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  • 特許-歩行を支援するためのシステム 図1
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  • 特許-歩行を支援するためのシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】歩行を支援するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20230124BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61H3/00 B
B25J11/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019541883
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017076482
(87)【国際公開番号】W WO2018073252
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】P201600886
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519141003
【氏名又は名称】ウニベルシタ ダ コルーニャ
(73)【特許権者】
【識別番号】518224831
【氏名又は名称】ウニベルシタット ポリテクニカ デ カタルーニャ
(73)【特許権者】
【識別番号】519141014
【氏名又は名称】ウニベルシタ デ エストレマドゥーラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルグリス アルメスト ウルバノ
(72)【発明者】
【氏名】クアドラド アランダ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】フォント リャグネス ジュゼップ マリア
(72)【発明者】
【氏名】クロス コスタ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ サンチェス フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ サンチェス フランシスコ
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/006432(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/058641(WO,A1)
【文献】特開2013-013579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行を支援するためのシステムであって、
-ユーザの脚部のための少なくとも第1の装具であって、足のための支持体(1)と、ふくらはぎのための下側構造体(2)と、大腿部のための上側構造体(3)と、前記下側構造体(2)と前記足のための支持体(1)との間の下側関節(4)と、前記下側構造体(2)と前記上側構造体(3)との間の上側関節(5)とを備える、第1の装具
を備え、さらに、
-複数のセンサ(6)であって、一軸ジャイロスコープと、少なくとも2つの一軸加速度計とを含み、少なくとも
-前記下側構造体(2)と垂直線との間の傾斜角度(θ)と、
-前記下側構造体(2)と上側構造体(3)との間の屈曲角度(α)と、
-垂直加速度(a)と
を測定するように構成された、複数のセンサと、
-前記上側関節(5)に結合され、屈曲角度(α)を設定するように構成されたアクチュエータと、
-前記センサ(6)によって測定された前記傾斜角度(θ)および前記垂直加速度(a に応じて脚部屈曲-伸展サイクルを検出し、前記上側関節(5)の前記アクチュエータを介して、屈曲角度(α)の変動によって前記屈曲-伸展サイクルを適用するように構成された制御ユニット(7)と、
を備え、
前記制御ユニット(7)が、これもまた反対側の脚部の前記センサ(6)によって測定された値に応じて、脚部屈曲-伸展サイクルを検出するようにさらに構成されることを特徴とする、歩行を支援するためのシステム。
【請求項2】
前記ユーザの反対側の脚部のための第2の装具を備える、請求項1に記載の歩行を支援するためのシステム。
【請求項3】
前記制御ユニット(7)が、前記脚部の垂直加速度(a)がある期間にわたって閾値を上回って増加したときに脚部屈曲-伸展サイクルを検出するように構成される、請求項1に記載の歩行を支援するためのシステム。
【請求項4】
前記制御ユニット(7)が、反対側の脚部の垂直加速度(a)がある期間にわたって閾値を下回ったままであるときに、脚部屈曲-伸展サイクルを検出するように構成される、請求項1またはに記載の歩行を支援するためのシステム。
【請求項5】
前記制御ユニット(7)が、反対側の脚部の角速度に応じて脚部屈曲-伸展サイクルを検出するように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の歩行を支援するためのシステム。
【請求項6】
前記上側関節(5)に関連する前記アクチュエータが、屈曲-伸展サイクル中に時間に応じて可変角度を適用するように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の歩行を支援するためのシステム。
【請求項7】
下肢に影響を及ぼす脊髄損傷、脳卒中、外傷性脳損傷、多発性硬化症、脳性麻痺およびポリオを患っている、股関節屈曲能力を温存している人の歩行を支援するためのシステムであって、
-ユーザの脚部のための少なくとも第1の装具であって、足のための支持体(1)と、ふくらはぎのための下側構造体(2)と、大腿部のための上側構造体(3)と、前記下側構造体(2)と前記足のための支持体(1)との間の下側関節(4)と、前記下側構造体(2)と前記上側構造体(3)との間の上側関節(5)とを備える、第1の装具
を備え、さらに、
-複数のセンサ(6)であって、一軸ジャイロスコープと、少なくとも2つの一軸加速度計とを含み、少なくとも
-前記下側構造体(2)と垂直線との間の傾斜角度(θ)と、
-前記下側構造体(2)と上側構造体(3)との間の屈曲角度(α)と、
-前記垂直加速度(a)とを測定するように構成された、複数のセンサと、
-前記上側関節(5)に結合され、前記屈曲角度(α)を設定するように構成されたアクチュエータと、
-前記センサ(6)によって測定された前記傾斜角度(θ)および前記垂直加速度(a に応じて脚部屈曲-伸展サイクルを検出し、前記上側関節(5)の前記アクチュエータを介して屈曲角度(α)の変動によって前記屈曲-伸展サイクルを適用するように構成された制御ユニット(7)と、を備えることを特徴とする、歩行を支援するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節屈曲能力を温存している脊髄損傷者のための歩き方支援装置に関する。特に、本発明は、股関節屈曲能力を温存している脊髄損傷者のための、膝の作動および慣性検知による歩き方支援用の能動的装具に関する。さらに、本発明の歩き方支援装置は、下肢に影響を及ぼす脳卒中、外傷性脳損傷、多発性硬化症、脳性麻痺、およびポリオを患っている、股関節屈曲能力を温存している人を支援するためにも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
かなりの数の脊髄損傷者は、股関節に対して特定の制御を維持しているが、膝または足首関節に対しては制御を維持していない。これらの患者は、膝の回転をブロックして足首の底屈を制限する松葉杖および受動的装具(長下肢装具またはKAFO)を使用して歩くことができる。このタイプの歩き方の問題点は、膝が常に完全に伸展しているので、一歩進むために不自然な方法で股関節を持ち上げる必要があることであり、これは非常に高いエネルギーコストを伴い、これによって患者は日常生活において車椅子を使用することになる。
【0003】
自然な歩き方では、膝の屈曲は、遊脚段階中に股関節を下げることを可能にし、それが重心の振動を低減させ、歩き方のエネルギー効率を改善する。膝の前記屈曲をより容易にする装置の使用は、脊髄損傷者が、車椅子を使用するのではなく歩行するように仕向け、その利点は、これが脊髄損傷者のリハビリテーションおよび健康にとって必然的になることである。
【0004】
脚部の向きを測定する慣性センサと、地面と足の接触時の反応を測定する力センサからの読み取りに応じて膝関節の剛性を調節する、Otto BockによるC-Braceなどの能動的装置が市場にはいくつかある(特許文献の米国特許第8,876,912号明細書および米国特許出願公開第2010/0125229号明細書を参照)。制御システムは、支持段階で膝をブロックし、そして遊脚段階の間にこれを解放する。しかし、この装置は、脊髄損傷者による使用を意図したものではなく、むしろ一般的に片側性の障害を伴う、助けを借りずに歩く能力をある程度有する患者を意図している。米国特許第7,985,193号明細書は、同様の剛性制御装置に関するものであるが、足底センサは明示されていない。
【0005】
また、センサからの読み取りに基づいて制御されるアクチュエータによって関節を制御する人工補綴具に関する別のより一般的な特許文献も存在する(国際公開第2010/120403 A2号パンフレット)が、これは補綴装置のみに言及している。
【0006】
脊髄損傷者、股関節を制御できない人にも、ReWalk(ReWalk Robotics Ltd、イスラエル)、Ekso GT(Ekso Bionics、米国)、HAL(Cyberdyne Inc、日本)、Exo-H2(Technaid SL、スペイン)など、歩き方支援用の外骨格がある。それらは、電気モータまたは機能的電気刺激によって足首、膝および/または股関節に作用する大きく非常に高価な装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、現況技術の問題点および限界を解決する、股関節屈曲能力を温存している脊髄損傷者のための歩き方支援システムに関する。さらに、本発明の歩き方支援装置は、下肢に影響を及ぼす脳卒中、外傷性脳損傷、多発性硬化症、脳性麻痺、およびポリオを患っている、股関節屈曲能力を温存している人を支援するためにも使用することができる。
【0008】
本発明の歩き方支援装置は、個々の疾患に対して特別な適応を必要とせずに、上記の疾患を患っている人の歩行を支援するために使用することができる。
【0009】
より詳細には、本発明は、ユーザの脚部のための少なくとも第1の装具を含む歩行を支援するためのシステムであって、前記装具が、足のための支持体と、ふくらはぎのための下側構造体と、大腿部のための上側構造体と、下側構造体と足のための支持体との間の下側関節とを有する、歩行を支援するためのシステムに関する。これはまた、下側構造体と上側構造体との間に上側関節を有する。このシステムはさらに、少なくとも以下の変数を測定するためのセンサの配列を組み込んでいる。
-下側構造体と垂直線との間の傾斜角度(θ)
-下側構造体と上側構造体との間の屈曲角度(α
-下側構造体のある点の垂直加速度(a
【0010】
このシステムはまた、上側関節に結合され、これが制御ユニットによって起動されるときの屈曲角度(α)を設定するためのアクチュエータを含む。前記制御ユニットは、先行のセンサによって測定された値に従って次の脚部屈曲-伸展サイクルを適用する必要性を検出する。前記屈曲-伸展サイクルは、上側関節(膝)のアクチュエータを用いて屈曲角度(α)を変更することによって適用される。
【0011】
任意選択により、複数のセンサは、一軸ジャイロスコープと、少なくとも2つの一軸加速度計とを含む。
【0012】
好ましくは、システムは、ユーザの反対側の脚部のための第2の装具を含む。
【0013】
任意選択により、制御ユニットは、反対側の脚部のセンサによって測定された値に応じて次の脚部屈曲-伸展サイクルを検出することができる。
【0014】
任意選択により、制御ユニットは、前記脚部の垂直加速度(a)が閾値を上回って増加したときに次の脚部屈曲-伸展サイクルを検出することができる。
【0015】
任意選択により、制御ユニットは、反対側の脚の垂直加速度(a)がある期間にわたって閾値を下回ったままであるときに次の脚部屈曲-伸展サイクルを検出することができる。
【0016】
任意選択により、制御ユニットは、反対側の脚部の角速度に応じて次の脚部屈曲-伸展サイクルを検出することができる。
【0017】
任意選択により、上側関節に関連するアクチュエータは、屈曲-伸展サイクル中の時間に応じて可変角度を適用することができる。
【0018】
任意選択により、脚部の位置を測定するためのセンサの配列は、少なくとも1つの一軸ジャイロスコープと、2つの一軸加速度計とを含む。
【0019】
任意選択により、屈曲-伸展サイクルは、センサの配列のデータから歩行する意図が検出されたときに設定され開始される。
【0020】
任意選択により、膝部の屈曲は、反対側の脚部の傾斜、または反対側の脚部の角速度に応じて各瞬間に定義される。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明は、下肢に影響を及ぼす脊髄損傷、脳卒中、外傷性脳損傷、多発性硬化症、脳性麻痺およびポリオを患っている、股関節屈曲能力を温存している人において、上で定義したように歩行を支援するためのシステムの使用に関する。
【0022】
別の好ましい実施形態では、本発明は、下肢に影響を及ぼす脊髄損傷、脳卒中、外傷性脳損傷、多発性硬化症、脳性麻痺およびポリオを患っている、股関節屈曲能力を温存している人の歩行を支援するためのシステムであって、
-ユーザの脚部のための少なくとも第1の装具であって、足のための支持体(1)と、ふくらはぎのための下側構造体(2)と、大腿部のための上側構造体(3)と、下側構造体(2)と足のための支持体(1)との間の下側関節(4)と、下側構造体(2)と上側構造体(3)との間の上側関節(5)とを備える、第1の装具
を備え、さらに、
-複数のセンサ(6)であって、少なくとも
-下側構造体(2)と垂直線との間の傾斜角度(θ)と、
-下側構造体(2)と上側構造体(3)との間の屈曲角度(α)と、
-垂直加速度(a)とを測定するように構成された、複数のセンサと、
-上側関節(5)に結合され、屈曲角度(α)を設定するように構成されたアクチュエータと、
-センサ(6)によって測定された値に応じて次の脚部屈曲-伸展サイクルを検出し、上側関節(5)のアクチュエータを介して、屈曲角度(α)の変動によって前記屈曲-伸展サイクルを適用するように構成された制御ユニット(7)と、
を備えることを特徴とする、歩行を支援するためのシステムに関する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】能動的装具の概略図である。
図2A】歩行用装具によってとられるいくつかの位置を示す図である。
図2B】可能な屈曲-伸展サイクルの時間に対する膝の角度を表すグラフである。
図3】制御ユニットが従うフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態である装置を図1に見ることができる。装置は、KAFO型装具の対であって、膝の屈曲角度(α)を設定するためのアクチュエータが結合されたKAFO型装具の対と、脚部の傾斜角度(θ)、および任意選択によりその垂直方向加速度aを測定するためのセンサと、センサ(6)の配列およびアクチュエータ(5)が接続されている制御ユニット(7)であって、アルゴリズムを実行して、センサからの読み取りに応じて支持段階(膝ブロック)および遊脚段階(屈曲-伸展)において膝の角度をどのように変更するかを決定する、制御ユニットとを含む。このアルゴリズムは、図3で詳細に説明される。
【0026】
また、図1は、主要要素を見ることができる実施形態を示す。剛性または可撓性(しばしば「ドロップフットスプリント」と呼ばれる)であることができ、ユーザの足を保持する足のための支持体(1)、患者のふくらはぎに固定された剛性の下側構造体(2)、患者の大腿部に固定された剛性の上側構造体(3)、要素(1)と(2)との間の足首の下側関節(4)、膝のための上側関節(5)であって、要素(3)と(2)との間の屈曲を可能にし、構造体(2)と(3)との間にトルクを伝達する角度を膝に適用するように結合されたアクチュエータを含む、上側関節(5)、および要素(2)にアンカー固定された、その傾斜および加速度を測定するためのセンサ(6)の配列。データは、関連するアクチュエータを介して上側関節(5)に動きを加えるために制御ユニット(7)によって処理される。センサ(6)の配列は、各瞬間において脚部が地面と成す角度、ならびに垂直加速度を知るための少なくとも1つの一軸ジャイロスコープおよび2つの一軸加速度計を含む。
【0027】
図2Aは、歩行中の装具によってとられる異なる位置を示す。図2Bは、図2Aの位置に関連する膝部によって形成される角度αのグラフを示し、屈曲は左半分に生じており、対応する伸展は右半分に生じている。したがって、0度の角度αは、完全に伸展した膝に対応し、膝の屈曲は、最大40度に達し、その後完全に伸展する(0度)。図2Aの実線は、右脚部屈曲-伸展サイクルを示し、一方で、破線で示す左脚部は、支持されて完全に伸展(ブロック)されている。この特定の実施形態では、サイクルは、時間に依存する所定の曲線をたどることになることが指摘されなければならない。
【0028】
図2Bから分かるように、右脚部を遊脚するときに左脚部の角度は単調に増加するので、これは、本発明の他の実施形態においてサイクルを定義するための入力として使用することができ、これは、以下に説明される。
【0029】
第2の実施形態では、システムは、各脚部に1つずつ、2つの装具で設置されることになる。各装具は、それ自体のアクチュエータ(5)と、制御ユニット(7)に接続されたセンサ(6)の配列とを有する。したがって、各脚部について、必要に応じて、それ自体のセンサと反対側の脚のセンサの両方からの情報を使用することができる。一方の肢のセンサからのデータを使用して反対側の肢を制御できることによって、センサからのデータの解釈を改善する働きをすることができる。したがって、サイクルは反対側の脚部の状態に依存し、それによって右膝の角度αは、左脚部の進行(傾斜および/または回転速度)に基づいて動的に定義されると考えられる。
【0030】
本発明の1つの変形形態では、サイクルが検出された後、特定のペースでの屈曲を(膝に対応する)上側関節(5)の実際のアクチュエータにおいて実施して、これを、屈曲/伸展による所望の歩き方に適応させることができる。その場合、アクチュエータは、(例えば、膝の屈曲-伸展の時間履歴に従って)モータが事前設定経路を決定するように、コントローラを組み込んでいる。
【0031】
任意選択により、所望の屈曲/伸展特性は、ユーザの好みに従って確立することができるので、これは、図2A~2Bに示す曲線、すなわち、歩行中、通常はさらに後方にある足が地面から持ち上げられ、それにより脚部が遊脚している間膝が屈曲しているときにアクチュエータが上側関節(5)に適用する曲線とは異なる曲線をたどることができる。屈曲-伸展サイクルを開始するのに適した瞬間を検出するために、システムは、両方の脚部に組み付けられたセンサの配列を使用することが好ましく、それにより、サイクルは、以下の場合、一方の脚部だけで開始される。
a)最初に、垂直加速度は、最小時間の間待機閾値内に留まっている。
b)その後、上向きの垂直加速度が、トリガー閾値を超え、したがって足が持ち上げられていると解釈される。
c)さらに、脚部は少なくとも1つの最小の前方傾斜θを有する。
d)一方で反対側の脚部は、最小の後方傾斜θを超える。
【0032】
これらの確認により、安全範囲を確立して、ユーザが実際に歩く意思がないときにサイクルが開始されるのを防ぐことができる。
【0033】
図3は、制御ユニット(7)が実施することができ、これもセンサ(6)の配列によって提供される角速度などの追加の変数を考慮することができる、制御アルゴリズムを詳細に説明する。したがって、ユーザが歩くという意思が検出されるとき、頑健性が増す。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
これらの条件が適合されているときにサイクルが誤って開始されることはほとんどない。例えば、加速が右脚部に生じる場合、対象者は、右脚部を前方に傾斜させ左脚部を後方に傾斜させて、サイクルが開始されるように図2Aの左側に示されるものと同様の姿勢をとらなければならない。これは、脚部が互いに平行になった状態で足が持ち上げられたとき(例えば、向きを変えるとき)、または何らかの理由で支持された足に加速が生じた場合、膝の屈曲は生じないことを意味する。
【0038】
加速度の上昇の別の例は、かかとが地面に当たるときであるが、これもサイクルを開始しない。これは、足が遊脚段階から来るときにそれまで待機していなかったため(P2、P14)であり、さらには加速を受けた脚部がさらに前にあり、したがって後方に傾斜しているために脚部の傾斜は条件(P4、P5)と適合しないためである。
【0039】
これらおよび他の確認が、図3の図に説明される。そこに描かれているアルゴリズムは、屈曲-伸展サイクルの適切な作動を制御するために制御ユニット(7)によって使用される。
【0040】
灰色(菱形)の決定ブロックは、センサの測定値を示し、一方で灰色(長方形)の動作ブロックはアクチュエータ(5)に送信されたコマンドを表す。
【0041】
図3のアルゴリズムによって定義されるステップは、時間ステップ△tを伴って制御ユニット(7)内のループで実行され、そして各回において、ブロッキング段階において0とすることができる(P13)膝の屈曲角度α、または図2Bのグラフに類似し得る、遊脚段階(P11)における時間関数f(t)が課される。
【0042】
【0043】
【0044】
装具は、好ましくはベルトによって固定される。上側部分と下側部分にはマジックテープ(velcro)(登録商標)が使用されており、バックルで締め付けられた支持体を膝に置くことができる。
【0045】
2つの装具がある場合が代替の実施形態について言及されたが、ユーザが1つの装具のみを使用しても十分となり得る。したがって、システムは、慣性センサユニットからの情報のみを有する。
【0046】
別の実施形態では、安全性は、装具支持具(杖)によって支持される応力を測定することによって、例えばひずみゲージブリッジなどのセンサによって提供される測定値によってさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 足のための支持体
2 下側構造体
3 上側構造体
4 下側関節
5 上側関節
6 センサの配列
7 制御ユニット
P0 変数を初期化する
P1 サイクルが起動されているかを確認する
P2 脚部が待機している時間を確認する
P3 脚部の垂直加速度を確認する
P4 垂直線に対する脚部の角度を確認する
P5 垂直線に対する反対側の脚部の角度を確認する
P6 サイクルの開始を確立する
P7 サイクル時間カウンタを初期化する
P8 最後のサイクルの始めからの時間を確認する
P9 サイクルの終わりを確立する
P10 支持時間カウンタを初期化する
P11 膝の角度を時間の関数として確立する
P12 サイクル時間カウンタを増やす
P13 ブロックされた膝の角度を確立する
P14 支持された脚部の加速度を確認する
P15 支持時間カウンタを増やす
P16 支持時間カウンタを再開する
【0048】
この詳細な説明においていくつかの特定の実施形態を説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定された保護の範囲から逸脱することなく、各場合の要件に応じて、修正を加え、技術的特徴を他の等価のまたは改善された特徴に置き換えることができるであろう。
図1
図2A
図2B
図3