(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】判定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20230124BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20230124BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20230124BHJP
【FI】
H04W16/18 110
H04W4/70
H04W88/18
(21)【出願番号】P 2018212777
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 克己
(72)【発明者】
【氏名】菅林 剛
(72)【発明者】
【氏名】川角 浩亮
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-109596(JP,A)
【文献】特開2017-017543(JP,A)
【文献】特開2016-184898(JP,A)
【文献】特開2001-036951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象のスマートメーターを識別する識別情報を取得する判定対象情報取得部と、
前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況を示す設置状況情報を取得する設置状況情報取得部と、
前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターについての電波伝搬モデルを示す電波伝搬モデル情報を取得する電波伝搬モデル情報取得部と、
前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置位置に応じた位置に設置されているスマートメーター相互間の通信及びスマートメーターと集約装置との間の通信である機器間無線通信の電波受信品質を示す受信品質情報を取得する受信品質情報取得部と、
前記機器間無線通信の世代移行時期を示す移行時期情報と、前記設置状況情報取得部が取得する前記設置状況情報と、前記電波伝搬モデル情報取得部が取得する前記電波伝搬モデル情報と、前記受信品質情報取得部が取得する前記受信品質情報とに基づいて、前記判定対象のスマートメーターが備える通信機能の種類を、前記機器間無線通信を利用する通信機能と、前記機器間無線通信とは通信方式が異なる他の通信網を利用する通信機能とのいずれをも備える第1種類と、前記他の通信網を利用する通信機能を備えず前記機器間無線通信を利用する通信機能を備える第2種類とを含む選択肢から選択する種類選択部と、
を備える判定装置。
【請求項2】
前記設置状況情報には、前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況を示す情報に加えて、前記判定対象の周辺に位置するスマートメーター及び集約装置の設置状況を示す情報が含まれ、
前記設置状況情報取得部は、
前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況と、前記判定対象の周辺に位置するスマートメーター及び集約装置の設置状況とを含む前記設置状況情報を取得する
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記設置状況情報には、スマートメーター及び集約装置の将来の設置状況を示す情報が含まれ、
前記設置状況情報取得部は、
将来の指定時期におけるスマートメーター及び集約装置の設置状況を示す前記設置状況
情報を取得し、
前記種類選択部は、
前記指定時期において、前記設置位置における前記機器間無線通信の通信品質が基準値以下である場合には、前記他の通信網を利用する通信機能を備え、前記機器間無線通信を利用する通信機能を備えない第3種類を前記判定対象のスマートメーターの通信機能として選択する
請求項1
又は請求項
2に記載の判定装置。
【請求項4】
スマートメーターが前記他の通信網を利用する通信機能と前記機器間無線通信を利用する通信機能とのいずれをも備える場合において、当該スマートメーターと、他のスマートメーター又は前記集約装置との間において前記機器間無線通信を利用した通信が可能である場合に、当該スマートメーターの前記他の通信網を利用する通信機能を無効化する通信方式切替部
をさらに備える請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項5】
前記通信方式切替部は、
スマートメーターが前記他の通信網を利用する通信機能と前記機器間無線通信を利用する通信機能とのいずれをも備える場合において、当該スマートメーターと、他のスマートメーター又は前記集約装置との間において前記機器間無線通信を利用した通信が不可能となることが予測される場合に、当該スマートメーターの前記他の通信網を利用する通信機能を有効化する
請求項
4に記載の判定装置。
【請求項6】
コンピュータに
判定対象のスマートメーターを識別する識別情報を取得する判定対象情報取得ステップと、
前記判定対象情報取得ステップにおいて取得される前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況を示す設置状況情報を取得する設置状況情報取得ステップと、
前記判定対象情報取得ステップにおいて取得される前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターについての電波伝搬モデルを示す電波伝搬モデル情報を取得する電波伝搬モデル情報取得ステップと、
前記判定対象情報取得ステップにおいて取得される前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置位置に応じた位置に設置されているスマートメーター相互間の通信及びスマートメーターと集約装置との間の通信である機器間無線通信の電波受信品質を示す受信品質情報を取得する受信品質情報取得ステップと、
前記機器間無線通信の世代移行時期を示す移行時期情報と、前記設置状況情報取得ステップにおいて取得される前記設置状況情報と、前記電波伝搬モデル情報取得ステップにおいて取得される前記電波伝搬モデル情報と、前記受信品質情報取得ステップにおいて取得される前記受信品質情報とに基づいて、前記判定対象のスマートメーターが備える通信機能の種類を、前記機器間無線通信を利用する通信機能と、前記機器間無線通信とは通信方式が異なる他の通信網を利用する通信機能とのいずれをも備える第1種類と、前記他の通信網を利用する通信機能を備えず前記機器間無線通信を利用する通信機能を備える第2種類とを含む選択肢から選択する種類選択ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートメーターが測定した消費電力量の検針情報などを、通信ネットワークを介して収集するシステムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような従来技術においては、複数のスマートメーターを無線によってマルチホップ接続することにより構成されるRF(Radio Frequency)メッシュネットワーク方式(以下、単にRF-MESH方式と記載する。)が採用されることがある。ところが、このRF-MESH方式による通信を行う場合、例えば、RF-MESH方式への移行初期段階などにおいて、RF-MESH方式の通信機器(例えば、スマートメーターや集約装置)の設置密度が低い場合には、マルチホップ接続による通信経路が形成されにくいという問題がある。したがって、RF-MESH方式の通信機器の設置密度が低い場合には、スマートメーターは、RF-MESH方式に加えて、RF-MESH方式に代わる通信手段(例えば、携帯電話通信網を利用した通信手段)を備える必要がある。この場合、スマートメーターは、RF-MESH方式と、他の通信手段との両方を備える必要が生じ、スマートメーターの装置コストが上昇してしまうという問題があった。つまり、従来技術によると、消費電力量の検針情報などを収集するスマートメーター通信システムのコストを低減することができないという問題があった。本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スマートメーター通信システムのコストを低減することができる判定装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、判定対象のスマートメーターを識別する識別情報を取得する判定対象情報取得部と、前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況を示す設置状況情報を取得する設置状況情報取得部と、前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターについての電波伝搬モデルを示す電波伝搬モデル情報を取得する電波伝搬モデル情報取得部と、前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置位置に応じた位置に設置されているスマートメーター相互間の通信及びスマートメーターと集約装置との間の通信である機器間無線通信の電波受信品質を示す受信品質情報を取得する受信品質情報取得部と、前記機器間無線通信の世代移行時期を示す移行時期情報と、前記設置状況情報取得部が取得する前記設置状況情報と、前記電波伝搬モデル情報取得部が取得する前記電波伝搬モデル情報と、前記受信品質情報取得部が取得する前記受信品質情報とに基づいて、前記判定対象のスマートメーターが備える通信機能の種類を、前記機器間無線通信を利用する通信機能と、前記機器間無線通信とは通信方式が異なる他の通信網を利用する通信機能とのいずれをも備える第1種類と、前記他の通信網を利用する通信機能を備えず前記機器間無線通信を利用する通信機能を備える第2種類とを含む選択肢から選択する種類選択部と、を備える判定装置である。
【0006】
また、本発明の一態様の判定装置において、前記設置状況情報には、前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況を示す情報に加えて、前記判定対象の周辺に位置するスマートメーター及び集約装置の設置状況を示す情報が含まれ、前記設置状況情報取得部は、前記判定対象情報取得部が取得する前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況と、前記判定対象の周辺に位置するスマートメーター及び集約装置の設置状況とを含む前記設置状況情報を取得する
。
【0008】
また、本発明の一態様の判定装置において、前記設置状況情報には、スマートメーター及び集約装置の将来の設置状況を示す情報が含まれ、前記設置状況情報取得部は、将来の指定時期におけるスマートメーター及び集約装置の設置状況を示す前記設置状況情報を取得し、前記種類選択部は、前記指定時期において、前記設置位置における前記機器間無線通信の通信品質が基準値以下である場合には、前記他の通信網を利用する通信機能を備え、前記機器間無線通信を利用する通信機能を備えない第3種類を前記判定対象のスマートメーターの通信機能として選択する。
【0009】
また、本発明の一態様の判定装置において、スマートメーターが前記他の通信網を利用する通信機能と前記機器間無線通信を利用する通信機能とのいずれをも備える場合において、当該スマートメーターと、他のスマートメーター又は前記集約装置との間において前記機器間無線通信を利用した通信が可能である場合に、当該スマートメーターの前記他の通信網を利用する通信機能を無効化する通信方式切替部をさらに備える。
【0010】
また、本発明の一態様の判定装置において、前記通信方式切替部は、スマートメーターが前記他の通信網を利用する通信機能と前記機器間無線通信を利用する通信機能とのいずれをも備える場合において、当該スマートメーターと、他のスマートメーター又は前記集約装置との間において前記機器間無線通信を利用した通信が不可能となることが予測される場合に、当該スマートメーターの前記他の通信網を利用する通信機能を有効化する。
【0011】
本発明の一態様は、コンピュータに、判定対象のスマートメーターを識別する識別情報を取得する判定対象情報取得ステップと、前記判定対象情報取得ステップにおいて取得される前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置状況を示す設置状況情報を取得する設置状況情報取得ステップと、前記判定対象情報取得ステップにおいて取得される前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターについての電波伝搬モデルを示す電波伝搬モデル情報を取得する電波伝搬モデル情報取得ステップと、前記判定対象情報取得ステップにおいて取得される前記識別情報が示す前記判定対象のスマートメーターの設置位置に応じた位置に設置されているスマートメーター相互間の通信及びスマートメーターと集約装置との間の通信である機器間無線通信の電波受信品質を示す受信品質情報を取得する受信品質情報取得ステップと、前記機器間無線通信の世代移行時期を示す移行時期情報と、前記設置状況情報取得ステップにおいて取得される前記設置状況情報と、前記電波伝搬モデル情報取得ステップにおいて取得される前記電波伝搬モデル情報と、前記受信品質情報取得ステップにおいて取得される前記受信品質情報とに基づいて、前記判定対象のスマートメーターが備える通信機能の種類を、前記機器間無線通信を利用する通信機能と、前記機器間無線通信とは通信方式が異なる他の通信網を利用する通信機能とのいずれをも備える第1種類と、前記他の通信網を利用する通信機能を備えず前記機器間無線通信を利用する通信機能を備える第2種類とを含む選択肢から選択する種類選択ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スマートメーター通信システムのコストを低減することができる判定装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態のスマートメーター通信システムの機能構成の概要の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態のデータ収集装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の判定装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の記憶装置に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の判定装置の動作の一例を示す図である。
【
図6】スマートメーターの更新の状況の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の判定装置の動作の変形例を示す図である。
【
図8】第2実施形態の判定装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の判定装置の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係るスマートメーター通信システム1の一実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のスマートメーター通信システム1の機能構成の概要の一例を示す図である。
【0015】
[スマートメーター通信システム1の機能構成]
スマートメーター通信システム1は、判定装置10と、データ収集装置20と、スマートメーター30と、集約装置40とを備える。スマートメーター通信システム1は、スマートメーター30から送信される各種の情報を、携帯電話通信網NTを介して、又は集約装置40を介してデータ収集装置20が収集することが可能なシステムである。
スマートメーター30には、デュアル通信スマートメーター31と、RF-MESH通信スマートメーター32と、携帯網通信スマートメーター33とが含まれる。
【0016】
ここで、RF-MESH方式とは、複数のスマートメーター30や集約装置40が相互に通信することにより、情報を伝送する通信方式である。RF-MESH方式による通信は、通信を行うスマートメーター30相互間の距離や、障害物の状況によって、その通信の可否や接続品質が変化する。例えば、スマートメーター30の設置密度が比較的低い場合には、RF-MESH方式による通信経路が形成されにくい。また、スマートメーター30の設置密度が比較的高い場合には、RF-MESH方式による通信経路が形成されやすい。
一方、携帯電話通信網NTを介した携帯電話方式の場合、携帯電話通信網NTのカバーエリア内であれば、スマートメーター30の設置密度にかかわらず、スマートメーター30とデータ収集装置20との間において通信が可能である。
一般的に、携帯電話方式を利用した通信に比べてRF-MESH方式を利用した通信のほうが、通信コストが低廉である。したがって、一般的には、スマートメーター30の設置密度が比較的高く、RF-MESH方式による通信経路が形成されやすいエリアでは、RF-MESH方式が採用される。また、スマートメーター30の設置密度が比較的低く、RF-MESH方式による通信経路が形成されにくいエリアでは、携帯電話方式が採用される。
このRF-MESH方式とは、スマートメーター相互間の通信及びスマートメーターと集約装置との間の通信方式である「機器間無線通信方式」の一例である。また、携帯電話方式とは、機器間無線通信とは通信方式が異なる「他の通信網を利用する通信方式」の一例である。
【0017】
携帯網通信スマートメーター33は、データ収集装置20との間において、携帯電話通信網NTを介した携帯電話方式の通信によって各種の情報を送受信可能である。
RF-MESH通信スマートメーター32は、データ収集装置20との間において、RF-MESH方式の通信によって各種の情報を送受信可能である。RF-MESH通信スマートメーター32は、RF-MESH通信網の中継ノードとして機能するとともに、自身が収集した情報をRF-MESH通信網を介してデータ収集装置20に出力する。
デュアル通信スマートメーター31は、データ収集装置20との間において、携帯電話方式及びRF-MESH方式とのいずれの方式によっても、各種の情報を送受信可能である。RF-MESH通信網に接続されていないデュアル通信スマートメーター31(同図に示すデュアル通信スマートメーター31N)は、自身が収集した情報を、携帯電話通信網NTを介してデータ収集装置20に出力する。RF-MESH通信網に接続されたデュアル通信スマートメーター31(同図に示すデュアル通信スマートメーター31R)は、自身が収集した情報を、RF-MESH通信網を介してデータ収集装置20に出力する。
また、デュアル通信スマートメーター31は、他のデュアル通信スマートメーター31又はRF-MESH通信スマートメーター32との間においてRF-MESH通信網形成のための制御情報を送受信する。デュアル通信スマートメーター31のうち携帯電話通信網NTに接続されているデュアル通信スマートメーター31Nは、制御情報に基づいてRF-MESH通信網における電波の受信品質を示す受信品質情報RIを生成し、生成した受信品質情報RIを、携帯電話通信網NTを介してデータ収集装置20に出力する。ここで、電波の受信品質には、電波の受信強度、電波による通信の接続有無、又は電波に関する他の定量値が含まれる。
これらデュアル通信スマートメーター31及びRF-MESH通信スマートメーター32とは、RF-MESH端末の一例である。
【0018】
集約装置40は、コンセントレーターとも称し、配下のRF-MESH通信網の制御及び管理を行うとともに、RF-MESH端末と、データ収集装置20との間の通信を中継する。
データ収集装置20は、各スマートメーター30から各種の情報(例えば、消費電力量の検針情報)を収集するとともに、RF-MESH通信網のトポロジー情報や、RF-MESH端末の接続品質、RF-MESH端末相互間の電波受信品質などのRF-MESH管理情報を収集及び管理する。データ収集装置20は、収集した各種情報を判定装置10に出力する。データ収集装置20の機能の詳細について
図2を参照して説明する。
【0019】
[データ収集装置20の機能構成]
図2は、本実施形態のデータ収集装置20の機能構成の一例を示す図である。データ収集装置20は、ネットワークインタフェース部210と、携帯方式データ分別処理部220と、RF-MESH方式データ分別処理部230と、データ収集処理部240と、RF-MESH方式管理部250と、判定装置連携部260とを備える。
【0020】
ネットワークインタフェース部210は、各スマートメーター30(デュアル通信スマートメーター31N、携帯網通信スマートメーター33)、及び集約装置40との間において情報の送受信を行う。ネットワークインタフェース部210は、携帯電話方式による情報とRF-MESH方式による情報とを分別し、分別した情報を携帯方式データ分別処理部220と、RF-MESH方式データ分別処理部230とに出力する。
【0021】
携帯方式データ分別処理部220は、ネットワークインタフェース部210から出力された情報について、検針情報と、RF-MESH管理情報とに分別する。携帯方式データ分別処理部220は、分別した情報のうち、検針情報をデータ収集処理部240に、RF-MESH管理情報をRF-MESH方式管理部250に、それぞれ出力する。
【0022】
RF-MESH方式データ分別処理部230は、ネットワークインタフェース部210から出力された情報について、検針情報と、RF-MESH管理情報とに分別する。RF-MESH方式データ分別処理部230は、分別した情報のうち、検針情報をデータ収集処理部240に、RF-MESH管理情報をRF-MESH方式管理部250に、それぞれ出力する。
【0023】
データ収集処理部240は、検針情報を収集し、電力使用量の計算等の処理を行う。データ収集処理部240の機能の詳細については説明を省略する。
【0024】
RF-MESH方式管理部250は、RF-MESH管理情報に基づいて、RF-MESH通信網のトポロジー、及びRF-MESH端末相互間の電波受信品質を示す受信品質情報RIを管理する。
【0025】
判定装置連携部260は、受信品質情報RIを判定装置10に対して出力する。この受信品質情報RIには、地図上の位置と、この位置における電波受信品質を示す情報とが含まれている。次に、判定装置10の機能の詳細について、
図3を参照して説明する。
【0026】
[判定装置10の機能構成]
図3は、本実施形態の判定装置10の機能構成の一例を示す図である。判定装置10は、判定対象情報取得部110と、設置状況情報取得部120と、電波伝搬モデル情報取得部130と、受信品質情報取得部140と、種類選択部150とを備える。
【0027】
判定対象情報取得部110は、判定対象のスマートメーター30を特定する判定対象情報IDを取得する。なお、この判定対象情報IDは、それぞれのスマートメーター30に固有に付された識別情報(例えば、機器識別情報MID)を示す情報であってもよいし、スマートメーター30に紐づけられた顧客に固有に付された識別情報(例えば、顧客識別情報UID)を示す情報であってもよい。以下の一例では、判定対象情報IDが、スマートメーター30に固有に付された機器識別情報MIDを示す情報であるとして説明する。
具体的には、判定装置10は、例えば、キーボードやタッチパネルなどを備える入力装置50に接続される。入力装置50には、判定対象のスマートメーター30を示す機器識別情報MIDが、判定対象情報IDとして入力される。入力装置50は、入力された判定対象情報IDを判定装置10に対して出力する。判定対象情報取得部110は、入力装置50が出力する判定対象情報IDを取得する。
【0028】
また、判定対象情報取得部110は、入力装置50から指定時期情報STを取得してもよい。この指定時期情報STとは、判定対象の時期を指定する情報である。
【0029】
設置状況情報取得部120は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDに基づいて、判定対象のスマートメーター30を特定する。設置状況情報取得部120は、特定したスマートメーター30に関する設置状況情報ISを取得する。
電波伝搬モデル情報取得部130は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDに基づいて、判定対象のスマートメーター30を特定する。電波伝搬モデル情報取得部130は、特定したスマートメーター30に関する電波伝搬モデル情報PMを取得する。
【0030】
具体的には、判定装置10は、例えば、記憶装置60に接続される。この記憶装置60には、設置状況情報ISと、電波伝搬モデル情報PMとが記憶されている。
図4は、本実施形態の記憶装置60に記憶される情報の一例を示す図である。記憶装置60には、機器識別情報MIDと、位置情報LCと、交換時期情報RPと、電波伝搬モデル情報PMとが互いに関連付けられて記憶されている。
これらの情報のうち、設置状況情報ISには、例えば、既設のスマートメーター30や集約装置40についての設置位置を示す位置情報LC、交換時期を示す交換時期情報RP、通信方式の種類TYなどの各種情報が含まれる。位置情報LCには、スマートメーター30や集約装置40の設置位置の2次元位置座標又は3次元位置座標が含まれる。このうち、3次元位置座標には、スマートメーター30や集約装置40の設置位置の標高、海抜などの高さ情報のほか、集合住宅などにおける設置階、設置室番号、基準階からの高さなどの情報が含まれていてよい。
【0031】
また、設置状況情報ISには、既設のスマートメーター30の各種情報に加えて、設置予定のスマートメーター30や集約装置40についての設置位置、設置予定時期、通信方式の種類などの各種情報が含まれていてもよい。
【0032】
設置状況情報取得部120は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDを検索キーにして、記憶装置60に記憶されている設置状況情報ISを検索する。より具体的には、設置状況情報取得部120は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDに対応する機器識別情報MIDを検索し、機器識別情報MIDに紐づけられている設置状況情報ISを抽出する。設置状況情報取得部120は、この検索の結果として得られる、判定対象のスマートメーター30に関する位置情報LC及び交換時期情報RPを、設置状況情報ISとして取得する。
つまり、この一例において設置状況情報取得部120は、入力装置50に入力された判定対象情報IDが示すスマートメーター30(又は集約装置40)の現在の設置状況、及び将来の設置状況を取得する。
【0033】
また、設置状況情報取得部120は、判定対象のスマートメーター30の周辺に設置されているスマートメーター30(又は集約装置40)の設置状況情報ISを取得する。この場合、設置状況情報取得部120は、判定対象のスマートメーター30の位置情報LCの周辺の位置を示す位置情報LCを検索する。設置状況情報取得部120は、検索の結果得られる位置情報LCに紐づけられているスマートメーター30(又は集約装置40)についての、機器識別情報MID及び設置状況情報ISを取得する。
【0034】
図3に戻り、電波伝搬モデル情報PMには、スマートメーター30や集約装置40の密集度(例えば、Urban/Suburban/Ruralなど)に応じた電波伝搬、又はスマートメーター30や集約装置40が設置されるエリアの種類(例えば、戸建てエリア/集合住宅エリアなど)に応じた電波伝搬の複数のモデルの情報が含まれる。
電波伝搬モデル情報取得部130は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDに対応するスマートメーター30(又は集約装置40)が設置されている位置における、電波伝搬モデル情報PMを取得する。すなわち、電波伝搬モデル情報取得部130は、設置状況情報ISに対応する電波伝搬モデル情報PMを取得する。
なお、この一例において、電波伝搬モデル情報PMは、スマートメーター30(又は集約装置40)毎に、機器識別情報MIDに紐づけられて記憶装置60に記憶されているとして説明するが、これに限られない。例えば、電波伝搬モデル情報PMは、スマートメーター30(又は集約装置40)の設置の密集度又はエリアに紐づけられて(例えば、設置状況情報ISが記憶されるテーブルとは別のテーブルとして)、記憶装置60に記憶されていてもよい。この場合、電波伝搬モデル情報取得部130は、設置状況情報取得部120が取得した設置状況情報ISに基づいてスマートメーター30(又は集約装置40)の設置の密集度又はエリアの種類を判定し、判定した結果に紐づけられた電波伝搬モデル情報PMを記憶装置60から取得する。
【0035】
受信品質情報取得部140は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDが示すスマートメーター30の設置位置周辺の、機器間無線通信(RF-MESH方式通信)の電波受信品質を示す受信品質情報RIを取得する。ここで、機器間無線通信(RF-MESH方式通信)とは、スマートメーター30相互間の通信及びスマートメーター30と集約装置40との間の通信である。
【0036】
具体的には、判定装置10は、データ収集装置20に接続される。上述したように、データ収集装置20は、受信品質情報RIを出力する。この受信品質情報RIには、スマートメーター30相互間の通信及びスマートメーター30と集約装置40との間の通信についての通信品質を示す情報が含まれる。
なお、以下の説明において、機器間無線通信を行うスマートメーター30及び集約装置40を総称して「機器間無線通信のノード」、又は単に「ノード」という。換言すれば、受信品質情報RIには、ノード間の通信品質を示す情報が含まれる。
受信品質情報取得部140は、判定対象情報取得部110が取得する判定対象情報IDを検索キーにして受信品質情報RIを検索する。受信品質情報取得部140は、検索の結果得られる通信品質を示す情報を受信品質情報RIとして取得する。
つまり、この一例において受信品質情報取得部140は、入力装置50に入力された判定対象のスマートメーター30の周辺の電波受信品質を示す情報を取得する。
【0037】
種類選択部150は、設置状況情報取得部120が取得する設置状況情報ISと、電波伝搬モデル情報取得部130が取得する電波伝搬モデル情報PMと、受信品質情報取得部140が取得する受信品質情報RIとに基づいて、判定対象のスマートメーター30が備える通信機能の種類を選択する。
【0038】
種類選択部150が選択する通信機能の種類には、デュアル通信スマートメーター31(第1種類)、RF-MESH通信スマートメーター32(第2種類)、及び携帯網通信スマートメーター33(第3種類)が含まれる。
ここで、デュアル通信スマートメーター31とは、スマートメーター30のうち、携帯電話通信網NTを利用する通信機能と機器間無線通信(RF-MESH方式通信)を利用する通信機能とのいずれをも備えるスマートメーター30である。
RF-MESH通信スマートメーター32とは、スマートメーター30のうち、携帯電話通信網NTを利用する通信機能を備えず機器間無線通信(RF-MESH方式通信)を利用する通信機能を備えるスマートメーター30である。
携帯網通信スマートメーター33とは、スマートメーター30のうち、携帯電話通信網NTを利用する通信機能を備え、機器間無線通信(RF-MESH方式通信)を利用する通信機能を備えないスマートメーター30である。
【0039】
換言すれば、種類選択部150は、判定対象のスマートメーター30が備える通信機能の種類を、デュアル通信スマートメーター31と、RF-MESH通信スマートメーター32とを少なくとも含む選択肢から選択する。
また、種類選択部150は、判定対象のスマートメーター30が備える通信機能の種類を、携帯網通信スマートメーター33を含む選択肢から選択してもよい。
【0040】
種類選択部150は、選択した通信機能の種類を、選択結果RSとして出力装置70に対して出力する。
出力装置70は、例えば、液晶ディスプレイやプリンタを備えており、判定装置10から出力される選択結果RSを画像や紙媒体などに出力する。また、出力装置70は、通信機能を備えていてもよい。この場合、出力装置70は、他の装置に対して選択結果RSを送信する。
【0041】
[判定装置10の動作]
次に、
図5を参照して本実施形態の判定装置10の動作の一例について説明する。
図5は、本実施形態の判定装置10の動作の一例を示す図である。
【0042】
(ステップS10)判定対象情報取得部110は、入力装置50から判定対象のスマートメーター30を特定する判定対象情報IDを取得する。また、判定対象情報取得部110は、入力装置50から指定時期情報STを取得する。
判定対象情報取得部110は、取得した判定対象情報IDと指定時期情報STとを設置状況情報取得部120に出力する。設置状況情報取得部120は、判定対象情報IDに基づいて記憶装置60を検索し、判定対象のスマートメーター30の位置及びその位置の周辺のスマートメーター30及び集約装置40についての設置状況情報ISを取得する。この設置状況情報ISには、スマートメーター30及び集約装置40の位置情報LCや交換時期情報RPが含まれている。
【0043】
(ステップS20)電波伝搬モデル情報取得部130は、ステップS10において取得された判定対象情報IDに基づいて、判定対象のスマートメーター30の設置位置における電波伝搬モデルを示す電波伝搬モデル情報PMを取得する。
【0044】
(ステップS30)受信品質情報取得部140は、ステップS10において取得された判定対象情報IDに基づいて、既設のスマートメーター30の電波受信品質を示す受信品質情報RIをデータ収集装置20から取得する。
【0045】
(ステップS40)種類選択部150は、ステップS10~ステップS30において取得される設置状況情報IS、電波伝搬モデル情報PM及び受信品質情報RIに基づいて、判定対象のスマートメーター30の設置位置におけるRF-MESH方式による将来の接続確率(将来接続確率FR)を算出する。
具体的な一例として、種類選択部150は、指定時期における将来接続確率FRを、設置状況情報ISに基づいて算出する。この指定時期は、一例として、入力装置50から指定時期情報STとして供給される。より具体的には、種類選択部150は、入力装置50から供給される指定時期情報STが示す指定時期以降の設置状況情報ISに基づいて、将来の各時期におけるスマートメーター30(及び集約装置40)の設置状況を判定する。種類選択部150は、判定したスマートメーター30(及び集約装置40)の将来の設置状況に基づいて、指定時期以降の各時期における機器間無線通信の通信経路CRの経路構成を推定する。種類選択部150は、推定した通信経路CRの経路構成に基づいて、判定対象のスマートメーター30から集約装置40までの間に、機器間無線通信の通信経路CRを構成できる確率、すなわち将来接続確率FRを算出する。ここで、機器間無線通信の通信経路CRには、判定対象のスマートメーター30から、他のスマートメーター30を経由して集約装置40に到達する場合と、判定対象のスマートメーター30から直接、集約装置40に到達する場合とがある。
また、上述した将来接続確率FRの算出において種類選択部150は、受信品質情報RIに基づいて将来接続確率FRを補正することもできる。具体的な一例として、種類選択部150は、通信経路CRのうち、現時点において実際に通信接続されている経路を含む場合には、算出される将来接続確率FRを高める補正を行う。また、種類選択部150は、通信経路CRのうち、現時点において通信接続がされていない経路を含む場合には、算出される将来接続確率FRを低める補正を行う。
【0046】
(ステップS50)種類選択部150は、ステップS40において算出したRF-MESH方式の将来接続確率FRと、将来接続確率FRの基準値とを比較する。種類選択部150は、将来接続確率FRが、基準値以上でないと判定する場合(ステップS50;NO)には、処理をステップS60に進める。また、種類選択部150は、将来接続確率FRが、基準値以上であると判定する場合(ステップS50;YES)には、処理をステップS70に進める。
【0047】
すなわち、種類選択部150は、判定対象のスマートメーター30が備える通信機能の種類を、指定時期に基づいて選択する。
【0048】
(ステップS60)種類選択部150は、判定対象のスマートメーター30の種類を、携帯網通信スマートメーター33(第3種類)であると判定して、一連の処理を終了する。
【0049】
すなわち、種類選択部150は、指定時期情報STが示す指定時期以降において、設置位置における機器間無線通信(RF-MESH方式通信)の接続確率が基準値以下である場合には、携帯網通信スマートメーター33(第3種類)を判定対象のスマートメーター30の通信機能として選択する。
【0050】
(ステップS70)種類選択部150は、種類選択部150は、ステップS10~ステップS30において取得される設置状況情報IS、電波伝搬モデル情報PM及び受信品質情報RIに基づいて、判定対象のスマートメーター30の設置位置におけるRF-MESH方式による現在の接続確率(即時接続確率IR)を算出する。
なお、即時接続確率IRの具体的な算出手順は、上述したステップS40における将来接続確率FRの算出手順と同様であるため、その説明を省略する。
【0051】
(ステップS80)種類選択部150は、ステップS70において算出したRF-MESH方式の即時接続確率IRと、即時接続確率IRの基準値とを比較する。種類選択部150は、即時接続確率IRが、基準値以上でないと判定する場合(ステップS80;NO)には、処理をステップS90に進める。また、種類選択部150は、即時接続確率IRが、基準値以上であると判定する場合(ステップS80;YES)には、処理をステップS100に進める。
【0052】
(ステップS90)種類選択部150は、判定対象のスマートメーター30の種類を、デュアル通信スマートメーター31(第1種類)であると判定して、一連の処理を終了する。
【0053】
(ステップS100)種類選択部150は、判定対象のスマートメーター30の種類を、RF-MESH通信スマートメーター32(第2種類)であると判定して、一連の処理を終了する。
【0054】
[第1実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の判定装置10は、種類選択部150を備えている。この種類選択部150は、設置状況情報ISと、電波伝搬モデル情報PMと、受信品質情報RIとに基づいて、判定対象のスマートメーター30が備える通信機能の種類を選択する。
上述したように、スマートメーター30は、通信機能の違いにより、デュアル通信スマートメーター31、RF-MESH通信スマートメーター32及び携帯網通信スマートメーター33の少なくとも3種類に分類される。
一般的に、携帯電話方式は、RF-MESH方式に比べて通信コストが高い。このため、RF-MESH通信網が構築されている環境においては、通信コストの観点からRF-MESH方式によって通信を行うことが望ましい。一方、RF-MESH通信網が構築されていない環境においては、通信コストが比較的高くても、携帯電話方式によって通信をせざるを得ない。
ここで、デュアル通信スマートメーター31は、RF-MESH通信網が構築されていない環境においては携帯電話方式によって通信を行い、RF-MESH通信網が構築されている環境においてはRF-MESH方式によって通信を行うことができる。つまり、デュアル通信スマートメーター31は、RF-MESH通信網が構築されていない環境であっても通信可能であり、RF-MESH通信網が構築されている環境であればRF-MESH方式に切り替えることにより通信コストを低減することができる。一方で、デュアル通信スマートメーター31は、携帯電話方式による通信機能とRF-MESH方式による通信機能とを両方備えているため、RF-MESH通信スマートメーター32及び携帯網通信スマートメーター33に比べて装置の構成が煩雑であり、装置の価格が比較的高価である。
また、RF-MESH通信スマートメーター32は、装置の構成が比較的簡素であり装置の価格が比較的安価であるが、RF-MESH通信網が構築されていない環境では通信ができない。
また、携帯網通信スマートメーター33は、装置の構成が比較的簡素であり装置の価格が比較的安価であるが、RF-MESH通信網が構築されている環境であっても、通信コストが比較的高い携帯電話方式によらなければ通信ができない。
本実施形態の判定装置10は、これらデュアル通信スマートメーター31、RF-MESH通信スマートメーター32及び携帯網通信スマートメーター33の得失に鑑みて、RF-MESH通信網の構築状況に応じた種類の通信方式を備えたスマートメーター30を選択する。このため、本実施形態の判定装置10によれば、スマートメーター30によるRF-MESH通信網の構築及び運用にかかるコストをより低減することができる。
【0055】
図6は、スマートメーター30の更新の状況の一例を示す図である。同図において、横軸には時期tを、縦軸にはスマートメーター30の導入(設置)台数を示す。この一例において、第1世代G1のスマートメーター30の通信には、携帯電話方式とRF-MESH方式とが併用される。時期t2において、第1世代G1から第2世代G2への移行が開始される。第2世代G2のスマートメーター30の通信には、携帯電話方式と次世代RF-MESH方式とが併用される。ここで、第1世代G1のRF-MESH方式と第2世代G2の次世代RF-MESH方式とには互換性がない。したがって、第2世代G2に移行後は、第1世代G1のRF-MESH方式による通信はできない。
また、第1世代G1よりも前の世代(不図示の第0世代G0)においては、いわゆる機械式の電力量計が設置されており、スマートメーター30からの無線又は有線による情報収集が行われない。
【0056】
時期t0から時期t1(つまり、第1世代G1の開始初期段階)においては、RF-MESH方式によって通信可能なスマートメーター30の台数が比較的少ないため、RF-MESH方式による通信網が十分に構築されていない。
このように、第1世代G1の開始初期段階(例えば、時期t0から時期t1の間)においては、あるエリアにおけるRF-MESH通信網のノード(例えば、スマートメーター30や集約装置40)の密度が、RF-MESH通信網を構築できる程度まで高まらない場合がある。このエリアにおいては、スマートメーター30は、携帯電話方式によって通信を行う必要がある。
また、第1世代G1の中期段階(例えば、時期t1から時期t2の間)においては、このエリアにおけるRF-MESH通信網のノードの密度が、RF-MESH通信網を構築できる程度に高まる場合がある。このエリアにおいては、スマートメーター30は、RF-MESH方式によって通信を行うことができる。
つまり、RF-MESH方式の導入初期段階においては、携帯電話方式によって通信を行わざるを得ないエリアであったとしても、中期段階以降では、このエリアにおいてRF-MESH方式によって通信を行うことが可能になる場合がある。この場合、判定装置10は、デュアル通信スマートメーター31を設置対象のスマートメーター30として選択する。
本実施形態の判定装置10によれば、RF-MESH通信網が十分に構築されていない状況であっても、スマートメーター30とデータ収集装置20との間の通信経路を確保することができる。
【0057】
また、上述したように、RF-MESH通信網が十分に構築された場合(例えば、時期t1から時期t2の間)には、スマートメーター30は、RF-MESH方式によって通信を行うことができる。つまり、RF-MESH通信網が十分に構築された場合(例えば、時期t1から時期t2の間)には、スマートメーター30は、携帯電話方式による通信を行わなくても、RF-MESH方式による通信が可能である。本実施形態の判定装置10によれば、第1世代G1の中期段階(例えば、時期t1から時期t2の間)において、RF-MESH通信スマートメーター32を設置対象のスマートメーター30として選択する。したがって、本実施形態の判定装置10によれば、デュアル通信スマートメーター31を選択する場合に比べて、装置コストをより低減することができる。
【0058】
また、スマートメーター30が設置されるエリアによっては、他のエリアにおいてRF-MESH通信網が十分に構築された段階(例えば、時期t1から時期t2の間)であったとしても、RF-MESH方式による通信経路の確保が困難となる場合がある。例えば、都市部などのスマートメーター30の密度が高いエリアに比べて、密度が低い山間部や島嶼などのエリアにおいては、スマートメーター30の設置台数が十分でない場合がある。このようなエリアにおいては、将来にわたってRF-MESH方式による通信経路の確保が困難である。本実施形態の判定装置10は、将来接続確率FRに基づいて、RF-MESH通信網が十分に構築された段階であったとしても、接続確率が基準値以上にならない場合には、デュアル通信スマートメーター31ではなく、携帯網通信スマートメーター33を設置対象のスマートメーター30として選択する。したがって、本実施形態の判定装置10によれば、デュアル通信スマートメーター31を選択する場合に比べて、装置コストをより低減することができる。
【0059】
なお、上述したように第1世代G1のRF-MESH方式と第2世代G2の次世代RF-MESH方式とには互換性がない。このため、同図に示す第1世代G1から第2世代G2への移行当初の時期(時期t3から時期t4)においても、上述した第1世代G1の開始初期段階(時期t0から時期t1)と同様の状況が生じる。すなわち、第2世代G2の次世代RF-MESH方式の導入初期段階(時期t3から時期t4)においては、携帯電話方式によって通信を行わざるを得ないエリアであったとしても、中期段階以降では、このエリアにおいて次世代RF-MESH方式によって通信を行うことが可能になる場合がある。この場合、判定装置10は、デュアル通信スマートメーター31を設置対象のスマートメーター30として選択する。
【0060】
[変形例]
図7は、本実施形態の判定装置10の動作の変形例を示す図である。上述した実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例においては、判定装置10が、スマートメーター30の通信方式の世代移行の時期に基づいて、スマートメーター30の通信機能の種類を選択する点において、上述した実施形態と異なる。より具体的には、本変形例においてはステップS210~ステップS230が加わる点において、上述した実施形態と異なる。
【0061】
(ステップS210)種類選択部150は、移行時期情報UTを取得する。この移行時期情報UTは、スマートメーター30の将来の世代移行の時期(例えば、
図6に示した第1世代G1から、第2世代G2への移行時期)を示す。
(ステップS220)種類選択部150は、移行時期情報UTが示す世代移行時期(例えば、第1世代G1から第2世代G2への移行時期)に基づいて、判定対象のスマートメーター30の設置予定位置及びその周辺のエリアにおける、移行時期以降のRF-MESH方式による接続確率(移行時接続確率)を算出する。
(ステップS230)種類選択部150は、ステップS220において算出した移行時接続確率が、所定の基準値以上であるか否かを判定する。種類選択部150は、移行時接続確率が、所定の基準値以上であると判定した場合(ステップS230;YES)には、処理をステップS100に進め、RF-MESH通信スマートメーター32を選択して一連の処理を終了する。また、種類選択部150は、移行時接続確率が、所定の基準値以上でないと判定した場合(ステップS230;NO)には、処理をステップS90に進め、デュアル通信スマートメーター31を選択して一連の処理を終了する。
【0062】
一例として、第2世代G2において次世代RF-MESH方式が採用された場合には、第1世代G1におけるRF-MESH方式による接続確率が十分に高いエリアにおいても、第1世代G1から第2世代G2への世代移行に伴ってRF-MESH方式による接続確率が低下する場合がある。この場合、第1世代G1から第2世代G2への移行時にRF-MESH通信スマートメーター32を設置すると、第2世代G2に移行した場合、RF-MESH通信スマートメーター32による通信ができなくなる。この場合、スマートメーター30からデータ収集装置20への通信経路を確保するためには、第1世代G1から第2世代G2への移行時にスマートメーター30を再び更新(例えば、設置し直し)しなければならず、装置コストが高くなってしまうという問題が生じる。
【0063】
一例として、
図6に示す第1世代G1から第2世代G2への移行直前の時期(時期t2から時期t3)においては、設置当初は第1世代G1のRF-MESH方式による通信が可能であるが、第1世代G1から第2世代G2への移行末期(時期t5から時期t6)においては、第1世代G1のRF-MESH方式による通信ができない状況が生じる。
この場合、判定装置10は、第1世代G1から第2世代G2への移行直前の時期(時期t2から時期t3)において、第1世代G1のRF-MESH方式による通信が可能であるとしても、デュアル通信スマートメーター31を設置対象のスマートメーター30として選択する。この場合、第2世代G2への移行後には、デュアル通信スマートメーター31は、携帯電話方式による通信を行うことにより、通信経路を確保する。
【0064】
本変形例の判定装置10によれば、将来の移行時期に基づいてスマートメーター30の種類を判定する。判定装置10によれば、将来の移行時期においてRF-MESH方式による接続確率が低下する場合には、デュアル通信スマートメーター31又は携帯網通信スマートメーター33を選択することにより、第1世代G1とは互換性のない機器間通信方式が採用される次世代(例えば、第2世代G2)への移行が行われた後にも通信経路を確保することができる。
【0065】
また、判定装置10の種類選択部150は、上述したステップS230において、移行時接続確率が、所定の基準値以上でないと判定した場合(ステップS230;NO)には、デュアル通信スマートメーター31に代えて、携帯網通信スマートメーター33を選択してもよい。すなわち、判定装置10は、将来の移行時期においてRF-MESH方式による接続確率が低下する場合には、RF-MESH方式による通信機能を備えない携帯網通信スマートメーター33を選択する。このように構成された判定装置10によれば、第2世代G2への移行が行われた後にも通信経路を確保しつつ、デュアル通信スマートメーター31を選択する場合に比べて、装置コストをより低減することができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る判定装置10aについて説明する。上述した実施形態及びその変形例と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。第2実施形態に係る判定装置10aは、通信方式切替部160を備える点において、上述した実施形態及びその変形例と異なる。
【0067】
図8は、第2実施形態の判定装置10aの機能構成の一例を示す図である。通信方式切替部160は、デュアル通信スマートメーター31の通信方式について、携帯電話方式とRF-MESH方式とを相互に切り替える制御を行う。具体的には、判定装置10aは、制御装置80に接続されている。通信方式切替部160は、切替情報CMDを制御装置80に出力する。この切替情報CMDには、デュアル通信スマートメーター31の通信方式について、携帯電話方式とRF-MESH方式とのいずれを選択するかを示す制御情報が含まれている。制御装置80は、デュアル通信スマートメーター31との通信により、デュアル通信スマートメーター31に対して切替情報CMDを出力する。
デュアル通信スマートメーター31は、制御装置80を介して判定装置10aが出力する切替情報CMDに基づいて、通信方式を携帯電話方式又はRF-MESH方式に切り替える。
【0068】
図9は、本実施形態の判定装置10aの動作の一例を示す図である。なお、スマートメーター通信システム1において複数のデュアル通信スマートメーター31が設置されている場合、判定装置10aは、デュアル通信スマートメーター31毎に、次に示す処理を行う。
【0069】
(ステップS310)通信方式切替部160は、判定対象のデュアル通信スマートメーター31が出力するRF-MESH情報を取得する。この一例において、RF-MESH情報は、データ収集装置20が各スマートメーター30から受信品質情報RIとともに収集される。RF-MESH情報には、デュアル通信スマートメーター31が携帯電話方式又はRF-MESH方式のいずれを使用して通信をしているかを示す情報が含まれている。
【0070】
(ステップS320)通信方式切替部160は、ステップS310において取得したRF-MESH情報に基づいて、判定対象のデュアル通信スマートメーター31が携帯電話方式で通信をしているか否かを判定する。通信方式切替部160は、判定対象のデュアル通信スマートメーター31が携帯電話方式で通信をしていると判定した場合(ステップS320;YES)には、処理をステップS330に進める。通信方式切替部160は、判定対象のデュアル通信スマートメーター31が携帯電話方式で通信をしていない(つまり、RF-MESH方式で通信をしている)と判定した場合(ステップS320;NO)には、処理をステップS360に進める。
【0071】
(ステップS330)通信方式切替部160は、受信品質情報RIに基づいて、判定対象のデュアル通信スマートメーター31の現在のRF-MESH方式による接続品質が、所定の基準値以上であるか否かを判定する。通信方式切替部160は、RF-MESH方式による接続品質が、所定の基準値以上であると判定した場合(ステップS330;YES)には、処理をステップS340に進める。通信方式切替部160は、RF-MESH方式による接続品質が、所定の基準値以上でないと判定した場合(ステップS330;NO)には、処理をステップS350に進める。
【0072】
(ステップS340)通信方式切替部160は、通信方式を携帯電話方式からRF-MESH方式に切り替える切替情報CMDを、制御装置80を介して判定対象のデュアル通信スマートメーター31に送信して、処理を終了する。すなわち、通信方式切替部160は、スマートメーター30の携帯電話通信網NTを利用する通信機能を無効化する。
(ステップS350)通信方式切替部160は、通信方式を切り替えずに処理を終了する。
【0073】
(ステップS360)通信方式切替部160は、受信品質情報RIに基づいて、判定対象のデュアル通信スマートメーター31の現在のRF-MESH方式による接続品質が、所定の基準値以下であるか否かを判定する。通信方式切替部160は、RF-MESH方式による接続品質が、所定の基準値以下であると判定した場合(ステップS360;YES)には、処理をステップS410に進める。通信方式切替部160は、RF-MESH方式による接続品質が、所定の基準値以下でないと判定した場合(ステップS360;NO)には、処理をステップS370に進める。
【0074】
(ステップS370)通信方式切替部160は、設置状況情報ISに基づいて、判定対象のデュアル通信スマートメーター31の設置位置及びその周辺のエリアに設置されるスマートメーター30又は集約装置40についての、位置及び設置時期を抽出する。
(ステップS380)通信方式切替部160は、設置状況情報ISに基づいて、判定対象のデュアル通信スマートメーター31の設置位置及びその周辺のエリアに設置されるスマートメーター30の移行時期を抽出する。
(ステップS390)通信方式切替部160は、判定対象のデュアル通信スマートメーター31の設置位置における、所定期間経過後のRF-MESH方式による接続確率を算出する。
(ステップS400)通信方式切替部160は、所定期間経過後のRF-MESH方式による接続確率が所定の基準値以下であるか否かを判定する。通信方式切替部160は、所定期間経過後のRF-MESH方式による接続確率が所定の基準値以下であると判定した場合(ステップS400;YES)には、処理をステップS410に進める。また、通信方式切替部160は、所定期間経過後のRF-MESH方式による接続確率が所定の基準値以下でないと判定した場合(ステップS400;NO)には、処理をステップS420に進める。
【0075】
(ステップS410)通信方式切替部160は、通信方式をRF-MESH方式から携帯電話方式に切り替える切替情報CMDを、制御装置80を介して判定対象のデュアル通信スマートメーター31に送信して、処理を終了する。
(ステップS420)通信方式切替部160は、通信方式を切り替えずに処理を終了する。
【0076】
[第2実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の判定装置10aは、通信方式切替部160を備えている。この通信方式切替部160は、スマートメーター30が携帯電話通信網NTを利用する通信機能と機器間無線通信(例えば、RF-MESH方式)を利用する通信機能とのいずれをも備える場合において、スマートメーター30と、他のスマートメーター30又は集約装置40との間において機器間無線通信(例えば、RF-MESH方式)を利用した通信が可能である場合に、スマートメーター30の携帯電話通信網NTを利用する通信機能を無効化する。
【0077】
本実施形態の判定装置10aは、RF-MESH通信網が構築される前の段階で配置されたデュアル通信スマートメーター31について、RF-MESH通信網が構築された後に、その通信方式を携帯電話方式からRF-MESH方式に切り替える。このように構成された判定装置10aによれば、RF-MESH通信網が構築された後には、通信コストが比較的低いRF-MESH方式によって通信を行うことができる。したがって、このように構成された判定装置10aによれば、通信コストを低減することができる。
【0078】
なお、通信方式切替部160は、スマートメーター30が携帯電話通信網NTを利用する通信機能と機器間無線通信(例えば、RF-MESH方式)を利用する通信機能とのいずれをも備える場合において、スマートメーター30と、他のスマートメーター30又は集約装置40との間において機器間無線通信(例えば、RF-MESH方式)を利用した通信が将来、不可能となることが予測される場合には、スマートメーター30の携帯電話通信網NTを利用する通信機能を有効化してもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した各実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0080】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0081】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…スマートメーター通信システム、10、10a…判定装置、110…判定対象情報取得部、120…設置状況情報取得部、130…電波伝搬モデル情報取得部、140…受信品質情報取得部、150…種類選択部、160…通信方式切替部、20…データ収集装置、210…ネットワークインタフェース部、220…携帯方式データ分別処理部、230…RF-MESH方式データ分別処理部、240…データ収集処理部、250…RF-MESH方式管理部、260…判定装置連携部、30…スマートメーター、31…デュアル通信スマートメーター、32…RF-MESH通信スマートメーター、33…携帯網通信スマートメーター、40…集約装置、50…入力装置、60…記憶装置、70…出力装置、NT…携帯電話通信網、IS…設置状況情報、PM…電波伝搬モデル情報、RI…受信品質情報、CMD…切替情報