(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/08 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
B66F9/08 F
(21)【出願番号】P 2019118556
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石田 大樹
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260647(JP,A)
【文献】特開平01-206187(JP,A)
【文献】実開昭58-037913(JP,U)
【文献】特開平11-248058(JP,A)
【文献】実開昭54-013010(JP,U)
【文献】特開2007-063871(JP,A)
【文献】実開昭60-040877(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
F16L 19/02-19/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平板部及び第2平板部によってL字状に形成され、前記第1平板部がマストに固定されるブラケットと、
第1油圧配管材と第2油圧配管材とを繋ぐとともに前記第2平板部に固定されるエルボ型継手と、
前記第2平板部から前記エルボ型継手が抜けることを防止するスナップリングと、
を備え、
前記ブラケットは、前記第2平板部に非真円の貫通孔が形成され、
前記エルボ型継手は、
L字状の通路を有する本体部と、
前記L字状の通路の一端に繋がる通路を有し、前記第1油圧配管材が結合される第1連結部と、
前記L字状の通路の他端に繋がる通路を有し、前記第2油圧配管材が結合される第2連結部と、
前記非真円の貫通孔から前記第1連結部が突出した状態で前記非真円の貫通孔に嵌合する嵌合部と、
前記非真円の貫通孔から突出する部位に形成されるスナップリング溝と、
を有し、
前記スナップリング溝に前記スナップリングが嵌め込まれることによって、前記エルボ型継手が前記第2平板部に固定されて
おり、
前記嵌合部は、前記本体部の上面において前記本体部の上面よりも小さな断面積にて柱状に延びており、
前記第1連結部は、前記嵌合部の上面よりも小さな断面積にて柱状に延びており、
前記第2平板部の板厚をt1、前記嵌合部の高さをH1としたときに、t1≧H1の関係が成り立つことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記貫通孔及び前記嵌合部の形状として多角形をなすことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記貫通孔及び前記嵌合部の形状として楕円形をなすことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記貫通孔及び前記嵌合部の形状として台形をなすことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
配管用の継手をブラケットにボルトで固定する技術があり、限られたスペースに配置する場合にはエルボ型継手を用いる。特許文献1に開示の産業車両の配管構造においては、継手部材と第2の油圧ホースの間に板状のブラケットが配置され、ブラケットは継手部材の他方の連結部が挿通し得る貫通孔を有するとともに貫通孔の周囲において継手部材の本体部が嵌入しかつ回転不能に係合し得る係合凹部が形成された隆起部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、フォークリフトにおいて狭いスペースで配管するためには角度の指示が必要であり(所定角度にするが)、ブラケットに隆起部をプレス加工により形成するため隆起代及び幅が必要であり、ブラケットが大きくなってしまい、狭いスペースに配置するには不向きである。
【0005】
本発明の目的は、狭いスペースにもブラケットにエルボ型継手を所望の角度で容易に固定することができるフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのフォークリフトは、第1平板部及び第2平板部によってL字状に形成され、前記第1平板部がマストに固定されるブラケットと、第1油圧配管材と第2油圧配管材とを繋ぐとともに前記第2平板部に固定されるエルボ型継手と、前記第2平板部から前記エルボ型継手が抜けることを防止するスナップリングと、を備え、前記ブラケットは、前記第2平板部に非真円の貫通孔が形成され、前記エルボ型継手は、L字状の通路を有する本体部と、前記L字状の通路の一端に繋がる通路を有し、前記第1油圧配管材が結合される第1連結部と、前記L字状の通路の他端に繋がる通路を有し、前記第2油圧配管材が結合される第2連結部と、前記非真円の貫通孔から前記第1連結部が突出した状態で前記非真円の貫通孔に嵌合する嵌合部と、前記非真円の貫通孔から突出する部位に形成されるスナップリング溝と、を有し、前記スナップリング溝に前記スナップリングが嵌め込まれることによって、前記エルボ型継手が前記第2平板部に固定されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、ブラケットの非真円の貫通孔にエルボ型継手の嵌合部が嵌合することにより回転不能となり、所望の角度で狭いスペースにおいてもブラケットにエルボ型継手が固定される。エルボ型継手のスナップリング溝にスナップリングが嵌め込まれることによってエルボ型継手が第2平板部に固定される。よって、狭いスペースにもブラケットにエルボ型継手を所望の角度で容易に固定することができる。
【0008】
また、フォークリフトにおいて、前記貫通孔及び前記嵌合部の形状として多角形をなすとよい、
また、フォークリフトにおいて、前記貫通孔及び前記嵌合部の形状として楕円形をなすとよい。
【0009】
また、フォークリフトにおいて、前記貫通孔及び前記嵌合部の形状として台形をなすとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、狭いスペースにもブラケットにエルボ型継手を所望の角度で容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】(a)はフォークリフトの前部の斜視図、(b)はフォークリフトの前部を拡大して示す斜視図。
【
図5】(a)は油圧配管継手の固定部の分解斜視図、(b)は油圧配管継手の固定部の斜視図。
【
図6】(a)はブラケットの平面図、(b)は(a)のA-A線での断面図。
【
図7】(a)は継手を示す平面図、(b)は(a)のA-A線での断面図、(c)は継手を示す正面図。
【
図8】(a)~(d)は別例のブラケットの平面図。
【
図9】(a)は比較例における油圧配管継手の固定部の分解斜視図、(b)は比較例における油圧配管継手の固定部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、フォークリフト10はバッテリフォークリフトであって、電動モータにて走行・荷役作業を行うフォークリフトである。フォークリフト10の車体11の前側下部には駆動輪(前輪)12が設けられ、車体11の後側下部には操舵輪(後輪)13が設けられている。
【0013】
荷役装置を構成するマスト14は車体11の前部に立設されている。マスト14は車体11に対して前後に傾動可能に支持された左右一対のアウタマスト14aと、これにスライドして昇降するミドルマスト14bと、これにスライドして昇降するインナマスト14cとからなる。マスト14にはリフト用リアシリンダ15及びリフト用フロントシリンダ16(
図2(a)参照)が配設されている。インナマスト14cの内側にはフォーク17を備えたリフトブラケット18が昇降可能に支持されている。リフト用リアシリンダ15の伸縮作動及びリフト用フロントシリンダ16の伸縮作動によりフォーク17をリフトブラケット18とともに昇降させることができるようになっている。
【0014】
左右一対のティルトシリンダ19は、その基端側が車体(車体フレーム)11に対して回動可能に連結されるとともに、先端側がアウタマスト14aの側面に回動可能に連結されている。マスト14はティルトシリンダ19が伸縮駆動されることで前後に傾動する。
【0015】
運転室20には運転者が着座可能な運転シート21が設けられている。運転シート21の前方には、ハンドルコラム22が設けられ、ハンドルコラム22には、操舵輪13の舵角を変更するための操舵ハンドル23が装着されている。運転室20の前側にリフトレバー24およびティルトレバー25が装備されている。リフトレバー24はフォーク17を昇降させるためのレバーであり、ティルトレバー25はマスト14を前後方向に傾動させるためのレバーである。運転席の床面にはアクセルペダル26が設けられ、アクセルペダル26の操作量(アクセル開度)に応じた車速にされる。
【0016】
また、ハンドルコラム22の側面にはディレクションレバー(前後進レバー)27が設けられ、ディレクションレバー27は車両の走行方向(進行方向)を指示するためのものである。
【0017】
車体11にはバッテリ28、走行モータ(走行用電動モータ)29および荷役モータ(荷役用電動モータ)30が搭載されている。バッテリ28により走行モータ29を駆動させ、駆動輪12が駆動されるようになっている。詳しくは、走行モータ29の出力軸が駆動輪12の回転軸と減速機を介して連結されており、走行モータ29の駆動により出力軸が回転するとその回転に伴って駆動輪12の回転軸が回転して駆動輪12が駆動される。
【0018】
また、バッテリ28により荷役モータ30が駆動され、この荷役モータ30の駆動により油圧ポンプ(図示略)が駆動される。この油圧ポンプの駆動に基づいてリフト用のシリンダ15,16やティルトシリンダ19を伸縮動作してフォーク17の上下動やティルト動作を行うことができるようになっている。
【0019】
図2(a)に示すように、フォークリフト10は、車体11の前部に装着される左右一対のアウタマスト14aと、左右一対のアウタマスト14aの内側に配置される左右一対のミドルマスト14bと、左右一対のミドルマスト14bの内側に配置される左右一対のインナマスト14cと、を備えている。左右一対のミドルマスト14bは、左右一対のアウタマスト14aの内側で左右一対のアウタマスト14aに沿って昇降する。左右一対のインナマスト14cは、左右一対のミドルマスト14bの内側で左右一対のミドルマスト14bに沿って昇降する。よって、本実施形態のフォークリフト10は、3段マスト式である。
【0020】
左右一対のインナマスト14cには、左右一対のインナマスト14cと共に昇降するリフトブラケット18が支持されている。リフトブラケット18には、左右一対のフォーク17が装着されている。また、リフトブラケット18は、各種アタッチメントの着脱を可能とする。各種アタッチメントとしては、例えば、左右一対のフォーク17の左右動作、傾動動作、又は回転動作を可能とするアタッチメントがある。
【0021】
左右一対のミドルマスト14bの後方には、作動油により作動するリフト用リアシリンダ15が左右一対のアウタマスト14aに沿ってそれぞれ配設されている。各リフト用リアシリンダ15のピストンロッド15aの上端は、左右一対のミドルマスト14bの上部とそれぞれ連結されている。
【0022】
また、左右一対のミドルマスト14bの上部の後面には、図示しないリフトチェーン用プーリがそれぞれ設けられている。各リフトチェーン用プーリには、図示しないリフトチェーンが掛装されている。そして、各リフト用リアシリンダ15のピストンロッド15aの駆動により、各リフトチェーンを介して左右一対のミドルマスト14bが左右一対のアウタマスト14aに沿って昇降するとともに、左右一対のインナマスト14cが左右一対のミドルマスト14bに沿って昇降する。
【0023】
図2(b)に示すように、左右一対のインナマスト14cの間の下部には、リフト用フロントシリンダ16が立設されている。リフト用フロントシリンダ16のピストンロッド16aの上端部には、左右一対のチェーン用プーリ31が装着されている。左右一対のチェーン用プーリ31には、チェーン32がそれぞれ掛装されている。各チェーン32の一端は、各インナマスト14cに連結されるとともに、各チェーン32の他端は、リフトブラケット18に連結されている。そして、リフト用フロントシリンダ16のピストンロッド16aの駆動により、チェーン32を介して、リフトブラケット18が左右一対のインナマスト14cに沿って昇降する。
【0024】
図2(b)に示すように、リフト用フロントシリンダ16のピストンロッド16aの上端面には支持部材33が取り付けられている。
支持部材33には、プーリ34が設けられている。プーリ34には複数の油圧ホース35が掛装されている。複数の油圧ホース35は、各種アタッチメントを駆動するための作動油が流れる。本実施形態において、プーリ34には、4本の油圧ホース35が掛装されている。
【0025】
以下、
図3、
図4、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)を用いて、アタッチメント駆動用油圧ホース35の油圧配管継手の固定構造について説明する。
【0026】
なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
図5(a)、
図5(b)に示すように、油圧配管継手の固定構造は、1つのブラケット50と、2つのエルボ型継手60と、2つのスナップリング90と、を備える。2つのエルボ型継手60のうちの一方のエルボ型継手60を用いて第1の油圧ホースが延在し、他方のエルボ型継手60を用いて第2の油圧ホースが延在し、第1の油圧ホースを用いて第1アタッチメント用アクチュエータに作動油が供給され、第2の油圧ホースを用いて第1アタッチメント用アクチュエータからの作動油が戻される。
【0027】
なお、
図2(b)での4本の油圧ホース35のうちの2本を、
図3、
図4、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)において示しており、
図2(b)での4本の油圧ホース35のうちの他の2本、即ち、第2アタッチメント用アクチュエータに作動油を供給する油圧ホース及び第2アタッチメント用アクチュエータからの作動油を戻す油圧ホースについては、同様の構成なので説明は省略する。
【0028】
図3、
図4、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、
図6(b)に示すように、ブラケット50は、第1平板部51及び第2平板部52によってL字状に形成されている。ブラケット50の第1平板部51は、Z方向に延びている。ブラケット50の第2平板部52は、先端部側がX方向に延びている。ブラケット50の第1平板部51がマスト14に固定される。詳しくは、ブラケット50の第1平板部51には上下一対の取付用貫通孔51aが形成され、取付用貫通孔51aを通してボルトをインナマスト14cに螺入することによりブラケット50をインナマスト14cに締結することができる。
【0029】
エルボ型継手60は、
図7(b)に示すように、第1油圧配管材としての第1油圧ホース70と第2油圧配管材としての第2油圧ホース80とを繋ぐとともにブラケット50の第2平板部52を貫通する状態で第2平板部52に固定される。
【0030】
スナップリング90は、第2平板部52からエルボ型継手60が抜けることを防止するためのものである。
図5(a)、
図6(a)、
図6(b)に示すように、ブラケット50は、第2平板部52に一対の非真円の貫通孔55が隣接して形成されている。各非真円の貫通孔55は多角形である四角形をなす。貫通孔55は、エルボ型継手60における後記する第1連結部62が挿通し得る大きさとなっている。
【0031】
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)に示すように、エルボ型継手60は、本体部61と、本体部61に対し上方向に延びる第1連結部62と、本体部61から水平方向に延びる第2連結部63と、本体部61と第1連結部62との間に位置する嵌合部64と、スナップリング溝65と、を有する。
【0032】
本体部61は、
図7(c)に示すように四角柱状をなし、L字状に延びている。本体部61は、
図7(b)に示すように、通路61aがL字状に延びている。即ち、本体部61は、L字状の通路61aを有する。
図7(a)、
図7(c)に示すように、第1連結部62は、円柱状をなし、本体部61に対し上方に延びている。第1連結部62は、
図7(b)に示すように、中心において、L字状の通路61aの一端に繋がる通路62aを有する。第1連結部62は、その外周面に第1油圧ホース70が差し込まれることにより第1油圧ホース70が結合される。第1油圧ホース70は上下方向(Z方向)に延在する。
【0033】
図7(a)、
図7(c)に示すように、第2連結部63は、円柱状をなし、本体部61から水平方向に延びている。第2連結部63は、
図7(b)に示すように、中心において、L字状の通路61aの他端に繋がる通路63aを有する。第2連結部63は、その外周面に第2油圧ホース80が差し込まれることにより第2油圧ホース80が結合される。第2油圧ホース80は水平方向に延在する。
【0034】
このように、エルボ型継手60に結合された第1油圧ホース70と第2油圧ホース80とは90度向きが変えられている。
第1連結部62と本体部61との間に位置する嵌合部64は、四角柱状をなしている。四角形をなす本体部61の上面において本体部61の上面よりも小さな四角柱状の嵌合部64が上方に延びており、嵌合部64の上面において嵌合部64の上面よりも小さな円柱状の第1連結部62が上方に延びている。嵌合部64の外周部はブラケット50の貫通孔55より若干小さく、嵌合部64は、ブラケット50の非真円の貫通孔55から第1連結部62が突出した状態でブラケット50の非真円の貫通孔55に嵌合する。詳しくは、本体部61の上端面がブラケット50に当接する状態で第1連結部62がブラケット50の貫通孔55に挿通するとともに嵌合部64が貫通孔55に嵌合する。
【0035】
ここで、
図3に示すように、嵌合部64がブラケット50の貫通孔55に嵌合する状態において、エルボ型継手60の第2連結部63の延びる方向とX方向とでなす角度θ1は予め定めた角度となっている。つまり、ブラケット50の第2平板部52の先端部側がX方向に延びているが、このX方向に対しエルボ型継手60の第2連結部63が予め定めた角度θ1で支持されている。これは、マスト内方部分は非常に狭いので他の部品と干渉しないような角度としている。
【0036】
図7(b)に示すように、ブラケット50の板厚t1と、エルボ型継手60における嵌合部64の高さH1とは等しくなっている。
このように、本実施形態では、ブラケット50の貫通孔55、及び、貫通孔55に嵌合するエルボ型継手60の嵌合部64の形状として、多角形である四角形をなしている。
【0037】
図7(a)、
図7(b)に示すように、スナップリング溝65は、非真円の貫通孔55から突出する部位に形成されている。
図5(a)、
図5(b)に示すように、スナップリング90は、エルボ型継手60の第1連結部62におけるブラケット50から突出する部位に形成されたスナップリング溝65に嵌め込まれる。つまり、ブラケット50から突出する部位に形成されたスナップリング溝65にスナップリング90が嵌め込まれている。即ち、スナップリング溝65にスナップリング90が嵌め込まれることによって、エルボ型継手60が第2平板部52に固定されている。
【0038】
次に、作用について説明する。
マストに取り付ける前においてエルボ型継手60を組み立てる際には、ブラケット50の第2平板部52の下方から、エルボ型継手60の第1連結部62をブラケット50の貫通孔55に挿通して嵌合部64をブラケット50の貫通孔55に嵌合する。貫通孔55は非真円であるので、ブラケット50に対しエルボ型継手60は回転できなくなる。
【0039】
そして、本体部61の上面がブラケット50に当接する状態で、スナップリング90を、エルボ型継手60のスナップリング溝65に嵌め込む。
そして、ブラケット50をインナマスト14cにボルト締結にて固定する。引き続き、エルボ型継手60の第1連結部62に第1油圧ホース70を連結するとともにエルボ型継手60の第2連結部63に第2油圧ホース80を連結する。
【0040】
図9(a)、
図9(b)は比較例である。
図9(a)に示すように、ブラケット100はL字状かつ板状をなし、第1平板部101と第2平板部102を有し、第2平板部102に真円の貫通孔102aが形成されている。エルボ型継手110の連結部111をブラケット100の下側から貫通孔102aに通し、ブラケット100の上側においてナット120を連結部111に螺入する。これにより、
図9(b)に示すように、エルボ型継手110の連結部111がブラケット100に取り付けられる。
【0041】
このとき、フォークリフトのマスト内の油圧ホースを接続するためにエルボ型継手110をアッセンブリにしているがアッセンブリはブラケット100、ナット120、エルボ型継手110を組み合わせてできているため、エルボ型継手110をナット120で締め付ける工数が必要であるとともに、エルボ型継手110の角度を決めるための治具等が必要であり、さらに、ナット120を締めて固定しているためトルク指示があるとともにエルボ型継手110に角度指示がある。
【0042】
本実施形態では、エルボ型継手60の嵌合部64を四角形に加工するとともにその上にスナップリング溝65を加工し、貫通孔55とエルボ型継手60の嵌合によってエルボ型継手60の角度が決まるようにした。比較例の貫通孔102aは真円であるため回転する(ナット120の締め付けの際等)可能性があるが、本実施形態の貫通孔55は非真円であるため回転しない。よって、
図9(a)、
図9(b)の比較例に比べ、エルボ型継手60のアッセンブリを組み立てる際に、組立工数の削減が図られるとともにエルボ型継手の角度決めが容易となる。詳しくは、ナット120ではなくスナップリング90を嵌めればよいのでナット120を締める作業を削減でき工数の低減が図られる。また、トルク指示も不要となる。さらに、角度決めのための治具が不要となるとともに角度調整も不要となり、誰でも簡単に作業ができる。
【0043】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)フォークリフト10の構成として、第1平板部51及び第2平板部52によってL字状に形成され、第1平板部51がマスト14に固定されるブラケット50と、第1油圧配管材としての第1油圧ホース70と第2油圧配管材としての第2油圧ホース80とを繋ぐとともに第2平板部52に固定されるエルボ型継手60と、第2平板部52からエルボ型継手60が抜けることを防止するスナップリング90と、を備える。ブラケット50は、第2平板部52に非真円の貫通孔55が形成されている。エルボ型継手60は、L字状の通路61aを有する本体部61と、L字状の通路61aの一端に繋がる通路62aを有し、第1油圧配管材としての第1油圧ホース70が結合される第1連結部62と、L字状の通路61aの他端に繋がる通路63aを有し、第2油圧配管材としての第2油圧ホース80が結合される第2連結部63と、非真円の貫通孔55から第1連結部62が突出した状態で非真円の貫通孔55に嵌合する嵌合部64と、非真円の貫通孔55から突出する部位に形成されるスナップリング溝65と、を有する。スナップリング溝65にスナップリング90が嵌め込まれることによって、エルボ型継手60が第2平板部52に固定されている。
【0044】
よって、ブラケット50は、非真円の貫通孔55を有するので回転規制部を有する形状となり、回転しない。つまり、ブラケット50の非真円の貫通孔55にエルボ型継手60の嵌合部64が嵌合することにより回転不能となり、所望の角度で狭いスペースにおいてもブラケット50にエルボ型継手60が固定される。エルボ型継手60のスナップリング溝65にスナップリング90が嵌め込まれることによってエルボ型継手60が第2平板部52に固定される。よって、狭いスペースにもブラケット50にエルボ型継手60を所望の角度で容易に固定することができる。
【0045】
(2)貫通孔55及び嵌合部64の形状として多角形をなすので位置決めが容易である。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0046】
○ 貫通孔及び嵌合部の形状として、四角形(
図6(a)の貫通孔55参照)としたが、これに限るものではなく、回転できないものであればよい。
例えば、貫通孔及び嵌合部の形状として、多角形である六角形(
図8(a)の貫通孔56参照)としてもよい。
【0047】
他にも、貫通孔及び嵌合部の形状として、楕円形(
図8(b)の貫通孔57参照)としてもよい。
他にも、貫通孔及び嵌合部の形状として、台形(
図8(c)の貫通孔58参照)としてもよい。つまり、平行な下底58a及び上底58bと、左右の脚58c,58dとを有する形状としてもよい。
【0048】
他にも、貫通孔及び嵌合部の形状として、扇状(
図8(d)の貫通孔59参照)としてもよい。つまり、直角なる等しい長さの辺59a,59bと、辺59a,59bの先端を繋ぐ円弧59cとを有する形状としてもよい。
【0049】
○
図7(b)に示すように、ブラケット50の板厚t1と、エルボ型継手60の嵌合部64の高さH1とは等しくしたが(t1=H1)、これに限らない。ブラケット50の板厚t1に比べ、エルボ型継手60の嵌合部64の高さH1は小さくてもよい(t1>H1)。つまり、
図7(c)における板厚分だけ四角形の嵌合部64が嵌合していたが、
図7(c)における貫通孔55の下の部分のみに四角形の嵌合部64が嵌合していてもよい。
【0050】
○ 油圧配管材として油圧ホースを用いたが油圧配管材として油圧パイプを用いてもよい。つまり、第1油圧配管材としての第1油圧ホース70と第2油圧配管材としての第2油圧ホース80とを用いたが、これに代わり、第1油圧配管材としての第1油圧パイプと第2油圧配管材としての第2油圧パイプを用いてもよい。
【0051】
○ アタッチメント用配管に適用したが、これに限ることなく、他の油圧配管にて適用してもよい、
【符号の説明】
【0052】
10…フォークリフト、50…ブラケット、51…第1平板部、52…第2平板部、55,56,57,58,59…貫通孔、60…エルボ型継手、61…本体部、62…第1連結部、63…第2連結部、64…嵌合部、65…スナップリング溝、70…第1油圧ホース、80…第2油圧ホース、90…スナップリング。