ローラ64を第2コンベア20の幅方向Wへ移動させるローラ位置調整部66とを備える。シリンダ62の動作によってローラ64が取り付けられたアーム67を回転軸68の周りに回動させて、ローラ64がシート状ベルト2を上から押圧する押圧位置と、図3において2点鎖線で示すようにローラ64がシート状ベルト2より上方へ離れた待避位置との間で、ローラ64を上下動させる。
【0022】
このような押圧機構60は、第2コンベア20の前端部20aに幅方向Wに間隔をあけて2個設けられており、一方が成型ドラム30に供給されたシート状ベルト2の先端2aを成型ドラム30に圧着し、他方が成型ドラム30に供給されたシート状ベルト2の後端2bを成型ドラム30に圧着する。
【0023】
第1センサ40及び第2センサ42は、第1コンベア10と第2コンベア20との間に設けられた隙間に配置にされている。第1センサ40及び第2センサ42は、第1コンベア10と第2コンベア20との間を通過するシート状ベルト2の幅方向両端(シート状ベルト2の移動方向に平行な一対の側辺)2c、2dの位置を検出する第1センサ40及び第2センサ42とを備える。
【0024】
第1センサ40は、レーザ変位センサ等の非接触式の位置センサからなり、第1コンベア10と第2コンベア20との間を通過するシート状ベルト2の一方の幅方向端(シート状ベルト2の先端2aからシート状ベルト2の移動方向に延びる一方の側辺)2cの位置を検出する。
【0025】
第2センサ42は、第1センサ40と同様のレーザ変位センサ等の非接触式の位置センサからなり、第1センサ40から幅方向Xに間隔をあけて対向する位置に配置され、第1コンベア10と第2コンベア20との間を通過するシート状ベルト2の他方の幅方向端(シート状ベルト2の後端2bからシート状ベルト2の移動方向に延びる他方の側辺)2dの位置を検出する。
【0026】
制御部50は、製造装置1を動作させるための各部と電気的に接続されており、メモリ52に記憶されているプログラムや、基準となるシート状ベルト2の側辺2c,2dの位置等のデータに基づいて、それらの各部を制御する。さらに、制御部50は、図4に示すように、少なくともローラ駆動装置15,25、コンベア上下動機構23、サーボモータ33、移動部34、第1センサ40、第2センサ42、シリンダ62及びローラ位置調整部66と電気的に接続されており、少なくともそれらのセンサ類の検出結果に基づき上記の各部を制御可能である。図4には制御部50と電気的に接続されているものの一部を示す。制御部50による制御で次に説明するタイヤ用ベルトの製造方法を実行することができる。
【0027】
次に、シート状ゴム部材として平行四辺形状のシート状ベルト2を用い、成型ドラム30の外周面にシート状ベルト2を貼り付けて円筒状ベルトを製造する方法について説明する。
【0028】
まず、不図示の移載装置によって、所定長さLに切断されたシート状ベルト2が第1コンベア10に載置される。そして、ローラ駆動装置15,25が第1コンベア10及び第2コンベア20をそれぞれ駆動して、第1コンベア10に載置されたシート状ベルト2を第2コンベア20へ搬送する。
【0029】
この時、第1センサ40及び第2センサ42が、第1コンベア10と第2コンベア20との間を通過するシート状ベルト2の一対の側辺2c,2dの位置を検出する。図6に示すように、第1センサ40及び第2センサ42は、少なくともシート状ベルト2が最大幅となっている領域(先細りとなっている領域を除く領域)において側辺2c,2dの位置を検出する。
【0030】
なお、第1センサ40及び第2センサ42による側辺2c,2dの位置検出は、最大幅となっている領域全域について行ってもよいが、例えば、最大幅となっている領域の前端位置P1a、P1b、中間位置P2a、P2b及び後端位置P3a,P3bにおいて側辺部2c、2dの位置検出を行うなど、側辺2c,2dの所定位置において位置検出を行ってもよい(図6参照)。
【0031】
そして、第2コンベア20にシート状ベルト2が搬送されると、ローラ駆動装置15,25が停止し、シート状ベルト2を第2コンベア20の上に一時的に待機させる。
【0032】
そして、制御部50は、第1センサ40及び第2センサ42で検出されたシート状ベルト2の両側辺2c,2dの位置に基づいて、移動部34が成型ドラム30を回転軸32と平行な方向へ移動させる位置調整制御を実行することで、成型ドラム30の所定位置にシート状ベルト2を貼り付ける。
【0033】
位置調整制御の一例を挙げると、例えば、第1センサ40及び第2センサ42が、最大幅となっている領域の前端位置P1a、P1b、中間位置P2a、P2b及び後端位置P3a,P3bにおいて側辺部2c、2dの位置検出を行う場合、各検出位置P1a~P1c、P2a~P2cをメモリ52に記憶された基準となるシート状ベルト2の側辺2c,2dの位置データと比較して偏差を算出する。そして、幅方向Wに対向する測定位置における偏差の和、つまり、前端位置P1a、P1bの偏差の和と、中間位置P2a、P2bの偏差の和と、後端位置P3a,P3bの偏差の和を比較する。そして、最も偏差の和の小さい検出位置において、成型ドラム30に対する相対位置が、メモリ52に記憶された基準となるシート状ベルト2の位置に一致するように成型ドラム30を幅方向Wへ移動させる。言い換えれば、最も偏差の和の小さい検出位置におけるシート状ベルト2の幅方向中央と、予め成型ドラム30に設定されたシート状ベルト2を貼り付ける位置の幅方向中央が一致するように、成型ドラム30を移動させる。
【0034】
また、制御部50は、第1センサ40及び第2センサ42の検出結果に応じて、ローラ64がシート状ベルト2の先端2a及び後端2bを押圧するように、ローラ位置調整部66を制御してローラ64の位置を調整する。
【0035】
そして、成型ドラム30の移動が完了すると、コンベア上下動機構23が第2コンベア20の前端部20aを降下させて成型ドラム30に近接させる。また、2つの押圧機構60は、シート状ベルト2より上方へ離れた待避位置にローラ64を配置する。
【0036】
そして、ローラ駆動装置25が第2コンベア20を駆動して第2コンベア20に載置されたシート状ベルト2を前方へ送り出し、先端2aを成型ドラム30の外周面に供給する。次いで、一方の押圧機構60は、待避位置から押圧位置へローラ64を移動させてシート状ベルト2の先端2aを成型ドラム30へ押圧する。
【0037】
そして、ローラ64がシート状ベルト2の先端2aを成型ドラム30へ押圧すると、サーボモータ33が起動して成型ドラム30を回転させ、成型ドラム30の外周面にシート状ベルト2を巻き付ける。なお、成型ドラム30が回転すると、一方の押圧機構60は、押圧位置から待避位置へローラ64を移動させてもよい。
【0038】
そして、成型ドラム30が回転を開始してから所定角度回転したところで、他方の押圧機構60は、待避位置から押圧位置へローラ64を移動させてシート状ベルト2の後端2bを成型ドラム30へ押圧し、その後、サーボモータ33を停止させて成型ドラム30の回転を停止させ円筒状ベルトの成型を終了する。
【0039】
以上のような本実施形態では、第1センサ40及び第2センサ42がシート状ベルト2の一対の側辺2c、2dの位置を検出するため、シート状ベルト2の位置を正確に検出することができ、成型ドラム30に対するシート状ベルト2の位置を精度良く調整することができる。しかも、本実施形態では、成型ドラム30を幅方向Wへ移動させてシート状ベルト2の位置を調整するため、装置全体が大型化するのを抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態では、第2コンベア20に磁石22が設けられているため、成型ドラム30に対するシート状ベルト2の位置を調整した後にシート状ベルト2の搬送方向以外の方向へシート状ベルト2が移動するのを防止することができる。
【0041】
また、制御部50は、第1センサ40及び第2センサ42によって検出されたシート状ベルト2の位置に応じて、ローラ位置調整部66を制御してローラ64の位置を調整するので、第2コンベア20に載置されたシート状ベルト2が所定位置よりズレていてもローラ64がシート状ベルト2の先端2a及び後端2bを押圧することができる。
【0042】
(変更例)
上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0043】
上記の実施形態において、成型ドラム30に対するシート状ベルト2の位置を調整する位置調整制御は、上記した制御に限定されず、例えば、第1センサ40及び第2センサ42の検出結果と、メモリ52に記憶された基準となるシート状ベルト2の側辺2c,2dの位置データとを比較して、シート状ベルト2の幅方向Wの位置ズレ量及びシート状ベルト2の中心周りの回転量を算出する。そして、シート状ベルト2を第2コンベア20上で待機させている間に、算出したシート状ベルト2の幅方向Wの位置ズレ量に基づいて、シート状ベルト2の幅方向中心が、予め成型ドラム30に設定されたシート状ベルト2を貼り付ける位置の幅方向中央と一致するように成型ドラム30を移動させる。そして、シート状ベルト2の先端2aを成型ドラム30の外周面に供給した後、サーボモータ33が起動して成型ドラム30を回転させる。その際に、上記で算出したシート状ベルト2の中心周りの回転量を打ち消すように、成型ドラム30の回転速度と成型ドラム30の幅方向Wの移動速度とを制御しながら成型ドラム30の外周面にシート状ベルト2を巻き付けてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、シート状ゴム部材としてシート状ベルト2を成型ドラム30に巻き付ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、インナーライナ、カーカスプライ、トレッドゴム、など帯状の各種シート状ゴム部材に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…製造装置、2…シート状ベルト、2a…先端、2b…後端、10…第1コンベア、15…ローラ駆動部、20…第2コンベア、20a…前端部、20b…後端部、21…コンベアベルト、22…磁石、23…コンベア上下動機構、25…ローラ駆動部、30…成型ドラム、31…ドラム部、32…回転軸、33…サーボモータ、34…移動部、40…第1センサ、42…第2センサ、50…制御部、60…押圧機構、62…シリンダ、64…ローラ、66…ローラ位置調整部、67…アーム、68…回転軸
図1
図2
図3
図4
図5