(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/695 20230101AFI20230124BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20230124BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H04N5/232 990
H04N5/232 060
H04N7/18 E
H04N7/18 G
(21)【出願番号】P 2019171421
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 邦雄
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-023316(JP,A)
【文献】特開2014-175843(JP,A)
【文献】特開2019-106694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視システムであって、
電磁波を出力し、前記電磁波の反射波を入力し、入力した前記反射波を利用して予め設定されている監視領域において移動体を検出するセンサ装置と、
撮像向きに関する制御値を受信し、受信した前記制御値に応じて自身の前記撮像向きを制御する撮像装置と、
ユーザによる前記制御値の入力を許容し、入力された前記制御値を前記撮像装置に直接的または間接的に送信することにより、前記撮像装置の前記ユーザによる操作を可能にする操作装置と、
を備え、
前記センサ装置は、
前記監視領域において前記移動体を検出する検出部と、
検知された前記移動体である検出移動体の位置を特定する位置特定部と、
前記制御値として前記撮像装置が前記検出移動体を撮像可能な値を、特定された前記位置を利用して決定する処理と、決定した前記制御値を前記撮像装置に送信することにより、前記検出移動体を撮像可能な向きに前記撮像向きを制御させる処理と、を含む撮像向き指示処理を、前記検出移動体が検出され続ける期間において実行し続ける撮像向き指示部と、
前記撮像装置に設定される前記制御値を取得する制御値取得部と、
前記制御値取得部により取得された前記制御値と、前回の前記撮像向き指示処理において送信された前記制御値と、が一致する一致状態であるか否かを判定する一致状態判定部と、
を有し、
前記撮像向き指示部は、前記一致状態でないと判定された場合には、前記撮像向き指示処理を終了する、
監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理の終了から第1期間が経過した場合に前記撮像向き指示処理を再開する、監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の監視システムにおいて、
前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理の終了後、前記制御値取得部により取得される前記制御値により特定される前記撮像向きに、前記位置特定部により特定された前記位置が存在する場合には、前記第1期間を延長する、監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記制御値取得部は、前記撮像装置に設定される前記制御値を繰り返し取得し、
前記一致状態判定部は、前記制御値取得部により前記制御値が取得される度に、前記一致状態であるか否かを判定し、
前記撮像向き指示部は、
前記撮像向き指示処理が終了された状況において、前記一致状態であると判定された場合には、前記撮像向き指示処理を再開し、
前記一致状態でないと判定されてから予め定められた第2期間が経過した場合に前記撮像向き指示処理を再開する、監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載の監視システムにおいて、
前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理の終了後、前記制御値取得部により取得される前記制御値により特定される前記撮像向きに、前記位置特定部により特定された前記位置が存在する場合には、前記第2期間を延長する、監視システム。
【請求項6】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記操作装置は、入力された前記制御値を、前記センサ装置を介して間接的に前記撮像装置に送信し、
前記センサ装置は、前記操作装置から送信される前記制御値を受信して前記撮像装置に中継する制御値中継部を、さらに有し、
前記制御値取得部は、前記操作装置から前記制御値を受信することにより、前記撮像装置に設定される前記制御値を取得し、
前記一致状態判定部は、前記操作装置から前記制御値が受信されない場合に前記一致状態であると判定し、前記操作装置から前記制御値が受信される場合に前記一致状態でないと判定する、監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の監視システムにおいて、
前記撮像向き指示部は、前記制御値取得部が前記制御値を受信してから予め定められた第3期間が経過した場合に前記撮像向き指示処理を再開する、監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視領域において人等の移動体をセンサ装置により検出し、かかる移動体を追尾するように撮像装置が撮像を行う監視システムが提案されている。特許文献1の監視システムでは、センサ装置は、監視領域を走査して移動体を検出した場合にかかる移動体の位置を撮像装置に通知し、撮像装置は、通知された位置を利用して移動体を追尾して撮像を行なう。また、かかる監視システムでは、センサ装置により複数の移動体が検出された場合に、モニタ装置に備えられたタッチパネル、マウス、キーボード等の入力手段により警備員が追尾対象の移動体を選択すると、選択された移動体を追尾するように撮像装置が撮像向きを制御して撮像を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視システムでは、特許文献1のようにセンサ装置により検出された移動体を追尾するように撮像装置の撮像向きが自動的に制御される処理と、操作卓を含む操作装置において警備員等のユーザが撮像装置の撮像向きを制御する操作を行い、かかる操作に応じて撮像向きが制御される処理とが並行して実行される場合がある。例えば、センサ装置が検出した移動体とは別の監視対象物、例えば、監視領域に存在する窓やドアや机等の静止物や、他の移動体を、ユーザが確認するために撮像向きを手動で制御する場合において、上述した2つの処理が並行して実行され得る。このような状況においては、ユーザの操作により撮像向きがユーザの望む方向に制御された後に、移動体を追尾するように撮像向きが自動的に制御されてしまい、ユーザが望む撮像画像が得られなくなるという問題や、撮像向きが自動的に制御された後に再び撮像向きを手動で制御しなければならず、ユーザに過度な操作負担を強いるという問題が起こり得る。このようなことから、撮像装置の撮像向きを、センサ装置により検出された移動体を撮像可能な向きに自動的に制御しつつ、過度な操作負担を強いることなくユーザが注目する方向に撮像向きを手動で制御可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、監視システムが提供される。この監視システムは、電磁波を出力し、前記電磁波の反射波を入力し、入力した前記反射波を利用して予め設定されている監視領域において移動体を検出するセンサ装置と、撮像向きに関する制御値を受信し、受信した前記制御値に応じて自身の前記撮像向きを制御する撮像装置と、ユーザによる前記制御値の入力を許容し、入力された前記制御値を前記撮像装置に直接的または間接的に送信することにより、前記撮像装置の前記ユーザによる操作を可能にする操作装置と、を備える。前記センサ装置は、前記監視領域において前記移動体を検出する検出部と、検知された前記移動体である検出移動体の位置を特定する位置特定部と、前記制御値として前記撮像装置が前記検出移動体を撮像可能な値を、特定された前記位置を利用して決定する処理と、決定した前記制御値を前記撮像装置に送信することにより、前記検出移動体を撮像可能な向きに前記撮像向きを制御させる処理と、を含む撮像向き指示処理を、前記検出移動体が検出され続ける期間において実行し続ける撮像向き指示部と、前記撮像装置に設定される前記制御値を取得する制御値取得部と、前記制御値取得部により取得された前記制御値と、前回の前記撮像向き指示処理において送信された前記制御値と、が一致する一致状態であるか否かを判定する一致状態判定部と、を有する。前記撮像向き指示部は、前記一致状態でないと判定された場合には、前記撮像向き指示処理を終了する。
この形態の監視システムによれば、一致状態でないと判定された場合には、検出移動体が検出され続ける期間において実行され続ける撮像向き指示処理を終了するので、ユーザが操作装置における操作により撮像向きを手動で操作した場合に、検出移動体を撮像可能に撮像向きが自動的に制御されることを抑制できる。他方、一致状態であると判定された場合には、検出移動体が検出され続ける期間において撮像向き指示処理が実行され続けるので、撮像向きを、検出移動体を撮像可能な向きに自動的に制御できる。これらのことから、上記形態の監視システムによれば、撮像装置の撮像向きを、センサ装置により検出された移動体を撮像可能な向きに自動的に制御しつつ、過度な操作負担を強いることなくユーザが注目する方向に撮像向きを手動で制御させることができる。
(2)上記形態の監視システムにおいて、前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理の終了から第1期間が経過した場合に前記撮像向き指示処理を再開してもよい。
この形態の監視システムによれば、撮像向き指示処理の終了から第1期間が経過した場合に撮像向き指示処理が再開されるので、ユーザによる操作がしばらく行われていないにも関わらず、撮像向き指示処理が終了したままとなることを抑制できる。これにより、センサ装置により検出された移動体が撮像装置により撮像されない期間が過度に長くなることを抑制できる。
(3)上記形態の監視システムにおいて、前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理の終了後、前記制御値取得部により取得される前記制御値により特定される前記撮像向きに、前記位置特定部により特定された前記位置が存在する場合には、前記第1期間を延長してもよい。
この形態の監視システムによれば、制御値取得部により取得される制御値により特定される撮像向きに、位置特定部により特定された検出移動体の位置が存在する場合には、第1期間が延長されるので、ユーザが注目していると推定される移動体の撮像が、撮像向き指示処理の再開に伴って突然終了してしまうことを抑制でき、ユーザの利便性を向上できる。
(4)上記形態の監視システムにおいて、前記制御値取得部は、前記撮像装置に設定される前記制御値を繰り返し取得し、前記一致状態判定部は、前記制御値取得部により前記制御値が取得される度に、前記一致状態であるか否かを判定し、前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理が終了された状況において、前記一致状態であると判定された場合には、前記撮像向き指示処理を再開し、前記一致状態でないと判定されてから予め定められた第2期間が経過した場合に前記撮像向き指示処理を再開してもよい。
この形態の監視システムによれば、撮像装置に設定される制御値が繰り返し取得され、その度に一致状態であるか否かが判定され、一致状態であると判定された場合には、撮像向き指示処理が再開されるので、撮像向き指示処理が終了した後、かかる処理が再開可能な状況になってから実際に再開されるまでの期間を短くできる。これにより、撮像装置の撮像向きを、検出移動体を撮像可能な向きに制御されない期間を短くできる。加えて、一致状態でないと判定されてから予め定められた第2期間が経過した場合に撮像向き指示処理を再開するので、ユーザによる操作がしばらく行われていないにも関わらず、撮像向き指示処理が終了したままとなることを抑制できる。これにより、センサ装置により検出された移動体が撮像装置により撮像されない期間が過度に長くなることを抑制できる。
(5)上記形態の監視システムにおいて、前記撮像向き指示部は、前記撮像向き指示処理の終了後、前記制御値取得部により取得される前記制御値により特定される前記撮像向きに、前記位置特定部により特定された前記位置が存在する場合には、前記第2期間を延長してもよい。
この形態の監視システムによれば、制御値取得部により取得される制御値により特定される撮像向きに、位置特定部により特定された検出移動体の位置が存在する場合には、第2期間が延長されるので、ユーザが注目していると推定される移動体の撮像が、撮像向き指示処理の再開に伴って突然終了してしまうことを抑制でき、ユーザの利便性を向上できる。
(6)上記形態の監視システムにおいて、前記操作装置は、入力された前記制御値を、前記センサ装置を介して間接的に前記撮像装置に送信し、前記センサ装置は、前記操作装置から送信される前記制御値を受信して前記撮像装置に中継する制御値中継部を、さらに有し、前記制御値取得部は、前記操作装置から前記制御値を受信することにより、前記撮像装置に設定される前記制御値を取得し、前記一致状態判定部は、前記操作装置から前記制御値が受信されない場合に前記一致状態であると判定し、前記操作装置から前記制御値が受信される場合に前記一致状態でないと判定してもよい。
この形態の監視システムによれば、操作装置から制御値が受信されない場合に一致状態であると判定し、操作装置から前記制御値が受信される場合に前記一致状態でないと判定するので、センサ装置と撮像装置との間において、撮像装置の撮像向きの制御のための通信とは別に、撮像装置に設定されている制御値の取得のための通信が行われることを抑制できる。このため、かかる通信に伴うセンサ装置および撮像装置における処理負荷を低減できる。
(7)上記形態の監視システムにおいて、前記撮像向き指示部は、前記制御値取得部が前記制御値を受信してから予め定められた第3期間が経過した場合に前記撮像向き指示処理を再開してもよい。
この形態の監視システムによれば、制御値取得部が制御値を受信してから予め定められた第3期間が経過した場合に撮像向き指示処理が再開されるので、ユーザによる操作がしばらく行われていないにも関わらず、撮像向き指示処理が終了したままとなることを抑制できる。これにより、センサ装置により検出された移動体が撮像装置により撮像されない期間が過度に長くなることを抑制できる。
【0007】
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、センサ装置、監視システムの制御方法、監視システムまたはセンサ装置を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態としての監視システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】監視システムの詳細構成を示すブロック図である。
【
図3】センサ装置において実行される撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】撮像装置において実行される撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】操作装置において実行される撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】撮像向き制御処理の実行中におけるセンサ装置、撮像装置および操作装置による情報のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図7】センサ装置において実行される第2実施形態の制御値取得処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】センサ装置において実行される第2実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態の撮像向き制御処理の実行中におけるセンサ装置、撮像装置および操作装置による情報のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図10】センサ装置において実行される第3実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】センサ装置において実行される第4実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図1に示す監視領域を+Y方向および+V方向に見た説明図である。
【
図13】
図1に示す監視領域を-Z方向および-W方向に見た説明図である。
【
図14】センサ装置において実行される第5実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】第6実施形態の監視システムの詳細構成を示すブロック図である。
【
図16】第6実施形態のセンサ装置において実行される撮像向き制御第1処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】第6実施形態のセンサ装置において実行される撮像向き制御第2処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】第6実施形態の撮像向き制御第1処理、撮像向き制御第2処理、および撮像向き制御処理の実行中におけるセンサ装置、撮像装置および操作装置による情報のやりとりを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A-1.システム構成:
図1は、本開示の一実施形態としての監視システム10の概略構成を示す説明図である。
図2は、監視システム10の詳細構成を示すブロック図である。監視システム10は、予め設定されている監視領域Ar1の監視を行うためのシステムである。本実施形態において、「監視」とは、人等の移動体を検出し、検出した移動体を撮像することを意味する。
【0010】
図1に示すように、監視システム10は、撮像装置200と、センサ装置100と、操作装置300とを備える。
図2に示すように、センサ装置100と、撮像装置200と、操作装置300とはいずれも通信ネットワーク500に接続されており、互いに通信可能に構成されている。本実施形態において、通信ネットワーク500は、IEEE802.11において規定されている有線LAN(Local Area Network)により構成されている。なお、有線LANに代えて、IEEE802.11において規定されている無線LANや、920MHzや426MHzの無線周波数帯を利用した省電力無線通信等、任意の種類の通信方式により通信ネットワーク500を構成してもよい。なお、
図1では、センサ装置100を原点とするX軸およびY軸と、センサ装置100を通るZ軸とからなる座標系(XYZ座標系)と、撮像装置200を原点とするU軸およびV軸と、撮像装置200を通るW軸とからなる座標系(UVW座標系)を、各装置100、200、300と共に表している。また、
図1および
図2には、監視領域Ar1内の人物m1が表されている。
【0011】
図1および
図2に示す撮像装置200は、監視領域Ar1内を撮像する。本実施形態では、撮像装置200は動画像を撮像する。なお、動画像に代えて静止画像を撮像してもよい。
図1および
図2では、撮像装置200の撮像範囲C1を、破線で表している。撮像装置200は、撮像向きを変更可能に構成されており、センサ装置100からの指示或いは操作装置300からの指示に応じて、自身の撮像向きを制御する。本実施形態において「撮像向き」とは、撮像装置200が撮像を行なう際の撮像装置200の向きを意味し、具体的には、撮像装置200から撮像範囲の中心に向かう方向を意味する。
図1に示すように、本実施形態において、撮像装置200は、天井に配置されており、監視領域Ar1を上方から撮像可能に構成されている。また、撮像装置200は、パン動作とチルト動作とをそれぞれ実行可能に構成されている。撮像範囲C1は監視領域Ar1よりも小さい。しかし、撮像装置200がパン動作とチルト動作とを行うことにより、撮像装置200は、監視領域Ar1内のすべての領域を撮像することができる。
【0012】
図2に示すように、撮像装置200は、撮像カメラ210と、可動式架台215と、向き調整アクチュエータ220と、制御部230と、通信部240とを備える。
【0013】
撮像カメラ210は、レンズ等の光学系と撮像素子とを備え、可視光により撮像を行う。撮像素子としては、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像カメラ210は、可動式架台215に設置されており、可動式架台215のパン方向に沿った変位に伴ってパン動作を行い、可動式架台215のチルト方向に沿った変位に伴ってチルト動作を行う。可動式架台215は、撮像カメラ210を保持する。可動式架台215は、調整アクチュエータ220により変位可能に構成されている。調整アクチュエータ220は、図示しないモータを有し、制御部230による制御の下、可動式架台215をパン方向とチルト方向とにそれぞれ変位させる。
【0014】
制御部230は、調整アクチュエータ220と電気的に接続されている。制御部230は、調整アクチュエータ220が有するモータを制御することにより、調整アクチュエータ220の動作を制御する。また、制御部230は、撮像装置200の撮像向きに関する制御値を設定して記憶する。本実施形態において、「撮像向きに関する制御値」は、パン方向に沿った所定の基準方向と撮像向きとがなす角度(以下、「パン角度」とも呼ぶ)と、チルト方向に沿った所定の基準方向と撮像向きとがなす角度(以下、「チルト角度」とも呼ぶ)とが該当する。所定の基準方向とは、初期状態における撮像装置200の正面方向を意味する。以降では、「撮像向きに関する制御値」を単に「制御値」とも呼ぶ。制御部230は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、マイクロコンピュータにより構成される。通信部240は、通信ネットワーク500を介した通信を実行する。通信部240は、制御部230と電気的に接続されている。
【0015】
図1および
図2に示すセンサ装置100は、レーザ光を出力しながら監視領域Ar1を走査し、かかるレーザ光の反射光を入力し、入力した反射光を利用して移動体を検出する。
図1の例では、監視領域Ar1内の人物m1が移動体として検出されることとなる。センサ装置100は、自身が移動体を検出可能な距離および角度の範囲内に監視領域Ar1が含まれるような位置に配置されている。本実施形態では、センサ装置100は、監視領域Ar1に出入りするための扉の近傍であって、天井と床とのうち床に近い位置に配置されている。なお、かかる位置に限らず、監視領域Ar1を走査可能な任意の位置にセンサ装置100を配置してもよい。
【0016】
図2に示すように、センサ装置100は、検出部110と、位置特定部120と、撮像向き指示部130と、制御値取得部140と、一致状態判定部150と、記憶部160と、通信部170とを備える。本実施形態において、位置特定部120と、撮像向き指示部130と、制御値取得部140と、一致状態判定部150とは、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有するコンピュータにより構成されている。センサ装置100が備えるCPUは、ROMに予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、位置特定部120、撮像向き指示部130、制御値取得部140、および一致状態判定部150として機能する。
【0017】
検出部110は、所定の波長を有する電磁波を出力し、かかる電磁波の反射波を入力し、入力した反射波を利用して監視領域Ar1において移動体を検出する。本実施形態において、検出部110が出力する電磁波は、近赤外線レーザ光である。検出部110は、近赤外線レーザ光を照射する機能部と、監視領域Ar1内において近赤外線レーザ光を走査させると共に、監視領域Ar1内の物体で反射した近赤外レーザ光を受光素子に受光させるための回動可能なミラーと、かかるミラーを回転駆動させるためのモータと、モータを制御する制御部と、ミラーを介して受光する反射レーザ光を受信して信号を出力する受光素子と、を有する。
【0018】
位置特定部120は、移動体を検出すると共に、検出した移動体の位置を特定する。具体的には、位置特定部120は、検出部110においてレーザ光を照射してから反射波を受光するまでの時間であるTOF(Time Of Flight)と、ミラーの回転角度から、物体の方向および距離を特定する。また、検出された物体の方向および距離が、複数回の走査でどのように変化するかによって、検出された物体が移動体であるか否かを識別する。本実施形態において、センサ装置100により検出された移動体を「検出移動体」と呼ぶ。
【0019】
撮像向き指示部130は、撮像向き指示処理を実行する。「撮像向き指示処理」とは、制御値として検出移動体を撮像可能な向きを示す値を決定する処理と、決定した制御値を撮像装置200に送信することにより、検出移動体を撮像可能な向きに撮像装置200の撮像向きを制御させる処理とを含む処理を意味する。撮像向き指示部130は、原則として、撮像向き指示処理を、移動体が検出された状況において繰り返し実行する。但し、後述するように、操作装置300において撮像装置200の撮像向きを制御するための操作が行われた場合には、撮像向き指示処理は停止される。
【0020】
制御値取得部140は、撮像装置200に設定される制御値を取得する。一致状態判定部150は、制御値取得部140により取得された制御値と、前回の撮像向き指示処理において撮像装置200に送信された制御値が一致する状態(以下、「一致状態」と呼ぶ)であるか否かを判定する。
【0021】
記憶部160は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリを備え、撮像向き指示処理において撮像装置200に送信された制御値を記憶する。本実施形態では、撮像向き指示処理が繰り返し実行されるたびに、制御値が記憶部160に上書きして記憶される。このため、記憶部160は、前回の撮像向き指示処理において撮像装置200に送信された制御値のみを記憶することとなる。なお、記憶部160への上書き記憶に代えて、制御値を記憶部160に時系列に記憶するようにしてもよい。通信部170は、通信ネットワーク500を介した通信を実行する。
【0022】
図1および
図2に示す操作装置300は、ユーザによる制御値の入力を許容し、入力された制御値を、通信ネットワーク500を介して直接的に撮像装置200に送信することにより、ユーザによる撮像装置200の撮像向きの操作を可能にする。すなわち、ユーザは、操作装置300を操作することにより、所望する移動量だけ撮像装置200にパン動作およびチルト動作を実行させて、撮像向きを調整することができる。本実施形態において、操作装置300は、監視領域Ar1とは別の部屋、例えば、警備室に設置されている。
【0023】
図2に示すように、操作装置300は、表示部310と、操作部320と、制御部330と、通信部340とを備える。表示部310は、撮像装置200により撮像される動画像を表示する。表示部310は例えば、液晶ディスプレイにより構成されてもよい。操作部320は、撮像装置200にパン動作やチルト動作を行わせるためのユーザによる操作入力を受け付ける。操作部320は、マウスやキーボードなどの入力デバイスにより構成されている。なお、表示部310をタッチパネルにより構成して操作部320を省略してもよい。制御部330は、操作装置300を全体制御する。通信部340は、通信ネットワーク500を介した通信を実行する。
【0024】
上述の構成を有する監視システム10では、後述する撮像向き制御処理が実行されることにより、撮像装置200の撮像向きが、センサ装置100により検出された移動体を撮像可能な向きに自動的に制御され、また、操作装置300におけるユーザの操作に応じて制御される。このとき、撮像装置200の撮像向きの自動制御に伴って撮像向きがユーザの所望する向きからずれてしまい、所望する撮像向きを維持するようにユーザが繰り返し操作することが起こらないように構成されている。以下、詳細に説明する。
【0025】
A-2.撮像向き制御処理:
図3は、センサ装置100において実行される撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
図4は、撮像装置200において実行される撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5は、操作装置300において実行される撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。撮像向き制御処理とは、撮像装置200の撮像向きを制御するための処理である。各装置100、200、300では、電源がオンすると、撮像向き制御処理が実行される。
【0026】
図3に示すように、センサ装置100において検出部110は、監視領域Ar1において移動体を検出する移動体検出処理を実行する(ステップS105)。ステップS105では、移動体が検出された場合には、検出された移動体の位置が記憶部160に記憶される処理も実行される。このとき移動体の位置として、センサ装置100から移動体までの距離と、センサ装置100のパン方向の基準方向(正面方向)を基準とした検出移動体の存在する方向の角度とが記憶される。
【0027】
センサ装置100において制御値取得部140は、ステップS105の結果、移動体が検出されたか否かを判定する(ステップS110)。移動体が検出されないと判定された場合(ステップS110:NO)、処理は上述のステップS105に戻る。これに対して、移動体が検出されたと判定された場合(ステップS110:YES)、制御値取得部140は、撮像装置200に対し、撮像装置200に設定されている制御値を送信するように要求する。なお、かかる要求を、「制御値要求」とも呼ぶ。
【0028】
ステップS115の完了後、制御値取得部140により撮像装置200から制御値が取得(受信)された場合、一致状態判定部150は、撮像装置200から取得(受信)された制御値と、後述するステップS130が前回実行された際にセンサ装置100から撮像装置200に送信された制御値とが一致する状態、すなわち一致状態であるか否かを判定する(ステップS120)。一致状態であると判定された場合(ステップS120:YES)、撮像向き指示部130は、撮像向き指示処理を実行する(ステップS130)。この撮像向き指示処理は、制御値として、ステップS105により検出された検出移動体を撮像可能な値を、検出部110により特定された検出移動体の位置を利用して決定する処理と、決定された制御値を撮像装置200に送信する処理とを含む。かかる撮像向き指示処理が実行され、また、後述する撮像装置200における撮像向き制御処理が実行されることより、撮像装置200の撮像向きは、検出移動体を撮像可能な向きに制御される。
【0029】
一致状態でないと判定された場合(ステップS120:NO)、センサ装置100の各機能部は、所定期間T1待機し(ステップS125)、その後、処理はステップS105に戻る。本実施形態において、ステップS125の所定期間T1は、3分間である。なお、3分間に限らず任意の長さの期間であってもよい。所定期間T1は、本開示における第1期間に相当する。ここで、一致状態ではない場合とは、すなわち、撮像装置200に設定されている制御値と、ステップS130が前回実行された際にセンサ装置100から撮像装置200に送信された制御値とが一致しない場合を意味する。このような場合とは、ステップS130において検出移動体を撮像可能な向きとなるような制御値をセンサ装置100から撮像装置200に送信した後に、操作装置300において操作が実行され、かかる操作に応じて撮像装置200の撮像向きが変更された場合に起こり得る。このような場合には、少なくとも所定時間である3分間は撮像向き指示処理(ステップS130)が実行されない。したがって、この期間において撮像向きがユーザの所望する向きからずれてしまうことを抑制できる。
【0030】
上述のように、ステップS125が実行されて所定期間T1待機した後には、処理がステップS105に戻るため、その後、移動体が検出され(ステップS110:YES)、一致状態であると判定された場合には(ステップS120:YES)、ステップS130が実行されて、センサ装置100から撮像装置200に検出移動体を撮像可能な制御値が送信される。このような構成にすることにより、ユーザによる操作がしばらく行われていないにも関わらず、撮像向きが検出移動体を撮像可能な向きになっておらず、検出移動体が撮像されない期間が過度に長くなることを抑制している。
【0031】
図4に示すように、撮像装置200において制御部230は、センサ装置100から制御値要求を受信したか否かを判定する(ステップS205)。制御値要求を受信したと判定された場合(ステップS205:YES)、制御部230は、その時点において設定されている制御値を特定し(ステップS210)、特定した制御値をセンサ装置100に送信する(ステップS215)。
【0032】
上述のステップS205において制御値要求を受信しないと判定された場合(ステップS205:NO)、または、上述のステップS215の完了後、制御部230は、制御値を受信したか否かを判定する(ステップS220)。制御値は、センサ装置100または操作装置300から撮像装置200に送信され得るため、ステップS220では、制御部230は、センサ装置100と操作装置300とのうちのいずれかから制御値を受信したか否かを判定する。
【0033】
制御値を受信しないと判定された場合(ステップS220:NO)、処理はステップS205に戻る。したがって、この場合、撮像カメラ210の撮像向きは、既に設定されている制御値に応じた撮像向きのまま変化することはない。
【0034】
他方、制御値を受信したと判定された場合(ステップS220:YES)、制御部230は、受信した制御値を、既に設定されている制御値に上書きして設定すると共に、かかる制御値に応じて撮像カメラ210の撮像向きを制御する(ステップS225)。例えば、センサ装置100において上述のステップS130が実行された場合、制御部230は、検出移動体を向くような制御値を受信するので、かかる制御値に応じて撮像カメラ210の撮像向きを制御する。これにより、検出移動体が撮像カメラ210により撮像されることとなる。また、後述する操作装置300における撮像向き制御処理が実行されて操作装置300からユーザが所望する撮像向きを示す制御値を受信した場合、制御部230は、かかる制御値に応じて撮像カメラ210の撮像向きを制御する。これにより、ユーザが所望する撮像向きで撮像が行われることとなる。
【0035】
図5に示すように、操作装置300において制御部330は、操作部320による操作が行われたか否かを判定する(ステップS305)。操作部320による操作が行われていないと判定された場合(ステップS305:NO)、再びステップS305が実行される。すなわち、制御部330は、操作部320による操作が行われるまで待機する。操作部320による操作が行われたと判定された場合(ステップS305:YES)、制御部330は、操作に応じた制御値を特定し(ステップS310)、特定した制御値を撮像装置200に送信する(ステップS315)。
【0036】
図6は、撮像向き制御処理の実行中におけるセンサ装置100、撮像装置200および操作装置300による情報のやりとりを示すシーケンス図である。なお、
図6では、
図3ないし
図5に示す一部のステップは、図示の便宜上省略されている。
【0037】
センサ装置100は、移動体検出処理(ステップS105)を実行し、撮像装置200に対して制御値要求を送信し(ステップS110)、一致状態か否かの判定(ステップS115)を実行する。そして、センサ装置100は、一致状態であると判定した場合には、撮像装置200に対して検出移動体を撮像可能な制御値を送信する(ステップS130)。
【0038】
しかし、その後、操作装置300において、ユーザによる操作が実行され、制御値が撮像装置200に送信されると(ステップS315)、撮像装置200に設定されている制御値は、センサ装置100から送信された制御値から、操作装置300から送信された制御値に上書きされる。このため、その後のセンサ装置100における一致状態であるか否かの判定(ステップS115)では、一致しないと判定されるため、センサ装置100では、撮像向き指示処理(ステップS130)は停止され、撮像装置200への制御値の送信は行われない。このため、撮像装置200において設定されている制御値は、操作装置300から送信された制御値のまま維持され、撮像向きが変化することはない。したがって、ユーザは、所望する撮像向きで撮像された画像を、表示部310において確認することができると共に、所望する撮像向きを維持するために操作装置300において操作を繰り返し実行することを要しない。
【0039】
センサ装置100では、一致状態であるか否かの判定(ステップS115)において、一致しないと判定された後所定期間T1だけ待機した後に、移動体の検出処理(ステップS105)、一致状態であるか否かの判定(ステップS115)、撮像向き指示処理(ステップS130)が再開される。したがって、センサ装置100により移動体が検出された場合には、検出移動体を撮像可能な向きに撮像向きが制御され、ユーザは、検出移動体を含む画像を表示部310において確認することができる。
【0040】
以上説明した第1実施形態の監視システム10によれば、一致状態でないと判定された場合には(ステップS120:NO)、繰り返し実行される撮像向き指示処理(ステップS130)を停止するので、ユーザが操作装置300における操作により撮像向きを手動で操作した場合に、検出移動体を撮像可能に撮像向きが自動的に制御されることを抑制できる。他方、一致状態であると判定された場合(ステップS120:YES)には、撮像向き指示処理が繰り返し実行されるので、撮像向きを、検出移動体を撮像可能な向きに自動的に制御できる。これらのことから、第1形態の監視システム10によれば、撮像装置200の撮像向きを、センサ装置100により検出された移動体を撮像可能な向きに自動的に制御しつつ、過度な操作負担を強いることなくユーザが注目する方向に撮像向きを手動で制御させることできる。
【0041】
また、撮像向き指示処理(ステップS130)の停止から所定期間T1が経過した場合に撮像向き指示処理が再開されるので、ユーザによる操作がしばらく行われていないにも関わらず、撮像向き指示処理が停止したままとなることを抑制できる。これにより、センサ装置100により検出された検出移動体が撮像装置200により撮像されない期間が過度に長くなることを抑制できる。
【0042】
B.第2実施形態:
第2実施形態の監視システム10は、センサ装置100における撮像向き制御処理の手順が異なる点と、センサ装置100において制御値取得処理が実行される点とにおいて、第1実施形態の監視システム10と異なる。第2実施形態の監視システム10のシステム構成、および撮像装置200と操作装置300における撮像向き制御処理の手順は、第1実施形態と同じであるので、同一の構成要素および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図7は、センサ装置100において実行される第2実施形態の制御値取得処理の手順を示すフローチャートである。センサ装置100では、電源がオンすると、後述する第2実施形態の撮像向き制御処理と共に、制御値取得処理が実行される。制御値取得処理とは、撮像装置200に設定されている制御値を取得するための処理である。なお、制御値取得処理の開始と共に、図示しないタイマによる計時が開始される。
【0044】
センサ装置100において制御値取得部140は、所定期間T2が経過したか否かを判定する(ステップS405)。所定期間T2が経過していないと判定された場合(ステップS405:NO)、再びステップS405が実行される。すなわち、制御値取得部140は、所定期間T2が経過するまで待機する。本実施形態において、所定期間T2は、1分間に設定されている。なお、1分間に限らず、上述の所定期間T1よりも短い任意の期間を、所定期間T2として設定してもよい。所定期間T2は、本開示における第2期間に相当する。
【0045】
所定期間T2が経過したと判定された場合(ステップS405:YES)、制御値取得部140は、撮像装置200に制御値を要求する(ステップS410)。上述のように、撮像装置200では、
図4に示す撮像向き制御処理が実行されており、制御値要求を受信した場合には、設定されている制御値が特定され、特定された制御値がセンサ装置100に送信される。ステップS410の完了後、制御値取得部140は、タイマをリセットする(ステップS420)。ステップS420の完了後、処理はステップS405に戻る。このようにして、センサ装置100は、所定期間T2ごとに撮像装置200に設定されている制御値を取得する。
【0046】
図8は、センサ装置100において実行される第2実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。第2実施形態の撮像向き制御処理は、ステップS102が追加して実行される点と、ステップS115およびS120が省略されている点と、他のステップS105、S110、S125、S130の実行順序が異なる点と、において、
図3に示す第1実施形態の撮像向き制御処理と異なる。以下、詳しく説明する。
【0047】
センサ装置100において一致状態判定部150は、一致状態であるか否かを判定する(ステップS102)。上述のように、センサ装置100では、制御値取得処理が実行されて、撮像装置200から制御値が所定期間T2ごとに取得されている。そして、ステップS102では、最近取得された撮像装置200に設定されている制御値と、ステップS130が前回実行された際にセンサ装置100から撮像装置200に送信された制御値とが一致するか否かが判定される。
【0048】
一致状態でないと判定された場合(ステップS102:NO)、上述のステップS125が実行され、所定期間T1待機される。なお、第2実施形態における所定期間T1は、本開示における第2期間に相当する。
【0049】
他方、一致状態であると判定された場合(ステップS102:YES)、上述のステップS105が実行されて移動体検出処理が実行され、その後、ステップS110が実行されて、移動体が検出されたか否かが判定される。移動体が検出されないと判定された場合(ステップS110:NO)、処理は上述のステップS102に戻る。他方、移動体が検出されたと判定された場合(ステップS110:YES)、上述の撮像向き指示処理(ステップS130)が実行される。ステップS130の完了後、または、上述のステップS125の完了後、処理はステップS102に戻る。
【0050】
図9は、第2実施形態の撮像向き制御処理の実行中におけるセンサ装置100、撮像装置200および操作装置300による情報のやりとりを示すシーケンス図である。なお、
図9では、
図4、
図5、
図7および
図8に示す一部のステップは、図示の便宜上省略されている。
【0051】
センサ装置100では、ステップS102、S105、S130等とは独立して、制御値要求(ステップS410)が実行される。これに伴い、
図9に示すように、撮像装置200では、制御値要求を受信するたびに制御値が特定され(ステップS210)、センサ装置100に送信される(ステップS215)。
【0052】
図9に示すように、一致状態であるか否かの判定(ステップS102)の結果、一致状態でないと判定され、所定期間T1の待機中であっても、撮像装置200からセンサ装置100への制御値要求(ステップS410)は実行され、また、撮像装置200からセンサ装置100への制御値の送信(ステップS215)は所定期間T2ごとに行われる。このため、所定期間T1の経過後、短期間のうちに、撮像装置200に設定されている制御値と、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信された制御値とが一致するか否かを判定できる。したがって、これらの値が一致している場合には、所定期間T1の経過後、短期間のうちに、撮像向き指示処理(ステップS130)を実行でき、検出移動体を追尾するように撮像装置200の撮像向きを制御できる。
【0053】
以上説明した第2実施形態の監視システム10は、第1実施形態の監視システム10と同様な効果を有する。加えて、センサ装置100では、撮像装置200に設定されている制御値が所定期間T2ごとに繰り返し取得され、その度に一致状態であるか否かが判定され、一致状態であると判定された場合には、所定期間T1の経過後に撮像向き指示処理(ステップS130)が再開されるので、撮像向き指示処理が停止した後、かかる処理が再開可能な状況になってから実際に再開されるまでの期間を短くできる。これにより、撮像装置200の撮像向きを、検出移動体を撮像可能な向きに制御されない期間を短くできる。
【0054】
C.第3実施形態:
第3実施形態の監視システム10は、センサ装置100における撮像向き制御処理の手順が異なる点において、第1実施形態の監視システム10と異なる。第3実施形態の監視システム10のシステム構成、および撮像装置200と操作装置300における撮像向き制御処理の手順は、第1実施形態と同じであるので、同一の構成要素および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図10は、センサ装置100において実行される第3実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。センサ装置100において実行される第3実施形態の撮像向き制御処理は、ステップS135、S140、S145、S150を追加して実行する点において、
図3に示す第1実施形態の撮像向き制御処理と異なる。第3実施形態の撮像向き制御処理におけるその他の手順は、第1実施形態の撮像向き制御処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0056】
所定期間T1待機した後(ステップS125の完了後)、センサ装置100において検出部110は、監視領域Ar1において移動体検出処理を実行する(ステップS135)。制御値取得部140は、移動体が検出されたか否かを判定する(ステップS140)。移動体が検出されたと判定された場合(ステップS140:YES)、制御値取得部140は、撮像装置200に制御値要求を行なう(ステップS145)。上述のステップS135~S145は、上述のステップS105~S115と同様な処理である。なお、移動体が検出された場合には、位置特定部120によりかかる移動体の位置が特定されて記憶部160に記憶される。
【0057】
ステップS145の完了後、撮像装置200から制御値を受信すると、撮像向き指示部130は、受信した制御値により特定される撮像向きに、ステップS135で検出された検出移動体の位置があるか否かを判定する(ステップS150)。受信した制御値により特定される撮像向きに、ステップS135で検出された検出移動体の位置があると判定された場合(ステップS150:YES)、処理は上述のステップS125に戻る。したがって、この場合、所定期間T1の待機が再び実行される。すなわち、撮像向き指示処理(ステップS130)が停止される期間(所定期間T1)が延長されることとなる。他方、受信した制御値により特定される撮像向きに、ステップS135で検出された検出移動体の位置が無いと判定された場合(ステップS150:NO)、処理はステップS105に戻る。また、上述のステップS140において、移動体が検出されないと判定された場合(ステップS140:NO)も同様に、処理はステップS105に戻る。したがって、これらの場合には、監視領域Ar1に移動体が検出されると、撮像向き指示処理が繰り返し実行されることとなる。
【0058】
以上説明した第3実施形態の監視システム10は、第1実施形態の監視システム10と同様な効果を有する。加えて、制御値取得部140により取得される制御値により特定される撮像装置200の撮像向きに、検出移動体の位置が存在する場合には、ステップS130が実行されない期間、換言すると、所定期間T1が延長されるので、ユーザが注目していると推定される移動体の撮像が、撮像向き指示処理(ステップS130)の再開に伴って突然終了してしまうことを抑制でき、ユーザの利便性を向上できる。
【0059】
D.第4実施形態:
第4実施形態の監視システム10は、センサ装置100における撮像向き制御処理の手順が異なる点において、第3実施形態の監視システム10と異なる。第4実施形態の監視システム10のシステム構成、および撮像装置200と操作装置300における撮像向き制御処理の手順は、第3実施形態と同じであるので、同一の構成要素および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図11は、センサ装置100において実行される第4実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。センサ装置100において実行される第4実施形態の撮像向き制御処理は、ステップS150に代えてステップS150aを実行する点において、
図10に示す第3実施形態の撮像向き制御処理と異なる。第4実施形態の撮像向き制御処理のその他の手順は、第3実施形態の撮像向き制御処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
図11に示すように、上述のステップS145の完了後、撮像向き指示部130は、撮像装置200に設定されている制御値に基づき特定される検出移動体の位置と、センサ装置100の位置特定部120により特定される検出移動体の位置との誤差(以下、「特定位置誤差」と呼ぶ)が所定距離以下であるか否かを判定する(ステップS150a)。本実施形態においてステップS150aの所定距離は、50cm(センチメートル)である。なお、50cmに限らず任意の距離を所定距離として設定してもよい。センサ装置100により特定される検出移動体の位置とは、移動体が検出された場合に位置特定部120により特定される位置である。「撮像装置200に設定されている制御値に基づき特定される検出移動体の位置」および特定位置誤差の求め方について、
図1、
図12および
図13を用いて説明する。
【0062】
図12は、
図1に示す監視領域Ar1を+Y方向および+V方向に見た説明図である。
図13は、
図1に示す監視領域Ar1を-Z方向および-W方向に見た説明図である。
図1および
図13に示すように、検出移動体である人物m1の水平方向の位置は、XYZ座標系においては、(X,Y)=(Xp,Yp)である。
【0063】
図12に示すように、撮像装置200から人物m1までのXY平面に沿った距離Lcは、撮像装置200のチルト角度θ
Tと、センサ装置100の設置高さHsと、撮像装置200の設置高さHcとを下記式(1)に代入することにより算出される。設置高さHs、Hcは、予めセンサ装置100の記憶部160に記憶されている。チルト角度θ
Tは、撮像装置200から取得した制御値に含まれている。
Lc=(Hc-Hs)tanθ
T ・・・式(1)
【0064】
また、人物m1の水平方向の位置(Xp,Yp)は、上述の距離Lcを用いて以下の式(2)、(3)により算出される。
Xp=Xc-Lc×sin(1.5π-θ
o-θ
p) ・・・式(2)
Yp=Yc-Lc×cos(1.5π-θ
o-θ
p) ・・・式(3)
上記式(2)において、Xcは、撮像装置200のX座標の値を示す。θ
oは、
図13に示すセンサ装置100の正面方向FD1と、撮像装置200の正面方向FD2との角度ずれを示す。かかる角度ずれθ
oは、予めセンサ装置100の記憶部160に記憶されている。θ
pは、撮像装置200のパン角度、すなわち、撮像装置200の正面方向FD2を基準としたパン方向に沿った撮像装置200の撮像方向の角度を示す。かかるパン角度θ
pは、撮像装置200から取得した制御値に含まれている。
【0065】
また、センサ装置100において、位置特定部120は、検出部110の検出結果を利用して、人物m1までの距離Lsと、センサ装置100を基準とした人物m1が存在する方向とに基づき、下記式(4)、(5)により、人物の座標(Xp,Yp)を算出する。なお、センサ装置100を基準とした人物m1が存在する方向とは、
図13に示すように、正面方向FD1と人物m1が存在する方向との間の角度θ
sとして特定されている。
Xp=Ls×cosθ
s ・・・式(4)
Yp=Ls×sinθ
s ・・・式(5)
【0066】
そして、撮像向き指示部130は、式(2)、(3)により算出される人物m1の位置(Xp,Yp)と、式(4)、(5)により算出される人物m1の位置(Xp,Yp)との間の距離を、上述の特定位置誤差として求める。ステップS150aでは、このようにして求められた特性位置誤差が、所定距離である50cm以下であるか否かが判定される。
【0067】
図11に示すように、ステップS150aにおいて、特定位置誤差が所定距離以下であると判定された場合(ステップS150a:YES)、処理は上述のステップS125に戻る。このため、所定期間T1の待機が再度実行される。特定位置誤差が所定距離以下である場合、センサ装置100と撮像装置200とは同一の移動体を検出または撮像している状況が推定される。このような状況では、ユーザが操作装置300による操作によって撮像向きを調整したとしても、センサ装置100が検出した検出移動体は撮像される。このため、このような場合には、再び所定期間T1の待機を実行することによって撮像向き指示処理が実行されないようにし、ユーザの利便性を向上させるようにしている。上述のステップS150aにおいて、特定位置誤差が所定距離以下でないと判定された場合(ステップS150a:NO)、処理はステップS105に戻る。
【0068】
以上説明した第4実施形態の監視システム10は、第3実施形態の監視システム10と同様な効果を有する。加えて、特定位置誤差、すなわち、センサ装置100の位置特定部120により特定される検出移動体の位置と、撮像装置200に設定されている制御値に基づき特定される検出移動体の位置との誤差が所定距離以下である場合には、ステップS130が実行されない期間、換言すると、所定期間T1が延長されるので、センサ装置100と撮像装置200とが同一の移動体を検出または撮像しているにも関わらず、撮像向き指示処理が実行され、そのたびにユーザが所望する撮像向きに微調整を行うことを抑制でき、ユーザの利便性を向上できる。
【0069】
E.第5実施形態:
第5実施形態の監視システム10は、センサ装置100における撮像向き制御処理の手順が異なる点において、第3実施形態の監視システム10と異なる。第5実施形態の監視システム10のシステム構成、および撮像装置200と操作装置300における撮像向き制御処理の手順は、第3実施形態と同じであるので、同一の構成要素および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図14は、センサ装置100において実行される第5実施形態の撮像向き制御処理の手順を示すフローチャートである。センサ装置100において実行される第5実施形態の撮像向き制御処理は、ステップS150に代えてステップS150bを実行する点において、
図10に示す第3実施形態の撮像向き制御処理と異なる。第5実施形態の撮像向き制御処理のその他の手順は、第3実施形態の撮像向き制御処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
図14に示すように、上述のステップS145の完了後、撮像向き指示部130は、検出移動体は移動しているか否かを判定する(ステップS150b)。ステップS135の移動体検出処理において位置特定部120により特定される検出移動体の位置が前回特定された位置から所定距離以上ずれている場合、或いは、検出移動体の方向が前回特定された方向から所定角度以上ずれている場合、撮像向き指示部130は、検出移動体が移動していると判定する。
【0072】
検出移動体は移動していると判定された場合(ステップS150b:YES)、処理は上述のステップS125に戻る。このため、所定期間T1の待機が再度実行される。一般に、悪意者が不法行為などを行う場合、何らかの移動が伴うため、かかる場合には、検出移動体は移動していると判定される。このような状況では、ユーザは手動で所望の向きで撮像したいと考えることが想定される。したがって、このような状況では、撮像向き指示処理(ステップS130)を停止し、ユーザの操作を優先するようにしている。上述のステップS150bにおいて、検出移動体は移動していないと判定された場合(ステップS150b:NO)、処理はステップS105に戻る。
【0073】
以上説明した第5実施形態の監視システム10は、第3実施形態の監視システム10と同様な効果を有する。加えて、検出移動体は移動しているか否かが判定され、移動していると判定された場合には、ステップS130が実行されない期間、換言すると、所定期間T1が延長されるので、悪意者が不法行為などを行っておりユーザは手動で所望の向きで撮像したいと考えるような状況において、撮像向き指示処理が実行され、そのたびにユーザが所望する撮像向きに微調整を行うことを抑制でき、ユーザの利便性を向上できる。
【0074】
F.第6実施形態:
図15は、第6実施形態の監視システム10aの詳細構成を示すブロック図である。第6実施形態の監視システム10aは、センサ装置100に代えてセンサ装置100aを備える点において、
図2に示す第1実施形態の監視システム10と異なる。第6実施形態のセンサ装置100aにおけるその他の構成は、第1実施形態の監視システム10と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0075】
センサ装置100aは、制御値中継部180を備える点においてのみ第1実施形態のセンサ装置100と異なる。制御値中継部180は、操作装置300から受信する制御値を、撮像装置200に中継する。すなわち、操作装置300から制御値を受信し、受信した制御値をそのまま撮像装置200に送信する。
【0076】
図16は、第6実施形態のセンサ装置100aにおいて実行される撮像向き制御第1処理の手順を示すフローチャートである。
図17は、第6実施形態のセンサ装置100aにおいて実行される撮像向き制御第2処理の手順を示すフローチャートである。センサ装置100aでは、撮像装置200の撮像向きを制御するための処理として、
図16に示す撮像向き制御第1処理と、
図17に示す撮像向き制御第2処理とが並列実行される。撮像向き制御第1処理は、センサ装置100aにおいて移動体を検出し、検出移動体が撮像される向きに撮像装置200の撮像向きを制御するための処理である。これに対して、撮像向き制御第2処理は、操作装置300による操作に応じて撮像装置200の撮像向きを制御するための処理である。これら2つの処理は、いずれもセンサ装置100aの電源がオンすると実行される。
【0077】
なお、操作装置300における第6実施形態の撮像向き制御処理の手順は、
図5に示す第1実施形態の撮像向き制御処理の手順と同じである。但し、ステップS315における制御値の送信先は、第1実施形態では撮像装置200であったが、第6実施形態では、センサ装置100aである。
【0078】
図16に示すように、センサ装置100aにおいて制御値中継部180は、操作装置300から制御値を受信したか否かを判定する(ステップS505)。制御値を受信しないと判定された場合には(ステップS505:NO)、ステップS505が再度実行される。すなわち、制御値中継部180は、操作装置300から制御値を受信するまで待機する。制御値を受信したと判定された場合には(ステップS505:YES)、制御値中継部180は、受信した制御値を撮像装置200に中継する(ステップS510)。ステップS510の完了後、処理はステップS505に戻る。
【0079】
図17に示す第6実施形態の撮像向き制御第2処理の手順は、
図8に示す第2実施形態における撮像向き制御処理の手順と同じであるので、その詳細な説明を省略する。但し、第6実施形態のステップS102の詳細手順は、第2実施形態のステップS102の手順とは異なる。
【0080】
第2実施形態のステップ102、すなわち、一致状態であるか否かの判定は、最近取得された撮像装置200に設定されている制御値と、ステップS130が前回実行された際にセンサ装置100から撮像装置200に送信された制御値とを比較して実行されていた。これに対して、第6実施形態のステップS102では、一致状態判定部150は、前回ステップS130により制御値を撮像装置200に送信した後に操作装置300から制御値を受信したか否かを判定することにより一致状態であるか否かを判定する。具体的には、前回ステップS130により制御値を撮像装置200に送信した後に操作装置300から制御値を受信したと判定された場合、一致状態ではないと判定し、受信していないと判定された場合、一致状態であると判定する。上述のように、撮像向き制御第1処理のステップS510が実行されない限り、撮像装置200に設定されている制御値はステップS130においてセンサ装置100aから送信された制御値のままであるため、上記のような方法により一致状態であるか否かを判定できる。
【0081】
図18は、第6実施形態の撮像向き制御第1処理、撮像向き制御第2処理、および撮像向き制御処理の実行中におけるセンサ装置100a、撮像装置200および操作装置300による情報のやりとりを示すシーケンス図である。なお、
図18では、
図4、
図5、
図16および
図17に示す一部のステップは、図示の便宜上省略されている。
【0082】
図18に示すように、センサ装置100aでは、操作装置300から制御値を受信しない限り、検出移動体を撮像可能な撮像向きとなるように、制御値が撮像装置200に繰り返し送信される(ステップS130)。しかし、センサ装置100aにおいて、操作装置300から制御値を受信すると、かかる制御値が撮像装置200に中継され(ステップS510)、その後に実行されるステップS102では、一致状態ではないと判定される。このため、第1実施形態と同様に、所定期間T1待機し、その後、ステップS130(撮像向き指示処理)が再開される。
【0083】
以上説明した第6実施形態の監視システム10aは、第1実施形態の監視システム10と同様な効果を有する。加えて、監視システム10aでは、操作装置300から制御値が受信されない場合に一致状態であると判定し、操作装置300から制御値が受信される場合に一致状態でないと判定するので、センサ装置100aと撮像装置200との間において、撮像装置200の撮像向きの制御のための通信とは別に、撮像装置200に設定されている制御値の取得のための通信が行われることを抑制できる。このため、かかる通信に伴うセンサ装置100aおよび撮像装置200における処理負荷を低減できる。なお、第6実施形態におけるステップS125の所定期間T1は、本開示における第3期間に相当する。
【0084】
G.他の実施形態:
(G1)各実施形態において、撮像向きに関する制御値は、パン角度とチルト角度とが該当していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、パン角度とチルト角度とのうちのいずれか一方のみであってもよい。また、例えば、パン角度とチルト角度とに加えて、ズーム量が該当してもよい。具体的には、撮像装置200をズームおよびワイドの動作可能に構成し、また、このズームまたはワイドの動作を、受信する制御値に基づき制御可能な構成とし、各実施形態を実行してもよい。かかる構成を第4実施形態に適用する場合、以下のような構成としてもよい。すなわち、ステップS150aで用いられる所定距離を、固定値ではなく、ズーム量またはワイド量に応じて変化させてもよい。一般に、ズーム量が大きい場合、ユーザは、撮像対象領域を拡大して撮像し、移動体の細かな動きを確認したいと考えていることが推定される。そこで、この場合には、検出移動体の小さな動き、換言すると、手や足などの小さな動きがあった場合には、ユーザによる操作を優先させて、撮像向き指示処理(ステップS130)を停止させてもよい。
【0085】
(G2)第3実施形態では、ステップS150において、撮像装置200から受信した制御値により特定される撮像向きにステップS135で検出された検出移動体の位置があると判定された場合には、所定期間T1の待機が再度実行され、撮像向き指示処理(ステップS130)が停止している期間が延長されていたが、本開示はこれに限定されない。かかる延長に上限を設けるようにし、かかる上限を超えた場合には、所定期間T1の待機を行わずに撮像向き指示処理(ステップS130)が再開されるようにしてもよい。
【0086】
(G3)各実施形態において、ユーザが操作装置300を操作して或る移動体が撮像されるように撮像向きを手動制御していた場合には、撮像向き指示処理(ステップS130)が停止され、その後、所定期間T1の経過等により撮像向き指示処理が再開した際に、かかる移動体が撮像されるような撮像向きに制御するような制御値を、センサ装置100、100aから撮像装置200に送信するようにしてもよい。例えば、監視領域Ar1内に複数の移動体が同時に存在し、撮像向きの自動制御において注目する移動体と、ユーザによる手動制御において注目する移動体とが異なる場合には、ユーザによる手動制御において注目する移動体を優先させ、その後、かかる移動体を撮像可能な向きに撮像向きを自動制御してもよい。
【0087】
(G4)第3実施形態のステップS150、第4実施形態のステップS150a、第5実施形態のステップS150bに代えて、監視領域Ar1に新たな移動体が検出されたか否かを判定し、新たな移動体が検出されたと判定された場合に処理がステップS105に戻り、検出されないと判定された場合には処理がステップS125に戻る構成としてもよい。すなわち、監視領域Ar1に新たな移動体が現れるまで、所定期間T1の待機が再度実行されて撮像向き指示処理(ステップS130)が停止している期間が延長される構成としてもよい。
【0088】
(G5)第2実施形態および第6実施形態のステップS125の完了後に、第3実施形態のステップS135~S150を実行して、撮像向きに検出移動体の位置がある場合には、第3実施形態と同様に所定期間T1を延長するようにしてもよい。
【0089】
(G6)各実施形態において、センサ装置100、100aは、近赤外線レーザ光を出力していたが、本開示はこれに限定されない。中赤外線のレーザ光であってもよい。また、赤外線に限らず、赤色レーザや青色レーザなど、任意の波長のレーザ光であってもよい。また、レーザ光に限らず、ミリ波レーダ等で用いられる波長がミリメートル単位となる電波であってもよい。すなわち一般には、移動体を検出可能な任意の波長の電磁波を、センサ装置100、100aにおいて用いてもよい。
【0090】
(G7)各実施形態において、一致状態でないと判定された場合に(ステップS120、S102:NO)、所定期間待機(ステップS125)以降の処理を省略して撮像向き制御処理を完了するようにしてもよい。かかる構成においては、撮像向き指示処理(ステップS130)は、再開されない限り実行されないこととなる。かかる構成および各実施形態から理解できるように、移動体が検出されて一致状態であると判定される期間において実行され続けるステップS130が、各実施形態のように一時的に中止される構成と、上述のように完了される構成とを含む「終了する構成」を、本開示の監視システムにおいて採用してもよい。
【0091】
(G8)第1実施形態において、所定期間待機(ステップS125)の後であって、次回の制御値要求(ステップS115)の実行前までに、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信した制御値と同じ制御値を、撮像装置200に送信するステップを追加してもよい。かかる構成によれば、次回の制御値要求(ステップS115)において、撮像装置200から取得される制御値を、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信した制御値と積極的に一致させることができる。このため、その後に実行されるステップS120において一致状態であると判定させることができ、ステップS130を確実に実行させて検出移動体の追尾撮影を実行できる。同様に、第2および第6実施形態において、所定期間待機(ステップS125)の後であって、次回のステップS102の実行前に、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信した制御値と同じ制御値を、撮像装置200に送信するステップを追加してもよい。また、第3実施形態のステップS150において、受信した制御値により特定される撮像向きに検出移動体の位置が無いと判定された場合に(ステップS150:NO)に、次回の制御値要求(ステップS115)の実行前までに、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信した制御値と同じ制御値を、撮像装置200に送信するステップを追加してもよい。同様に、第4実施形態のステップS150aにおいて特定位置誤差が所定距離以下でないと判定された場合(ステップS150a:NO)、および、第5実施形態のステップS150bにおいて検出移動体は移動していないと判定された場合に(ステップS150b:NO)、次回の制御値要求(ステップS115)の実行前までに、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信した制御値と同じ制御値を、撮像装置200に送信するステップを追加してもよい。これらの構成においても、上述の構成と同様な効果を奏する。なお、第1ないし第4実施形態においても、ステップS125や、ステップS150や、ステップS150aの完了後に再び実行されるステップS115よりも前の時点で、撮像装置200に設定されている制御値が、前回の撮像向き指示処理(ステップS130)において撮像装置200に送信した制御値と同じになっている場合には、ステップS130が実行され、追尾撮影が実行されることとなる。
【0092】
(G9)各実施形態における監視システム10、10aの構成はあくまでも一例であり、様々に変更可能である。例えば、所定期間T1の待機(ステップS125)を省略してもよい。第1実施形態においてステップS125を省略した場合、一致状態ではないと判定された場合(ステップS120:NO)、処理はステップS105に戻り、移動体の検知処理や制御値要求が待機期間無しで実行されることとなる。かかる構成においても、一致状態ではないと判定される限り撮像向き指示処理(ステップS130)が実行されないので、第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0093】
(G10)各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、位置特定部120、撮像向き指示部130、制御値取得部140および一致状態判定部150のうちの少なくとも1つの機能部を、集積回路、ディスクリート回路、またはそれらの回路を組み合わせたモジュールにより実現してもよい。また、本開示の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データパケットを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0094】
本開示は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
10…監視システム、10a…監視システム、100…センサ装置、100a…センサ装置、110…検出部、120…位置特定部、130…撮像向き指示部、140…制御値取得部、150…一致状態判定部、160…記憶部、170…通信部、180…制御値中継部、200…撮像装置、210…撮像カメラ、215…可動式架台、220…調整アクチュエータ、230…制御部、240…通信部、300…操作装置、310…表示部、320…操作部、330…制御部、340…通信部、500…通信ネットワーク、Ar1…監視領域、C1…撮像範囲、FD1…正面方向、FD2…正面方向、Lc…距離、Ls…距離、T1…所定期間、T2…所定期間、m1…人物