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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】空気清浄化のための機器
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20230124BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20230124BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20230124BHJP
   F24F 8/50 20210101ALI20230124BHJP
【FI】
A61L9/12
B01D46/00 F
F24F8/80 216
F24F8/80 236
F24F8/50
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019533421
(86)(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 AU2017051174
(87)【国際公開番号】W WO2018112507
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】2016905336
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2017901850
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519218992
【氏名又は名称】ブイブリーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ、モヒト
(72)【発明者】
【氏名】シーマン、ロバート ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、アビゲイル モード
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-000851(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102748817(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105091177(CN,A)
【文献】特開2000-229122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
F24F 8/00- 8/99
B01D 46/00ー46/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を濾過および処理する機器であって、
空気入口、空気出口、前記空気入口と前記空気出口との間の空気流路、および、前記空気入口と前記空気出口との間の前記空気流路に空気を流すように配置されたファンを有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記空気流路を通る空気を濾過するように配置されたフィルタ、および、前記フィルタに関して前記空気出口の側に配置された容器を含み、
治療用組成物に関連する蒸発可能蒸気が前記容器のヘッドスペースに蓄積することを可能にするように、前記容器は、前記治療用組成物を保持するよう適合され、前記ヘッドスペースは、保持された前記治療用組成物の上に設けられ、前記容器は、前記ヘッドスペースの側面において面に沿って配置された、前記ヘッドスペースと流体連通する少なくとも1つの開口部を含み、
前記ヘッドスペースからの予め定められた量の蒸発可能蒸気が、前記空気出口から放出された濾過済み空気に混入するように、前記空気流路の少なくとも一部は、空気が前記容器の前記少なくとも1つの開口部に対して実質的に垂直に通り越して流れるように形成され、
前記容器は、前記容器に取り外し可能に固定可能な蓋を含み、前記蓋は、ヘッドおよびネックを含み、
前記ネックは、前記容器の前記側面を提供し、前記少なくとも1つの開口部を含み、前記ヘッドは、空気流を外側へ反らすために、前記空気出口の上に少なくとも部分的に延在する放射状の縁を含む、
機器。
【請求項2】
前記容器は、前記治療用組成物を含む取り外し可能なカートリッジを収容するよう適合され、前記カートリッジは、前記治療用組成物と前記少なくとも1つの開口部との間の流体連通を可能にするように、開くことができる上端を有し、前記蓋は、前記取り外し可能なカートリッジの上で固定可能である、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記放射状の縁は、前記少なくとも1つの開口部のすぐ上に配置され、前記少なくとも1つの開口部は前記空気出口に配置される、請求項1または2に記載の機器。
【請求項4】
前記空気流路の前記一部は通常、鉛直方向を向くように配置される、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口部は、前記容器の前記側面を実質的に囲む、請求項1から4のいずれか1項に記載の機器。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口部は、前記容器の前記側面を実質的に囲む、間隔を空けた複数の開口部の形態で提供される、請求項1から4のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記空気流路の前記一部は前記容器を実質的に囲む、請求項5または6に記載の機器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開口部は、間隔を空けて放射状に配置された、前記容器の前記側面を実質的に囲む複数の開口部の形態で提供され、前記空気流路の前記一部は、環状の形状であり、放射状に配置された前記複数の開口部を実質的に囲む、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記少なくとも1つの開口部は、前記空気出口に配置される、請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記少なくとも1つの開口部のサイズは、前記予め定められた量の前記蒸発可能蒸気が、0.5~2.5グラム/日の範囲となるように選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口部のサイズは、前記予め定められた量の前記蒸発可能蒸気が0.5~2.5グラム/日の範囲にあり、前記空気流路を通る空気流の速度が4~8リットル/秒の範囲になるように選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の機器。
【請求項12】
前記ハウジングは、基部および上端を含み、前記空気入口は、前記基部の側に配置され、前記空気出口は、前記上端の側に配置される、請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの開口部は、前記容器の上端の側に配置された複数の開口部の形態で提供され、前記複数の開口部は、前記空気流路の前記一部によって誘導される空気の方向に対して垂直に配置される、請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記空気流路の前記一部は、環状の形状であり、前記ハウジングの外壁と前記容器との間に画定される、請求項13に記載の機器。
【請求項15】
周辺空気環境の空気中の粒子および露点のうち少なくとも1つを測定するように構成されたセンサと、
前記センサに結合され、前記粒子のレベルおよび前記露点のレベルうちの少なくとも1つが対応する予め定められた閾値を超える場合、前記ファンをオフ状態からオン状態へ自動的にアクティブ化するように構成されたコントローラと、
を更に備える、請求項1から14の何れか一項に記載の機器。
【請求項16】
前記コントローラは、前記粒子のレベルおよび前記露点のレベルのうちの少なくとも1つが前記対応する予め定められた閾値を超える場合、前記ファンの速度を増加させるように構成される、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
周辺空気環境の空気中の粒子および露点のうち少なくとも1つを測定するように構成されたセンサと、
前記センサに結合され、前記粒子のレベルおよび前記露点のレベルのうちの少なくとも1つが対応する予め定められた閾値を超える場合、ユーザプロンプトを提供するように構成されたコントローラと、
を更に備える、請求項1から14の何れか一項に記載の機器。
【請求項18】
前記少なくとも1つの開口部のサイズは、前記予め定められた量の前記蒸発可能蒸気が1グラム/日であるように選択される、請求項10または11に記載の機器。
【請求項19】
空気を濾過および処理する機器であって、
空気入口、空気出口、前記空気入口と前記空気出口との間の空気流路、および、前記空気入口と前記空気出口との間の前記空気流路に空気を流すように配置されたファンを有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記空気流路を通る空気を濾過するように配置されたフィルタ、および、前記フィルタに関して前記空気出口の側に配置された容器を含み、
フィルタの変更を可能にするために、前記フィルタは取り外し可能であり、
治療用組成物に関連する蒸発可能蒸気が前記容器のヘッドスペースに蓄積することを可能にするように、前記容器は、前記治療用組成物を含む取り外し可能なカートリッジを収容するよう適合された取り外し可能な蓋を備え、前記ヘッドスペースは、保持された前記治療用組成物の上に設けられ、前記蓋は、前記治療用組成物に関連する前記蒸気を濾過済み空気に連通させるよう適合される少なくとも1つの開口部を含むことにより、排出された空気が予め定められた量の前記蒸気を含み、
前記蓋は、ヘッドおよびネックを含み、前記ネックは、前記少なくとも1つの開口部を含み、前記ヘッドは、空気流を外側へ反らすために、前記空気出口の上に少なくとも部分的に延在する放射状の縁を含む、
機器。
【請求項20】
空気を濾過および処理する機器であって、前記機器は、
基部の側の空気入口、上端の側の空気出口、前記空気入口と前記空気出口との間の空気流路、前記空気入口と前記空気出口との間の前記空気流路に空気を流すように配置されファン、フィルタ、容器および内部電子機器ハウジングを有するハウジングを備え、
治療用組成物に関連する蒸発可能蒸気が前記容器のヘッドスペースに蓄積することを可能にするように、前記容器は、前記治療用組成物を保持するよう適合され、前記ヘッドスペースは、保持された前記治療用組成物の上に設けられ、
前記フィルタは、前記ファンによって前記空気入口から吸い込まれた空気を濾過するために、前記基部の側に配置され、前記容器は、前記フィルタに関して前記空気出口の側に配置され、前記内部電子機器ハウジングは、前記ファンに沿って、前記フィルタと前記容器との実質的に中間に配置され、前記内部電子機器ハウジングは、前記空気出口に向けて、前記フィルタから、前記内部電子機器ハウジングおよび前記容器の実質的に周囲にある前記空気流路の部分内に空気を誘導するように形成され、
前記基部は、前記濾過の変更が可能であるように取り外し可能であり、前記容器は、前記治療用組成物に関連する前記蒸発可能蒸気が前記容器の側面の少なくとも1つの開口部から前記空気流路の部分の濾過済み空気へ放出されるように、前記容器が前記治療用組成物を受けることを可能にする取り外し可能な蓋を含み、
前記蓋は、ヘッドおよびネックを含み、前記ネックは、前記容器の前記側面に前記少なくとも1つの開口部を提供し、前記ヘッドは、空気流を外側へ反らすために、前記空気出口の上に少なくとも部分的に延在する放射状の縁を含む、
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2016年12月22日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2016905336号、および、2017年5月17日に出願された第2017901850号の優先権を主張するものであり、それらの内容は参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、空気清浄化、特に、屋内空気の濾過、処理、または、消毒のための機器およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
空気質、特に、屋内空気質は、粉塵、ペットの鱗屑、匂い、カビおよび空中病原体などの空中有機物の存在によって損なわれ得る。従って、様々なタイプの屋内空気濾過装置が提案されてきた。
【0004】
1つのそのような空気濾過装置は、ユニットの後部中央から空気を吸い込み、空気をフィルタに通し、次に、ハウジングの上端のグリルから空気を排出するファンを有するハウジングを含む。フィルタは、アレルギーを誘発する花粉粒、イエダニ、カビ胞子およびペットの鱗屑粒子などの微細粒子を集めるように配置されたHEPA(高効率微粒子空気)フィルタであり得る。イオナイザも含まれ得る。
【0005】
これらの装置の問題は、装置が、フィルタを通じてハウジング内に吸い込まれた空気だけを清浄化することである。別の問題は、空気の濾過によっても、イエダニおよびカビ胞子などの一部の微細粒子が除去および殺傷されないことがあり得るという点である。
【0006】
他のそのような空気濾過装置は、空気濾過装置から濾過済み空気流へ排出される芳香または消毒物質を含み得る。
【0007】
しかしながら、そのような空気濾過装置の問題は、空気消臭剤または消毒物質の寿命および有効性、および、ユーザが例えば当該物質を補充するための使い易さに関連する。更なる問題は、当該物質の放出の制御に関し、そのような空気濾過装置は、当該物質の放出を制御するための比較的複雑な手段を含み得る。
【0008】
本明細書において開示される発明は、上に挙げられた問題の1または複数を克服する、または、少なくとも有用な代替案を提供することを試みる。
【発明の概要】
【0009】
第1の広範な態様によれば、空気を濾過および処理する機器が提供され、当該機器は、空気入口、空気出口、入口と出口との間の空気流路、および、空気入口と空気出口との間の空気流路に空気を流すように配置されたファンを有するハウジングを備え、ハウジングは、空気流路を通る空気を濾過するように配置されたフィルタと、フィルタに関して空気出口の側に配置された容器とを含み、治療用組成物に関連する蒸発可能蒸気が容器のヘッドスペースに蓄積することが可能であるように、容器は治療用組成物を保持するよう適合され、ヘッドスペースは、その側面に配置された少なくとも1つの開口部を含み、出口部分であり得る空気流路の一部は、空気出口から放出された濾過済み空気に予め定められた量の蒸発可能蒸気が混入するように、容器の少なくとも1つの開口部に対して空気が実質的に垂直に通り越して流れるように形成される。
【0010】
ある態様において、容器は、治療用組成物を含む取り外し可能なカートリッジを収容するよう適合され、カートリッジは、少なくとも1つの開口部の手前で終端を成すことにより、治療用組成物と少なくとも1つの開口部との間の流体連通を可能にする。
【0011】
別の態様において、容器は、容器に取り外し可能に固定可能である蓋を含む。
【0012】
更に別の態様において、蓋は、ヘッドおよびネックを含み、ネックは、ヘッドスペースの側面を提供し、少なくとも1つの開口部を含む。
【0013】
更に別の態様において、ヘッドは、空気流を外側へ反らすために、空気出口の上に少なくとも部分的に延在する放射状の縁を含む。
【0014】
更に別の態様において、放射状の縁は、少なくとも1つの開口部のすぐ上に配置され、少なくとも1つの開口部は空気出口に配置される。
【0015】
更に別の態様において、空気流路の出口部分は通常、鉛直方向を向くように配置される。
【0016】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部は、ヘッドスペースの側面を実質的に囲む。
【0017】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部は、ヘッドスペースの側面を実質的に囲む、間隔を空けた複数の開口部の形態で提供される。
【0018】
更に別の態様において、空気流路の出口部分は、ヘッドスペースおよび開口部を実質的に囲む。
【0019】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部は、間隔を空けて放射状に配置された、ヘッドスペースの側面を実質的に囲む複数の開口部の形態で提供され、空気流路の出口部分は、環状の形状であり、放射状に配置された複数の開口部を実質的に囲む。
【0020】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部は空気出口に配置される。
【0021】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部のサイズは、予め定められた量の蒸発可能蒸気が、約0.5~2.5グラム/日の範囲、好ましくは、約1グラム/日となるように選択される。
【0022】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部のサイズは、予め定められた量の蒸発可能蒸気が約0.5~2.5グラム/日の範囲にあり、空気流路を通る空気流の速度が約4~8リットル/秒の範囲になるように選択される。
【0023】
更に別の態様において、ハウジングは、基部および上端を含み、空気入口は、基部の側に配置され、空気出口は、上端の側に配置される。
【0024】
更に別の態様において、少なくとも1つの開口部は、容器の上端の側に配置された複数の開口部の形態で提供され、複数の開口部は、空気流路の出口部分によって誘導される空気の方向に対して垂直に配置される。
【0025】
更に別の態様において、流路の出口部分は、環状の形状であり、ハウジングの外壁と容器との間に画定される。
【0026】
更に別の態様において、容器は、容器を覆うように形成された、関連する取り外し可能な蓋を含み、蓋はヘッドおよびネックを含み、ネックは、複数の開口部を含む。
【0027】
更に別の態様において、蓋のヘッドは、流路によって誘導される空気を、少なくとも部分的にハウジングの側方に反らすように配置される。
【0028】
更に別の態様において、蓋のネックは、ハウジングの外壁のリムの中に少なくとも部分的に収容され、出口の幅は、ネックと、ハウジングの外壁のリムとの間に画定される。
【0029】
更に別の態様において、容器にアクセスするために蓋は取り外し可能である。
【0030】
更に別の態様において、フィルタは、ハウジングの下側部分において、基部の側に配置され、容器は、ハウジングの上側部分において、上端の側に配置される。
【0031】
更に別の態様において、フィルタを変更するために、基部は取り外し可能である。
【0032】
更に別の態様において、ファンはコントローラを介して制御可能である。
【0033】
更に別の態様において、ハウジングは、粒子センサと、周囲の空気を粒子センサに連通させる導管とを含み、粒子センサによって検出される粒子の量に応じてファンが制御可能であるように、粒子センサはコントローラと通信する。
【0034】
更に別の態様において、機器は、周囲の空気を粒子センサへ循環させるよう適合される更なるファンを備える。
【0035】
更に別の態様において、機器は、コントローラと通信するインジケータライトを備え、インジケータライトは、粒子センサによって検出される空気の質を示すためにコントローラによって選択的に照らされる。
【0036】
更に別の態様において、ハウジングは、コントローラ、コントローラと通信するバッテリ、および、少なくとも1つのユーザコントロールを格納する。
【0037】
更に別の態様において、コントローラは、リモートデバイスと通信するよう適合される。
【0038】
更に別の態様において、治療用組成物は、空気中の病原体または生物物質に作用する、または、それを殺傷するよう適合される。
【0039】
更に別の態様において、機器は、ハウジングの中に配置された、実質的に密封された内部電子機器ハウジングを備え、内部ハウジングは、ファンと容器との間に配置され、ファンから空気流路の出口部分へ空気を誘導するよう形成される。
【0040】
第2の広範な態様によれば、先の請求項のいずれか一項において定義される機器、および、当該機器と通信してそれを操作するよう適合されるリモートデバイスを含むシステムが提供される。
【0041】
ある態様において、システムは、周辺空気環境の空気中の粒子および露点のうち少なくとも1つを測定して、空気中の粒子および露点のうち少なくとも1つが、予め定められた閾値を超える場合、ユーザプロンプトを提供するよう構成される、コントローラおよびコントローラと通信するセンサを備える。
【0042】
ある態様において、システムは、周辺空気環境の粒子および露点のうち少なくとも1つを測定し、粒子および露点のうち少なくとも1つのレベルが、予め定められた閾値を超える場合、機器のファンを自動的にアクティブ化するよう構成される、コントローラおよびコントローラと通信するセンサを備える。
【0043】
別の態様において、システムは、周辺空気環境の粒子および露点のうち少なくとも1つを測定し、粒子および露点のうち少なくとも1つのレベルが、予め定められた閾値を超える場合、機器のファン速度を自動的に増加させるよう構成される、コントローラ、および、コントローラと通信するセンサとを備える。
【0044】
更に別の態様において、粒子および露点センサのうち少なくとも1つは機器のハウジングによって保持される。
【0045】
第3の広範な態様によれば、空気を濾過および処理する機器が提供され、当該機器は、その基部の側の空気入口、その上端の側の空気出口、入口と出口との間の空気流路、および、空気入口と空気出口との間の空気流路に空気を流すように配置されたファンを有するハウジングを備え、ハウジングは、空気流路を通る空気を濾過するように配置された、基部の側に配置されたフィルタと、フィルタに関して空気出口の側に配置された容器とを有し、基部は、フィルタの変更を可能にするために取り外し可能であり、治療用組成物に関連する蒸発可能蒸気が容器のヘッドスペースに蓄積することを可能にするために、容器は、治療用組成物を含む取り外し可能なカートリッジを容器に嵌合させることを可能にするために、取り外し可能な蓋を含み、ヘッドスペースは、その側面に配置された少なくとも1つの開口部を含み、ある割合の蒸発可能蒸気が、空気出口から放出される濾過済み空気に混入されるように、空気流路の出口部分は、空気が容器の少なくとも1つの開口部を通り越して流れるように形成される。
【0046】
第4の広範な態様によれば、空気を濾過および処理する機器が提供され、当該機器は、基部の側の空気入口、上端の側の空気出口、入口と出口との間の空気流路、および、空気入口と空気出口との間の空気流路に空気を流すように配置されたファンを有するハウジングを備え、ハウジングは、空気流路を通る空気を濾過するように配置されたフィルタ、および、フィルタに関して空気出口の側に配置された容器を有し、フィルタは基部の側に配置され、フィルタの変更を可能にするために基部は取り外し可能であり、治療用組成物に関連する蒸気が容器に蓄積することを可能にするように、容器は、治療用組成物を含む取り外し可能なカートリッジの嵌合を可能にする取り外し可能な蓋を含み、少なくとも1つの開口部を含む容器は、排出された空気が予め定められた量の蒸気を含むように、蒸気を濾過済み空気に連通させるように適合される。
【0047】
第5の広範な態様によれば、空気を濾過および処理する機器が提供され、当該機器は、空気入口、空気出口、入口と出口との間の空気流路、および、空気入口と空気出口との間の空気流路に空気を流すように配置されたファンを有するハウジングを備え、ハウジングは、空気流路を通る空気を濾過するように配置されたフィルタ、および、フィルタに関して空気出口の側に配置された容器を含み、フィルタは、フィルタの変更を可能にするために取り外し可能であり、容器は、治療用組成物を含む取り外し可能なカートリッジを収容するよう適合され、排出された空気が予め定められた量の蒸気を含むように、容器は、治療用組成物に関連する蒸気を濾過済み空気に連通するよう適合された少なくとも1つの開口部を含む。
【0048】
第6の広範な態様によれば、空気を濾過および処理するための方法が提供され、当該方法は、空気がハウジングの入口と出口との間を通るように、ファンを使用して、ハウジングを通して空気を吸い込む段階と、濾過済み排出空気を提供するために、入口と出口との間に配置されたフィルタを使用して空気を濾過する段階と、治療用組成物の一部が濾過済み排出空気に混入するように、治療用組成物を含む容器に濾過済み空気を連通させることによって、出口の近くの濾過済み空気を処理する段階とを備える。
【0049】
ある態様において、方法は、空気質パラメータを測定する段階と、測定された空気質パラメータに基づいて、ファン速度のアクティブ化および変更のうち少なくとも1つを行う段階とを備える。
【0050】
別の態様において、方法は、空気質パラメータを測定する段階と、測定された空気質パラメータに基づいて空気質警告を提供する段階とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明は、添付の図面を参照することにより、単に非限定的な例として説明される。
【0052】
図1】機器の例を図示する正面斜視図である。
【0053】
図2】機器の例を図示する後面斜視図である。
【0054】
図3】機器を図示する正面図である。
【0055】
図4】機器を図示する後面図である。
【0056】
図5】機器を図示する分解部品正面斜視図である。
【0057】
図6】機器を図示する正面断面図である。
【0058】
図7】機器を図示する側断面図である。
【0059】
図8】ファンハウジングを図示する分解部品正面斜視図である。
【0060】
図9】電子機器ハウジングを図示する分解部品正面斜視図である。
【0061】
図10a】ゲルカートリッジを図示する分解部品正面斜視図である。
【0062】
図10b】ゲルカートリッジを図示する正面斜視図である。
【0063】
図11】機器の中間連結器およびライトリングを図示する分解部品正面斜視図である。
【0064】
図12a】ハウジングの蓋が取り外され、容器が露出している斜視図を図示する。
図12b】容器に嵌合されている消毒組成物を図示する。
【0065】
図13a】ハウジングの取り外し可能基部の斜視図を図示する。
図13b】ハウジングの基部に嵌合されているフィルタを図示する。
【0066】
図14】スマートフォンまたは同様のものなどの外部デバイスと直接的または間接的に通信する機器を図示するシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1から図7を参照すると、空気、特に屋内空気の濾過および消毒のための機器10が示されている。機器10は、空気入口14、空気出口16、および、空気入口14と空気出口16との間で空気を流すように配置されたファン18を有するハウジングまたはハウジングアセンブリ12を含む。ハウジングアセンブリ12は、中間連結器17を介して連結される上側ハウジング13および下側ハウジング15を含む。図11においてもっとも良く示される中間連結器17は、上側ハウジング13および下側ハウジング15の中央でリング23におけるライト21を支持する。ライト21は、赤色、緑色、青色(RGB)ライトであり得る。
【0068】
ハウジング12は、空気入口14と空気出口16との間に配置されたフィルタ20および組成物22を含み、それらは、濾過済み空気が組成物22に連通され、空気出口16から放出される濾過済み空気内に組成物22の一部または一定量が混入することを可能にするように配置される。従って、機器10によって放出された空気は濾過済みであり、かつ、少量の組成物22も含む。以下で更に詳細に説明されるように、組成物22は、芳香油または他の好適な物質が添加または配合されたゲルまたはゲルカートリッジなどの、蒸発可能蒸気を放出する組成物であり得る。
【0069】
まず、機器10を更に詳細に説明すると、ハウジング12は、基部28、上端30、および、周囲側壁32を含む。基部28を支持することを補助するために、基部28には摩擦パッド29が嵌合される。ハウジング12は、空気入口14と空気出口16との間の空気流路24を画定し、組成物22を保持または格納するための容器26と、フィルタ20を保持または配置するための下側空隙34とを含む。空気流路24は概して、空気入口14から、フィルタ20およびファン18を通り、容器26の近くを通過して、空気出口16へ向かうように空気を誘導する。ハウジング12は、出口16の近くに配置された出口翼27を含む。この例において、出口翼27は、容器26によって支持され、そこから放射状に延在する。
【0070】
空気が概して機器10の基部28から吸い込まれ、機器10の上端30から、または、それに向かって排出されるように、空気入口14は、基部28の側に配置され、空気出口16は、上端30の側に配置される。ハウジング12は概して円筒状であり得て、自立し得る。この例において、ハウジング12の全体のサイズは、直径約90mm×高さ240mmであり得て、従って、卓上での使用に好適であり得る。しかしながら、正方形の形状および壁マウント型の変形例など、他の形状および支持構成も可能であり、本明細書において想定されている。
【0071】
容器26と、流路24によって誘導される空気との間には1または複数の開口部36が提供され、それにより、組成物22の一部または部分の制御された混入を提供する。更に詳細には、この例において、容器26は円筒状であり、側壁32から間隔を空けられることにより、容器26を囲んで空気出口16で終端となる流路24の出口環状部38を画定する。環状部38は、ファン18の開口面積とほぼ同一の面積を有する。他の例において、開口部36は、空気出口16とファン18との間のどこかに配置され得て、常に空気出口16の近くにあるわけではないことに留意されたい。
【0072】
容器26は、関連する取り外し可能な蓋40を含む。蓋40は、ヘッド42と、それから延在するネック44とを含む。ネック44は、自由ネジ付き(free threaded)連結端46を含み、自由連結端46とヘッド42との間のネック44を囲む1または複数の開口部36を含む。この例において、1または複数の開口部36は、[s1]蒸発可能または揮発物ガスなどの組成物の一部が容器26から出口16へ向かって、または、そこへ行くために通る、リング状の放射状に小さく間隔を空けられた開口部39の形態で提供される。自由連結端46は、容器26と回転可能に係合して、1または複数の開口部36が空気流に露出するように十分な余裕をもって止まるように配置される。
【0073】
蓋40のヘッド42のリムまたは縁48はテーパ状であり、それにより、流路24を通って流れる空気を上向きに、および、部分的にハウジング12の側方に反らす。1または複数の開口部36は、出口16の近くに位置し、ここでは膨張が発生してベンチュリ効果の利用に役立つことに留意されたい。また、組成物22を格納して、空気が流れない限り蒸発を阻害または低減することを補助するべく、1または複数の開口部36は比較的小さい。
【0074】
嵌合された状態において、蓋40は、容器26に連結し、それに収容され、リム48は、容器26から突き出るように放射状に延在し、流路24より上にあり、それを少なくとも部分的に上から覆う。蓋40のネック42の開口部36は、容器26からの流体連通を可能にするように、塞がれないままである。ハウジング12の上側リム50は、蓋40のリム48の下および外側に配置される。必要に応じて容器26にアクセスして組成物22を交換するために、蓋40は取り外し可能である。
【0075】
容器26は、組成物22の上にヘッドスペース41を提供するように配置され、それにより、組成物22に関連する蒸気がヘッドスペース41内に増加または蓄積することを可能にする。開口部36は、ヘッドスペース41の近くに配置され、これにより、蒸気が開口部36を通って気流へ流体連通することを可能にする。蓋40のネック42は、ヘッドスペース41の側壁の少なくとも一部を提供する。
【0076】
図10aおよび図10bをより具体的に参照すると、この例において、組成物22は、好ましくは、取り付けられたときに容器26内に嵌合される交換可能カートリッジ70内のゲルとして供給される。交換可能カートリッジ70は、カートリッジ70が容器26に嵌合される前に取り外されて破棄され得る取り外し可能な蓋72を有する。カートリッジ70のリムが、蓋40のネック42の開口部36より下のままであるような配置であることに留意されたい。ゲルの充填量は、ゲルの上にヘッドスペース41が維持される程度である。開口部36はヘッドスペース41の側面の近くに配置される。しかしながら、交換可能カートリッジ70は、液体または粘性液体も保持し得ることに留意されたい。他の例は、カートリッジ70を省き得て、例えば、液体または粘性液体は、容器26内に直接注がれて、蓋40でその中に閉じ込められ得る。
【0077】
ゲルからの蒸気の蒸発速度については、蒸発速度はまず、比較的小さい開口部36のサイズの関数であると、第2に、ファン速度の関数であると考えられる。また、温度および湿度が効果を有し得る。従って、開口部36のサイズは、ゲルからの蒸発の予め定められた速度の主な制御要素であると決定された。下の表1を参照すると、少なくとも1つの開口部36のサイズは、蒸発可能蒸気の予め定められた速度が、約0.5~2.0グラム/日、好ましくは、約1グラム/日の範囲にあるように選択される。生物学的有効性のためには、0.6グラム/日が最低限の速度であると考えられていることに留意されたい。
【0078】
この例において、各々2mmの直径を有する12個の開口部が提供される。開口部36の集合的な合計のサイズは、約30~40mmのオーダーであり得て、それにより、例えば、以下の表1に示すように、約1.5~2m/秒の空気流は、約1グラム/日の組成物22を放出する。同様の面積を有する単一の溝状の開口部が同様の結果を実現し得る。従って、以下で更に詳細に説明されるように、ファン速度18は、排出された濾過済み空気に混入される組成物22の量を制御するために使用され得る。
【0079】
空気流路24を通る空気流の速度は、約4~8リットル/秒の範囲である。空気流の変動は、約0.75~1.10グラム/日の範囲である蒸発速度に対する影響を有する。
【表1】
表1:ファン速度に基づくゲルからの蒸発速度
【0080】
組成物22、すなわちゲルの量は、キャニスタ70内において約150グラムであり得る。従って、約1g/日の速度(4.5Vの中設定時)でのゲルの寿命は、約5か月または150日である。当然、寿命は、ゲルの蒸発可能成分または組成物22の性質に依存して変動し得る。
【0081】
ここで、ファン18およびフィルタ20に関して、ファン18は、ハウジング12の鉛直方向軸を中心に回転するように配置された電気軸流ファンであり得る。従って、空気流は概して、入口14と出口16との間で鉛直方向である。この例において、ファン18は、フィルタ20が配置される下側空隙34と、組成物22が配置される上側容器26との間に配置される。ファン18は、ファン18と容器26との間に配置される、図9においてもっとも良く示される内部電子機器ハウジング53内に配置されるコントローラ52によって制御される。ファン18は、ファンハウジング19によって支持される。また、ファンハウジング19は、電源ボタンPCB69を支持する。ファン18は、公称5V電源の50×50mmパッケージであり得る。
【0082】
内部ハウジング53は、ファン18から流路の環状部38へ外側に広がる形状である。この形状は、損失および関連するノイズを最小化するために内部電子機器ハウジング53を迂回するよう空気流を誘導することに役立つ。内部ハウジング53は蓋51で密封される。
【0083】
また、内部ハウジング53は、バッテリ54、および、メインPCB56に嵌合されるコントローラ52と通信するセンサ55などの更なる電子コンポーネントを収容する。バッテリ54と蓋51との間にバッテリマウントフォーム49が提供される。
【0084】
通信モジュール58を有する更なるPCB56が、オン/オフスイッチ60に隣接するハウジング12の側面に配置され、充電ポート62がハウジング12の反対側に提供される。センサ55は、好ましくは、粒子または粉塵センサ57、および、いくつかの例において、追加的な露点センサ59である。粒子センサ57は、PM2.5粒子状物質(すなわち、2.5μサイズの粒子)を検出するよう構成され得る。コントローラ52、バッテリ54、PCB56、センサ55、メモリデバイス61、通信モジュール58、オン/オフスイッチ60、および、充電ポート62はすべて、以下で更に説明される制御システム100の一部を形成する。
【0085】
この例において、外部環境と内部ハウジング54内の粒子センサ57との間に、ハウジング12の側壁32を通る導管64a、64bが提供される。入口導管64aは、シール63で側壁32に密封されたメッシュ64を介して入口ポート66aに通じ、最終的には粒子センサ57に通じる、粒子センサファン65は、導管64aを通して空気を吸い込んでポート66bおよび排気導管64bを介して空気を排気するために提供されることに留意されたい。粒子センサファン65はコントローラ52によって制御される。これにより、粒子センサ57が外部の空気質をサンプリングして、空気中に浮遊する粒子状物質に基づいて空気質を示す信号をコントローラ52に提供することが可能になる。コントローラ52は、機器10をアクティブ化し得る、または、サンプリングされた空気質に基づいてファン18の速度を調節し得る。
【0086】
この例において、フィルタ20は好ましくは、HEPAフィルタであり、空気は、外側通路77への入口14から吸い込まれてこれを通り、内側通路71へのフィルタ60を通り、次に、ファン18内へ向かう。フィルタ20は、空気流のバイパスを防止するべく、ハウジング12内を密封する。フィルタ20を収容する下側空隙34を密閉するために、取り外し可能基部キャップ68がハウジング12の基部28に提供される。フィルタ20にアクセスして交換するために基部キャップ68は取り外され得る。HEPAフィルタは、最大で1.0μ粒子サイズの濾過が可能であり得る。この例におけるHEPAフィルタは、外径72mm×高さ84mmであり得る。
【0087】
ここで、組成物22に関して、組成物22は好ましくは、空気中の病原体または生物物質に作用し、それを低減させ、または殺傷するよう適合された揮発物を排出する1または複数の種類の蒸発可能な物質である。組成物22の例は、芳香油が添加されたゲルインサート、カートリッジ、または、ディスクであり得る。カビに作用し、それを低減させ、または、殺傷することが分かっている芳香油、例えば、クローブ油、シナモン、ペパーミント、ローズマリー、ユーカリ油は、カビおよび微生物に作用することも分かっている。従って、クローブ油、ローズマリーおよびユーカリ抽出物が混合されたゲルが使用され得る。約150~200グラムの量のゲルが最初に提供され得る。ゲルの例は、多糖ゲル化剤、または、他の例では、単純なゼラチンゲル化剤を含み得る。混合蒸発可能油と形成されるゲル化剤。
【0088】
ここで、図14を参照すると、屋内空気の空気清浄化および消毒のために、システム100の一部として機器10が提供され得る。機器10は、通信モジュール58を使用して、ネットワーク102を介して、スマートフォンまたはタブレットまたは同様のものであり得るリモートのコンピューティング装置104と直接的または間接的に通信し得る機器10のコントローラ52を含む制御およびセンサコンポーネント106を含む。コンピューティング装置104は、リモートサーバ(図示せず)と通信するアプリケーションソフトウェアを含み、操作し得る。当該アプリケーションソフトウェアは、コンピューティング装置104が機器10と通信し、それを操作することを可能にする。通信モジュール58は、コンピューティング装置104との通信を可能にするべく、WiFi(登録商標)および/またはBluetooth(登録商標)機能を含み得る。
【0089】
コンピューティング装置104は、動作時間(すなわち、タイマまたはオン/オフタイマ)、速度およびモードなどの動作の自動モードにコントローラ52を構成するために使用され得る。コントローラ52はまた、予め定められた条件において、コンピューティング装置104へメッセージまたは警告を送信するよう構成され得る。例えば、センサ55が測定値の空気質が低いと判定する場合、コントローラ52は、機器10をオンにするようユーザを促すために、警告をコンピューティング装置104へ送信し得る。いくつかの例において、リアルタイムの空気質測定値が提供され得て、次に、これらの測定値はメモリデバイス59上に記憶され得る。次に、履歴データが記憶され得て、後にコンピューティング装置104によって読み取られ得る。また、制御システム100は、複数の機器10が単一のコンピューティング装置104を介して制御されること、ならびに、各動作可能機器10について比較可能な空気質測定値および状態が表示されることを可能にし得る。
【0090】
いくつかの例において、コントローラ52は、粒子および露点が予め定められた閾値を超えたことを検出した場合に機器のファン18を自動的にアクティブ化するよう構成され得る。他の例において、コントローラ52は、粒子状物質が多いなど、空気質測定値の上昇に応じて、ファン18の速度を増加させるよう構成され得る。ファン速度の増加は、局所的濾過を増加させるように、また、組成物22の混入速度を増加させるように機能する。
【0091】
露点センサ59に関するより具体的な例において、これは、カビ胞子が放出され得る状態を日夜通してトラッキングするための組み合わされた温度および湿度センサである。科学的データ「ルックアップ」チャートが提供され得て、実際の測定値と照会され得る。露点は、温度および相対湿度の関数であり、例えば、摂氏20度、相対湿度50%のとき、露点は約9度である。カビは部屋の湿度が80%のときに増加を開始し得る。このことは、所与の例において、カビは約13度以下の表面温度において壁で増加を開始し得ることを意味する。従って、例えば、カビのトリガまたは警告は、露点が約13度のときであり得る。しかしながら、露点の他のトリガポイントが必要に応じて選択され得る。
【0092】
カビ胞子放出の条件が発生した場合、ユーザは警告を受ける、および/または、機器10は、(ユーザ設定に応じて)ファン19のスイッチを自動的に入れ得る。センサ59のためのハードウェアは、既製品の露点センサ、または、個別の温度/湿度センサのうちどちらでもよく、好適とみられる方である。
【0093】
システム100の更なる機能は、オン/オフ制御、ファン速度制御(低、中、高の設定)のうち1または複数を含み得る。中設定は約1~1.5m/秒である。粒子数のグラフ/データ(ライブデータおよび履歴データ)を表示する。承認されたレベルの微粒子に対して粒子数データを比較し、グラフィカルフィードバックを提供する。空気質範囲は、良好、中程度、低、および、劣悪であり得る。PM2.5の許容レベルは、各国ごとに異なる。地域のポリシーに適合するように「良好~劣悪」の範囲を調節するアプリケーションソフトウェアにおいて、国の設定が必要になり得る。
【0094】
アプリケーションソフトウェアは、次のように構成され得る。露点(温度および湿度)のグラフ/データを表示する;ライブデータおよび履歴データ;露点データを科学的閾値と比較してグラフィカルフィードバック(緑/赤など)を提供する;HEPAフィルタの変更が必要なとき、または、プリフィルタの洗浄が必要なときを判定するためにフィードバックを提供する;組成物/ゲルの変更が必要なときにフィードバックを提供する;タイマでオン/オフを切り替えるオートモード;セットアップモード/設定ページ;時間の経過によりHEPAおよびゲルカートリッジの変更が必要になる;アプリケーションソフトウェアの一部として、ユーザがフィルタなどの消耗品を自動的に注文することを可能にする設定があり得る。粉塵センサ57を介した空気質は、例えば、5または10秒ごと、または、60秒ごとなど、定期的な間隔でサンプリングされるよう構成され得る。このことは、コントローラ52による、粉塵センサ57および粉塵センサファン65の選択的動作を必要とする。
【0095】
システム100のソフトウェアは、HEPAフィルタおよび組成物/ゲルカートリッジ両方の凡その寿命を判定するために、ファン速度および使用時間を外挿するアルゴリズムを含み得る。従って、機器10および装置104を含むシステム100によって実行される方法は、様々な保守タイプのルーチンを含み得る。例えば、ソフトウェアアプリケーションは、HEPAフィルタまたは組成物の変更が必要なときを判定してユーザに警告し得る。例えば、コントローラ52またはリモートデバイス104は、ファン18のオン時間を測定して、予め定められた時間数が経過した(従って、HEPAフィルタの寿命を示す)ときに警告を提供し得る。ユーザは、HEPAフィルタまたは組成物のいずれかを変更したとき、リモートデバイス104のアプリケーションソフトウェアを用いて時間カウンタをリセットする必要があり得る。
【0096】
アプリケーションソフトウェアを用いた警告に加えて、機器10のオン/オフボタン60は、機器10の様々な状態を示す色を変更するようにも構成される。例えば、オン/オフボタン60は、白色LED=機器10がオン、点灯するオレンジ色LED=HEPAフィルタの変更(またはプリフィルタの洗浄)が必要、点滅するオレンジ色LED=ゲル/組成物に変更が必要、赤色LED=HEPAおよびゲル/組成物の両方に変更が必要というように構成され得る。オン/オフボタン60は、ノンラッチ型プッシュマイクロスイッチであり得る。保守インジケータとして使用される多色LEDが必要になり得る。
【0097】
システム100は、アクセスポイント法および/またはインターネット(クライアント)モードで動作するよう構成され得る。アクセスポイント法は、機器10とスマートデバイス104との間の直接的なWiFi接続である。機器10は、ネットワークホストとして機能し、スマートデバイス104は、(スマートデバイス104によって操作されるアプリケーションソフトウェアのアプリケーションを介して後に変更できる)工場設定パスワードを使用して、機器10のSSIDに接続する。このモードにある間、アプリケーションソフトウェアは、単純な機能、すなわち、a.ホーム/オフィスWiFiルータ認証情報の設定、b.機器10をオンまたはオフにする、c.ファン速度、タイマ、LED色などの装置のユーザ設定を変更する、d.空気質のリアルタイム測定だけを可能にする。
【0098】
インターネット(クライアント)モードにおいて、機器10は、ローカルWiFiホットスポット(例えばホームまたはオフィス)のSSIDおよび認証情報を使用してオンラインに接続されている。これらの認証情報は、装置がアクセスポイントモードにあるときに、早くからセットアップされているであろう。このモードにある間、機器10は、システム100のサーバ(図示せず)のクラウドホスト型ウェブサービスにログインし、ここで、機器10は、一意に識別されることができ、その機能はこのサービス上で利用可能になる。クラウドホスト型ウェブサービスは、複数の機器10が同時に接続され、ユーザによって制御されることを可能にし得る。例えば、複数の機器10は、居住施設または複数の居住施設における異なる位置での粉塵および露点測定値を提供し得る。クラウドホスト型ウェブサービスはまた、友人が所有するものなど、関連する機器10が接続され、空気質データなどのデータを共有することを可能にし得る。クラウドホスト型ウェブサービスはまた、1または複数の機器10の完全リモート制御を可能にし得る。
【0099】
インターネット(クライアント)モードにおいて、装置は今、完全な機能を提供する。これらには、アクセスポイントモードに存在するすべての機能、および、他のインターネット対応機能が含まれる。(a)インターネット時間へのローカル装置の自動リセット、(b)空気質および使用に関連するローカルに記憶されたデータをアップロードする能力、(c)ホームまたはオフィス環境でのユニットのグループに接続する能力(例えば、ユーザは、「主寝室」、「居間」などの名前をユニットに割り当てることが可能である)、(d)定時オン/オフ機能のセットアップ、(e)クラウドからのトレンドデータの報告。
【0100】
装置によって操作されるアプリケーションソフトウェアに関連して、ソフトウェアの機能は更に以下を含み得る。オン/オフ制御;ファン速度制御は、スライディング1~5スケールを使用する;粒子数のグラフ/データを表示する。ライブデータおよび履歴データ;粒子数データを微粒子の承認されたレベルと比較してグラフィカルフィードバックを提供する。空気質範囲は、良好、中程度、低、劣悪である。PM2.5の許容レベルは、各国ごとに異なる;露点のグラフ/データ(温度および湿度)を表示する。
【0101】
ライブデータおよび履歴データ;露点データを科学的閾値と比較して、グラフィカルフィードバック(緑/赤など)を提供する;HEPAフィルタが変更を必要とする、または、プリフィルタの洗浄が必要であるときを判定するためのフィードバックを提供する;ゲルの変更が必要なときのフィードバックを提供する;タイマでスイッチをオン/オフするためのオートモード;セットアップモード/設定ページ;時間の経過によりHEPAおよびゲルカートリッジは変更が必要となる。アプリケーションの一部として、以下を可能にする設定があり得る。顧客が自動的に消耗品を注文する;屋外のPM2.5測定値を屋内のPM2.5レベルの隣に表示する;アプリケーションソフトウェアは、機器10を使用する友人に顧客が接続して友人の屋内および屋外のPM2.5レベルを確認することを可能にするよう構成され得る。この機能を可能にするためには、友人は、ネットワークに参加するための招待を申請し、この招待を承認する必要がある。また、ユーザは、友人を消去することが可能であり得る。
【0102】
ここで、使用の方法に関して、一旦構成されると、空気の濾過および空気の消毒のための方法は、空気がハウジング12の入口14と出口16との間を通るように、ファン18を使用してハウジング12を通して空気を吸い込む段階と、入口14と出口16との間に配置されるフィルタ20を使用して空気を濾過することにより濾過済み排出空気を提供する段階と、組成物22の一部が濾過済み排出空気に混入するように、出口16の近くの濾過済み空気を、組成物22を含む容器26と連通させることにより、濾過済み空気を消毒または処理する段階とを備え得る。
【0103】
使用の方法はまた、浮遊粒子、露点、または湿度などの空気質パラメータを測定する段階と、測定された空気質パラメータに基づいてファン速度のアクティブ化および変更のうち少なくとも1つを行う段階とを備え得る。ファン速度の変更は、濾過を増加させ、また、組成物22の混入速度(グラム/日)を増加させる。いくつかの例において、方法はまた、空気質パラメータを測定する段階と、警告メッセージなどの空気質警告をコンピューティング装置104へ提供する段階とを備え得る。記録、警告および機器管理(フィルタおよび組成物交換インジケータなど)の方法などの様々な更なる動作の方法も、本明細書において想定されている。方法は、空気質を反映した色または色のシーケンスでライトリング23のRGBライト21をアクティブ化する段階を備え得る。例えば、黄色または赤色のライトのシーケンスは、空気中の粉塵または粒子の量が多いことを示す。
【0104】
有利なことに、屋内空気を洗浄または処理するための機器、システムおよび方法が記載された。特に、機器はまず、空気を濾過し、次に、カビ、微生物、真菌、および同様のものなどの空中の生物物質に作用する、それを低減する、または殺傷するよう適合された組成物と濾過済み空気とを連通させるよう構成される。
【0105】
容器の開口部は、排出された空気流中へ組成物をゆっくり放出するように配置される。放出速度は、ファン速度に基づいて増加または減少され得るが、小さい開口部サイズは、放出速度を比較的小さく、および、予め定められた範囲内に留めることに役立つ。機器は、内部コントローラを有してスタンドアロンであり得る、または、空気質警告などの警告をユーザへ提供することを可能にするべく、および、ユーザが機器をリモートに構成および制御することを可能にするべく、スマートフォンなどの外部デバイスと通信し得る。
【0106】
更に有利なことに、機器は、組成物を保持するカートリッジの容易な交換を可能にする取り外し可能な蓋と、フィルタの容易な交換を可能にする取り外し可能基部とを有する。内部コントローラまたは外部デバイスは、カートリッジまたはフィルタを変更するようユーザに警告するよう構成され得る。なお更に、機器は、空気質のトラッキング、空気質警告、機器の構成、および、機器の制御を可能にするリモートデバイスと通信し得る。
【0107】
本明細書および以下の特許請求の範囲の全体を通して、文脈上他に必要となる場合を除き、「含む」という単語、および、「含み」、「含んで」などの変形は、言及された整数もしくは段階、または、整数もしくは段階のグループが包含されることを意味するものであり、任意の他の整数もしくは段階、または、整数もしくは段階のグループが除外されることを意味するものではないことを理解されたい。
【0108】
本明細書における、任意の既知の物または任意の先行文献の言及は、当該既知の物または先行技術文献が、本明細書に関連する分野の一般的技術常識の一部を形成することの承認または許可または示唆ではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0109】
本発明の具体的な例が記載されたが、本発明は、開示された、または、本明細書に提供される開示から明らかである特徴の代替的な組み合わせにも及ぶことを理解されたい。
【0110】
開示された、または、本明細書に提供される開示から明らかである発明の範囲から逸脱しない様々な多くの修正が、当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14