(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】可撓性バスバー、複合バスバー、および蓄電パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20230124BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/526 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20230124BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20230124BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20230124BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/50 101
H01M50/505
H01M50/507
H01M50/526
H01M50/249
H01M50/296
H01G2/02 101E
H01G11/10
(21)【出願番号】P 2021542699
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2020030171
(87)【国際公開番号】W WO2021039344
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2019154811
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 暢之
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532269(JP,A)
【文献】特開2012-243689(JP,A)
【文献】特開平06-140020(JP,A)
【文献】特開2017-216095(JP,A)
【文献】特表2015-537357(JP,A)
【文献】特開2018-181780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062789(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0171401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/503
H01M 50/50
H01M 50/505
H01M 50/507
H01M 50/526
H01M 50/249
H01M 50/296
H01G 2/02
H01G 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの金属板材が折れ曲がった、少なくとも1つの折れ曲がり部と、
前記折れ曲がり部を介して積層された複数の積層部と、を備え、
前記複数の積層部のうち前記折れ曲がり部が形成された側縁には、前記折れ曲がり部と異なる部分が切断された切断部を有し、
前記折れ曲がり部は、前記複数の積層部の側縁のうち前記折れ曲がり部が形成された側縁の一方の端部寄りの部分に形成されている可撓性バスバー。
【請求項2】
前記金属板材が、2回以上折れ曲がっていることにより複数の前記折れ曲がり部を有する請求項1に記載の可撓性バスバー。
【請求項3】
前記複数の積層部には、前記複数の積層部の厚さ方向と交差する方向に凸状に屈曲する屈曲部が形成されている請求項1または請求項2に記載の可撓性バスバー。
【請求項4】
車両に搭載されて用いられる車両用の可撓性バスバーであって、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可撓性バスバー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可撓性バスバーと、
前記可撓性バスバーの端部に接続された端部バスバーと、を備えた複合バスバー。
【請求項6】
車両に搭載されて用いられる複合バスバーであって、請求項5に記載の複合バスバー。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の複合バスバーと、
複数の蓄電素子を備えた蓄電モジュールと、を備えた蓄電パックであって、
前記蓄電モジュールの外部出力端子に前記複合バスバーの前記端部バスバーが接続されている蓄電パック。
【請求項8】
車両に搭載されて用いられる車両用の蓄電パックであって、請求項7に記載の蓄電パック
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可撓性バスバー、複合バスバー、蓄電パック、および可撓性バスバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車等の電源を構成するバッテリーに接続されるバスバーとして、特開平6-140020号公報に記載のものが知られている。このバスバーは、複数の金属板が積層されて形成されている。積層された金属板の両端部には、バッテリーの電極に接続される接続部が、金属板材と一体化されて形成されている。金属板材が変形することにより、バッテリー間の寸法公差に対応することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、バスバーの製造時に複数の金属板材をまとめておく工夫をしておかないと、複数の金属板材がばらばらになってしまうおそれがある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造時に複数の金属板材がばらばらになってしまうことが抑制された可撓性バスバーに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる可撓性バスバーは、1つの金属板材が折れ曲がった、少なくとも1つの折れ曲がり部と、前記折れ曲がり部を介して積層された複数の積層部と、を備え、前記複数の積層部のうち前記折れ曲がり部が形成された側縁には、前記折れ曲がり部と異なる部分が切断された切断部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、可撓性バスバーの製造時に金属板材がばらばらになってしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる蓄電モジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、可撓性バスバーを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、金属板材が折り曲げられる工程を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、折り曲げられた状態の金属板材を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、切断部が形成された状態の可撓性バスバーを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2にかかる蓄電パックを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態3にかかる可撓性バスバーを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態4にかかる可撓性バスバーを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態5にかかる可撓性バスバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示は、1つの金属板材が折れ曲がった、少なくとも1つの折れ曲がり部と、前記折れ曲がり部を介して積層された複数の積層部と、を備え、前記複数の積層部のうち前記折れ曲がり部が形成された側縁には、前記折れ曲がり部と異なる部分が切断された切断部を有する可撓性バスバーである。
【0011】
複数の積層部を有することにより可撓性バスバーは撓みやすくなるので、蓄電素子間の公差に対応して撓み変形できる。
【0012】
複数の積層部は折れ曲がり部により連結されているので、可撓性バスバーの製造工程中に、複数の積層部がばらばらになることが抑制される。
【0013】
複数の積層部のうち側縁の一部が折れ曲がり部とされ、他の部分は切断されている。これにより、折れ曲がり部と異なる部分においては、複数の積層部はつながっていないので自由に動ける。この結果、可撓性バスバーが撓みやすくなるので、蓄電素子間の公差に対応しやすくなる。
【0014】
(2)前記金属板材が、2回以上折れ曲がっていることにより複数の前記折れ曲がり部を有することが好ましい。
【0015】
金属板材の折れ曲がり回数が多い程、可撓性バスバーの断面二次モーメントが小さくなるので、可撓性バスバーが撓み変形しやすくなる。
【0016】
(3)前記折れ曲がり部は、前記複数の積層部の側縁のうち前記折れ曲がり部が形成された側縁の端部寄りの部分に形成されていることが好ましい。
【0017】
複数の積層部の端部寄りの部分が折れ曲がり部によって連結されているので、複数の積層部がまとまりやすくなっている。
【0018】
(4)前記折れ曲がり部は、前記複数の積層部の側縁のうち前記折れ曲がり部が形成された側縁の中央位置に形成されていることが好ましい。
【0019】
可撓性バスバーの両端部における撓みやすさが向上するので、可撓性バスバーの可撓性が向上する。
【0020】
(5)前記複数の積層部には、前記複数の積層部の厚さ方向と交差する方向に凸状に屈曲する屈曲部が形成されていることが好ましい。
【0021】
屈曲部が伸縮することにより、蓄電素子の公差に対応することができる。
【0022】
(6)車両に搭載されて用いられる車両用の可撓性バスバーであることが好ましい。
【0023】
(7)本開示にかかる複合バスバーは、上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の可撓性バスバーと、前記可撓性バスバーの端部に接続された端部バスバーと、を備える。
【0024】
端部バスバーを蓄電モジュールの外部出力端子に接続することにより、複数の蓄電モジュールを電気的に接続できる。可撓性バスバーが撓み変形することにより、複数の蓄電モジュール間の寸法公差に対応できる。
【0025】
(8)車両に搭載されて用いられる複合バスバーであることが好ましい。
【0026】
(9)本開示は、上記の(7)または(8)に記載の複合バスバーと、複数の蓄電素子を備えた蓄電モジュールと、を備えた蓄電パックであって、前記蓄電モジュールの外部出力端子に前記複合バスバーの前記端部バスバーが接続されている。
【0027】
(10)車両に搭載されて用いられる車両用の蓄電パックであることが好ましい。
【0028】
(11)本開示にかかる可撓性バスバーの製造方法は、1つの金属板材を折り曲げて連結部を形成することにより、積層された複数の積層部を形成する工程と、前記連結部の一部を残して切断することにより、残された前記連結部の一部を折れ曲がり部とする工程と、を備える。
【0029】
折れ曲がり部によって複数の積層部が連結されているので、可撓性バスバーを製造する際に複数の積層部がばらばらになることを抑制できる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態がについて説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0031】
<実施形態1>
本開示を車両1に搭載される蓄電パック2に適用した実施形態1が
図1から
図6を参照しつつ説明される。蓄電パック2は、電気自動車、またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の部材については一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0032】
[全体構成]
図1に示されるように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子12を備えた蓄電モジュール11を有する。
【0033】
[蓄電モジュール11]
蓄電モジュール11は、複数(本実施形態では6つ)の蓄電素子12と、蓄電素子12を電気的に接続する複数(本実施形態では7つ)の可撓性バスバー10と、を備える。以下の説明においては、矢線Zで示す方向を上方とし、矢線Yで示す方向を前方とし、矢線Xで示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0034】
図2に示されるように、蓄電素子12は、前後方向に扁平な直方体形状をなしている。本実施形態にかかる蓄電素子12は二次電池である。蓄電素子12の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子12の上面には、左右両端部寄りの位置に、電極端子13がそれぞれ形成されている。電極端子13は蓄電要素と電気的に接続されている。蓄電素子12に形成された2つの電極端子13のうち、一方は正極であり、他方は負極である。本実施形態にかかる電極端子13は上方に突出する平坦な板状をなしている。
【0035】
複数の蓄電素子12は左右方向に並べられている。隣り合う蓄電素子12の電極端子13同士は、可撓性バスバー10によって接続されている。
【0036】
[可撓性バスバー10]
図3に示されるように、可撓性バスバー10は金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。金属板材を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金等、任意の金属を選択できる。金属板材の表面には図示しないメッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を形成する金属としては、半田、スズ、ニッケル等、任意の金属を選択できる。
【0037】
可撓性バスバー10は、左右方向に細長く延びた形状をなしている。可撓性バスバー10は上方から見て、略長方形状をなしている。可撓性バスバー10は、上下方向に積層された複数の積層部14を有する。複数の積層部14のそれぞれの形状は、ほぼ同じに形成されている。
【0038】
上下に積層された積層部14のそれぞれは、左右両端部寄りの位置に形成された折れ曲がり部15によって連結されている。折れ曲がり部15は、上下に積層された積層部14のそれぞれから、前方に突出して後方に折り返され、または後方に突出して前方に折り返されて形成されている。これにより、上下に積層された積層部14のそれぞれは、いわゆる密着曲げされた状態になっている。
【0039】
可撓性バスバー10には、左右方向のほぼ中央位置に、上方(積層部14の厚さ方向の一例)に凸形状に曲がる屈曲部16を有する。屈曲部16は左右方向に伸縮するように撓み変形可能に形成されている。これにより可撓性バスバー10は、全体として左右方向に伸縮可能になっている。
【0040】
可撓性バスバー10の左端部および右端部は、それぞれ、蓄電素子12の電極端子13の上に載置された状態で固定されている。可撓性バスバー10と電極端子13との固定方法は特に限定されず、レーザー溶接、抵抗溶接等の溶接や、半田付け、ろう付け等のろう接など、任意の固定方法を採用し得る。本実施形態においては、可撓性バスバー10と電極端子13とはレーザー溶接により電気的にかつ物理的に固定されている。
【0041】
[蓄電モジュール11の製造工程]
蓄電モジュール11の製造工程の一例について説明する。蓄電モジュール11の製造工程は以下の記載に限定されない。
【0042】
図4に示されるように、長尺な金属板材19は、所定の間隔で山折りするとともに谷折りすることにより、蛇腹状に折り曲げられる。各積層部14間には隙間が形成されていてもよく、また、隙間が形成されていなくてもよい。
図5に示されるように、複数の積層部14が連結部17により連結された状態で積層される。各積層部14は、ほぼ密着状態で積層されている。
【0043】
各積層部14の前縁部および後縁部に形成された連結部17は、
図5に示される1点鎖線20で示された部分に沿って、左右両端部を残して切断される。これにより、
図6に示されるように、各積層部14の左右両端部に折れ曲がり部15が形成されるとともに、積層部14のうち折れ曲がり部15が形成された側縁に切断部18が形成される。切断部18においては、切断加工により形成された、せん断面が露出している。
【0044】
各積層部14は、折れ曲がり部15において上下方向に連結されている。このため、各積層部14は、可撓性バスバー10の製造工程中にばらばらになってしまうことが抑制される。また、各積層部14は、折れ曲がり部15と異なる部分においては比較的に自由に変形できる。これにより、可撓性バスバー10は、全体として撓み変形可能に形成されている。
【0045】
複数の蓄電素子12が前後方向に並べられる。可撓性バスバー10が、隣り合う電極端子13同士を跨ぐように載置される。可撓性バスバー10の両端部と、電極端子13とがレーザー溶接される。これにより蓄電モジュール11が完成する。
【0046】
[本実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態にかかる可撓性バスバー10は、1つの金属板材が折れ曲がった、少なくとも1つの折れ曲がり部15と、折れ曲がり部15を介して積層された複数の積層部14と、を備え、複数の積層部14のうち折れ曲がり部15が形成された側縁には、折れ曲がり部15と異なる部分が切断された切断部18を有する。
【0047】
各蓄電素子12の電極端子13については寸法公差が設定されている。複数の蓄電素子12が並べられることによって寸法公差が積み重なることになる。また、各蓄電素子12は、充電および放電を繰り返すたびに、膨張および収縮を繰り返す。このような理由から、隣り合う電極端子13同士を接続する部材については可撓性が求められる。
【0048】
本実施形態においては、複数の積層部14を有することにより可撓性バスバー10は撓みやすくなるので、蓄電素子12間の公差に対応して撓み変形できる。
【0049】
複数の積層部14は折れ曲がり部15により連結されているので、可撓性バスバー10の製造工程中に、複数の積層部14がばらばらになることが抑制される。
【0050】
複数の積層部14のうち側縁の一部が折れ曲がり部15とされ、他の部分は切断されている。これにより、折れ曲がり部15と異なる部分においては、複数の積層部14はつながっていないので自由に動くことができる。この結果、可撓性バスバー10が撓みやすくなるので、蓄電素子12間の公差に対応しやすくなる。
【0051】
また、本実施形態によれば、金属板材が、2回以上折れ曲がっていることにより複数の折れ曲がり部15を有する。
【0052】
金属板材の折れ曲がり回数が多い程、可撓性バスバー10の断面二次モーメントが小さくなるので、可撓性バスバー10が撓み変形しやすくなる。
【0053】
また、本実施形態によれば、折れ曲がり部15は、複数の積層部14の側縁のうち折れ曲がり部15が形成された側縁の端部寄りの部分に形成されている。
【0054】
複数の積層部14の端部寄りの部分が折れ曲がり部15によって連結されているので、複数の積層部14がまとまりやすくなっている。
【0055】
また、本実施形態によれば、複数の積層部14には、複数の積層部14の厚さ方向に凸状に屈曲する屈曲部16が形成されている。
【0056】
屈曲部16が伸縮することにより、蓄電素子12の公差に対応することができる。
【0057】
また、本実施形態にかかる可撓性バスバー10は、車両1に搭載されて使用される車両用の可撓性バスバー10である。
【0058】
本実施形態にかかる可撓性バスバー10の製造方法は、1つの金属板材を折り曲げて連結部17を形成することにより、積層された複数の積層部14を形成する工程と、連結部17の一部を残して切断することにより、残された連結部17の一部を折れ曲がり部15とする工程と、を備える。
【0059】
折れ曲がり部15によって複数の積層部14が連結されているので、可撓性バスバー10を製造する際に複数の積層部14がばらばらになることを抑制できる。
【0060】
<実施形態2>
次に、本開示に係る技術を蓄電パック35に適用した実施形態2について
図7および
図8を参照しつつ説明する。
図7に示されるように、蓄電パック35は2つの蓄電モジュール30を備える。本実施形態では2つの蓄電モジュール30が複合バスバー31によって接続されている。蓄電モジュール30は、並べられた複数(本実施形態では6つ)の蓄電素子12を備える。隣り合う電極端子13同士は、図示しないバスバーによって接続されている。蓄電素子12同士を接続するバスバーは、実施形態1に記載された可撓性バスバー10を用いてもよく、また、他の公知のバスバーを用いてもよい。
【0061】
蓄電モジュール30を構成する複数の蓄電素子12のうち、蓄電素子12の並び方向の端部に配された蓄電素子12の電極端子13の一方には、蓄電モジュール11の電力を外部回路の出力するための端部バスバー32が接続されている。
【0062】
端部バスバー32と電極端子13との接続方法は特に限定されず、レーザー溶接、抵抗溶接等の溶接や、半田付け、ろう付け等のろう接など、任意の固定方法を採用し得る。本実施形態においては、端部バスバー32と電極端子13とはレーザー溶接により電気的にかつ物理的に固定されている。
【0063】
端部バスバー32は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。端部バスバー32を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を選択できる。端部バスバー32の表面には図示しないメッキ層が形成されていてもよい。
【0064】
端部バスバー32の形状は特に限定されず、長方形状、正方形状、屈曲したクランク形状、L字形状等、任意の形状を採用できる。本実施形態では、上方から見てL字形状をなしている。
【0065】
図7に示された2つの蓄電モジュール30のうち一方の蓄電モジュール30に接続された端部バスバー32と、他方の蓄電モジュール30に接続された端部バスバー32とが、可撓性バスバー33によって接続されている。端部バスバー32のうち、電極端子13と接続された端部とは異なる端部の上に、可撓性バスバー33が載置された状態で固定されている。
【0066】
本実施形態にかかる可撓性バスバー33は、上方に凸状に屈曲する屈曲部16を有しない点で、実施形態1にかかる可撓性バスバー10と異なる。
【0067】
端部バスバー32と可撓性バスバー33との接続方法は特に限定されず、レーザー溶接、抵抗溶接等の溶接や、半田付け、ろう付け等のろう接など、任意の固定方法を採用し得る。本実施形態においては、端部バスバー32と可撓性バスバー33とはレーザー溶接により電気的にかつ物理的に固定されている。
【0068】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0069】
各蓄電モジュール30は、複数の蓄電素子12を有するので、比較的に質量が大きい。このため、車両に蓄電モジュール30が固定されると、蓄電モジュール30の位置を微調整することは難しい。蓄電モジュール30については寸法公差が設定されており、蓄電モジュール30と車両との間には組み付け公差が設定されている。このため、蓄電モジュール30と車両とをそれぞれの公差の範囲内で固定した場合でも、隣り合う蓄電モジュール30同士では、やはり公差の範囲内で位置ずれが生じる。
【0070】
本実施形態にかかる複合バスバー31は、可撓性バスバー33と、可撓性バスバー33の端部に接続された端部バスバー32と、を備える。また、本実施形態にかかる蓄電パック35は、複合バスバー31と、複数の蓄電素子12を備えた蓄電モジュール30と、を備えた蓄電パック35であって、前記蓄電モジュール30の電極端子13に複合バスバー31の端部バスバー32が接続されている。
【0071】
このように端部バスバー32を蓄電モジュール30の電極端子に接続することにより、複数の蓄電モジュール30を電気的に接続できる。可撓性バスバー33が撓み変形することにより、複数の蓄電モジュール30間の寸法公差に対応できる。
【0072】
まず、隣り合う蓄電モジュール30同士のうち、前後方向および左右方向については、端部バスバー32と、可撓性バスバー33とが接続される位置を、蓄電モジュール30同士が前後方向および左右方向についてずらした後に溶接することにより対応できる。
【0073】
上下方向についての、隣り合う蓄電モジュール30同士の位置ずれについては、可撓性バスバー33を側方から見て緩やかなクランク状に屈曲させることにより対応することができる。
【0074】
本実施形態にかかる複合バスバー31は、車両1に搭載されて使用される車両用の複合バスバー31である。また、本実施形態にかかる蓄電パック35は、車両1に搭載されて使用される車両用の蓄電パック35である。
【0075】
<実施形態3>
次に、実施形態3にかかる可撓性バスバー40について
図9を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる可撓性バスバー40においては、折れ曲がり部41は、各積層部42のうち、折れ曲がり部41が
形成された側縁の一方の端部寄りの位置に形成されている。各積層部42においては、折れ曲がり部41は、上方から見て対角線上に設けられている。本実施形態においては、折れ曲がり部41は、各積層部42の右後端部と、左前端部に形成されている。本実施形態にかかる可撓性バスバー40は屈曲部16を有しない。
【0076】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
折れ曲がり部41が、各積層部42のうち両端部に形成されている場合に比べて、各積層部42が互いに拘束される部分が少なくなるので、各積層部14は撓み変形しやすくなる。これにより、可撓性バスバー40の可撓性が向上させることができる。
【0078】
<実施形態4>
次に、実施形態4にかかる可撓性バスバー50について
図10を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる可撓性バスバー50においては、折れ曲がり部51は、各積層部52のうち折れ曲がり部51が形成された側縁の中央位置に形成されている。各積層部52は、上下方向から見て、左右方向の中央位置付近において、上方と、下方にそれぞれ折れ曲がり部51が突出している。本実施形態にかかる可撓性バスバー50は屈曲部16を有しない。
【0079】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
折れ曲がり部51が、各積層部52のうち両端部に形成されている場合に比べて、各積層部52の端部において、各積層部52は変形しやすくなっている。これにより、可撓性バスバー50の可撓性が向上させることができる。
【0081】
<実施形態5>
次に、本開示にかかる可撓性バスバー60の実施形態5について、
図11および
図12を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる可撓性バスバー60は、1つの金属板材が二つ折りされてなる。本実施形態にかかる可撓性バスバー60は、2つの積層部61を有する。各積層部61の右側縁には、前後両端部寄りの位置にそれぞれ、折れ曲がり部62が形成されている。本実施形態にかかる可撓性バスバー60は屈曲部16を有しない。
【0082】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0083】
本実施形態によれば、可撓性バスバー60の構造を簡素化できるので、材料コストを削減できる。また、折り曲げ工程を削減できるので、製造コストを削減できる。また、可撓性バスバー60を軽量化できる。
【0084】
<他の実施形態>
(1)折れ曲がり部は、各積層部の任意の側縁に形成することができる。
【0085】
(2)1つの蓄電モジュールに含まれる蓄電素子の個数は限定されない。
【0086】
(3)蓄電素子は直列接続されてもよく、並列接続されてもよく、また、直列接続と並列接続が混在された状態でもよい。
【0087】
(4)蓄電素子はキャパシタでもよい。
【0088】
(5)可撓性バスバーは、複数の屈曲部を有してもよい。屈曲部は下方に凸形状に屈曲してもよい。
【0089】
(6)積層部の積層数は限定されない。
【符号の説明】
【0090】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10、33、40、50、60: 可撓性バスバー
11、30: 蓄電モジュール
12: 蓄電素子
13: 電極端子
14、42、52、61: 積層部
15、41、51、62: 折れ曲がり部
16: 屈曲部
17: 連結部
18: 切断部
19: 金属板材
20: 1点鎖線
31: 複合バスバー
32: 端部バスバー
35: 蓄電パック