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特許7214955薄膜蒸着のための5族金属化合物及びそれを用いた5族金属含有薄膜の形成方法
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  • 特許-薄膜蒸着のための5族金属化合物及びそれを用いた5族金属含有薄膜の形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】薄膜蒸着のための5族金属化合物及びそれを用いた5族金属含有薄膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/00 20060101AFI20230124BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20230124BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20230124BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
C07F9/00 Z CSP
H01L21/316 X
H01L21/318 B
C23C16/18
C23C16/44
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021106782
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2022013826
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0080284
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521283889
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、タエ ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】ジ、スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】バイク、スン ヨウン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0049020(KR,A)
【文献】国際公開第2010/040741(WO,A1)
【文献】特表2010-507729(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02573096(EP,A1)
【文献】Dalton Transactions,2003年,Vol.23,p.4457-4465
【文献】Polyhedron,1989年,Vol.8(13-14),p.1819-1820
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/00
H01L 21/316
H01L 21/318
C23C 16/18
C23C 16/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記化3で表され
【化3】
Mは、5族金属元素の中から選択されたいずれか一つである、5族金属化合物。
【請求項2】
請求項1記載の5族金属化合物を含む、5族金属含有薄膜蒸着用前駆体組成物。
【請求項3】
請求項1記載の5族金属化合物を前駆体として利用して、金属有機物化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)工程または原子層蒸着(Atomic layer Deposition、ALD)工程を通して基板上に薄膜を蒸着する、5族金属含有薄膜の形成方法。
【請求項4】
前記蒸着工程は、50~700℃の温度範囲で遂行される、請求項に記載の5族金属含有薄膜の形成方法。
【請求項5】
前記蒸着工程は、バブリング方式、気体相(vapor phase)質量流量制御器(Mass Flow Controller、MFC)方式、直接気体注入(Direct Gas Injection、DGI)方式、直接液体注入(Direct Liquid injection、DLI)方式、及び前記5族金属化合物を有機溶媒に溶解させて移動させる有機溶液供給方式の中から選択された一つの方式を通して前記5族金属化合物を前記基板へ移動させるステップを含む、請求項に記載の5族金属含有薄膜の形成方法。
【請求項6】
前記5族金属化合物は、運搬ガスと共に前記バブリング方式または前記直接気体注入方式により前記基板上へ移動し、
前記運搬ガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)、及び水素(H)の中から選択された一つ以上を含む混合物である、請求項に記載の5族金属含有薄膜の形成方法。
【請求項7】
前記蒸着工程は、前記5族金属含有薄膜の形成時、水蒸気(HO)、酸素(O)、オゾン(O)、及び過酸化水素(H)の中から選択された一つ以上の反応ガスを供給するステップを含む、請求項に記載の5族金属含有薄膜の形成方法。
【請求項8】
前記蒸着工程は、前記5族金属含有薄膜の形成時、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、亜酸化窒素(NO)、及び窒素(N)の中から選択された一つ以上の反応ガスを供給するステップを含む、請求項に記載の5族金属含有薄膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5族金属化合物及びそれを用いた金属薄膜の形成方法に関し、より詳細には、前駆体として使用される5族金属前駆体化合物及びそれを用いた5族金属含有薄膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術が発展するにつれ、各種の電子装置に活用される電子素子の微細化、軽量化への要求が急増している。微細な電子素子を形成するために、多様な物理的、化学的蒸着方法が提案されており、このような蒸着方法によって、金属薄膜、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜等、各種の電子素子を製造するための多様な研究が進行中である。
【0003】
半導体素子の製造において、5族金属化合物を含有した薄膜は、一般に、金属有機物化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工程を利用して形成される。
【0004】
しかし、MOCVD蒸着工程に比してALD蒸着工程は、自己制限反応(Self-limiting Reaction)をするため段差被覆性(Step coverage)に優れ、相対的に低温工程であるため熱拡散による素子の特性低下を避けることができる。
【0005】
5族金属化合物を含有した薄膜のうち酸化ジルコニウム(ZrO)の薄膜は、キャパシタ構造体で絶縁層のための高-k物質として使用されてきた。近年、2つのZrO誘電体層の間に介在された酸化ニオブ(Nb)薄膜が漏れ電流を非常に減少させ、ZrOの立方晶系/正方晶系相を安定化させることに役立つものと明らかになった。生成されるZrO/Nb/ZrO積層物は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の現在の金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタでさらに高いk値を提供する(文献[Alumina,J.Vac.Sci.Technol A 4(6),1986 and Microelectronic Engineering 86(2009) 1789-1795])。
【0006】
ニオブ(Nb)を含有した薄膜を蒸着するためには、蒸着工程に適した前駆体化合物を選択することが非常に重要である。代表的な5族金属含有薄膜を形成できる有機金属前駆体化合物としては、[pentakis(dimethylamido)tantalum、PDMAT]、[(tert-butylimido)tris(diethylamido)tantalum、TBTDET]、[(tert-butylimido)tris(diethylamido)niobium、TBTDEN]等が知られている。しかし、PDMATは固体であるため一定に昇華させて供給するには困難があり、円筒状の容器に液体を入れて気化させるか、一定の流量で注入した液体を気化させる(direct liquid injection、DLI)装置等が半導体素子製造工程に広く使用されている。また、PDMAT、TBTDET、及びTBTDEN等は、いずれも熱安定性に優れておらず、高温での使用に不利である。そこで、前記化合物は、300℃で凹凸のある表面に均一な厚さの酸化膜を形成するための原子層蒸着(ALD)工程には使用しにくい。
【0007】
従って、原子層蒸着(ALD)工程に使用されるに適した前駆体化合物は、分解されずに反応チャンバーに容易に伝達され得るように低温で高い蒸気圧を有しなければならず、熱的に十分に安定していなければならず、粘性の低い液体化合物でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国公開特許公報2020-0008048号(2020.01.22.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来に使用される金属前駆体化合物の不足した部分を解決して、室温で液体であり、高い揮発性を有し、熱的に安定した5族金属化合物及びそれを含む薄膜蒸着用前駆体組成物を提供することにある。また、それを利用して良質な薄膜を蒸着する薄膜形成方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、下記の詳細な説明からより明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例に係る5族金属化合物は、下記化1及び化2のいずれか一つで表され得る。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
前記<化1>及び<化2>において、Mは、5族金属元素(バナジウム(V)、ニオブ(Nb)及びタンタル(Ta))の中から選択されたいずれか一つであり、nは、1~5の整数の中から選択されたいずれか一つであり、Rは、炭素数3~6の線状アルキル基及び炭素数3~6の分枝状アルキル基の中から選択されたいずれか一つである。例えば、Rは、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、及び3-ペンチル基の中から選択されたいずれか一つであってよい。R及びRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1~4の線状アルキル基及び炭素数1~4の分枝状アルキル基の中から選択されたいずれか一つである。例えば、R及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、及びtert-ブチル基の中から選択されたいずれか一つであってよく、R及びRは、互いに同一の構造を有してもよい。
【0015】
本発明の一実施例に係る5族金属含有薄膜の形成方法は、化1及び化2のいずれか一つで表される5族金属化合物を前駆体として利用して、金属有機物化学気相蒸着法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)工程または原子層蒸着法(Atomic layer Deposition、ALD)工程を通して基板上に薄膜を蒸着する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施例に係る5族金属化合物は、代表的なニオブ前駆体(niobium Precursor)であるTBTDEN((t-butylimido)tris(diethylamino)niobium(V))と比較するとき、シクロペンタジエン(cyclopentadiene;CP)構造の長所で金属に電子をさらに供給することができる。安定した構造によって化合物の熱安定性が増加し、既存の同種リガンド(homoleptic Ligand)である金属-アミン(Metal-amine)構造で異種リガンド(heteroleptic Ligand)構造(Metal-Alkoxide、Metal-amine、Metal-alkyl)を通して蒸着工程で残余物(residue)の量を効果的に減少させ、高い揮発性を有する液体で工程に適用するに有利であるため原子層蒸着(ALD)工程で安定して単一原子層を蒸着することができ、ALD工程のwindow範囲を拡大することができる。
【0017】
上述の発明の効果によって、5族金属化合物を含む組成物を利用して基板上に薄膜蒸着をする場合、基板上に蒸着された薄膜の品質が改善され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1に係る((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)、実施例2に係る(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)、及び比較例のTBTDENの熱量分析(DSC)の結果を示す表である。
図2】実施例1に係る((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)、実施例2に係る(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)、及び比較例のTBTDENの熱重量分析(TGA)の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図1及び図2を参考にしてさらに詳細に説明する。本発明の実施例は、様々な形態に変形され得、本発明の範囲は、下記において説明する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本実施例は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に本発明をさらに詳細に説明するために提供されるものである。従って、図面に示された各要素の形状は、より明らかな説明を強調するために誇張され得る。
【0020】
本願明細書の全体において、用語「アルキル」または「アルキル基」は、炭素数1~12、炭素数1~10、炭素数1~8、炭素数1~5、炭素数1~3、炭素数3~8、または炭素数3~5を有する線状または分枝状アルキル基を含む。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基(Pr)、iso-プロピル基(Pr)、n-ブチル基(Bu)、tert-ブチル基(Bu)、iso-ブチル基(Bu)、sec-ブチル基(Bu)、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びこれらの異性体等が挙げられるが、これに制限されない。
【0021】
本願の一実施例に係る5族金属化合物は、下記化1及び化2のいずれか一つで表され得る。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
前記<化1>及び<化2>において、Mは、5族金属元素の中から選択されたいずれか一つであり、nは、1~5の整数の中から選択されたいずれか一つであり、Rは、炭素数3~6の線状アルキル基及び炭素数3~6の分枝状アルキル基の中から選択されたいずれか一つであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1~4の線状アルキル基及び炭素数1~4の分枝状アルキル基の中から選択されたいずれか一つである。
【0025】
より具体的に、Mは、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)の中から選択されたいずれか一つであってよい。また、Rは、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、及び3-ペンチル基の中から選択されたいずれか一つであってよい。また、R及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、及びtert-ブチル基の中から選択されたいずれか一つであってよく、RとRが同一の構造を有してもよい。
【0026】
より具体的に、化1で表される5族金属化合物は、下記化3で表される5族金属化合物であってよい。
【0027】
【化3】
【0028】
前記化3において、Mは、5族金属元素の中から選択されたいずれか一つであり、前記化1において説明したものと同一である。
【0029】
また、化2で表される5族金属化合物は、下記化4で表される5族金属化合物であってよい。
【0030】
【化4】
【0031】
本発明の一実施例に係る5族金属化合物は、5族金属とシクロペンタジエン(cyclopentadiene)が直接連結された構造を有する。本発明の一実施例に係る5族金属化合物は、シクロペンタジエン(cyclopentadiene)から金属に電子がより容易に供給され得、構造的により安定した状態を維持し得るところ、熱安定性に優れる。従って、本発明の一実施例に係る5族金属化合物を利用して薄膜を形成するとき、蒸着工程で発生する残余物の量を減少させることができる。また、液体工程に適用するに容易であるので、原子層蒸着(ALD)工程に活用され得る。
【0032】
また、本発明の一実施例に係る5族金属化合物は、5族金属が一つの窒素原子と二重結合をなし、二つの酸素原子とそれぞれ単一結合をなす。5族金属、例えば、ニオブ(Nb)と酸素原子(O)の結合エネルギー(Bonding Energy)がニオブ(Nb)と窒素原子(N)との間の結合エネルギーより大きい。従って、5族金属に一つの窒素原子と二重結合をなし、二つの窒素原子とそれぞれ単一結合をなすことで5族金属と3個の窒素原子が連結された化合物と比較して、本発明の一実施例に係る5族金属化合物は、熱安定性にさらに優れる。
【0033】
以下においては、本発明に係る5族金属化合物について下記実施例を通してさらに詳細に説明する。しかし、これは、本発明の理解を助けるために提示されるものであるだけで、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
【0034】
実施例1:((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)の製造
【0035】
火炎乾燥された500mLシュレンクフラスコで、ビス(ジエチルアミド)(tert-ブチルイミド)(シクロペンチルシクロペンタジエン)ニオブ((η-C)C)(tBuN)Nb(NEt 20g(0.0453mol、1当量)とヘキサン(n-hexane)150mLを仕込んだ後、室温で撹拌させた。前記フラスコにイソプロピルアルコール(COH)5.99g(0.0997mol、2.2当量)を-20℃以下で滴下した後、反応溶液を常温で12時間撹拌させた。反応溶液を減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留して((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)で表される淡黄色液体化合物18.73g(収率98%)を収得した。
【0036】
実施例2:(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)の製造
【0037】
火炎乾燥された500mLシュレンクフラスコで、ビス(ジエチルアミド)(tert-ブチルイミド)(シクロペンタジエン)ニオブ(η-C)(tBuN)Nb(NEt 11g(0.029mol、1当量)とヘキサン(n-hexane)150mLを仕込んだ後、室温で撹拌させた。前記フラスコにイソプロピルアルコール[COH]3.8g(0.063mol、2.2当量)を-20℃以下で滴下した後、反応溶液を常温で12時間撹拌させた。反応溶液を減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留して(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)で表される淡黄色液体化合物9g(収率90%)を収得した。
【0038】
実験例:熱分析
【0039】
類似した条件下で、比較例としてTBTDEN((t-butylimido)tris(diethylamino)niobium(V))、実施例1の((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)及び実施例2の(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)に対する熱特性を検討するために、示差走査熱量測定(DSC、differential scanning calorimetry)及び熱重量分析(TGA、thermogravimetic analysis)を遂行した。熱重量装置を水分及び酸素含量が1ppm未満に維持された窒素グローブボックスに貯蔵させた。サンプル15mgを坩堝に入れることで熱重量分析を遂行した。その後、サンプルを35℃から350℃に10℃/分の温度傾きで加熱した。質量損失を坩堝温度の関数としてモニタリングした。DSC分析による比較例、実施例1及び実施例2の分解温度(decomposition temperatures、Td)を図1に示した。また、TGA分析によるグラフ結果を図2に示した。図1及び図2を参照すると、実施例1により製造された((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)と実施例2により製造された(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)が比較例であるTBTDENよりさらに熱的に安定したことを確認することができる。これより、実施例1の((η-C)C)(tBuN)Nb(OiPr)と実施例2の(η-C)(tBuN)Nb(OiPr)が蒸気相前駆体として使用するにさらに効果的であることが分かる。
【0040】
以下においては、本発明の一実施例に係る5族金属含有薄膜の形成方法を説明する。
【0041】
本発明の一実施例に係る5族金属含有薄膜の形成方法は、本発明の一実施例に係る5族金属化合物を前駆体として利用する蒸着工程を通して基板上に薄膜を蒸着する。
【0042】
蒸着工程は、原子層蒸着(ALD)工程または化学蒸着(CVD)工程、例えば、有機金属化学蒸着(MOCVD)工程でなされ得る。前記蒸着工程は、50~700℃で実施され得る。
【0043】
まず、化1及び化2のいずれか一つで表される5族金属化合物を基板上へ移送させる。例えば、5族金属化合物は、バブリング方式、ガス相(vapor phase)質量流量制御器(mass flow controller)方式、直接気体注入(Direct Gas Injection、DGI)方式、直接液体注入(Direct Liquid Injection、DLI)方式、有機溶媒に溶解して移送する液体移送方式等により基板上に供給され得るが、これに制限されるものではない。
【0044】
より具体的に、5族金属化合物は、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、及び水素(H2)の中から選択された一つ以上を含む運搬ガス(carrier gas)または希釈ガスと混合して、バブリング方式または直接気体注入方式で基板上へ移送させる。
【0045】
一方、蒸着工程は、5族金属含有薄膜を形成するとき、水蒸気(HO)、酸素(O)、オゾン(O)、及び過酸化水素(H)の中から選択された一つ以上の反応ガスを供給するステップを含むことができる。また、蒸着工程は、5族金属含有薄膜を形成するとき、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、亜酸化窒素(NO)、及び窒素(N)の中から選択された一つ以上の反応ガスを供給するステップを含むことができる。これを通して、基板上に形成された金属含有薄膜は、5族金属酸化物膜であるか、5族金属窒化物膜であってよい。
【0046】
以上、本発明を実施例を通して詳細に説明したが、これと異なる形態の実施例も可能である。それゆえ、以下に記載の請求項の技術的思想と範囲は、実施例に限定されない。
図1
図2