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特許7215651織物タッチパッドセンサでジェスチャイベントのタイプを識別する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】織物タッチパッドセンサでジェスチャイベントのタイプを識別する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230124BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/044 122
G06F3/041 512
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018203411
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2019109880
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】17199442.9
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
【住所又は居所原語表記】Organize Sanayi Bolgesi 3. Cadde 16400 Inegol-Bursa(TR)
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル シバノグル
(72)【発明者】
【氏名】フェヒム チャグラル
(72)【発明者】
【氏名】シェミー カザンツ
(72)【発明者】
【氏名】イトカ イルマズ
(72)【発明者】
【氏名】セルカン メルツ
(72)【発明者】
【氏名】エルトゥグ エルクシュ
(72)【発明者】
【氏名】リアン コーナー
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524181(JP,A)
【文献】国際公開第2016/025554(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0216825(US,A1)
【文献】特開2005-173945(JP,A)
【文献】特開2016-110518(JP,A)
【文献】特開2012-058857(JP,A)
【文献】特開2011-106893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物タッチパッドセンサ(10)に対するジェスチャイベントのタイプを識別する方法であって、
前記織物タッチパッドセンサ(10)は、導電性グリッド(17)を形成する複数の導電性糸が織り込まれた複数の非導電性糸を含んでおり、
-1つのジェスチャイベントが前記織物タッチパッドセンサ(10)に対して行われる所定の期間中に、前記導電性グリッド(17)によって生成された生のタッチデータを記憶するステップと、
-前記導電性グリッド(17)によって生成された前記生のタッチデータを分析することによって、前記織物タッチパッドセンサ(10)に対して行われた1つの前記ジェスチャイベントのジェスチャタイプを推定するステップと、
-前記織物タッチパッドセンサ(10)に対して行われた前記ジェスチャイベントの合計時間(eventLenght)を測定するステップと、
-前記ジェスチャイベント中に前記導電性グリッド(17)の導電性糸がタッチされた最長時間(longestX、longestY)を記憶するステップと、
-前記導電性グリッド(17)の導電性糸がタッチされた前記最長時間(longestX、longestY)が、前記ジェスチャイベントの合計時間(eventLenght)の関数である所定の量よりも大きい場合、前記ジェスチャタイプの前記推定を修正するステップを含む、織物タッチパッドセンサに対するジェスチャイベントのタイプを識別することを特徴とする識別方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、もし所定の条件が満たされる場合、前記推定されたジェスチャタイプは、水平方向成分を有するジェスチャタイプに修正されることを特徴とする識別方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記推定されたジェスチャタイプを、前記水平方向成分を有するジェスチャタイプに修正するための前記所定の条件は、次式で定義され、
タッチされた最長時間(longestX)>k1*ジェスチャイベントの合計時間(eventLength)/k2
ここで、前記最長時間(longestX)は、前記導電性グリッド(17)の水平導電性糸がタッチされた最長時間であり、前記ジェスチャイベントの合計時間(eventLength)は前記ジェスチャの合計時間であり、k1及びk2は、一定のパラメータである、ことを特徴とする識別方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、もし所定の条件が満たされる場合、前記推定されたジェスチャタイプは、垂直方向成分を有するジェスチャタイプに修正されることを特徴とする識別方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記推定されたジェスチャタイプを、前記垂直方向成分を有するジェスチャタイプに修正するための前記所定の条件は、次式で定義され、
タッチされた最長時間(longestY)>k1*ジェスチャイベントの合計時間(eventLength)/k2
前記最長時間(longestY)は、前記導電性グリッド(17)の垂直導電性糸がタッチされた最長時間であり、前記イベントの合計時間(eventLength)は前記ジェスチャの合計時間であり、k1及びk2は、一定のパラメータである、ことを特徴とする識別方法。
【請求項6】
請求項3又は5のいずれかに記載の方法であって、前記推定されたジェスチャタイプは、前記所定の条件として、
タッチされた最長時間(longestX)>k1*ジェスチャイベントの合計時間(eventLength)/k2
及び、
タッチされた最長時間(longestY>k1*ジェスチャイベントの合計時間(eventLength)/k2
の条件が、同時に成立する場合、シングルタップジェスチャタイプに修正されることを特徴とする識別方法。
【請求項7】
請求項3、5又は6のいずれかに記載の方法であって、前記k1、k2の値はキャリブレーション手順によって決定されることを特徴とする識別方法。
【請求項8】
人間のジェスチャを解釈するための織物基材であって、前記織物基材は、
前記導電性グリッド(17)を形成する複数の導電性糸と織り交ぜられた複数の非導電性糸を有する織物タッチパッドセンサ(10)を備えており、
前記導電性グリッド(17)は、前記人間のジェスチャによって生成されたデータ構造を受信し解釈するように構成された電子制御ユニット(450)に接続されており、前記データ構造は、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法による人間のジェスチャによって生成されたものであることを特徴とする織物基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物タッチパッドセンサに対して操作されたジェスチャイベントのタイプを識別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、従来のタッチパッドは、一般に、折り畳んだり、曲げたりできない、固体の装置である。従って、従来のタッチパッドに対して操作されたタッチイベントやジェスチャイベントは明確であり、一般に幾何学的な曖昧さがない。
【0003】
インタラクティブな装置における新しい分野は、織物タッチパッド、又は一般的に言えば、一つ以上の織物タッチパッドセンサを含むインタラクティブな織物によってもたらされる。
織物タッチパッドセンサは、通常、伸縮自在であり、一般に柔軟で、折り曲げ可能であり、着用可能な織物タッチパッドとして使用してもよく、衣類、ハンドバック、ファブリックケーシング、帽子および、他の織物製品のような柔軟な、対象物内に組み込んでもよい。
インタラクティブな織物は、例えば、MP3プレーヤーの音量のような、外部装置を制御するための位置感知制御ストライプとして、テキストメッセージを書き込むためのタッチパッドとして、あるいはまた、その他のアプリケーション等、さまざまな用途に使用できる。
【0004】
織物タッチパッドセンサ又はパッドにおいて生じる問題は、これらの装置に典型的な、織物のフォームファクタに関連する。すなわち、従来の固体のタッチパッドと比較して、織物タッチパッドセンサは、一般的に柔軟性があり、通常は伸縮性があり、一般的に曲げることができる。
【0005】
そのため、結果として、一般に、従来技術のジェスチャタイプ及びそのデータを解釈するための対応するアルゴリズムは、織物タッチパッドセンサに対しては最適ではない。
従って、生成されたデータには柔軟な材料に特有の特徴もなく、そのようなデータを解釈するためのアルゴリズムにも、柔軟で伸縮性があり曲げ可能な織物構造に関連する特徴を最適に処理するコードブロックスも無い。
【0006】
特許文献1は、導電性糸と折り合わされた非導電性糸を備えるインタラクティブな織物を開示している。各導電性糸は、グリッドを形成するようにインタラクティブな織物に織り込まれ、実質的に平行な第1の導電性糸のセットと、前記グリッドを形成するために前記第1の組の導電性糸を横切る実質的に平行な第2の導電性糸のセットを含んでいる。
【0007】
このインタラクティブな織物装置は、ユーザによりなされたジェスチャをタッチデータに基づいて決定するジェスチャマネージャと関連付けられ、このタッチデータは、次に、オブジェクト、計算装置、又はこの計算装置上で実行されるアプリケーションを制御するために使用することができる。
【0008】
このジェスチャマネージャは、従来のタッチパッドに適用されるものと同様に、上記のようなイベントによって生成されたデータに対して適切なアルゴリズムを実行することによって、1本指タッチ、ダブルタップ、2本指タッチ、及びスワイプなどの各タッチ入力を解釈するように構成されている。
例えば、スワイプアップのジェスチャは、従来のタッチパッドと同様に、座標X1、Y1(時刻T0)、X1、Y2(時刻T1)、及び、X1、Y3(時刻T2)を、順次検出することによって検出される。この例において、アルゴリズムは、水平座標Xが変化せず、垂直座標Yが時間とともに増加することを認識することによって、スワイプアップジェスチャを認識する。
【0009】
特許文献2は、柔軟で、ストレスや損傷を与えることの無い動きを提供し、洗濯することができる電子機器、及びそれらの織物への統合について開示している。タッチに敏感な織物合成物は、導体材料のストライプを含む第1のパネル、及び、抵抗性の材料のストライプを含む第2の織物パネルを含んでいる。これらのパネルのストライプが接触すると、接触の位置が制御論理回路に提供され、それに基づいて適切な動作を行う。
【0010】
特許文献3は、静電容量センサアレイ(CSA)アセンブリとコントローラを含む近接ベースの運動検出システムを開示している。コンデンサープレートは、衣服、ベッドリネンなどの他の織物に一体化することができる、又は環境(例えば家具、車椅子、カーシートなど)に一体化することができる、導電性の織物から作られることが好ましい。
これらの文献は、さらに、特徴的な反応を提供するジェスチャの2つのカテゴリである、スワイプやホバーを参照した階層的な信号の処理方法についても記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特表2017-524181 (WO2016/025554)
【文献】US6210771 B1
【文献】US2015/199045 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般的に言えば、斜め方向のスワイプを含むジェスチャタイプは、織物タッチパッドセンサによって生成された生のタッチデータを、予め決められた期間だけ記憶し、この生のタッチデータを適切なアルゴリズムにより分析し、 織物タッチパッドに対して連続してタッチされた、X座標とY座標の経時変化を検出することによって、検知できる。
【0013】
しかしながら、織物センサには、厳密に垂直方向又は厳密に水平方向のジェスチャの場合に、織物基材自体のフォームファクタに起因する不完全なデータの取得が生ずる可能性があるという問題が生ずる。
例えば、上から下へのスワイプのジェスチャ、例えばスピーカーの音量を制御するために使用されるジェスチャでは、Y座標の値だけが変わり、 X座標の値標は一定のままであるべきである。しかし、X座標の値の変化が検出される可能性がある。
【0014】
本発明の目的は、導電性グリッドを形成する複数の導電性糸が織り込まれた複数の非導電性糸を含む織物タッチパッドセンサで、ジェスチャイベントタイプを識別する方法を提供することにある。
本発明の方法は、以下の各ステップを含んでいる。
-1つのジェスチャイベントが織物タッチパッドセンサに対して行われる所定の期間中に、導電性グリッドによって生成された生のタッチデータを記憶するステップ、
-前記導電性グリッドによって生成された前記生のタッチデータを分析することによって、前記織物タッチパッドセンサに対して行われた1つの前記ジェスチャイベントのジェスチャタイプを推定するステップ、
-前記織物タッチパッドセンサに対して行われた前記ジェスチャイベントの合計時間を測定するステップ、
-前記ジェスチャイベント中に前記導電性グリッドの導電性糸がタッチされた最長時間を記憶するステップ、及び
-前記導電性グリッドの導電性糸がタッチされた前記最長時間が、前記ジェスチャイベントの合計時間の関数である所定の量よりも大きい場合、前記ジェスチャタイプの前記推定を修正するステップ。
【0015】
この実施形態の利点は、提案された方法では、イベントの合計時間を個々のストライプの起動の時間長と比較することにより、あるジェスチャが意図的なものかどうかを、同じ状況における人間による評価手順と同様な手法で判断することにある。
【0016】
同時に、前記ジェスチャの認識内容、すなわち、前記ユーザが前記織物の基材に対して行った特定のジェスチャは、前記ジェスチャの技術的内容、特に、前記ジェスチャによって生成された前記データ構造とは区別される。
【0017】
本発明の好ましい具体例は、従属クレームの対象となっている。
図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】織物タッチパッドに対して操作された人間のジェスチャを解釈するように構成され、電子制御装置に接続された織物タッチパッドセンサの実施例を示す図である。
図2図1の織物タッチパッドに対して操作されたジェスチャの、第1の例を示す図である。
図3図1の織物タッチパッドに対して操作されたジェスチャの、他の例を示す図である。
図4】本発明の方法の一実施例の、フローチャートを示す図である。
図5】本アルゴリズムの評価器によるプロットの例を表す図である。
図6】本アルゴリズムの評価器によるプロットの例を表す図である。
図7】本アルゴリズムの評価器によるプロットの例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明をより詳細に説明する。以下、用途及び使用を限定することを意図しない例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。図面において、同じ番号は同じ要素を示す。
【0020】
図1に、織物タッチパッドセンサ10を示している。この織物タッチパッドセンサ10は、導電性の糸が縫い込まれている非導電性の糸の織物の基板15を含んでいる。
特に、導電性の糸X1-X5の第1のセットは、非導電性の織物のグリッド15内に織られており、実質的にYで示された第1の方向に配列されている。一方、導電性の糸Y1-Y5の第2のセットが非導電性の織物のグリッド15内に織込まれており、実質的にXで示された第2の方向に配列されている。第1の方向と第2の方向は、相互に直交する方向である。
【0021】
このように、導電性の糸の第1のセットと第2のセットは、導電性の織物のグリッド17を形成し、また、導電性の織物のグリッド17上のポイントP(Xi、Yi)は、対応する導電性の糸Xi及びYiの交差によって識別することができる。
図1において、5×5の導電性の織物のグリッド17は一例を示すものであり、本発明が、この例とは異なる数の導電性の糸を有する導電性の織物のグリッドに適用できることは明らかである。
【0022】
導電性の織物のグリッド17は、電子制御装置(ECU)450に接続されており、このECU450はメモリユニット460に接続されており、以下でより詳細に説明するように、ECUは、織物タッチパッドセンサ10に対してなされた人間のジェスチャによって生成されたデータ構造を受信し、解釈するように構成されている。
【0023】
特に、導電性の糸X1-X5の第1のセットは、バス20によりECU450に電気的に接続され、また、導電性の糸Y1-Y5の第2のセットは、バス30によりECU 450に電気的に接続されている。従って上記の例において、5本の導電性糸X1-X5と5本の導電性Y1-Y5とを合計する、10チャンネルの織物スクリーンセンサが示されている。
【0024】
織物タッチパッドセンサ10において、タッチイベントがECU450によって読み出され、バイナリデータが生成される。例えば、アトメル(登録商標)マイクロコントローラによりフルスピードで読み出される。そのデータは、システム全体の読み出し速度を理解するために、まず分析される。
【0025】
本発明の実施例では、隣接するセンサーストライプは8μsの遅延で読み出され、タッチファブリック全体の読み出しに、約22msかかる。これは約46Hzの読み出し速度に相当する。これは、織物タッチパッドセンサ10のデータが、毎秒46回、完全に読み出されることを意味する。8μsのストライプ読み出しと比較して22msという比較的長い読み出し期間は、主に本実施例の方法を実行するのに伴って生じる負荷によるものである。
【0026】
本実施例の方法は、ストライプが発生するたびに、変数“窓”で表示される30行の読み取り値又はフレームに相当する、イベント窓を開く。
このジェスチャジェスチャイベントは、30フレーム長であり、イベント[][]で示されるアレイに一時的に記憶される。すなわち、1つのジェスチャイベントが織物タッチパッドセンサ10に対して実行される所定の時間間隔中に、導電性グリッド17によって生成された生のバイナリタッチデータをアレイに記憶する。
【0027】
ライン読み取り又はフレームの30という数は、例示的なものであり、限定的なものではない。
このような数値は、センサパッド全体の読み出し速度に依存する。それは、ジェスチャが完了すると予想されるまでの「時間」に対応し、また、それはプログラム可能である。
この特定の30という例は、プロトタイプの読み出し速度が46Hzである場合の数字である。異なる読み出し速度の場合、本発明から逸脱することなく、イベント窓に関してこの値を変化し得る。
【0028】
アレイイベント[][]は、その後分析され、斜め方向のスワイプイベントに非常に敏感なアルゴリズムを使用して決定がなされ、その解釈効率は常に100%に近くなる。
シングルタップのジェスチャの認識の効率も同じで、100%に非常に近く、効率的である。
この例の場合、本発明による方法は、毎秒数回、織物タッチパッドセンサ10をポーリングすることによって、実行されるジェスチャを読み出し、各イベントのアレイイベント[][]に1つのアレイを入れる。
【0029】
図1に表わされた5×5の導電性の織物のグリッドの場合は、アレイのイベントが、X糸用に5列、Y糸用に5列の、10列を有している。
図2の例に示したように、アレイの各列に関して、対応する糸が活性化されていない場合は、“.”(小さな点)がプロットされており、対応する糸が特定のジェスチャイベント専用の時間の窓に沿って活性化されている場合は、「×」(クロス)の記号がプロットされている。
【0030】
本実施例の方法において、データが分析され、そして、sumX及びsumYなどの変数を使用して、ジェスチャタイプの決定がなされる。例えば、ユーザの指があるコラムから他のコラムへと移動する等により、織物タッチパッドセンサ10の行及び列が、ユーザのジェスチャに影響されたか否かに基づいて決定される。
収集されたデータに基づいて、どのタイプのジェスチャが行われたかを決定するために、sumX及びsumYの計算値が決定マトリックスに関連付けられる。
【0031】
マトリックスの一例は、下記の通りである。
if(sumX>0 && sumY>0) 決定=“斜め右下から左上へ”;
if(sumX<0 && sumY<0) 決定=“斜め左上から右下へ”;
if(sumX>0 && sumY<0 決定=“斜め右上から左下へ”;
if(sumX<0 && sumY>0 決定=“斜め左下から右上へ”;
if(sumX==0 && sumY>0) 決定=“下から上へ”;
if(sumX==0 && sumY<0) 決定=“上から下へ”;
if(sumX>0 && sumY==0) 決定=“右から左へ”;
if(sumX<0 && sumY==0) 決定=“左から右へ”;
if(sumX==0 && sumY==0) 決定=“タップのみ”。
【0032】
上記のアルゴリズムは、図2に示したような、斜め左下から右上へのイベントなど、斜め方向のイベントを決定する際に特に有用である。
【0033】
それでも、この方法は、「上から下へスワイプする」ジェスチャのように、列は同じであるがジェスチャが上から下へ移動するにつれて行が変化するような、真っ直ぐな垂直成分又は真っ直ぐな水平成分を有する場合のような、特に不完全なデータの取得に関して影響を受けやすい。
例えば、ユーザが垂直方向に上から下へ「スワイプダウン」のジェスチャを実行したいときがある。この場合、Y値のみが高い値で変化し、X値は一定のままである。
【0034】
にも拘わらず、この特定の例では、ユーザは、センサの織物変形により、あるX座標に隣接する他のX座標の含まれるべきではない情報も含む、「不完全な」信号を生成する可能性がある。
例えば、図3に示す場合、ECU450は、Xストライプの信号を、下降し、次に上昇し、そして再び下降すると解釈し、ユーザがX軸上で下向きのジェスチャを実行する意図を持っていると結論付けることができるが、同時に、このECU450は、Yストライプの信号を下降すると解釈し、斜線イベントが意図されていたと誤って結論付けることがある。
【0035】
他方、人間の目は、より正しく、ユーザが一定のX座標を有するジェスチャを意図していたと解釈でき、上から下へのスワイプが意図されていたと正しく結論付けるであろう。
【0036】
上記の問題を修正するために、本発明の方法は、この例では30の聴取窓内での、ジェスチャの合計イベント長を計算することによってその値が計算される変数、イベント長(eventLength)を導入することを提案している。
【0037】
更なる変数として、選択されたジェスチャ中において、特定の「ストライプ」がタッチされた最長時間を、それぞれ、最長X(longestX)及び最長Y(longestY)と表す。
【0038】
そして、以下の基準が計算される。
最長X(longestX)>3.0*イベント長/4 (座標Xの場合)
及び
最長Y(longestY)>3.0*イベント長/4 (座標Yの場合)
もし、X座標又はY座標のいずれかで該当することが検証された場合、これはユーザがジェスチャの相対的な方向を一定に維持しようとしていたという事実を表している。
【0039】
一般に、上記の基準は、次のように書くことができる。
最長X(longestX)>k1*イベント長/k2 (座標Xの場合)
及び
最長Y(longestY)>k1*イベント長/k2 (座標Yの場合)
ここで、k1及びk2の値は、異なるデザインが選択された場合には変えても良く、上記の値は、例えば、それぞれ、k1=3、k2=4でもよい。しかし、この例に限定されるものではない。
【0040】
これらの値は、適切な実験活動の後のキャリブレーション手順によって決定されており、上記の基準は、データに対する人間の評価または人間の視覚が、これと同じような状況で結論を下すことに触発されている。
【0041】
図4は、本発明の方法の一実施形態を説明するフローチャートを示す。
最初に、1つのジェスチャイベントが織物タッチパッドセンサに対して行われる所定の時間間隔中に、導電性グリッド17によって生成された生のタッチデータが、アレイに記憶される(ブロック800)。
【0042】
最初のタッチ時には、N個のフレームを聴取するための1つの窓が開き、これらN個のフレームのすべてを記録し、その後、この窓は閉じ、何も記録されない。
フレームのコピーが作成され、すべての疎なフレーム及び/又は列が削除され、データを含むフレーム及び/又は列がそれぞれ2次元配列内で上方向及び/又は左方向にシフトされる。
言いかえれば、二次元配列としてのフレーム は、さらなる処理のためにフラグメンテーションが解消される。
個々のセンサの平均値と最小/最大の持続時間が記録される。これは基本的に、不完全なデータの収集を補う情報である。
【0043】
最初のチェックは、座標Xについて、最長X(longestX)>k1*イベント長/k2の条件が検証されたかどうか確認するために行われる(ブロック810)。この条件が確認された場合、一定のX座標を有するジェスチャが意図されていたと判定する(ブロック820)。
その後、第2のチェックは、座標Yについて、最長Y(longestY)>k1*イベント長/k2の条件が検証されたかどうかを確認するために行われる(ブロック830)。
この条件が確認された場、本方法は、一定のY座標を有するジェスチャが意図されていたと判定する(ブロック840)。
最後に、上記各チェックの結果に基づいて、行われたジェスチャを、一定のX座標又は一定のY座標を有するものとして解釈する(ブロック850)。
【0044】
もし、両方のチェックに肯定的な結果がある場合、ジェスチャは単一のタッチジェスチャとして解釈される。
もし、両方のチェックに否定的な結果がある場合、そのジェスチャは斜線のジェスチャであると解釈される。
【0045】
図5図7は、不完全なデータの取得の場合における、本アルゴリズムの評価器の例示的なプロットを表す。
本発明の評価器の無い従来技術のアルゴリズムによれば、図5のイベントは、XデータとYデータの両方の平均がスライディングパターンを示すので、斜線のスワイプであると結論付けるであろう。
しかしながら、本アルゴリズムを採用することにより、右から左への水平方向のスワイプであるとの正しい判断が確保される。
同様に、図6及び図7の中のイベントは両方とも、どちらも、左から右への水平方向のスワイプジェスチャとして正しく解釈される。
一方、従来技術のアルゴリズムによれば、それらは、それぞれ斜線のイベント、及びシングルタップイベントとして解釈されるであろう。
【0046】
上述の方法は、水平、垂直、及び斜線のイベントならびにシングルタップを正確かつ高効率で正しく評価することが実証されている。
【0047】
他の可能性は、これらのジェスチャが、データを受信する遠隔の装置によって解釈され得ることである。もし、電子機器が決定に失敗した場合、遠隔受信装置は生データを評価して解釈するために、より複雑なアルゴリズムを適用する。
【0048】
上記の概要及び詳細な説明において少なくとも1つの例示的な本発明の実施形態が提示されているが、膨大な数の変形形態が存在することを理解されたい。1つ又は複数の例示的な実施形態は単なる例であり、決して発明の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0049】
むしろ、前述の概要及び詳細な説明は、少なくとも1つの例示的実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供するであろう。そして、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される要素の機能及び配置において、様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0050】
10 織物タッチパッドセンサ
15 非導電性の織物のグリッド
17 導電性グリッド
20 バス
30 バス
450 ECU
460 メモリユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7