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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20230124BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230124BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q1/14
A61Q19/10
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/891
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019169363
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2020066623
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2018199703
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100217869
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 邦久
(72)【発明者】
【氏名】村井 将紀
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝治
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-88883(JP,A)
【文献】特開2017-222580(JP,A)
【文献】特開2016-185932(JP,A)
【文献】特開2012-158550(JP,A)
【文献】特表2016-535047(JP,A)
【文献】特開2018-534310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)を5~35質量%、成分(B)を5~20質量%、成分(C)を10~35質量%、成分(D)を10~40質量%含有することを特徴とするクレンジング組成物。
(A)ポリオキシエチレン(5~30)モノ脂肪酸グリセリル
(B)ポリオキシエチレン(5~30)グリセリン
(C)炭素数が2~6である多価アルコール
(D)25℃で液状である油性成分
【請求項2】
さらに、成分(E)としてHLBが2~6であり、多価アルコール骨格を有する非イオン性界面活性剤を5~25質量%含有する、請求項1に記載のクレンジング組成物。
【請求項3】
加えて、成分(F)としてアニオン性界面活性剤を0.1~10質量%含有する、請求項1又は2に記載のクレンジング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング組成物に関する。より詳細には、本発明は、使用時に少量の水にぬれた状態であっても、高いクレンジング力を維持すると共に、外観の透明性を保ち、更に洗い流し時のすすぎ性が良好なクレンジング組成物に関する。
【0002】
近年、メイクの耐久性及び耐水性が向上したことにより、水性クレンジング化粧料よりもクレンジング力が強い油性クレンジング化粧料が多く使用されている。油性クレンジング化粧料は多量の油性成分と界面活性剤で構成されていることから、メイクとの馴染みが良く、優れたクレンジング力を有している。しかし、油性クレンジング化粧料を手や顔が濡れた状態で使用する際に少量でも水が混入すると、乳化状態となり、著しくクレンジング力が落ちることがあった。更にクレンジング後のすすぎ時において、肌に油性成分特有のべたつき感が残ることで、使用感が悪いという欠点があった。
【0003】
そのような背景の下、肌が少量の水に濡れた状態であっても、高いクレンジング力を維持し、優れた洗い流し性を維持することができる油性クレンジング化粧料が報告されている(特許文献1)。また、濡れた皮膚に使用してもメイクとの馴染みが良く、クレンジング効果に優れ、水で容易に洗い流すことができ、保存安定性の良好なクレンジング化粧料が報告されている(特許文献2)。
【0004】
一方、近年では見た目の高級感及び高純度成分の使用を想起させるといった付加価値向上の観点から外観の透明性が高い化粧料が強く求められている。しかしながら、従来技術における油性クレンジング化粧料では、水の混入時において、クレンジング力は優れているものの、外観の透明性が低下してしまうといった問題があり、水の混入時におけるクレンジング力と外観の透明性を両立した油性クレンジング化粧料は提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-237646
【文献】特開2000-327529
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の事情を鑑み、乳化に対して安定し、耐水性に優れていることから、水が混入した状態においてもクレンジング力が優れ、また水の混入前後において、外観の透明性が保たれており、更に洗い流し時のすすぎ性が良好なクレンジング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の非イオン性界面活性剤及び多価アルコール等を用いることで上記目的を達成できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明のクレンジング組成物は、以下の成分(A)を5~35質量%、成分(B)を5~20質量%、成分(C)を10~35質量%、成分(D)を10~40質量%含有することを特徴とする。
(A)ポリオキシエチレン(5~30)モノ脂肪酸グリセリル
(B)ポリオキシエチレン(5~30)グリセリン
(C)炭素数が2~6である多価アルコール
(D)25℃で液状である油性成分
【0009】
さらに、本発明のクレンジング組成物は、成分(E)としてHLBが2~6であり、多価アルコール骨格を有する非イオン性界面活性剤を5~25質量%含有し得る。
【0010】
加えて、本発明のクレンジング組成物は、成分(F)としてアニオン性界面活性剤を0.1~10質量%含有し得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、近年、メイクの耐久性及び耐水性が向上したことに対応し、多く使用されるようになった油性クレンジング化粧料の分野において、水の混入時に乳化状態となって、クレンジング力及び外観の透明性が共に低下すること、更にクレンジング後のすすぎ時において、使用感が悪いという従来技術における問題に対して、水の混入時であっても、乳化に対して安定した耐水性を有していることから、メイクとの馴染みが良く、クレンジング力に優れていること、また水の混入前後において、外観の透明性を保つことができるため、見た目の高級感及び高純度成分の使用を想起させるといった付加価値を向上させていること、更に洗い流し時のすすぎ性が良好であることから、肌に油性成分特有のべたつき感が残らず、使用感が良いこと、という効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のクレンジング組成物における成分(A)について、順に説明する。
【0013】
<成分(A)ポリオキシエチレン(5~30)モノ脂肪酸グリセリル>
本発明は、成分(A)としてポリオキシエチレン(5~30)モノ脂肪酸グリセリルを使用することを特徴の一つとする。
【0014】
具体的なポリオキシエチレン(5~30)モノ脂肪酸グリセリルとしては、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
このうち、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリルが好ましい。
【0015】
成分(A)の配合量は、5~35質量%であり、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは10~25質量%である。5質量%未満であると、クレンジング力が低下する可能性があり、35質量%を超えると、すすぎ性が低下する可能性がある。
【0016】
また、括弧内の数値はオキシエチレンの付加モル数を表しており、成分(A)のオキシエチレンの付加モル数は、5~30であり、好ましくは5~20であり、より好ましくは5~10である。5未満であると、安定な組成物を得ることができず、30を超えるとクレンジング力が低下する可能性がある。
【0017】
<成分(B)ポリオキシエチレン(5~30)グリセリン>
本発明は、成分(B)としてポリオキシエチレン(5~30)グリセリンを使用することを特徴の一つとする。
【0018】
成分(B)の配合量は、5~20質量%であり、好ましくは5~15質量%であり、より好ましくは10~15質量%である。5質量%未満であると、安定な組成物を得ることができず、20質量%を超えると、水が混入した状態における組成物の透明性が低下する可能性がある。
【0019】
成分(B)のオキシエチレンの付加モル数は、5~30であり、好ましくは5~20であり、より好ましくは5~10である。5未満であると、安定な組成物を得ることができず、30を超えると、ベタつきの要因となり、すすぎ性が低下する可能性がある。
【0020】
また、(A)/(B)の割合としては1~5が好ましく、より好ましくは2~4である。(A)/(B)の割合が1未満の場合は水が混入した状態における組成物の透明性が低下する可能性があり、5を超える場合はクレンジング力が低下する可能性がある。
【0021】
<成分(C)炭素数が2~6である多価アルコール>
本発明は、成分(C)として炭素数が2~6である多価アルコールを使用することを特徴の一つとする。
【0022】
具体的な炭素数が2~6である多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、グルコース、マルトース、ソルビトールなどが挙げられる。好ましくは1,3-ブチレングリコール、グリセリンである。これらの成分(C)は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0023】
成分(C)の含有量は、10~35質量%であり、好ましくは15~30質量%である。10質量%未満であると、安定な製剤が得られず、水が混入した状態における組成物の透明性が低下する可能性があり、35質量%を超えると、すすぎ性が悪くなる可能性がある。
【0024】
<成分(D)25℃で液状である油性成分>
本発明は、成分(D)として25℃で液状である油性成分を使用することを特徴の一つとする。
【0025】
25℃で液状の油剤としては、エステル油やトリグリセリド等の極性油、炭化水素油やシリコーン油等の非極性油が挙げられ、中でもエステル油やトリグリセリド等の極性油を含有することが好ましい。
【0026】
25℃で液状のエステル油としては、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、2-エチルへキサン酸ステアリル、2-エチルへキサン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジデシル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸バチル、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン脂肪酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、リシノレイン酸セチル、ロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどが例示できる。かかるエステル油として、これらの1種または2種以上を用いることができる。
好ましいエステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシルが挙げられる。
【0027】
25℃で液状のトリグリセリドとしては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸など炭素数6以上の高級脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド;オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ヒマシ油、ツバキ油などの動植物油脂類;などが例示できる。かかるトリグリセリドとして、これらの1種または2種以上を用いることができる。
好ましいトリグリセリドとしては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸などの炭素数6~10の高級脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド、又はこれら高級脂肪酸の混合物とグリセリンのトリグリセリド、例えばトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリド、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルが挙げられる。
【0028】
25℃で液状の炭化水素油としては、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、テトラデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、α-オレフィンオリゴマーなどが例示できる。
好ましい炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、スクワランである。かかる炭化水素油として、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0029】
25℃で液状のシリコーン油としては、ジメチコン、シクロメチコン、フェニルジメチコンなどが例示できる。好ましいシリコーン油としては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシクロメチコンである。かかるシリコーン油として、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
成分(D)の含有量は、10~40質量%であり、好ましくは15~35質量%であり、特に好ましくは20~30質量%である。10質量%未満の場合、クレンジング力が不十分となることがあり、40質量%を超える場合、すすぎ性が悪くなることがある。
【0031】
<成分(E)HLBが2~6である非イオン性界面活性剤>
本発明のクレンジング組成物は、成分(E)としてHLBが2~6である非イオン性界面活性剤を含有してもよい。成分(E)を使用することで、クレンジング力が向上し、洗い流し時のすすぎに優れた効果を得ることができる。
【0032】
成分(E)のHLBは、2~6であり、好ましくは3~6であり、より好ましくは4~6である。HLBが2未満である場合は安定な組成物が得られず、HLBが6を超える場合は十分なクレンジング力を与えることができない可能性がある。
【0033】
具体的なHLBが2~6である非イオン性界面活性剤としては、PEG-2水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油などのポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5~15)トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレン(5~15)トリヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン(5~10)トリオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレン(5~10)トリステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレン(5~10)トリイソステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。
このうち、特にクレンジング力の観点から、ポリオキシエチレン(5~10)トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレン(5~10)トリヤシ油脂肪酸グリセリルが好ましい。
【0034】
成分(E)の配合量は、5~25質量%であれば、クレンジング力やすすぎ性をさらに高めることができる点で好ましく、より好ましくは10~20質量%である。
【0035】
ここで、上記HLB値は、川上の提唱した下記式によって求めることができる(川上:科学,23,546(1953))。
HLB値=7+11.7・Log(MW/MO)
(ここでMWは親水基部の分子量、MOは親油基部の分子量を表す。)
【0036】
<成分(F)アニオン性界面活性剤>
本発明のクレンジング組成物は、成分(F)としてアニオン性界面活性剤を含有しても良い。成分(F)を使用することで、クレンジング力が向上し、洗い流し時のすすぎに優れた効果を得ることができる。
【0037】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアミドエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルイセチオン酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルポリペプチド塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩が好ましい。これらのアルキル基、もしくはアシル基の炭素数は、クレンジング力の観点から、10~18であることが好ましく、12~14であることが特に好ましい。なお、アルキル基やアシル基は、飽和脂肪酸由来、不飽和脂肪酸由来またはこれらの混合物である混合脂肪酸由来のもののいずれでもよい。混合脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などが挙げられる。
これらの対イオンとしては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
成分(F)のアニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、PEG(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどが挙げられる。このうち、特にクレンジング力と洗い流し時のすすぎ性の観点から、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウムが好ましい。
成分(F)として、上記アニオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
成分(F)の配合量は、0.1~10質量%であれば、クレンジング力やすすぎ性をさらに高めることができる点で好ましく、より好ましくは0.1~5質量%であり、さらに好ましくは0.5~2質量%である。
【0039】
本発明における耐水性とは風呂場などでの使用を想定し、水が混入した状態でもクレンジング組成物の乳化安定性が保たれており、クレンジング力が低下しないことをいう。
【0040】
本発明のクレンジング組成物は、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧品に一般的に用いられている各種成分、例えば、エタノール等の成分(C)以外のアルコール、ビタミン類、紫外線吸収剤、水溶性高分子、酸化防止剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、他の非イオン界面活性剤、金属イオン封鎖剤、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤、防腐剤、色素、粉体類などを配合することができる。
【実施例
【0041】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって、限定されるものではない。配合量は特記しない限り、全て質量%である。
【0042】
(試料の調製)
表1~2に示した組成に従い、実施例1~12及び比較例1~6のクレンジング組成物を調製し、下記の評価結果をそれぞれ表1~表2に併記した。尚、表1並びに表2中の成分(A)及び成分(B)の括弧内の数値はオキシエチレンの付加モル数を表す。
【0043】
(a)調製直後の外観評価
実施例及び比較例で得られた各試料をガラス製サンプル瓶(口内径×胴径×高さ:Φ41×Φ55×95mm
)に入れ、調製直後の外観を目視により観察し、以下の基準によって評価した。
○:透明である。
△:やや濁りがあるが透明である、または濁りがあり透明ではない(乳化している)。
【0044】
(b)水が混入した状態のクレンジング組成物の外観評価
実施例及び比較例で得られた各試料に対して、全重量を基準として、20重量%の水を添加、混合した場合の外観を、調製直後と同様の方法で目視により観察し、以下の基準によって評価した。
◎:透明である。
○:やや濁りがあるが透明である。
△:濁りがあり透明ではない(乳化している)。
【0045】
(c)水が混入した状態でのクレンジング組成物の洗浄力評価
肌が水に濡れた状態でのクレンジング力を確認するために、10名のパネラーの上腕内側部に、アイライナー(コフレドール(登録商標)、カネボウ化粧品株式会社製)を直径2cmの円になるように均一に塗布し、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿室にて、30分乾燥させた。濡れた手での使用を測定し、各試料に対して、全重量を基準として、20質量%の水を添加し、混合した。それぞれ50mgを指で5秒間、乾燥したアイライナーの円に馴染ませ、その後、流水で洗い流した。自然乾燥後、アイライナーの落ち具合を分光測色計(CM-2500c、コニカミノルタ)により、下記の評価基準にて、洗浄力を評価した。洗浄力の平均が70%以上を「◎」、70%未満50%以上を「○」、50%未満「△」と評価した。
洗浄力=(1―(ΔE2)/(ΔE1))×100
ΔE1(洗浄前のメイクと上腕内部との色差)
ΔE2(洗浄後のメイクと上腕内部との色差)
【0046】
(d)すすぎ性の評価
上記の(c)の洗浄力評価を行った後、続けて約37℃の温水で5秒間洗い流した直後の状態をパネラー各人が下記評価基準にて5段階に評価し、評点をつけた。10名のパネラーの評価の合計得点で25点以上を「◎」、18点以上25点未満を「○」18点未満を「△」と評価した。
3:油分が完全に洗い流され、非常にさっぱりした感触である。
2:油分がほとんど洗い流され、さっぱりした感触である。
1:油分が多少残っており、ややべたつく感触である。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1から明らかなように、実施例1~12のクレンジング組成物はいずれも優れた性能を有していた。
【0050】
本発明の成分(A)の要件を満たさない比較例1のクレンジング組成物は水が混入した状態のクレンジング組成物の外観が悪く、さらにすすぎ性が悪くなった。
【0051】
本発明の成分(A)及び(B)の要件を満たさない比較例2のクレンジング組成物は調製直後及び水が混入した状態の外観が悪く、さらに洗浄力が大きく低下した。
【0052】
成分(B)の要件を満たさない比較例3のクレンジング組成物は水が混入した状態のクレンジング組成物の外観が悪くなった。
【0053】
成分(C)の要件を満たさない比較例4及び5について、共に水が混入した状態のクレンジング組成物の外観が悪くなった。比較例4においては、さらにすすぎ性が悪くなった。
【0054】
成分(D)の要件を満たさない比較例6のクレンジング組成物は洗浄力が大きく低下した。
【0055】
[実施例13:クレンジングリキッドの処方例]
実施例13として、その他の成分を含む具体的なクレンジングリキッド(クレンジング組成物)の処方例を表3に示す。実施例13を常温にて調製することにより、水の混入前後において、外観の透明性が保たれると共に、水が混入した状態においてもクレンジング力に優れ、更に洗い流し時のすすぎ性が良好なクレンジングリキッドを得られた。
【表3】
【0056】
[実施例14:クレンジングジェルの処方例]
実施例14として、その他の成分を含む具体的なクレンジングジェル(クレンジング組成物)の処方例を表4に示す。実施例14を常温にて調製することにより、水の混入前後において、外観の透明性が保たれると共に、水が混入した状態においてもクレンジング力に優れ、更に洗い流し時のすすぎ性が良好なクレンジングジェルを得られた。
【表4】