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7215108イメージ又はマトリクスデータにおける関心のある部分の検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】イメージ又はマトリクスデータにおける関心のある部分の検出
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230124BHJP
【FI】
G06T7/00 610Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018219066
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2019192202
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】18169735.0
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】タウンセンド・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージェスク・セルバン
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-189324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0279772(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0238432(US,A1)
【文献】木西基, 外5名,“肝血管本幹の統計アトラス構築とその自動血管識別への応用”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2010年08月27日,第110巻, 第195号,p.75-80
【文献】韓明旭, 外8名,“確率的アトラスに基づく3次元CT画像からの乳腺領域の自動抽出と解析”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2009年01月12日,第108巻, 第385号,p.435-438
【文献】永田亮一, 外2名,“胸部X線像からの胸郭境界検出法”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2008年10月23日,第108巻, 第271号,p.31-36
【文献】井上雅洋, 外5名,“超音波画像を用いた皮下脂肪・筋・骨境界の自動判別”,計測自動制御学会論文集,日本,社団法人計測自動制御学会,2008年08月31日,第44巻, 第8号,p.678-684
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つける、コンピュータにより実施される方法であって、前記データが検討中のアイテムから導出される前記方法において、
前記関心のある部分に対応すると見なされる訓練データにおける特徴の近似座標を取得し、前記訓練データが、前記解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであって、前記検討中のアイテムに類似したアイテムに関係があり、
前記特徴の前記近似座標によって定義されたエリアの周りに広がる境界領域を指定し、
前記関心のある部分のコンポーネントのための少なくとも1つの候補部分を、前記解析されるべきデータにおいて特定し、
マスキングをかけたデータを得るよう、前記解析されるべきデータから、前記境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除き、
前記マスキングをかけたデータから、前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分の位置の推定を導出する
ことを有し、
前記推定を導出することは、
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、前記平均座標に対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定すること、又は
前記マスキングをかけたデータに対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定すること、又は
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、前記関心のある部分を形成する構造として、前記マスキングをかけたデータの前記平均座標を囲む領域内にある前記候補部分を特定すること
を有する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの候補部分を特定することは、セグメンテーションプロセスを前記解析されるべきデータに適用することを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記近似座標を取得することは、人間オペレータによって供給された前記訓練データにおける特徴の座標を受け取ることを有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記訓練データは、少なくとも2つの別個のデータ片を有し、
前記取得された近似座標は、前記関心のある部分に対応する可能性がある前記データ片における夫々の特徴の平均座標である、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分は、前記検討中のアイテムにおける層、壁又は境界のうちの1つである、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記データは、前記検討中のアイテムの超音波スキャンデータから導出される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記検討中のアイテムは、製造品及び製造において使用された品のうちの少なくとも1つである、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のうちいずれか一項に記載の方法により、前記アイテムの少なくとも部分を形成する材料の構造的統合性、及び前記アイテムの少なくとも部分を形成する材料における欠陥のうちの少なくとも1つを決定する目的で前記検討中のアイテムにおいて不具合を検出する方法
【請求項9】
解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つけるデータ処理装置であって、前記データが検討中のアイテムから導出される前記データ処理装置において、
前記関心のある部分に対応すると見なされる訓練データにおける特徴の近似座標を受け取る座標受取部であり、前記訓練データが、前記解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであって、前記検討中のアイテムに類似したアイテムに関係がある、前記座標受取部と、
前記特徴の前記近似座標によって定義されたエリアの周りに広がる境界領域を指定する境界領域指定部と、
前記関心のある部分のコンポーネントのための少なくとも1つの候補部分を前記解析されるべきデータにおいて特定する候補部分特定部と、
前記解析されるべきデータから、前記境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除くことによって、マスキングをかけたデータを取得するマスク適用部と、
前記マスキングをかけたデータから、前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分の位置の推定を導出する推定部と
を有し、
前記推定部は、
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、前記平均座標に対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定すること、又は
前記マスキングをかけたデータに対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定すること、又は
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、前記関心のある部分を形成する構造として、前記マスキングをかけたデータの前記平均座標を囲む領域内にある前記候補部分を特定すること
によって、推定を導出する、データ処理装置。
【請求項10】
前記訓練データは、少なくとも2つの別個のデータ片を有し、
前記取得された近似座標は、前記関心のある部分に対応する可能性がある前記データ片における夫々の特徴の平均座標である、
請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記座標受取部によって受け取られる前記近似座標は、人間オペレータによって供給された前記訓練データにおける特徴の座標である、
請求項9又は10に記載のデータ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、イメージ又はマトリクスデータにおける関心のある部分の検出に関係がある。
【背景技術】
【0002】
イメージ内の関心のある部分の検出は、多種多様な技術分野において有利である。1つの斯様な分野は、アイテムの超音波非破壊検査(non-destructive testing)(NDT)である。
【0003】
超音波NDTは、製造時に使用される繊維ガラスのような材料又は構造の統合性(integrity)を決定するために使用される非侵襲的技術であり、検査対象における内部欠陥の検出を可能にする。この技術では、1つ以上の超音波プローブが、対象の内部を伝播する音波を発し、内部構造との相互作用により生じるエコーを受ける。反射体材料の距離は、音波の速度に基づき正確に推定され得る。
【0004】
超音波スキャンは、マトリクスにおいて数値として記憶される。マトリクスは、次いで、例えば、青がロー値を表し、赤がハイ値を表すヒートマップに従って、目視検査のためのイメージに変換される。不連続、しわ、捕集物、エアポケット、などのような欠陥に起因する反射によって引き起こされた信号は、スキャンにおいて識別され得る。この技術は、製造品質制御プロセスの部分として産業において広く使用されている。現在、検出は、スキャンの各セクションの徹底的な目視検査を伴う手動プロセスである。検査対象の大きさに応じて、訓練されたオペレータは、欠陥を有しており現物検査を必要とする可能性がある構造の領域を特定するために、スキャンの視覚化を通して見ることに数時間を費やすことがある。オペレータは、潜在的な不具合にフラグを立てるよう、構造ひずみ又は不連続のような視覚的な合図を使用する。これは、生のスキャンデータのインタラクティブな視覚化を通じて行われる。インタラクティブな視覚化は、飽和、閾値、ズーム、などの調整を可能にする。たとえオペレータが高度に訓練されているとしても、検査は、エコーの伝播及び/又は視覚化に伴う問題により生じる、生データに含まれるノイズに起因して、全ての不具合を完全に網羅することを保証されない。
【0005】
そのようなNDTスキャンは、検査されるアイテムの複数の境界又は‘壁’(wall)構造、すなわち、前壁、後壁、及び後壁の‘エコー’を検出する。前後の壁を識別することは、それらの壁の間の空間が不具合検出が行われるべき場所であり、イメージ内の如何なる他の空間もノイズであって無視されることから、重要である。
【0006】
イメージデータ内の関心のある部分の検出が自動である技術を発明することが望ましい。前壁は、それが常にスキャンのイメージの最上部で提示されるので識別するのが簡単であるが、後壁を自動的に識別することは、後壁及びそのエコーの位置が変わることがあり且つ壁又はエコーのいずれかからのデータが欠落することがあるということで、より困難である。
【0007】
しわ、捕集物などのような製造欠陥を示す特定のパターンは、当該技術で知られている自動パターン検出技術(例えば、機械学習技術)を用いて検出され得るが、後壁の下で見つけられるノイズ(すなわち、エコー)の存在は、そのような自動化された方法がノイズにおいて見つけられたパターンによって混乱させられることがあるということで、そのような自動パターン検出をより難しいものにする。
【0008】
関心のある部分を自動的に検出することは、他の技術領域でも問題があることがある。例えば、イメージ内で自動的に道路標示を識別することは、道路標示の部分が不明りょうであるか又は失われている場合に困難であり得る。
【0009】
後壁を自動的に検出するための1つの以前に提案された方法は、有効ではあるが、特に、イメージ内の階層化された構造の数が全てのイメージにわたって一定であること、及び関心のある対象の層が構造の全体の組の位置順序において所与の位置を常にとること、といういくつかの仮定に基づき、確立されている。それらの仮定は、大部分の場合に有効であるが、全てではなく、少数の誤った検出でさえ、技術が適用される分野によっては壊滅的及び/又は高価であり得る。
【発明の概要】
【0010】
イメージデータにおいて関心のある部分の位置を自動的に見つける改善された方法を提供することが望ましい。
【0011】
第1の態様に従う実施形態は、解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つける、コンピュータにより実施される方法であって、前記データが検討中のアイテムから導出される前記方法において:前記関心のある部分に対応すると見なされる訓練データにおける特徴の近似座標を取得し、前記訓練データが、前記解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであって、前記検討中のアイテムに類似したアイテムに関係があり;前記特徴の前記近似座標によって定義されたエリアの周りに広がる境界領域を指定し;前記関心のある部分のコンポーネントのための少なくとも1つの候補部分を、前記解析されるべきデータにおいて特定し;マスキングをかけたデータを得るよう、前記解析されるべきデータから、前記境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除き;前記マスキングをかけたデータから、前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分の位置の推定を導出することを有する方法を提供する。
【0012】
第2の態様に従う実施形態は、コンピュータで実行される場合に、第1の態様を具現化する方法を実行するコンピュータプログラムを提供する。
【0013】
第3の態様に従う実施形態は、解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つけるデータ処理装置であって、前記データが検討中のアイテムから導出される前記データ処理装置において:前記関心のある部分に対応すると見なされる訓練データにおける特徴の近似座標を受け取る座標受取部であり、前記訓練データが、前記解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであって、前記検討中のアイテムに類似したアイテムに関係がある、前記座標受取部と;前記特徴の前記近似座標によって定義されたエリアの周りに広がる境界領域を指定する境界領域指定部と;前記関心のある部分のコンポーネントのための少なくとも1つの候補部分を前記解析されるべきデータにおいて特定する候補部分特定部と;前記解析されるべきデータから、前記境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除くことによって、マスキングをかけたデータを取得するマスク適用部と;前記マスキングをかけたデータから、前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分の位置の推定を導出する推定部とを有するデータ処理装置を提供する。
【0014】
実施形態は、イメージ又はマトリクスデータにおける関心のある部分の近似座標を用いることによって、検討中のアイテムにおける不具合又は他のアーチファクト若しくは構造の自動検索が絞り込まれることを可能にし得る。近似座標の上下一定距離の領域は、対象のアーチファクトが別なふうに自動化された検索プロセスによって見つけられると期待され得る領域である。このように、実施形態は、必要とされる人間のガイダンスが最小限ながら、別なふうに自動化されたプロセスが誤っているかもしれない仮定を回避することを可能にするにはなおも十分であるメカニズムを提供し得る。
【0015】
近似座標を取得することは、人間オペレータによって供給された前記訓練データにおける特徴の座標を受け取ることを有してよい。代替的に、近似座標が自動化されたプロセスによって提供されることが可能であってよい。特に、実施形態は、イメージ又はマトリクスデータにおける関心のある部分、例えば、超音波スキャンの後壁が現実的に見つけられると期待され得る領域の近似座標のインジケーションを人間(又は機械)オペレータが供給し得る手段を提供してよい。それらの近似座標は、次いで、関心のある部分の自動検出が開始し得る開始点の近似を形成する。このようにして、自動検索は、イメージの関心のある部分及び他の部分の位置に関する単純な仮定によってひどく制約されず、一方、同時に、ユーザが関心のある部分の位置の正確なインジケーションを提供する必要性は、回避される。結果として、検出精度は、ほんのわずかな人間の介入しか伴わずに改善され得る。
【0016】
前記訓練データは、少なくとも2つの別個のデータ片を有してよく、前記取得された近似座標は、前記関心のある部分に対応する可能性がある前記データ片における夫々の特徴の平均座標であってよい。使用されるデータ片が多ければ多いほど、近似座標はますます正確である可能性が高い。
【0017】
少なくとも1つの候補部分を特定することは、セグメンテーションプロセスを前記解析されるべきデータに適用することを有してよい。
【0018】
マスキングをかけたデータから推定を導出することは、前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定することと、前記関心のある部分を形成する構造として、前記マスキングをかけたデータの前記平均座標を囲む領域内にある前記候補部分を特定することと有してよい。
【0019】
しかし、いくつかの実施形態では、関心のある部分の位置の推定は、近似座標内にあるセグメント化された構造に多項式曲線をフィッティングすることによって、自立的に改善され得る。2つのアプローチがお互いをサポートすることができる。すなわち、訓練データを使用した関心のある部分の座標の最初の近似は、最良適合の曲線(curve-of-best fit)のための検索空間を低減し、該最良適合の曲線は、オペレータによって行われる訓練近似を微調整することができ、それにより、そのオペレータによって必要とされる正確さ及び努力はより少なくなる。この多項式関数に基づいた推定の付加的な利点は、例えば、ビットマップに基づいた推定とは対照的に、同じイメージのより大きい(又はより小さい)バージョンに容易にスケーリングされ得ることである。
【0020】
特に、マスキングをかけたデータから推定を導出することは、前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定することと、前記平均座標に対して最良適合の多項式曲線をフィッティングすることと、前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定することとを有してよい。
【0021】
代替的に、マスキングをかけたデータから推定を導出することは、前記マスキングをかけたデータに対して最良適合の多項式曲線をフィッティングすることと、前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定することとを有してよい。
【0022】
前記解析されるべきデータは、検討中のアイテムから導出されてよく、前記データにおける関心のある部分は、前記アイテムにおける層、壁又は境界のうちの1つであってよい。前記データは、前記検討中のアイテムの超音波スキャンデータから導出されてよい。前記検討中のアイテムは、製造品及び製造において使用された品のうちの少なくとも1つであってよい。実施形態は、前記アイテムの少なくとも部分を形成する材料の構造的統合性、及び前記アイテムの少なくとも部分を形成する材料における欠陥のうちの少なくとも1つを決定する目的で前記検討中のアイテムにおいて不具合を検出するために使用されてよい。
【0023】
これより、例として、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に従う方法のフローチャートである。
図2】実施形態に従う装置の図である。
図3】(a)~(c)は、関心のある部分についての近似座標が訓練データから取得され得る方法を説明するために使用される図である。
図4】(a)~(d)は、近似座標の平均の周りの境界領域が取得され得る方法を説明するために使用される図である。
図5】(a)及び(b)は、関心のある部分の候補部分が特定され得る方法を説明するために使用される図である。
図6】(a)~(c)は、境界の外にある候補部分がマスキングをかけたデータを得るよう除去され得る方法を説明するために使用される図である。
図7】(a)及び(b)は、マスキングをかけたデータに対する最良適合の多項式曲線のフィッティングを説明するために使用される図である。
図8】関心のある部分の推定された位置を表す図である。
図9】関心のある部分の欠けている部分を表す図である。
図10】解析されるデータをきれいにすることにおける“Moving Window”アプローチの使用を説明するための図である。
図11】パッチクロッピングプロセスのフローチャートである。
図12】パイプ構造の解析に対する実施形態の適用を説明するために使用される図である。
図13】(a)及び(b)は、図12の構造をスキャンすることから得られた超音波スキャンデータのイメージを表す図である。
図14図12の適用を説明するために使用される図である。
図15】本発明を具現化するコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、検討中のアイテムに関係がある解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つける、コンピュータにより実施される方法のフローチャートである。ステップS1で、関心のある部分に対応する可能性が高い訓練データにおける特徴の近似座標が、取得される。訓練データは、解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであり、検討中のアイテムに類似したアイテムに関係がある。次いで、ステップS2で、特徴の近似座標によって画定されたエリアの周りに広がる境界領域が、指定される。それらのステップの前又は後で、あるいは、それらと並行して(図示される通り。)、ステップS3で、関心のある部分のコンポーネントであり得る少なくとも1つの候補部分が、解析されるべきデータにおいて特定される。ステップS4で、境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も、マスキングをかけたデータを得るよう、解析されるべきデータから除かれる。ステップS5で、解析されるべきデータにおける関心のある部分の位置についての推定が、マスキングをかけたデータから推定される。
【0026】
図2は、図1を参照して上述された方法に従って、解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つけるデータ処理装置1のブロック図である。データ処理装置1は、座標受取部10、境界領域指定部20、候補部分特定部30、マスク適用部40、及び推定部50を有する。座標受取部10は、関心のある部分に対応しそうである訓練データにおける特徴の近似座標を受け取るよう構成される。境界領域指定部20は、特徴の近似座標によって画定されたエリアの周りに広がる境界領域を指定するよう構成される。候補部分特定部30は、関心のある部分のコンポーネントであり得る少なくとも1つの候補部分を、解析されるべきデータにおいて特定するよう構成される。マスク適用部40は、解析されるべきデータから、境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除くことによって、マスキングをかけたデータを得るよう構成される。推定部50は、解析されるべきデータにおける関心のある部分の位置についての推定を、マスキングをかけたデータから導出するよう構成される。
【0027】
上述されたように、特定のデータ片についての平均位置のより正確な推定を生成するための開始点として、実施形態は最初に、関心のある部分についての近似座標を使用する。近似座標は、例えば、図3(a)乃至3(c)及び4(a)乃至4(d)を参照して後述される様態において、適切な訓練データを使用して取得される“教師あり推定”(supervised estimate)である。単なる例として、以下の説明は、所与のプローブPを用いて取得される超音波スキャンデータに関して与えられる。
【0028】
関心のある部分が検討中のアイテムにおいて最も見つけられそうである領域は、同様の(最も望ましくは、非常に類似しているか、又は同じ)タイプの他のアイテムの所与のプローブPによってなされた少なくとも1つの訓練スキャンを有する適切な訓練データに基づき、その所与のプローブPについて、その所与のプローブPによってなされたアイテムの如何なるスキャンにおいても決定される。理想的には、しかしどうしてもではないが、少なくとも2つの個々のアイテムの同じプローブによってなされた訓練スキャンの組が使用される。このとき、2つの個々のアイテムは、両方ともが、検討中のアイテムと同じか又は非常に類似した種類又は分類のものである。例えば、検討中のアイテムがタービンブレードである場合に、訓練スキャンの適切な組は、解析されるデータと同じプローブを用いて取得された、お互いと且つ検討中のタービンブレードと同じ形状及びサイズの2つ以上のタービンブレードのスキャンであってよい。
【0029】
図3(a)乃至3(c)は、関心のある部分が層である場合に、品物の所与のスキャンPについての関心のある部分の近似位置が取得される方法を説明するために使用される図である。所与のプローブPからの適切な訓練スキャンPを考えると(図3(a))、人間オペレータは、スキャンPを目視検査し、スキャン上で関心のある層の近似位置を手動で指示してよい。図3(b)に示されるように、この位置は、例えば、1つの色(例えば、白)として、他の色(例えば、黒)の背景に対して示されてよい。位置は、正確である必要はない。位置が手動又は自動で指示された後、平均y座標が、関心のある層について近似座標を得るよう、各x座標ごとに計算される(図3(c))。上記のプロセスは、図1のステップS1及び図2の座標受取部10の動作に対応する。訓練データが2つ以上の訓練スキャンPを含む場合に、それらのステップは、複数の近似を得るよう、各訓練スキャンPごとに実行される。
【0030】
複数の近似(図4(a)に示される例では、3つの近似)の場合に、近似座標は、次いで、検討中のアイテムのスキャンにおいて関心のある層を発見するための推定領域を生成するよう結合される(図4(b))。図4(c)に示されるように、各xごとの平均yは、次いで、各xに対応する関心のある層のy座標の推定の組であるYを生成するよう、全ての訓練スキャンPにわたって平均化される。すなわち、Yは、検討中の品物のスキャンに対するプローブPについての関心のある層の位置の教師あり推定である。図4(d)に示されるように、教師あり推定は、次いで、教師あり推定の周りに+及び-y方向において広がる境界領域Rを指定することによって、“教師ありマスク”を生成するために使用される。この領域の境界は、Yにおける各y値の上下のある距離dとして指定される。距離dは、手動で、暗探法(trial and error process)を通じて、訓練データとともに働く場合にオペレータによって、又は自動的に、設定されてよい。dを設定するプロセスで使用される基準は、使用される性能インジケータ(例えば、最も正確な結果、真陽性率(True Positive rate)、など)に従って所望の結果に最も近い結果をもたらすdの値であってよい。とり得る値を検索するための手動又は自動プロセスは、例えば、dのN個の値が探索された場合に、又は見つけられる最良の結果の変化が少なくともM回の繰り返しについてX%に満たない場合に、又は何らかの他の適切な停止条件も達成される場合に、停止されてよい。距離dは、通常は、しかしどうしてもではないが、Yに含まれる各yの上下に等しくなる。要約すれば、Rは、教師ありマスク、すなわち、関心のある層がプローブPによってなされた如何なるスキャンについても位置すると考えられ得る推定領域を形成する。上記のプロセスは、図1のステップS2及び図2の境界領域指定部20の動作に対応する。
【0031】
図5(a)及び5(b)は、関心のある層の候補コンポーネントがセグメンテーションプロセスを用いて特定され得る方法を説明するために使用される図である。教師あり推定及びマスクを取得することから独立して、しかしそれと並行して(あるいは、代替的に、それらのステップの前又は後で)、例えば、図5(a)に示されるような、関心のある層の発見のために解析される特定のPスキャンを考えると、例えば、図5(b)に示されるような、関心のある層の部分を形成してもしなくてもよい候補構造CPSが、特定される。上記のプロセスは、図1のステップS3及び図2の候補部分特定部30の動作に対応する。
【0032】
例えば、候補構造は、セグメンテーションプロセスを用いて特定されてよい。多種多様なこれまでに提案されたセグメンテーションプロセスのうちの1つが使用されてよい。例えば、標準的な閾値化プロセスが使用されてよい(例えば、RGB色値が固定境界に従う領域が候補構造として特定されるもの)。他の適切なセグメンテーションプロセスは、逆投影法(Back Projection)として知られるものである。逆投影法では、対象領域のサンプルのヒストグラムが、そのヒストグラムによって表現されない(又はわずかにしか表現されない)ピクセルを除くことによって、不要な領域にフィルタをかけるための基礎として使用される。このアプローチは、関心のある層のサンプルに基づき、スキャンに適用される。しかし、これは、関心のある層(又はその部分)と似ている他の構造がスキャンにおいて残る可能性があるということで、関心のある層のみが残ることを保証しない。
【0033】
図6(a)乃至6(c)は、図4(d)を参照して上述されたように導出されたプローブPについての教師ありマスクR図6(b))が、スキャンPにおける関心のある層についての候補構造を更に絞り込むために、図5(b)を参照して上述されたように特定された候補構造CPS図6(a))に適用され得る方法を説明するために使用される図である。教師ありマスクRは、スキャンPの候補構造CPSに対して適用され、それにより、領域R内のCPSの要素のみが残る。これは、マスキングをかけたデータMPS図6(c))を形成する。上記のプロセスは、図1のステップS4及び図2のマスク適用部40の動作に対応する。
【0034】
解析されるべきデータにおける関心のある層の位置についての推定は、マスキングをかけたデータMPSから導出されてよい。これは、図1のステップS5及び図2の推定部50の動作に対応する。これが行われ得る方法の例は、図7(a)、7(b)及び8を参照して説明される。
【0035】
一例において、マスキングをかけたデータMPS図6(c))における各x値について、平均y位置は、平均座標値UPS図7(a))を生成するためにとられる。マスキングをかけたデータの平均座標UPSを囲む領域の中(あるいは、例えば、図4(d)を参照して説明されたような、距離dを見つけるために使用された技術に類似した技術を用いて決定される、平均座標の上及び/又は下のある特定の領域の中)にある候補部分は、関心のある部分を形成する構造として識別される。
【0036】
代替的に、平均座標値UPSを取得した後に、最良適合の多項式曲線が、図7(b)に示されるように、スキャンPについての関心のある層の平均位置LPS(“セグメント化された平均”)を取得するよう、平均座標値UPSの全ての点にわたってフィッティングされてよい。セグメント化された平均LPSを囲む領域の中(あるいは、その上及び/又は下のある特定の領域の中)にある候補部分は、次いで、図8に示されるように、関心のある部分(層)IPSを形成する構造として識別される。
【0037】
他の代替案は、平均座標値UPSを取得することなしに、マスキングをかけたデータMPSの全ての点にわたって最良適合の多項式曲線をフィッティングすることである。次いで、マスキングをかけたデータMPSにフィッティングされた曲線を囲む領域の中(あるいは、例えば、図4(d)を参照して説明されたような、距離dを見つけるために使用された技術に類似した技術を用いて決定される、その曲線の上及び/又は下のある特定の領域の中)にある候補部分は、関心のある部分を形成する構造として識別される。
【0038】
目標が関心のある層の中で欠けている領域を特定することである場合には、それらの領域は、図9において縦点線によって指示されたギャップによって示されるように、関心のある推定された層の部分IPSが存在しないx個の領域であると見なされてよい。
【0039】
例えば、不具合パターン検出を支援するために、解析されるデータをきれいにすることが望ましいことがある。パターン検出をより正確にするために、後壁の下にあるノイズを除去するために従前用いられてきた技術は、後壁の正確な検出に、又はそれを下回るとデータが無視される固定デプス閾値に依存する。いずれの場合にも、後壁を検出することにおける正確さの欠如、及び/又は簡単なデプス閾値のフレキシビリティの欠如は、不具合のパターンを検出することにおける精度の低下になる。
【0040】
パターン検出のために広く使用されている方法は、所与のスキャンが所与のサイズの窓を用いてより小さいパッチの組にスライスされる“Moving Window”アプローチである。関心のある層IPSに適用されるこの動作の例は、図10に示されており、連続した窓がパッチ1、2及び3(右側)を生成するようお互いに部分的に重なり合う(左側)。
【0041】
そうして生成された各パッチに対して、浄化(clean-up)動作が、図11のフローチャートで示されるプロセスに従って行われてよい。ステップS11で、入力されたパッチが読み出される。パッチについての平均のy座標がステップS12で読み出され、次いでステップS13で、平均y座標Y_avgが計算される。垂直クロップ動作が次いでステップS14で実行される。すなわち、所与の許容値Lについて、Yavg-LからY_avg+Lの間のデータのみが保持される。クロッピングされたパッチはステップS15で出力される。
【0042】
すなわち、検出方法(例えば、機械学習法であってよい。)で使用されるデータの品質は、局所平均からの垂直な(すなわち、深さ方向における。)窓の中にのみ保つことによって、改善され得る。これは、正確であり、高分解能であり、且つ関心のある部分の検出の精度から独立している、一般的なデータ浄化方法を提供する。
【0043】
具体的な例が、これより、図12乃至14を参照して記載される。例において、実施形態は、超音波NDTを用いてアイテムから導出されたイメージデータにおいて関心のある部分を検出するよう、適用される。
【0044】
例示を目的として、我々は、図12に示されるように、検査品目として繊維ガラスパイプ90を考える。繊維ガラスは、高い強度及び耐久性能を有しながら軽量であるという強みがある巨大構造物の製造において広く使用されている。繊維ガラスの早期応用は、航空機設計のために航空及び宇宙産業に由来した。今日、とりわけ船殻、パイプ、サーフボード、風力タービンブレード、車体部品、ウォータースライド、棒高跳びの棒を含む多くの他の応用が存在する。斯様な物における如何なる製造異常も、それらの構造統合性に対して有意な影響を有する可能性がある。
【0045】
超音波NDTスキャニングは、プローブ91のアレイによって行われる。プローブ91は、パイプ構造90内を伝播する音波を発し、構造の前後の壁との相互作用により生じるエコーを受ける(図12)。エコーの振幅は、2つの次元、すなわち、パイプ90の長さに平行な方向において測定される長さx、及び時間tに沿って、測定される。結果として現れるデータは、エコー振幅を含む数値マトリクスとして表されてよい。マトリクスにおいて、各行iは所与の伝播時間tに対応し、各列jは所与の水平位置xに対応する。上述されたように、生のデータマトリクスは、スキャンデータサンプル視覚化92で示されるように、例えば、色グラデーション(例えば、藍色から暗赤色までのグラデーション)をエコーの振幅値にマッピングすることによって、視覚化されてよい。
【0046】
図13(a)及び13(b)に示されるように、検査品目の前後の構造は、それらが生成するエコーの振幅が暗く色付けされた領域として通常は際立っているので、視覚化において容易に識別可能であり、従って、不具合を調べることを容易にする。繊維ガラスにおけるしわのような不具合は、後部構造における不連続性又は湾曲のような、スキャンにおいてはっきりと識別できる視覚パターンをもたらす。
【0047】
後壁構造の下にある視覚化されたデータは、ノイズを構成し、よって、検査プロセスにとって不適切である。そのため、後壁の識別は重要である。この理由により、後壁は、システムによって自動的に検出されるべきであり且つその不連続性、すなわち、ギャップを特定されるべき‘関心のある層’であると見なされる。
【0048】
図13(a)のイメージデータへの実施形態の適用は、図14で要約され、以下で説明される。
【0049】
検討中のパイプ90に類似する(すなわち、同じか又は極めて類似した材料から作られ、且つ、同じか又は極めて類似したサイズ及び構造を有している)他のパイプに適用される、図12におけるプローブ91のアレイの部分を形成する所与のプローブPからの訓練超音波スキャンPを考えると、オペレータは、図3(b)を参照して記載されたように、訓練スキャン上で他のパイプの後壁の近似(すなわち、必ずしも正確でない)位置を1つの色として他の色の背景に対して指示する。近似位置の各x座標について、図3(c)を参照して記載され且つ図14の左中心に表されているように、平均y座標が計算される。
【0050】
このタスクは、同様のパイプに対する同じプローブからの複数の訓練スキャンPについて繰り返される。xごとの平均yは、次いで、各xに対応する後壁のy座標の推定の組であるYを生成するために、全てのPにわたって平均化される。すなわち、Yは、検討中のパイプのスキャンに対するプローブPについての後壁位置の教師あり推定である(図4(c)及び図14の右中心の図に図示あり。)。教師あり推定は、次いで、教師あり推定の周りに境界領域Rを指定することによって、教師ありマスクを生成するために使用される(図4(d)に図示あり。)。この領域の境界は、Yに含まれる各y値の上下のある距離dとして指定される。要約すれば、Rは、教師ありマスク、すなわち、検討中のパイプにおいてプローブPによってなされたスキャンについて後壁が位置すると考えられ得る推定領域を形成する。
【0051】
関心のある層の発見のために解析される特定のPスキャンについて、逆投影セグメンテーションプロセスが、検討中のパイプの後壁の部分を形成してもしなくてもよい候補構造(セグメンテーション)CPSを特定するよう、教師ありマスク生成プロセスと直列に又は並行して、行われる(図5(b))。しかし、後壁の部分でないエコーの一部は、スキャンデータにおいて依然として残ることがある。
【0052】
教師ありマスクRは、次いで、スキャンPのセグメンテーションCPSに対して適用され、それにより、領域R内のCPSの要素のみが残る。これは、図6(c)に示されるように、マスキングをかけたセグメンテーションMPSを形成する。図示される例では、この段階で残っている構造はより少ないが、一方で、依然として2つの非後壁形状が図6(c)において可視的なままである。
【0053】
PSに含まれる各x値について、平均y位置は、図7(a)に示されるように、UPSを生成するためにとられる。最良適合の多項式曲線が、次いで、‘セグメント化された平均’の最終的な推定(すなわち、図7(b)に示されるように、スキャンPにおいて現れる後壁の平均位置LPS)を生成するために、全ての点UPSにわたってフィッティングされる。
【0054】
図8を参照して上述されたように、セグメント化された平均LPSと重なり合うセグメント化されたスキャンMPSの中の(あるいは、その上及び/又は下のある特定の領域の中の)構造は、後壁を形成する構造IPSであると見なされる。
【0055】
失われている後壁セグメントの位置は、後壁構造の部分が存在しないx領域であると見なされる(図9及び13(b)に図示あり。)。
【0056】
図10及び11を参照して上述されたように、最後に、イメージは、不具合パターン選択プロセスが実行される前に、不要なデータを除くようクロッピングされる(図14の最左の図を参照。)。
【0057】
実施形態は、超音波スキャンイメージ又は非破壊検査(NDT)イメージデータとともに使用されることに制限されず、マトリクスがイメージとして表されるかどうかに関わらず、層、壁、境界又は同様の構造を含むデータの如何なるマトリクスにも適用されてよい。更に、実施形態は、繊維ガラス構造とともに使用されることに制限されず、如何なる材料又はタイプのアイテム又は構造にも適用されてよい。
【0058】
例えば、実施形態は、例えば、特定の特性を示す地層を自動的に検出し、且つ/あるいは、それらの地層において不連続性を識別するために、地質学の分野において使用されてよい。
【0059】
実施形態は、検出される必要がある主要な大きいオブジェクトを含む如何なるイメージにも適用されてよい。例えば、自動車道路からの映像を捕捉するCCTVカメラは、自動車道路レーン及び硬路肩の両方からのイメージを含み得る。いくつかの用途において、硬路肩を違法に走る車を検出することが望まれることがある。他の用途では、例えば、車が存在しないイメージの無関係の部分を削除することによって、イメージデータのサイズを低減することが望まれることがある。実施形態は、主要道路を硬路肩から分離する白線をセグメント化するために、塗料の擦り切れ又は閉塞に起因した線の如何なる中断にも関わらず、適用されてよい。
【0060】
本発明の実施形態は、ハードウェアにおいて、若しくは1つ以上のプロセッサで実行されるソフトウェアモジュールとして、又はそれらを組み合わせて、実装されてよい。すなわち、当業者に明らかなように、マイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)が、上記の機能の一部又は全てを実装するために特に使用されてよい。
【0061】
本発明はまた、本明細書で記載される方法の一部又は全てを実行するための1つ以上のデバイス又は装置プログラム(例えば、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品)として具現化されてよい。本発明を具現化する斯様なプログラムは、コンピュータ読み出し可能な媒体に記憶されてよく、あるいは、例えば、1つ以上の信号の形をとってよい。斯様な信号は、インターネットウェブサイトからダウンロード可能であるか、あるいは、キャリア信号において又は何らかの他の形態で供給されるデータ信号であってよい。
【0062】
図15は、本発明を具現化する方法のステップの一部又は全てを実装し且つ実施形態の装置のタスクの一部又は全てを実行するために使用され得る、本発明を具現化するデータ記憶サーバのようなコンピューティングデバイスのブロック図である。例えば、図15のコンピューティングデバイスは、図1及び11に表されている方法の全てのステップを実装し、図2に示される装置1の全てのタスクを実行するために、あるいは、図1の方法におけるステップの一部のみを実装し、図2に示される装置1のタスクの一部のみを実行するために使用されてよい。
【0063】
コンピューティングデバイスは、プロセッサ993及びメモリ994を有する。任意に、コンピューティングデバイスはまた、他の斯様なコンピューティングデバイスとの、例えば、発明の実施形態の他のコンピューティングデバイスとの通信のためのネットワークインターフェイス997を含む。
【0064】
例えば、実施形態は、斯様なコンピューティングデバイスのネットワークから構成されてよい。任意に、コンピューティングデバイスは、キーボード及びマウス996のような1つ以上の入力メカニズムと、1つ以上のモニタ995のような表示ユニットとを更に含む。コンポーネントは、バス992を介してお互いに接続可能である。
【0065】
メモリ994は、コンピュータ読み出し可能な媒体を含んでよい。この語は、コンピュータ実行可能な命令を運ぶか又はデータ構造が記憶されるよう構成された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、中央集権化された若しくは分散されたデータベース並びに/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を指し得る。コンピュータ実行可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、特定目的コンピュータ、又は特定目的プロセッシングデバイス(例えば、1つ以上のプロセッサ)によってアクセス可能であって、それらに1つ以上の機能又は動作を実行させる命令及びデータを含んでよい。よって、語“コンピュータ読み出し可能な記憶媒体”はまた、機械による実行のための命令の組であって、機械に本開示の方法のいずれか1つ以上を実行させる命令の組を記憶、符号化又は搬送することが可能である如何なる媒体も含んでよい。語“コンピュータ読み出し可能な記憶媒体”は、固体状態メモリ、光学媒体及び磁気媒体を含むと然るべく解され得るが、それらに限られない。例として、制限なしに、斯様なコンピュータ読み出し可能な媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EEPROM)、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)若しくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス(例えば、固体状態メモリデバイス)を含む非一時的なコンピュータ読み出し可能な記憶媒体を含んでよい。
【0066】
プロセッサ993は、コンピューティングデバイスを制御し、プロセッシング動作、例えば、図1及び11を参照して記載され且つ特許請求の範囲で定義されている方法を実装するよう、メモリ994に記憶されているコンピュータプログラムコードを実行すること、を実行するよう構成される。例えば、斯様なコンピュータプログラムコードは、図2に表されており且つ上述された座標受取部10、境界領域指定部20、候補部分特定部30、マスク適用部40、及び推定部50のうちの少なくとも1つを実装してよい。メモリ994は、プロセッサ993によって読み出し及び書き込みされるデータを記憶する。本明細書で言及されるように、プロセッサは、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置、などのような1つ以上の汎用プロセッシングデバイスを含んでよい。プロセッサは、複数命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実装するプロセッサ若しくは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサを含んでよい。プロセッサはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、などのような1つ以上の特定目的プロセッシングデバイスを含んでよい。1つ以上の実施形態において、プロセッサは、本明細書で説明される動作及びステップを実行するための命令を実行するよう構成される。
【0067】
表示ユニット995は、コンピューティングデバイスによって記憶されているデータの表現を表示してよく、更には、コンピューティングデバイスに記憶されているデータ及びプログラムとユーザとの間のインタラクションを可能にするカーソル及びダイアログボックス並びにスクリーンを表示してよい。入力メカニズム996は、ユーザがデータ及び命令をコンピューティングデバイスに入力することを可能にしてよい。例えば、表示ユニット995及び/又は入力メカニズム996は、人間オペレータが少なくとも1つの訓練スキャンにおける関心のある部分の近似座標を入力することを可能にするよう構成されてよい。
【0068】
ネットワークインターフェイス(ネットワークI/F)997は、インターネットのようなネットワークへ接続されてよく、ネットワークを介して他の斯様なコンピューティングデバイスへ接続可能である。ネットワークI/F997は、ネットワークを介した他の装置との間でのデータ入出力を制御してよい。
【0069】
マイクロホン、スピーカ、プリンタ、電源、ファン、ケース、スキャナ、トラックボールなどのような他の周辺機器がコンピューティングデバイスに含まれてよい。
【0070】
本発明を具現化する方法は、図15に表されているようなコンピューティングデバイスで実行されてよい。斯様なコンピューティングデバイスは、図15に表されているあらゆるコンポーネントを有する必要はなく、それらのコンポーネントの一部から構成されてよい。本発明を具現化する方法は、ネットワークを介して1つ以上のデータ記憶サーバと通信する単一のコンピューティングデバイスによって実行されてよい。コンピューティングデバイスは、データの少なくとも一部を記憶するデータストレージ自体であってよい。
【0071】
本発明を具現化する方法は、お互いと協働する複数のコンピューティングデバイスによって実行されてよい。複数のコンピューティングデバイスのうちの1つ以上は、データの少なくとも一部を記憶するデータ記憶サーバであってよい。
【0072】
本発明の上記の実施形態は、有利なことに、その他の実施形態から独立して、又は1つ以上の他の実施形態との何らかの実現可能な組み合わせにおいて、使用されてよい。
【0073】
上記の実施形態に加えて、以下の付記を開示する。
(付記1)
解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つける、コンピュータにより実施される方法であって、前記データが検討中のアイテムから導出される前記方法において、
前記関心のある部分に対応すると見なされる訓練データにおける特徴の近似座標を取得し、前記訓練データが、前記解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであって、前記検討中のアイテムに類似したアイテムに関係があり、
前記特徴の前記近似座標によって定義されたエリアの周りに広がる境界領域を指定し、
前記関心のある部分のコンポーネントのための少なくとも1つの候補部分を、前記解析されるべきデータにおいて特定し、
マスキングをかけたデータを得るよう、前記解析されるべきデータから、前記境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除き、
前記マスキングをかけたデータから、前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分の位置の推定を導出する
ことを有する方法。
(付記2)
前記推定を導出することは、
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、
前記平均座標に対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、
前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定する
ことを有する、
付記1に記載の方法。
(付記3)
前記推定を導出することは、
前記マスキングをかけたデータに対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、
前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定する
ことを有する、
付記1に記載の方法。
(付記4)
前記推定を導出することは、
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、
前記関心のある部分を形成する構造として、前記マスキングをかけたデータの前記平均座標を囲む領域内にある前記候補部分を特定する
ことを有する、
付記1に記載の方法。
(付記5)
前記少なくとも1つの候補部分を特定することは、セグメンテーションプロセスを前記解析されるべきデータに適用することを有する、
付記1乃至4のうちいずれか一つに記載の方法。
(付記6)
前記近似座標を取得することは、人間オペレータによって供給された前記訓練データにおける特徴の座標を受け取ることを有する、
付記1乃至5のうちいずれか一つに記載の方法。
(付記7)
前記訓練データは、少なくとも2つの別個のデータ片を有し、
前記取得された近似座標は、前記関心のある部分に対応する可能性がある前記データ片における夫々の特徴の平均座標である、
付記1乃至6のうちいずれか一つに記載の方法。
(付記8)
前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分は、前記検討中のアイテムにおける層、壁又は境界のうちの1つである、
付記1乃至7のうちいずれか一つに記載の方法。
(付記9)
前記データは、前記検討中のアイテムの超音波スキャンデータから導出される、
付記8に記載の方法。
(付記10)
前記検討中のアイテムは、製造品及び製造において使用された品のうちの少なくとも1つである、
付記8又は9に記載の方法。
(付記11)
前記アイテムの少なくとも部分を形成する材料の構造的統合性、及び前記アイテムの少なくとも部分を形成する材料における欠陥のうちの少なくとも1つを決定する目的で前記検討中のアイテムにおいて不具合を検出するための付記8又は9又は10に記載の方法の使用。
(付記12)
解析されるべきイメージ又はマトリクスデータにおいて関心のある部分の位置を見つけるデータ処理装置であって、前記データが検討中のアイテムから導出される前記データ処理装置において、
前記関心のある部分に対応すると見なされる訓練データにおける特徴の近似座標を受け取る座標受取部であり、前記訓練データが、前記解析されるべきデータも取得したデバイスによって取得されたデータであって、前記検討中のアイテムに類似したアイテムに関係がある、前記座標受取部と、
前記特徴の前記近似座標によって定義されたエリアの周りに広がる境界領域を指定する境界領域指定部と、
前記関心のある部分のコンポーネントのための少なくとも1つの候補部分を前記解析されるべきデータにおいて特定する候補部分特定部と、
前記解析されるべきデータから、前記境界領域の外にある座標を有している如何なる候補部分も除くことによって、マスキングをかけたデータを取得するマスク適用部と、
前記マスキングをかけたデータから、前記解析されるべきデータにおける前記関心のある部分の位置の推定を導出する推定部と
を有するデータ処理装置。
(付記13)
前記推定部は、
前記マスキングをかけたデータの平均座標を決定し、
前記平均座標に対して最良適合の多項式曲線をフィッティングし、
前記関心のある部分を形成する構造として、前記最良適合の多項式曲線を囲む領域内にある前記候補部分を特定する
ことによって、推定を導出する、
付記12に記載のデータ処理装置。
(付記14)
前記訓練データは、少なくとも2つの別個のデータ片を有し、
前記取得された近似座標は、前記関心のある部分に対応する可能性がある前記データ片における夫々の特徴の平均座標である、
付記12又は13に記載のデータ処理装置。
(付記15)
前記座標受取部によって受け取られる前記近似座標は、人間オペレータによって供給された前記訓練データにおける特徴の座標である、
付記12乃至14のうちいずれか一つに記載のデータ処理装置。
【符号の説明】
【0074】
1 データ処理装置
10 座標受取部
20 境界領域指定部
30 候補部分特定部
40 マスク適用部
50 推定部
90 繊維ガラスパイプ
91 プローブ
992 バス
993 プロセッサ
994 メモリ
995 表示ユニット
996 入力メカニズム
997 ネットワークインターフェイス
CPS 候補構造
IPS 関心のある部分(層)
LPS 平均位置(セグメント化された平均)
MPS マスキングをかけたデータ
PS スキャン
RP 境界領域(教師ありマスク)
UPS 平均座標値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15